著者
森田 明雄 一家 崇志 國弘 彩 鈴木 利和 大石 哲也 小林 栄人 中村 順行
出版者
日本茶業技術協会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
no.111, pp.63-72, 2011-06

日本で栽培されている4つの白葉茶('星野緑,きら香'の2品種と'諸子沢,やまぶき'の2系統)の一番茶新芽の葉色値,遊離アミノ酸,カテキン類,カフェイン,有機酸および無機元素含量を,緑葉品種である'やぶきた'と比較した。その結果,葉色値は'やぶきた.の32.7に対して,白葉茶が0.6~8.1と非常に低い値を示した。遊離アミノ酸含量は,4つの白葉茶とも'やぶきた'に比べ1.8倍以上と高い値を示した。カテキン類含量は,'諸子沢,星野緑,きら香'が'やぶきた'の約3/4と低かったが,'やまぶき'はほぼ同程度であった。その他の成分では,シュウ酸とクエン酸,硝酸イオン,アルミニウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム並びにマンガンの含量がいずれの白葉茶においても'やぶきた'より高い値を示した。これらのことから,供試した4つの白葉茶品種・系統は'やぶきた' と比べて,非常に高い遊離アミノ酸含量を有する特性を持つことが明らかとなった。また,いくつかの有機酸,無機元素含量が高いなど特異な化学成分組成を有している可能性が示唆された。
著者
森西 洋平 福井 岳人
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.75, no.759, pp.2163-2172, 2009
参考文献数
19
被引用文献数
2

A non-segregated numerical algorithm is proposed for unsteady incompressible flow simulations with the fully discrete fully conservative finite difference scheme. The fully conservative finite difference scheme is useful for the numerical simulations of unsteady turbulent flow because of its stability and reliability. However, a large system of nonlinear discrete equations should be solved for the fully (spatio-temporal) discrete fully conservative scheme. In this study, the Jacobian-Free Newton-Krylov (JFNK) method with the GMRES(m) method as a Krylov iterative solver is introduced as a non-linear solver in the non-segregated numerical algorithm. A couple of preconditionings to the Krylov iterative method are tested and a new effective physical-based preconditioning is proposed. Numerical tests on the DNS of turbulent channel flow demonstrate the availability of the present method. Then, the DNS of backward facing step flow is carried out for an example of a stiff problem in which the streamwise grid spacings are locally fine.
著者
森岡 武史
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会全国大会研究発表論文集 日本社会情報学会 第24回全国大会
巻号頁・発行日
pp.226-229, 2009 (Released:2010-02-26)

This paper discusses about what to analyse texts in internet. There are many BBS and Chat in internet, which give researchers many text-data. This paper introduce author's analysis of such data and discuss the success and failure of this analyse. The analysis use content analysis by computer-codings. This paper conclude that such analysis is very useful for the analysis of internet, and by such analysis internet data will give sociology invaluable evidences.
著者
山肩 洋子 今堀 慎治 森 信介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は,Webにある膨大な数のレシピの集合が本質的にどの程度の多様性を持っているのか,足りないのか十分なのか,何が足りないのかを明らかにすることである.そこで本研究では,(i)自然言語処理技術によりレシピ記述から手順構造を抽出し,(ii)手順と記述の観点からレシピ間の関係を解析するとともに,(iii)全体の知識を使って補完可能な欠損を補完することで,レシピ集合が持つ本質的な多様性を解析する機構を構築する.今年度は以下の2点を行った.(1) 国際化に向けた英語対応:Webレシピの急増は日本だけでなく世界で起こっている現象である.米国最大手のAllrecipesの月間ページビューは推定2,000万件で,クックパッドの実に3倍以上である.さらに料理レシピが世界の情報処理の研究対象として国際的に認知されつつある.そこで,平成28年度,英文係り受け解析器RASPの開発で著名なJohn Carroll氏の協力を得て,英文レシピのフローグラフコーパスを開発した.今年度はこれを我々が開発した手法で実装することで,固有表現認識精度が84.8%,固有表現が正しく認識されているときの依存関係推定精度74.1%を達成した.また,和文と英文のレシピの構造的な相違を統計分析により明らかにした.(2) レシピテキストの記述粒度の自動変換:肉じゃがやハンバーグのような代表的な和食は数千からときに数万のレシピが見つかる.同じ料理名をもつレシピのうち,その主たる調理方法が似通っているとき,それらは似た調理手順を説明した異なる記述であると考える.ここで,片方のレシピがもち,もう片方のレシピが持っていない説明は,その手順の詳細説明であると考えられることから,この関係を用いて詳細記述を生成した.また,双方が持つノードはその手法の主幹であることから,それらを取り出したフローを簡略な表現と位置付けた.
著者
美濃 導彦 椋木 雅之 森 信介 山肩 洋子 舩冨 卓哉 中村 和晃 橋本 敦史 飯山 将晃 中村 和晃 舩冨 卓哉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

