著者
田中 龍郎
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.428-435, 2008-12-15 (Released:2016-10-31)

航空会社にとって「安全」はまさに経営の基盤である.安全性を維持向上させていくためには,運航安全のリスクマネジメントや内部安全監査など仕組みを構築することと同時に,社員一人ひとりが決して事故は起こさないという強い安全への意識を持って業務に当たることが必要である. ANA グループ安全教育センターは社員の教育・啓発を目的として,過去に起きた事故を風化させないという意思とともにヒューマンファクターに関する基礎的教育の要素を付加した施設である.このセンターではパイロットや整備士など高度な専門性を必要とする職種に対するプロフェッショナルな教育とは別に,ANA グループ全社員を対象とした教育・啓発を実施している.本稿ではセンターのコンセプトと教育内容を紹介するとともに,企業の安全文化・風土の醸成について考える.
著者
田中 美吏 霜 辰徳 野坂 祐介
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.289-300, 2016 (Released:2016-06-17)
参考文献数
52

The effects of psychological pressure on lower limb muscular activity and center of pressure (COP) were investigated in a standing, postural control task. Healthy male participants (N=18) performed a balancing task by standing on a balance disk with their dominant foot. Participants were requested to stabilize their posture for 30 s (one-trial). After acquisition trials, participants performed 2 non-pressure and 2 pressure trials in counterbalanced order for a performance-contingent cash reward, or punishment. Stress responses were successfully induced as assessed by state anxiety, perceived pressure, mental effort, and heart rates that increased under pressure conditions. The results indicated that the rate of co-contraction between the soleus (SOL) and tibialis anterior (TA) muscles in the dominant leg increased significantly in association with an increment in the EMG amplitude of the SOL under pressure. Moreover, the COP area in pressure trials was significantly smaller than in non-pressure trials. These functional changes in postural control under pressure could have been modified by internal focus of attention, affective states including anxiety, and movement strategies that enhance muscle and joint stiffness in the lower limbs.
著者
堂薗 賢 田中 大平 原田 昌治 池上 知顯 光木 文秋
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成25年度電気関係学会九州支部連合大会(第66回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.449, 2013-09-13 (Released:2016-01-17)

近年,固体試料にレーザーを照射し,生成プラズマの発光分光分析により試料中の元素組成分析を行う,レーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)が注目されている.さまざまな形状の試料でも簡便に短時間で元素分析が行えるといった長所があるが,一方,従来の原子吸光分析(AAS)や蛍光X線分析(XRF)などと比較して,定性分析での精度が低く,また検出感度が低いなどの課題がある.本研究では小型の分光器を用いたLIBSにより,合金,酸化物などの元素分析を行い,分析結果をXRFによる測定結果と比較し,LIBSの定性分析、定量分析の精度改善について検討を行った.
著者
知野 光伸 田中 稔 鈴木 恵
出版者
The Society of Fiber Science and Technology, Japan
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.T502-T508, 1981-12-10 (Released:2008-11-28)
参考文献数
15

The bending angles of warp and weft yarns in the cloth on loom were measured. The results were compared with a theory on shrinkage of cloth. When the weft yarn tension was kept constant, the warp bending angles decreased and the weft bending angles increased with the increase of warp tension on loom. The bending angles depended on the yarn count, the flexural rigidity of yarn, and the configuration of yarn deformed by the lateral load. The theory well explained these results.
著者
土井 晃一 金原史和 田中 英彦
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.93, pp.49-56, 1992-11-19

