著者
石原 保志 塚越 浩和 西川 俊 小畑 修一
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.25-37, 1989
被引用文献数
1

聴覚障害児の教育現場で字幕入りテレビ番組を利用する際に、字幕の文字量と呈示時間は内容理解に大きな影響を及ぼすと考えられる。本研究では、字幕読み取りと映像注視の時間を確保するための方法として、呈示時間を延長した場合の有効性を、字幕の文字量、番組の性質、視聴者の読書力との関連で検討した。対象は聾学校中学部、高等部生徒とし、呈示時間延長の方法としてスロー呈示、交互呈示の2方法を取り上げた。その結果、次のことが明らかになった。(1)ドラマのように人物の心情の推移が内容展開の中心となる番組では、文字量の確保が重要な意味をもつ。(2)ドキュメンタリーのように場面当たりの文字量にあまり差がない番組では、全体の文字量が多い場合、呈示時間延長の効果がある。(3)理科実験番組では、呈示時間を延長し字幕と映像を集中して見させることが内容理解を局める。
著者
塩見 慎次郎 丁野 久美 西川 美穂 岡部 真美 中村 怜之輔
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.235-241, 2002-09-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

パイナップル果実の収穫後のガス代謝および果皮色の変化に対するエチレンの関与について, エチレンの作用阻害剤である1-メチルシクロプロペン (1-MCP) を用いて調べた。緑熟段階で収穫した果実の炭酸ガス排出量およびエチレン生成量は貯蔵中に上昇し, 末期上昇型パターンを示したが, エチレン生成量は最大でも1nl g-1 h-1に達しなかった。1-MCP処理によって呼吸量は減少し, エチレン生成量は一時的に上昇した。プロピレン処理は呼吸を一時的に増加させたが, エチレン生成を促進しなかった。果実をクラウンと果実部に分けてガス代謝を調べたところ, 末期上昇パターンはクラウンではなく, 果実部に依存していた。未熟果・緑熟果・適熟果に1-MCP処理を複数回行うと, いずれの熟度においても処理直後にエチレン生成が一時的に促進された。呼吸およびエチレン生成は樹上で発育に伴って増加し, 収穫後も増加し続けた。果皮の着色は収穫熟度に関係なく進行したが, 未熟果になるほど1-MCP処理によってその進行が遅延した。以上より, パイナップル果実のエチレン生成はエチレンによるネガティブフィードバック調節 (自動抑制作用) を受けること, 果皮色の変化にエチレンが関与しているごとが示され, 収穫後のガス代謝や果皮色の変化が樹上での変化と同様であることからパイナップルは少なくとも一部追熟性をもつことが明らかになった。
著者
西川雅彦 青山幹雄
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.235-236, 2014-03-11

ソフトウェアの再利用においては生産性と品質の向上が期待されている.開発が進行すると再利用元で発見できなかったバグが再利用先に継承される.そこで,再利用に着目したインスペクション方法を提案する.再利用によってバグが伝播する確率をデータマイニング手法によって推定する.モジュール間の構造複雑度の類似度計算アルゴリズムを評価精度のレーティングに基づき決定する.実システムのバグデータにこのアルゴリズムを適用して開発工程ごとのバグ原因の類似性を明らかにする.バグ原因に対応する確認項目に基づいてインスペクションを行う方法を提案する.実システムのバグデータからこの方法によって摘出できるバグを評価することによって提案方法の有効性を示す.
著者
金村 米博 市村 幸一 正札 智子 山崎 麻美 渋井 壮一郎 新井 一 西川 亮
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.436-444, 2015
被引用文献数
1

 近年, 髄芽腫の分子遺伝学的診断および国際コンセンサス4分子亜群分類 (WNT, SHH, Group 3, Group 4) は, 腫瘍特性解析, 腫瘍分類, 臨床的リスク評価, 新規治療法開発に大きなブレークスルーを引き起こしている. 国内では, 日本小児分子脳腫瘍グループ (JPMNG) が組織され, 全国から試料を収集し, 国際的コンセンサスに基づく小児脳腫瘍の遺伝子診断実施体制の構築が開始されている. 髄芽腫の分子遺伝学的診断は, 今後の診療および研究において, 重要かつ不可欠な手法になると思われ, 本邦のJPMNG研究は, 現在いまだに完治が困難な髄芽腫の診療水準のさらなる向上と予後改善に大きく貢献し得ると考える.
著者
榊 裕翔 辻井 優伸 西川 健二郎 河合 邦浩 岡崎 浩司 楢橋 祥一
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成26年度電気・情報関係学会九州支部連合大会(第67回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.402, 2014-09-11 (Released:2016-02-10)

近年,次世代の発電システムとして”宇宙太陽発電計画(SSPS)"が注目を浴びておりJAXA,京都大学を中心に研究開発が行われている.通常,ダイオードが飽和領域で動作する様な高入力電力の場合,高調波成分発生の割合が高くなり変換効率が低下する課題があった.そのため高調波成分を処理する回路を出力側に付加したF級シングルシャント整流回路が広く用いられている.本研究ではより一層の高効率化を実現するため出力フィルタにて反射された反射波成分の一部を多段接続した整流回路に再入射させる5.8GHz帯反射波再利用型シングルシャント整流回路を提案する.
著者
チョウ ヨンマン 今井 俊夫 高見 成昭 西川 秋佳
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.35, pp.178, 2008

