著者
村本 多恵子 山根 仁一 田中 美郷 阿波野 安幸
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.244-249, 1991

泣いている新生児に胎内音をきかせると体動を停止して泣き止むことが知られている。 この反応を新生児の聴覚スクリーニングとして用いるため, 自動的に記録できる装置を開発し, 正常成熟新生児47例と, 周産期に異常の認められた新生児11例について反応を記録した。 反応の有無の判定は極めて容易であつた。 正常成熟新生児47例の胎内音をきかせた場合 (on記録) の反応出現率は46.3%, 胎内音をきかせない状態 (off記録) で偶然に体動を停止する率は24.2%で, 胎内音をきかせたほうが新生児が泣き止む確率が明らかに高かった。 個々の新生児についてみると, on記録の反応出現率がoff記録の見かけ上の反応出現率を下回ったのは, 47例中1例のみであった。 一方, 周産期に異常の認められた新生児では, 泣き続ける力が乏しいなため, off記録での体動停止の確率が高く, そのため, これらの新生児の聴覚のスクリーニングとしては十分に有効とはいえなかった。
著者
神原 康介 窪田 亜矢 黒瀬 武史 田中 暁子 道喜 開視
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.81, no.724, pp.1333-1343, 2016
被引用文献数
1

Akahama in Otsuchi, Iwate prefecture is one of the areas severely damaged by the Great East Japan Earthquake and Tsunami (3.11). A purpose of this paper is to clarify how residents used the evacuation places and shelters from emergency evacuation phase to refugee life phase in 3.11 in relation to the transition of disaster preparedness places and the transition of daily gathering places in order to get the suggestion about how to design a disaster preparedness place. In chapter 2, it is clarified that how evacuation places were used in three phases. In emergency evacuation phase, many residents evacuated to an elementary school, but there was flooded and many people got wet. In temporarily shelter use phase, residents could find a printing office near the school and about 140 people stayed there for 3 days. Many residents went to private houses and stayed. 3-chome residents could not find large facilities, so they went to a neighboring village. In refuge life phase, about 80 residents used the gymnasium of school, about 20 residents used welfare facility and 8 households used 2 vacant houses that were owned by Otsuchi-cho. In chapter 3 and 4, transition of disaster preparedness places and daily gathering places are clarified. In chapter 3, findings are as follows. 1) A damage of past tsunami was recorded, but evacuation behaviors or the places where people gathered was not passed down. 2) the understanding that a school was designated as a disaster preparedness place was widely shared. 3) In the late 80's, a numbers of preparedness place increased because of expansion of village. 4) In the late 90's, 1-chome's preparedness place was gathered to a school because a new gymnasium was built. 5) In the late 2000's, local organization decided that Akahama had 3 prepared places in terms of governance after a discussion that Hachiman Shrine didn't have a enough space. In chapter 4, findings are as follows. 1) A school and Community center had been the base of Akahama community. 2) A school had been the base of community, and that's why a school became center of disaster preparedness place in spite that there was not evacuation place during Sanriku tsunami of 1933. 3) A community center had been the base of community and located a little higher ground, and that's why disaster prevention materials was stocked before 3.11. In chapter 5, evacuation places and shelters in 3.11 are analyzed in three phases in relation to the transition of disaster preparedness place and daily gathering place. It is found that in emergency evacuation phase, a school had been known as a preparedness place in spite that in the past there was not evacuation place and gymnasium was located in dead end, and in 3.11 many residents were exposed to danger. In temporarily shelter use phase and refuge life phase, it can be necessary to think preparedness place not only inner village but also wider area, etc. In chapter 6, the following four points are suggested. 1) It is important to think the role of disaster preparedness place in the disaster phases. 2) Changes of a village environment and modernization of daily gathering place influence a numbers and characteristics of disaster preparedness place. 3) The actual condition of evacuation behavior such as gathering places in past tsunami disaster is necessary to be come up for discussion about the disaster prepared. 4) For the occurrence of a gap between evacuation places and disaster preparedness place, residential network is needed for a use of private houses or facilities, and also vacant ones owned by municipality should be prepared for an emergency evacuation.
著者
田中 正之
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-7, 2014-03-31 (Released:2018-05-04)
参考文献数
17
被引用文献数
1

