著者
山崎 進 森 正和 上野 嘉大 高瀬 英希
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.15, 2019-01-30

ElixirではFlowというMapReduceの並列ライブラリが普及している.Flowを用いると簡潔な表現でマルチコアCPUの並列性を活用できる.我々はFlowによるプログラム記述がGPGPUにも容易に適用できるという着想を得て,OpenCLによるプロトタイプを実装した.現行のGPUで採用されるSIMDでは,単純な構造で均質で大量にあるデータを同じような命令列で処理する場合に効果を発揮する.一方,Flowでは,そのようなリストに対し一連の命令列で処理する.そこで,このような命令列と,リストを配列化したデータをGPUに転送・実行することで高速化を図る手法,Hastegaを提案する.そこで,ロジスティック写像を用いたベンチマークプログラムを開発し,期待される性能向上を評価した.Mac ProとGCEで評価した.言語はElixir,Hastega,Rust,Pythonで比較した.その結果,次の3つの結果が得られた:(1) HastegaはElixir単体のコードと比べて4.43~8.23倍高速になった(2) HastegaはRustと比べて,1.48~1.54倍程度遅くなっただけである(3) HastegaはPythonのコードと比べて,3.67倍高速である.今後,本研究で得た知見を元にLLVMを用いてコード生成器を含む処理系を開発する予定である.
著者
武藤 泰敏 大森 正英 園田 隆也 石川 淑郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.545-556, 1975 (Released:2007-12-26)
参考文献数
41

アルコールの量-反応関係 (dose-response relationship) にもとづいて, アルコール性肝障害の発生を検討した. そのさい総アルコール摂取量 (total alcohol intake: TAI) と血清γ-GTP活性を指標とした. 肝疾患既往のない飲酒者 (social drinkers) ではTAIと血清γ-GTP活性とは正相関4)を示すが, 一方, 慢性アルコール症患者 (chronic alcoholics) においては逆に負相関 (r=-0.4999, P<0.001) が観察された. そこで, TAIと血清 γ-GTP 活性との関係から, 慢性アルコール症患者を"good"と"poor" responder とに類型化し, しかも両型の主な臨床的特微をあげた. そしてアルコール性肝障害の発生をアルコール摂取に対する個体反応の差 (personal sensitivity) から観察することの重要性を強調した.
著者
吉村 美香 長野 宏子 辻 福美 Anh To Kim 大森 正司
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.603-610, 1998-10-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

(1) 酸肉にはいずれの試料においても,LBSもしくはTATACのどちらか,または両方の培地に生育が見られた.また,ポテトデキストロース寒天培地においては全ての試料で生育が普遍的に見られた.層そして,DHL寒天培地において多くの試料で生育が見られた.(2) 一般成分を分析した結果,豚肉のpHは5.61で,酸肉(ネムチュア)のpHは3.81と低かった.また,乳酸の生成が顕著に見られた.(3) 遊離アミノ酸は,酸肉(ネムチュア)の方が多く含まれ,特に旨味成分のグルタミン酸が多く,次いでアラーン,ロイシンなどが多く含まれていた.これは,豚肉のタンパク質の自己消化による変化とほぼ一致した.(4) SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動及びペプチドパターンの分析の結果,発酵によって肉タンパク質が分解し,低分子タンパク質やペプチドの生成が認められた.
著者
京 将司 中森 正治 石橋 修 黒川 一哉
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo‐to‐Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.401-409, 2014

火力発電用ボイラにおいては,長期安定運転が求められている.<br>近年,微粉炭燃焼ボイラにおいて,溝状腐食による伝熱管の減肉が顕在化している.溝状腐食は,バーナーゾーンやその近傍,熱負荷の高い部位に発生し,その発生原因は,H<sub>2</sub>,H<sub>2</sub>Sが混在する低O<sub>2</sub>雰囲気下で火炉側管表面に生じる繰り返し熱応力(スラグの付着脱落による局部的な管表面温度変化,デスラッガ作動中や運転中の管表面温度変化など)に起因する腐食生成物層のき裂発生等が原因であると考えられる.その対応策として,ボイラ伝熱管表面への溶射は有効である.本報では,Cr<sub>3</sub>C<sub>2</sub>-NiCr溶射皮膜を高速フレーム溶射(HVOF)と大気プラズマ溶射(APS)によって作製した.溶射皮膜の特性は,密着力,高温硬さ,摺動摩耗試験,高温エロージョン試験および高温腐食試験などによって評価した.評価結果を基に,実験室で石炭燃焼ボイラに適用するための溶射皮膜における評価方法を提案した.
著者
京 将司 中森 正治 黒川 一哉 成田 敏夫
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
材料と環境 : zairyo-to-kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.456-463, 2010-12-15
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

