著者
田中 健士郎 横山 裕之
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.683-686, 2019-05-31 (Released:2020-05-27)
参考文献数
14

高マグネシウム(以下,Mg)血症は,多くが腎機能障害患者へのMg含有製剤の過剰投与が原因とされている。今回,クエン酸Mg(マグコロールP®)服用後に高Mg血症と糞便性腸閉塞をきたした1例を経験したので報告する。症例は66歳女性。肛門痛と便秘症の精査で注腸検査予定となった。前処置としてクエン酸Mgを内服したところ,意識障害をきたし当院の救急外来へ搬送された。精査で高Mg血症および糞便性の腸閉塞を認め,緊急透析となった。翌日もMg値の再上昇,腸閉塞の悪化を認め,緊急S状結腸人工肛門造設術を施行した。術後,すみやかに血清Mg濃度は正常化した。腎機能障害を有さない患者でもクエン酸Mg製剤投与により重篤な高Mg血症を発症したとの報告がある。重度の高Mg血症は致死的な経過をたどることもあり,その投与に際しては十分な配慮と患者指導を行うとともに,発症時には迅速な対応が重要であると思われた。
著者
井上 莞志 田中 健太 田中 貴宏 松尾 薫 横山 真
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.931-938, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

近年、地球温暖化と都市ヒートアイランド現象による都市高温化が進んでおり、特に多くの人が利用する都心部においては、快適な屋外空間を形成するために、熱環境改善策を積極的に取り入れた都市環境デザインが求められる。またこのような取り組みを効果的に進めていくためには、都市内における熱環境改善策導入が優先度の高いエリアの抽出が必要である。そのため、広域の気温分布形成要因の分析から中心市街地周辺の気候的特徴(特に海風効果と河川効果)を把握し、さらに中心市街地の熱環境の詳細な現状把握とその形成要因分析を行った上で、中心市街地における熱環境改善策導入推進エリアを抽出することを目的とした。その結果、都心部の昼間の気温分布は河川距離、周辺緑量、周辺建物密度に影響を受けており、その中でも陸風が止み、かつ海風が十分に発達する前の時間帯で地表面被覆の影響が相対的に強くなる。これらの気温形成要因と猛暑日の定義から熱環境改善策導入推進エリアの抽出し、建物密度を減らしつつ、緑化を推進することが効果的であることを示唆した。
著者
田中 多佳子 梅田 英春 金子 敦子 沖花 彰 尾高 暁子 田中 健次 塚原 康子 筒井 はる香 寺田 吉孝 横井 雅子 岡田 恵美
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

楽器というモノに込められたわざ学、すなわち意匠と具体的変容の過程に着目してさまざまな角度から観察・分析することによって、今まさに音楽に生じつつある西洋対非西洋および伝統文化と現代化のせめぎあいと伝播と変容の具体的諸現象を確認し、可能な限り資料化し公開した。主な研究成果としては、(1)日本の大正琴とその異形たるアジアの楽器群に関する研究、(2)インドのリードオルガンとその異形に関する研究、(3)ヨーロッパの楽器学と楽器制作の現状に関する研究、(4)19世紀末のインド楽器をめぐる東西交流史に関する研究があげられる。
著者
田中 健路 伊藤 大樹 昌子 舜
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_187-I_192, 2016 (Released:2016-11-15)
参考文献数
9
被引用文献数
2

東シナ海上で発生する気象津波の伝播・増幅過程について,Princeton Ocean Model (POM)を基本モデルとした多重ネスト型数値モデルを構築して解析を行った.気圧波が東シナ海上を東進する際に,沖縄トラフ通過時の海洋長波の位相速度の急増に伴い,正の気圧偏差前面に形成された第1波の押し波が気圧波よりも30~60分早く九州西岸に到達することが示された.気圧波が長崎湾に到達する際に,25分から30分 の周期帯の成分が増幅し,第3波で全振幅2m以上の副振動が発生することが示された.連続した小規模な気圧波群が九州西岸を通過する場合,個々の気圧波のスケールが小規模であっても,数10波連続すると九州西岸の広範囲において気象津波の到達による副振動が生じ,湾の固有振動周期の振動が長時間残存することが示された.
著者
井上 貴央 田中 健一 船津 公人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第43回ケモインフォマティクス討論会
巻号頁・発行日
pp.1A12, 2020 (Released:2020-11-29)
参考文献数
5

