著者
住田 勝 寺田 守 田中 智生 砂川 誠司 中西 淳 坂東 智子
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.79, pp.39-46, 2016

In this study, we explored the complementarity of ignorance in the study of learning as a social act and as subject matter in Japanese language education. We explored the influences of "another reader" that reads the text and "another text" that the class has been read, and the resultant ways of reading. We adopted a "Vygotsky Space" as a lens of learning and explained the relation of "another reader" and "another text" through an analysis of learners' protocols in a study of "Takasebune" at an experimental Japanese class. It was found that learners needed peers to appropriate new cognitive tools, and when a learner transformed the cognitive tools into a new usage, they needed peers to talk about the new interpretation. In the "Takasebune" class, where learners compared two scenes chosen arbitrarily, we identified possibilities of new tool use and creating new interpretations. In addition, we identified the significant meanings of the teacher's behavior that influenced learners' study and that encouraged their "Appropriation".
著者
石神 真悠子 江川 愛都沙 江口 怜 田中 智輝 鈴木 康弘 李 舜志
出版者
東京大学大学院教育学研究科付属学校教育高度化センター
雑誌
東京大学大学院教育学研究科付属学校教育高度化センター 研究紀要
巻号頁・発行日
no.2, pp.25-63, 2017-03-31

2015 年度若手研究者育成プロジェクト採択者ワーキングペーパー(2016年度に高度化センターHP に公開のものを再掲)キーワード:the social, Education, Social Security, Hannah Arendt
著者
太田 光明 塩田 邦郎 政岡 俊夫 和久井 信 田中 智夫 植竹 勝治
出版者
麻布大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

地震前の動物の異常行動は、電磁波など地震前兆を感知した動物のストレス反応の一つであろうとの仮説のもとに研究を重ねてきた。しかし、ラット、ビーグル犬など「実験動物」に対して電磁波照射を繰り返しても、明確な異常行動は見られない。一方、ヒトと日常的に生活している「家庭犬」を用いたところ、6頭のうち、少なくとも2頭に顕著な異常行動を認めた。すなわち、1)マウスやラットのように「実験動物」として用いられる犬種は、ほとんどビーグル犬である。個体による違いを含め、犬の特性のいくつかを喪失しているとしても不思議はない。人による改良が進めば進むほど、電磁波異常など非日常的な物理現象を感じる必要性もなくなる。実際、本研究において電磁波の影響は見られなかった。この研究成果を遺伝子解析に応用した。2)遺伝子解析を進めるためには、プライマーが必要であり、犬遺伝子では、CRH、DRD2、DRD4など極めて少数しか判明していない。本研究では、はじめにCRH遺伝子の多型について検討した。しかし、33犬種37頭を解析した結果、遺伝子多型は検出されなかった。つまり、CRH遺伝子が「地震感知遺伝子」の可能性は低い。一方、兵庫県南部地震の直後、一般市民から集められた前兆情報のなかには、古来からの地震前兆情報であると考えられてきた夥しい数の報告が含まれていた。特に、動物の前兆的異常行動に顕著であった。また、阪神・淡路大震災の前兆情報として、犬で約20%、猫で約30%が異常行動を示したという。こうしたことから、3)本研究では、富士通株式会社ならびに株式会社NTTドコモ関西との産学協同体制でこの「動物の異常行動」の情報収集システムの構築に取組み、プロトタイプのシステムを完成させた。モニター登録者が暫時増加し、平成16年3月1日現在で、50人を数えた。
著者
波多江 崇 田中 智啓 猪野 彩 田内 義彦 竹下 治範 辰見 明俊 濵口 常男
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.289-294, 2017-02-28 (Released:2017-03-17)
参考文献数
24

Objective: We conducted a meta-analysis on the suppressive effect of resistant maltodextrin on post-prandial blood glucose elevation, which is approved in Japan as food for specified health use, and the following is allowed to be indicated on the label “it is suitable for consumption by those who are concerned about their post-prandial blood glucose levels because the absorption of sugars is abated by the action of dietary fiber (resistant maltodextrin).”Method: Our literature search covered Ichushi-Web (Japan Medical Abstracts Society), Japan Science and Technology Information Aggregator, Electronic (J-stage), Google Scholar, and PubMed databases and extracted English and Japanese publications on randomized, double-blind, controlled studies comparing resistant maltodextrin and a control in Japanese subjects for the reduction of areas under the blood glucose response curves at 30, 60, and 120 min after eating as an efficacy index.Result: Among these publications, four articles with a Jadad score (an assessment of the quality of randomized controlled studies) of ≥ 3 were included in the meta-analysis.  Significant inhibitory effects were confirmed from areas under the blood glucose response curves at 30, 60, and 120 min after eating in the meta-analysis that was performed to evaluate the effects of resistant maltodextrin on post-prandial blood glucose elevation in Japanese individuals.Conclusion: However, we were not able to test for publication bias because the number of extracted publications was small, and thus, additional research and case studies are warranted.
著者
吉田 永祥 吉田 政弘 岩上 泰雄 瀧 幾子 薗 輝久 内野 清子 田中 智之
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.361-366, 2003-12-15 (Released:2016-08-07)
参考文献数
14
被引用文献数
1