近年,大容量化する微粉炭燃焼ボイラにおいては,より一層の環境対策が求められ,NOx発生量を抑制する設備対策ならびに運用面での低酸素燃焼運転がなされている.その結果,燃焼室では,酸素不足による強い還元性雰囲気となり,H<sub>2</sub>Sによる高温硫化腐食が顕在化している.それに加え,スラグの除去を目的とするデスラッガからの蒸気噴射の影響により摩耗損傷を与え,それらが複合的に作用して損傷が加速する事象が認められた.調査したボイラでの損傷挙動は,ボイラ蒸発管の表面に生成した腐食生成物は,酸化物と硫化物の混在した層と溝状腐食が認められた.これらは,ボイラ燃焼過程における燃焼状態の変化で,わずかな酸素および硫黄分圧の変化により酸化物および硫化物が生成する可能性が熱力学的にFe-S-O系平衡状態図より示唆できた.また,ボイラの運転に伴う,繰り返し熱応力とデスラッガ蒸気の間欠噴射によるメタル/蒸気の温度差により,スケール層が局部的に冷却され,圧縮応力によるクラックが生じ,スケール層の剥離ならびにガス通路が形成される.そのため,基材への腐食性ガスの侵入が容易になり,腐食を進行させ,局部的に加速したものと推定した.
著者
山田 幸子 大森 正幸 高山 浩明
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.27, no.12, pp.3196-3198, 1979-12-25 (Released:2008-03-31)
被引用文献数
11 14

24, 24-Difluoro-1α, 25-dihydroxyvitamin D3 (1) has been synthesized from 24, 24-difluoro-5β-cholestane-3α, 25-diol (2) as an antimetabolic analogue of 1α, 25-dihydroxyvitamin D3 to study the role of the 24-hydroxylation in the metabolism of vitamin D3.
著者
宮森 正
出版者
医学書院
雑誌
病院 (ISSN:03852377)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.452, 1988-05-01

西日本を中心とした「新日本医療サービス」によるモグリ医療金融,病院乗っ取り事件はテレビなどで詳細な報道がなされているが,寒心なくして見られるものではなかった.この事件の直接の違法行為は,病院経営コンサルタント会社が,経営難に陥った医療機関の経営相談に応じて診療報酬を担保としてモグリ金融を行った貸金業規制法違反,出資法違反であるという. しかし,問題はこうした違法行為だけにとどまらない.戦慄すべきは,融資した病院に対し病院経営援助と称して事務長を派遣し,会社に対して手形を乱発させて更に負債を増加させ,ついには病院を乗っ取るという図式で,多くの病院が被害にあったことである.経営難に苦しむ病院長たちはやすやすとモグリ金融を受け入れ,事務長派遣をしてもらい彼らのくい物になっていたという.更に,身ぐるみ奪われ借金づけになった元院長を,医師不足にも悩む他のこうした経営難の病院に斡旋して働かせていたというのであるから恐れ入る.こうした徹底した乗っ取り工作により,十数か所の病院が経営権を握られていたという.借金の取り立てに悩んで自殺した院長もいたらしい.三面記事的で陳腐な事件かもしれないが,病院のおかれている状況の象徴のようで見過ごすことができなかった.
著者
大森 正子 和田 雅子 内村 和広 西井 研治 白井 義修 青木 正和
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.329-339, 2002-04-15
参考文献数
39
被引用文献数
4

25歳以上の成人の60.3%, 人数にして5, 400万人が毎年定期の集団検診 (結核検診) を受診していると推計された。しかしながら定期集団検診による結核患者発見率は著しく低下し, 1998年には学校健診で受診者1, 000人対0.03, 職場健診で0.06, 住民健診で0.16までになった。ただし新登録中定期健診発見割合は過去10年ほぼ一定で, 1998年は12.8%であった。年齢別では20~30歳代で定期健診発見割合が大きく25.7%であり, 多くは職場健診からの発見であった。なお検診発見患者で排菌が確認されたのは35.1%であったが, この割合は高齢者でより大きかった。<BR>結核予防会で実施した40歳以上の住民健診成績から1名の結核患者の発見に要するコストは, 全体で440万円, 男で230万円, 女で840万円, 40歳代で730万円, 80歳以上では180万円と試算された。また罹患率人口10万対30の地域では400万円, 罹患率20では670万円と推計された。結核患者を2ヵ月入院, 4ヵ月外来で治療した場合, 治療費は約90万円と見積もられているので, 60歳未満の一般住民や罹患率50未満の地域では, 経費・効果の点で現行の結核検診は必ずしも効果的とは言いがたくなっている。しかしながら定期の結核検診のあり方については発見率やコストの他に発見患者の特性, 公共保健サービス, 国民の意思等も含めて検討する必要があるだろう。
著者
大森 正夫
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.85, 2003

