著者
杉本 健 辻 剛 中澤 隆 豆原 彰 並木 充夫 森信 暁雄 河野 誠司 熊谷 俊一
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集 第35回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
巻号頁・発行日
pp.84, 2007 (Released:2007-10-12)

(症例)71歳女性 (既往歴)65歳:顎下腺腫瘍、70歳:右膝全人工関節置換術後深部静脈血栓症 (家族歴)特記すべきことなし (現病歴)2007年2月下旬よりの下腿浮腫を主訴に当院消化器内科入院。入院後ネフローゼ症候群と診断され、精査中に画像上び漫性膵腫大、膵頭部腫瘤および一部狭窄と不整を伴う主膵管の拡張を指摘された。また、膵周囲、頚部、縦隔など全身リンパ節腫脹も認めた。頚部リンパ節生検から悪性リンパ腫や癌転移は否定され、膵頭部腫瘤については超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診にて悪性所見は認めなかった。以上の所見とIgG4高値より自己免疫性膵炎と診断された。また口腔潰瘍、ネフローゼ、汎血球減少、dsDNA抗体陽性,抗核抗体陽性よりSLEと診断された。3月下旬に加療目的にて免疫内科転科となり、PSL(1mg/kg/day)による治療が開始された。膵頭部腫瘤、全身リンパの縮小と蛋白尿の消失、血球減少の改善を得た。 【考察】IgG4関連疾患として注目を浴びている自己免疫性膵炎を合併したSLEの症例を経験した。両者の合併は極めて稀であるため報告する。
著者
森 正明
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.320-328, 1981-08-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
25

イチジク (Ficus carica L.) 生葉よりカイコに対する毒性物質として psoralen を単離・同定した。 psoralen は食下試験により1.0mg/g dry diet の濃度で成育を著しく阻害し, 1頭当り200μgの皮下注射で5齢起蚕を死亡させた。また, この物質の0.3mg/g dry diet 添加によりカイコの摂食が阻害された。
著者
北浦 順也 向井 省吾 森元 博信 二神 大介 古田 晃久
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.137-140, 2020-04-23 (Released:2020-04-23)
参考文献数
20

腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)時に腸骨動脈瘤を合併する場合,術後のType II endoleakを予防するため一般に塞栓術が施行されるが,その合併症として術後骨盤内虚血がある.症例は82歳男性.腹部大動脈瘤,両側総腸骨動脈瘤に対して右内腸骨動脈コイル塞栓術後を,その1週間後に二期的にEVARおよび左内腸骨動脈コイル塞栓術を施行した.術直後から左臀部の高度安静時疼痛および左臀部チアノーゼを発症し,重症殿筋虚血の診断で緊急左外腸骨動脈–内腸骨動脈バイパス術を施行した.術後チアノーゼおよび安静時疼痛は消失し,術後造影CTにてendoleakなく,バイパスは良好に開存していた.EVARに併施した内腸骨動脈塞栓術直後に重症殿筋虚血を呈した場合,速やかな腸骨動脈血行再建が必要である.
著者
森 俊輔
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2020-04-24

本研究では、自己免疫疾患発症の原因と考えられるミスフォールドタンパク質・MHC クラスII 分子複合体の形成に重要な分子である Invariant chainに注目し解析を行う。ウイルスの免疫逃避機構の一つと考えられるInvariant chainの発現量低下が自己免疫を誘導する可能性があり、本研究を通してウイルス感染が関与する様々な自己免疫疾患の発症機構が明らかになると期待される。
著者
松枝 洋二郎 森 茂
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J105-C, no.8, pp.235-243, 2022-08-01

プラスチック基板上にTFT (Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)アレーを形成したFLX-OLED (Flexible Organic LED:フレキシブル有機EL)ディスプレイは,3D曲面を駆使した質感の高いデザインを採用し,各種センサーを内蔵したモバイル市場の頂点に立つ最先端の電子デバイスである.積極的な製造ラインへの投資が続く中国のFLX-OLED市場では,世界初の新技術も次々に登場し,韓国と熾烈な技術開発競争を繰り広げている.FLX-OLEDのバックプレーンには,従来のLTPS (Low Temperature Polycrystalline Silicon:低温多結晶シリコン) TFTだけでなく,低消費電力を特徴とするLTPO (Low Temperature Polycrystalline Oxide) TFTも登場し,酸化物TFTも含めた次世代バックプレーンの三つ巴の戦いの様相を呈している.本論文ではモバイル用有機ELディスプレイの最新技術開発動向をレビューするとともに,最大の課題であるコスト削減のためのTFTの要求性能について議論する.
著者
森満 保 永井 知幸 井手 稔
出版者
THE JAPAN OTOLOGICAL SOCIETY
雑誌
Ear Research Japan (ISSN:02889781)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.304-306, 1983 (Released:2011-08-11)
参考文献数
3

