著者
森山 雅 幸 篤武
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.257-268, 2021-08-01 (Released:2021-07-15)
参考文献数
29
被引用文献数
3

The aims were to investigate the changes in physical activity of university students after the COVID-19 emergency declaration was lifted, and to determine whether there were any differences in these changes between academic years. The subjects were 81 students attending university or graduate school in Kochi Prefecture who completed a baseline survey (May 2020). Analysis 1, included 51 subjects who responded to both the baseline survey and the retrospective survey (October 2020) on physical activity at 1 year prior. In Analysis 2, 71 subjects who participated in at least one follow-up examination (August 2020, November 2020) were included. The International Physical Activity Questionnaire – Long Form was used to assess physical activity and sitting time per week. Between October 2019 and May 2020, the total (-47.7%), vigorous (-59.3%) and moderate (-42.1%) physical activity decreased, and sitting time (+36.9%) increased. The interaction between the time of the survey and year of university (first-year, ≥second-year), analyzed using a generalized linear mixed model, on total, vigorous, walking physical activity and sitting time was significant. Especially, the estimate of least squares mean after inverse square root transformation of total physical activity in first-year students was higher in November 2020 (8192.4 METs·min/week) compared to baseline (3388.5 METs·min/week). Vigorous physical activity in first-year students was also higher in November 2020 (4773.3 METs·min/week) compared to baseline (1060.3 METs·min/week). The emergency declaration in April 2020 inhibited physical activity among university students, and the impact was particularly strong among first-year students.
著者
山尾 英一 森山 潤
出版者
一般社団法人 日本産業技術教育学会
雑誌
日本産業技術教育学会誌 (ISSN:02865580)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.223-231, 2016

<p>本研究の目的は,工業高校生の在籍時における職業に対する自己効力感の就職後の変容について事例検討することである。大阪市内のA工業高校工業化学科の卒業生15名(男子13名,女子2名)を対象に,卒業目前となる3月から就職後5ヶ月以上経過した8月から10月に個別面談による半構造化面接及び「工業高校生の職業に対する自己効力感尺度」11項目の調査を実施した。その結果,卒業生の「適応資質効力感」及び「専門性効力感」は,業種を問わず在籍時よりも実際の職業生活を経験しながら,なお維持・向上していく傾向が示唆された。また,就職後の「専門性効力感」の向上要因は,関連業種就職群では習得した知識,技能,資格の直接的な活用経験,非関連就職群では実践的な学習経験による自律性や忍耐強さ,責任感の強さなど汎用的な職務能力を発揮した経験によるものと推察された。</p>
著者
森山 学 木吉 健介
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構熊本高等専門学校
雑誌
熊本高等専門学校研究紀要 (ISSN:18846734)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.49-56, 2016 (Released:2021-02-25)

