著者
大森 正之 石岡 憲昭 東端 晃
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

宇宙環境下での光合成活性の測定を目指して、宇宙実験用にJAXAにより開発された全自動型微細藻培養装置を用い、藍藻スピルリナ(Arthrospira platennsis)を実験材料として地上での準備研究を行った。スピルリナは6日間の培養により、クロロフィル量では約9倍、タンパク質量にして約9倍に増加した。光合成活性は、酸素の発生量およびH218Oから発生した酸素の同位体比の変化、また13Cの取り込み量により測定した。その結果、光合成活性が高い精度で測定できることが実証された。宇宙利用を想定したナノバブル水は、ハンドミキサーで作成できた。ナノバブル水は藍藻Anabaenaの増殖を促進した。
著者
大森 正子 星野 斉之 山内 祐子 内村 和広
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.85-93, 2007
被引用文献数
9

〔目的〕結核患者の発生を職場という視点で分析し,職業別に患者発見の動向を明らかにすること,特に看護師については罹患率を推計すること。〔資料と方法〕結核発生動向調査年報,国勢調査年の職業別人口を用いた。職業別に患者の発見方法の変化を比較し,看護師と教員・医師の罹患率を男女別に推計した。〔結果〕看護師等では新登録中職場健診発見割合が年々拡大し,2004年は40.4%になった(医療機関発見割合は43.9%)。また看護師等では家族以外の接触者検診で発見される割合が1995年以降急速に拡大し,2000年以降は6~9%になった。1987年から2004年にかけて新登録者は5.6万人から3.0万人へ47.4%の減少をみたが,看護師等は490人から574人へ17。1%の増加となった。18年の間,看護師の罹患率は横ばい状態で,2004年の罹患率は,女で10万対46.3,男で825と推計された。その他の職業の20~59歳の罹患率と比較した相対危険度は,女で4.3(95%CI:3.9~4.8),男で3.8(95%CI:2.8~5.2)となった。一方,教員・医師の相対危険度は男女とも1以下であった。〔考察〕相対危険度から看護師の結核の約80%は職業起因と推察され,看護師の働く場である医療機関あるいは高齢者施設等においては,職場健診も含めて院内(施設内)感染対策の充実と徹底を期待する。
著者
谷 真宏 江森 正 大西祥史 越仲 孝文 篠田 浩一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.129, pp.85-89, 2007-12-20
被引用文献数
4

十分統計量を用いた教師なし話者適応において,選択する話者の数を決定する手法を提案する.音声認識における高速な教師なし話者適応の一つとして,話者毎の十分統計量を用いた手法が提案されている.これは,予め用意した複数の話者の中から,評価話者に音響的な特徴が近い話者を選択し,選択された話者の十分統計量を用いて,評価話者に適応した音響モデルを構築する手法である.従来手法では,評価話者に音響的な特徴が近い話者を選択する際,複数の話者の中から,予め定められた数だけ選択する.提案手法では,評価話者と予め用意した話者との音響特徴量空間における話者間距離を基準に,選択する話者の数を決定する.電話による対話音声を用いた認識実験において,従来手法に比較し,単語正解精度が 0.74 ポイント向上した.特に,音響的な特徴が近い話者が少ない評価話者に対して有効であることを確認した.We propose a new speaker selection method for the unsupervised speaker adaptation based on HMM sufficient statistics. The adaptation technique of using HMM sufficient statistics has been proposed as one of the rapid unsupervised speaker adaptation techniques in speech recognition. The procedure is as follows: First the training speakers acoustically close to the test speaker are selected. Then, the acoustic model is trained using the HMM sufficient statistics of these selected training speakers. In this technique, the number of selected training speakers is always constant. In our proposed speaker selection method, the number of speakers is determined by the distances between the test speaker and each training speaker. In our recognition experiments using spoken dialogue data, the proposed method improved word accuracy by 0.74 points. It was confirmed that the proposed method particularly effective when there are not many training speakers around the test speaker in acoustic space.
著者
鳥居 祥二 田村 忠久 吉田 健二 笠原 克昌 小澤 俊介 片寄 祐作 森 正樹 福家 英之 西村 純
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

