著者
加藤 和彦 山田 興一 稲葉 敦 黒川 浩助 小宮山 宏
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.753-759, 1995-07-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

屋根置きタイプおよび地上設置タイプの太陽光発電システムについて, 太陽電池モジュールの製造から発電システムの建設までのCO2排出量を求め, 太陽光発電システムから得られる電力のCO2排出原単位を試算した.例えば, 年産規模10MWの場合の多結晶シリコンセルを用いた屋根置きタイプ及び地上設置タイプシステムのCO2排出原単位は, それぞれ179g-C/kWh及び39g-C/kWhとなった.一方, 同年産規模のアモルファスシリコンセルを用いたシステムのCO2排出原単位は, それぞれ10g-C/kWh及び47g-C/kWhとなった.太陽光発電システムからのCO2排出削減には, モジュール面積に応じて必要となるアルミフレームやカバーガラスなどの素材使用量を削減する必要がある.また, システム全体の効率の向上や長寿命化も有効である.さらに本稿では, 太陽光発電システムがわが国に大規模に普及する場合の, 系統電力と太陽光発電システムのCO2排出原単位の関係についても検討を加えた.
著者
稲葉 瑛志
出版者
日本独文学会
雑誌
ドイツ文学 (ISSN:24331511)
巻号頁・発行日
vol.160, pp.78-92, 2020 (Released:2021-06-04)

In seinem Buch Strukturwandel der Öffentlichkeit (1962) beschrieb Jürgen Habermas die Entfaltung der „repräsentativen Öffentlichkeit“, die an Status und Attribute der autoritären Person geknüpft ist. Er äußerte die Ansicht, dass im 20. Jahrhundert die Öffentlichkeit angesichts der Auflösung kritischer Publizität in manipulative Werbung verwandelt wurde. In anderer Hinsicht wies Peter Trawny in Die Autorität des Zeugen (2009) darauf hin, dass in den 20er Jahren die Entziehung der Souveränität wegen des Versailler Vertrags und die Schwächung der Demokratie für Unruhe im Deutschland sorgten und dass daher das Verlangen nach politischer Autorität im rechten Diskurs stieg. Besonders in revolutionären und nationalistischen Gruppen von Männern, deren Ziel der Untergang der Republik war, wurde der Dichter zur sakralen Figur des Propheten hochstilisiert. Es wurde also im 20. Jahrhundert die Frage nach der Autorität in der Öffentlichkeit wieder gestellt. Vor diesem Hintergrund ist es das Ziel der vorliegenden Arbeit zu untersuchen, wie Ernst Jünger, ein zunächst unbekannter Schriftsteller, durch seinen Kriegsroman In Stahlgewittern (erste bis dritte Fassung: 1920-24) die Autorität des Autors erlangt. Dabei wurde seine Strategie der Erlangung von Autorität in Hinsicht auf „Selbst-Heroisierung“ im Text und Anerkennung durch die Lesern analysiert. Nach dem Ersten Weltkrieg stellten sich einerseits den Historikern, die die Front nicht miterlebt hatten, die schwierige Frage, wie sie die Ungeheuerlichkeiten des Weltkriegs erzählen konnten, da dieser in der Wahrnehmung des Erlebenden eine Katastrophe alles Bisherige übersteigenden Ausmaßes war. Andererseits verbreitete sich der Diskurs, dass nur die zurückgekehrten Kriegsteilnehmer das „Geheimnis der Front“ kennen konnten. Den von Kriegsheimkehrern geschriebenen Werken wurde auf diese Weise in der Nachkriegsgesellschaft Beglaubigung verliehen. In diesem politisch-sozialen Kontext entstand In Stahlgewittern als die retrospektive Bearbeitung der vierzehn vom Autor im Feld geschriebenen Tagebücher. Der Text ist zwar ein von Jünger literarisiertes Werk, aber die Ereignisse werden im Text mit verschiedenen rhetorischen Mitteln als „Wahrheiten“ erzählt und der Autor wird als anerkennenswerter Held stilisiert. Im betreffenden Diskurs der Nachkriegsgesellschaft versuchte Jünger durch den im sachlichen Telegrammstil verfassten Ordensbericht, bezeugte Aussagen seines Bruders und mit der eigenen Unterschrift versehene Fotos das Geschehen an der Front als Heldisches zu inszenieren. Dadurch glaubt ein naiver Leser eine Einheit von Text und Leben zu erkennen. Das heißt also, dass sich Jüngers Text als Versuch sehen lässt, sowohl Fiktion als auch historische Quelle zu sein. Dazu beansprucht der Autor im Text die Autorität eines herausragenden, heldischen Offiziers an der Front. Er inszeniert den Ich-Erzähler als ehrenvolle Person, indem er ihn mit den für nationalistische Leser weit verbreiteten Topoi der politischen Kultur Deutschlands umgibt (z. B. „Landsknechtsboom“ oder „Duellkultur“). (View PDF for the rest of the abstract.)
著者
山口 博司 伊坪 徳宏 李 相勇 本下 晶晴 稲葉 敦 並河 治 山本 典明 宮野 譲
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会研究発表会講演要旨集 第2回日本LCA学会研究発表会(会場:東京大学)
巻号頁・発行日
pp.111, 2006 (Released:2007-02-14)

