著者
星 秋夫 稲葉 裕
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衞生學雜誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.730-736, 1995-08-15
参考文献数
23
被引用文献数
1 9

1898年から1991年までに幕内に入幕した力士664名を対象に,力士の年齢標準化死亡比(SMR)について同時代の日本人男性と比較した。さらに,1898年以降の出生者を対象として死亡率に対する種々の要因の寄与の推定を行った。<br>その結果は以下の通りである。<br>1.力士のSMRはいずれの年次においても有意に高く,年齢階級別にみると,35&sim;74歳のSMRが有意に高かった。<br>2.Coxの比例ハザードモデルによる解析から力士の死亡率に寄与する要因として,入幕暦年,BMIが抽出された。<br>3.生存率曲線において,入幕暦年の高値群,BMIの低値群はそれぞれ低値群,高値群よりも生存率が高かった。<br>以上の結果から相撲力士の高い死亡率は35&sim;74歳の高い死亡率によるものと示唆され,力士において,BMIの高値群は死亡のリスクが高いことが明らかとなった。
著者
蕪木 友則 谷口 巧 小見 亘 野田 透 太田 圭亮 稲葉 英夫
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.9, pp.930-935, 2008-09-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
10

ハチ刺傷ではアナフィラキシーだけではなく,ハチ毒による中毒が存在し,各種臓器不全が出現する。ハチ毒による多臓器不全症例は,これまでいくつか報告されているが,心臓に対する障害で,一過性の左室収縮障害に関するものは少ない。今回我々は,オオスズメバチ刺傷による多臓器不全患者で,高度の左室収縮障害を来した症例を経験したので報告する。症例は71歳の女性。山中でオオスズメバチに約60箇所刺傷され受傷した。来院時はアナフィラキシーショック状態であり,治療により軽快した。その後,ハチ毒による多臓器不全を認め,高度の左室収縮障害が出現した。翌日には左室収縮力は改善したものの,他の臓器不全の改善はなく,第 4 病日に死亡した。今回,ハチ刺傷による高度の左室収縮障害を認めた。ハチ毒自体に関する今後更なる調査が必要である。
著者
安野 花凜 稲葉 祐之
出版者
国際基督教大学
雑誌
社会科学ジャーナル = The Journal of Social Science (ISSN:04542134)
巻号頁・発行日
no.87, pp.67-90, 2020-03-31

For many years, Japanese companies have been engaging in what can be referred to as “a closed innovation” policy, that is, they seek to create innovation within the boundaries of their own corporations. However, due to the impact of IT technology and globalization, it has become harder to create innovation within a closed community. Accordingly, this difficulty stresses the importance of seeking different approaches such as open innovation whereby large organizations collaborate with venture companies to attract people's attention. This paper focuses on corporate venture capital (CVC), which is one of the means of creating open innovation that has been attracting attention in recent years. The cosmetics industry is one of the sectors engaging in open innovation for new value creation. As the industry matures, new players with innovative technologies emerge, which intensifies competition. Collaboration with external organizations is necessary to achieve growth under such circumstances. However, there is no research on this CVC investment model, although it could be considered an effective method for the cosmetics industry to promote open innovation and restructure R&D strategy for sustainable growth. Therefore, this paper addresses the current investment model of the cosmetics industries focusing on the importance of transforming closed R&D into open R&D and on whether this approach is an effective method to attain sustainable growth. This research conducted multiple case studies on Shiseido, and POLA ORBIS Holdings, as these are two examples of cosmetic companies currently working based on a CVC investment approach. As a result, this research proposes three conceptualized CVC investment models: 1) R&D enhancedtyped CVC, 2) human resource development enhanced-typed CVC, and 3) corporate value improvement-typed CVC. Finally, there is also an analysis of the effectiveness of each of these models.
著者
磯谷 一枝 山中 学 石川 元直 扇澤 史子 望月 友香 稲葉 百合子 山本 直宗 山中 崇 大塚 邦明
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.570-571, 2011 (Released:2012-02-09)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