An investigation on the recolonization and population dynamics of the Redback spider (Latrodectus hasseltii) was conducted bimonthly at a seaside park in Kaizuka City, Osaka, Japan, after all the spiders were completely removed from the study area in December 2000. The Redback spiders invaded again in February 2001, and their population density was recovered in December 2001. This study confirmed that breeding of Redback spiders began in June and continued until December.The minimum population observed in June was composed of only adult female individuals, while the maximum population found in December 2001 mainly consisted of larvae. The prolonged breeding might have caused the increase of population density and dispersal. The temperature measured ranged from -0.5℃ to 46.1℃ ; however. the Redback spider tolerated this harsh environment. This confirmed that the Redback spider, a tropical or subtropical species, is capable of colonizing even in the temperate area in Japan.
著者
石渡 俊江 植竹 勝治 江口 祐輔 田中 智夫
出版者
Japanese Soceity of Livestock Management
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.179-184, 2007-12-25 (Released:2017-02-06)
参考文献数
18

本研究の目的は、肉牛の屠殺時血液性状と肉質における夏季と冬季の違いを調査することであった。夏季(18.9〜28.4℃)に15頭、冬季(4.9〜7.0℃)に20頭をトラックで近くの屠場へ輸送した。牛は屠場の待機ペンで一晩休憩した後、1頭ずつ屠殺された。血漿コルチゾール濃度と血中グルコース濃度は、冬季より夏季に有意に高くなった(ともにP<0.01)。血清pHと血清総タンパク質濃度は、冬季より夏季に有意に低くなった(ともにP<0.01)。これらの結果から、夏季は牛にとってより過酷な状況であることが示唆された。その主な原因としては、屠殺前に一晩中絶水されたことが考えられた。血清遊離脂肪酸濃度は、夏季より冬季に有意に高くなった(P<0.01)。血清ASTと血清ALTの活性は、夏季より冬季に有意に高くなった(ともにP<0.05)。冬季にみられたこれらの生理反応は、屠殺前に一晩中絶食されたことによると考えられた。しかし、これらの生理反応は肉質に影響するほどではなかった。さらに、人による牛の扱いにも季節による違いがみられなかった。本研究の結果から、屠殺前に一晩、完全に絶水することは家畜福祉的見地からも避けるべきであると考えられた。
著者
植竹 勝治 中谷 治奈 増田 尚子 吉田 善廣 江口 祐輔 田中 智夫
出版者
麻布大学
雑誌
麻布大学雑誌 = Journal of Azabu University (ISSN:13465880)
巻号頁・発行日
vol.17/18, pp.191-193, 2009-03-31

γ-アミノ酪酸 (GABA) の経口投与が肉用牛の長距離輸送および出荷・屠畜時のストレスを低減するかどうかを調べた。試験1では,対照区の去勢牛4頭に20mLの蒸留水を,処理区の去勢牛4頭に体重当たり10mgのGABA粉末を20mLの蒸留水に溶解した水溶液を,それぞれ130.1kmの陸路輸送直前に経口投与した。分散分析の結果,供試牛の唾液中コルチゾール濃度に対する処理と輸送経過時間との交互作用は,経過時間が60分までは有意 (P<0.05) であったが,120分以降については有意ではなくなった。試験2では,肥育牛20頭を5頭ずつ4処理区に分け,屠畜場への輸送前と翌朝の屠畜直前に,G区には13gのGABA粉末を100mLの蒸留水に溶解した水溶液を,S区には100mLの生理食塩水を,SG区には輸送前に生理食塩水と屠畜直前にGABA溶液を,それぞれ経口投与した。C区には輸送前も屠畜直前にも何も投与しなかった。多重比較検定の結果,いずれの処理区のウシの血漿コルチゾール濃度も,C区のウシよりも有意に低かった (全てP<0.01)。血漿アドレナリン濃度も,C区に比べ,S区のウシで有意に低く (P<0.05),G区のウシで低い傾向 (P<0.10) がみられた。これらの結果から,GABAの経口投与は,肉用牛の輸送および屠畜時のストレスを投与後数十分間は低減させることが確認された。
著者
千秋 博紀 滝田 隼 荒井 武彦 福原 哲哉 田中 智 岡田 達明 関口 朋彦 坂谷 尚哉 はやぶさ2TIRチーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.120-125, 2015

