著者
渡辺 匡央 森 征洋
出版者
香川大学
雑誌
香川大学教育学部研究報告. 第II部 (ISSN:03893057)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.75-101, 2004-09-29
被引用文献数
1

女木島の東浦で発生する局地的強風「オトシ」の現地観測を2回の冬季に行った。「オトシ」は日本付近を低気圧が通過した後, 冬型の気圧配置が強まり, 瀬戸内海地域で西南西から西の風が卓越するときに発生する。「オトシ」の発現時間の長さは短いときで数時間, 長いときで約4日間続くことがあり, ほぼ冬型の気圧配置の持続時間と一致する。「オトシ」は, 南西から南にかけての強風で, これまでの観測で, 最大平均風速20.2m/s, 最大瞬間風速35.2m/s (2002年1月27日) を観測している。「オトシ」が吹くとき, 風向の変動は少ないが, 風速の変動は大きく, 突風率も大きい。「オトシ」の発生時における移動観測や目視による海面の観察からから, 西よりの季節風が卓越するとき, 女木島南端に吹き付けた気流が地形によって曲げられて, 島を回り込んで東浦に向かって進むことが分かった。しかし, 風下側で風が強化される原因や, 季節風に対して島影になると思われる地域で強風域が形成される原因については限られた観測データだけでは解明できない。今後, コンピュータを用いた数値シミュレーションなどによる検討が必要である。
著者
山崎 敬一 山崎 晶子 久野 義徳 池田 佳子 今井 倫太 小野 哲雄 五十嵐 素子 樫村 志郎 小林 亜子 関 由起子 森本 郁代 バーデルスキー マシュー 川島 理恵 中西 英之 小林 貴訓
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、人間の言語的・身体的相互行為とそれを支援する身体化されたテクノロジーのデザインに関心を持つ社会学者とロボット工学者の共同研究である。本研究では多文化に対応する身体化されたテクノロジーを開発するために、海外のミュージアム等で研究を行い、そこでの人間同士の言語的・身体的行為をヴィデオエスノグラフィーの手法で分析した。また、日本語話者と英語話者に対する比較ロボット実験と、日本とハワイを結ぶ遠隔ロボット実験を行った。
著者
森 浩一 蔡 暢 岡崎 俊太郎 岡田 美苗
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.29-44, 2013-08-30

To elucidate the neural basis of stuttering, brain activation for reading words was compared between adults who do and do not stutter (AWS/ANS) with functional MRI. Japanese native speakers read aloud familiar (F), unfamiliar (U) and pseudo- (P) words of 4 or 5 syllables. P contained much fewer native syllable sequences than F or U. F primarily activated the left angular/supramarginal gyri (lAG/SMG), U Broca's area, and P the left ventral premotor/motor areas (lvPMA/MA), respectively, in ANS. AWS showed lower activation in lAG/SMG and Broca's area, but higher activation in lvPMA/MA, implying that AWS cannot read native syllable sequences as efficiently as ANS.
著者
近藤 浩文 福森 義信 平塚 純一
出版者
神戸学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