創薬や材料開発では, 所望の性質を持つ新規有機分子の効率的な探索手法が求められている. 定量的構造物性相関モデルとしてグラフニューラルネットワーク (GNN) と呼ばれる深層モデルを用いることで, 既存の特徴抽出手法を用いるよりも良い予測性能で, 候補構造のバーチャルスクリーニングができる. しかし, 先行研究では学習に多量の化学構造データを利用しており, 興味のある構造・物性データが多量に集まりにくい分子設計の現場では, 十分な予測性能が得られない可能性がある. 本研究では, Message Passing Neural Network (MPNN) と呼ばれるGNNモデルの中で特徴ベクトルに摂動を加えることでグラフデータの拡張を行うPerturbating MPNN (PMPNN) を設計した. QM9データセットでMPNNとの比較を行い, 提案手法の有効性を検証し, 予測に対する摂動の効果を考察した. また, データ拡張により約半数のデータセットでも元と同等の予測性能が得られ, 少量のグラフデータでもうまく特徴抽出できると示唆された.
著者
田中 健作
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

<p><u>1.研究目的と調査内容</u></p><p></p><p> 本報告では,高齢期のQOL構築とモビリティとの関係性を見出そうとする問題意識から,高齢化が急速に進む大都市圏郊外に焦点を当て,加齢によるモビリティ縮小への適応の実態を明らかにすることを目的とする。</p><p></p><p>研究対象地域は,報告者が2015年より調査を継続している京阪神大都市圏郊外のA市である。2018〜2019年にA市のXマンション(約450戸,エレベーター完備)に住む60歳以上の28人から,インタビューまたは質問紙による調査協力を得た。Xマンションすぐそばのバス停からは,商業施設と隣接した最寄駅との間を約10分で結ぶ路線バスが1時間に4本以上運行されている。交通利便性や居住環境の整備された,典型的な郊外住宅地域であるといえる。</p><p></p><p><u>2.年齢層別にみた外出行動</u></p><p></p><p> 年齢層別に外出頻度と範囲の概況を整理したところ,団地内・周辺および団地外ともに70歳代前半,70代歳後半,60歳代,80歳代の順に外出回数が多かった。70歳代前半の団地外移動回数の平均値は週5回,80代の団地外移動回数の場合は週3回程度であった。なお,最近半年間における外出や利用交通手段の変化は小さかった。70代前半の値の高さは,調査対象者に通勤者が相対的に多く含まれていたり,趣味としてフィットネスクラブに通う人がいたりしたことによるものであった。70歳代後半以上になると,歩行能力の低下により移動の難しくなる人があらわれてくる。</p><p></p><p>このように住民の加齢による外出行動の縮小は認められるものの,当該マンションは,加齢を伴っても,歩行に難がない限りは,週に複数日はマンション外に出かけてQOLを維持することができる環境にあるといえる。</p><p></p><p>また,当該マンションでは,住民主体の自治会活動やサロン開催が積極的に行われている。これら市民活動もまた,地域の交通環境とともに,加齢によってモビリティの縮小する住民のQOLの維持に寄与している。</p><p></p><p><u>3.加齢によるモビリティ縮小への適応</u></p><p></p><p> モビリティの基礎となる歩行状況をみると,加齢によるモビリティ縮小のモザイク化がうかがえる。すなわち,70代に入ると近隣の坂道歩行に苦をより感じるようになり,移動時間に余裕を持たせたり,乗り物利用を増やしたりする人が増えた70代半ばあたりから,過去10年間の徒歩移動の減少が認識されるようにもなっていた。ただし,加齢の進行や加齢への適応の個人差がより明瞭になる80代以上の場合,70代後半よりも坂道を苦に感じる人は相対的に少なかった。加齢の進行や加齢への適応の個人差によるものと推測される。</p><p></p><p>また,加齢によるモビリティの縮小は交通手段利用を分化させていた。これについて調査対象者の免許返納状況により,①運転中、②返納・失効・運転とりやめ、③元々免許なしの3類型に区分して検討した。</p><p></p><p>日常生活における外出回数および外出範囲の過去10年間の変化をみると,類型①と③は「縮小」と「変化なし」の二極化しており,類型②ではこれに外出回数に変化はないものの外出範囲を狭めている人が含まれていた。</p><p></p><p>徒歩を含む移動手段の変化をみると,バス交通の利用が相対的に増加し,電車利用が相対的に減少していることから,日常的な移動範囲は概ね最寄駅周辺からA市周辺の範囲に収斂しつつあると推測される。</p><p></p><p>移動手段全体でみると,各類型に共通してバス交通の利用が多くなっていた。このため,週に1回以上利用する乗り物の数は類型①,②,③の順に多くなっていた。増減に着目すると,①と③の増減幅は小さく,②では大きくなっていた。これは自家用車運転の取りやめと,それによるバスとタクシーの利用が大幅に増えたためである。当該地域は農山村に比べて移動環境が優れており,車の運転も比較的早くに取りやめることができる。交通サービスの発達は,週1回以上の外出を支えてきたことがわかる。</p><p></p><p> こうした移動方法の変化に対する満足度は,どの類型においても「やむを得ない」とする人が多かった。概ね,加齢によるモビリティ縮小を受容していることがわかる。②にのみ「やや不満足」や「不満足」が複数人みられ,主観的QOLに影響を与えている可能性がある。比較的元気なうちに運転を手放せるがゆえ,活動ニーズの高さとモビリティ縮小との間にミスマッチも生じやすいものと考えられる。</p><p></p><p>※本研究では科学研究費(課題番号18K12589)を使用した。</p>
著者
丹野 一輝 田中 健一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.467-474, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
19