A purpose of this paper is to clarify the present conditions of the town house called machiya left in the old townspeople’s district in the central city area of Yatsushiro-shi. There are 986 buildings. This paper makes clear that about 37% of buildings do a form of machiya among all these buildings. People have the impression that there are few traditional buildings. One of the reasons is because the facades of about 27% of all machiyas were repaired. We study one of those machiyas with a measurement survey and a hearing survey. Based on the result, we make the restoration drawing of the machiya of the begining of the Showa era and report the architectural characteristics. We will think that we can clarify a characteristic of the machiya of the central city area of Yatsushiro-shi by investigating other machiyas in future.
著者
事柴 壮武 浦辺 幸夫 前田 慶明 篠原 博 山本 圭彦 藤井 絵里 森山 信彰
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】膝前十字靭帯(anterior cruciate ligament;ACL)損傷はストップやジャンプ着地動作,サイドステップカッティング(sidestep cutting;SSC)動作で多く発生している。一般的に"Knee-in & Toe-out"という下肢アライメントの組み合わせが,マルアライメントの代表的なものとしてあげられる。SSC動作の筋活動について,Xieら(2012)はストップ期において大腿四頭筋に対するハムストリングの比(H/Q比)は,側方移動期よりも低値を示したとしている。また,ACL損傷のリスクである膝関節の過度の外反を制動するためには,大腿四頭筋とハムストリングの同時収縮をタイミングよく行う必要がある。よって,ACL損傷のメカニズムや予防を考慮すると,筋活動量だけでなく筋活動のタイミングを検討することは重要であると考える。SSCは足部運動との関連が示されており,足部の外側接地(Dempseyら,2009)や後足部での接地(Cortesら,2012)がACL損傷のリスクになるとされている。しかし,足部の方向(Toe-out)とSSCの関連を調べたものはみあたらない。本研究は,Toe-outでのSSCが膝関節運動学,筋活動様式に及ぼす影響を検討することを目的とした。仮説は,Toe-outでのSSCはNeutralと比較して膝関節外反角度が大きく,H/Q比が低いとし,さらに筋電位ピーク到達時間が遅延するとした。【方法】対象は下肢に整形外科的疾患の既往がない,健常な女性バスケットボール選手6名(年齢20.0±1.4歳,身長158.0±3.5cm,体重49.3±5.3kg,競技歴9.3±5.3年)とした。対象は5m離れた地点から最大努力速度で助走し,軸脚の左脚で踏み切り,右90°方向へSSCを行った。その際,着地条件として足部Neutral(条件N)と足部Toe-out(条件TO)の2条件を設定し,3試行ずつ実施した。なお,反射マーカーを対象の左下肢8ヶ所に貼付し,ハイスピードカメラ(フォーアシスト社)5台を用い,サンプリング周波数200HzでSSCを撮影した。撮影した映像を動作解析ソフト(Ditect社)に取り込み,DLT法で各マーカーの3次元座標を求め,膝関節屈曲,外反角度を算出した。本研究ではSSCを足部接地から膝関節最大屈曲位までのストップ期,膝関節最大屈曲位から足部離地までの側方移動期の2期に分割し,各期の膝関節最大外反角度を分析に用いた。筋活動の記録には表面筋電図(追坂電子機器社)を用いた。被験筋は外側広筋(VL),内側広筋(VM),大腿二頭筋(BF),半膜様筋(SM)とした。筋電図は生波形からRMS(root mean square)に変換して解析した。本研究ではVLとVMの活動量の平均値を大腿四頭筋の活動量,BFとSMの活動量の平均値をハムストリングの活動量とした。Initial contact(IC)を基準(0)とし,筋電波形の振幅がピークに達する時間をピーク到達時間と規定した。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,広島大学大学院保健学研究科心身機能生活制御科学講座倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号1327,1335)。対象に本研究の趣旨を十分に説明し,書面にて同意を得た。【結果】膝関節最大外反角度はストップ期の条件Nで7.0±3.8°,条件TOで8.8±5.5°であった。側方移動期の条件Nで4.6±3.9°,条件TOで7.9±5.4°であり,条件TOで有意に高値を示した(p<0.05)。H/Q比はストップ期の条件Nで0.33±0.08,条件TOで0.33±0.13であった。側方移動期の条件Nで0.67±0.22,条件TOで0.48±0.12であり,条件TOで有意に低値を示した(p<0.05)。各筋のピーク到達時間は,条件NでVMは119.9±49.1msec,VLは114.3±49.6msec,SMは102.1±76.1msec,BFは175.4±79.5msecであった。条件TOでVMは145.2±26.2msec,VLは151.9±24.8msec,SMは88.6±62.6msec,BFは194.1±58.8msecであった。条件TOでVMのピーク到達時間が有意に遅延していた(p<0.05)。【考察】本研究の結果より,Toe-outでのSSCはNeutralと比較して,側方移動期の膝外反角度が高値となり,H/Q比が低値を示した。膝関節外反角度が大きく,H/Q比が低いことは大腿四頭筋優位となりACL損傷のリスクが高いことを示している。さらに,VMのピーク到達時間の遅延を認めた。また,有意差はなかったもののSMのみピーク到達時間がNeutralよりも早期であった。VMは内側ハムストリング(SM)と協同して内側機構の支持に働き,膝関節の安定性に関与している(Myerら,2005)。したがって,内側安定機構であるSMとVMのピーク到達時間のずれは,過度の膝関節外反の制動を困難にしていることが考えられる。【理学療法学研究としての意義】Toe-outでのSSCが膝関節運動学,筋活動様式に与える影響を明らかにすることは,ACL損傷メカニズムを解明する一助になるだけでなく,スポーツ現場やリハビリテーション場面において,ACL損傷の予防につながると考える。
著者
中田昌男 伊達 洋至 河田 真作 小橋 雄一 宮井 芳明 三宅 敬二郎 森山 重治 清水 信義 寺本滋
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.141-146, 1989
被引用文献数
6