【研究の目的】メラノーマ細胞に特異発現し、その放射線抵抗性に関与すると考えられているTRP-2遺伝子の発現を抑制することによって、メラノーマ細胞の放射線抵抗性・DNA障害型化学療法剤への抵抗性を減弱させることの可能性を検証する第一段階として培養癌細胞レベルを実施し、「ブラックデビル」と恐れられているメラノーマに対する粒子線・放射線・化学療法等の治療効果増強法(増強剤)開発に結びつけることを目的とした。【研究実績】研究実施計画に基づき以下の研究を実施した。平成17年度は各種基盤評価技術の確立と検討する対照となる細胞系の確立に重点をおいた。(1)各種悪性黒色腫細胞を用いてTRP-2発現抑制法を検討した。Tyrosinase遺伝子発現欠損黒色腫細胞にTRP-2発現抑制shRNA発現プラスミドを導入した細胞株を作製した。(2)TRP-2遺伝子発現抑制による殺腫瘍細胞効果評価系の確立するため、X線に対する感受性評価系、紫外線に対する感受性評価系、およびDNA障害型抗癌剤であるシスプラチン系抗癌剤に対する感受性の評価系を確立した。(3)放射線感受性変化の機序を解明するため、TRP-2遺伝子発現量・黒色腫細胞内メラニンモノマー量と放射線感受性の相関関係解析のためHPLCを用いたメラニンモノマー定量系を確立した。平成18年度は、TRP-2発現と放射線抵抗性の関係を明確に出来る細胞系確立と評価に重点をおいた。(4)TRP-2遺伝子発現抑制による放射線感受性変化の機序を解明するため、TRP-2遺伝子を非メラノーマ系細胞であるHeLa細胞に導入安定発現する細胞を作成した。本細胞を用いれば、TRP-2遺伝子による放射線抵抗性がTRP-2蛋白質のみに依存するのか、それともメラニン生成機構と関連するのかを明確にできる。本細胞の色素細胞学的性質、細胞生物学的性質および分子生物学的性質を解析評価した。(5)作成した上記2種の細胞を用いて、紫外線抵抗性・放射腺抵抗性およびDNA障害型抗癌剤であるシスプラチン系抗癌剤に対する感受性を親株細胞と比較検討したが、現在までのところ、明確な結果は得られなかった。評価条件・手法を変更・改良して評価試験継続中である。
著者
森泉 由恵 スクッスィー ピヤワン 本藤 祐樹 和気 洋子
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.491-502, 2013 (Released:2013-05-31)
参考文献数
20
被引用文献数
1

Ethanol production using multiple feedstocks has the potential to be an important option for the development of ethanol industry in Thailand. In the present study, two types of plants that produce ethanol from both cassava and molasses (multi-feedstock plant) were evaluated with respect to profitability and greenhouse gas (GHG) emissions and compared with the performance of one type of plant that produce ethanol from cassava only (single-feedstock plant). The results show that multi-feedstock plants have lower GHG emissions than a single-feedstock plant. Despite environmental benefits, multi-feedstock plants have no advantage in terms of profitability. However, the use of multiple feedstocks is more effective for avoiding the risk of feedstock price fluctuation and ensuring the economic viability of ethanol production. In addition, scenario analysis was carried out to explore the effective use of the biogas collected from wastewater treatment process. The analysis suggests that when the biogas is used for electricity generation, profitability of all plants is significantly improved compared with when it is used for steam generation. Although the biogas utilization for electricity generation has a negative impact on the environmental performance, it is an appealing option from a cost perspective.
著者
岡 隆治 印鑰 史衛 森 善樹 伊藤 真也 沖 潤一 長谷川 浩 吉岡 一 平田 哲 片桐 一
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.597-603, 1984-06-25 (Released:2013-05-24)
参考文献数
26

10歳時に心臓カテーテル造影検査にて原発性肺高血圧症と診断した症例が経過中に,血小板減少,血管内溶血などのまれな合併症状を呈し,診断確定後2年8カ月の経過でうっ血性心不全のため死亡した1例を経験した.病理組織学的には,肺小動脈の内膜の肥厚が著明でありPlexiform lesionも認められた.肝臓ではうっ血とグリソン鞘および中心静脈を中心とする線維症を認めた.これまで原発性肺高血圧症に血小板減少症を合併したという報告はあるが,血管内溶血や肝線維症を合併した症例はほとんどなくきわめて貴重な症例と考えられ報告した.
著者
森田茂彦 松崎公紀
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.14, pp.1-5, 2014-03-10

チェスや将棋などにおいて,プレイヤの強さを数値として表すレーティングシステムが広く用いられている.レーティングアルゴリズムとして良く知られるイロレーティングでは,プレイヤ間のレート差と勝敗によってレートの増減が計算される.特に,弱いプレイヤが強いプレイヤに勝つと,レートの増分が大きくなる.本研究では,大貧民を対象としたレーティングアルゴリズムを提案する.大貧民では,プレイヤの強さに加えて,初期手札の良さが勝敗に大きく影響する.そのため,初期手札の良し悪しに差がある場合,従来のレーティングアルゴリズムを用いるとレートの増減が過剰であったり不足することが起こりうる.この問題を解決するため,初期手札の不均等性を考慮に入れたレーティングアルゴリズムを提案し,そのアルゴリズムについて評価を行う.
著者
森 俊二 山田 博三 斉藤 泰一 宮川 達夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.18, no.8, pp.p814-821, 1977-08-15
被引用文献数
4