本稿では,ネットワーク上の移動者が経路途中で施設に立ち寄る行動に着目し,集客数が最大になるように施設を配置する問題を提案する.施設における利用者数が増加することによる混雑コストを考慮する点がモデルの大きな特徴である.提案モデルでは,移動者が (1)施設までの移動時間と施設の利用時間の和が最小となる施設を利用する,(2)総所要時間がすべての施設において一定以上となる場合にはどの施設も利用しない,と仮定する.提案モデルは,ある所与の施設配置における施設の総利用者数の算出に最適化問題を解く必要が生じるため,最適化問題を内包した最適化問題 (二段階最適化問題) として定式化される.そのため,局所最適解を求めるヒューリスティックな解法も併せて提案する.提案モデルを実際の道路網に適用したところ,施設で発生する混雑の度合いにより施設配置が大きく変化する様子が確認できた.
著者
河野 博行 岡田 裕之 平岡 佐規子 田中 健大
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.7, pp.1326-1333, 2015-07-05 (Released:2015-07-05)
参考文献数
29

症例は67歳女性.61歳時小腸大腸型クローン病と診断.生物学的製剤(Adalimumab)にて寛解維持状態であった.67歳時に空咳が出現.胸部CTで両側下葉に間質影を認めた.血液検査でSS-A, B抗体陽性,唾液腺生検でリンパ球浸潤を認めたが,乾燥症状は認められず無症候性シェーグレン症候群と診断した.感染や薬剤性の肺障害は否定的で,間質性肺炎はシェーグレン症候群の腺外病変であると考えられた.
著者
澤田 明彦 田中 健康 磯部 貴光 齋藤 幸広
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.G1170, 2005

