著者
宮川 修 渡辺 孝一 大川 成剛 中野 周二 塩川 延洋 小林 正義 田村 久司
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.653-661, 1989-09-25
被引用文献数
1

ビトリファイドホィールで13%Crを含む歯科鋳造用Ni合金を能率良く研削するための研削方法と砥石構成要素を確立することを目的として, 被削材に送りを与えながら一定荷重で研削できるように前報の天秤型研削試験装置を改造し, これによって市販のホィール2種と砥石構成要素の異なる試作ホィール11種の研削性能を評価した.アルミナホィールは砥粒が一様に著しく摩滅した.少なくとも軟質のNi-Cr合金に対しては, カーボランダムホィールが有効である.ホィールを被削材に単に押しつける研削ではホィールの性能を十分発揮できない.ホィールの回転方向にハンドピースを動かしながら比較的大きな力で研削することが大切である.研削荷重が50と100gfでは試作カーボランダムホィールの研削性能は市販ホィールのそれと大同小異であったが, 150, 200gfに増すと, 結合剤が19%で粒度#150のカーボランダムホィールだけが市販ホィールの約2倍の性能を発揮した.安定した高い研削性能の持続はホィールの損耗による砥粒の新出のためと考えられる.
著者
菅 香世子 小林 勝己 印牧 もとこ 宮原 智哉 遠藤 邦彦
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.71-83, 1992
参考文献数
21
被引用文献数
4

Kozushima consists of rhyolitic monogenetic volcanoes (lava domes and thick lava flows), and is located on Zenisu Ridge, northern part of Izu-Bonin Arc. Activities of the momogenetic volcanoes were accompanied with pyroclastic flows and surges. But their succession and stratigraphy are not well known. We tried to discuss them based on observation in construction field of Kozushima Airport and its neighborhood in southern part of the island. Three pyroclastic surge deposits were confirmed on thick lava flow which was fomed tens of thousands years ago. They are, Chichibuyama pyroclastic-surge deposit-B which was older than 22,000 y.B.P., Chichibuyama pyroclaslic-surge deposit-A which erupted 21,000-19,000y.B.P. and Tenjosan pyroclastic-surge deposit which was fomed 838 A.D. in ascending order. Two regional ash-fall deposits which originated from gigantic eruptions in Southern Kyushu and several ash-fall deposits from another islands were interbeded with them. Thus, only three pyroclastic surge deposits have come to deposit in southern part of Kozushima while tens of thousands years. It does not mean that only three eruptions occurred in Kozushima the while, but suggests that most eruptions could not bring pyroclasic materials on the thick lava flow whose height is 100-300 m in southern part of Kozushima except above mentioned three eruptions. Most pyroclastic flows and surges were strongly controled by topography in Kozushima, but some were not. That might be caused by the difference of eruption energy or eruption types.
著者
前多 敬一郎 平林 真澄 井上 直子
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

ヒトのモデルとして有用な実験動物であるスンクスでは、これまで初期胚操作技術が確立されていなかった。本研究において、スンクスの受精卵採取、偽妊娠誘起ならびに胚移植の確立に成功し、マイクロインジェクション法によりVenus遺伝子をスンクス前核期胚に導入したところ産子を得ることに成功した。Venus遺伝子を発現する個体は未だ得られていないが、今後例数を重ねることにより遺伝子改変スンクスの作出が期待できる。また哺乳類では、霊長類とスンクスでのみ存在が確認されているGnRH2遺伝子を標的とした遺伝子改変スンクスの作出を目指し、スンクスGnRH2遺伝子のプロモーター領域を同定した。
著者
藤田 きみゑ 長谷川 美幸 藤田 麻里 小林 寅〓 小笹 晃太郎 渡辺 能行
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.379-385, 2002-04-05 (Released:2008-02-26)
参考文献数
37
被引用文献数
1