計算機上で自然言語理解を行なう際には文字通りの意味の解析だけでは不十分である。ここではそういうものの一つとして諺をあげる。自然言語理解の応用としてまず考えられるのは機械翻訳である。全世界で刊行される雑誌、新聞等は発行部数が多い。毎日のように新しく刊行されている。なるべくなら母国語で読みたいものだが、人手ではとても間に合わない。しかも現在の機械翻訳ではほとんど扱えない、諺や比喩が頻繁に使われている。現在の機械翻訳では慣用表現は扱うようになってきた[1]が諺のように大きな単位はまだ扱われていない。文章の中心的意味がここで表現されていることが多い。多くは直訳できるがそうでないものも多い。ここの翻訳を間違えると文章全体の意味が通じなくなってしまう。現在の機械翻訳の仕組みから考えて、意味処理をしてから諺などの検出はしにくい。諺のところで構文解析、意味解析が失敗してしまうことが多い。早期に諺などを検出することにより、構文解析、意味解析、文脈・状況理解の助けになる。諺を検出する際に必要なことは、どこで、どういう形で使われているかである。単に辞書をひくだけでよいこともある。この場合は形態素解析とおなじことになる。諺という品詞を一つ増やせば良い。例えば「馬の耳に念仏」という例だと、この通りにこの場合は「名詞」として辞書に登録すれば良い。しかし諺が少しでも変化するとこの方法は使えなくなる。特に会話文等にこの傾向は顕著である。例えば「何とかとハサミは使いよう」という例が挙げられる。本論文ではこのように変化した諺を可能な限り検出する方法を提案する。Only the analysis of literal meaning comaprehension is not enough for natural language comprehension on computer. In this paper, proverb is treated in the example of non-literal meaning. Machine translation is considered that application of the research of natural language comprehension. There are many journals and newspapers which are published in the world every day. In these, proverb and metaphor are used frequently. They often have a central maening of the sentences. The-state-of-art machine translation cannot treat such proverb and metaphor. Syntax analysis, maening analysis and context analysis can be easily done when the proverbs are detected in the earlier stage of natural language comprehension. We research the variation of proverbs. We propose the keyword method to detect various proverbs.
著者
田中 咲子
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典学研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.34-46, 2005

It has been already noticed almost for one century that the figure of the dead as well as of the bereaved are often depicted together on white ground lekythoi of the Classical period It has, however, hardly been tried to define the status of the dead, namely whether the figure represents him in his life time or after his death Rather the definition seems to have been avoided This prevaling attitude is influenced by Buschor's view He regards the subject of the scenes as the "Verbundenheit" between two people, and he saids the idea that the bereaved and the dead should be distinguished clearly in the scenes is irrelevant The painters did not intend that Life and death are overlapped in the scenes and they are inseparable However, after I found a remarkable representation on some white ground lekythoi by the Achilles-Painter, his interpretation began to seem questionable to me It is the hand pointing to the earth with forefinger that I have found The painter depicted it three times on his lekythoi in New York , two on the lekythoi with grave stele (1989 281 72, 08 258 16) and one without suggestion of the location (08 258 18) Since the painter left us various exquisite representations of the hands, for example, that very soft hand playing the lyre in Munich, and also, by comparing some hands of the same form but in different contexts by some other vase painters from the time, we can conclude that he painted consciously these three hands to point to the earth Subsequently, what do these hands mean? Do they not mean that the figures belong to the world of Hades? We know from literary sources, for example, the tragedies from the same period, that the Greeks generally had a common idea that the dead lived in the underworld or in the tomb Therefore we can regard the figure of the dead as someone who has already crossed the river Acheron That means that the Achilles-painter intended to distinguish the dead and the bereaved Why therefore can the dead and the bereaved share the same sphere, even though each belongs to the different worlds? I regard the scene that the dead appears in front of the bereaved, especially in the scene with a grave stele, at the tomb It is of course a fantasy But this conception is sometimes seen also in the tragedies Aeschylus depicted the dead Dareios appearing at his tomb(Persai, 681ff), and Sophokles made Elektra speak to the tomb of her father asking him to appear in front of her (Elektra) These examples enable us to consider the scenes on the lekythoi as a representation of the wish of the family of the deceased to see him again In this interpretation the scene and the status of the dead is defined more precisely, but it is not always incompatible with the view of Buschor, because in this interpretation as well the essence of the scene is the "Verbundenheit"
著者
柳田 藤治 小泉 幸道 村 清司 田中 秀夫
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.9, pp.698-703, 1994
被引用文献数
1 1

著者らは今年の4月末から5月上旬のゴールデンウィークを中心として, ベトナムへ渡り, ベトナム各地の魚醤油の加工場や自家製造の現場を幅広く視察してきた。<BR>この案内役のジュオン氏もこの道の大家とあって, 貴重な発見が多々あったと聞いている。
著者
田中 ひかる
出版者
横浜国立大学技術マネジメント研究会
雑誌
技術マネジメント研究 (ISSN:13473042)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.42-55, 2003