現代の動物園には,果たすべき4つの役割があると言われる。保全・研究・教育とレクリエーションである。しかし,研究や教育の面では,日本の動物園はその役割を果たしているとは言い難い。京都市動物園では,2008年より京都大学と連携して,野生動物保全に関する研究や教育を共同で行ってきた。さらに2013年4月より新たなセクションとして,生き物・学び・研究センターを設置し,動物園が主体的に研究や教育を行う姿勢を明らかにした。本稿では,京都市動物園が現在取り組んでいる研究や教育の取り組み事例を紹介する。研究では,霊長類を対象にした比較認知科学研究と,ゴリラの妊娠・出産から人工哺育児を両親に戻すまでの過程を観察した研究を紹介する。教育としては,地元の中学校と連携した体験実習プログラムを紹介する。生き物・学び・研究センターでは,研究・教育を実施する上で必要な資金を,外部の助成金を獲得することでまかなっている。それら外部資金についても紹介し,その獲得の意義について,外部評価を受けるという視点から考察したい。
著者
江田 慧子 田中 健太 平尾 章 中村 寛志
出版者
信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター
雑誌
信州大学農学部AFC報告 (ISSN:13487892)
巻号頁・発行日
no.12, pp.47-54, 2014-03

絶滅危惧種であるクモマツマキチョウを保全し絶滅から守るためには,定量的で効率的な飼育体系を確立する必要がある。本報告は2012年に著者らが行った本種の飼育方法と得られた飼育に関する定量的データを記載したものである。卵の採卵にはメス成虫3個体から81卵を採卵することができた。卵は75.9%が孵化した。幼虫の飼育は直方体プラスチックシャーレで行った。餌としてミヤマハタザオを与えて,個別飼育を行った。温度は20℃,日長は12L:12Dと一定にした。幼虫期の生存率は68.2%であった。1~2齢幼虫では死亡する個体が見られたが,3齢幼虫以降は1個体も死亡しなかった。幼虫期の平均日数は18.20日であった。幼虫の体長の平均は緩やかに増加し,5齢幼虫期の25.8㎜が最大であった。蛹体重は蛹化7日目で125.7㎎で時間がたつにつれて軽くなった。蛹化28日後から3つの処理期間(75日,105日,135日)で低温処理(4℃)を行った。その結果,処理期間が短いほど,処理後から羽化までの日数が長くなった。また135日の低温処理では,すべての羽化成虫が口吻が融合していない奇形だった。成虫は最長で47日間生存した。
著者
田中 雅一
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究は、現代日本社会における売買春(セックスワーク)を核とする性産業をグローバル化との関係で考察することを目的とし、性産業に従事する女性に聞き取りをして、顧客との関係には複雑な感情労働が存在することを明らかにした。世界各地の地位向上運動に携わる関係者やイベントに参加して、その実態や国別の相違などを明らかにした。国際ワークショップ「グローバル化するセックスワーク」やSexuality, Trauma and Social Suffering in East Asiaの開催を通じて研究者のネットワークを確立した。また緊縛などの世界普及について調査をし発表した。
著者
田中 智之 木倉 丈 竹本 啓輝 垣内 弘章 安武 潔 大参 宏昌 阿部 淳子 酒井 伊都子 林 久貴 福原 成太
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.469-470, 2017

PPFC(Plasma Polymerization Fluorocarbon)膜は、絶縁性・耐薬品性を有する撥水膜として様々な応用が期待されている。しかし、その原料ガスには、C<sub>4</sub>F<sub>8</sub>など高次の炭素を含有するフルオロカーボンガスが用いられることがもっぱらであり、PPFC膜の形成を廉価なCF<sub>4</sub>で実現できれば、コストメリットは大きい。そこで本研究ではCF<sub>4</sub>原料ガスからのPPFC膜の高速形成を目指し、高圧プラズマを用いたCVDの適用を試みた。PPFC膜の形成に寄与するパラメータを調査した結果を報告する。
著者
藤原 秀臣 田中 千博 後藤 昌計 合屋 雅彦 雨宮 浩 家坂 義人
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.857-863, 1999-03-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
11

