著者
寺澤 美穂 山折 大 勝山 善彦 二村 緑 久富 由里子 田中 章 荻原 朋美 萩原 徹也 杉山 暢宏 鷲塚 伸介 大森 栄
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.362-372, 2017-07-10 (Released:2018-07-10)
参考文献数
23

This study analyzed factors affecting plasma lamotrigine (LTG) concentrations in patients with bipolar disorder. The mean concentration/dose (C/D) ratio of LTG was significantly higher in patients co-treated with LTG and valproic acid (VPA) [3.72 (μg/mL)/(mg/kg/day), n = 9] than in those receiving LTG monotherapy [1.76 (μg/mL)/(mg/kg/day), n = 9; P < 0.01]. LTG monotherapy patients were genotyped for UDP-glucuronosyltransferase 2B7 (UGT2B7) *1/*1 (n = 5) and *1/*2(n = 4), whereas VPA co-administration patients were genotyped for UGT2B7*1/*1 (n = 6), *1/*2 (n = 2) and *2/*2 (n = 1). *There were no significant differences in mean C/D ratios between patients carrying the UGT2B7*1/*1 genotype and the 1/*2 or *2/*2 genotype regardless of pharmacotherapy (P ≥ 0.150). In the LTG monotherapy group, the mean C/D ratio was similar in smoking patients [1.52 (μg/mL)/(mg/kg/day), n = 3] and non-smoking patients [1.88 (μg/mL)/(mg/kg/day), n = 6; P = 0.393]. In the VPA co-administration group, however, the mean C/D ratio in smoking patients [2.62 (μg/mL)/(mg/kg/day), n = 4] was significantly lower than that in non-smoking patients [4.61 (μg/mL)/(mg/kg/day), n = 5; P < 0.01]. In vitro studies with HepG2 cells indicated that benzo[a]pyrene, one of the polycyclic aromatic hydrocarbons contained in tobacco smoke, as well as 3-methylcholanthrene efficiently induced expression of UGT1A4 mRNA but not UGT2B7 mRNA and that VPA potently enhanced their induction. These results suggest that concomitant VPA administration and/or smoking may influence LTG concentrations in patients with bipolar disorder.
著者
田中 清
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.93, no.8, pp.325-333, 2019-08-25 (Released:2020-08-31)

Vitamin deficiency causes classical deficiency diseases such as beriberi and rickets. Vitamin insufficiency, which is milder than deficiency, is a risk for various chronic diseases, but its significance has not been recognized in Japan. Vitamin D insufficiency is quite common in Japan, and a serious risk for osteoporotic fracture through its unbeneficial effect on bone and muscle. Vitamin K insufficiency is also a risk for fracture. Insufficiency of water-soluble vitamins has been little studied. However, we have reported that vitamin B12 and folate insufficiency is a risk for muscle weakness in the elderly, and vitamin B 1 insufficiency is a risk for heart failure in the elderly. Although the therapeutic effect of improvement of nutritional status including vitamins is not marked than that of drug treatment, the improvement of nutritional status is far lower in cost and suited for the primary prevention of diseases. Although it is considered that randomized controlled trial is the study with most robust evidence in the evaluation of drug treatment, higher significance should be put on the well-designed cohort studies in evaluating the role of nutrients. Vitamin insufficiency is quite prevalent, and vitamin requirement is much higher for its insufficiency avoidance than for its deficiency prevention.
著者
田中 雅一
出版者
人間文化研究機構地域研究推進事業「現代インド地域研究」
雑誌
現代インド研究 (ISSN:21859833)
巻号頁・発行日
no.2, pp.59-77, 2012-01

名誉殺人とは、女性の不道徳な行為がその家族や帰属集団(家族、親族、村落、カースト、宗教集団など)にもたらす不名誉を取り除き、名誉回復の手段として行われる暴力(殺傷事件)である。不道徳な行為とは婚前の性関係、親が認めない婚姻関係(ただし、認めない理由はさまざまである)、そして妻の不貞などである。名誉殺人はその言葉から殺人を指すが、殺人未遂や拉致など、殺人以外の暴力も含めることができる。名誉殺人は、両親の権威によって象徴される伝統的な共同体、すなわち「名誉の共同体」の秩序を揺るがす若者にたいする処罰である。本稿の目的は、北インドにおける名誉殺人の実態と背景について考察することである。またサティー(寡婦殉死)との比較を通じて注目したいのは、名誉殺人をめぐる言説における、「野蛮」や「犠牲」という概念である。さらに「名誉の共同体」にたいする「哀しみの共同体」を対比させることで、あらたな分析枠組みを提示したい。
著者
田中 竜介 中澤 奈穂 前田 俊道 福島 英登 和田 律子 杉浦 義正 松下 映夫 幡手 英雄 岡野 利之 福田 裕
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.39-49, 2015-03-31 (Released:2016-03-31)
参考文献数
48
被引用文献数
1

