著者
岩室 雅也 神崎 洋光 川野 誠司 河原 祥朗 田中 健大 岡田 裕之
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.1428-1434, 2017 (Released:2017-06-20)
参考文献数
16
被引用文献数
2

当院で胃・十二指腸へのランタン沈着症と診断した10症例について,内視鏡所見および臨床背景を後ろ向きに検討した.10例(男性9例,女性1例)の平均年齢は64.3歳(42歳~77歳)であり,全例が慢性腎不全のため血液透析中であった.炭酸ランタンの服用期間は12~86カ月.全例で胃にランタン沈着があり,通常観察にて白色病変として観察された.拡大観察を行った6例では微細顆粒状の白色沈着物がみられた.3例では十二指腸にもランタン沈着があり,いずれも白色の粘膜を呈した.これらの所見がみられた場合には,ランタン沈着症として経過を追跡する必要があると考えられた.
著者
矢本 香織 北河 徳彦 細川 崇 臼井 秀仁 望月 響子 武 浩志 新開 真人 浜之上 聡 後藤 裕明 吉田 美沙 田中 水緒 田中 祐吉
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.477-480, 2016 (Released:2017-03-18)
参考文献数
13

小児がんの治療成績向上に伴い,晩期合併症として二次がんの発生が問題となっている.今回小児固形腫瘍治療後に発生した二次性甲状腺癌の4例を経験したので報告する.一次がんはanaplastic sarcoma of the kidney・atypical teratoid/rhabdoid tumor・胸膜肺芽腫・卵黄嚢腫瘍であり,全例に手術・術後化学療法が施行された.2例に術後放射線照射が施行され,うち1例は頸部も照射野に含まれていた.二次性甲状腺癌の発生までの期間は中央値7年6ヵ月(4年4ヵ月~8年9ヵ月),組織型は乳頭癌が1例,濾胞癌が3例であった.二次性甲状腺癌の発生の原因として,放射線照射・化学療法・遺伝性素因等が挙げられる.高リスク群に対しては長期にわたって触診や超音波検査による甲状腺の観察が必要である.
著者
田中 久美子
出版者
社会・経済システム学会
雑誌
社会・経済システム (ISSN:09135472)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.73-80, 2022-03-31 (Released:2022-03-30)
参考文献数
10

2020年、新型コロナウィルス感染症(以下、新型コロナ)の拡大を受け、人々の日常が大きく変化した。他者との密集、密接、密閉の「3密」を避け、県境を跨いだ移動は自粛を求められた。このことは、大学生の就職活動にも大きな影響を与えた。例年大学生の就職活動が解禁される3月1日は、合同会社説明会が各地で大規模に開催されるが、2020年はその殆どが中止された。世の中が急激に変化する中で自身の進路を決める必要があった学生たちには、どのような影響があったのだろうか。特に移動が制限され、人との関わりが希薄化することが、学生たちの就職意識にどう影響しただろうか。  本研究では、地方大学に所属する学生たちが、就職活動初期の重要なプロセスで新型コロナの影響を受けたことで、彼らの就職意識にどのような影響があったのか、学生へのアンケート調査から明らかにした。その結果、会社規模や人間関係を重視する気持ちの強まりが確認された。
著者
田中 裕之
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

小麦粉中に約10%含まれる種子貯蔵タンパク質、特にグルテニンの構造と発現量は、生地強度に大きく影響する。本研究では、野生植物の染色体をもつ小麦から、パン用に求められる強い生地に関係する新たなグルテニンを探索した。その結果、リン酸化の影響を受けない複数の新規グルテニンを見いだした。さらに、1種類のタンパク質がもつ生地強度への効果を評価するため、人工的にタンパク質を作製する系を確立した

