著者
脇本 忍
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
vol.23, pp.83-93, 2016

本研究は、落語に登場する女性が男性に対してつく嘘の動機と構造について検討した。落語はフィクションであり、そこに登場する人物の嘘の是非を問うものではなく、嘘が物語を成立させるための重要な言動になることもある。Ford(1996)の報告では、嘘の動機には、罰回避・自意識維持・攻撃的行動・支配感獲得・騙す喜び・願望充足・自己欺瞞強化・他者行動コントロール・他者援助・他者の自己欺瞞援助・役割葛藤解決・自負心保全・アイデンティティ獲得の13種類があるとされてきた。本研究では、女性が嘘をつく落語作品から、「紙入れ」「星野屋」「芝浜」の3作品に注目し、それらの作品の嘘の動機と照合しながら、各作品に登場する女性たちの嘘について分析を試みた。その結果、「紙入れ」では罰回避と他者支援、「星野屋」では願望充足と他者行動コントロール、「芝浜」では他者援助と罰回避、さらに自負心保全の動機があることが考えられた。男性目線で創作され演じられてきた落語における女性の嘘には、心理的性であるジェンダーの視点から、嘘をついても許せる女性像と、理想の女性像に連関する要因が含まれていることが推察できた。
著者
脇本 由佳
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典學研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.28-39, 1997-03-10

『イーリアス』においてアイネイアースは,トロイア方でヘクトールに次ぐ重要な英雄として扱われている.しかし,『イーリアス』の中でのアイネイアースの活躍は,意外なまでに少ない.本稿では,この矛盾を解決しうる一つの仮説を提示するべく,『イーリアス』におけるアイネイアースの描かれようを観察し,そこから,ホメーロス以前のトロイア伝承で,主にアイネイアースがどのような位置づけをなされていたかを探る試みを行う.
著者
脇本 由佳
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典学研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.28-39, 1997-03-10 (Released:2017-05-23)

『イーリアス』においてアイネイアースは,トロイア方でヘクトールに次ぐ重要な英雄として扱われている.しかし,『イーリアス』の中でのアイネイアースの活躍は,意外なまでに少ない.本稿では,この矛盾を解決しうる一つの仮説を提示するべく,『イーリアス』におけるアイネイアースの描かれようを観察し,そこから,ホメーロス以前のトロイア伝承で,主にアイネイアースがどのような位置づけをなされていたかを探る試みを行う.
著者
脇本 亘 本谷 直 塚本 永和
出版者
茨城県畜産センター
雑誌
茨城県畜産センター研究報告 (ISSN:13466488)
巻号頁・発行日
no.43, pp.14-18, 2010-11

本試験では,フリーストール形式において牛体汚染を防止する牛床敷料管理方法について,山砂と戻したい肥を用いて敷料の素材と使用方法の違いによる牛床利用及び牛体衛生スコアへの影響を検討した。敷料導入直後では,種類,量に関わらず,牛床利用率が7割以上であったが, 2週間後には全試験区で低下し,通路への横臥行動がみられた。牛体衛生スコアは場合,牛床利用率の低下にしたがって平均スコアが増加する傾向がみられ,敷料の量が多い乳房付近のスコアが低くなる傾向がみられた。本試験において牛体衛生スコアと体細胞数との関連性は,明確でなかった。入れ替え後3週間後経過した牛床敷料では, 2種類の敷料間で細菌の繁殖性に異なる特徴が認められた。これらの結果から,山砂を多く使用した場合,入れ替え直後は牛の快適性(カウ・コンフォート)が高い牛床条件であるが,2週間以上放置すると著しくカウ・コンフォートが低下するため,敷料の撹拌・入れ替え及び追加などの定期的な牛床管理が必要である。また良質な完熟たい肥を豊富に導入した場合,導入直後は山砂よりもさらにカウ・コンフォートの高い牛床条件になると推察できた。
著者
北村 智 脇本 健弘 松河 秀哉
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.129-132, 2013

本研究では実践共同体としての学術共同体に対するネットワーク分析によるアプローチを試みる.特に学習としての正統的周辺参加に着目し,共同体における参加者の「位置」を定量的に表現する手法として中心性を採用する.中心性からみた共同体における参加者の「位置」の変化と,共同体における参加者の役割獲得の関係を分析し,実践共同体に対するネットワークアプローチの妥当性について検討する.
著者
脇本 竜太郎
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.160-168, 2008
被引用文献数
3