京都の東山慈照寺(通称・銀閣寺)には、建造物のみならず庭園内に向月台や銀沙灘など月に由来するものが数多く、その回遊式庭園における誘導性の因子として「観月」が重要であったことが偲ばれる。また、現在の庭園は樹木が茂り、十分な観月環境にはなっていない。そこで、東山殿として創建された室町時代の庭園池と銀閣が観月施設として如何に機能していたのかを検討するために、その当時(1489年)の月の軌道をサイバースペース上に再現し、視点移動に伴うヴィスタを再現した。観月空間のCGシミュレーションによって建物の配置、庭園池の位置づけなどを明らかにすることができた。さらに、園池で催された観月の宴日として想定される十五夜(中秋の名月)と十三夜(後の名月)での軌道の相異は、観月の場所と銀閣の配置にも大きな影響を与えていることが推察できた。
著者
田村 恵理 谷口 義典 西山 充 矢田部 智昭 井上 紘輔 荒川 悠 森 正和 池添 隆之 寺田 典生 藤本 新平
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.6, pp.1041-1050, 2016-06-10 (Released:2017-06-10)
参考文献数
10

65歳,女性.高血圧,肥満症で加療中であったが,全身倦怠感,尿閉のため当院受診した.両側水腎症を認め,腎後性腎不全に対し経皮的腎瘻造設術を施行したが,腎障害改善なく,原因不明の遷延性乳酸アシドーシス,無症候性低血糖も認められた.持続的血液濾過透析を施行下に腹部造影CT検査を施行し,腹壁皮下結節および腹直筋の不整肥厚などを確認した.皮下結節およびリンパ節の生検にて形質芽球性リンパ腫と診断した.化学療法を開始し,乳酸アシドーシスや低血糖は速やかに改善した.悪性腫瘍,特に血液系腫瘍ではWarburg効果がみられることがあり,原因不明の乳酸アシドーシスでは,原因として悪性腫瘍の可能性を念頭に精査する必要がある.
著者
山口 正隆 大福 学 日野 幹雄 畑田 佳男 森 正憲 野中 浩一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.116-120, 2006
被引用文献数
1

伊勢湾を対象として, 沿岸部と海上部で取得された風観測資料を用いて1時間ごとの海上風分布のデータセットを9年間にわたり作成し, その平均特性を調べるとともに, これと1点浅海モデルおよび波候解析モデルを組み合わせた波浪の長期推算システムを構築し, その精度を検討した. この結果, 1) 伊勢湾では湾奥から湾外に向けて平均風速が増大するが, 夏季にはSE方向, それ以外の季節ではNW方向の風が卓越し, 湾軸が風の通り道になっていること, 2) 本システムによる外洋性波浪資料はECMWF-WAM解析資料より高い精度をもつことや, 本システムは伊勢湾内外の観測地点の波浪に対して良好な再現能力を有すること, を明らかにした.
著者
木下 節子 大森 正子 塚本 和秀 大塚 吾郎 益子 まり 藤生 道子 高橋 司 星野 斉之
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.749-757, 2007-10-15
参考文献数
23
被引用文献数
7

〔目的〕都市における結核発病の実態を報告し,今日の都市結核対策を検討する。〔方法〕症例研究を中心に行った。各症例の社会背景と結核菌DNA指紋分析を加えた菌情報により感染経路を調査した。〔結果〕2005年2月よりの1年5カ月の間に,川崎市川崎駅周辺の約500m四方の地域で9例の結核発病を確認した。9症例は16~55歳の比較的若い年齢層で,3例はホームレスであった。接触者健診の過程で,すべての症例が川崎駅周辺を生活活動圏としており,ネットカフェ等での関連が推測された。9例中7例はSM耐性菌であり,そのうち5例はDNA指紋分析により同一パターンを呈した。〔考察〕本事例はネットカフェ等の不特定多数利用施設を中心とした感染と考えられた。都市にはこのような施設が多く,若年者層とともにホームレス等の社会的弱者も利用する。結核未感染の若年者層と結核ハイリスク層とが閉鎖的空間を長時間共有する環境は,いったん結核菌の喀出があれば,容易に感染が起こりうることを示唆した。結核の都市偏在にはこのような社会環境も影響しており,それらを加味した総合的対策が求められる。
著者
森 正人
出版者
尚絅大学
雑誌
尚絅大学研究紀要. A, 人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
no.48, pp.A1-11, 2016-03-31

この研究の目的は,学校法人尚絅学園の建学の精神を記述した諸資料について調査した結果にもとづき,建学の精神と教育理念の本来の姿を復元するものである。尚絅学園の建学の精神は,佐々友房と彼の同志達が起草した「濟々黌付属女學校創立ノ主旨(趣旨)」に示される。学園に伝えられてきたのは,二つの段落から成る文章である。しかし,本来この文章には,教育課程の方針について述べる第三段落がそなわっていた。このことを,新資料とそのほかの資料を用いて証明した。
著者
加藤 みゆき 田村 朝子 斎藤 ひろみ 大森 正司 難波 敦子 宮川 金二郎
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.525-530, 1995-06-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
12
被引用文献数
2

後発酵茶の一つである石鎚黒茶について, その製造工程中の成分変化について検討した.ポリフェノール含量は, 他の後発酵茶と同様に製造過程で減少していた.カテキン含量については, 製造工程中で減少し, 特にエステル型カテキンの減少が大きかった.有機酸含量としては, 桶づけ後の茶葉に乳酸が顕著に生成した.