高エネルギー電子・陽電子の直接観測による宇宙線近傍加速源と暗黒物質の探索を目的として、国際宇宙ステーション日本実験棟に搭載するCALorimetric Electron Telescope (CALET)の開発を実施した。CALETは当初予定の気球搭載型プロトタイプ(bCALET)による観測に対して、30倍以上の統計量が得られるだけなく、宇宙空間での高精度観測が可能である。bCALETによるCALETの観測性能実証と,熱構造モデルによるCERN-SPSでのビーム実験等により、搭載装置性能を確認した。その結果、世界に先駆けたTeV領域における電子観測を実現することが確証できている。
著者
山本 明 吉田 哲也 安楽 和明 稲葉 進 井森 正敏 上田 郁夫 音羽 真由美 折戸 周治 木村 誠宏 佐貫 智行 鈴木 純一 田中 賢一 西村 純 野崎 光昭 槇田 康博 松永 浩之 松本 浩 元木 正和 矢島 信之 山上 隆正 吉村 浩司 Golden Robert Kimbell Barbara Mitchell Jon Ormes Jonahtan Righter Donald Streitmatter Robert
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.103-119, 1996-03

超伝導マグネット・スペクトロメーターを用いた宇宙粒子線観測・気球実験(Balloon Borne Experiment with a Superconducting Magnetic Rigidity Spectrometer)は,宇宙起源反粒子探索及び宇宙粒子線の精密観測を目的とする日米・国際共同実験として推進されている[1-7]。NASAおよび宇宙科学研究所を相互の代表機関とし,東京大学,高エネルギー物理学研究所,神戸大学,ニューメキシコ州立大学が研究に参加している。日本側グループがスペクトロメーター本体を準備し,アメリカ側グループが気球の飛翔,制御を担当している。この実験計画は,1980年代にNASAを中心に検討されたASTROMAG計画の準備研究に於て,ソレノイド型超伝導マグネット・スペクトロメーターの構想を提案し,基礎開発を行なった事から,その第一段階となる気球実験としてスタートした[8-9]。この実験協力が1987年にスタートして以来6年の準備期間を経て,1993年に第一回の気球飛翔実験に成功した。1994年には第二回,1995年には第三回・気球飛翔実験に成功した。実験は,北磁極に近いカナダ北部のマニトバ州リンレークからアルバーター州ピースリバーにかけて実施され,合計約50時間の科学観測に成功し,実験機器も無事回収されている。これまでにBESS93の気球飛翔実験についてデータ解析を完了し,運動エネルギー500MeV以下の運動エネルギー領域で,反陽子を4イベント検出した[10-12]。この結果は,低エネルギー領域(<500MeV)での初めての明確な宇宙線反陽子の観測として評価を受けている。BESS93&acd;95の総合的なデータ解析からは,途中経過として,運動エネルギー<1.2GeVに於て,合計&acd;50イベントの反陽子候補を検出している。また反ヘリウムの探索については,1993年&acd;1995年のデータを合わせ,従来の観測よりも一桁高い感度での存在上限値(反ヘリウム/ヘリウム比=8×10^<-6>,@95%CL)を得ている[13-15]。実験は,結果が現われ始めた段階であるが,経過と現状を報告する。
著者
繁野 麻衣子 山本 芳嗣 吉瀬 章子 八森 正泰 岩田 覚 後藤 順哉
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ネットワーク理論において横の広がりとなる基礎理論の構築と縦の広がりを作る実社会に適応したモデルの伸張を行い,基礎問題と拡張問題の両方に対して,アルゴリズム開発を行った.具体的には,修正可能性を考慮したネットワーク上の配置問題に対するアルゴリズム提案,通信ネットワークにおける耐故障性の指標開発,社会ネットワークにおけるコミュニティ抽出のハイパーグラフ上への拡張,グラフの向き付けに関する基本的性質やアルゴリズム開発などを行った.
著者
伊藤 圭介 花北 順哉 高橋 敏行 南 学 本多 文昭 森 正如
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.11, pp.833-838, 2009-11-20

仙腸関節ブロックを施行した症例の臨床的検討を行った.【対象】2008年3〜10月に仙腸関節ブロックを施行した72例.【方法】保存的治療に抵抗性の腰痛を自覚し,理学的所見により仙腸関節由来の疼痛が疑われた症例に仙腸関節ブロックを施行した.【結果】仙腸関節ブロックは46例(63.9%)にて有効で,VAS平均改善率は52.4%であった.仙腸関節部痛は外来全腰痛患者の14.1%を占めていた.ブロック有効例の46例のうち36例(78.3%)に他の腰椎疾患を合併していた.【結語】仙腸関節部痛は日常診療で多数の患者が存在すると思われた.仙腸関節ブロックは仙腸関節由来の疼痛の診断,治療に効果があった.
著者
杉森 正義 川本 義海 本多 義明
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.179-189, 2005-03-15

