著者
田中 直樹 我妻 浩二 榊原 加奈 村上 純一 石渕 重充 村本 勇貴 岡田 尚之 岩本 航
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1323, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】野球は,本邦における競技人口が約810万人とされ,幅広い年代で行われている。学童期や高校野球選手に対する研究報告は多いが,中・高年期の野球傷害に関する報告はほとんどみられない。今回我々は,中・高年期以上で構成される1チームについて傷害調査を行う機会を得た。そこで本研究は中・高年期野球選手における傷害発生件数と程度を調査すること,および野球経験年数,野球ブランク年数と投球障害の関係を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は,東京都還暦軟式野球連盟所属の野球選手23名(平均年齢67.4±5.6歳)とし,調査は配票による自記式アンケートとした。調査項目は,①「野球経験年数(トータル年数,野球のブランク年数)」,②「野球に起因する傷害」,③「②の野球への支障度合い(VAS)」,④「野球以外に起因する傷害・疾患」,⑤「④の野球への支障度合い(VAS)」,⑥「現在野球を行う理由に関する自由記載」の6項目とした。また,アンケート調査項目④で肩肘痛を有していると回答した13名の「野球における支障度合い」と「経験年数」,「野球のブランク」との関係をpearsonの積率相関係数を用い検討した。統計解析は統計ソフトR ver.2.13.0を用い,有意水準は5%とした。【結果】①野球経験トータル年数は平均36.1±19.5年(±標準偏差)であった。野球経験者のうち現在野球を行うまでのブランク年数は平均25.2±14.5年(±標準偏差)であった。②野球に起因する傷害は合計18/23名で,肩・肘合計13件,腰痛3件,下肢障害3件,外傷では慢性硬膜下血腫1件,手指骨折1件であった。③野球に起因する傷害による野球への支障度合いは平均14.4±12.7mm(±標準偏差)であった。④野球に起因しない傷害・疾患を有すものは合計12/23名で腰痛3件,膝痛2件,喘息2件,痛風1件,前立腺疾患2件,心房細動1件,その他3件であった。⑤野球に起因しない傷害や疾患の野球への支障度合いは平均11.0±9.6mm(±標準偏差)であった。⑥現在野球を行う理由については,生きがいが5件,ストレス発散が5件,健康のためが4件であり,その他は仲間意識,社会交流等の回答があった。「野球経験年数」および「野球のブランク年数」と「肩肘痛による野球への支障度合い」との関係はそれぞれr=0.65(p<0.05),r=0.69(p<0.05)と正の相関を認めた。【結論】野球に起因する傷害は18/23名(78%)が有し,肩肘痛においては,野球経験年数,野球ブランク年数と野球への支障度合いについて正の相関を認め,今後身体機能との関係を明らかにする必要性がある。野球に起因しない傷害・疾患は12/23名(52%)が有し,年代を考慮した参加基準の指標や疾患の重症度の把握が必要であると考えられる。
著者
安戸 饒 田中 和明
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.552-556, 1999-08-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
2

日本の工業用アルコールの原料は澱粉質から始まり, 糖蜜と変遷し, 最近では生産コスト低減と廃液処理の問題から原料転換が種々実施されている。最近の原料別生産量は輸入粗留アルコール58%, 合成法39%, その他国内発酵製品3%である。発酵法については世界的に農産物がまだ主原料である。ここでは生産性を改良するための種々の発酵法について紹介する。合成エタノールについては, 技術的に確立しているエチレンの直接水和法について紹介する。
著者
田中 雅一
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第47回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.6, 2013 (Released:2013-05-27)

本発表では、日本人の女性セックスワーカーへのインタビュー・データをもとに、客と恋人の区別に注目することで、セックスワークという仕事の性格について考察する。2012年11月までに行ったセックスワーカー11人へのインタビューをもとに、セックスワーカーの恋人観、恋人と客とを区別するような行為や言説、客が恋人になる過程や葛藤を明らかにする。これによってこれまでのセックスワーク論批判を吟味する。
著者
田中 敏郎
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.291b, 2015