In the early morning on Jan. 6, 1982, 135 cetaceans were found stranded alive at Aoshima Beach, Miyazaki, Japan. Since Aristotle reported on the strnading of dolphins, single or mass stranding of various kinds of cetaceans have been reported from many parts of the world. However, the reason for such mass stranding is not still fully explained to everyone's satisfaction.We have examined one of them and found a lot of parasites in the bilateral tympanic cavities. The parasites were identified to belong to the genus Nasitrema and closest to Nasitrema gondo Yamaguchi. The number of the parasites were over 30 in each ears, and the mucous membrane of the cavity was inflammed. The ossicular chain was fixed especially the stapes was fixed at the oval window. The periotic bone including the labyrinth was studied histologically. In the labyrinth pathological changes were minimum. However, the octavus nerve was inflammed and many eggs with triangular shape in cross section were found near the nerve. From the findings obtained, we would like to conclude that parasitogenic otitic and octavus neuropathy should be a possible cause of live mass stranding of cetaceans.
著者
徳田 光紀 唄 大輔 藤森 由貴 亀口 祐貴 庄本 康治
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.63-66, 2016 (Released:2022-09-03)
参考文献数
10

本研究の目的は大腿骨頚部骨折術後症例を対象に,術後翌日から電気刺激治療を併用しながら筋力強化運動を実施する電気刺激併用筋力強化法の効果を検討することである.大腿骨頚部骨折術後に人工骨頭置換術を施行した8名を対象に電気刺激併用筋力強化法群(ES群)4名とコントロール群4名に割り付けた.電気刺激併用筋力強化法は電気刺激治療器(ESPERGE)で患側の大腿四頭筋に対して二相性非対称性パルス波,パルス幅300 µs,周波数80 pps,強度は運動レベルの耐えうる最大強度,ON:OFF=5:7秒に設定して毎日20分間実施した.膝伸展筋力(患健側比),股関節JOAスコア,日常生活動作および歩行の自立するまでに要した日数を評価し,各群で比較した.ES群はコントロール群よりも筋力や股関節JOAスコアは早期に改善し,日常生活動作および歩行の自立も早かった.大腿骨頚部骨折後の人工骨頭置換術後症例に対する術後翌日からの電気刺激併用筋力強化法は,膝伸展筋力の改善や日常生活動作および歩行の早期獲得に効果的に寄与することが示唆された.
著者
浜田 利満 仲畑 光蔵 伏見 智 森岡 喜史 西田 武彦
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.65-71, 1993-01-05 (Released:2009-07-23)
参考文献数
15
被引用文献数
5 8

This paper describes an automatic solder joint inspection system by X-ray imaging. The following were developed for highly reliable inspection of J-lead and gull-wing lead solder joints : (1) An automatic inspection method for double side-mounted PCBs (Printed Circuit Boards) by micro-focus X-ray imaging and board tilting, (2) Enhancement of X-ray image of solder joints by logarithmic transformation of a detected image, (3) Fillet judgement by comparison between a detected image and a number of typical nondefective images selected by a clustering procedure, (4) Bridge determination by multi-step thresholding and comparison between pattern frequency distribution of a detected image and that of a nondefective image. The inspection system developed with these technologies had a defect detection rate of 100% with the smallest detectable defect being 50 μm.
著者
森下 義郎 大山 浪雄
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.12, pp.382-386, 1952-12-25 (Released:2011-09-02)
参考文献数
7