一般の動物とヒトを隔てる「知能」として,本研 究では道具の使用,および論理や推論による問題解決能力を利用して行う「知的行動」の認識を目指し,題材として「キッチンでの調理」を取り上げ,道具,食材,調理動作の認識,および言語的に記述された行動の理解に取り組んだ.観測データから認識できる「表出動作」のうち,特に物体の把持・解放を中心として,レシピ中に言語的に記述された「概念的行動」の完了認識や次の行動の予測をする手法を構築した.また,テキストから扱われる食材の種類やそれに対する行動,目標状態などを概念的行動」として自動で獲得し,レシピ内でのそれらの依存関係をワークフローとして抽出する技術を構築した.
著者
緒方 幸代 藤田 孝輝 石神 博 原 耕三 寺田 厚 原 宏佳 藤森 勲 光岡 知足
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.317-323, 1993
被引用文献数
16 21

健常成人8名に4<SUP>G</SUP>-β-D-Galactosylsucrose (ラクトスクロース: LS) をはじめの1週間1g/日, 次いで1週間は2g/日, さらに, 2週後の1週間は3g/日を摂取させ, 少量LS摂取の腸内フローラおよび糞便の性状に及ぼす影響について検討した。その結果, LSの1g/日, 2g/日および3g/日の摂取のいずれにおいても, <I>Bifidobacterium</I>が有意に増加し, <I>C. perfringens</I>を含むレシチナーゼ陽性<I>Clostridium</I>およびBacteroidaceaeの減少が認められた。糞便中のアンモニアおよび硫化物はLS 2g/日, 3g/日摂取で有意に減少した。糞便pHはLS 3g/摂取で低下し, 糞便重量および水分量はわずかな増加をした。<BR>以上の成績から, LSの最小有効摂取量は健康成人において1日当り1~2gと判断された。
著者
森谷 貴行 日浦 慎作 佐藤 宏介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.6, pp.1579-1591, 2007-06-01

シーンの三次元モデルから生成したCG画像と入力画像の差の最小化によりシーンに対するカメラの位置・姿勢の変化を追跡し,同時にステレオカメラによりシーンの三次元形状を求めることで,自己位置と環境マップの同時推定(SLAM)を行う手法について述べる.ステレオカメラによる距離画像取得処理計算は濃淡画像入力に比べ著しくCPU負荷が高いため処理サイクルが不均一となりがちで,この間に追跡が不安定になったり,シーンの三次元形状の位置合せ精度が低下するおそれがある.そこで本論文ではモデリングと追跡の2種の処理を並列化し,加えてステレオ計算中の運動追跡処理を改良することによって追跡の安定度と位置合せ精度を向上させる方法について述べる.実験ではシーンモデルの更新の有無にかかわらず高精度に追跡とモデリングが同時実行できることが確認された.
著者
小山 由紀江 杉森 直樹 田中 省作
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は理工系学生の英語語彙・語句に関する能力を測定するために、科学技術コーパスデータの分析に基づいたコンピュータ適応型テスト(CAT)を作成することである。この目的ため、科学技術コーパスを分析し、重要語彙・語句を抽出しこれを試験項目に使用した。テスト項目の分析と受験者の能力推定にはLatent Rank Theory(LRT)を採用し、予備テストを実施し230項目の項目バンクを作成した。これらを基に開発した理工系英語CATをmoodle上で実施した結果、科学技術英語のテストとして一定の妥当性があることが解った。
著者
中野 哲宏 清水 公裕 大谷 嘉己 懸川 誠一 森下 靖雄 竹吉 泉
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.859-864, 2007-09-15 (Released:2008-11-19)
参考文献数
17
被引用文献数
2 6