日本国内で流通している冷凍Norway 産タイセイヨウサバ (Scomber scombrus Linnaeus)ならびに冷凍国内産マサバ(Scomber japonicus Houttuyn)において,漁獲場所,漁獲時期,冷凍期間,冷凍温度による,脂質酸化ならびにアルデヒド類の影響について検討を行った.脂質含量はNorway 産タイセイヨウサバと冬期に日本近海の低緯度で漁獲されたマサバが高かった.過酸化物価,アルデヒド類は冷凍温度が高く,冷凍期間が長くなると増加した.また,ビタミンE 含量の減少とともに,アルデヒド類の一つである4-hydroxy-2-hexenal が増加したことから水産物に多く含まれるn-3 系不飽和脂肪酸の酸化が示唆された.以上の結果から,国内で流通している冷凍サバ類は様々な脂質酸化レベルの商品が存在し,これらの品質を向上させるためには,冷凍期間・温度に留意する必要があることが示唆された.
著者
辻 圭一 横川 正美 田中 正二 洲崎 俊夫 立野 勝彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.453-457, 2008 (Released:2008-07-28)
参考文献数
21

〔目的〕本研究では,車椅子を使用している片麻痺患者の座位姿勢中の座圧の特徴と,車椅子専用クッションが座圧に与える影響について検証した。〔対象〕対象は脳卒中片麻痺者9名で,歩行練習を実施している4名(片麻痺歩行群)と歩行練習を実施していない5名(片麻痺介助群)に分けた。また,麻痺がなく下肢筋力が低下した歩行困難な4名(筋力低下群)も調査した。〔方法〕被検者は標準型車椅子に‘クッション無し’と‘有り’の条件で各10分間座り,体圧分布測定装置で座圧を測定した。分析には座圧の体重補正値を用い,対応のあるt検定を用いた。〔結果〕クッション無しで非麻痺側と麻痺側を比較した結果,片麻痺歩行群では非麻痺側の座圧が有意に高かった。片麻痺介助群と筋力低下群にはそのような違いは生じなかった。クッション有りで片麻痺歩行群と介助群の非麻痺側と麻痺側を比較した結果,差は認められなかった。下肢筋力低下群の左右差もみられなかった。〔結語〕片麻痺者は障害の程度により座圧の特徴があることが示された。また,クッションの使用により,非麻痺側と麻痺側の座圧の偏りが解消することが示唆された。
著者
田中 美保子
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.17-37, 2021-03-30

スタジオジブリがアニメーション化した『借りぐらしのアリエッティ』(2010)は、メアリー・ノートンのイギリス児童文学の古典The Borrowers (1952)を翻案した作品である。『ハウルの動く城』 (2004)や『思い出のマーニー』(2014)を含め、ジブリ映画の伝統に位置づけられる作品は、イギリス児童文学を脚色したり、その影響を受けたりしている。ジブリは、物語の舞台を日本へ移し、アニメーション化に際し、環境の違いや文化の背景の違いを反映した多くの変更を加えている。ジブリ作品の英語吹き替え版の大半はディズニー/ピクサーが制作し、アメリカ人声優を起用しているが、珍しいことに、『借りぐらしのアリエッティ』では2種類の英語吹き替え版が制作された。一つは、ディズニーによるThe Secret World of Arrietty (2012)、もう一つは、イギリス人役者を主に起用した、イギリスの配給会社スタジオ・カナルによるArrietty (2011)である。これら二つの吹き替え版では、脚本、性格描写、それぞれの国固有の事物・風物として焦点を当てる箇所などが違う。そしてそれは、ジブリの日本語脚本とも著しく異なっている。本稿では、こうした点に着目し、日本語版と二つの英語吹き替え版を比較対照し(また、ノートンの原作を適宜参照し)、文化を跨いだノートンの物語の広がりを探る。変更点の多くは、日本、アメリカ、イギリスの文化的な違いに関わること、言語や物質的世界の向こうへ広がる問題、物語の慣例や(特にディズニーの場合には)登場人物や家族関係に対する姿勢の違いが関係することについて考察する。その際、「国民性」といったありきたりの結論にならないよう留意しつつ、関連する要因の数やその複雑さにも配慮する。
著者
田中 圭子 Keiko Tanaka
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 = The Social Science(The Social Sciences) (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
no.80, pp.43-58, 2008-03-11