自尊心の高低と援助要請に関しては,正の関係を想定する脆弱性仮説と負の関係を想定する認知的一貫性仮説・自尊心脅威モデルという対立する仮説が提案され,双方を支持する知見が蓄積されている。本研究では,そのような知見を整理する1つの視点として自尊心の不安定性を取り上げ,自尊心の高低と不安定性が青年の被援助志向性および援助要請に及ぼす影響について,対人ストレスイベントの頻度・日間変動を統制した上で検討した。援助要請についてはさらに,家族・非家族という対象ごとの検討も行った。 48名の大学生・大学院生が1週間の日誌法による調査に回答した。階層的重回帰分析の結果,自尊心の高低と被援助志向性・援助要請の関係は,自尊心の不安定性により調節されていた。具体的には,自尊心が不安定である場合は高さと被援助志向性,援助要請の回数は負の関係を,特に自尊心が安定している場合は正の関係を持つことが示された。また,対象別の援助要請の分析では,上記のような関係が非家族への援助要請数でのみ認められた。自尊心の高低と同時に不安定性を検討することの意義・有用性および今後の研究に対する示唆について議論した。<br>
著者
中野 恵美 原田 智雄 脇本 博文 長田 圭三 岸 良示 松本 直樹 三宅 良彦
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.319-331, 2009 (Released:2010-05-21)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

【背景】非虚血性心疾患に合併するリエントリー性心室流出路起源心室頻拍(VT)における必須緩徐伝導路の存在,およびリエントリー回路については,不明な点が多い.【目的】エントレインメントマッピング法を用いて心室流出路起源VTのリエントリー回路を同定する.【方法】非虚血性心疾患に合併した心室流出路起源VT症例51例(男性26例,女性25例,平均年齢50.3±14.5歳)中,6例に8種類のリエントリー性心室流出路起源VTを認めたため,エントレインメントマッピング法による頻拍回路の検討を行った.【結果】エントレインメントマッピングを行った心室流出路93部位中52部位がリエントリー回路上であると診断された(大動脈バルサルバ洞6,左室流出路43,右室流出路3部位).リエントリー回路上これらの52部位は,exit(7),central-proximal(1),inner loop(19),outer loop(25)に分類された.VTは大動脈バルサルバ洞6部位中4部位で,心室流出路46部位中4部位でアブレーションにより停止した(p=0.0002).【結語】心室流出路起源VTのリエントリー回路が,大動脈バルサルバ洞領域と心室流出路に同定された.エントレインメントマッピング法は,リエントリー性心室流出路起源VTにおけるアブレーション至適部位決定に有用であった.
著者
三宅 寿美 脇本 寛子
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.87-93, 2011 (Released:2011-06-05)
参考文献数
9
被引用文献数
4

インフルエンザなどの飛沫感染予防には「咳エチケット」を実践することが重要である.病院内のみならず地域で一般市民が「咳エチケット」を実施することは,より有効な感染予防対策といえる.そこで本研究は,今後の啓発活動の手掛かりを得るために,我が国の一般市民の「咳エチケット」の認識度の実態を明らかにすることを目的とした.   インターネット調査とし,一般市民を対象に2009年2月と2010年3月の2回実施した.対象は,1回の調査あたり400人で,居住地域,年齢,性別で層別した.調査項目は,「咳エチケット」を聞いたことの有無,「咳エチケット」の行動実施状況,マスクの着用目的等とした.   「『咳エチケット』という言葉を聞いたことがありますか」の設問に「はい」と回答したのは,1回目31.0%(124人),2回目47.8%(191人)であり,情報源は,テレビ番組と病院の掲示が多かった.2回の調査共に,「咳エチケット」を聞いたことがある人の方が聞いたことがない人に比べて有意に多かった「咳エチケット」の行動は,「咳やくしゃみの時に鼻と口を手で覆う」ことであり,2回目では更に,「咳やくしゃみなどの症状がある場合」をマスク着用の最も適切な場合と回答していた.「咳エチケット」という言葉を聞いただけでは正しい行動に繋がっていないことが伺え,今後は,テレビや病院の掲示などの媒体を利用して,啓発活動を強化することが必要と考えられた.
著者
康 允碩 松田 宗明 河野 公栄 閔 丙允 脇本 忠明
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-10, 1999-03-15 (Released:2010-05-31)
参考文献数
38
被引用文献数
1 1