入院中の高齢者において抑うつは疾患治療を困難にする重要な問題であるが影響を与える因子については明らかではない.65歳以上の入院高齢患者174名を対象に,Geriatric depression scale(以下,GDS)を実施し,性別,年齢,基礎疾患,居住形態,認知機能との関連を検討したところ,患者の居住形態がGDSに最も強く独立して関連し独居群は家族同居群よりもGDSが高く治療意欲の低下を支持する回答が多く,独居高齢者では入院中に心理的援助がより必要である.
著者
竹植 正和 髙橋 健一 稲葉 通将
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2014-CE-124, no.17, pp.1-8, 2014-03-07

e -ラーニングでは,学習場所の制約を比較的受けずに自分のペースで学習を行うことができる.一方,学習を進めるうちに次第に飽きてくる傾向がある.本研究では,学習の合間に気分をリフレッシュさせる方法のひとつとして,休憩時間に楽しさを取りいれたゲームを行うことを取り上げ,実験によりその効用を調べる.実験においては.休憩時間に比較的忙しいゲーム,ゆったりとしたゲームをするグループと何もしないグループに学習者を分けて,数式を解く問題を被験者に行わせる.これらのグループの実験結果とアンケートによりこれらのゲームの影響について考察する.
著者
稲葉 ナミ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.32-38, 1959-04-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
2

1 家族数の少ない(2人家族)一般家庭の夫婦がひまで、家族数の多い(6人以上の家族)共稼ぎの夫婦が忙しいことは予想される通りであつた。2 夫の家事労働への協力をみると、平日は共稼ぎ家庭・一般家庭による差はほとんどあらわれず、休日には却つて一般家庭の夫が協力的である。共稼ぎ家庭の夫の家事労働は平日必要にせまられた半拘束的性格をおびるためであろうか。3 第1・2・3報を通して要約すると、何れの分類によつても、夫の生活時間構造には、共稼ぎ家庭・一般家庭による大きな差はないが、次の傾向がみられる。(1) 夫の家事労働については本要約2の傾向(2) 勤務時間が、共稼ぎ家庭の夫の方が長い傾向。たとえば、総平均においては17分の差であるが、子供のない家庭1時間20分、夫婦のみの家庭(家族の人数別では2人家族)1時間5分、子供がなくて家族と同居している家庭1時間56分、夫の年齢20歳代40分の差がある。これは、共稼ぎの夫は勤勉とみるべきか、家庭に帰つても妻は留守であつたり、家事労働に忙しかつたりで、家庭的くつろぎを感じることが少ないためとみるべきであろうか。(3) 共稼ぎ家庭は子供数が一般家庭の以下であり、したがつて家族数も少ない。(4) 共稼ぎの妻は平日、職業労働に家事労働が加わるので、最も忙しい生活を営み、夫達が十分の休養をとり余暇を楽しんでいる休日においても、家事労働のために相当の時間を費している。しかし、一般家庭の主婦に比べると、休日には稽々生活を楽しんでおることがうかがわれ、睡眠時間も生理的限界以下の妻はない。(5) 一般家庭の主婦は、休日のない家事労働のために平日休日共に労働時間が相当長く、夫との睡眠時間の差は共稼ぎ夫婦の差により多く、埼玉県下の共稼ぎ家庭の差に近い。このため生理的睡眠時間以下の主婦が6人以上の家族の家庭、夫が40歳代の家庭、主婦が30歳代の家庭にみられる。一般に労働時間が長くなれば、生活や生存にとつて重要度の少いものから時間が切つめられてくる.生物的生存にとつて最も重要なものは睡眠である。これが切つめられなければならないほど、労働時間が長いということは健康がおびやかされつつあることを意味する。忙しいはずの共稼ぎの妻の睡眠は生理的限界を保ち、むしろ一般家庭の主婦にこれをみたことは検討すべき問題である。ところが、内職時間をもつ一般家庭の主婦の労働時間をみると、家事労働時間が他の家庭に比べて短いことからも、主婦の家事労働に対する態度如何が、今後の問題として残されている。
著者
稲葉 ナミ 三東 純子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.212-217, 1963-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
3

