著者
時吉 康範 田中 靖記
出版者
産業学会
雑誌
産業学会研究年報 (ISSN:09187162)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.31, pp.1-12, 2016 (Released:2017-04-03)
参考文献数
13

Every industry is faced with high uncertainty of the social and economic environment. Companies in the social infrastructure industry also adequately deal with such uncertainty. In these surroundings, “Forecast” approach is necessary but no longer sufficient for the new business development, subject creation of research and development and medium and/or long term strategy formulation. This paper indicates that it is important that the companies fully utilize “Foresight” approach for the companies to deal with the uncertainty. Forecast approach adopts the following methods that using the definite elements and the quantitative datasets. One set of prior conditions draws one certain conclusion on this approach. This is suitable under the stable-growth period or in the stable industries. “Foresight” approach focuses, meanwhile, on the uncertain materials and qualitative elements for developing businesses and strategies. Such materials and elements list users’ sense of values, societal changes and some other impacts in the future. This paper provides two examples in order to show the efficacy of “Foresight” approach. First example is the current situation and new business model of the water industry in India. Second one is the actual practices of the approach from some Japanese infrastructure companies. A telecom company, a power company and some governmental organizations have adopted the “Foresight” approach. In addition, other many private companies plan to adopt the approach. The high uncertainty of the social and economic environment requires companies in the social infrastructure industry to develop the new businesses and business models with the assistance of “Foresight” approach in order to know the changes of consumers’ and customers’behaviors.
著者
武智 峰樹 徳永 健伸 松本 裕治 田中 穂積
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.44, no.SIG12(TOD19), pp.51-63, 2003-09-15

要素技術としての文書分類は,質問応答やWeb ナビゲーションにおける主要な構成要素である.特に表層的なテキストの特徴を主に利用する質問応答では,与えられた質問のタイプに応じて適切な回答候補を抽出できる分類エンジンが重要である.またWeb ナビゲーションにおいては,従来の質問応答が扱ってこなかった質問も扱う必要があり,そのような質問に対しても適切な回答候補を選び出すための分類技術が求められる.本研究は,Web ナビゲーションが扱う質問のうち,特に手順に関する質問を取り上げ,その回答候補の分類に有効な特徴量を明らかにすることを目的とする.その試みとしてWeb ページにおいてHTML のリストタグが付与されたテキストを記事集合として,それを手順について書かれたテキストとそれ以外のテキストに分類するタスクを考える.検索エンジンを用いて箇条書きを収集し,機械学習の一手法であるSupport Vector Machine を用いた文書分類を行い,その結果の観察に基づいて手順について書かれた箇条書きの抽出に有効な特徴量を考察した.N-gram や語の頻度情報をベースにした手法により,コンピュータ分野に関しては90%以上の精度で分類可能な特徴量の組合せを得た.
著者
田中 正人 上野 易弘
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 = Journal of social safety science (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.437-444, 2011-11-01
参考文献数
11

<p>In this study, we clarify the actual conditions and backgrounds of isolated deaths at temporary housing and recovery housing in disaster area, conducting statistical analyses based on death certificates. The results are as follows, 1) The ages of those who die alone are higher at recovery housing than temporary housing. At recovery housing, it also takes longer for discovery. The main reason for this is young people under age fifty with isolation risks such as remaining unemployed and single. 2) At temporary housing, family and neighbors mitigate the isolation risks, while their roles decline at recovery housing. 3) Location of recovery housing has little connection with isolation of disaster victims. One of the factors seems to be that the isolated condition has already been established before moving into recovery housing. Community-conscious safety nets should be in place especially in the early stage of restoring stable living.</p>
著者
田中 久美子
出版者
千葉大学文学部
雑誌
千葉大学人文研究 (ISSN:03862097)
巻号頁・発行日
no.38, pp.157-179, 2009

千葉大学人文研究 第38号
著者
石川 耕平 佐藤 憲市 伊東 民雄 尾崎 義丸 浅野目 卓 山口 陽平 石田 裕樹 石塚 智明 岡村 尚泰 渕崎 智紀 谷川 聖 田中 伸哉 中村 博彦
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.9, pp.688-693, 2017 (Released:2017-09-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

Tumefactive multiple sclerosis (MS) は広範な浮腫や巨大な病変を形成することから, 脳腫瘍と鑑別が困難な例が多い. 本症例は66歳男性で右上下肢の単純部分痙攣発作で発症した. 左前頭葉の病変は画像上悪性グリオーマが疑われ摘出術が行われたが, 病理検査で脱髄性の所見や広範な出血および壊死像, Creutzfeldt cellを認めたことからtumefactive MSの診断に至った. 診断には病理検査が決定的となるが, 画像上病変部の血流上昇を認めないことが悪性グリオーマとの鑑別点と考えられた.
著者
田中 義浩 亀高 正男 岡崎 和彦 鈴木 一成 瀬下 和芳 青木 和弘 島田 耕史 渡邊 貴央 中山 一彦
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.13-27, 2018-04-10 (Released:2019-08-26)
参考文献数
26
被引用文献数
1 5