韓国内で入手した, 市販魚試料の分析の結果, 各化合物の濃度レベルはDDTs>PCBs>HCHs>HCB>PCDFs>PCDDsの順であった。そして魚類から検出された各化合物の濃度は魚類の脂肪含有量と有意な相関性を示した。すなわち, 全般に脂肪量が多いサバとタチウオの濃度がイシモチとタラのそれより高い傾向を示した。市販魚類のPCDDs/DFsの各同族体の組成は低塩素のPCDDs/DFsのほうがより多く検出されており, とくに総PCDDs/DFs-TEQ濃度に対する2, 3, 4, 7, 8-PeCDFの寄与率は42%と計算された。このことから韓国人において食品としての魚類は2, 3, 4, 7, 8-PeCDFのような低塩素のPCDDs/DFsの主な供給源の一つであると判断した。韓国人の魚介類の摂取量は欧米諸国とくらべ比較的多いため, 魚類を通じてこれらの有機塩素系化合物が多く摂取されていると予想されたが, 意外に有機塩素系農薬やPCBsの摂取量は他の国と比べ, 類似するレベルであった。しかし, PCDDs/DFsの場合は, 日本を除いた諸外国のレベルと比べ高いことが確認できた。以上のことから韓国人にとって魚類の摂取はPCDDs/DFsの供給源として主要な割合を占めていることが判断された。
著者
脇本 健弘 佐々木 博史 平山 涼也 望月 俊男 Eagan Brendan 結城 菜摘 舟生 日出男 久保田 善彦 鈴木 栄幸 加藤 浩
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.309-324, 2023-06-20 (Released:2023-07-14)
参考文献数
38

本研究は,タンジブル人形劇によるマイクロティーチング支援システム「えでゅーすぼーど」の教師の専門性向上への有効性を検討したものである.本研究では,教員養成課程において実施された「えでゅーすぼーど」を用いたマイクロティーチングにおける学生の談話を分析した.学生は3回のマイクロティーチングに取り組み,2回目に「えでゅーすぼーど」を用いた人形劇によるマイクロティーチングを体験した.学生の談話をEpistemic Network Analysis により分析し,特徴的な変化を抽出し,さらに質的な分析を行った.その結果,「えでゅーすぼーど」を用いた人形劇によるマイクロティーチングでは,教師役の学生が児童役の学生の学習を深めるとともに,授業を円滑に進めるために即興的な働きかけを行っていたことが示された.
著者
中野 雄介 脇本 将寛 小林 隆史 鈴木 健二
出版者
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
雑誌
Cardiovascular Anesthesia (ISSN:13429132)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.111-117, 2020-08-01 (Released:2020-09-10)
参考文献数
11

症例は63歳の男性,身長165 cm,体重55 kg。大動脈弁閉鎖不全症・僧帽弁閉鎖不全症の再燃に対し手術が予定された。麻酔導入後,完全房室ブロックと血圧低下を来たし,一時胸骨圧迫を要した。気道内圧の上昇と全身性の紅斑を認め,アナフィラキシーショックと診断した。経食道心エコーで全周性の壁運動低下,肺動脈圧の上昇を認めたため,冠攣縮を疑い硝酸薬を投与した。その後速やかに肺動脈圧の低下と心収縮能の改善が得られ,血行動態は安定した。アナフィラキシーまたは急性冠症候群の徴候を認めた際には常にKounis症候群の可能性の考慮と,状況に応じた速やかな治療が求められる。
著者
脇本 謙吾 唄 大輔 前谷 朱美 徳田 光紀
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.37-40, 2017 (Released:2022-09-03)
参考文献数
9