<B>【はじめに】</B>経済的な側面で未だ過渡期にある士会の運営は,多くの会員のボランティア的活動に支えられていると言える。職能団体である士会会員の本業が理学療法にあることは自明であり,士会業務が会員の本業を妨げないこと,また会員が負担を感じることなく士会の運営に関わることが望まれる。<BR> 士会の開催する研修会や講習会の参加登録者管理にも会員が携わるが,登録者リストの作成や登録完了の連絡など事務作業にかかる負担は少なくない。このような事務的な業務においては,会員が必要以上の負担を感じることなく関与できることが望ましい。<BR> 士会業務の省力化を実現するための,情報技術を活用したシステムについて紹介する。<BR><B>【システムの紹介】</B>研修会・講習会等への参加登録をオンライン上で可能とするために,Perl言語を用いたCGIプログラムを作成した。CGIプログラムは,ブラウザからのリクエストをウェブサーバ上で処理し,応答するための仕組みで,ユーザとウェブサイトのインタラクションを実現するために利用される。本システムは一般のウェブサイトに設置されているメールフォームあるいは商品注文フォームと同等のものであるが,参加登録に特化するために次の機能を持たせた。1)登録番号の自動生成と付与,2)参加者リストの自動生成,3)登録完了メールの送信。これらの機能によって,従来往復はがきでの登録の際に行っていた作業の大半が不要となった。<BR><B>【稼働例】</B>平成16年度神奈川県理学療法士会第4回講習会(平成16年度日本理学療法士協会神経系理学療法研究部会研修会との合同開催)における参加登録を,上記システムと従来同様の往復はがきによる方法で行った。往復はがきでの方法が,転載によるリスト作成および返信はがきの作成と作業が多かったのに比べ,今回のシステムを用いた場合に必要な作業は,定期的なリストのバックアップと稀にみられる入力エラー(多くはメールアドレスの誤入力)への対処のみであった。<BR> 講習会は100名を越える規模であり,従来の方法ではリスト作成もままならなかった。しかし,今回のシステムでは,リストが自動生成されていることで,その2次的利用,すなわち受講者名入りの受講証明書や領収書の発行もより容易に可能となった。<BR><B>【まとめと展望】</B>今回のシステムは,参加登録のみの単純なものであったが,担当者にかかる負担は少なかった。一部には有料の市販されたシステムもあるが,これと比較しても安価で自由度の高いシステムを構築することができたと考える。今後は研修会・講習会等の開催情報を入力することで,「開催案内ページ」「参加登録フォーム」「コンテンツ更新情報」といった必要なページが自動生成されるような,ユーザの利便性が高く,かつ,担当者の負担の少ないシステムの開発を目指したい。
著者
尾崎 将俊 田中 健康 佐藤 里佳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】近年,足漕ぎ車椅子Profhand(株式会社TESS)は,肢体不自由者の新移動機器として病院・施設で使用されている。関(2005)は,片麻痺者が足漕ぎ車椅子を使用することによって,歩行速度の改善と麻痺側下肢筋の筋活動量が増大することを示した。足漕ぎ車椅子は単なる移動機器ではなく,下肢機能に対する治療機器として考えることができる。また,江西(1994)は片麻痺患者の歩行自立には安定した体幹機能が必要と述べ,江連(2009)は臨床的体幹機能テスト(Functional Assessment for Control of Trunk:以下,FACT)で評価した体幹機能は片麻痺患者のADLと強い相関関係があったと報告している。足漕ぎ車椅子が,下肢筋力に加え体幹機能の改善に寄与するのであれば,より応用範囲の広い治療機器として用いることができると考えた。本研究では,足漕ぎ車椅子の利用が体幹機能に及ぼす影響について検討した。【方法】[症例]60歳代,男性。脳梗塞後右片麻痺。入院時,Brunnstrom Recovery Stage(以下,BRS)は,上肢III手指III下肢III。感覚は軽度鈍麻。著明なROM制限なし。筋緊張は麻痺側中枢,末梢ともに低緊張。座位・立位・歩行は一部介助。[実験計画]期間:100病日(入院後71日)から16日間。研究デザイン:反復型実験計画ABAB(A1:第1基礎水準測定期4日間,B1:第1操作導入期4日間,A2:第2基礎水準測定期4日間,B2:第2操作導入期4日間)。介入内容:A1:運動療法60分,B1:運動療法40分に加え足漕ぎ車椅子使用10分,A2:運動療法60分,B2:運動療法40分に加え足漕ぎ車椅子使用10分。[測定]各介入ごとに,FACT(点),座位における前方リーチ距離(cm)を測定。各セッション最終日にはShort form Berg Balance Scale(以下,SF-BBS)を測定。[分析]FACTおよび座位前方リーチ距離について,二項分布の確率を利用し,基礎水準測定期A1・A2のcelebration line(以下,CL)を決定。その上で,操作導入期B1・B2において,CLを上回る値について分析。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,当院倫理委員会の了承を得た。研究への参加については,研究者が口頭で説明し同意を得た。【結果】FACTでは,B1・B2においてCLを上回る値は無かった(p=0.1)。座位前方リーチ距離では,B1の全ての値はCLを上回り(p=0.01),B2は4日目を除く値がCLを上回った(p=0.025)。FACTの平均値±標準偏差は,A1:9.3点±1.7,B1:13点±1,A2:13点±1,B2:14点±0であった。前方リーチ距離の平均値±標準偏差は,A1:38.8cm±3.8,B1:46.5cm±1.5,A2:44.8cm±1.2,B2:44.1cm±4.7であった。SF-BBSは,A1:16点,B1:19点,A2:19点,B2:21点であった。【考察】本研究においては,足漕ぎ車椅子使用によるFACTへの影響は認められなかった。FACTは,骨盤と体幹の分節的な動作課題が多い。足漕ぎ車椅子におけるパターン化した下肢交互運動であるペダリング動作のみでは,骨盤と体幹の分節的な運動は改善されず,FACTの得点向上には結びつかなかったものと考える。座位前方リーチ距離は,非介入期であるA1・A2に比べてB1・B2でCLを上回った。前方リーチ距離は,矢状面における座位バランスを反映しているが,運動の制御には下肢機能が関与する。関(2005)は,足漕ぎ車椅子使用によりBRS Iの片麻痺患者でも,麻痺下肢の筋活動誘発効果を有すると述べた。筋出力に関しては,浦川(2007)が,セミリカンベント式自転車エルゴメーターの場合に,バックレスト角度75°が股関節伸展筋出力増加に適していると述べた。足漕ぎ車椅子のバックレスト角度は70°であり,股関節伸展筋出力に適していると考える。このことから,座位前方リーチでは股関節周囲筋を主とした麻痺側下肢筋出力量の増加が,矢状面上の運動である体幹前傾の姿勢制御に影響を及ぼし,座位前方リーチ距離拡大に繋がったと推察する。また,SF-BBSは介入期であるB1,B2で改善傾向にあった。下肢機能改善は,SF-BBSにおいて測定される,立位における姿勢制御に反映されるためと考えた。本研究の結果は,足漕ぎ車椅子は体幹の選択的な活動には影響しないが,下肢の筋活動を促すことで,下肢機能を含めた体幹運動には寄与することを示唆する。【理学療法学研究としての意義】本研究の意義は,片麻痺患者の足漕ぎ車椅子使用に関する特異的な影響を検討した点にする。治療機器として足漕ぎ車椅子を活用する場合の一助となると考える。
著者
平田 絵梨 田中 健太 西村 一寛 井上 光輝
出版者
公益社団法人日本磁気学会
雑誌
Journal of the Magnetics Society of Japan (ISSN:18822924)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.114-117, 2009-03-01
参考文献数
2
被引用文献数
2 1