上載地層法が適用できない断層の活動性評価に資するため,活断層と非活断層の断層露頭で断層面の形態観察を実施し,断層活動性評価の指標を検討した.活断層としては五助橋断層の五助ダム上流露頭と六甲断層の船坂西露頭を,非活断層として六甲蓬莱峡のK地点を対象に,断層面の「連続性」,「切断関係」,「平滑性」に着目した.連続性は「断面形状の連続区間率測定」,切断関係は「周辺構造の切断率測定」を行った. 平滑性については「断面形状の平面区間率測定」,「粗さ/うねり形状の測定」及び「写真解析による算術平均粗さ測定」という3種類の測定を行い,合計5つの測定手法を検討した.本研究結果から,「断面形状の連続区間率測定」,「周辺構造の切断率測定」,「断面形状の平面区間率測定」について,活断層と非活断層を見分ける識別基準値を有する可能性が示された.なお,引き続き,識別基準値の明確化とその検証のために測定事例の追加・検討,議論が必要である.
著者
株本 啓佑 田中 皓介 宮川 愛由 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.1-17, 2020 (Released:2020-01-20)
参考文献数
40

適正な公共インフラ政策についての世論形成やそれに基づく政策判断を促すためには,公衆一人一人の事実情報の認識形成のプロセスについての知見が重要な基礎的知見となる.本研究ではこうした認識に基づき,「公共政策におけるキッチュ」の存在についての心理実証実験を行った.これは,「明らかな危険性を含んだ公共政策を,崇高にして達成可能な美しい理想のごとく絶対化し,そのような姿勢をとるうえで都合の悪い一切の事柄を,汚物のごとく見なして排除したがる態度」という,特定事実を無視する不合理かつ不条理な態度を意味する.本研究では「公共事業の縮小」「緊縮財政」「新自由主義的な改革推進」の三つの政策について「キッチュ」の存在を確認する心理学実験を行い,その存在を実証的に示した.
著者
田中 哲朗
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
數學 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.93-102, 2013-01-25
参考文献数
9
著者
田中 敬子
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.850, pp.5-7, 2020-01
著者
田中 沙智
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.469-474, 2018-06-20 (Released:2019-06-20)
参考文献数
14

免疫系は,病原体や毒素などの外来の異物などを排除する役割をもち,健康を維持する上で重要な生体調節機構の一つである.一方,ストレスや睡眠不足,食生活の乱れなどにより免疫機能が低下すると,がんやアレルギー,自己免疫疾患,感染症などの免疫関連疾患の発症につながることが示唆されている.免疫系を適切に維持するためには,免疫機能を調節する食材を毎日摂取することが簡便,かつ効果的であると考える.われわれは信州の伝統野菜の一つである「野沢菜」に免疫賦活効果があることを明らかにしたので,その研究成果を報告する.
著者
藤川 正毅 田中 真人 井元 佑介 三目 直登 浦本 武雄 山中 脩也
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集
巻号頁・発行日
vol.86, no.881, pp.19-00256-19-00256, 2020
被引用文献数
1

