著者
榊原 章一 中野 崇 加藤 一夫 中垣 晴男 福田 理
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.459-464, 2011-12-25 (Released:2015-03-14)
参考文献数
27
被引用文献数
1

齲蝕は歯垢中の細菌が産生する酸が歯質を脱灰することによって起こる。一方フッ化物は齲蝕予防効果があり,歯垢中に低濃度で常時存在することでそれを発揮する。フッ化物による齲蝕予防効果の1 つに歯垢細菌の糖代謝に対する抗酵素作用があり,菌体外への乳酸などの有機酸の生成を抑制する。本論文ではフッ化物の具体的な効果を解明するため,250 ppmF NaF 溶液を用いた際の,歯垢細菌へのフッ化物の影響を調査した。NaF 溶液で洗口した群を実験群,蒸留水で洗口した群を対照群とし,各群の洗口後,10 分後に10%グルコース溶液にて洗口を行い,更にその後5 分後に歯垢採取を行い,採取した歯垢のフッ化物,乳酸及びグルコースの濃度を測定した。本実験より以下の結果を得た。・実験群では,フッ化物濃度は有意に上昇した・実験群ではグルコース洗口後の乳酸の産生濃度が有意に減少した・実験群ではグルコースの残留量が多い傾向にあった本実験の結果より,フッ化物洗口によってフッ化物イオンが歯垢中に取り込まれ,歯垢細菌の乳酸産生を抑制したことが明らかとなった。しかしながら,NaF 溶液による歯垢中フッ化物濃度の上昇は一時的であるため,今後は歯垢中フッ化物濃度を長時間高濃度に維持する方法について検討が必要である。
著者
成田 徹男 榊原 浩之
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.41-55, 2004-01-10

現代日本語の表記原則では、およそ次の3つの規則がある。規則1:漢語は「漢字」で書け。規則2:和語は「漢字」または「ひらがな」または「両者の交ぜ書き」で書け。規則3:外来語は「カタカナ」で書け。つまり、当該語の、語種の認定が前提となっているのである。 しかし、最近ではこの規則に合致しない、和語や漢語のカタカナ表記例が多くなっている。それをインターネット上の新聞・雑誌などのサイトに見られる実例について調査して、延べで2119語、異なりで855語の例を得た。そのような表記がさかんになされる背景には、語種以外の、語の分類を、表記文字の使い分けの基準とするような意識があると考えられる。そこで、上記のような規則とは別に、次のような表記戦略を仮説として提示する。語種を基準にしてカタカナを使うのは明らかな外来語についてだけ。それ以外については、たとえば動物名かどうか、などの語の分類が基準として優先される。日本語の、文字の使い分けの習慣は、この方向へ変化しつつあると思われる。
著者
岡田 佳之 榊 剛史 鳥海 不二夫 篠田 孝祐 風間 一洋 野田 五十樹 沼尾 正行 栗原 聡 Okada Yoshiyuki Takeshi Sakaki Fujio Toriumi Kosuke Shinoda Kazuhiro Kazama Itsuki Noda Masayuki Numao Satoshi Kurihara
雑誌
SIG-SAI = SIG-SAI
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-9, 2013-03-11

Twitter is a famous social networking service and has received attention recently. Twitter user have increased rapidly, and many users exchange information. When 2011 Tohoku earthquake and tsunami happened, people were able to obtain information from social networking service. Though Twitter played the important role, one of the problem of Twitter, a false rumor diffusion, was pointed out. In this research, we focus on a false rumor diffusion. We propose a information diffusion model based on SIR model, classify the way of diffusion in four categories, and reapper the real diffussion by using this new model.
著者
榊原 志代
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.59-75, 2008-12-30

This paper examined how interpersonal relationships can be expressed prosodically in the Italian greeting "Buongiorno". A factor analysis of the perceptual ratings of natural utterances yielded two factors: (1) psychological distance based on intimacy, and (2) power relationship. Correlation analyses showed that the level of intimacy can be reflected in the rise of F0 in the first syllable and/or in the fall of F0 in the final syllable. Moreover, not only the direction of F0 movement but also its range and the syllable duration seemed to reflect psychological and power relationships.
著者
及川 欧 榊原 雅人
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.33-38, 2021 (Released:2021-05-19)
参考文献数
12