1 0 0 0 OA 物産寶庫

著者
田中芳男 編纂
出版者
小森頼信
巻号頁・発行日
vol.卷1-3, 1874

田中芳男(1838-1916)の動植物小論集で、明治3年(1870)に起筆した3冊を同7年に、当時博物局で田中の下にいた小森頼信が写したもの。田中はその後も本書を書き続け、計32冊が東京大学総合図書館に所蔵されているが、その初期の姿を伝える資料。幕末から明治初年の状況や、田中がどのような洋書・漢書を利用したかもわかる。たとえば、冊1の【9】「ムカシヨモギ」(【 】は項目番号)は、この植物が慶応4年(1868)頃から東京で雑草化しはじめ、明治3年には東京の各地に拡がるとの記述、【21】「生物総論」は幕末に開成所が刊行した『中外襍誌』(「襍」は「雑」の異体字で、清国上海発行の雑誌の翻刻)連載の動物学小論の転写で、日本の動物学用語の多くがこの小論に由来することがわかる。冊2は全冊が水草・海藻に充てられ、フラスモやシャジクモの名の由来も記す。冊3には、【44】「知母蘭」:イトランの来歴、【45】「天竺牡丹」:ダリアの来歴、【55】「マルモット考」:通称モルモットを田中が「天竺鼠」と命名した経緯、【66】「サボテン考」:幕末までに渡来したサボテン類の一覧、などがある。(磯野直秀)
著者
田中 康雄
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1-12, 2021 (Released:2021-06-30)
参考文献数
67

本研究は,従来型・ユニット型の介護老人福祉施設で実施している勤続1年未満・以上における正規介護職員向けの教育・研修内容と体制を把握した上で,それらと正規介護職員の離職率がどのように関連しているかを明らかにし,今後の職場定着促進に必要な方策を施設形態毎に検討することを目的する。全国の介護老人福祉施設のうち無作為抽出した1,180か所を対象に郵送法による質問紙調査を実施した。離職率と研修内容の関連を重回帰分析した結果,従来型では勤続1年未満向けの内容のうちリーダー養成,勤続1年以上向けの内容の記録の書き方と報告の方法が離職率を高め,ユニット型では勤続1年未満向けの内容の介護技術・知識,体制の教育・研修の責任者の設置が離職率を抑え,勤続1年以上向けの内容の機能訓練に関する知識が離職率を高め,腰痛予防対策が離職率を抑える関連がみられた。今後,介護老人福祉施設においては,一律ではなく,施設形態別,勤続年数別に各施設状況に応じた教育・研修内容や体制について本研究結果内容を重点的に取り組み,内容や研修回数を見直し,経験や慣習ではなく,根拠に基づいた教育・研修実施による職場定着促進策の推進が重要になると考えられる。
著者
笠原 要 佐藤浩史 フランシス ボンド 田中 貴秋 藤田 早苗 金杉 友子 天野 成昭
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.1(2003-NL-159), pp.75-82, 2004-01-13

単語の意味を用いた情報処理技術の基盤となりうる基本語の言語知識ベースとして,「基本語彙知識ベース」の構築を進めている.本稿では,その構想と,中核となる2.8万の基本語の意味記述である「基本語意味データベース」の構築状況について説明する.
著者
氏野 智也 小島 梨沙 山田 俊幸 田中 将史 中山 尋量
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

