著者
下島 昌幸 福士 秀悦 谷 英樹 吉河 智城 森川 茂 西條 政幸
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.7-12, 2013-06-25 (Released:2014-04-26)
参考文献数
25
被引用文献数
1 11 1

重症熱性血小板減少症候群は新種のブニヤウイルス(重症熱性血小板減少症候群ウイルス)による感染症で,致死率は約12%,主にマダニによって媒介される.これまで中国でのみ報告があったが,国内で昨年秋に亡くなられた方が本疾患に罹患していたことが判明した.後方視的調査の結果,これまでに計8名の方が罹患し内5名の方が亡くなられていたことが明らかとなった.いずれも国内で感染しており,病原体は以前から国内に存在していたと考えられる.
著者
一森 哲男
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.1-14, 2013-12

この論文は議員定数配分問題を扱う.すなわち,人口に比例して議席を配分するテーマを扱う.本論文の目的を具体的に言えば,著者が最近提案した配分方式である緩和除数方式が比例方式であることを証明し,歴史上の五つの議席配分方式(Adams方式,Dean方式,Hill方式,Webster方式,Jefferson方式)との関連性を明らかにすることである.妥当な配分方式はすべて比例方式なので,当然,緩和除数方式も比例方式であるべきである.これら5方式の内,2方式しか緩和除数方式ではないが,5方式全体との関係を俯瞰することは重要である.
著者
森島 恒雄
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.59-66, 2009
被引用文献数
3 3 4

小児の急性脳炎・脳症は,毎年約1,000例と多数の報告がある.その一方,詳細な病因別頻度,予後,病態など不明な点が多く,単純ヘルペス脳炎やインフルエンザ脳症など一部の疾患を除いては治療法も確立していない.ここでは,厚生労働省「インフルエンザ脳症研究班」および文部科学省基盤A研究班のデーターを中心にこの領域における最近の知見をまとめてみたい.
著者
原 修一 三浦 宏子 山﨑 きよ子 森崎 直子 角 保徳
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.391-398, 2015-10-25 (Released:2015-12-24)
参考文献数
22

目的:介護施設に入所する高齢者を対象とした横断研究により,健康関連QOLと音響学的分析による音声機能との関連性を明らかにした.方法:対象は,介護老人施設に入所する高齢者61名,平均年齢82.1±8.3歳である.質問紙による健康関連QOLの調査を,SF-8 Health Survey(SF-8)日本語版を用いて実施した.音声機能は,ソリッドステートレコーダーに録音した音声を,音響分析ソフトを用いて,基本周期変動指数(Pitch Period Perturbation Quotient:PPQ),振幅変動指数(Amplitude Perturbation Quotient:APQ)および,雑音成分の指標であるNoise-to-Harmonic Ratio(NHR)を算出し,健康関連QOLとの関連性を分析した.結果:SF-8の全体的健康感(GH)の得点が25%tile値未満の値を示した者(低下群)はPPQ・APQ・NHR全てにおいて,25%tile値以上の者(維持群)と比較して有意に高い値を認めた.また,活力(VT)においても,低下群は全ての音響分析の項目において,維持群と比較して有意に高い値を認めた.また,身体的サマリースコア(PCS)においても,低下群は維持群と比較して音響分析の測定項目全てにおいて,有意に高い値を認めた.年齢を共変量とした共分散分析による検討では,GHの低下はPPQ,APQ,NHR各値の増加と有意な関連性を認めた.また,VTの低下はAPQ値の増加との有意な関連性を,PCSの低下はAPQとNHR各値の増加との有意な関連性を認めた.結論:介護施設入所高齢者において,音響学的に分析された音声の音響学的要因は,身体的健康状態に関連したQOLスコアと有意な関連性を示した.音声の音響分析によるPPQ,APQ,NHRは,高齢者の健康調査とその経過を追跡する上で,一つの評価指標になりうる可能性がある.
著者
森 一郎
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.p37-64, 1995-09

In Thus Spoke Zarathustra Nietzsche says, "Die at the right time!" According to him, one should learn to die triumphantly and cheerfully, and the best end of life is dying such a "death that comes to one because one wishes it." This teaching of "the voluntary death (der freie Tod)" is a climax of his radical protest against modernity-his anti-humanism. However, what Nietzsche means by the phrase is neither to die calmly at a great age, nor to choose to commit suicide early in life, but, rather, to live positively so as to be always ready for death. This kind of extraordinary hospitality seems a strange fancy, but imagining it could be a demonstration of the supreme human possibilities in thinking. Nietzsche's struggle for the "superman" is nothing else but a challenge to the human imagination itself. In Being and Time Heidegger seeks for the authentic Being-towards-death as an existential category and defines it as "anticipation of death (Vorlaufen in den Tod)." He then explains this idea with a term "freedom towards death (Freiheit zum Tode)." Here we can find a remarkable correspondence between Nietzsche and Heidegger. The latter's sophisticated concept of death is an ontologically revised version of the former's stimulating notion of death. In this way, Nietzsche's experimental spirit lives in Heidegger's ontological projects.
著者
山代 栄士 佐藤 史織 河村 聡志 内藤 英二 森 一生
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.591-594, 2015-08-31 (Released:2015-08-31)
参考文献数
6