コロナ禍の臨床現場では今 「直接触れ合う」 ことを避ける傾向にある. 今まで通りバイオフィードバック治療/施術を行えるように, 著者らは日本バイオフィードバック学会独自の医学系・工学系・心理学系の連携を背景に, 最近日本でよく用いられるようになった遠隔webビデオ会議システムを用いた新しい形の治療法を試案した. 具体的な治療法は, 1990年代から一貫して用いている, 自律訓練法, バイオフィードバック法と呼吸法を組み合わせた方法である. 今回, 5例の冷え症の女性に遠隔治療を試みて症状改善が得られ, その結果をNHKの全国放送で発表した. 時代に応じ, 治療法にICT (Information and Communication Technology) を駆使した新しい試みだが, 治療する/される側, 発信する側/視聴する側それぞれには, 今まで以上にICTを 「適切に」 使いこなすための 「リテラシー」 が要求される. 本稿では, 「リテラシー」 に関する著者らなりの見解を示す.
著者
榊原 哲也
出版者
医学書院
雑誌
看護教育 (ISSN:00471895)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.398-403, 2018-05-25

近くて遠いベナー パトリシア・ベナー(Patricia Benner, 1943─)。おそらく読者のみなさん誰もがご存知の看護理論,看護教育理論の世界的権威です。多くの著作が日本語に翻訳され,読者の関心も高く,みなさんの多くは,おそらく書棚に『ベナー看護論』をはじめ何冊かの著作を備え,多少なりともその理論にふれておられることと思います。また,たびたび来日して講演会や講習会が開かれていますので,みなさんのなかには,書物を通じてだけでなく,講演会や講習会に参加してベナーの話に直接耳を傾けた方もおられるかもしれません。さらに,ベナーによる5段階の技能習得モデルがご自身の臨床現場で教育プログラムやキャリアラダーに採用されていて,とても身近だという方もいらっしゃるのではないかと察します。 このように,おそらくは,多くのみなさんがベナーに関心を持ったり,身近に感じたりしているにもかかわらず,他方では,実際にベナーの著作を読んでみると,難しい,そもそも理論はよくわからないという方も,決して少なくないと聞き及びます。
著者
榊 利之 安田 佳織 西川 美宇 生城 真一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.138, no.3, pp.357-363, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
22
被引用文献数
2 9

Sesamin, derived from sesame seeds, is known to have various biological effects. Since some of these effects appear to be derived from its metabolites, the elucidation of sesamin metabolism is essential to understanding the molecular mechanism of its effects. In addition, it is important to clarify drug-sesamin interactions in order to address safety concerns, as some food factors are known to affect drug metabolism. Our previous studies revealed that sesamin was sequentially metabolized by cytochrome P450 (CYP) and UDP-glucuronosyltransferase or sulfotransferase. Whereas sesamin metabolism is mainly mediated by CYP2C9 in human liver, sesamin causes a mechanism-based inhibition (MBI) of CYP2C9. However, we found that the metabolite-intermediate complex between CYP2C9 and sesamin was unstable, and the effects of sesamin appeared to be minimal. To confirm this assumption, in vivo studies using rats were conducted. After the administration of sesamin to rats for 3 d, diclofenac (an NSAID) was administered to measure the time course of plasma concentration of diclofenac. No significant differences were observed in the diclofenac Cmax, Tmax, and AUC0-24 h between the group that was administered sesamin and the group that was not. Based on these results, it could be concluded that no significant interaction occurs in people who take sesamin supplements at a standard dose.
著者
榊原 健一 林 良子 後藤 多嘉緒 河原 英紀 牧 勝弘 齋藤 毅 山川 仁子 天野 成昭 山内 彰人
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

喉頭音源に関連する声質の客観的表記に関し、生理学的、物理学的視点から、音源となる振動体の分類により(i) 声帯発声 ; (ii) 声帯-仮声帯発声; (iii) 声帯-披裂部発声; の3種類の有声音と,無声音である声門乱流雑音発声と分類が可能であり、有声音源に関しては、物理的・音響的特徴から周期的、準周期的、非周期的の3つの振動への分類を提案した。また、声質表現として緊張-弛緩と声門開放時間率との関係を明らかにし、声質の客観的な表現語として適切であることを明らかにした。声門開放時間率の分析方法として、余弦級数包絡の複素wavelet分析に基づく簡易なGCI, GOIの検出方法を考案した。
著者
榊原 巌
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.132, no.5, pp.265-269, 2008 (Released:2008-11-14)
参考文献数
12
被引用文献数
4 6