1945年(昭和20)の地方新聞の記事から,同年寒候期の雪および雪と社会との関わりを調べた.年最大積雪深は161cmで,当時では既往5位,現在では7位である.歴史的には,太平洋戦争の末期で,社会状況は現在からみると異常なものであった.収録の対象は,雪に関係する記事すべてとし,145件あった.記事の特性を調べるため,地域,雪との関係(雪の記事とした根拠),内容,記事のヒーロー,および記事の動機の5個の軸項目で整理し,さらに軸項目間のクロス集計をとった.雪との関係の割合は,雪害発生(6.2%),雪害予防(4.8%),雪対策(35.2%),で,他は雪が介在または背景の記事であった.内容分類では,鉄道,居住地および道路,農業,林業の順で多かった.記事の中で注目を集める誰かをヒーローとすると,地域住民,行政,児童生徒の順であった.記事の動機は,勤労奉仕,事実の報道,職務精励の順であった.以上から,鉄道や農業などの雪対策において,地域住民や児童生徒の勤労奉仕が賞賛されているパターンのものが多く,雪の記事は当時の社会状況を強く反映していることがわかった.また,本報告の解析方法により今の雪問題の議論との接点ができた.
著者
グェンファムタンタオ 岡部 誠 尾内 理紀夫 林 貴宏 西岡 悠平 竹中 孝真 森 正弥
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.269-283, 2011-01-15

本稿では,web上の大量のレビュー情報を要約する際の基盤技術として,単語を意味的カテゴリに分類するための手法,Bautextを提案し評価する.Bautextは弱教師付き手法であり,係り受け関係と相互情報量に基づいた名詞・名詞句のカテゴリ分類を行う.Bautextの特徴は以下の4つである.1)既存のブートストラッピング法等は,性能が多数のパラメータに依存するため,ユーザは良い分類精度を得るためのパラメータ設定を試行錯誤して見つける必要があった(小町ら,2010).一方,Bautextにおいてはユーザは多数のパラメータ設定をする必要がなく,少数の種語を与え,各カテゴリと単語の関連度(配属スコア)を計算することにより,漸次種語を増加させ,分類を自動化させている.2)既存のブートストラッピング法では,反復ごとに多数のカテゴリが1つの単語を獲得しようとするときに再度評価のステップがあった.一方,Bautextにおいては,各カテゴリが独立な特徴語集合を持ち,それをもとに各カテゴリへの単語の配属スコアを計算し,最大スコアのカテゴリが単語を獲得することでこの再度評価のステップをなくした.そのため,ブートストラッピング法と比べて高速な分類アルゴリズムとなっている.3)既存のブートストラッピング法では意味ドリフトという課題がある.意味ドリフトの原因は,反復処理の過程において,新しい単語を獲得するために使われる抽出パターン数が定数個であるため,以前の各反復で抽出できた適切な抽出パターンの影響が消されることにあると考えられる.これに対して,Bautextでは,各カテゴリが,独立な特徴語集合に今まで抽出できた適切な特徴語(抽出パータンと同じ役割)を保存することと反復ごとに分類対象の単語をランダムに選択させることにより,意味ドリフトを制御する効果が期待できる.4)目的の分類カテゴリに加えて「その他」カテゴリを導入することで,本来評価対象となりえない単語が「その他」カテゴリに移動し,目的の分類カテゴリの適合率が向上するという特徴がある.評価実験では,まず「その他」カテゴリの導入効果を確認した.また,代表的なブートストラッピング法であるBasiliskおよびEspressoの2手法とBautextとを比較し,両者に比べ,Bautextが分類精度,速度,使いやすさの3点において有効な手法であることを確認した.We present and evaluate Bautext, a method for classifying terms into semantic categories, as a fundamental technique used for review summarization of drastically increasing volume of user reviews on the internet. Bautext is a minimally supervised technique for classifying nouns and noun phrases based on dependency relations and mutual information. Bautext has four important features. 1) There is no parameter that the user must manipulate except for seed words. Using an existing bootstrapping method, the user has to find a reasonable setting of multiple parameters by trial and error, on which the classification accuracy heavily depends (Komachi, et al., 2010). On the other hand, Bautext has no such a parameter, and after specifying seed words, no user intervention is required. 2) Bautext is a fast method compared with state-of-the-art bootstrapping methods. 3) Bautext is supposed to constrain sematic drift with independent feature sets for each category and the randomly choosing a term for classification in each classifation step. 4) We introduce "other" category to improve the precision. Adding an extra "other" category to the target categories, it is possible to improve the precision significantly on the trade-off between precision and recall. In our experiment, we compare Bautext with two major bootstrapping methods, Basilisk and Espresso, which show that Bautext is superior in classification accuracy, computational expense, and usability.
著者
飯田 和質 平井 敏雄 富永 敏朗 津田 利雄 松田 春悦 山田 良 土田 寿 竹内 桂一 大月 恭範 大森 正弘
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.2171-2177, 1986-12-01
被引用文献数
1

