著者
西野 嘉章 森 洋久 Osawa Kei
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

戦後日本の美術出版を牽引した美術出版社の写真ネガフィルム・コレクションが東京大学総合研究博物館に寄贈された。18万カットにおよぶこのコレクションを広く共有すべく、美術史学の方法、情報工学の技術そして大学博物館のリソースを最大限に活かして全点の修復・デジタル化・データベース化を行う。本コレクションの記載および比較研究を進め、戦後日本美術史の基礎資料を拡充し、方法論的刷新を促す。国内外の主要研究機関と連携し、美術出版アーカイブによる近現代美術史学の新たな方法論を模索するのと同時に、本コレクションを世界の現代美術史の基礎資料体に組み込むように働きかける。
著者
石森 洋行 遠藤 和人 山田 正人 大迫 政浩
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.39-49, 2017 (Released:2017-04-11)
参考文献数
11
被引用文献数
2

放射性物質に汚染された廃棄物の焼却灰はその濃度によって埋立方法が異なるものの,放射性物質の拡散防止対策として土壌吸着層の設置は義務付けられており,その性能評価は重要である。本研究では,放射性セシウムに対する土壌や廃棄物,吸着材等の吸着特性を把握するために,放射能汚染飛灰から作製した4 種類の飛灰溶出液を溶媒として,22種類の試料を対象に吸着試験を行った。その結果より分配係数を評価し,その影響因子を検討した。また試料に吸着した放射性セシウムの脱着特性を調べるために,純水,1 mol/L 酢酸アンモニウム,人工海水,飛灰溶出液を溶媒とした溶出試験を行い溶出率を評価した。
著者
宮本 雅章 有田 貴司 大森 洋志 野澤 剛二郎 小川 隆申 藤野 陽三
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.94-109, 2020 (Released:2020-01-20)
参考文献数
22

時速500kmの超高速鉄道の列車走行に伴い,トンネル内にはトンネル突入波,退出波,これらの坑口での反射波,さらにはトンネル横坑等で分岐した圧力波や列車通過による圧力低下などが生じる.トンネル覆工構造の疲労を検討するためには,これら圧力波および圧力低下などの変動を場所ごとに合理的に予測することが求められる.本論文では,トンネル内の圧力時間変化の算出に特性曲線法による一次元数値解析を適用し,山梨実験線の計測データと比較検証した.さらに,営業線で想定される複雑な列車運行に対して一次元数値解析を実施し,求められたトンネル内圧力変動をもとにトンネル覆工コンクリートに作用する応力変動を算定し,レインフロー法で覆工構造の疲労安全性を評価した.
著者
大森 洋子
出版者
久留米工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

この研究では、観光と町並み保存が密接に結びついた地方中心市街地の重要伝統的建造物群保存地区が、その資源としての町並みを維持し高めていくための課題を具体的事例に即して明らかにすることを目的としている。主に八女福島と筑後吉井を事例に、(1)現在までの町並み保存とまちづくりの経緯、(2)現況景観、(3)観光活動、(4)町並み保存事業の内容と進捗状況、(5)町並み保存に関する住民の意識について研究分析を行い、以下のことが明らかになった。(1)両地域とも外部からの評価により町並みの価値を初めて認識し、それを活かしたまちづくりを一部の住民有志や行政が模索し始めている。やがてそれが町並みを舞台とするイベントの創出につながり、観光客が増加している。観光客の増加は地域の経済活性化に貢献し、また訪問者と地域住民との交流は地域住民の町並みの価値認識を高め、地域全体の町並み保存のコンセンサスが形成された。(2)公的制度による町並み整備事業を、町並みの持つ文化財、生活環境、観光資源の三つの価値を用いた視点から分析することにより、町並整備の発展の経緯とそれらが住民に与えた影響及び課題を明らかにできた。当初は観光資源整備としての意識が強かったが、現在では町並みの持つ文化財としての価値を重視しながら町並み整備が進められていることが分かった。それは同時に固有の景観を求める観光客のニーズに応えることになり観光資源の価値も高めている。又それは生活環境としての価値と矛盾する場合が多いが、文化財としての価値が損なわれないように努力がなされている。利便性や快適性だけを求めるのではなく、少々の不便さを感じながらも地域の誇りとして町並み保存が行われている。比較的順調に町並み整備が進められていると考えられる。町並み保存型の観光地形成を目指している地区では、この三つの価値のどの価値に重点を置くかは異なっても、三つの価値を守りお互いのバランスをはかりながら町並みを維持していくことが、良好な町並み景観を形成しまちづくりを進めていく条件になると考える。
著者
吉田 哲二 金山 秀樹 山本 亘 向山 澄夫 金森 洋史 青木 滋
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
スペース・エンジニアリング・コンファレンス講演論文集 : Space Engineering Conference (ISSN:09189238)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.18, pp.67-70, 2010-01-28
被引用文献数
1