This experiment was conducted to find out how to eliminate or make innoxious the substance inhibiting rooting, which is contained in the cuttings, and to raise the rooting percentage of the cuttings. We used the saw dust of chestnut (Castanea crenata SIEB. et ZUCC.) as the material for our experiment and studied how to treat it.The findings may be summarized as follows:1. None of the cuttings of Amorpha Fruticosa took root when they were put in the saw dust containing the substance inhibiting rooting. It came to our notice that the vessels in the cross section at the end of the cutting, 1m.m across, were clogged with a brown tannin-like substance.2. It was found out that the saw dust contained a substance which is soluble in water, is apt to oxidise and inhibits rooting. This is considered to be a substance similar to tannic acid.3. For eliminating the substance inhibiting rooting, the treatments in boiling water, lukewarm water, lime water, alcohol, etc. are all effective. Above all, the treatments in boiling. water and lukewarm water are considered to be most effective. The effect of the treatment in lime water is worthy of our notice.4. It is regarded as effective in eliminating the substance inhibiting rooting to dip the end of cutting in water, warm water, lime water, alcohol, etc. and cleanse it. This treatment is considered to be effective in eliminating the substance because the substance is removed when the cross section at the end of cutting is, dipped in the processing solution.
著者
森田 尚樹 佐藤 幸男 櫻井 裕之 横堀 將司 石川 秀樹 梶原 一 海田 賢彦 松村 一 福田 令雄 濱邉 祐一 磯野 伸雄 田上 俊輔 藤原 修 副島 一孝 新井 悟 佐々木 淳一
出版者
一般社団法人 日本熱傷学会
雑誌
熱傷 (ISSN:0285113X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.76-89, 2022-09-15 (Released:2022-09-15)
参考文献数
17

東京都熱傷救急連絡会は熱傷救急ネットワークとして参画施設よりデータを収集, 分析し熱傷に関する啓発活動等を行っている. 今回1991年から2020年の30年間分9,698症例のデータを5年ごとに分け分析し, 熱傷症例の傾向を検討した.  総症例数に大きな変化は認めず, おもな受傷原因はflame burn, scald burn, inhalation injuryの順に多かった. 平均熱傷面積は有意に減少を認め, 平均年齢は有意に上昇し, 死亡率は有意に低下を認めた. 死亡症例の平均年齢は有意に上昇し, 平均熱傷面積は減少した. 死亡症例のBIは有意に減少したが, PBIは変化を認めず, 100をこえると死亡率は60%以上となった. 原因別症例数推移は, scald burnは増加傾向を, inhalation injuryは有意に増加した. これに対し, flame burnは有意に減少を認めた. Flame burnでは火災, コンロ等, 自傷行為, scald burnではポット・鍋の湯・油, 熱い食べ物, 風呂・シャワーがおもな受傷原因であった.  年齢別症例数は, 年少年齢 (0~14歳) ではポットの湯や油によるscald burn症例が増加傾向にあり, 対して火災によるflame burn症例は減少傾向を示した. 生産年齢 (15~64歳) では火災や自傷行為によるflame burn症例は減少傾向を認めた. 老年年齢 (65歳以上) では火災, コンロによるflame burn, 熱い食べ物, ポットの湯によるscald burnで症例数の増加を認めた. 出火原因はタバコの火の不始末 (不適当な場所への放置), 焚火, コンロが多く, 今後高齢者人口の増加に伴い, タバコの火の不適切な場所への放置, 焚火への注意喚起や, コンロ等のIH化や難燃性の衣類の推奨, ポットや鍋等の熱い食べ物による熱傷に対する啓発活動が重要であると考える.
著者
伊藤 正典 畠山 収一 久慈 一英 宮内 勉 森 保人 伊藤 利之 北野 博嗣 泊 康男
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.26, no.11, pp.1709-1713, 1993-11-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
13

胃異所性石灰化を合併した長期血液透析患者の1例を経験したので, 臨床所見と合わせ報告する.症例は49歳, 男性. 18年の血液透析歴をもつ長期透析患者であった. 心窩部痛の訴えがあり, 胃内視鏡を行ったところ, びらん性胃炎と診断された. さらに, 生検標本にて, 胃粘膜内に石灰化が認められ, 異所性石灰化と診断された. 骨シンチグラムでも, 胃に集積がみられた. 胃運動機能を評価する目的で, 胃排出時間を測定したが, 固形食, 液体食ともに遅延は認められなかった.臓器異所性石灰化は, 尿毒症の合併症のひとつと考えられるが, 胃異所性石灰化の臨床的意義について, これまで言及した報告はない. 本例では, 内視鏡検査では出血を伴った胃粘膜のびらんが認められた. また, 胃排出時間を検討した結果では胃運動機能は障害されていなかった. しかし, この点に関しては, さらに経過観察が必要と思われる.