著者
山田 浩一郎 清水 富弘
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.167-172, 2008 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

PurposeIn recent years, relatively high humidity (100%) and low temperature (40°C) sauna systems called mist saunas have become popular for homes. It is reported that the impact of differing bathing conditions-namely tub bathing and mist sauna bathing-on the circulation of blood in the scalp have been verified in order to clarify the effects of mist sauna on scalp hair: a characteristic of concern to many men.MethodThe testing was performed on 8 healthy men in their twenties (average age: 23.6, average weight: 61.8kg, average height: 166cm). Bathing conditions were mist sauna at 40°C for 10 minutes and full body bathing at 40°C for 10 minutes. Blood circulation in the scalp was observed at the top of their heads using a laser Doppler blood flow meter attached to head gear. At the same time, the skin temperature and local perspiration on their foreheads were measured.Results and conclusionsImmediately after beginning bathing, the blood flow rose significantly higher during full body bathing than during the mist sauna. No change was observed as full body bathing continued, but during the mist sauna, the blood flow gradually increased until ultimately the blood flow was much higher during the mist sauna than during full body bathing. Based on this result, it is assumed that the increase of scalp blood flow during full body bathing was caused by hydrostatic pressure, and the increase caused by the mist sauna was the result of the heat effects.
著者
石川 真紀子 清水 順也 金谷 誠久 白神 浩史 久保 俊英 中原 康雄 後藤 隆文
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.224-229, 2011-11-15 (Released:2012-10-25)
参考文献数
15

シスチン尿症は腎尿細管,小腸上皮におけるシスチンと二塩基性アミノ酸の吸収障害を本態とする疾患であり,尿路結石の頻回再発やそれに伴う腎不全への進展が問題となる。症例は,結石分析,尿中アミノ酸分析にてシスチン尿症と診断し,重曹による尿アルカリ化治療を行っていた2歳男児である。定期受診時に,顕微鏡的血尿と,超音波および腹部CTにて左水腎水尿管と左膀胱尿管移行部に巨大結石を認めた。体外衝撃波結石破砕術は適応外と判断し,開腹にて尿路結石除去術を施行し,術後は十分な尿量確保と尿アルカリ化の継続,シスチン易溶化薬剤の内服を開始した。シスチン尿症の管理においては尿路結石の再発予防が最も重要となるが,乳幼児期での十分な尿量確保や蛋白制限は困難なことが多い。本症例を通してシスチン尿症の適切な管理法について考察し報告する。
著者
清水 健太郎 小倉 裕司 高橋 弘毅 和佐 勝史 平野 賢一
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.95-102, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
41

リフィーディング症候群は,飢餓状態にある低栄養患者が,栄養を急に摂取することで水,電解質分布の異常,心合併症を引き起こす病態であるが,低血糖との関連は明らかではない.BMIが14未満の低血糖を伴うリフィーディング症候群を発症した12例の本邦報告例を検討したところ,たこつぼ型心筋症や心停止を含む致死的な心合併症を10例に発症していた.機序は不明な点が多いが,低栄養状態でのエネルギー供給による過剰なインスリン分泌が低血糖を生じ,低血糖によるカテコラミンの過剰分泌がたこつぼ型心筋症をひきおこすことが推察された.また,心筋への不十分なエネルギー供給が心合併症の要因と考えられた.この病態は重症化する可能性があるため,極度の低栄養患者には心電図モニターや血糖値および電解質管理等の全身管理を要する.目標投与エネルギー量を適切に設定し,リフィーディング症候群およびそれに伴う合併症を予防しつつ厳密な栄養管理が必要である.
著者
池邉 一典 喜多 誠一 難波 秀和 清水 裕子 谷岡 望 吉備 政仁 小野 高裕 野首 孝祠
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.332-338, 2000-04-10 (Released:2010-08-10)
参考文献数
30
被引用文献数
2 1

The purpose of this study was to analyze the relationship between quality of removable dentures and nutrient intake in the elderly. Subjects were 323 community dwelling, independently living elderlypeople (174 males and 149 females) aged 60-79, of which the mean age was 66.3±4.3 years.Diet was assessed by licensed dietitians via interview for 3 days. The data on food consumption were converted to the nutrient content such as energy (kcal), protein, and calcium. The ratio of actual nutrient intake per recommended nutrient intake was evaluated as a measure of dietary adequacy. Student's t-test, Mann-Whitney U-test, and one-way ANOVA were used for statistical analysis.The nutrient intake, except iron, was sufficient in both dentate and denture wearer groups. Among removable denture wearers, nutrient intake tended to be lower in the low occlusal force group than in the high group. There were significant differences in protein and iron intake in males between the two groups (p<0.05), and the nutrient intake also tended to be lower in the group dissatisfied with removable denture than in the group satisfied therewith.The results indicated that both occlusal force and satisfaction with removable dentures were associated with nutrient intake of elderly people.
著者
清水 晶
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.45-47, 2019-04-10

summaryヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus:HPV)感染が関連する癌としては子宮頸癌をはじめ,陰茎癌,肛門癌,中咽頭癌などが知られている.爪部有棘細胞癌/Bowen病もHPV感染に起因するが,十分には認識されていない.今回われわれは自験例と既報告HPV関連爪部有棘細胞癌136例を集計した.患者平均年齢は52.2歳,男女比は2.5:1であった.右1〜3指,左3指に好発し,臨床的には爪母周囲に生じ,爪周囲型と爪下/爪甲線条型に分けられた.HPVのDNA型のほとんどは粘膜型ハイリスクであり,HPV16型が約半数を占めるが特にBowen病では多様性がみられた.患者およびパートナーではHPV関連病変が多く,爪有棘細胞癌/Bowen病はハイリスクHPVのリザーバーおよび性感染症としての認識が必要であると思われた.
著者
清水 聡
雑誌
玉川大学経営学部紀要
巻号頁・発行日
no.31, pp.33-48, 2020-03-20

本稿ではドイツ政治におけるポピュリズムの動向が分析された。2009 年以降,複数の危機がEUの統治に衝撃を与えた(例えば,それらは2010年のギリシャ債務危機,2014年のウクライナ危機,2015年の欧州難民危機とテロ危機である)。2016年にはイギリスが「ブレグジット」(EUからの離脱)の道を選択した。 EU の統治は,政治的に2 つの傾向へと分断されている。すなわち,(1)エスタブリッシュメントによって統治された支配(エリートによる支配:EU サミットやEU 官僚),そして(2)大衆社会や無数の公の労働者によって支持されたポピュリズムである。これらの状況は,1990年代以降,加速し,新しいタイプの階級(貧富の傾向)を引き起こしたグローバリゼーションによってもたらされた。 ドイツ政治の事例においては,極右政党であるドイツのための選択肢(AfD)が欧州難民危機の後,党勢を拡大した。2017 年,ドイツにおいて連邦議会選挙が実施され,キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が246 議席を得て第1 党となり,ドイツ社会民主党(SPD)が153 議席を得て第2 党となったのに対して,AfD は94議席を得て第3党となった。AfD の特徴は,直接民主主義への傾倒,反ユーロ政策,外国人への敵対的態度である。AfD の台頭は,民主主義のシステムに基礎づけられたドイツ連邦共和国に,大きな衝撃を及ぼしている。
著者
繁田 聡一 岡本 秀輔 清水 謙多郎 曽和 将容
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス
巻号頁・発行日
vol.98, no.230, pp.17-24, 1998-07-31
参考文献数
6

64ビットアーキテクチャの登場によって広大なアドレス空間が使用できるようになり、単一アドレス空間方式のオペレーティングシステムが研究されている。全てのプロセスが単一の仮想アドレス空間を共有するこの方式には、プロセス間でのデータ共有が効率良く実現できるという大きな利点がある。しかし、逆に、プロセス固有のデータを不正な参照から互いに保護するためには、単一の仮想アドレス空間上で保護領域の設定とアクセス制御を実現する必要がある。本稿では、キー/ロック方式を拡張した方式を、単一仮想アドレス空間上でのアクセス制御機構に適用する。
著者
清水 紀宏 春日 晃章 中野 貴博
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、家庭の社会経済的条件と子どもの運動・スポーツ習慣、体力・運動能力との関係を明らかにするとともに、そうした体力・スポーツに関わる格差が、子どもたちの学校生活や社会関係に及ぼす悪影響を検討した。主要な結果は次の通りである。1.世帯収入が多く、学校外スポーツに多くの投資をしている家庭の子どもほど、体力・運動能力は高かった。また、家庭の社会経済的条件は、スポーツ機会の格差を通じて、体力格差や意欲格差を生じさせていた。2.体力の高さは、学校満足感や孤独感などの学会生活変数にもつ大きな影響を及ぼしていた。
著者
澤田 聡子 苔口 進 宮本 学 澤田 弘一 藤本 千代 綿城 哲二 弘末 勝 清水 明美 周 幸華 栗原 英見 新井 英雄 高柴 正悟 村山 洋二
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.475-485, 1998-12-28
参考文献数
31
被引用文献数
4

DNAプローブを用いたコロニーハイブリグイゼーション法による細菌同定は,簡便性と定量性に優れ,病原性細菌の検出・同定法として用いられている。本研究では,歯周病細菌同定により特異性を持たせるために,この方法を応用して,近年,細菌の系統分類に用いられるようになった細菌16SリボソームRNA(rRNA)遺伝子をDNAプローブとして利用した。歯周病細菌のActinobacillus actinomycetemcomitans, Porphyromonas gingivalisおよびPrevotella intermediaの16S rRNA遺伝子塩基配列から菌種特異的な可変領域を検索し, DNAプローブを作成した。このDNAプローブの上記3菌種16S rRNAに対する特異性をノーザンハイブリダイゼーション法で確認した。また,これらのDNAプローブが他の口腔細菌種に対して交差反応性がないことをドットブロットハイブリダイゼーション法で確認した。そこで,これらのDNAプローブを,上記3菌種の標準菌株を用いたコロニーハイブリダイゼーション法による細菌同定に取り入れ,その同定手技を確立した。さらに,この同定法を,歯周ポケットプラークから上記3菌種を検出・同定する実用に供した。
著者
上村 和人 清水 俊幸 石畑 宏明 堀江 健志
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1569-1577, 1995-07-15

