著者
藤井 千惠 榊原 久孝 古田 真司
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

児童生徒の健康調査および追跡調査、さらに子どもと保護者の健康調査を実施して、その結果を踏まえた家族の生活習慣病予防教育を実践した。その結果、児童生徒の過体重者ではインスリン抵抗性が認められ、小児期からの適切な体重管理の重要性が示唆された。子どもとその両親では、体格、血圧・血液検査結果、生活習慣で有意な正の相関が認められ、児童生徒の健康状態には遺伝的な背景とともに生活習慣の積み重ねやさらに親の生活習慣が大きく影響を与えている可能性が示された。子どもと保護者を主体とする家族の生活習慣病予防教育を学校における保健教育の一環として位置づけ、家庭・学校・地域連携により協働で実践する必要性が示された。
著者
榊原 伸一 上田 秀一 中舘 和彦 野田 隆洋
出版者
獨協医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

神経系前駆細胞、神経幹細胞の分裂タイミング調節などの幹細胞維持機構の一端を明らかにするために、神経幹細胞に強く発現する新規遺伝子を同定し、SE90/Radmis(radial fiber associated mitotic spindle protein)と命名した。radmis mRNAは塩基配列から80kDaのタンパク質をコードすると予測されるが、既知の遺伝子との有意な相同性を示さず、また保存されているモチーフ構造も有さない。ノーザンプロット分析によりradmis mRNAは神経幹細胞で強く発現しているが、分化誘導により発現が低下、消失することが明らかになった。さらに特異的抗体を作製しradmisタンパク質の発現パターンを詳細に解析した。その結果、Radmisはnestin陽性神経幹細胞に強く発現し、胎生期の終脳胞において、Radmisは神経上皮細胞(神経幹細胞)の放射状突起(radial fiber)に発現していた。また脳室に面する部位に見られるリン酸化Histon3陽性の分裂期の神経幹細胞では、有糸分裂紡錘体に非常に強く局在していた。分裂期の発現解析からRadmisはM期の前中期、中期、後期の神経幹細胞の紡錘体に発現し、分裂面とは無関係に発現することから、対称性・非対称性分裂の両方の分裂様式で機能することが示唆された。さらに成体脳では側脳室前角のSVZのわずかな細胞に発現が限局される。これら陽性細胞では、胎生期と同様に、分裂期の紡錘体で発現が見られ、さらにその周囲のnestinまたはGFAP陽性の細胞突起にも発現が認められることから、RadmisはTypeB、TypeCなどの成体の神経幹細胞および神経前駆細胞に発現することが示された。また培養細胞系においてRadmis遺伝子の強制発現を行なったところ、mitotic indexの亢進と異常な紡錘体微小管形成が観察された。以上のデータから、Radmisは神経発生期、成体期を通して神経幹細胞あるいは前駆細胞の分裂時の細胞骨格再編成、あるいは紡錘体微小管の形成調節などを通してこれらの細胞の維持機構に役割を担っている可能性が考えられる。
著者
平井 重行 榊原 吉伸 早川 聖朋
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.2, pp.1-6, 2011-05-06

日常生活を送る場所で,音楽を自らが演奏して楽しめる環境組み込み型の楽器の研究を行っている.その一つとして入浴中に浴槽をこすると鳴る 「キュッ,キュッ」 という音を利用して,DJ スクラッチ演奏が行えるシステム Bathcratch を制作した.ここでは,浴槽こすり音の特徴であるピッチの存在に着目し,その検出によってこすり音とそれ以外の音とを区別し,浴槽をこすった場合にのみスクラッチ音が鳴る仕組みを実現した.本報告では,その浴槽こすり音の解析や,Bathcratch システムの演奏処理部分を中心とした機能について述べる.We developed an environmental embedded instrument which we enjoy playing in everyday life. The Bathcratch system which is utilizing rubbing sounds of bathtub with some water enables us to play DJ scratch sounds. In this paper, we describe the system overview and its some functionalities including analyzing bathtub rubbing sounds and playing DJ scratch sounds.
著者
榊原 真奈美 野添 篤毅
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.22-27, 2011-01-01