目的:血清アミロイドA(SAA)は肝臓で合成される全長104残基からなるタンパク質である。生体内でアミロイド線維を形成し、アミロイドーシスの原因となることが知られている。マウスでは、SAA分子のカルバモイル化が、細胞培養系においてアミロイド線維形成を促進すると報告されている。本研究では、ヒトSAAのカルバモイル化が構造特性やアミロイド線維形成に及ぼす影響を検討する。方法:構造特性に及ぼす影響を調べるため、二次構造及びその熱安定性を円二色性分散計により評価した。また、リポソームと混合することによって、脂質結合に伴う二次構造の変化を調べた。アミロイド線維形成に及ぼす影響を調べるため、チオフラビンTを用いた蛍光測定を行うとともに凝集体の形態を電子顕微鏡により観察した。さらに、SAA分子で最もアミロイド線維形成に関与すると考えられているN末端領域に相当するSAA(1-27)ペプチドを用いて、N末端アミノ基のカルバモイル化の影響を調べた。結果:低温では安定性に違いが認められたものの、生理的温度では脂質への結合の有無に関わらず二次構造にほとんど変化が認められなかった。蛍光測定ではどちらもチオフラビンTの蛍光を示しているにも関わらず、二次構造や凝集体の形態に違いが認められた。SAA(1-27)ペプチドのN末端アミノ基のみのカルバモイル化でも、全長タンパク質と同様の傾向を示したことから、N末端アミノ基のカルバモイル化がアミロイド線維の形成過程や形成される線維の構造や形態に違いをもたらすことが示唆された。考察:SAA分子、とりわけN末端アミノ基のカルバモイル化は生体内での構造には影響しないが、SAA由来のアミロイドーシスの発症に影響する可能性があることが示唆された。今後は、酸化など生体内で起こりうる他の化学修飾がSAAの構造や機能に及ぼす影響をさらに検討する。
著者
田中 浩二 長谷川 雅美
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_53-62, 2012-09-20 (Released:2012-10-16)
参考文献数
20

目的:うつ病高齢者の生活世界に根ざした体験を明らかにし,抑うつを緩和するための看護への示唆を得ることである.方法:うつ病と診断され精神科治療を受けている65歳以上の高齢者11名を対象に,非構成的面接を行い,Giorgiの科学的現象学的方法で分析した.結果:6つのテーマが導き出された.うつ病高齢者は,過去の【負の記憶の重み】を抱えながら現在を生きており,さらに【老いによる喪失の重み】【抑うつを伴う身体症状からの脅かし】【他者との相互作用から起こる自己の存在価値の低下と孤独】という老いを生きることに基づく苦しみを体験することで抑うつを深めていた.これらの体験は全て【死の強い意識化】につながっており,それによってさらに抑うつが増強するという悪循環が生じていた.一方では,他者や世界とのつながりが実感できることで【生きる力の再生】を体験し,抑うつを緩和することができていた.結論:うつ病高齢者の体験の基盤には,死にふれて生きることや人としての尊厳が脅かされやすいことへの苦悩があることが考えられた.看護師は,うつ病高齢者が抑うつを抱えながらも【生きる力を再生】できるように働きかけることが重要である.
著者
田中 重人
巻号頁・発行日
pp.1-24, 2022-05-14

学会等での発表資料【社会政策学会 第144回大会】
著者
田中 敏宏
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会誌 (ISSN:00214787)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.576-581, 2008 (Released:2012-10-05)
参考文献数
8
著者
田中 裕美子
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.16-21, 2021 (Released:2021-07-31)
参考文献数
13

原因が見当たらないのにことばの遅れを呈する2歳児をレイトトーカー(LT:Late Talker)と呼ぶが,英語圏ではその約15%が4・5歳で特異的言語発達障害(SLI: Specific Language Impairment)に至るという。SLI児は文レベルで話していても深刻な言語の問題を呈し,就学後学習の躓きにつながり,それが長期に続くことが報告されている。つまり,早期のことばの遅れは言語発達障害に至る大きなリスク要因であり,子どもの言語の問題はことばを話すかどうかでは捉えられない。そこで,言語の問題をコミュニケーションではなく,学習言語の視点から捉えた評価や指導法を提言し,評価法の一つとして,教えた効果から言語習得力を捉えるダイナミックアセスメントを,LTの経過観察の中で文法や言語習得力を育む親の言葉かけや関わり指導法の一つとして日本版Toy talk(トイトーク)を紹介する。
著者
古田 亮 木島 隆康 薩摩 雅登 岡本 明子 下東 佳那 田中 圭子 黒田 和士
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