日本の球体関節人形は、1960年代に澁澤龍彦、瀧口修造らシュルレアリストたちによって紹介されたハンス・ベルメールの人形写真との邂逅に始まる。人形には「人形としてのかたち」があるという発見から生まれた四谷シモンの人形は、それまでの叙情的で愛らしい創作人形の概念を覆すものであった。70年代の四谷シモン、土井典らの活躍によって、球体関節人形は工芸の一部としては収まりきらないものとの認識が高まり、新たな文脈の中で独自の発展を遂げてゆく。80年代、天野可淡、吉田良らが制作した耽美で幻想的な人形作品と写真集は、その後の人形表現に大きな影響を及ぼし、多くの追随者を生むこととなった。また、球体関節人形に関する出版物の増加、人形教室の開設などにより、球体関節人形制作は短期間で全国に波及し、多くの作家を輩出していった。近年では、西欧のビスクドールに影響を受けた恋月姫の登場以降、玩具性やファッション性を重視する傾向が強まり、球体関節人形文化はサブカルチャーと係わりあいながら新たなひろがりを見せている。
著者
田中 健路
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_386-I_390, 2011

On 15 July 2009, a meteotsunami occurred at Tsushima Strait and with the flood damage at Sasuna community area in the west of Tsushima Island. This study analyzed the meteorological conditions in relation to the meteotsunami event. The baiu front system moved south from Korean Peninsula to the north Kyushu and San-in area in the morning of 15 July, accompanied with the strong cold downdraft. The pressure disturbance occurred by the acoustic gravity mode 100-120 km west from Tsushima Island in the middle of the strait, where the surface moist air from the southwest was lifted by cold downdraft. The cycle of the pressure disturbances were around 10 minutes, which is nearly same as the eigenoscillation of the small bays of the Tsushima.
著者
花見 健太郎 田中 良哉
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

神経系及び神経伝達物質が免疫系のみならず、骨代謝へも影響を与えている事が近年報告されている。我々は、関節リウマチ患者炎症性滑膜の樹状細胞にドパミンが豊富に存在する事、ドパミンD1様受容体阻害薬が滑膜炎症及び関節破壊を抑制しうる事をSCIDマウスを使ったヒト関節リウマチモデルにおける検討で明らかにし、更にはドパミンD2受容体シグナルが細胞内cAMP-c-Fos-NFATc1を抑制する事で 破骨細胞形成を抑制する事を報告しており、神経伝達物質が、関節リウマチの新規治療方法となり得る可能性が考えられる。本研究では、神経伝達物質による関節リ ウマチに対しての新規治療法の開発を目的とする。
著者
福島 あゆみ 岡田 洋右 谷川 隆久 河原 智恵 三澤 晴雄 中井 美穂 廣瀬 暁子 神田 加壽子 森田 恵美子 田中 良哉
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.311-316, 2003-04-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
16

症例は52歳女性. 1996年 (平成8年) に低血糖昏睡 (血糖12mg/dl) で近医に緊急入院したが, 低血糖発作が頻発するため1997年 (平成9年) 当科入院.考えられる低血糖発作の原因を除外した後に, インスリン (IRI) 血糖 (PG) は0.44~1.07, 血管造影で膵尾部に径1.5cm大の濃染像が疑われることより, インスリノーマの診断で膵体尾部脾合併切除 (90%) を施行したが, 術中所見, 切除膵の組織学的検討で異常所見を認めなかった. しかし, その後も夜間空腹時低血糖発作を反復するも, 発作時のIRI PGが0.07と過剰インスリン分泌は消失していたことから, 術後低血糖の主因としては反応性低血糖を考え, ボグリボース内服と夜間補食 (2単位) を開始. 以後, 日常生活には支障ないものの, 依然として早朝空腹時血糖は50mg/dl前後であり, 2001年 (平成13年) 9月病状再評価のため施行した選択的動脈内カルシウム注入検査 (ASVS) にて, 30秒後にIRIが2.5倍以上に上昇し陽性. また, ボグリボースと夜間補食中止下でのdaily profiieでは食後高血糖がみられ, 著明なインスリン抵抗性と低血糖時のインスリン分泌抑制を認めた.本例の低血糖の病態としては, ASVSの結果および術後経過より, 術前の病態としては膵β細胞のび漫性機能亢進があったのではないかと考えられ, 広汎な膵切除によるインスリン総分泌量の減少に加え, ボグリボースにより反応性のインスリン過剰分泌を減少させることで重篤な低血糖発作を改善することができたと推測される.
著者
田中 未央 厳島 行雄
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.85-94, 2007 (Released:2017-06-02)