<p>A numerical calculation scheme for stress and its consistent tangent moduli with hyper-dual numbers(HDN) for Ogden-type hyperelastic material model was proposed. The main advantage of this scheme is that once the framework is coded, any Ogden-type hyperelastic material model can be implemented by only re-coding the strain energy density function. In this scheme, the new differentiation method for eigenvalue and eigenvector of the symmetric matrices with HDN were proposed. The proposed method can calculate the eigenvalue and eigenvector in non-real part analytically by using the eigenvalue and eigenvector in real part, in case that all eigenvalues in real part are not multiple root. We implemented the Neo-Hookean model and the Ogden model with the proposed scheme, to confirm the effectiveness and robustness of this method, and applied it to some examples. As the results, it was confirmed that the numerical results of the proposed method showed good agreement with analytical ones.</p>
著者
石阪 姿子 田中 彩乃 八木 麻衣子 西山 昌秀 岩﨑 さやか 立石 圭祐 大沼 弘幸 清水 弘之
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.CbPI2198, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 変形性膝関節症(以下,膝OA)における股関節周囲筋筋力増強は膝関節負荷軽減や膝関節痛軽減,運動機能向上などの効果が得られたとする研究が散見され,トレーニングプログラムの一つとして行われることが多い.しかし実際に膝OA患者の股関節周囲筋の筋力水準を提示した研究は少なく,健常者と比較してどの程度の筋力水準なのかは不明である.よって運動処方の際に,目標とする筋力水準を設定出来ない現状がある. 本研究では膝OA患者の股関節周囲筋の年代別筋力水準を提示し,筋力低下の有無や程度を検討することを目的とした.【方法】 対象は当院に人工膝関節全置換術目的に入院した重度膝OA女性患者71名(以下,OA群)と過去6ヶ月に1週間以上の臥床経験が無く独歩可能で日常生活活動が自立し,さらに骨・関節疾患,脳血管障害,神経・筋疾患の既往や認知症が無いという取り込み基準を満たす女性56名(以下,コントロール群)の合計127名である. 筋力測定は等尺性筋力測定装置μ-Tas(アニマ社製)を使用し,股関節外転,伸展,膝関節伸展筋力を約5秒間の最大努力により2回測定,その最大値を記録した.OA群は手術予定側,コントロール群は全例右下肢の筋力値を採用,体重で除した値を用いた. 統計解析には統計ソフトSPSS(Ver.12.0J)を使用した.属性の比較,OA群とコントロール群の筋力値の水準比較には対応のないt検定を使用,筋力値に対する体重の影響を検討するために体重を共変量とし,共分散分析をおこなった.OA群,コントロール群各々における各年代間の筋力値の比較は一元配置の分散分析を使用した.なお,統計学的判定の有意水準は5%とした.【説明と同意】 倫理的配慮として当院倫理委員会の承認を得た(承認番号第1313号).対象者には研究についての適切な説明を行い十分に理解した上で同意を得た.【結果】 属性において両群の体重に有意差を認めたが,共分散分析を行った結果,筋力値に対する体重の影響は棄却された. 年代別筋力値の体重比(単位kgf/kg)を60歳代(OA群13名/コントロール群18名),70歳代(48名/20名),80歳代(10名/18名)の順に述べる.膝関節伸展筋力はOA群では0.26±0.10,0.27±0.09,0.24±0.05,コントロール群では0.47±0.14,0.39±0.09,0.38±0.10, 股関節外転筋力ではOA群では0.23±0.11,0.22±0.08,0.20±0.08,コントロール群0.33±0.08,0.28±0.05,0.27±0.09, 股関節伸展筋力ではOA群では0.23±0.11,0.23±0.08,0.23±0.07,コントロール群0.40±0.11,0.31±0.09,0.27±0.12であった.OA群とコントロール群との比較では80歳代の股関節外転,伸展筋力以外すべてにおいて有意にOA群の筋力が低値であった(p<0.05). また,コントロール群とOA群各々における各年代の筋力値の比較ではコントロール群の股関節伸展筋力にのみ60歳代から80歳代にかけて有意な筋力低下がみられたが(p<0.01),OA群では60歳代から80歳代にかけての筋力値に統計学的な有意差は見られなかった.【考察】 OA群ではコントロール群と比較し,従来から筋力低下がおこるといわれている膝関節伸展筋力のみならず,股関節外転,伸展筋力にも筋力低下を生じていることがわかり,その予防対策やトレーニングの必要性が示唆された.トレーニングプログラムとして股関節周囲筋の筋力増強を図る場合には,今回の結果から得られたコントロール群の年代別筋力値を目標値の一つとして使用できると考える.しかし,今回は筋力値とパフォーマンスや疼痛との関連,また,下肢のアライメントや身体活動量の違いなどとの関連は検討しておらず,今後の課題である. また,OA群ではコントロール群に見られる加齢による筋力低下の傾向が見られなかった.疾患由来による筋力低下が60歳代においてすでにみられるが,その後,加齢による筋力低下は見られない.重度膝OA患者ではあるが全例歩行が可能であったことから,今回得た筋力値は日常生活維持可能な最低限の筋力水準であることが予想された.高齢女性では予備体力低下が問題であり,今後は筋力低下を生じる前に予防策を講じる必要性があると考えられた.【理学療法学研究としての意義】 本研究の意義は膝OA患者において膝関節伸展筋力とともに,股関節周囲筋にも筋力低下を生じていることを示した点、またその水準を示した点である.股関節周囲筋の筋力トレーニングを実施するにあたり、目標値を設定する一助となると考える.