TIR(中間赤外カメラ)は,8から12ミクロンの波長帯で熱輻射の2次元イメージングを行う.ターゲット天体の1自転分の撮像から表層物質の熱履歴をもとめ,そこから熱物性を推定する.表層物質の熱物性は,ミッション遂行に必要な情報であるばかりでなく,その後の天体の運命を決める重要な情報である.
著者
石渡 俊江 植竹 勝治 安部 直重 江口 祐輔 田中 智夫
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌 (ISSN:13421131)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.149-154, 2005-02-01
被引用文献数
2

環境エンリッチメントレベルが異なる飼育ペンでの牛の舐塩行動の発現についで調査するため、黒毛和種×ホルスタイン種の去勢雄牛を2回の反復実験において合計71頭(n=35,36)を供試した。供試牛は導入2週間後から、濃厚飼料を給飼する給飼通路と乾草を給飼する飼槽、水槽、休息場所からなる通常のペンの対照群(C群:n=11,12)、通常のペンに乾草が入るように改良したドラム缶(Φ58価×H90cm)を設置したドラム缶群(D群:n=12.12)、そのドラム缶の側面に人工芝(30×120cm)を巻き付けた身繕いドラム缶群(GD群:n=12,12)に分け、3つのペン(各ペン6.0×9.5m)で飼育した。固形塩(5kg)は導入後4.5ヵ月目から給飼通路に設置し、その後、朝夕の給飼後2時間に10分間隔で3日間連続して行動観察し、採血と体重測定を合わせて行なった。観察期間中に舐塩行動が観察された牛は、対照群16頭、ドラム缶群10頭、身繕いドラム缶群11頭と処理群間に差はみられなかった。観察された舐塩行動の持続時間は、ほとんどが20分未満であった。舐塩行動の前に発現した主な行動は、乾草の採食(25.9%)、休息(22.4%)であり、後に発現した主な行動は休息(28.3%)、乾草の採食(21.7%)であった。舐塩回数の多い個体ほど、休息回数(r=0.25,P<0.05)と反側回数(r=0.28,P<0.05)が多くなった。また、舐塩回数の多い個体ほど、血清インスリン濃度が高くなった(r=0.41,P<0.05)。さらに一度でも舐塩行動を発現した個体で、未発現の個体より血漿グルコース濃度が低くなった(P<0.05)。以上の結果から、固形塩を舐めることは、いずれの環境エンリッチメントレベルにおいても必ず何頭かの牛で発現し、休息や反側行動の発現とインスリン分泌を促し、消化・代謝を促進する可能性があることが示唆された。
著者
池田 華子 田中 智明 日高 聡太 石山 智弘 宮崎 弦太
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.101-117, 2016-06-01 (Released:2016-12-01)
参考文献数
23

In relation to the recent development of ultra high definition imaging technique (4K) that have quadruple amount of pixels relative to high definition imaging (HD), it has been reported that observer’s subjective impression differ between these imaging. The present study examined how differences in resolution (4K and HD imaging) influence subjective impressions of movies in association with movie contents (natural/artificial objects) and fields of view (wide/medium/narrow) (Exp1). We also investigated the effects of the quantities of motion on subjective impressions of movies in different im-ge resolutions with the flame rate higher (59.94 fps) than the previous study (23.98 fps) (Exp2). We found that 4K movies, as compared to HD movies, induced stronger impressions regarding evaluation and comfort especially when they were presented with natural scene and/or larger field of view. It was also shown that 4K movies with higher flame rate induced stronger impressions regarding desirability and comfort regardless of motion quantities, contrary to the previous finding that 4K movies with the larger quantities of motion gave observer lower impression regarding desirability and comfort than HD movies. These results demonstrate that the differences in image resolution could modulate subjective impressions of movies in accordance with the differences in movie contents, fields of view, and flame rate. Moreover, the current findings suggest that there exist some desirable conditions under which the ultra high definition imaging could effectively enhance observers’ subjective impressions of movies.
著者
田中 智子
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.21-32, 2010-02