冠危険因子には食事などの生活習慣因子や環境因子などに起因する後天的可変因子と年齢や性, 遺伝的素因などの先天的固定因子がある。一般に急性心筋梗塞の発症にはこれら冠危険因子や社会環境因子が複雑に関与していることから, その臨床的背景, 臨床像は男女間で異なるとされている。そこで, 急性心筋梗塞を発症して当院に収容され, 緊急冠動脈造影を施行し得た連続500例 (男性390例, 女性110例) の患者背景, 冠動脈造影所見, 臨床像, 臨床経過等について男女間で比較検討した。心筋梗塞の発症は男性が60歳代にピークがあるのに比し, 女性では70歳代がピークであった。冠危険因子では, 喫煙は男性に多かったが高血圧, 高脂血症, 糖尿病ともに女性に多かった。冠動脈造影所見は病変枝数, 病変部位に差はなく, 緊急PTCA頻度にも差はなかった。臨床経過では, 心破裂が女性に多く, 特に高齢女性の予後は男性に比し不良であった。女性の心筋梗塞は閉経期以後に急増するが, これは脂質代謝と関連するエストロゲンが関与していると考えられている。高齢女性の予後が悪いのは, 高齢のために冠危険因子を複数有し, 臓器合併症が多いこと, 病院到着時間が長いことなどと関連していることが示唆された。高齢女性の急性心筋梗塞の診療にあたっては, これら臨床的背景に充分留意すべきであると考えられた。
著者
田中 信三 窪田 清己 田辺 正博
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.287-292, 1984-08-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
9

Living canine larynx was blown through the trachea with both arytenoid cartilages fixed in the median position. The sound pressure level and fundamental frequency of the voice were measured under various flow rates and subglottal pressures, with and without electric stimulation of the thyroarytenoid muscles. From this experiment, the role of the thyroarytenoid muscles in voice regulation was found to be as follows:1) When the glottis is sufficiently closed, contraction of the thyroarytenoid muscles does not affect the relationship between aerodynamic power (flow rate times pressure) and the sound pressure level, in spite of increased glottal resistance (pressure divided by flow rate).2) When the glottis is sufficiently closed, contraction of the thyroarytenoid muscles decreases the fundamental frequency in relatively large aerodynamic powers.
著者
田中 寛 佐々 学 上野 庸治
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.137-140, 1955-09-30 (Released:2016-09-04)

八丈島のある地域において人が近づくと岩の突端などに無数のタテツツガムシ幼虫が現われてくるという現象が上野により見出されたが, その機構について一連の実験を行つた結果, 刺戟されない状態においてはこの虫が頂点に近い日陰で集落を作つて待機しており, 人, 鼡, 鳥などの宿主が近づくとこれを空気中の炭酸ガスの増加で感知して興奮し, 頂点にむらがつて寄生の機会を握むということが明らかになつた.本研究によつて, 当初想像された音, 光, 輻射熱, 湿度などの物理的な要因は刺戟とならず, 主として宿主の呼気にふくまれる物質が興奮を起すことが分り, 更に炭酸ガスがその主要因であることが解明された.
著者
植竹 勝治 大塚 野奈 長田 佐知子 金田 京子 宮本 さとみ 堀井 隆行 福澤 めぐみ 江口 祐輔 太田 光明 田中 智夫
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.192-198, 2007
参考文献数
20