【目的】Zucker fattyラットは突然変異レプチン受容体遺伝子faのホモ接合体(<I>fa/fa</I>)で、若齢期から著しい肥満を呈し、単純性肥満/糖尿病モデルとして用いられている。一方、ヘテロ接合体(<I>Fa/fa</I>)及び野生型(<I>Fa/Fa</I>)のZucker leanラットは肥満にならないことから、ホモ接合体の対照として用いられているが、その生理学的/解剖学的な違いについての詳細は明らかではない。今回、Zuckerラットが乳腺発がんモデルとして応用可能か否かを検討する目的で、各遺伝子型動物の血清生化学的検査及び肝臓/乳腺/脂肪組織の組織学的検査を実施した。【材料と方法】6-7週齢の各遺伝子型の雌ラットあるいは10%コーン油添加飼料で5週間飼育した<I>Fa/fa</I>及び<I>Fa/Fa</I>雌ラットを対象とした。【結果】血清総コレステロール、インスリン及びレプチン濃度は、<I>Fa/fa</I>及び<I>Fa/Fa</I>に比し<I>fa/fa</I>では有意に(p<0.05)高値を示した。中性脂肪及び血糖値には遺伝子型間の明らかな差はみられなかった。組織学的には、<I>Fa/fa</I>及び<I>Fa/Fa</I>に比し<I>fa/fa</I>では乳腺組織の発達が著しく乏しく、脂肪組織においては細胞肥大が認められた。<I>Fa/fa</I>と<I>Fa/Fa</I>の比較において、基礎飼料飼育下では主な血清生化学値に明らかな差はみられなかったが、10%コーン油飼料を与えることにより、<I>Fa/fa</I>ではHDL-コレステロール値は僅かながら有意に(p<0.05)低下したのに対し、<I>Fa/Fa</I>では変化を示さなかった。<I>Fa/fa</I>及び<I>Fa/Fa</I>のいずれにおいても、コーン油を与えることによる肝臓/乳腺/脂肪組織の組織学的変化はみられなかった。【結論】<I>fa/fa</I>は乳腺発がんモデルへの応用には適さないが、<I>Fa/fa</I>及び<I>Fa/Fa</I>は脂肪負荷により脂質代謝と乳腺発がんとの関連性を解析するモデルとしての応用が可能であることが示唆された。
著者
西川 亮 西村 幸夫 窪田 亜矢
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.103-108, 2010-10-25
参考文献数
3

本研究は欧州評議会の文化の道において、政策の変遷及び仕組みを明らかにすることを目的している。分析の結果、政策の変遷は6期に分類することができた。第1期:文化観光に関する議論(1960年代)、第2期:サンティアゴ巡礼道の再生に関する議論(1980年代前半)、第3期:東西欧の文化的なつながりの再生(1990年代前半)、ウィーン宣言の影響を受けた最初の規則制定(1990年代半ば)、各文化の道に地域における活動を求めるようになった規則の制定(1990年代後半から2000年代前半)、より厳しい規則による文化の道の質の維持(2000年代後半以降)である。文化の道では、欧州評議会、文化の道協会、ネットワーク組織が欧州文化アイデンティティの形成高揚を目的に活動を展開する仕組みがある。
著者
西川 尚生
出版者
三田芸術学会
雑誌
芸術学 (ISSN:1343201X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.57-82, 2012
著者
北原 真冬 西川 賢哉 五十嵐 陽介 新谷 敬人 馬塚 れい子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.338, pp.133-136, 2008-12-02
参考文献数
11

理研母子会話コーパス,およびその収録に付随して行った読み上げ課題のデータを用いて,対乳児発話(IDS)と対成人発話(ADS)のピッチについて分析した.アクセントのピッチ,最高ピッチ,ピッチレンジなどにおいて,IDSはADSを上回る.また,アクセントの相対的位置が後方にずれる「おそさがり」の現象がIDSにおいてより大きいことが観察された.
著者
崔 一鳴 西川 仁 徳永 健伸 吉川 和 岩倉 友哉
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1N4J901, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究では,化学文書中の専門用語の自動抽出に自己学習を取り入れる手法を提案する.我々は CHEMDNER コーパスを使い,ニューラルネットワークをベースとする化学文書中の専門用語抽出のモデルを訓練した.訓練済みのモデルは自動的に訓練データを作成するために,正解タグがついていない MEDLINE コーパスにアノテーションをするのに使用した.そして,最終的なモデルを獲得するために,人手でタグ付けが行われた CHEMDNER コーパスと自動タグ付けを行った MEDLINE コーパスの両方を用いて訓練を行った.訓練データとしてタグがついていない MEDLINE コーパスを用いた評価は,化学文書中の専門用語抽出における自己学習の有効性を示した.
著者
西川 珠代
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.63-79,178, 1991-06-30 (Released:2017-02-15)