著者
澳 昂佑 福田 章人 奥村 伊世 川原 勲 田中 貴広
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0525, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】本邦の変形性膝関節症患者数は約3000万人と推測され(平成20年介護予防の推進に向けた運動器疾患対策に関する検討会-厚生労働省),膝関節機能不全によって,歩行能力の障害を呈することが多く,生活機能の低下を引き起こしてしまう。このため,膝OAの病態を把握し,適切な理学療法を模索することは重要である。とりわけ内側型変形性膝関節症(膝OA)患者の立脚期における膝関節内反モーメントの増加は膝関節内側のメカニカルストレスや痛みの増加に関与していることが報告されている(Schipplenin OD.1991)。これに対して,外側広筋は筋活動を増加することによって側方不安定性に寄与し,膝関節内反モーメントを制動することが知られている(Cheryl L.2009)。一方,股関節は体幹を立脚側に側屈することにより,立脚側へ重心を保持する代償動作を行い(Hunt MA.2008),股関節内転モーメントが減少することが知られている(Janie L.2007)。さらにこの戦略によって股関節外転筋は不使用による筋力低下を引き起こし,二次障害を誘発すると考えられている(Rana S.2010)。これらの知見は膝OA患者に対して膝関節のみではなく,股関節の筋にも着目したトレーニングを行う必要性を示唆している。しかしながら,膝OA患者において歩行中の股関節の筋活動の特徴は明らかとなっていない。そこで本研究の目的は膝OA患者における歩行中の股関節の筋活動の特徴を明らかにすることとした。【方法】対象者は健常成人7名(25歳±4.5)とデュシェンヌ歩行を呈する片側・両側膝OA患者4名(85歳±3.5)とした。膝OAの重症度はKellgren-Lawrence分類(K/L分類)にて,IIが4側,IIIが1側,IVが2側であった。対象者には筋電図の記録電極を外側広筋,中殿筋,内転筋に設置し,足底にフットスイッチを装着させた。筋活動の測定には表面筋電計(Noraxson社製MyoSystem1400)を使用した。歩行中の筋活動の測定は,音の合図に反応して快適な歩行速度で歩行させた。歩行計測終了後,各被検筋の最大随意収縮(Maximal Voluntary contraction:MVC)を等尺性収縮にて3秒間測定した。解析は得られた波形を整流化し,5歩行周期を時間にて正規化した。各筋の1歩行周期における平均EMG振幅,MVCの平均EMG振幅を算出した。各歩行周期の平均EMG振幅は%MVCにて正規化した。統計処理は健常成人とOA患者のEMG振幅をMann-Whitney U-testにて比較した。健常成人,OA患者それぞれの外側広筋と中殿筋,内転筋のEMG振幅をPaired t-testにて比較した。OA患者のEMG振幅とK/L分類の関係をSpearmann順位相関係数にて検証した。有意水準は0.05とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づき対象者の保護には十分留意し,阪奈中央病院倫理委員会の承認を得て実施された。被験者には実験の目的,方法,及び予想される不利益を説明し同意を得た。【結果】OA患者における外側広筋,中殿筋,内転筋のEMG振幅は健常成人と比較して有意な増加を認めた。健常成人の外側広筋と中殿筋,内転筋のEMG振幅は有意差を認めなかった。他方,OA患者は外側広筋と比較して,内転筋のEMG振幅は有意な増加を認めた。OA患者のK/L分類と外側広筋(r=0.79,p>0.05),内転筋(r=0.83,p>0.05)のEMG振幅は有意な正の相関関係を認めた。【考察】健常成人は外側広筋と内転筋,中殿筋の筋活動に差がないにも関わらず,膝OA患者においては外側広筋の筋活動より,内転筋の筋活動が増加した。これは健常成人と膝OA患者の歩行中の筋活動パターンが異なることを示している。OA患者の外側広筋の筋活動が増加し,K/L分類と相関関係を認めたことはOAの進行による側方不安定の増加に対して外側広筋が制動に寄与しようとした結果であり,先行研究(Cheryl L.2009)と一致した。OA患者の内転筋の筋活動が増加し,K/L分類と相関関係を示したことは膝OAの進行による側方不安定の増加に対し,内転筋が遠心性収縮に作用することによって,体幹を立脚側に側屈(デュシェンヌ歩行)し,メカニカルストレスを軽減しようとした結果であると考える。しかしながらこれらの結果は筋活動であり,筋力を反映していないため,今後,筋活動と筋力の関係を調査する必要があると考える。【理学療法学研究としての意義】膝OA患者の歩行中の外側広筋と内転筋が同時に代償的に活動していることは新たな知見であり,理学療法として膝関節のみではなく,股関節の筋活動にも着目したトレーニングを行う必要性が示唆された。
著者
田中 吉之助 黒川 知明
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.40, no.451, pp.495-502, 1991-04-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
14