昭和51年1月から昭和62年5月までの12年間に肺多発癌8例を経験した.7例に手術を施行し, 6例は生存中である.7例中6例は呼吸機能上の問題で縮小手術を行った.肺多発癌においても呼吸機能を正確に把握し, それに対応することによって手術は可能であり, 積極的に切除することにより比較的良好な予後が期待できる.
著者
藤沢 寛 上原 道宏 森山 繁樹 佐々木 誠
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.47-54, 2000
参考文献数
2
被引用文献数
1

我が国の地上デジタル放送方式(ISDB-T方式)では, 畳み込み符号の符号化率, 時間インターリーブ長, キャリア変調方式(これらを階層パラメータと呼ぶ)をOFDMセグメントごとに設定可能である.しかし, 階層パラメータを切り替えて運用する手法は十分に検討されておらず, 切り替え時にデータが大きく破損することが考えられる.今回, 1セグメント構造のISDB-T方式において, 階層パラメータ切り替え時に生じる問題を明確にし, その対策手法について検討を行った.さらに本手法でのデータ破損量を求めたので報告する.
著者
廣瀬 美幸 森山 紋由美 鈴木 孝夫 李 相潤
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.A0231, 2008

【目的】最近、患者一人ひとりの栄養状態が極めて重要視され、栄養状態の管理・改善を院内栄養サポートチーム(Nutrition Support Team)で取り組んでいる病院もある。そこで、ラットを用いて運動と食餌・カロリー摂取量の違いが骨格筋にどのような影響を及ぼすかを比較・検討した。<BR>【方法】実験動物は生後8週齢の雄性Wistar系ラット15匹を用い、普通食自由摂取+運動負荷(CT)群、普通食制限摂取+運動負荷(LT)群、高カロリー食自由摂取+運動負荷(HT)群の3群各5匹に分けた。実験期間を通して、CT群には普通食、LT群にはCT群の餌摂取量の60%、HT群には普通食比カロリー120%、脂肪含有率332.6%の高カロリー食を与えた。その間、1日1回45分同時間帯に、最高速度25m/minのトレッドミル走行を5回/週、2週間実施した。実験終了後、対象筋である左右のヒラメ筋、足底筋、腓腹筋外側頭を摘出し、通常の方法、手順により筋線維横断面積を測定し、統計処理を行った。なお、運動負荷のない通常飼育の対照(C)群は先行研究の同週齢ラットの値を参考とした。<BR>【結果】体重:実験開始時には群間有意差は見られなかったが、実験終了時にはLT群はCT群に比較し78.1%の低値と有意差を示した。一方、CT群とHT群間には有意差は認められなかった。平均餌摂取量:HT群はCT群の摂取量の83.5%であった。筋線維横断面積:3種の筋においてCT群はC群と比較し有意の高値を示した。LT群はCT群と比較し有意の低値を示したが、C群と比較すると有意の高値を示した。HT群はヒラメ筋においてCT群と有意差が認められた。<BR>【考察】3筋の筋線維横断面積において、LT群はCT群、HT群と比較し有意の低値を示した。従って、栄養不良状態では筋萎縮が進行することが示唆された。これは、1)低栄養状態で筋内蛋白質の合成不良によること、2)筋線維横断面積は収縮の強度に関係するので、LT群は各筋の収縮の強さが飢餓の影響を受け低下したことが考えられる。一方、LT群はC群と比較すると有意の高値を示した。これはLT群は週5回の運動を実施したため、低栄養状態であっても運動負荷により筋萎縮予防、筋肥大が得られたと考えられる。<BR> 今回、足底筋と腓腹筋においてはHT群とCT群間に有意差が認められなかった。これは筋肉の主要構成成分は蛋白質であり、運動時には蛋白質の必要量が増加するが、今回与えた高カロリー食は蛋白質含有量が普通食とほぼ同じであったためと考えられる。蛋白質を多く摂取することで、より効果的に筋力増強が得られると考えられる。<BR>【まとめ】低栄養状態であっても運動負荷により筋萎縮予防、筋肥大が得られ、また蛋白質を多く摂取することにより、より効果的に筋力増強が得られると考えられる。
著者
小林 毅 石井 正則 金田 健作 八代 利伸 森山 寛 須藤 正道 関口 千春 五十嵐 眞
出版者
Japan Society for Equilibrium Research
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.507-515, 1994 (Released:2009-10-13)
参考文献数
10