漢方製剤が薬価に収載されてすでに30年以上が過ぎ,医療の現場においても漢方製剤が治療アイテムとして定着してきている.また,15改正日本薬局方において初めて6処方の漢方エキスが収載され,医療用医薬品の地位を固めつつある中,その品質保証の面で,科学の進歩に合わせたより高度な分析評価が望まれるようになってきている.一方,欧米においては補完代替医療(CAM)の考え方が定着し,多くのサプリメントが普及されるようになってきている.その中,アリストロキア酸含有生薬が配合された製品が引き起こした腎障害事例,エフェドラによる脳出血の事例など,ハーブによる様々な問題も表面化されるようになり,植物薬の品質管理面での社会的な要望が高まりつつある.米国FDAならびに欧州EMEAでは植物薬の品質評価として“フィンガープリント”を提唱している.この流れを汲み,漢方製剤の国際化も考慮し,“漢方製剤の3Dフィンガープリント評価法”を確立した.本評価法は原料となる生薬および製品である漢方製剤の双方の品質評価に有用であり,特に配合する生薬の品質が最終製品である漢方製剤の品質を左右することから,より均一な漢方製剤を提供するためには原料生薬レベルでの品質の安定化を図る取り組みが重要となる.またフィンガープリントによる同等性評価としての新たな試みとして,統計学的な手法を用いたパターン認識法による同等性の解析評価法を開発した.漢方製剤を高次なレベルで評価する取り組みが今後,益々重要視されてくる.
著者
榊原 啓 肥田野 等 土屋 整也 福井 明 高橋 洋平
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.968-973, 1984-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

播種性コクシジオイデス症の1例を経験した.症例は47才,男性で,昭和57年7月23日頃より38°C以上の発熱あり,近医にて加療するも不変のため, 7月30日本院受診し入院した.入院時胸部写真で,右上縦隔および右肺門リンパ節の腫大,右上葉のスリガラス様陰影を認めた.当初肺炎と診断し,各種抗生物質,抗結核薬を投与したにもかかわらず, 39°C以上の発熱が1カ月以上続いた. 8月中旬より右鎖骨上窩にリンパ節を触知し,母指頭大に腫大したため, 9月8日生検した.この結果コクシジオイデス症の疑いが濃厚となつた.なお,この生検部が一時外瘻化し膿汁が出現したため,これを培養した所, Coccidioides immitisと定し得た. 9月14日よりアンホテリシンBと5-FCの併用療法を行なつたが,無効のため, 10月1日よりMiconazoleとKetoconazoleに変更した.変更後2週間で下熱し,血沈も改善した.一時肺炎を合併したが経過は順調で12月16日MiconazoleとKetoconazoleを中止した.コクシジオイデス症は難治性疾患で,特に播種性コクシジオイデス症の半数は死亡するとされている.本症は北中南米にみられる疾患で,他地域には殆どみられない本邦では1927年に榊原らが朝鮮人労働者の1例を報告しているにすぎず,本症例は日本人として第1例目である.
著者
中原 徳昭 古田 幸 境田 博至 甲斐 孝憲 榊原 陽一 西山 和夫 水光 正仁
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.355-365, 2005 (Released:2007-04-13)
参考文献数
46
被引用文献数
1

センサにより本格焼酎の基本的な味を表現することを目的とし, 各脂質膜センサの特性 (意味づけ) について, 官能評価と化学分析を組み合わせた解析を行った. その結果,1. 水和シェルが存在し, ある程度エタノールポリマーの刺激を抑制すると考えられる6~18%のエタノール溶液においては, エタノールに対して主に「苦味」を, それ以上の濃度のエタノール溶液に対しては強い「刺激感」と共に「甘味」も感じることが確認された.2. 25%以上のエタノール溶液および本格焼酎を口に含んだ場合, 舌の表面においてエタノールと水の結合による発熱が起こり, この発熱が, 飲用温度による味覚感受性の変化と共に本格焼酎の味に何らかの影響をおよぼすことが示唆された.3. エタノール濃度に選択的に応答するセンサの特定を行った結果, プラス膜のAE1センサおよびブレンド膜の0E1センサが, 本格焼酎のエタノール濃度に良く応答することが確認され, この2つのセンサ挙動を比較することで, その他の味成分とエタノールの相互作用を確認できることが示唆された.4. 本格焼酎の官能評価における「酸味」は, pHおよび酢酸濃度に必ずしも一致しないが, AN0, CN0, AAEセンサのようにセンサの脂質膜にリン酸エステルを使用することで, 本格焼酎に含まれる「酸味」成分によく応答すると共にその他の成分との相互作用を確認できることが示唆された.今回の試験の結果, 本格焼酎におけるエタノールの味は, 刺激を伴う「苦味」が主体であることが確認できた. しかし, 日常において本格焼酎を飲用する際, このエタノール溶液のような強い「苦味」を感じることは希である. これは, 熟成の効果もさることながら, 本格焼酎独特の製法によって生み出される様々な成分が相互作用し, このエタノールの刺激を伴う「苦味」を抑制しているためと考えられる.今後はさらに, その他の各脂質膜センサの特性 (意味づけ) について解析を進めると共に, 本格焼酎の主成分であるエタノールの味を軸に, その他味成分との相互作用について官能評価と化学分析に味覚センサを組み合わせた検討を行っていく予定である.
著者
榊 美知子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.58-60, 2006 (Released:2006-10-07)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