症例は69歳,女性.検診の胸部単純X線写真で右上肺野に異常陰影を指摘された.胸部CTで,右肺上葉S3に径1cm大の小結節を認め,CTガイド下経皮的肺針生検を施行した.穿刺直後に意識消失,ショックに陥った.蘇生処置後のCTで中大脳動脈領域に空気泡が複数見られた.空気塞栓症の診断で,高圧酸素治療を開始したところ,脳血管内の気泡は著明に減少し,意識レベルも改善した.以後連日6日間の高圧酸素治療で,当初認められた左半身の麻痺は徐々に改善し,発症後7日目の時点で左手指に軽度の運動障害を残すのみとなった.CTガイド下経皮的肺生検による合併症の中では,空気塞栓症の頻度は極めて低いが,重篤であり,速やかな診断と適切な治療を要する.
著者
音川 和久 森脇 敏雄
出版者
神戸大学大学院経営学研究科
雑誌
神戸大学経営学研究科 Discussion paper
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014-07

本稿の目的は,TDnetのデータベースを利用して取引時間中に年次決算情報を 開示した企業の決算発表時刻を特定し,その決算発表時刻を基準とする30分間隔 の時間単位に取引時間を分割し,ティック・データと呼ばれる日中取引データを 用いて30分間隔の株価変化を計測し,証券市場の取引時間中に生じうる決算発表 に対する株価反応を時間単位で明らかにすることである。分析の結果,決算発表 時刻を含むその後30分間と決算発表後の昼休みの時間帯において,予想利益のサ プライズと同じ方向の有意な株価反応を析出した。本稿の分析結果は,分析対象期間が2009年の1年間に限定されているとはいえ,インターネットによる企業情報の開示と株式売買におけるHFTが普及する中で,大きな意義を有するものと考えられる。
著者
高橋 真美 森高 初惠 池山 豊
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.302-309, 2006-10-20

アンケート結果から学年間において市販飲料水に対する意識の違いが異なることが判明した。官能評価の結果,どの学年においてもカルシウム,マグネシウム,ナトリウム,硫酸イオンなどの溶存物が低含量である国産市販飲料水の試料1,2が有意に好まれた(P<0.05)。試料1と試料2の水質の識別は,3,4年生では正解率が高く,1,2年生では低く得られ有意差が認められた(P<0.05)。試料1で抽出した水出し煎茶溶液が他の試料より有意に好まれた(P<0.05)。カリウム,重炭酸イオン,シリカ,硝酸イオンなどが高含量である試料3で1時間抽出した水出し煎茶溶液は3,4年生は1年生よりも有意に高く識別した(P<0.05)。
著者
森 千香子
出版者
日本中東学会
雑誌
日本中東学会年報 (ISSN:09137858)
巻号頁・発行日
no.20, pp.323-351, 2005-03-31

The <<fear of Islam>> is not a new subject in France : this country's geographic location, in permanent contact with the Arab Islamic world, always brought complex relations, both close and strained, with the Islamic world. A combination of different reasons has led to the present situation : ancient history (France is a catholic nation, particularly active during the Crusade), recent history (the Iranian revolution, increasing number of <<fundamentalist's terrorist acts>> in Algeria, the September 11 attacks...), and France's sociological situation itself (with an important Muslim community). However, since several years, a sort of mutation has been taking place in Islam's representation, while the number of anti-Muslim acts is on the rise. What does this mutation consist of? What is exactly the <<new anti-Muslim phenomenon>> in French society? To answer these questions, we analyze the new anti-Islam discourses and focus on its promoters, in order to grasp the crucial issues and the underlying ideas of this phenomenon in French socio-political context. First of all, this paper will outline some of the principal characteristics of Islamophobia in France, especially the relations between ultranationalist xenophobia and current Islamophobia. Then, new forms of critical discourses towards Islam are to be studied and their relations with new Islamophobia's logics. The objective of this paper is to analyze if the latest outbreak of anti-Islamic attacks is only a variation of <<traditional>> anti-Arab racism, or if current Islamophobia presents, on the contrary, some new peculiarities, partly or entirely distinct from traditional xenophobia. Our analysis will clarify two points : first, ultranationalist racist ideology plays a nonnegligible part in the contemporary Islamophobia. This point of view, systematically amalgamating <<terrorists>>, <<fundamentalists>>, <<Muslims>> and <<immigrants>>, consists in considering the Islam as a <<potential threat>> to the French nation and, on the basis of an essentialist ideology, in excluding Islam from the phantasmagoric fabrication of a so-called <<French identity>>. Secondly, the present-day Islamophobia is nevertheless clearly irreducible to the ultranationalist anti-Arab racism : <<criticism of Islamic fundamentalists>> by several actors (experts of <<New anti-Semitism by Muslims>>, defenders of <<universal values>> or even <<Moderate Muslims>>), also exercises sometimes-in its own ways- some vicious influences on the reinforcement of anti-Muslim stereotypes, potentially leading to some latent legitimatization of its overstepped forms.