1990年以降,医学分野では診療レベルにおいて科学的根拠に基づく医療(Evidence-based Medicine:EBM)が普及し,その考え方はEvidence-based Librarianship(EBL)/Evidence-based Library and Information Practice(EBLIP)として図書館情報学分野にも取り入れられた。本論文では,EBL/EBLIPにおける情報学的研究の例として,国内外の医学研究における利益相反(Conflict of interest:COI)調査を取り上げて概観する。医学研究分野において,COIは研究の公正さや透明性,ひいては医療消費者の生命や健康に関わる重大な問題となっている。海外では医学研究とCOIとの関連性を実証的に検証した研究が数多く行われており,これらを整理,展望すると共に,COI研究の問題点と今後の課題を考察する。
著者
野間 晴雄 野中 健一 宮川 修一 岡本 耕平 堀越 昌子 舟橋 和夫 池口 明子 加藤 久美子 加納 寛 星川 和俊 西村 雄一郎 鰺坂 哲朗 竹中 千里 小野 映介 SIVILAY Sendeaune 榊原 加恵 SOULIDETH DR.MR. Khamamany BOURIDAM MS. Somkhith ONSY Salika CHAIJAROEN Sumalee 岡田 良平 的場 貴之 柴田 恵介 瀬古 万木 足達 慶尚 YANATAN Isara 板橋 紀人 渡辺 一生
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

東南アジア大陸部に位置する天水田農業を主体とした不安定な自然環境における平原地帯(東北タイドンデーン村とラオスのヴィエンチャン平野ドンクワーイ村)における多品種の稲や植物,魚介類や昆虫など様々な動植物資源の栽培・採集・販売などの複合的な資源利用の実態とその変化の態様を地域の学際的・総合的共同調査で明らかにした。両村ともグローバル市場経済の影響が認められるが,ドンデーン村ではかつて存在した複合的な資源利用が平地林の消滅や都市近郊村落化によって失われており,ドンクワーイ村はグローバル化や森林伐採で変容を遂げつつあるが,インフラの未整備によって伝統は保持されている。
著者
榊 茂好
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.435-438, 2007-06-05
著者
関 達也 島津 利行 和智 誠 榊原 肇 大口 敬
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.31-38, 2022-01-01 (Released:2022-01-01)
参考文献数
6
被引用文献数
3

東京都内に整備される約 16,000 箇所の信号機のうち、約 8,000 箇所が交通管制センターに接続されており、約 20,000 箇所に設置された車両感知器の情報を元に信号秒数を調整している。車両感知器は交通状況把握に不可欠であり、約 19 年ごとの施設更新が適当とされるが、交通安全施設の維持費用や管理労力は多大であり、更新に遅れが生じている。近年、プローブ情報の活用に関する研究開発が盛んに行われ、実用化に向けた取組みも多く提案されている。我々は、TomTom 社の協力のもと、プローブ情報と車両感知器それぞれから推定した渋滞長と旅行時間の比較を行った。更に、車両感知器が整備されていない非幹線道路の交通状況をプローブ情報で補完し、実際の信号制御へ活用することの有効性を検証した。
著者
榊原 肇 大口 敬
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.2, no.6, pp.1-10, 2016-10-01 (Released:2016-10-01)
参考文献数
4
被引用文献数
5

系統制御は、複数の信号制御交差点を通過する車両の停止時間及び停止回数を最小化することを目的としている。最も単純な 1 リンク 2 交差点で、青現示率が共に0.5の場合の系統効果の性質はよく知られているが、任意の青時間率の場合の性質は明確ではない。本稿では系統効果の概念を再検討し、一般化して定式化する。系統効果とサイクル長、リンク長、往復旅行時間との関係を任意の青時間率に対して定式化し、その特性を考察する。その結果、系統効果が高いとは、リンク間の往復旅行時間がサイクル長またはサイクル長のN 倍数に一致する場合、系統効果が低いとは、リンク間の往復旅行時間が青時間長またはサイクル長のN 倍数+青時間長に一致する場合であることを示す・
著者
榊原 直樹 増田 藍 井口 匠 築地新 建太 田中 伸之輔 丸山 幸伸
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.363-372, 2023-11-25 (Released:2023-11-25)
参考文献数
10