スルピリドおよびオメプラゾール投与中に心室頻拍および心室細動を認めた80代女性の症例を経験した。第1病日昼頃,顔面蒼白,呼吸停止状態で発見された。意識消失を繰り返すため,救急搬送となった。血液検査,心エコー,心臓カテーテル検査を施行したが原因不明であった。心電図分析と持参薬鑑別の結果,スルピリドおよびオメプラゾールによるQT延長症候群が疑われ中止とした。中止後,第2病日にはQTc時間が短縮し,それに伴い心室頻拍がコントロール可能となった。他の要因は認められなかったことも併せ考え,スルピリドまたはオメプラゾール関与の心室頻拍および心室細動であったと考えられた。
著者
天笠 俊之 有次 正義 金森 吉成
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 = IPSJ Magazine (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.972-979, 2001-10-15

データベースの応用の1つに,時間的に変化するデータ(時制データ; temporal data)の管理が挙げられる.時制データベースではデータの更新履歴を検索・操作するため,データの更新や削除は仮想的に行われ,データベース内に蓄積されるデータ量は常に増え続けるという特徴がある.このため,時制データを高速に検索するための索引は,この特徴を考慮したものになる.
著者
森田 笑
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.42-54, 2008

本稿は自然な会話のデータをもとにして相互行為助詞「ね」を会話の展開の中で詳細に分析し,「ね」が相互行為の構築にどのように関わっているかを探る.発話の継ぎ目に起こる問題を観察することで,「ね」が行為の区切りをマークし,相互行為において参加者の「協調」がそこで取り立てられていることがわかる.「協調」とは行為をインタラクティブに達成するために志向される最も根本的な秩序である.それを明示することによって参加の枠組みを構築するのに用いられる「ね」は,相互行為の組織に欠かせない資源である.またこのような「協調」の明示というプラクティスが,これまで「ね」について言われてきた「共通の感情」,「丁寧さ」,「馴れ馴れしさ」または「女性らしさ」など,語用論的,社会言語学的な解釈にどのように結び付くのかを検討する.
著者
池松 大志 中江 俊博 長森 藤江 井前 麻理子 宮下 直也 木全 英明
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2016-CVIM-200, no.14, pp.1-6, 2016-01-14

機械学習を用いた画像認識では,高精度の判定を可能にするために,大量の画像データと正解ラベルからなる学習データセットを用意する必要がある.学習データセット構築作業の効率化を目的としてラベル付与の自動化やクラウドソーシングが実施されているが,属人的・専門的な判断を要する場合については,むしろエンドユーザ自身によってラベル付与を実施することが望ましいと考える.そこで,本研究ではエンドユーザ自身が画像収集からエンジン生成までを効率的に実施することが可能な学習器のインターフェースの開発を行い,エンジン生成に要する作業時間の短縮を図った.具体的には,Deep Learning フレームワークとして広く利用されている Caffe を用いた Deep Learning 学習 API(Application Programming Interface) の開発および画像検索 API とのマッシュアップによる画像収集・登録・学習インターフェースを開発した.

2 0 0 0 OA 妾の自白

著者
森律子 著
出版者
日本評論社
巻号頁・発行日
1919
著者
森 重雄
出版者
東京大学教育学部
雑誌
東京大学教育学部紀要 (ISSN:04957849)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.75-101, 1989-03-30

This paper presents a history of sociology of education. However, following discourse is not a textual one, because it is written from author's particular standpoint named "schoolization theory". The object of this historical review of sociology of education is to delineate the significance of schoolization as one of the themes in this discipline. So we engage to connect the development of sociological object-identification for education which is summarized in three stages, that is pre-sociology of education, orthodox sociology of education, current sociology of education, with the concept of schoolization. In this respect, following discourse is not merely an academic history of sociology of education, but lays an underplot to demonstrate the importance and possibilities of "schoolization theory" in sociology of education.
著者
岩崎 晃久 猫本 善続 森田 英之 谷口 勝彦 奥野 大作 松岡 寿浩 千種 直樹
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.81, no.831, pp.15-00212-15-00212, 2015 (Released:2015-11-25)
参考文献数
18

Under earthquake condition, the response of the free standing rack is nonlinear and involves complex combination of motion, such as sliding, rocking, twisting, and impacts between the fuel assemblies and the rack cells and between the pool floor and the rack pedestals. To obtain an accurate simulation of the free standing rack, the seismic analysis requires careful considerations of these complex phenomena, and fluid coupling effects. This seismic evaluation method was validated by comparison to full-scale test results. However, the conservative evaluation method is required, since analysis results are not entirely consistent with the test results. In this study, authors obtained the margin of safety for free standing rack, and developed the seismic design method.
著者
森 健治 橋本 俊顕 原田 雅史 米田 吉宏 島川 清司 藤井 笑子 山上 貴司 宮崎 雅仁 西條 隆彦 黒田 泰弘
出版者
The Japanese Society of Child Neurology
雑誌
脳と発達 (ISSN:18847668)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.329-335, 2001

自閉症患児29例 (IQ50以上=6例, IQ50未満=23例) および正常小児19例において, 扁桃体~海馬を含む左, 右側頭葉内側部, 左小脳半球の3箇所にてproton magnetic resonancespectroscopy (1H-MRS) を施行し, 代謝物質の濃度を抑制されていない組織水を用いた内部標準法にて測定した.IQ50未満の自閉症患児においては, 扁桃体~海馬を含む左側頭葉内側部および左小脳半球にてN-acetylaspartate濃度が有意に低下していた.これは, これらの部位における神経細胞の減少や発達異常あるいは神経活動の低下を反映していると考えられ, 自閉症で報告されている神経病理学的所見および脳血流SPECTの所見とよく一致していた.1H-MRSは自閉症の病態解明に有用であると考えられる.