不正確な目撃証言による記憶の変容は、証言者の意図が伴わずに生じる現象であり、その原因として事後情報効果などの様々な要因が明らかにされてきた。一方で、事件の加害者や容疑者が意図的に語った不正確な供述、つまり嘘の供述が後の記憶に及ぼす影響についての検討は、あまり行われていない。そこで、本研究では出来事を想起する際に嘘をついた場合、記憶がどのように変化するかを検討するために2つの実験を行った。実験1では、同じ出来事について嘘をついた後の記憶と嘘をつかなかった後の記憶を比較し、出来事を想起する際に嘘をついた場合でも出来事に関する正確な記憶が維持されること、また、嘘をつく際には2つの方略が用いられる傾向があることが示された。実験2では、嘘をつく際に採用される方略を統制し、後の記憶を比較したところ、嘘をつく際に知らないふりをする方略を用いた場合に正確な記憶が抑制されることが示された。実験1・実験2の結果から、出来事を想起する際の嘘の有無ではなく、採用される嘘の方略が正確な記憶を抑制する要因であると考えられる。また、知らないふりをすることでオリジナル(原現象)の想起が抑制されるので、オリジナル記憶のリハーサルが妨害され、正確な出来事を想起することが困難になると考えられる。
著者
田中 陽平 高野 弘基 滑川 将気 鈴木 倫明 源甲斐 信行 阿部 博史
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10825, (Released:2020-12-15)
参考文献数
15

要旨:症例は47歳女性,廊下で倒れているところを発見され当院に救急搬送された.診察上左共同偏視,全失語,右重度片麻痺,右半側空間無視を認めた.頭部MRIは左中大脳動脈M1近位閉塞を認めた.経皮的血栓回収療法を行い完全再開通を得た.術後,3D-CTAで左内頸動脈起始部に突出する構造物を認め,carotid webと診断し,他に塞栓源を認めなかったため,この病変が塞栓源であると考えた.Carotid webに対し頸動脈ステント留置術(CAS)を行い,術後経過は良好である.Carotid webは頸部内頸動脈起始部後壁にできる棚状構造物で,脳梗塞の塞栓源の一つと考えられている.内科的治療単独では高率に脳梗塞を再発するといわれており,外科治療が考慮される.本例のように,carotid webに対するCASは安全に施行可能であり,有用な再発予防の選択肢の一つと考える.
著者
田中 博 野原 大輔 横井 みずほ
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.611-630, 2000-10-25
被引用文献数
5

本研究では、韓国のIce Valleyと福島県の中山風穴の現地観測結果を基に、0次元モデル、流路に沿った1次元モデル、鉛直断面としての2次元モデルを開発して、風穴循環の一連の数値シミュレーションを行なった。これらの風穴は、周辺の稀少な高山植物の生育により国の特別天然記念物に指定されているが、近年氷の減少傾向が見られ、その原因究明が急務となっている。現地観測および数値実験の結果として、以下のことが明らかになった。(1)風穴循環の主な駆動力は、外気と崖錘内部の気温差による水平圧傾度力である。(2)崖錘内部の空気の滞留時間は約2日であり、平均的な風穴循環は、約1mm/sと推定される。(3)春から夏にかけてのカタバ風としての冷風穴循環は、秋から冬にかけてのアナバ風としての温風穴循環と入れ替わる。(4)崖錘表面に植生が殆どないIce Valleyの場合、夏季の安定したカタバ流とは対照的に冬季には不安定による対流混合が発生し、このような風穴循環の夏冬非対称性が、崖錘内部の平均温度を下げる熱フィルターの役割を果たす。外気が暑ければ暑いほど、崖錘内部のカタバ風が強くなることは注目に値する。Ice Valleyや中山風穴における夏期氷結の謎は、部分的ではあるが、この風穴循環のメカニズムによって説明することができる。
著者
田中 彰
出版者
産業学会
雑誌
産業学会研究年報 (ISSN:09187162)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.10, pp.65-74,95, 1995-03-31 (Released:2009-10-08)