In an effort to determine the mechanism causing motion sickness, various studies have been conducted on the autonomic and central nervous systems. Recently, it was reported that the level of antidiuretic hormone (ADH) rises when motion sickness appears, and the possible involvement of hormones in the manifestation of motion sickness has become a focus of attention.We induced motion sickness by Colioris stimulation in healthy adult volunteers, and examined hypothalamus-pituitary-adrenal hormones and neuropeptides before and after stimulation and during the recovery process.In the high susceptibility group blood levels of ADH, ACTH, prolactin, cortisol, β-endorphin and MET-enkephalin and urinary levels of ADH immediately after stimulation were significantly higher than those in the low susceptibility group. These levels returned to normal after 30 minutes of rest. In the high susceptibility group the motion sickness score immediately after stimulation showed a significant correlations with the blood levels of ADH, ACTH and β-endorphin.These results indicate that ADH, ACTH, β-endorphin and MET-enkephalin are involved in the nausea and vomiting of motion sickness. Moreover, it seems that the mechanism and effects of these hormones may differ from each other. Since the urinary level of ADH is very closely correlated with its blood level, the use of urinary ADH testing is advocated as a simple method with no discomfort.
著者
貝原 俊樹 深水 誠二 吉田 精孝 河村 岩成 中田 晃裕 荒井 研 森山 優一 宮澤 聡 麻喜 幹博 北村 健 北條 林太郎 青山 祐也 小宮山 浩大 手島 保 西﨑 光弘 櫻田 春水 平岡 昌和
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SUPPL.1, pp.S1_50-S1_54, 2015 (Released:2016-12-14)
参考文献数
7

高血圧症, 骨粗鬆症の既往がある83歳女性. 入院10日程前から食思不振があった. 入院4日前から食思不振が増悪し, ふらつきや1分程続く胸部圧迫感が出現した. 入院当日から動悸が出現したため, 当院を受診した. 心電図は洞調律で多形性心室性期外収縮が頻発し, 580msと著明なQT延長を認めた. 胸部レントゲンでは軽度心拡大を認めた. 採血では低カリウム血症 (2.3mEq/L), 低マグネシウム血症 (1.6mg/dL) を認めた. 検査終了後に突然強直性痙攣が出現し, 心肺停止となった. 無脈性多形性心室頻拍が確認され, 除細動150J 1回で洞調律に復帰した. 入院後は電解質を補正し, QT延長はやや遷延したものの, 心室性不整脈は著減した. また, 経過中たこつぼ様の壁運動を伴ったが, 第4病日で意識はほぼ清明にまで改善した. しかし第13病日に頭蓋内出血を発症し, 急変, 死亡退院となった. QT延長, 多形性心室頻拍に低カリウム血症, 低マグネシウム血症を伴った症例の報告は少ない. 本症例に関して, 低マグネシウム血症と心室性不整脈の観点から文献的考察を混じえ, 考察する.
著者
小暮 英輔 原 毅 大沼 剛 森山 隆 阿部 勉
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.435-437, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1