概要 福井県の車集検は昭和47年より開始され、昭和49年に福井県健康管理協会が発足して全県下を一本化して実施して現在に至つている。昭和49年から昭和58年までの10年間の成績について若干の知見を得たので報告する。 福井県ぱ人口約81万人て30歳の対象婦人は昭和58年て249、392人である。受診率は昭和49年の39%から58年の62%と増加しているがまた低い。要精検率ぱ0 77〜2 02%てあり、精検受診率は86 3%〜97 7%で比較的良好な成績である。痛検出率ぱ0 08%〜03%であり、上庄内痛の検出率ぱあまり変らないが浸潤痛ぱ年毎に低下している。異型上皮は年毎に増加し、49年の0 11%に対し57年は0 35%であつた。異型上皮、上庄内痛、浸潤痛の比は49年〜53年の前半は13 17 10であり、54年〜58年の5年間ぱ61 25 10となつている。上皮内痛およひ浸潤癌発見まての受診回数てぱ子宮頭癌Ib期以上でぱ全員が初回受診時に発見されている。頭痛Ia期てぱ31人中3人が2回目て、28人ぱ初回に発見され、上庄内痛146人中126人か初回、14人が2回目、6人が3回目以上であつだ。細胞診成績てぱclass ? の72例でぱ異型上皮87%、上皮内癌56 9%、浸潤痛12 1%てfalse posltlveは22 2%てあり、class ?の51例でぱ異型上皮19%、上皮内癌45 1%、浸潤痛47 1%でfalse posltlve ぱ58%にみられた。福井県のCAIを診療検診と車検診の合計で計算し、昭和57年ぱCAI 152、 58年ぱCAI 148、 59年ぱCAI 177であつた。福井県子宮癌検診も今後は日母方式の施設検診を加えて検診者の増加をはがり子宮癌死亡0を目さして努力している。
著者
海道 正典 森 正之 三瀬 和之 奥野 哲郎 古澤 巌
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.95-98, 1997-04-25
参考文献数
11

形質転換植物におけるブロムモザイクウイルス(BMV)RNAの蓄積量を増加させるため, タバコ輪点ウイルスのサテライトRNA由来のリボザイム配列を利用し, 植物内で転写されたウイルスRNAの複製効率の増加を試みた. カリフラワーモザイクウイルス35SプロモーターとBMV RNAのcDNAとターミネーター配列を含むプラスミドのcDNA配列の3'末端にリボザイム配列を挿入したプラスミドを作製し, BMVの局部病斑宿主であるChenopodium amaranticolorに接種した結果, リボザイム配列を持たない対照プラスミドに比べすて, 約4倍の感染性を示した. 同様の遺伝子カセットをタバコに導入した結果, これら形質転換植物におけるBMV RNAの蓄積レベルは, リボザイム配列を持たない対照植物におけるBMV RNA蓄積の20倍であった.
著者
金森 正雄
出版者
京都府立大学
雑誌
西京大学学術報告. 農学 (ISSN:03709329)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.86-97, 1953-01-25

甘藷の護國種についてこれを7&acd;17℃に貯藏してゐる間に於ける水分, 糖類, ascorbic acidの消長を定量してその相互関係について考察した。(1) 農林2号種を10月25日, 11月10日, 11月27日收穫のA, B, C区に分つて15°内外で地窩貯藏庫に貯藏し, その間1ケ月毎に可食部の各種成分を定量して, その間に於ける諸成分の消長及び夫々の相関関係について考察した。(2) 1年貯藏した旧甘藷と新甘藷とにつきその成分を比較して貯藏法並に品質について考察した。(3) 農林2号種は護國種に比して耐貯藏性も含有成分も共に優れていることを認めた。(附記, 本実驗Iは1943年10月より1944年5月迄及び実驗IIは1944年10月より1945年9月迄の貯藏実驗結果であつて, 一部は1944年4月6日京都大学及び1946年4月5日果実及蔬菜貯藏の研究290頁に発表記載し1946年5月29日農藝化学会例会にて発表した)里芋5種について, その普通成分を定量比較し, これを12月上旬より約6ケ月室温に貯藏して1ケ月毎にascorbin酸を定量して貯藏中に著しく減少しないことを明にした。本実驗について御指導御鞭韃を賜つた恩師京都大学近藤金助教授に深甚の謝意を表し, 併せて実驗試料の入手に特別の御配慮を願つた京都大学松本熊市教授に深謝する次第である。
著者
加藤 みゆき 大森 正司 長野 宏子 加藤 芳伸
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