月太陽発電「ルナリング」構想は,工ネルギを化石燃料に依存するパラダイムから,月からの無限に近いクリーンエネルギを自由に使うという発想へ転換するものである.本構想では月の赤道を周回する太陽電池を設置し,発電した電力をマイクロ波などで地上へ伝送する-人類が使う工ネルギの全部の量を月から送り電力供給と水素製造を行う.食糧・水の確保や水素社会が促進されると同時に化石燃料の燃焼を停止させ炭酸ガスの排出を低下させる.実現には宇宙太陽発電システムや月資源探査,月面での製造技術が必要.月面口ポットや有人施設だけでなく,国際的な協定・合意など法制面の確立も必要.清水建設の20余年にわたる宇宙建設研究をべ-スに夢のある将来像を描いた.
著者
古井 仁哉 南葉 正浩 平森 洋一 松内 一雄 恩田 昌彦 山岡 祐一郎 Lutz Thorsten Funk Peter
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2002, no.3, pp.339-340, 2002-09-20

We examined the drag and thrust efficiency of two airship models with a stern propeller. There is a interaction between the airship hull and the propeller. To obtain an understanding of the interaction, we measured the form drag of the airships with and without a propeller, and calculated the propeller efficiency and the total efficiency of airships. We also compared the results for two airships. Furthermore we carried out inviscid computation for the effect of the propeller on airship efficiency. It was clarified that there are two patterns for the direct effect of the propeller on the pressure on the hull surface. One is good for the airship hull and the other is undesirable.
著者
森 洋一 中澤 港
出版者
Population Association of Japan
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.27-39, 2003-11-30 (Released:2017-09-12)

本論文は,ヒトの死亡についての新しいモデルを提示し,これが100を超える生命表に適合することを示すことで,その有用性・理論的重要性を示すものである。ヒトの死をモデル化するには,2つの競合するゴールがあるように思われる。現実の生存曲線を記述することと,病因論的な変数で死亡を説明するごとである。これまでは,この2つのゴールを1つのモデルで達成したものはなかった(Woodら,1992)。Gavrilov and Gavrilova (1991)の雪崩モデルにヒントを得て本論文で構築した単純な病因論的モデルは,これら2つのゴールをともに達成したと考えられた。フランス,日本,スウェーデン,米国の生存曲線に対して,このモデルを最小二乗法で当てはめたところ,最適なパラメータの場合にはきわめて良い適合が得られ,しかも日本についてみると,これらのパラメータは,現実の歴史的変化を十分に説明していることが示された。
著者
山村 ひろみ 渡邊 淳也 GIBO LUCILA 鈴木 信五 藤田 健 黒沢 直俊 岸 彩子 小熊 和郎 大森 洋子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は現代ロマンス諸語のうち代表的な、フランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガルポルトガル語、ブラジルポルトガル語、ルーマニア語のテンス・アスペクト体系の対照研究である。これら6つの言語のテンス・アスペクト体系を記述的に考察するために、本研究はまずAgatha ChristieのThe Thirteen Problemsの各言語訳と原本のパラレルコーパスを作成した。次に、同コーパスを用いて、①各言語における「大過去」の記述および分析し、従来指摘されることのなかったロマンス諸語間のテンス・アスペクト体系の異同を具体的に示すと同時に、②各言語に特有のテンス・アスペクト現象の再検討を行った。
著者
小口 正義 藤森 愛子 小口 はるみ 跡部 治 永田 和也 両角 和雄 藤森 洋子 立花 直樹 蜂谷 勤
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.97-105, 2010 (Released:2010-07-28)
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

抗菌薬適正使用は感染患者の確実かつ安全な治癒,耐性菌出現と蔓延化の防止,および医療費の効率的運用の観点から対処するとされ,特に抗菌薬の使用法管理は経済的にも重要な問題となっている。そのため抗菌薬の使用法管理としての対策(抗MRSA薬・カルバペネム系薬の使用申請制度,監視制度,警告通知制度),DPC制度導入などがどの様に薬剤費に影響したかを調査・分析した。その結果,抗菌薬の総使用量は調査期間中ほぼ一定であったが,カルバペネム系薬の使用量,および抗菌薬の総使用金額は半減した。さらに平均在院日数も減少した。これらのことから当院の抗菌薬適正使用の取り組みにより,スペクトラムの広域な抗菌薬から狭域な抗菌薬への変更,および高価な抗菌薬から安価な製品への置き換えなど,適切な抗菌薬の選択が進んだものと考えられた。抗菌薬適正使用による抗菌薬の使用法管理は,薬剤費に大きなコスト削減効果を及ぼしていることがわかった。
著者
高山 知司 雨森 洋司 金 泰民 間瀬 肇 姜 閏求 河合 弘泰
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1371-1375, 2004-10-08 (Released:2010-06-04)
参考文献数
3