RoHS規制等のもとで電気電子機器に対し化学物質などの環境規制が強まっている。これに対応するには環境上の効果と経済上の費用のライフサイクルにおけるバランスを見つつLCCBA(ライフサイクル費用対便益分析)手法を用いて施策を評価決定する必要がある。洗濯機を対象に環境対応シナリオに対しスクリーニングLCC・LCA・LCIAを実施し、LCCBA手法の特徴と課題・有効性を示す。
著者
久保 康隆 平田 治 稲葉 昭次 中村 怜之輔
出版者
japan association of food preservation scientists
雑誌
日本食品低温保蔵学会誌 (ISSN:09147675)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.79-83, 1996-05-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1 3

The rates of C2H4 production in peach and banana fruits stored under 3 % O2 decreased by approximately 60% and 50% respectively compared to those stored in air. 1-aminocyclo-propane-1-carboxylic acid (ACC) oxidase activity in both fruits did not change during low O2 and subsequent air storage, when measured in the disks incubated under air condition. Low O2 treatment increased slightly ACC contents in both fruits. However, the increase in ACC content in peaches was much less compared to the calculated increase based on the result of the inhibition in C2H4 production, on the assumption that low O2 atmosphere would not affect the conversion of s-adenosylmethionine (SAM) to ACC. When ACC oxidase activity in excised flesh tissues from peach, banana, cucumber, and eggplant was measured under various O2 concentrations, the activity was distinctly O2-dependent. Our results suggest that inhibition of C2H4 production by shortterm low O2 treatment is mainly due to inhibition of ACC oxidase activity, not due to decrease in amount of the enzyme. The inhibitory effect of low O2 on C2H4 production in peach fruit might be partly due to inhibition of the conversion of SAM to ACC.
著者
稲葉 利江子
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.428-431, 2019-04-15

本稿は,大学ICT推進協議会(AXIES)が2017年度に実施した日本の高等教育機関等におけるICT活用教育の推進に関する悉皆調査の結果を基に,大学においてICT環境の導入状況を紹介したものである.特に,LMSとeポートフォリオの導入状況について概要を述べたあと,前回調査から2年間でどのような変化が見られたのかについて説明を行った.具体的には,前回調査と比較し,「入学手続きシステム」と「機関が提供している公式SNS」の導入率が増加している傾向にあることが明らかとなった.これは,入試方式の変化や大学広報のSNS利用などの社会的な変化に伴い増加していることが推察される.その他の悉皆調査の詳細結果については,AXIESのWebサイトを参照いただきたい.
著者
荒井 雄大 永田 俊介 稲葉 善典 赤松 茂
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿
巻号頁・発行日
vol.14, pp.52-55, 2015

人と円滑なコミュニケーションをとるために顔表情は欠かせないものである.従来研究では,多様な表情を表出している多数の顔の3次元顔形状データの主成分分析によってモーフィングモデルを作成することによって,新規人物の真顔から表情を生成した.この手法をもとに先行研究では,得られた主成分に相当する各パラメータを印象変換ベクトル法によって調整し,表出強度を操作する実験を試みた.従来の印象変換ベクトル法は多様な顔形であっても同一の印象変換ベクトルが割り当てられてしまうことが以前より問題点として挙げられていて,本研究では3次元顔に応じた最適な印象変換ベクトルが割り当てられるように,サポートベクタマシン(SVM)を用いた印象変換ベクトル法を考案した.
著者
定兼 邦彦 稲葉 真理 今井 浩 徳山 豪
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