最近OCR, なかでも手書文字用のOCRの研究開発が盛んである昨年1975年の11月, 晴海で開かれたデータショーでも, 10社に余る会社が, その商品化されたもの, またはミニコンによる実験機を発表していた. 良く読んでいたものもあったし, そうでないものもあった. そこで, 一体何%ぐらいの読取率ですか, という質問をしてみた. ずばり答える人はまずない何かはぎれの悪い返事が帰ってくる. こちらの指示通りにきちんと書いて下されば98%はいきますが, といった返事である.
著者
三上 弾 紺谷 精一 森本 正志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.526-534, 2007-02-01
被引用文献数
5

本論文では,野球映像からピッチャーによる投球イベントを検出する方法を提案する.提案手法では,(1)映像撮影環境(撮影角度など)の影響を受けにくい音響解析によって,投球後に発生する打球音あるいは捕球音を取得し,投球イベントの候補とする.(2)音響解析により求めた投球イベント候補について,各候補の時刻における動き特徴によりクラスタリングを行うことで,投球イベント候補の中から投球イベントのみを選別する.(3)投球イベントから投球動作テンプレートを作成する.(4)投球動作テンプレートを処理対象映像から自動的に選び,映像全体を再検索する.以上の処理により,音響解析によって検出が不可能であった投球イベントについても検出することが可能となり,高精度な投球イベント検出が実現できる.野球の放送映像及び個人撮影の野球映像を用いて実験を行い,放送映像において,音響解析による投球イベント検出の適合率は約60%,再現率は約81%であったが,提案手法を用いることにより,適合率約90%,再現率約95%(検出漏れはテロップによる投手の遮へいなど)の精度で検出が可能となり,野球映像構造化の第1段階として十分な精度を得ることができた.
著者
柳田 多寿 大森 玲子
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13452495)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.351-360, 2007-07-01

平成17年7月に施行された「食育基本法」では、(1)食に関する知識、(2)食を選択する力、(3)健全な食生活を実践する態度の3項目を育成することが目的とされ、なかでも食育の対象として子供に焦点がおかれている。本研究では、食に関心を持ち、将来にわたり正しい食の選択ができる児童を育成するための方策について、食生活実態調査に基づき、検討した。宇都宮市内4校で実施した児童の食生活実態調査の結果、朝食およびおやつの摂取状況、野菜嫌いな児童の割合において、地域差が認められた。都心部の児童に野菜嫌いが多かったことから、野菜を用いた献立による栄養教育および調理実習を実施し、その実践的効果を検証した。その結果、食に関する知識を示し、栽培から調理までを通した食育は偏食を改善する上で効果的であると思われた。また、食生活実態調査から、おやつによる糖分および油分の摂取過多が懸念されたため、校内におやつ掲示板を設置し、児童がおやつを適切に選択できるよう、知識や情報を提供した。さらに、児童が望ましい食生活を送る上で、家族の関わりは重要である。学校と家庭が連携して食育に取り組むために、調査結果の公表や保護者への啓発活動の手段として、学校ホームページに「早寝早起き朝ごはん」サイトを構築し、食に関する情報を発信した。
著者
大場 裕之 馬場 孝祐 橋岡 恵子 伊藤 一也 森本 将司 朝日 大介 貞松 俊弘 久我 哲也 秋山 寛治 蒲田 和芳
出版者
Japan Society of Health Promotion and Physical Therapy
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.113-117, 2013

要旨:ハイヒール用インソールの使用が,ハイヒール着用時の前足部荷重圧と運動機能へ与える影響を解明することを目的とした。ハイヒールを常用しない健常女性8名を対象とし,ヒール高9㎝のハイヒールに対して,ハイヒール用インソール(リアライン<sup>Ⓡ</sup>・インソール・フェム,以下フェム)の有無で片脚立位時間,片脚連続ジャンプ回数,片脚立位時における前足部最大圧および前足部平均圧,階段昇降時間を比較した。片脚立位持前足部最大圧が統計学的有意に減少した。フェム使用による主観的な不快感を訴えたものはいなかった。フェムの使用がハイヒール着用時の前足部の疼痛減少につながる可能性を示した。