台風0314号は, 2003年9月12日の夕方に中心気圧950h Paで馬山の西側に上陸し, 朝鮮半島を横切って, 13日の未明に日本海側に抜けた. 当初, 釜山が大きな高潮災害に見舞われたとの報道があった. 外洋に面している釜山に大きな高潮が発生したことに疑問があり, 10月22日から2日間にわたって釜山の台風災害について現地調査をした. 本報告は, 釜山における現地調査の結果を示すとともに, 釜山の災害は高潮災害ではなく, 高波災害であることを明らかにしたものである.
著者
大森 洋一 荒木 啓二郎
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.3, no.5, pp.18-28, 2010-12-10

形式的な論理に基づいたモデルベース開発は,上流工程からソフトウェア品質の向上に有用なさまざまな数理的検証を可能とする.しかし,システム開発における仕様記述のほとんどは自然言語により行われており,形式モデルへの変換が必要である.我々は,自然言語による要求あるいは仕様の記述から形式的なモデルの要素となるキーワードを抽出し,それらの関連を特定するという,よく知られた手順をより精密に定義し,この手順を効率的にサポートするツールを開発した.自然言語記述と形式モデルを対応づけることによって,解釈の一意性と記述の柔軟性を両立させることができる.開発したツールを活用した検証では,自然言語による仕様記述に対して,用語や表記のゆれといった言語的な品質から,記述不足や多義的な用語といった解釈に関する問題まで幅広く改善できることを示すとともに,より高度な自動変換に向けての課題を明らかにした.
著者
吉川 徹 北島 洋樹 橋爪 絢子 藤森 洋子 池崎 陽子 松田 晋哉
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.77-88, 2013 (Released:2015-01-25)
参考文献数
29
被引用文献数
2

本研究は新規開発された「止血弁つき安全装置つき静脈留置針(以下,留置針A)」の末梢静脈カテーテル留置手技における心理的負担軽減効果について,①留置針Aを利用している医療従事者536名への質問紙調査,②従来針と留置針Aの作業分析による比較により明らかにした。その結果,73.0%の使用者が留置針Aの使用は患者のケアと安全にとって効果的であり,82.3%が医療従事者の安全にとって効果的だと回答した。止血弁があることで従来針より末梢静脈ルート確保手技がしやすくなっていることが明らかとなった。作業分析から,留置針Aは従来針より非利き手の「押さえる」行為の平均動作時間が7秒短縮され,非利き手の「離す」,「持つ」の動作は2秒増加していた。止血弁により,非利き手の自由度を確保したことが,作業の余裕を生み,血液曝露による不安を軽減したものと考えられた。一方,止血弁の存在をうっかり忘れてしまうことによる止血弁解除後の血液漏れなどの事例も報告されており,従来針に新たな性能が付加された器材の導入には別の血液曝露リスクももたらされることも確認された。(図2,表5)
著者
森 洋明
出版者
天理大学おやさと研究所
雑誌
天理大学おやさと研究所年報 (ISSN:1341738X)
巻号頁・発行日
no.10, pp.19-32, 2003

フランスで,イスラム教の女子生徒が着用するスカーフが初めて社会問題として取り上げられたのは,1989 年のことである。60 年代からのイスラム教系移民の増加がその背景にあるが,2003 年12 月,シラク大統領は国民に向けて,スカーフの規制に関する法案作成を示唆する演説を行った。これを受けて,国民議会は法案を賛成多数で可決し,2004 年の新学期から適用することを決定した。このいわゆる「スカーフ問題」の焦点は,ライシテ(Laïcité)と呼ばれる,公共機関における非宗教性である。これは1789 年の草命以来,フランスを支え続けてきた共和国精神の核となる考え方であるが,それはまたカトリック支配からの脱却の中で培われた精神でもある。さらにそこには,「不可分」と謳う共和国憲法が押し進めてきた,移民に対する同化政策も無関係ではない。しかし一方で,この問題の根底には,今日のフランスが抱えるイスラム教系移民との社会摩擦も見え隠れする。In France,the headscarf worn by Muslim schoolgirls became a social issue for the first timein 1989. The increase of Muslim immigrants that started during the 1960s was an underlyingfactor. In December 2003,President Chirac gave a speech to the nation that hinted at draftinga law banning the wearing of the headscarf. Accordingly,the National Assembly passed thelaw by a majority and decided to enforce it from the new school term of 2004. The focus ofthis"headscarf issue" is so-called "Laïcité," which is secularism in public institutions. It isone of the core ideas of the republican spirit that supported France since the revolution of1789,and is an idea that developed through breaking away from the control of the Catholicchurch. Also related is the assimilation policy for immigrants the constitution of the"indivisible"Republic has been promoting. However,the issue also appears to be rooted in social frictionwith Muslim immigrants in France today.