今回,われわれは古くより民間薬として用いられてきた梅肉エキスのHelicobacter pylori(H.p.)に対する殺菌効果を検討した.梅肉工キスの主成分は約3296のクエン酸1196がリンゴ酸などで,pHは強酸性である,この梅肉エキスの0.156%,0.313%,0.625%,0.9%各濃度工キス剤溶液に対して,胃粘膜由来のH.p.臨床分離株10株を各々濃度溶液にて培養し,菌培養MIC(最小発育阻止濃度)測定を行った.その結果,H.p.10株のうちH.p.4株に対しては梅肉工キス剤濃度0.156%以下で,また,H.p.6株に対してはエキス剤濃度0313%で強い抗菌力を示した.さらに,梅肉エキス0.3%,0.9%濃度溶液に混和されたH.p.臨床分離株10株の生理的食塩水懸濁液は,5分後および15分後にてH.p.菌量の99.995%から99.999%が減少し強い殺菌効果を認めた.これ等結果より,梅肉エキスは安価で副作用のないH.p.を予防し得る食品と考えられた.
著者
杉本 和弘 大佐古 紀雄 田中 正弘 鳥居 朋子 林 隆之 福留 東土 高森 智嗣 川那部 隆司 高 益民
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、各国の大学質保証における機関レベルの内部質保証システムの構造と機能を国際比較の観点から考察し、我が国の大学が内部質保証システムをいかに再構築し効果的運用すべきかを明らかにするため、(1)先行研究の整理・分析、(2)国内外の大学・質保証機関への訪問調査、(3)教育マネジメントに関する国際セミナーの開催を行った。その結果、大学の内部質保証システムを構築し機能させるために、全学レベルで学位プログラムを中心としたデータに基づく教育開発・教育改善が一体的に機能した質保証システムの整備を進め、さらに学内外にそのプロセスが明示されるようにすることの重要性が明らかとなった。
著者
齋藤 理一郎 長田 俊人 依光 英樹 町田 友樹 楠 美智子 長汐 晃輔 上野 啓司 塚越 一仁 若林 克法 越野 幹人
出版者
東北大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

本新学術領域研究は、「人類史上最も薄い物質」である、一原子層の厚さしかない物質(以下原子層物質)を合成してきました。また合成した非常に薄い物質を使って、消費電力が非常に小さい電子デバイスや、光デバイスの作成と検証を行い、その社会における有用性を実証しました。さらに、異なる原子層物質を積み重ねることによって、今までにない物質(複合原子層物質)を人工的に合成し、超伝導や量子的な性質を持つ、新しい機能材料を開発することに成功いたしました。これらは、国際共同研究基金を用いて国際共同研究を推進することによって、新しい物質の開発を加速いたしました。
著者
岩坂 泰信 張 代洲 小林 史尚 牧 輝弥 柿川 真紀子 洪 天祥
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

タクラマカン砂漠での気球観測では上空に浮遊する黄砂の約10%が微生物と合体していた。黄砂が偏西風帯にまで舞い上がった時点ですでに微生物を付着させている可能性が高い。能登半島での観測は、黄砂濃度上昇時に微生物濃度が上昇し「黄砂とともに大気圏を移動している」ことを強く示唆した。立山山頂付近の積雪の黄砂層の微生物多様性はタクラマカン砂漠のものと高い類似性があり、砂塵発生源地からの長距離移動・拡散を示唆した。
著者
小林 美津江
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大学大学院紀要. 社会福祉学研究科篇 (ISSN:18834019)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.19-35, 2017-03-01

本研究は,障害者の「知る権利」について,世界の主な差別禁止法と障害者権利条約の内容を検討し法理を明らかにすることを目指す。その理由は,知的障害者,自閉スペクトラム症,高齢者,外国人等一般の情報提供では理解できない人達の「知る権利」が充足されていないとの問題意識を持っているためである。「知る権利」は,憲法第21条の表現の自由から派生する権利だが,それだけでなく憲法第13条幸福追求権や第25条生存権など基本的人権と関わりを持つ重要な権利であると考えるからである。アメリカ公民権法の法理はADA法に適用され,その後,障害者権利条約に反映されている。「合理的配慮」は,直接差別禁止,間接差別禁止を目的としており,イギリスMCA法は自律支援の観点から重度障害者,認知症高齢者等に意思決定能力があるとしている。人としての「知る権利」の保障はどうあるべきで,社会の中でどう根ざすか課題である。知る権利公民権非差別平等合理的配慮障害者権利条約
著者
林 直保子
出版者
関西大学社会的信頼システム創生センター
雑誌
社会的信頼学 = Trust and society (ISSN:21868646)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.43-52, 2013-03

本研究は,大学の偏差値と大学生の一般的信頼の関係について再検討することを目的としている.山岸(1999)によると,大学の偏差値と大学の一般的信頼得点の平均値の間には正の相関がある.山岸はこの分析に基づき,偏差値の高い大学に入ることで,学生の信頼感が高まると論じた.しかし,山岸の分析は,10校の四年制大学と2校の短期大学からのサンプルを用いて行われており,さらなる検討が必要であった.本研究では,この議論が正しいかどうかを検討するため,男女共学の4年制の28大学を調査対象とし,4,598ケースのデータを回収した.その結果,個人レベルの分析において,大学の偏差値と学生の信頼感の間に有意な相関は得られなかった.ただし,大学を分析のユニットとした場合,極端に偏差値の高い大学(偏差値70以上)の学生の信頼感の平均値は,それ以外の学生より高かった. This study re-examines the relationship between the relative standing (hensachi) of the college and the level of general trust of the students. Yamagishi (1999) reported that the relative standing of the college is positively correlated with the students' average score on the general trust scale. Based on this analysis, Yamagishi (1999) argued that belonging to elite colleges makes students high trusters. However, because Yamagishi (1999)'s analysis used a sample from only 10 colleges and 2 junior colleges, further investigation was necessary to draw a conclusion. We collected data from 28 colleges (N=4598) and examined the relationship between the level of general trust and the relative standing of the college both at the college level and the individual level. The results of the analyses using individual data suggest that the level of general trust is not significantly correlated with the ranking of the college to which students belong. However, the mean of general trust scores of the sample from universities with an extremely high score of hensachi (over 70) was significantly higher than that of the others.
著者
鳥屋尾 博 小林 準人 安藤 利和 半杭 英二
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.27-32, 2015-06-01 (Released:2015-06-01)
参考文献数
7