LINPACKベンチマークに並列化とベクトル化を施し、NCA付きAP1000を用いて性能を評価した。LINPACKの並列化では負荷が均等でかつデータパラレル実行が可能となるようにデータを分散させ、ブロッキングを施すことによって行列積演算や外積演算といったベクトル化が容易でかつ高い性能が得られる演算に帰結させた。理論ピーク性能に対して、単体実行時で61%、並列実行時で47%の性能が得られた。また、1000×1000の行列を解く場合、NCAを付加した16セセルで、NCAを付加しない128セルのAP1000とほぽ同等の性能が得られた。
著者
清水 利彦
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.295-297, 2018 (Released:2018-12-25)
参考文献数
15

Migraine is a most common neurological disease that affects nearly 10% of the general population. However, the pathophysiology of migraine is obscure. Previously, it was believed that the pathophysiology of migraine could be explained entirely by the vascular theory, which is that all symptoms including aura of migraine and headache are caused by abnormal vascular responses. However, many subsequent researches have revealed that it is not possible to explain the symptoms of migraine only by abnormal vascular responses. Instead, functional abnormalities of the neuronal activities observed in the cortical spreading depression are thought to be also involved in the pathophysiology of migraine. Furthermore, it is reported the changes of functional connectivity in cerebral pain matrix system and functional abnormality of descending pain inhibitory system in migraine patients. In addition, it is also believed that the sensitization of the trigeminovascular neurons play an important roles in migraine pathophysiology. The present review discusses the recent findings of migraine pathophysiology.
著者
清水 秀明 松本 元
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.207-213, 1975-08-30 (Released:2011-03-09)
参考文献数
12

The light scattering technique with a photoelectron counting method is applied to determine the average swimming velocities or the velocity distribution of spermatozoa. The results are in quantitative agreement with the ones which are obtained in other methods. This technique has proved useful in 'finding the accurate motility of spermatozoa in a very short observation time.
著者
高島 有香 守内 玲寧 白戸 貴久 和田 吉生 福澤 信之 原田 浩 清水 聡子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.130, no.11, pp.2373-2377, 2020-10-20 (Released:2020-10-20)
参考文献数
9

臓器移植患者は免疫抑制のため水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症のリスクが高く,重症化の恐れもあるが,これまで多数例の検討は少なく,治療基準も明確ではない.当施設で施行された腎移植548症例中VZV感染症を発症した81例につき,患者背景,発症頻度,移植から発症までの期間,臨床症状をレトロスペクティブに検証した.汎発型帯状疱疹を11例に認め,うち1例は脳炎を合併し死亡した.腎移植後のVZV感染症診療の際には,速やかな治療開始と慎重な観察が必須であるが,腎移植後1年間以内の患者や献腎移植患者では特に発症率が高く,より慎重な観察が重要である.
著者
清水 勇喜
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第5回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.45-49, 2008 (Released:2008-10-30)
参考文献数
13

法曹教育におけるコンピュータを用いた図的表現の活用を提案する。具体的な図的表現の例として、(1)条文間の関係等のグラフ構造での提示、(2)価値対立構造等の表での提示、(3)手続きの流れ等の動的な流れ流れ図による提示、(4)静的な構造の提示、(1)∼(4)の統合的な提示の重要性を述べる。またこれらを統合するインターフェースの必要性と、学習段階における提示する情報の絞込みの必要性について述べる。
著者
宮田 忠明 正木 宏和 芦原評 清水謙多郎
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.77(1997-OS-076), pp.73-78, 1997-08-21

本論文では,分散メモリ型大規模並列システムにおける大域的ページ配置方針について論じる.各ノードの主記憶を仮想記憶の一時的な退避先として割り当てる大域的ページ配置方式は,従来の仮想記憶におけるディスクアクセスをより高速なノード間のメモリアクセスに置き換えることができる.限定されたノードにしかディスクを持たない大規模並列システムでは,大域的ページ配置は特に有効と考えられる.本論文では,状態情報の収集,置き換えページの選択,ページを転送するノードの選択などについて,大規模システムを想定した大域的ページ配置の様々な方針を提案し,これらの性能をシミュレーションを用いて比較・評価する.
著者
松岡 岳洋 清水 克哉 平尾 直久 大石 泰生 佐々木 重雄
出版者
日本高圧力学会
雑誌
高圧力の科学と技術 (ISSN:0917639X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.268-280, 2018 (Released:2018-12-28)
参考文献数
104
被引用文献数
1

In this article, recent advances in the experimental searching are reviewed. To date, there have been several tens of theoretical papers that predict the superconductivity of hydrides. On the other hand, there have been a few publications about experimental observations of the superconductivity despite the huge efforts in exploration. In this review, we introduce the ideas on how to approach to high critical temperature by hydrides, and the current achievements by experiments are summarized.