動物介在活動(AAA)に飼い主と共に参加する飼い犬(Canis familiaris)のストレス反応を、尿中カテコールアミン濃度を測定することにより調べた。イヌの覚醒状態に影響すると考えられる次の2要因について検討した: 特別養護老人ホームでのAAAへの参加日数(現地調査1)および対面式での活動時における老人の座席配置(車座と並列)(現地調査2)。現地調査1では、新規参加犬8頭の活動前から活動後にかけた尿中ノルアドレナリン濃度の上昇量が、参加日数が経過するにつれて直線的に低下した(尿中ノルアドレナリン濃度の上昇量に対する参加日数(毎月1回の参加で計9日間)の回帰係数-1.213,R^2=050,P<0.05)。その一方で、活動中の各セッションにおいて、姿勢や行動を相対的に長く抑制された場合には、アドレナリン(長い抑制15.03±9.72ng/mL vs.短い抑制4.53±2.94ng/mL)とノルアドレナリン(長い抑制12.26±8.80ng/mL vs.短い抑制3.62±3.62ng/mL)の濃度上昇は、相対的に短い抑制の場合に比べていずれも有意に大きかった(共にP<0.05)。現地調査2では、尿中カテコールアミン濃度の上昇は、老人の座席配置、すなわち車座(12頭,アドレナリン10.73±9.77ng/mL;ノルアドレナリン7.13±8.01ng/mL)と並列(11頭,アドレナリン13.37±10.63ng/mL;ノルアドレナリン5.70±5.19ng/mL)間で差がみられなかった。これらの結果から、月1回の参加でも、飼い主と一緒であれば、特別養護老人ホームという新規な環境とAAAの雰囲気に、イヌは容易に順応することができ、また見知らぬ老人に囲まれたとしても、特に緊張を感じていないことが示唆された。
著者
小川 泰嗣 木本 晴夫 田中 智博 石川 徹也 増永 良文 芥子 育雄 豊浦潤 福島俊一 宮内 忠信
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.86, pp.145-152, 1994-10-13
被引用文献数
4

日本語を対象とした情報検索に関する研究開発では、性能(検索精度)の評価に開発元独自の方法が用いられてきた。このような状況に対し、われわれは「情報検索システム評価用データベース構築ワーキンググループ」を設置し、情報検索手法・システムを公正かつ客観的に評価するためのベンチマーク構築を目指している。本稿では、情報検索システムモデル・対象データの特性とサンプル件数・評価法・作成手順などベンチマーク構築に関する現在までの検討内容を報告する。In the research and development of Japanese information retrieval systems, different research groups have been using different measures to evaluate their system because there is no standard or benchmark for them. Our working group in IPSJ-SIGDBS has been developing such a benchmark, and in this report we will present several of its characteristics: IR models, the features and size of texts and queries, evaluation methods, and the development procedure of the benchmark.
著者
鈴木 弘 若林 良二 武藤 憲司 島田 一雄 浅井 紀久夫 山岡 克式 近藤 喜美夫 田中 健二
出版者
東京都立航空工業高等専門学校
雑誌
研究紀要 (ISSN:03871355)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.37-42, 2001-10

Several experiments on distribution of some events with satellite communications and the Iuterent have been performed in the SEKIREI hall our college. In 2000,two distribution experiments were performed. One "The Advanced Technologial Education Forum 2000" distribution experiment was held on May 26,2000. The other "8th Satellite Design Contest" distribution experiment was held on October 22,2000. In this paper we describe the outline of the systems used these two distribution experiments and the procedure of our experiments. The questionnaire investigation for all the participants was adopted to evaluate our systems. The results of the questionnaire investigation for these two experiments are presented and compared with each other.
著者
鈴木 弘 若林 良二 武藤 憲司 島田 一雄 浅井 紀久夫 杉本 裕二 大澤 範高 近藤 喜美夫 田中 健二
出版者
東京都立航空工業高等専門学校
雑誌
研究紀要 (ISSN:03871355)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.45-50, 2000-09

We have held several experiments on distribution of some events with satellite communications. We held a distribution experiment of 7th satellite design contest by transportable VSAT terminal on October 17,1999. In this paper we describe the outline of the systems of these distribution experiment and the way we did our experiments. The results of the questionnaire investigation for these experiments are presented and compared with each other.