ゲノムデータベースからの知識発見のためのアルゴリズムとデータ構造に関する研究を行った.まず,ゲノム配列データベースからの高速パタン検索のアルゴリズムとデータ構造を開発した.索引としては既存の圧縮接尾辞配列を用いたが,新しいアルゴリズムにより従来の30倍の速度での検索が可能になった.次に,2つの長いゲノム配列のアラインメントを計算するための手法である,MUM(Maximal Unique Match)を列挙する省スペースなアルゴリズムを開発した.配列の長さをnとすると,既存手法ではO(n log n)ビットのスペースが必要であったが,本研究ではこれをO(n)ビットに圧縮した.これにより,ヒトの全DNA配列2つのMUMの計算がメモリ4GBのPC1台を用いて約6時間で計算できた.また,ヒトとマウスの間の共通部分については約24時間で計算できた.データベースからの知識発見のために,データベース中の複数の属性間の最適相関ルールを求める高速アルゴリズムを開発した.最適とは,支持率を固定した場合の最大確信度ルールまたは確信度を固定したときの最大支持率ルールを表す.従来手法では2値属性のみしか効率良く扱えなかったが,本研究の手法では数値属性に対して効率良く動作する.また,数値属性間の最適相関ルールを拡張し,様々な確信度に対する最適領域をピラミッド型の図形で表現する方法を提案し,その効率の良い計算法を提案した.これを最適ピラミッドによる相関ルール表現と呼ぶ.これを用いることでデータベースから抽出した知識を簡潔に表現することができ,過学習の回避もできる.また,ピラミッドを用いてデータの可視化を行うこともできる.
著者
稲葉 寿
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.7-17, 1997-11-30 (Released:2017-09-12)

人口研究における数理モデルの利用は,実証的な科学としての人口学の成立に決定的な役割を果たしてきた。ことにアルフレッド・ロトカによる安定人口理論は,生命表分析とともに近代人口学のセントラルドグマとして1960年代に至るまでその地位は揺るがぬものであった。しかし1970年代に入ると,ロトカモデルは多次元モデルや非線形モデルへと拡張され,人口学における数理モデルは一気に多様化するとともに,人口学的分析の射程は著しく拡大した。この過程でマッケンドリックーフォン・フェルスター微分方程式による人ロモデルの定式化は重要な役割を果たした。微分方程式モデルは数学者,生物学者などの関心を引くこととなり,80年代には年齢構造をも含む一般的な構造化人口モデルの研究が集中的に進められた。また人口学においてもコール,プレストン等によってマッケンドリック方程式の間接推定法への応用が図られ,実用的な意義も確認された。こうした数理的研究の急速な蓄積は80年代後半に至って数理人口学を独立した研究領域として確立しようとする強い動機となったのである。安定人口論は人口の再生産力の測定という根本的課題に答える試みであったが,そこには両性問題という難題があることは古くから指摘されてきた。この問題の解決のためには両性のペア形成過程を考慮にいれた人口再生産モデルを考える必要があるが,これは非常に困難な非線形モデルとなることが知られている。両性モデルについては最近になっていくつかの性質が明らかにされるようになってきたが,数理人口学における最も重要な今後の課題の一つであろう。過去10年の間に数理人口学は学問領域としての自立化をはたしつつあるように見えるが,そのさらなる豊穣化のためには現実の人口問題群や,関連諸領域との絶えざる対話と認識関心の共有化を図ることが必要とされるであろう。
著者
戸次 加奈江 稲葉 洋平 内山 茂久 欅田 尚樹
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 = Journal of the National Institute of Public Health (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.460-468, 2015-10