現在、日本の生理用品の種類と性能は、世界一と言われている。しかしつい40 年前まで、日本女性は「蒸れる」「かぶれる」「ただれる」の三拍子揃ったゴム製の月経帯と脱脂綿を組み合せた不便な月経処置法を行っており、欧米に比べかなり遅れていた。このように月経処置法が日本で進歩しなかった背景には、社会学的視点から、月経不浄視など様々な理由が考えられる。このような慣習を破り、現在のような使い捨てナプキンを開発・販売、女性たちを物理的のみならず先駆的なコマーシャルによって精神的にも解放したのが、1961 年に坂井泰子が設立したアンネ社である。本稿の目的は、アンネ社について記録し、アンネ社が月経観に与えた影響を検証することである。<br> まず第1章第1節では、月経処置法の進歩を妨げていた月経に対する不浄視や偏見について触れ、それらがいかに女性たちを拘束してきたかを明らかにしている。第2節では、アンネナプキンが販売される以前、日本女性たちが行っていた月経処置法についてまとめた。第2章では、坂井泰子がアンネ社を設立してからライオンに吸収合併されるまでの過程をまとめ、アンネ社がアンネナプキンを普及させるために月経観の改革が必要だったこと、普及した結果月経観さらには女性の身体観までもが大きく変わったことを検証している。
著者
今中 哲二 遠藤 暁 川野 徳幸 田中 憲一
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.146-146, 2009

広島・長崎の原爆直後に爆心地近辺に入った早期入市者については、入市直後にさまざまな疾病が現れたことが知られている。従来より誘導放射線による被曝影響の可能性が指摘されているものの、その因果関係を検討するには、個々の入市被爆者に関する情報が不十分であった。2008年8月に放映されたNHKの番組の中で、早期入市者の病状について1950年頃にABCCが聞き取り調査を行った個人記録が紹介された。その記録によると、嘔吐、下痢、脱毛といった、急性放射線障害と同様の症状が起きていたことが確認されている。我々は、そのような記録がある2名に入市時の行動についてインタビューを行い、行動経路に基づいて誘導放射能からの外部被曝を計算した。8月7日に入市し、爆心から900mの自宅に立ち寄り、一週間ほど文理大グラウンド(1400m)で寝泊まりしたAさんの被曝量は9.40mGyとなった。不確定さを考慮しここでの見積もりは約30mGyとした。Aさんは、8月13日に発熱、下痢、口内痛を発症、1ヵ月後に歯齦出血、脱毛があった。8月7日に、比治山から電車通り沿いに爆心近くを通って己斐駅まで歩いたBさんの被曝量は2.6mGyとなったが、不確定さを考慮し約8mGyと見積もった。Bさんは、9月12日に嘔吐、下痢で病臥、10月5日頃に脱毛がはじまった。AさんやBさんの病状は急性放射線症状を想定させる一方、従来の知見に基づくと、かれらの被曝量の見積もりは放射線症状を引き起こすほどではない。我々としては、以下の3つの可能性を考えている。(1)観察された疾病は、疲労や感染症などによるもので放射線被曝とは関係ない、(2)被曝量の見積もりが大きく間違っている、たとえば、本研究の見積もりには含まれていない内部被曝の寄与が大きかった、(3)原爆被爆という極限的な状況下で、放射線被曝が他の要因と複合的に作用して閾値が大きく下がり急性放射線障害のような症状が現れた。どの説明がより適切であるか今の段階では結論できないと考えている。
著者
中澤 昌彦 吉田 智佳史 佐々木 達也 陣川 雅樹 田中 良明 鈴木 秀典 上村 巧 伊藤 崇之 山﨑 敏彦
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

【目的】本研究では,急峻で複雑な地形と大径材搬出への適用が期待できる欧州製タワーヤーダを用いた作業システムを開発することを目的に,間伐作業の功程調査を行った。前報で架線下の上荷集材作業について報告したので,本報では上荷横取り集材作業を中心に報告する。【方法】搬器にShelpa U-3toを搭載したMM社製WANDERFALKE U-AM-2toを用いて,上荷横取り集材作業を実施し,時間分析を行なった。【結果】魚骨状に4列伐採し,27サイクル,28本,計17.87m3を集材した。平均荷掛量は0.66m3,平均集材距離は156.6m(135.7~194.6m),平均横取り距離は25.7m(5.1~48.1m)で,打ち合わせや遅延時間を除く横取り集材作業時間の合計は10,371秒となった。既存タワーヤーダであるツルムファルケ(平均荷掛量0.37m3)と比較すると,横取り作業時間が約2割短かった。以上から,本調査区における上げ荷横取り集材作業の生産性を求めると6.2m3/時となり,架線下だけでなく横取り集材作業においても既存タワーヤーダより高い生産性が期待できることが示唆された。
著者
田中 茂樹
出版者
関西学院大学
雑誌
法と政治 (ISSN:02880709)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.493-520, 1982-11-15