今回は,義足装着時のみに幻肢痛を認める症例に対して経皮的電気刺激(TENS)の鎮痛効果の検証と痛みの解釈の検討を行ったので報告する.本症例の幻肢痛は,健側の糖尿病性神経障害による痛みと質,部位共に類似していた.方法は,ABAデザインを用い,A期にはプラセボTENS介入,B期にはTENS介入をそれぞれ3日間ずつ実施した.TENSには電気治療器(ESPURGE)を用い,パラメーターはパルス幅150μs,周波数100~250Hzの変調モードに設定し,治療は1日1回30分を同時間帯に実施した.電極の貼付部位は,幻肢痛出現部位及び,断端部と同部位にあたる対側下肢の計4ヶ所とした.幻肢痛の評価としてNRSを用い,痛みの認知的側面に対し破局的思考尺度(PCS)を用いて評価した.TENS介入にて鎮痛効果を認め,鎮痛に伴いPCS得点にも低下を認めた.結果から,本症例の幻肢痛に対する健側へのTENSの有効性と,鎮痛に伴う痛みの認知的側面への効果が推察された.
著者
橋本 俊次 脇本 忠明 立川 涼
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.637-646, 1994-09-20 (Released:2010-05-31)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

ベトナム南部から採取された層位別土壌試料及び底質コアを用い, ダイオキシンによる過去からの汚染の調査を行った。調査地点付近には, ベトナム戦争当時, 大量の枯葉剤が散布されているにもかかわらず, そこから採取された試料からは, 枯葉剤の不純物であるTCDDは検出できなかった。一方, ほとんどの試料からOCDDなどの高塩素化ダイオキシンを検出した。検出した濃度は0.069~1.1ng/g dryで, そのうち約80%がOCDD, 約15%がHeptaCDDs, 約5%がHexaCDDsであり, この組成は全試料で確認された。今回検出されたこれらのダイオキシン類は, 周囲の状況などから, 自然生成したものであることが類推された。しかも, 以前我々が調査した日本沿岸底質深層部から発見したものと全く同じ組成をもつことが分かり, 自然生成するダイオキシンの存在が示唆された。
著者
脇本 健弘 苅宿 俊文 八重樫 文 望月 俊男 酒井 俊典 中原 淳
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.209-218, 2010-01-20 (Released:2016-08-06)
参考文献数
24
被引用文献数
5

本研究では,初任教師の育成として授業に関するメンタリングに注目をした.メンタリングとは,経験を積んだ専門家(熟達教師)が新参の専門家(初任教師)の自立を見守り,援助することである.初任教師を対象に授業に関するメンタリングを行う際は,初任教師が授業を行い,子どもの姿をもとにした授業の振り返りを行うことが有効である.しかし,子どもの姿をもとにした授業の振り返りを行う際に,(1)対話内容が授業技術や理論的なもの中心で,具体的な子どもの話がでてこない,(2)熟達教師の子どもの話が初任教師に伝わらない,(3)振り返る子どもに偏りが出るという問題がある.上記問題を解決するために,メンタリング支援システムFRICA(読み方:フリカ)を開発した.その結果,FRICAを利用することにより,子どもの話が引き出され,初任教師に伝わるように熟達教師が子どもの話ができるようになった.また,子どもの偏りに関しても効果がみられた.
著者
脇本 忍
出版者
聖泉大学紀要委員会
雑誌
聖泉論叢 = The Seisen review (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.24, pp.45-57, 2016

大学のキャリア教育や職業教育では,多くの大学が,インターシッププログラムを導入している.インターシップは,日常業務型・課題解決型・アルバイトパート型・見学型・講義型などに分類されている(真鍋,2010).経済産業省近畿経済産業局は,実践課題解決インターシッププロジェクト「Ai-SPEC」を実施した.各大学のゼミ単位で構成したチームが,マッチングされた企業と協働して企業の課題解決を約半年間実施し,中間発表会,地区大会,最終発表会にてプレゼンテーションを行った.京都地区には9チームがエントリー(聖泉大学1チーム・近畿大学2チーム・追手門大学2チーム・同志社大学2チーム・京都産業大学1チーム・関西大学1チーム),大阪地区には14チーム(近畿大学3チーム・関西大学3チーム・大阪市立大学2チーム・桃山学院大学2チーム・武庫川女子大学2チーム・甲南女子大学1チーム・追手門大学1チーム)がエントリーした.