現在,関節リウマチ,若年性特発性関節炎,キャスルマン病に対する治療薬として承認されているヒト化抗IL-6受容体抗体トシリズマブは,他の様々な慢性に経過する免疫難病にも新たな治療薬となる可能性があり,臨床試験が進められている.また,最近,キメラ抗原受容体を用いたT細胞療法に合併するサイトカイン放出症候群にもトシリズマブが著効することが示され,IL-6阻害療法は,サイトカインストームを呈する急性全身性炎症反応に対しても新たな治療手段となる可能性がある.サイトカインストームには,サイトカイン放出症候群,敗血症ショック,全身性炎症反応症候群,血球貪食症候群やマクロファージ活性化症候群など含むが,特に敗血症ショックでは,病初期のサイトカインストームとその後の二次性の免疫不全状態により,予後が極めて悪く,しかし有効な免疫療法がないのが現状である.敗血症患者ではIL-6は著増し,IL-6の血管内皮細胞の活性化,心筋抑制や凝固カスケードの活性化等の多彩な作用,また,同様な病態を呈するサイトカイン放出症候群に対するトシリズマブの劇的な効果を見ると,IL-6阻害は敗血症に伴う多臓器不全に対して有効な治療法となる可能性がある.しかし,現在,トシリズマブは重篤な感染症を合併している患者には禁忌であり,どのように挑戦するのか,症例(報告)の解析,患者検体,動物モデルを用いた我々のアプローチを紹介したい.
著者
田中 春夫 柿沼 隆清
出版者
名古屋大学空電研究所
雑誌
空電研究所報告 (ISSN:04657756)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1-2, pp.9, 1965-03-25
著者
竹中 隆 田中 俊幸 Jessi Johnson 周輝 Takenaka Takashi Tanaka Toshiyuki Johnson Jessi Zhou Hui
雑誌
【C】平成19年電気学会電子・情報・システム部門大会講演論文集
巻号頁・発行日
pp.186-191, 2007-09-04

マイクロ波を用いた乳がん検出法として逆散乱解析手法に基づくトモグラフィ法を提案している.乳房の回りにアレイ・アンテナを配置し,送信アンテナからマイクロ波パルスを乳房に照射し,受信アンテナで受信した散乱波データを用いて乳房内部の電気的特性に関する分布(誘電率分布及び導電率分布)を映像化する方法である.画像処理に時間がかかるが組織を特定できる利点を有する.このマイクロ波トモグラフィ法をMRIデータにもとづく2次元マイクロ波用数値ファントムに適用し,直径5mm程度の乳がんを検出できる可能性を示している.
著者
村松 博士 田中 育太 庵原 秀之 三上 淳一 中谷 玲二 日下部 俊朗 渡辺 秀樹 北川 一彦 土田 茂 久居 弘幸 倉 敏郎 坂田 隆
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.611-616, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
32

液体栄養剤の半固形への形状変化が臨床経過に与える効果を検証する目的で無作為多施設共同比較臨床試験を行った。半固形化栄養群(以下、介入群と略)には半固形状の水分とペクチンとカルシウムを添加し半固形状とした経腸栄養剤を、液体栄養群(以下、対照群と略)には液体の水と経腸栄養剤を経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)施行翌日から胃瘻より投与開始、漸増した。介入群75例と対照群76例について術後2週間の臨床経過を比較した結果、誤嚥性肺炎の発症は介入群(1/75)で対照群(11/76)よりも有意に抑制された(p=0.0028)。また、PEG前は両群に差がなかったブリストル便形状スケールは2週間後で介入群が対照群よりも低くなり(4.9 ± 1.1 対. 5.6 ± 1.1)(p=0.00045)、便性状が改善した。PEG周術期において液体栄養剤を半固形状に変化させることによって誤嚥性肺炎と下痢を抑制した。
著者
田中 博之 小野 達也 西﨑 香苗 池上 仁志
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.O-059, 2020 (Released:2020-01-01)