In order to quantitatively design of repulsive magnets type vibration limit switch, we have derived the vibration parameters which are expressed in vibration equation from experimental results. The vibration parameters are spring coefficient and damping coefficient at switch-on state. The vibration parameters and the structure parameter of switch were related quantitatively as linear and polynomial equations.
著者
田中 健翔 満吉 悠太 鳥井 昭宏 道木 加絵 元谷 卓
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.159-160, 2017

本研究では積層型圧電素子を用いた浮上して移動するアクチュエータの実用化を目指している。これまでにインピーダンスアナライザを用いてアクチュエータのアドミタンス、端子間電圧と電流の位相差等の電気的周波数特性を測定し実際にアクチュエータを浮上させたときの周波数特性の比較を行った。今回は、周波数 特性分析器を用い入力電圧の変化による圧電素子の電気的特性、機械的特性の変化とその原因について考察する。
著者
田中 健次
出版者
国際短期大学
雑誌
紀要
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-8, 1992
著者
海堀 正博 長谷川 祐治 山下 祐一 崎田 博史 中井 真司 桑田 志保 平松 晋也 地頭薗 隆 井良沢 道也 清水 収 今泉 文寿 中谷 加奈 柏原 佳明 加藤 誠章 鳥田 英司 平川 泰之 吉永 子規 田中 健路 林 拙郎
出版者
公益社団法人 砂防学会
雑誌
砂防学会誌 (ISSN:02868385)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.49-60, 2018-11-15 (Released:2019-11-15)
参考文献数
10
被引用文献数
8

In July 2018, heavy rain due to Typhoon Prapiroon affected western Japan and caused numerous sediment disasters such as landslides and debris flows in Hiroshima Prefecture. In a southern part of Hiroshima, approx. 8,500 slope failures occurred, and total number of sediment disasters were reported as approx. 1,250. Therefore, members of Japan Society of Erosion Control Engineering and Chuushikoku branch conducted field surveys in Hiroshima City, Aki Gun, Kure City, and Higashi-hirosima City. In Kawasumi area, Aki Gun, large rock which seemed to be core stone and diameter approx. 10 m moved down from the torrent, and at downstream side 6 m diameter rock seemed to hit the house with destructive power. In Aki-Gun, Saka-Cho, Koyaura area, one old stone masonry sabo dam was destroyed. We estimated the flow discharge from the investigation at the upstream of dam and considered the flow process from the flow traces around the dam. The results showed that the dam destroying process was as following. Firstly, the large rocks accumulated at the frontal part of debris flow collided and destroyed the right bank side wing, and then stone masonry product peeled off continuously. Furthermore, debris flows occurred from several streams in Koyaura and 1-1.5 m sediment deposition occurred at downstream residential area. In Higashihiroshima City Kurose-cho, many collapses and debris flows occurred around Hiroshima International University and there were no casualties fortunately. In Kurose-cho, most of the collapses seemed to occur from the top and ridge of the mountains with gentle slope around 15 degrees.