共稼ぎ家庭と一般家庭の夫婦の生活時間調査を行ない5年前の同調査と比較して、次のような結論を得た。1 共稼ぎ家庭の夫婦の生活は、5年前より忙しくなったとみられるが、平日の夫のみ危険率1%で有意である。そのため、夫婦の生活時間構造は5年前より近似して夫も協力的になったと思われる。予想に反して、「家事労働時間」が夫婦ともに5年前より増加しているのは、家事手伝い人を得にくいためではないかと思われる。2 一般家庭の夫婦の場合は、夫は平日、5年前よりも忙しくなったようであるが有意差ではなく.休日には4者中最も休養的である。妻は予想通り「家事労働時間」が5年前より短縮し、経済も安定したためか、内職をするものは皆無で、そのため、主婦は5年前より「余暇時間」が増加したと、危険率5%でいえる。なお、「睡眠時間」は、平日の一般家庭の妻以外は減少しているにもかかわらず、平日には一般家庭の妻は僅かながらも増加していることからみても、主婦は十分に休養をとり、夫とともに余暇を楽しんでいるといえる。3 31年調査においては、夫達の生活には大差がなく、共稼ぎ家庭の負担は妻にかかると結論したが、本調査においては、共稼ぎ家庭は夫婦ともに休養率が低く、夫婦ともにオーバーワークである。4 平日は共稼ぎ家庭の妻・共稼ぎ家庭の夫・一般家庭の夫・一般家庭の妻の順に忙しく、各者間に有意差がある。休日は各々の妻はそれぞれの夫より忙しいといえるが、妻同志・夫同志の間には有意差はない。共稼ぎ家庭の夫婦の「全労働時間」の延長を何で補っているかをみると、「余暇時間」は案外減っておらず、「睡眠時間」を減らしている。これはラジオ・テレビなどの普及・レヂャーブームの影響によるものではないかと考えられるが、労働時間が長いにもかかわらず、「睡眠時間」か生理的時間以下であることは問題である。5 「勤務時間」が3者とも、前調査より増加の傾向にあることは研究すべき問題である。
著者
吉田 由美 高木 廣文 稲葉 裕
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.69-77, 1995-02-15
参考文献数
32
被引用文献数
11
著者
辻野 一三 別役 智子 稲葉 秀一 吉川 隆志 寺井 継男
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.30, no.10, pp.1864-1868, 1992-10-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
8

暴露試験により確定診断しえた加湿器による過敏性肺臓炎の1例を経験したので報告する. 症例は58歳女性, 主婦. 乾性咳嗽, 労作時呼吸困難を主訴に近医にて投薬を受けたが症状の改善を認めず当科を受診した. 胸部X線写真, 呼吸機能検査などから間質性肺炎が疑われ, 入院後施行したBAL, TBLBおよび自宅の加湿器を用いた暴露試験により加湿器による過敏性肺臓炎 (加湿器肺) と診断した. 加湿器の水と患者血清との補体結合反応, 沈降抗体反応が陽性であった. また既知の抗原としては, Hollister-Stier 社製 Pigeon droppings extract, thermoactinomyces vulgaris extract との間に沈降反応がみられたが, 加湿器の水から培養された Flavobacterium meningosepticum についても両反応共に陽性であり, 同グラム陰性桿菌と本症発症との関与も示唆させれた.
著者
貴田 啓子 岡 泰央 稲葉 政満 早川 典子
出版者
マテリアルライフ学会
雑誌
マテリアルライフ学会誌 (ISSN:13460633)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.41-48, 2016

<p>紙や絹を基底材とする絵画などにおいて,銅含有彩色材の緑青が使用されている文化財資料では,緑青により基底材の劣化が進行し,褐色に変色する「緑青焼け」と呼ばれる劣化現象が観察される.本研究では,室町時代制作の仏画であり,「緑青焼け」が顕著にみられる絹本絵画について,修理にあたり取り除かれた2層の旧裏打紙を分析の対象とし,セルロースの分子量分布に着目し,劣化の状態を調べた.紙のセルロース分子量については,2層の裏打紙ともに,「緑青焼け」の箇所において,無着色部分よりも分子量が低下していることがわかった.さらに,「緑青焼け」の影響がみられる裏打紙中において,無着色部分の裏打紙よりも銅Cuを多く検出した.顔料に由来するCuは,2層の裏打紙に移動し,これらが,裏打紙の分子量低下をも促進していることが示唆された.また,絹本絵画の水洗浄に用いた吸取紙においてもCuを検出したことから,Cu成分の一部が水溶性であることがわかった.</p>
著者
尾崎 直人 稲葉 真理 手塚 宏史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.1C54, 2015 (Released:2018-07-30)

現在最も高速かつ精度の高いコミュニティ抽出手法として知られているLouvain(BGLL)法に対し,コミュニティの併合先探索処理においてヒューリスティックな枝刈りを行うことにより,精度を同程度に保ちつつ計算時間を半分以下に削減する新しい高速化手法を提案する.