Dark patterns are designs that intentionally lead website users toward choices that are detrimental to their best interests. In recent years, the use of dark patterns on websites has grown, becoming a global issue. While typical dark patterns on websites are well-known, those associated with IoT devices remain less understood. In this study, we conducted two workshops to explore dark patterns in IoT products and identify associated risks. In the first workshop, we created a matrix to categorize existing dark patterns in IoT devices and conceptualize new approaches. In the second workshop, we developed a customer journey map to scrutinize dark patterns from the customer's point of view. Subsequently, we evaluated the effectiveness and limitations of our research methodology for identifying these risks. Our findings suggest that using a customer journey map provides several advantages over traditional methods based on existing classifications: it allows for contextual understanding of the product or service, enables a comprehensive examination of the entire process, and encourages consideration from the user's perspective.
著者
榊原 茂樹 譚 鵬
出版者
日本知的資産経営学会
雑誌
日本知的資産経営学会誌 (ISSN:27586936)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.6, pp.28-40, 2020-12-20 (Released:2023-05-01)

本論文は,国際統合報告フレームワーク(IIRC〈framework〉)が意図するように,統合報告書(IR)の発行が財務数値の株式価値関連性を追加的に高めたかどうかを,2004―2016年に初めて統合報告書を発行した日本企業を対象に検証した。 全サンプル企業を対象とした検証の結果は,非正規分布の株価データを正規分布へと補正する程度に応じて,異なった。すなわち,補正の程度が緩いケースでは,財務数値の価値関連性はIR の発行によって「追加的に」高まったが,さらに正規分布へとヨリ近付けると,財務数値の価値関連性の「追加的」増加は消滅した。 次に,全サンプル企業を製造業と非製造業に2 分割すると,製造業企業においては,正規分布への補正の程度に関わらず,財務数値の価値関連性の「追加的」増加が観察された。他方,非製造業企業については,補正を行うと財務数値の「追加的」価値関連性は消滅した。本論文の貢献は,IR の発行は製造業企業の株式投資家にとってヨリ有用性が高いことを示したことにある。
著者
米山 恭平 榊原 僚子 浅香 貴広 高田 治実 菅沼 一男
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第36回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.193, 2017 (Released:2019-04-03)

【はじめに】前院にて右下腿切断し筋力や立位能力を考慮し装飾用義足を作成された症例に対し,義足調整を行い歩行可能となった症例について報告する.【対象】対象は慢性腎不全と診断され血液透析を行っている80 歳代男性であった.2016 年8 月に糖尿病性の閉塞性動脈硬化症により右下腿切断術をし,装飾用義足を作成した後に理学療法を目的に同年10 月に当院に入院となった.入院時の身体機能は下肢MMT3~4 レベルであり移動は車椅子自立であった.本人の希望で義足を装着し平行棒内で歩行練習を実施した.しかし,装飾用義足であるため荷重部と免荷部が不明瞭であったため断端と義足の不適合により,脛骨末端前面と底面に荷重時痛を認め,義足側での片脚立位が不可能で歩行不能であった.新たな義足作成には、経済的問題があり装飾用義足での歩行練習の実施を余儀なくされていた.被験者には研究の主旨と目的を説明し同意を得た上で実施した.【方法】歩行練習は週3 回非透析日に実施した.断端と義足の不適合を調整するためにソケット内部にゴム板を貼り調整をした.脛骨末端前面と底面の荷重時痛の原因は,ソケット後壁の高さが低かった事とソケット前面支持力不足であった.そこで脛骨前面に貼物調整をし,脛骨末端前面と底面の除圧をし,ソケット後面に貼物調整を行う事で膝蓋腱への体重支持を行った.その後アライメント調整を行った.【結果】断端状態に合わせ,貼物とアライメント調整により即時的に疼痛が消失し平行棒内を近位監視で10 往復可能となった.2 回目の治療では平行棒外歩行が自立し,現在は100 m以上の自立歩行が可能となった.【考察】本症例は前院で歩行不能と判断されたが,身体機能が残存していたため本院ではソケット適合とアライメント調整により即時的に義足歩行が可能となった.理学療法士が義足製作,適合判定の知識を十分に習得し対応することで,患者の歩行能力の向上が期待できると考えた.
著者
黒木 勝久 橋口 拓勇 榊原 陽一
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.511-519, 2020-09-01 (Released:2021-09-01)
参考文献数
49