小形化が進む無線機器の内部では,電磁ノイズによって生じる干渉の低減が課題となっている.メタマテリアルの一種である電磁バンドギャップ (EBG) 構造は,この電磁ノイズの放射を抑制する新たな技術として注目を集めている.本稿では,メタマテリアル技術の産業応用の例として,これまでに提案されているEBG構造の種類や原理を中心に,筆者らによるEBG構造の応用事例も含めて紹介する.更に試作機レベルでの電磁ノイズ抑制効果についても評価結果を示して解説する.
著者
吉野 純 村上 智一 林 雅典 安田 孝志
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.1276-1280, 2006
被引用文献数
3

本研究では, 台風0416号によって瀬戸内海に発生した広域高潮の再現実験を行い, 高潮計算精度に及ぼす入力気象場の再現性の影響について検討した. パラメトリックな2次元台風モデルを入力値として海洋モデルを駆動させる従来型の手法と比較して, 近年急速に発展しているメソ気象モデルを入力値とする手法は, 極めて高い精度で潮位変動を予測できることが明らかとなった. 日本に接近・上陸する台風の多くは, 中心から遠く離れた場所であっても発達したアウターレインバンド (外縁部降雨帯) を伴うことがあり, 中心付近の壁雲に匹敵するほどの強風ピークを形成することがある. このような複雑な台風気象場を再現できるメソ気象モデルの適用は, 高精度な高潮予測を行う上で不可欠となる.
著者
林田 賢治 中川 滋人
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.427-430, 2005-06-30 (Released:2012-11-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1

The aim of this study was to elucidate the relation between ball speed in pitching during a baseball game and the power of external rotation (ER) of the shoulders. Nineteen games, which were at the national inter high school baseball tournament games in Japan, in which the pitchers threw more than 100 times, and the ER strength before the tournament and after the games were measured, were included in the present study. The straight balls were decided by the ball speed data and video tapes of the games and a mean straight ball speed in the first 30 pitches and the last 30 were calculated. The relation between the changes of ball speed and ER strength were assessed. In 8 of 19 games, the ball speed decreased more than 3 km/h between the first 30pitches and the last 30 pitches and these games were classified into speed decreased game (DG), and the other 11 games were into non DG. The mean ratios of ER strength of the throwing side to the non throwing side were 1.02 in non DG and 0.99 in DG before the tournament. The mean ratios of ER power were 1.02 in non DG and 0.95 in DG after the games. The differences of ER ratios between before the tournament and after the game were +0.012 in non DG and -0.041 in DG, and a statistical significant difference was recognized between them. A decrease of straight ball speed during a game relates to a decrease of ER strength ratio. Maintaining ER strength could be one of the ways to keep ball speed in the game.
著者
林川 友貴
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.97, pp.5-24, 2015

<p> 本稿の目的は,学級と部活動という二つの所属集団に着目して,中学生の学校適応のメカニズムを明らかにすることである。学校ランクという「学校間」の差異に関する変数の学校適応に対する説明力が高校段階と比べて大きく減退する中学校段階においては,「学校内」の複数の文脈の影響をより精密に捉えうる分析枠組みが求められる。そこで本稿では,「学校内」の下位集団である学級と部活動の影響に照準を合わせ,中学生の学校適応メカニズムを検討した。<BR> 分析に際しては,複数の文脈の影響を同時的に分析できるcross-classified multilevel モデルを用いて,中学二年生を対象とした調査データを分析し,中学生の学校適応に対して学級と部活動という二つの所属集団が与える影響を推定した。<BR> 主な知見は次の三点である。(1)生徒間の交流が分断され,疎外性の高い学級に所属する生徒ほど学校適応は低くなる。(2)所属する部の全体的な積極性や,運動部での先輩-後輩関係の良好さは学校適応と正の関連をもつ。(3)疎外性の高い学級に所属する生徒ほど,部活動での先輩- 後輩関係が学校適応に与える影響は大きい。<BR> これらの結果は,同年齢集団である学級と異年齢集団である部活動の双方の影響を考慮した分析が,中学校段階の学校適応の説明において必要であることを示唆するものである。</p>
著者
林 珠乃
出版者
龍谷大学里山学研究センター
雑誌
2017年度 年次報告書
巻号頁・発行日
pp.100, 2018-03 (Released:2018-05-16)