2005年,世界保健機関(WHO)はたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(WHO Framework Convention on Tobacco Control; WHO FCTC)を発効し,本条約により締約国は,たばこ消費の削減に向けた広告・販売への規制や密輸対策をはじめ,たばこによる健康被害防止のためのヘルスコミュニケーションの実施が要求されている.「第11条:たばこ製品の包装及びラベル」では,締約国に対して,喫煙を主な要因とする疾病の警告表示の義務付けや,各国でのたばこ政策の実施へ向けた国内法制定のための実践的な支援対策としてMPOWER政策が提示されている.こうしたFCTCの発効により,各国でのたばこ対策は飛躍的に進められ,2010年には,画像警告ラベルの表示を実施する国が34ヶ国であったのに対し,2015年には77 ヶ国までにも増加し,その他,禁煙者の増加を目的に実施される,包装上に禁煙電話相談サービス(クイットライン)の連絡先を表示する対策や,たばこ製品特有の色使い・画像・マークなどの使用が禁じられた「プレーンパッケージ」の導入により,オーストラリアでは喫煙率が2010年から2013年の間に15.1%から12.8%に減少するなど,たばこ対策の実施による着実な効果が伺える.一方,日本国内の喫煙率は,今現在も他の先進国と比較して非常に高い水準にあり,喫煙による有害性が社会的にも広く認識されているアメリカやカナダ等の先進国と比較すると大きな差が生じている.また,日本国内では,FCTCに対応すべく「たばこ事業法施行規則」による警告表示,規制が定められているものの,それらはFCTCで求められる最低限の条件を満たすのみである.この様に,他国と比べてもFTCT第11条に関連した日本国内のたばこ対策は大きな遅れを取っている状況にある.これらのことから,今後,わが国のFCTCに基づいたたばこ対策による喫煙率低下へ向けた効果,また社会的影響等について国際的なたばこ対策の動向を踏まえた総合的な見直しを行い,将来的なたばこ対策全体の方向性を示す必要がある.
著者
戸次 加奈江 稲葉 洋平 欅田 尚樹
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.24-32, 2015
被引用文献数
2

The World Health Organization (WHO) Framework Convention on Tobacco Control (FCTC) requires member countries to implement measures aimed at reducing the demand for tobacco products. FCTC article 11 describes the important forms of health communication and packaging regulations. And this article recommends on large pictorial health warnings and encourages more effective forms of disclosure on constituents and emissions. Furthermore, article 11 recognizes the importance of the package as a promotional vehicle for tobacco companies and requires the removal of potentially misleading packaging information, including the terms "light" and "mild." The Conference of the Parties (COP) adopted guidelines for implementation of article 11 on "Packaging and labelling of Tobacco Products". Some countries, such as Canada, the U.S.A., Australia, EU countries etc. positively promoted tobacco control by implementing countermeasures such as the graphic health warning labels and plain packages. These countermeasures showed the significant effects of decreasing smoking rate and preventing smoking initiation in young people. Furthermore, these warning labels were effective for the literally challenged. However, the Japanese government has not implemented these countermeasures, and only limited texts are shown on Japanese tobacco packaging. Therefore, Japan should emulate approaches taken by other countries, and promote the tobacco control policy in accordance with FCTC.
著者
稲葉 和也
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.3_28-3_49, 2014 (Released:2017-11-10)

Many Japanese chemical companies have been re-evaluating the importance of research and development (R&D) since the low-growth era began during the first oil crisis. New businesses cannot succeed without the cooperation of their R&D departments. Their R&D sections were merged with their Business sections to connect research with product development more closely. As a result, the Central Research Institute became disorganized, and the volume of corporate research declined. This paper examines the history of R&D at Tokuyama Corp. I describe both the company's polysilicon production and the laboratory reform that occurred at the beginning of the 1980s.Tokuyama's polysilicon production was a planning initiative project. Such a project required a leader who can maximize the company's investment. Yuuji Fujii, director of Tokuyama's Planning Division, headed the company's polysilicon business. He was both an engineer and a manager, which proved an effective combination. This project grew into the company's core business; they are now the world's second-largest polysilicon producer for semiconductors, after the Hemlock Semiconductor Corporation.Laboratory reform is now considered necessary for Japan's chemical corporations. During reforms at Tokuyama Corp.'s new Fujisawa Laboratory, the old linear model was retired, and at least two of the lab's functions were changed to stimulate market creation. Takashi Yoshioka, the new R&D head, announced the “Five Management Ideas in the Laboratory” concept. Instead of a bottom-up management style, he imposed a top-down style, which is how the R&D and Business sections had worked together in the beginning.