本稿は,障害者のいる家族に生じる様々な生活問題を貧困の視点から捉えなおすことを試みる.第一に,障害者・家族の状況を貧困の視角から捉えた調査・研究はあまり見られないが,その中で成人期においても家族への経済的依存は継続していること,障害者のいる家族は,一般世帯と比較して経済的収入が低位におかれていることを明らかにした.第二に,A市における障害者の家族を対象とした調査をもとに,障害者の家族が,貧困状態に陥る構造について考察した.その結果,貧困に陥る構造としては,家計がシングルインカムによって支えられていること,本人にかかる支出が本人収入を上回ることを指摘した.貧困状態に陥った家族においては,その内外で母子一体化による孤立した状態へと帰結することをさらに明らかにした.
著者
本田 兼基 田中 智久 斎藤 義夫
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2008年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.1075-1076, 2008 (Released:2008-09-03)

炭素繊維複合材料は,優れた性能を有しているがその製造工程は自動化が難しく,生産性が劣るためにコストが高いという課題がある.安価な製造技術が求められており,インライン化,新しい低コスト成形技術を開発する必要がある.そこで,内部加熱などの特徴を持つ高周波誘導加熱技術を炭素繊維複合材料の成形過程に適用する方法について実験的に調べ,その可能性について検討した.
著者
寺崎 健 池口 徹 合原 一幸 田中 智
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.1601-1617, 1995-12-25
被引用文献数
6

本論文では,従来主として確率的な不規則現象としてとらえられてきた経済時系列データに対して,決定論的非線形ダイナミカル特性に関する解析を行う.解析の対象としたのは,対ドル円の為替レートおよび日経平均株価である.これらのデータの決定論的非線形ダイナミカル特性を定量的かつ客観的に評価するため,相関積分を用いた相関次元解析,ヤコビ行列推定法によるリヤプノフスペクトラム解析および決定論的非線形(区分線形)予測による解析を行った.相関次元解析では,いずれの場合にも相関積分から求められる局所的な傾きが収束せず,少なくとも次元が1けた程度の低次元のアトラクタを形成していないことが示唆された.リヤプノフスペクトラム解析では,いずれの場合でも最大リヤプノフ指数が正となり,決定論的カオスの特徴の一つでもある軌道不安定性を示唆する結果が得られた.最後に,決定論的非線形予測の解析結杲では,その予測精度と予測時間との関係は典型的な低次元カオスとは定性的に異なる.以上の結果により,本論文で解析した経済データは,少数自由度の力学系によって記述される典型的な決定論的カオスではない可能性が高く,軌道不安定性をもつ,より複雜な対象であることが示唆される.
著者
田中 智規
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.75, pp.25-30, 2008-05-23

これまで、サプライヤ・システムの実態把握は、アンケート調査や個別ヒアリングから分析する方法が取られてきたが、多数の企業を一度に、客観的に評価することが困難であった。本稿では、特許情報の分析によって、サプライヤ・システムの実態を客観的に把握することを試みた。特許情報という客観的な情報に基づいて、サプライヤ・システムの実態が把握できれば、将来の動向を予測することが可能になり、企業の経営戦略、技術戦略において、より有効な戦略的企業連携を模索することができるようになるだろう。
著者
吉本 正 谷田 創 田中 智夫
出版者
麻布大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

研究者らは1985年以来,暑熱環境における雄豚のサマ-ステリリティについて検討を行ない,30〜35^。Cの環境温度において3〜6週間飼養すると明らかに造精機能が低下することを認めた.現在は,その造精機能の低下防止について検討を行なっており,平成元年からは当補助金を受け,局所冷却による造精機能の低下防止法について検討を行っている.初年度は,自然環境下において局所冷却(豚の首〜肩部に水滴を落下させる drip cooling法)を行ない,その効果をサ-モグラフィ-を用いて生理反応の面から検討した.その結果,自然環境温(29〜31^。C)の条件下においては,局所冷却を行なうことによって豚体の皮膚表面温を2〜3^。C抑制する効果が認められた.2年度は環境調節室を用い,適温期(24^。C一定)を3日間,加温期(33^。C,10h;28^。C,14h)を4週間とし,大ヨ-クシャ-種雄豚6頭を用いて,同様の調査を行なった。実験1では,水滴の落下位置を検討するために,33^。Cの室温において,頭部,頸部,精巣部に水滴を11分ごとに1分間,滴下させて,それが全身の皮膚温に及ぼす影響を調査した.その結果,頸部に水滴を落下させた場合に全身の皮膚温を低下させる効果が認められた.実験2では,実験1の結果を基に,頸部に水滴を落下させた場合における適温期および加温期(33^。時)の心拍,呼吸,直腸温,サ-モグラフィ-による皮膚温および精液性状を調査した.その結果,心拍数および呼吸数に対しては大きな影響を与えなかったが,直腸温および皮膚表面温については約1^。C上昇を抑える効果が認められた.以上のことから,drip coolingによる局所冷却は,雄豚のサマ-ステリリティ-の方止に十分,活用できる方法であることが示唆された.