Greater self-complexity has been suggested as a protective factor for people under stress (Linville, 1985). Two different measures have been proposed to assess individual self-complexity: Attneave's H statistic (1959) and a composite index of two components of self-complexity (SC; Rafaeli-Mor et al., 1999). Using mood-incongruent recall, i.e., recalling positive events while in negative mood, the present study compared validity of the two measures through reanalysis of Sakaki's (2004) data. Results indicated that H statistic did not predict performance of mood-incongruent recall. In contrast, greater SC was associated with better mood-incongruent recall even when the effect of H statistic was controlled.
著者
松岡 篤 山北 聡綜 榊原 正幸 久田 健一郎
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.104, no.9, pp.XXI-XXII, 1998 (Released:2010-12-14)
被引用文献数
1

秩父累帯の主要部は, ジュラ紀の付加体からなる. 付加体に含まれるチャートや石灰岩などの海洋性物質について, その堆積年代や含まれる化石の古生物地理学上の特徴を明らかにすることにより,秩父累帯の形成モデルに制約を与えることができる. また, 地質構造の特徴は, 付加体形成から現在にいたるまでのプロセスを反映している, 秩父累帯を構成する主要なユニットについて, 露頭のようすや山塊の表情を紹介する. 斗賀野ユニットと三宝山ユニットは南部秩父帯に, 柏木ユニット, 住居附ユニットおよび沢谷ユニットは北部秩父帯にそれぞれ属する.
著者
石田 洋一 榊原 陽一 山崎 正夫 森永 浩通 赤松 絵奈 柚木崎 千鶴子 酒井 美穂 鳥居 絵里 西山 和夫 水光 正仁 坪内 博仁 岡山 昭彦 片岡 寛章
出版者
日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
雑誌
日本プロテオーム学会大会要旨集 日本ヒトプロテオーム機構第5回大会
巻号頁・発行日
pp.84, 2007 (Released:2007-08-29)

成人T細胞白血病(Adult T-cell leukemia; ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス(Human T-cell leukemia virus type 1; HTLV-1)の感染によって引き起こされる悪性腫瘍であり、未だ有効な予防・治療法は確立されていない。HTLV-1に感染したウイルスキャリアの内、ごく一部(3~5%)が、長い期間(30~50年)を経て、ATLを発症する。我々は、宮崎県地域結集型共同研究事業「食の機能を中心としたがん予防基盤技術創出」の研究の一環として、食品の機能性を活用したATL予防法の開発を進めている。本研究では、古来より様々な生理活性が知られているハーブ類に着目し、ATL細胞増殖抑制活性を有する高機能性食品の探索と作用機序の解析を行った。 まず、数種のハーブの80%エタノール抽出物を用い、ATL細胞株(ED細胞、S1T細胞)の増殖抑制活性を調べた。その結果、抗炎症効果などで有名なローズマリー(Rosmarinus officinalis)の抽出物において、最も強い活性が認められ、アポトーシスの生化学的指標であるカスパーゼの活性化が検出された。更に、ローズマリー含有生理活性物質の一種であるカルノソールにおいて、アポトーシス誘導活性が検出されたことから、カルノソールはローズマリーのアポトーシス誘導活性本体の一つであることが示唆された。 次に、カルノソールのアポトーシス誘導機構を明らかにすべく、カルノソール-ED細胞系を用い、蛍光ディファレンシャル2次元電気泳動法で網羅的蛋白質発現解析を行った。カルノソール処理により発現変動を示す蛋白質については、PMF法とMS/MSイオンサーチ法で同定した。その結果、発現増加が見られた蛋白質の多くは、三つのカテゴリー、即ち、1)解糖系に関わる酵素、2)ペントース-リン酸経路に関わる酵素、3)酸化還元反応に関わる蛋白質に分類された。解糖系とペントース-リン酸経路は連動して機能し、グルタチオンなどの細胞内抗酸化反応に寄与する。そこで、グルタチオンの関連性を検討したところ、カルノソール処理細胞では細胞内グルタチオンが減少することが分かった。 以上、ATLの予防に有用な高機能性食品を探索した結果、ローズマリーとその含有成分の一種であるカルノソールにアポトーシス誘導活性を見出した。更に、カルノソールの作用機序解析より、細胞内グルタチオンの減少がアポトーシス誘導の一因であることが示唆された。
著者
池田 圭佑 榊 剛史 鳥海 不二夫 栗原 聡
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
JSAI大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.3P1NFC00a1, 2018-07-30

<p>東日本大震災時Twitterなどのソーシャルメディアが重要な情報源として積極的に利用された.一方でTwitter利用にはデマが拡散してしまうなどの問題がある.我々はこれまでデマ収束を行うための前段階として情報拡散モデルを構築し, デマの拡散メカニズムの同定を目指してきた.CHIDRIは本年で卒業とのことより,これまでの研究成果から得た知見をまとめ,今後の情報拡散制御手法構築へ向け考察を行う.</p>