生体内に存在する遊離の硫酸イオン(SO42−)は生体外異物や内在性ホルモン,タンパク質などさまざまな生理活性物質の機能制御に役立っている.硫酸基を生理活性物質に付加する役割をもつ硫酸転移酵素は大腸菌などの細菌から,真菌類,植物,魚類,哺乳動物など生物界に広く存在している.特に,植物モデルであるシロイヌナズナや魚モデルであるゼブラフィッシュ,哺乳動物モデルであるマウスおよびヒトでの研究が精力的に行われてきている.本稿では硫酸転移酵素の種特異的な機能や普遍的な機能に関して概説するとともに,植物,魚類,哺乳類における硫酸転移酵素の最近の知見を紹介する.また,最近発見されたα,β-不飽和カルボニルを標的とする第3の硫酸化反応に関しても紹介する.
著者
山口 佳昭 中川 晃 渡邊 英昭 久門 良明 榊 三郎 佐々木 潮 畠山 隆雄 西原 潤 麗 憲行
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.10, pp.672-678, 2000-10-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
21
被引用文献数
1

脳室内に限局した出血で, 出血源が不明であった原発性脳室内出血(PIVH)15例について, 臨床症状, 治療および予後について検討した.対象症例の平均年齢は62.2歳で, 65歳以上の高齢者が約半数を占めていた.神経学的局所症状を示す症例はなく, 主たる症状は意識障害で, 脳室内出血の程度に比例して増悪傾向を示した.特に第3または第4脳室に鋳型状血腫が存在する症例では, 意識障害が高度であった.年齢や既往歴の有無と重症度との関連性は認められなかった.7例に脳室ドレナージを行い, うち2例にはウロキナーゼを脳室内に投与した.経過中に合併症を併発した2例以外は良好な転帰であった(GR9例, MD4例).脳室内出血の程度と転帰には相関はなかったが, 第3ないし第4脳室に血腫が充満する症例では転帰不良の傾向があった.また高齢者であっても比較的良好な転帰であり, 年齢は予後不良因子ではないと考えられた.以上の結果から, PIVHでは出血量が多い重症例や高齢の症例であっても, 積極的な治療を行うことで良好な予後が期待できると考えられた.
著者
篠原 主勲 榊原 大智
出版者
一般社団法人 品質工学会
雑誌
品質工学 (ISSN:2189633X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.32-40, 2020-10-01 (Released:2023-01-17)
参考文献数
5
被引用文献数
1

In search of a ball throwing technique for bowling perfect game, the quality engineering approach was used to determine a robust technique that would not depend on the lane condition. Noise factors such as the dynamic friction coefficient of the lane which the bowler cannot control, and control factors which the bowler can control, were selected; appropriate throwing levels were found by quality engineering; and these appropriate levels were adopted as a set of basic levels. The basic levels can then be tuned on the basis of pocket and pin action heuristics to derive the optimal throwing trajectory. Strikes can be obtained by maintaining the optimal trajectory while tuning only the speed of the ball to deal with factors that the bowler cannot control, such as the dynamic friction of the lane.
著者
四井 美月 Liang Kuo-ching 廣原 茉耶 北沢 桃子 吉村 道孝 江口 洋子 藤田 卓仙 岸本 泰士郎 榊原 康文
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4C2OS27b02, 2018 (Released:2018-07-30)

精神疾患の診断は現在,問診に基づく医師の主観的判断によって行われている.このような現在の診断方法は医師の経験に強く依存するため,正確な診断を行うための客観的な診断方法を開発する必要があると言われている.したがって我々の目標は,デバイスによって記録されたデータからうつ病患者の重症度を客観的に計算する深層学習手法を構築することである. 本研究では,うつ病患者と健常者を音声データで分類する深層学習プログラムを開発する.