web上で全資料のリストを公開し、全資料を検索可能なデータベースを公開した。あわせて全資料の総目録を作成した。また本研究の成果発表として、2015年12月に東京藝術大学大学美術館展示室において、「藤田嗣治資料公開展示」を行い、資料群の中から、藤田の生涯を通覧できる写真資料を展示したほか、本資料に特徴的なものを特に選出し、展示した。また、観覧者の理解の助けとするためのリーフレットを作成し、展示室で配布した。藤田の日記などをもとに藤田の詳細な年譜を作成した。この年譜は2017年に刊行予定である。
著者
田中 瑛 阪田 隼也
出版者
学校法人物療学園 大阪物療大学
雑誌
大阪物療大学紀要 (ISSN:21876517)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.33-37, 2018 (Released:2019-03-08)

本研究は、外部指導者による運動指導とこども園の連携と幼児の運動能力の関係性について検討することを目的とした。対象は、運動あそび非実践群の幼児34名(男児20名、女児14名)と運動あそび実践3年目群の幼児40名(男児18名、女児22名)とした。測定項目は、往復走、立ち幅跳び、体支持持続時間、両足連続跳び越し、捕球の5種目とした。その結果、男児の往復走、両足連続跳び越し、女児の往復走において運動あそび実践群が非実践群よりも有意に高い値を示した。これらのことを検討した結果、外部講師による運動あそびや保育士研修により、子どもも大人も運動あそびが楽しいと実感し、自発的な運動が継続的に行われたことによって、幼児の運動能力が向上することが明らかになった。
著者
照喜名 聖実 田中 敦士 細川 徹
出版者
一般社団法人 Asian Society of Human Services
雑誌
Total Rehabilitation Research (ISSN:21881855)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.61-86, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
16

In Japan, the declining birthrate and aging population is serious, and the consolidation and elimination of small-scale schools are proceeding in depopulated area. As inclusive education is being promoted, we believe that clarifying the superiority of inclusive education at small-scale schools will maximize the merits of small-scale schools. In this study, we compared Inclusive Education Assessment of small-scale schools with appropriate-scale schools on points of view of amount and quality. From January to March 2016, we conducted a questionnaire survey to 17 special support education coordinators working at elementary and junior high schools in the Yaeyama area. Small-scale school’s score was higher than appropriate-scale schools on “Security of rights” and “Improvement of curriculum”. With respect to the average point comparison of each item, the small-scale schools for all items were comparable or higher than that for the appropriate-scale schools. There were qualitative differences in practice between small-scale schools and appropriate-scale schools on grounds of practical cases. We clarified Inclusive Education Assessment of small scale schools was better than appropriate scale schools. Additionally, we clarified high level educational activity was practiced in small-scale schools. We hope that this study will be an opportunity to maximize the merit of small-scale schools all around the country.
著者
宮 一志 田仲 千秋 田中 朋美
出版者
富山大学人間発達科学部発達教育学科発達福祉コース
雑誌
とやま発達福祉学年報 (ISSN:21850801)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.23-27, 2016-07-28

発達障害が疑われる小児のうち就学年齢以降で受診する例では認知機能・能力の偏りが軽度であるにも関わらず、二次障害を合併していることが多いとされている。本研究では2010年4月から2015年9月までに富山大学附属病院を受診し、発達・知的障害と診断された6歳から15歳までの小児において、受診時の年齢により(小学校低学年群、小学校高学年群、中学生群の3群)、二次障害の発生頻度に差が見られるか、x二乗検定により解析した。その結果、年齢群と受診時の二次障害の有無では有意差が見られた( X 2(2, N=95)=12, p<0.01)。残差分析により小学校低学年での受診では二次障害の合併が少ないことが示唆された。発達障害児が二次障害を起こさないためには教育・保健・福祉・医療の連携協力を進め、個々の子どもたちの特性や能力を早期に把握して、個々に応じた支援・教育を行っていく必要があると思われた。