〔目的〕スパイロメーターから得られた換気機能と最長発声持続時間(Maximum Phonation Time:MPT),最長呼気持続時間との併存的妥当性を調査することを目的とした.〔対象と方法〕呼吸器関連に異常がない健常者23名を対象とした.調査項目は基本属性,スパイロメーターから得られた換気機能,MPT,最長呼気持続時間とした.MPTと最長呼気持続時間と各評価指標との関係性を調査した.〔結果〕MPTと最長呼気持続時間は有意に正の相関を認めた.MPTは肺活量,%肺活量と正の相関を認めたが,最長呼気持続時間はどの換気機能とも相関を認めなかった.〔結語〕MPTは,肺活量を簡易的に評価できる測定方法である可能性が示唆された.
著者
田浦 扶充子 島谷 幸宏 小笠原 洋平 山下 三平 福永 真弓 渡辺 亮一 皆川 朋子 森山 聡之 吉冨 友恭 伊豫岡 宏樹 浜田 晃規 竹林 知樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_153-I_168, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
26
被引用文献数
1 2

本研究は,都市の流域すべての場所で雨水の貯留・浸透を,良質な緑を増やしながら多世代が協力し,分散型水管理が実現される持続的な都市ビジョン「あまみず社会」を提案し,その有効性や実現可能性を検証するものである.そのため,都市の空間構成要素である個人住宅と中学校を取り上げ,安価で魅力的な貯留浸透の方法を考案,計画し,実装を試みた.「あまみず社会」の概念に基づいた魅力的な実装や要素技術は,治水・利水機能に加え,環境面,防災面,活動の広がりなど多面的な価値があることが明らかとなった.加えて,「あまみず社会」の実社会への普及に向け,多面的で重層的な働きかけを網羅的に試みることが有効であり,想定以上の広がりが得られることが確認された.
著者
宮本 俊和 古屋 英治 森山 朝正
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.166-178, 2008 (Released:2008-09-02)
参考文献数
26
被引用文献数
2 2

近年、 子供から高齢者まで多くの人がスポーツをするようになってきた。 そのため、 競技スポーツはもとより、 レクリエーションスポーツにおいても安全で快適なスポーツ環境が社会に求められている。 スポーツ分野の鍼灸のテーマも、 (1)スポーツ外傷・障害の治療(2)スポーツ選手の体調管理(3)生活習慣病の予防(4)競技パフォーマンスの向上など多岐にわたっている。 本シンポジウムでは、 スポーツ鍼灸の研究の現状を報告する。 以下はその概要である。 1)円皮鍼は長期合宿中に起きる筋疲労を軽減する。 2)鍼治療は、 高強度の運動によってもたらされる免疫機能の低下を抑制する。 3)低周波鍼通電は、 マウスの廃用性筋萎縮の進行を抑制する。 4)円皮鍼は運動後の急性筋疲労や遅発性筋痛に有効である。 5)M-テストは、 スポーツ外傷の予防とパフォーマンス向上を評価するのに有効である。
著者
森山 朝正
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.342-353, 1988

(財) 東洋医学技術研修センター臨床治療施設に来療する患者は昭和54年の設立当時から, 昭和63年3月までに3,000症例を数えるカルテ数になっているが, そのうちでスポーツ障害が占める割合も年々増加し, カルテNo.1~2,000まででスポーツ障害を主訴として来療した患者群は6.0%とごくわずかであったものがカルテNo.2,000~3,000までの1,000例では9.1%と急増している。当センターに来療する患者でスポーツ障害を主訴とする患者群は, スポーツを職業としている患者やいわゆる top athlete は少なく, weekend player かもしくは学生が多い。従ってそのスポーツの種類も多く, 障害の発生する身体部位も多岐にわたる。また, 怪我の特徴として外傷性のものは少なく, ベースに疲労性の変化を持つ障害性疾患が多くなるのも来療する患者の年齢構成から見て当然のことと言える。このように, 一般の鍼灸治療施設で取扱う運動障害は多種に及ぶが, そのうちで肩および肘に関する障害を取り上げ, 単なる障害治療ではなく再発予防の意味も含んでいる当センターの鍼灸手技治療の内容を, 治療効果の論拠としている基礎的な研究結果と共に具体的な治療のすすめ方を併せて詳述する。