【はじめに】健常者の立ち上がり動作には股関節が100° 以上屈曲することが報告されており、THA等により股屈曲制限が生じている患者では、健常と異なるパターンで立ち上がることが推察される。本研究では、股屈曲制限下での立ち上がり動作の筋電図学的特徴を明らかにすることを目的とした。【対象と方法】対象は健常男性10名(平均年齢26.8±4.1歳)とした。運動課題は、下腿長と同じ高さの座面からの立ち上がり動作とし、股関節装具による股屈曲90°制限下での立ち上がり(以下制限あり群)・装具なしの立ち上がり(以下制限なし群)を各3回施行した。左前脛骨筋、中殿筋、大殿筋、腹直筋等に電極を貼付し、課題遂行時の筋活動および徒手筋力測定に準拠した最大随意収縮(以下:MVC)を表面筋電図計で記録した。立ち上がり動作を3相に分け、MVCより各相の%MVCを算出した。 統計は対応のあるt検定を用いた(p<0.05)。【結果】第1相中殿筋は制限あり群2.8±1.6%制限なし群 1.84±1.0%(p=0.002),大殿筋は制限あり群2.6±1.8%制限なし群2.1±1.3%(p=0.04)であり、他筋に有意差はなかった。第2相は中殿筋が制限あり群1.8±1.0%制限なし群1.3±0.8%(p=0.03),前脛骨筋は制限あり群6.4± 4.3%制限なし群4.1±2.1%(p=0.02)であった。第3相に有意差はなかった。【考察】本検討より、股屈曲制限は、立ち上がり第1 〜2 相に影響することが明らかとなった。立ち上がり動作の初期相で生じる体幹前傾は下肢関節モーメントに影響するため立ち上がり動作において重要な要素であることが知られている。股屈曲制限下での立ち上がりは体幹前傾が減じるため、第1相では大殿筋、中殿筋による股関節外旋、第2相では前脛骨筋による下腿前傾を増大させて身体重心の前方移動を行ったと推察された。
著者
梅原 拓也 田中 亮 永尾 進 富山 大輔 川畑 祐貴
出版者
公益社団法人 広島県理学療法士会
雑誌
理学療法の臨床と研究 (ISSN:1880070X)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.7-12, 2014-03-31 (Released:2015-03-13)
参考文献数
27
被引用文献数
1

「目的」本システマティックレビューおよびメタアナリシスの目的は,変形性膝関節症(膝OA)に罹患して人工膝関節置換術(TKA)を受けた患者に対する術前および術後の運動介入が在院日数に及ぼす影響について検討することである。「方法」4つの電子データベースを使用して,運動介入が在院日数に及ぼす影響を調べたランダム化比較試験(RCT)を収集した。実験群とコントロール群を比べた在院日数の差のデータを統合した。エビデンスレベルは,GRADEシステムを用いて評価した。「結果」8編のRCTが特定され, 6編は我々のメタアナリスにて統合可能なデータを報告していた。 3編の論文のデータを統合した結果, 術前の運動介入が在院日数に及ぼす有意な影響は示されなかった。一方, 残り3編の論文の統合データは, 術後の運動介入,特に早期運動介入が在院日数に及ぼす有意な影響を示した。エビデンスレベルは,術前の運動介入および術後の早期運動介入それぞれ「中」以下と判断された。「結論」我々は,TKA後の早期運動介入によって膝OA患者の在院日数は短縮できるというエビデンスを明らかにした。
著者
岩崎 智視 岡 史朗 川口 洋治 田中 英城 乗松 尋道
出版者
中国・四国整形外科学会
雑誌
中国・四国整形外科学会雑誌 (ISSN:09152695)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.303-307, 1998-09-15 (Released:2009-03-31)
参考文献数
4
被引用文献数
1

In the present study we report two cases of secondary chondrosarcoma arising from osteochondroma. The first case was a 54-year-old male who had a large mass in the right pelvis, which arose from multiple osteochondroma. The second case was a 34-year-old male who had a cartilaginous mass arising from solitary osteochondroma of distal fibula. Radiological examination showed irregular calcification and thick caltilaginous cap in both cases. The secondary chondrosarcoma arising from solitary osteochodroma such as in the second case, is extremely rare. There has been only one previous report of a case in which secondary chondrosarcoma arose at distal fibula. In the present two cases, we resected the two tumors by wide margin. The clinical course of these patients was good and they returned to their jobs.
著者
足立 陽子 長 正則 田中 聡(MD) 三箇島 吉統(MD)
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第29回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.45, 2010 (Released:2010-10-12)