This Paper considers the politics that steelmakers took with regard to sogo shosha (large general trading companies) and specialist trading companies during the period of Japan's rapid economic growth, when the amount of imported iron ore was expanding rapidly.The steel companies typically maintained exclusive relations with a specific trader vis a vis each of a large number of small mines, mainly in Southeast Asia, during the 1950s. In the 1960s, however, newly developed large-scale ore mining projects became the primary source of supply. In order to develop such huge projects, the steelmakers needed the information, financing, transport, and the organizer-role of the sogo shosha. Many specialist steel traders attempted to develop capabilities comparable to the sogo shosha in order to maintain their leading roles. However, while a number of the former textile traders were successful in becoming sogo shosha, most of the specialist steel traders generally failed, despite assistance from the steelmakers, and were instead absorbed by their larger sogo shosha competitors. The steelmakers switched increasingly to the sogo shosha as their main traders, resulting in the top 6 such organizations handling 58.5% of the business in 1965, rising to 71.8% by 1971.Those specialist steel traders that did not attempt to become sogo shosha became affiliated agents for their large steelmaker customer/patrons. Through the 1960s, the steelmakers recognized and strengthend them into virtual in-house traders. These in-house traders operated essentially as if they were parts of the respective steelmakers. In the late 1960s, steelmakers were able to avoid a complete sogo shosha oligopoly grip on ore by increasing their own imports through the in-house traders. Thus, the competition in ore-importing between the sogo shosha and the in-house traders can be seen primary as a struggle between the sogo shosha and the steelmakers themselves.
著者
田中 博章
出版者
愛知教育大学附属高等学校
雑誌
研究紀要 (ISSN:09132155)
巻号頁・発行日
no.45, pp.33-42, 2018-03-31

グーグルアースの活用を通して、実際に旅行をしてあたかもその場にいるかのような疑似体験を行う。このようにICTを活用して世界旅行(授業ではワールドツアーと名付けた)を疑似体験することで社会参画し、観光における様々な課題を取り上げ、地理的思考(空間的思考)を通して現代的課題を解決する地理的知識やスキルの応用を重視する授業開発を目指した。そこで、第3次産業の世界の観光業における単元で、ワールドツアー(世界遺産をめぐる旅行)を取り上げ、教室内で世界旅行の疑似体験を通した自由な雰囲気の中で話し合い活動を進めるワールドカフェ方式を取り入れた。ワールドカフェ方式とはアニータ・ブラウンとデイピッド・アイザックスによって、1995年に開発・提唱された対話の手法である。本時においては、各国の代表者として各テーブルの地域ごとによる話し合い活動を行い、「いかにしてより満足できる観光が実現するか」「いかにして自然環境保護ができるか」単に世界遺産や空港を紹介するだけでなく、話し合いを通して課題解決を目指す。まずは最初のテーブルではあらかじめ固定した地域、アジア、オセアニアなどの地域から国を選び、航空交通網や世界遺産を調べ、「どのようにしてその国へ行くのか」「いかにしてより満足できる親光が実現するか」「いかにして自然環境保護ができるか」をテーマとする。ラウンドが変わるごとに1人を残して全員が他のテーブルにそれぞれ移動する。この方法で、ラウンドごとに別のテーブルの話し合いに参加できる。1人残った人は、ファシリテーター(司会)として移動してきた人にそのテーブルで進んだ話の内容を伝える。出された意見を書き込んでいく。このやり方を導入すると移動してきた人でもその前の話し合いでどんな内容が話されていたことが分かりやすく意見も出しやすくなる。そのラウンドの評価をCS(ポートフォリオ)分析9にて行う。最後は全体で情報を共有する。CS分析とは、CSポートフォリオ分析とも言い、項目別満足度と総合満足度から、重点改善領域を抽出する分析手法である。満足度を構成する要素ごとの「満足度jを縦軸、総合満足度と要素ごとの相関係数(関係の強さ)を横軸にとり、各要素をプロットして重点的に改善する要素を明らかにする。