1. Preface 2. Being legally obliged and Legal Obligation 3. The Recognition of Legal Obligation 4. Obligation and Sanction or Coercion 5. The Binding Character of Obligatory Rule and Ought In this essay I shall examine a new theory on legal obligation, which is presented by Professor H. L. A. Hart and the Ordinary Language School. Japanese legal philosophy has received and criticized H. Kelsen's notion of Ought (Sollen). So Hart's attempt to reconstruct Kelsen's notion of Ought and Basic Norm (Grundnorm) is fresh and interesting. But Hart's notion of legal obligation is not so clear to elucidate the relation between coercive force and legal obligation in a legal system.
著者
上松 幸三郎 渕上 徹郎 津守 伸浩 田中 信次 森本 典夫
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.557-560, 2012-09-25 (Released:2012-11-27)
参考文献数
4

我々は高度肥満が原因で腰椎硬膜外脂肪腫症を発症したと考えられる1例を経験したので報告する.症例は71歳女性,身長150cm体重91kg BMI 40.4 肥満4度 糖尿病以外の合併症はなくステロイド投与歴はなかった.2カ月前から腰痛,両下肢の痺れ,間欠性跛行をきたし当院初診.MRIにてL4/5椎間にて硬膜外脂肪の増生による著明な硬膜管の狭小化を認めた.脊髄造影でも同様の所見であったため硬膜外脂肪腫症と診断し脊椎除圧手術を施行した結果,術後症状は軽快した.脊椎硬膜外脂肪腫症は外因性ステロイド長期投与や肥満に伴い脊柱管内に増生した脂肪組織により硬膜管が圧迫されることにより発症するとされる比較的稀な疾患である.日本人は欧米に比べれば高度肥満者の割合が少ないため肥満のみが原因で神経症状を有する硬膜外脂肪腫症を発症するのは比較的稀である.
著者
田中 千里 [タナカ チサト] 文濤
出版者
龍南會
雑誌
龍南會雜誌
巻号頁・発行日
vol.54, pp.46-46, 1897-03-13
著者
田中 康雄
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.39-43, 2015 (Released:2016-01-15)
参考文献数
9

This paper consists of the following three aspects. First, it describes the author’s personal understanding of the developmental disorders. In clinical situations, we call the condition where congenital characteristics of developmental disorders and relational difficulties manifested in daily life overlap. The author calls it “developmental disorders plus”. Next, the paper captures the concept of “earnest living” as a continuous image of someone tirelessly, often patiently, and vibrantly lives today, by just believing in tomorrow. Based on these ideas, it discusses the developmental disorder from the viewpoints of “reason of life” and “precious existence (seen by other people)”. Finally, the paper examines the patients’ supporters as someone who “earnestly protect” the ones who “earnestly live” from relational difficulties.
著者
長沼 毅 山崎 敬人 平賀 博之 丸本 浩 沓脱 侑記 岡本 英治 小茂田 聖士 山下 雅文 柏原 林造 田中 伸也 林 靖弘
出版者
広島大学学部・附属学校共同研究機構
雑誌
学部・附属学校共同研究紀要 (ISSN:13465104)
巻号頁・発行日
no.39, pp.291-296, 2010

本研究では, 地球外生命という未知の課題を解決するために, 理科で学習した内容や既知の学問を活用して, 「クリティカルシンキング」の手法を使いながら, もっとも確からしい答えに辿り着くための体験を生徒に講義し, それを通して, どのような思考の展開が必要となるかを伝える方法を研究した。ここでいう「クリティカルシンキング」とは, 「適切な基準や根拠に基づき, 論理的で偏りのない思考をする」, 「よりよい解決に向けて複眼的に思考し, より深く考えること」を意図している。具体的には, 「地球外生命探査」をテーマとして, 科学者が学問を探究していく上で, どのように思考し, その思考を発展させ, どのように証明していくか, そうした思考の過程を授業の対象として盛り込むことで, 科学者の思考を生徒に追体験させることを意図した高大連携の授業を構築することができた。この授業の内容そのものがこの研究の最大の成果だと考える。