阿波晩茶製造工程中の桶漬けにおいて微生物を分離した。その中でも乳酸菌に分類されるLactobacillus pentosus, Lactobacillus plantarum, Enterococcus fecium and Enterococcus avium.を分離同定した。この DNA を解析した結果 1494bp の塩基配列が明らかとなった。阿波晩茶から分離した微生物の中にコラゲナーゼ活性を有している微生物が明らかとなった。阿波晩茶の浸出液中に抗酸化性を示す物質があることが明らかとなった。
著者
大山 莞爾 島田 多喜子 大谷 基泰 森 正之 濱田 達朗 福澤 秀哉
出版者
石川県農業短期大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

ゼニゴケY染色体は、主にその特異的反復配列からなる領域YR1(約4Mb)と、その他の領域YR2(約6Mb)に大別される。YR2はさらにContig-AとContig-Bの2領域に分かれている。YR2のContig-AおよびContig-Bのいずれにおいても100kb当たり1個の頻度で遺伝子が見いだされた。これを常染色体における遺伝子密度と比較するため、まずゼニゴケゲノム全体がコードする遺伝子数を推測した。進化的にゼニゴケに近い陸上植物であるヒメツリガネゴケは約2万5千個、緑藻クラミドモナスは約2万個の遺伝子を有するとされている。従って、ゼニゴケゲノムがコードする遺伝子数は2万〜2万5千と考えるのが妥当であり、その遺伝子密度は100kb当たり7〜9であると予想される。しかし、YR2における遺伝子密度は、偽遺伝子などを含めても100kb当たり2遺伝子である。さらに、ゼニゴケESTの約40%が他生物種由来の配列と相同性を示さないことから、相同性検索によって検出できるゼニゴケ遺伝子の数は全体の60%程度であると考えられる。このことを考慮するとY染色体の遺伝子密度は最大で100kb当たり3程度であり、少なくともYR2における遺伝子密度は常染色体に比べて低いと言える。実際、ヒトY染色体の場合でも常染色体に比べて遺伝子密度が低いことが知られており、Y染色体が遺伝子を失う方向に進化していることを改めて裏付けた。YR2配列について、90%以上の相同性を示す100bp以上の反復配列を検索したどころ、その約75%が反復配列であった。遺伝子はこれらの散在する反復配列の間に存在していた。反復配列の中には、レトロトランスポゾンなどの転移因子や常染色体にも存在するものも含まれていた。これは、ゼニゴケY染色体の進化の過程でY染色体に特異的な反復配列を高度に蓄積していったYR1とは対照的である。
著者
森 英樹 右崎 正博 大久保 史郎 森 正 大川 睦夫 小林 武
出版者
名古屋大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

平成4年度は、3年間にわたる本研究の最終年度であったため、2年間の成果をふまえ総括的な検討をおこなった。すなわち、日本を含む先進資本主義国の従来の憲法学における議会制民主主義と政党制の理論史的枠組みを検討し(1年目)、各国の集中的検討による普遍性と固有性を析出し、あわせて日本の現状分析をおこなう(2年目)という研究成果にもとづき、日本の政治文化状況のもとで政党への国庫補助の妥当性にかんして一定の結論をみちびき出した。具体的には、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スイス、イタリア、ニュージランドの各国における政党国庫補助の現状分析と、それを支え、あるいは批判する理論状況を検討したが、その結果みえてきたのは、各国における大衆社会の進行による議会制民主主義の形骸化、それにともなう選挙戦の変容などの共通点とともに、その背景にある各国の議会制民主主義の歴史の偏差であった。これらの成果をふまえ、日本で進行中の「政治改革」による選挙制度改革と政党国庫補助導入の動きを批判的に分析した。かくして、日本の「政治改革」を、先進資本主義諸国で共通に進行する新たな統治戦略としての政治改革との連動性のなかに位置づけることができ、日本固有の政治風土のなかで、いかに国民主権と民主主義を実現することが可能かについての共通の認識をうることができた。