【はじめに】Pilon骨折は、軟部組織や足関節可動域に問題が多い骨折として知られ最も重度なRuediの分類タイプIII(脛骨遠位の圧迫と粉砕骨折を伴う)では、足関節拘縮を来たす等治療成績が不良という報告が多い。今回、本骨折の術後理学療法を行い比較的良好な可動域を得たので報告する。【症例紹介】54歳、男性、職業:足場設営。コンテナ(3m)から落下し受傷、当院受診。左Pilon骨折(Ruediの分類タイプIII)・踵骨骨折と診断され、観血的整復固定術及び腸骨骨移植を施行。踵骨骨折、内果骨折部は保存的に加療。術後24日目、退院。術後108日目、全荷重開始。術後138日目、仕事復帰。尚、本症例には症例報告させていただく主旨を説明し同意を得た。 【理学療法経過】理学療法は、術後1日目より左下肢免荷両松葉杖歩行訓練、筋力強化訓練、RICEを開始。術後7日目よりリンパドレナージ、動的関節制動訓練を開始。術後30日目、足関節可動域訓練、過流浴療法を開始。 【初期評価:術後30日】足関節可動域は、患側背屈-5°/底屈30°、健側背屈10°/底屈50°。疼痛は、距腿関節前面及びアキレス腱部の伸張痛。Burwellの判定基準はX線学的評価基準:良、客観的基準:不可、主観的基準:不可。【最終評価:術後318日】足関節可動域は、患側背屈10° /底屈45°、健側背屈10°/底屈50°。疼痛は、起床時の歩き始めと階段降時のアキレス腱部痛。Burwellの判定基準はX線学的評価基準:良、客観的基準:良、主観的基準:良。【考察】Pilon骨折は、脛骨遠位部の栄養血管が中枢側よりに入っている為、血行不全になりやすく周辺軟部組織の浮腫による足関節拘縮を来たしやすい。本骨折の治療原則は、手術による解剖学的整復・強固な内固定・早期関節運動・長期免荷であり、本症例においても同様に治療した。本症例は関節内粉砕骨折の整復に時間がかかり内果部骨折は保存療法となり、術後30日間足関節固定対応を要した。軟部組織変性による拘縮を予防する為、拘縮促進因子である浮腫・疼痛・栄養障害の早急な改善が必要と考え、固定期間中からリンパドレナージ・筋力強化訓練・RICE・動的関節制動訓練を実施した。可動域訓練開始時より、水治温熱療法後のストレッチと運動学に基づく他動的可動域訓練を実施した。また、ホームエクササイズとしてストレッチ及び可動域訓練を指導した。以上の様に疾患の特徴と術後の病期に応じたアプローチを選択し実施する事で、軟部組織の変性による弾性低下・骨格筋の短縮・疼痛を改善させ比較的良好な可動域改善につながったと考えられた。
著者
田中 眞奈子 北田 正弘
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.778-785, 2009 (Released:2009-10-01)
参考文献数
10
被引用文献数
5 6

The metallurgical microstructure and mechanical properties of the steel barrel of a Japanese matchlock gun fabricated in the Edo period have been investigated. The purpose of this work is to obtain modern materials-science data of the Japanese matchlock gun and to study the manufacturing technique of the steel barrel. Test pieces are cut from the center, the muzzle and the screw of the barrel. The carbon concentration is determined by chemical analysis. The metallurgical microstructure and nonmetallic inclusions of the barrel are observed using an optical microscope and a scanning electron microscope (SEM). Test pieces for measuring the mechanical properties are cut from the gun. To evaluate the hardness, Vickers hardness (Hv) is used. The stress-strain curve, tensile strength and elongation of the gun are obtained.    The carbon concentration is 0.01∼0.1mass% for the center of the barrel, 0.04∼0.1 mass% for the muzzle of the barrel, 0.05∼0.5 mass% for the front sight (Saki-meate in Japanese) and 0.13∼0.3 mass% for the male screw. The distribution of nonmetallic inclusions in the center and in the muzzle of the barrel suggest that the barrel was fabricated by a manufacturing technique called Udonbari (in Japanese). The metallurgical microstructure of the specimen taken from the muzzle of the barrel in the vertical direction suggests that the barrel and a front sight were joined mechanically. Both male and female screws were made by a cutting technique. The tensile strength and elongation are 316∼366 MPa and 25.0∼31.4%, respectively.