The idea of a "Vocabulary of Motives" was introduced into sociology by C. Wright Mills in 1940, and was rediscovered and reevaluated by the Everydaylife School of sociology during the latter part of the 1960's. Their subject, the 'imputation of motives' is contrasted with 'Verstehen des Motivs'. However, they have put emphasis on the similarity of their concept of the motive and that of M. Weber. In this position, we can see both consistencies and inconsistencies. W e are able to arrange these by dividing the statements of imputation of motives into two phases and using the following criteria. ① the relation of the sociologist, the observer who imputes motives, and the actor, ② where motives are imputed, and ③ how motives are decided. In the case of Verstehende Soziologie, ① a sociologist is the observer, ②Kulturwissenschaft demands Verstehen des Motivs of individual actors, and ③ motives must be logisch adäquat. In phase A where motives are successfully imputed, ① the observer isn't a sociologist. People in interactions observe each other, ② in micro 'motive-talk' situations, and ③ situationally adequate motives are imputed so that the order is reconstructed. On the other hand, in phase B where imputation of motives fails, ① the sociologist analyzes observers by means of sociology of knowledge, ② in macro conflicting situations, and ③ motives are situationally determinated, but social conflicts disturb the imputation of unquestioned motives. As Mills tried to adapt G. H. Mead's social-psychology to Mannheim's sociology of knowledge, he kept sight of both phases. But Everydaylife-sociology, which has an interest in a continuous reconstruction of the order of the everyday life, do not discuss phase B. Their statements, together with those of Weber, assume that adequate motives are imputed. But the man that Everydaylife-sociology supposes is different from that voluntary actor whom Weber described.
著者
山田 明宏 幡野 健 松岡 浩司 照沼 大陽 江角 保明 左 一八 鈴木 康夫 西川 喜代孝 名取 泰博
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
ポリマー材料フォーラム講演要旨集 第13回ポリマー材料フォーラム
巻号頁・発行日
pp.161, 2004 (Released:2010-03-29)

生体内の細胞表層上には、糖タンパク質や糖脂質などの複合糖質中の糖鎖が外側に向かってアンテナ状に存在している。生体内に侵入してきたウイルスや細菌は、これらの糖鎖をマーカーとし、感染することが知られている。近年、糖鎖のもつ生理活性を高効率で発現させる糖鎖クラスター効果が注目を集め、様々な支持体を用いた糖鎖クラスター化合物の構築が盛んに行われている。これまで我々は有機ケイ素化合物であるカルボシランデンドリマーを支持体として液晶など様々な機能性基の集積化および物性評価を行ってきた。カルボシランデンドリマーは世代の拡張や分岐数・鎖長の制御が容易であるなどの特徴がある。この為、カルボシランデンドリマーを用いて糖鎖を集積化した場合、標的とするウイルス・毒素の糖鎖結合部位に適した分子設計がナノオーダーで可能であり、新たな糖鎖製剤となることが期待できる。
著者
濱田 篤郎 奥沢 英一 川淵 靖司 西川 哲男
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.72, no.12, pp.1283-1288, 1998

発展途上国在留日本人の腸管寄生虫感染状況を明らかにするため, 途上国の都市部に在住している日本人を対象に糞便の寄生虫検査を実施した. 検査の対象地域はアジア, 中近東, アフリカ, 東欧, 中南米で, 1995年の被検者数は981名, 1996年は1, 275名である.現地で採便後, 日本に持ち帰りホルマリン・エーテル法で検査を行った.<BR>その結果, 腸管寄生虫感染率は1995年3.0%(29名), 1996年2.4%(30名) であった.地域別ではアフリカ (1995年5.7%, 1996年4.7%), アジア (1995年3.8%, 1996年3.0%) の在留日本人で感染率が高く, 中近東, 東欧, 中南米で低かった.検出された寄生虫種では, Giardia, lambliaが計17例と最も多く, <I>Trichuris trichiura</I>14例, <I>Ascaris lumbricoides</I> 11例, <I>Heterophyes heterophyes</I> 7例と続いている.年齢別では小児よりも成人の方が感染率は高く, また滞在期間が長くなるほど感染率は高い傾向にあった.腸管寄生虫感染者のうち, 消化器症状を訴える者は36.8%と比較的高率であった.さらに, 感染者の既往疾患として, 胃十二指腸疾患をもつ者が28.1%に認められた.<BR>途上国在留日本人の腸管寄生虫感染率は, 現地の住民に比べると低い数値であるが, 日本国内居住者に比べると高率であり, 今後も腸管寄生虫感染予防のため一層の努力が必要である.
著者
栗尾 和佐子 小西 元美 奥野 智史 中尾 晃幸 木村 朋紀 辻 琢己 山室 晶子 山本 祐実 西川 智絵 柳田 一夫 安原 智久 河野 武幸 荻田 喜代一 曽根 知道
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.134, no.11, pp.1199-1208, 2014 (Released:2014-11-01)
参考文献数
11
被引用文献数
2 1

The Faculty of Pharmaceutical Sciences, Setsunan University, offers the Self-improvement and Participatory Career Development Education Program: Internship and Volunteer Training Experience for Pharmacy Students to third-year students. We previously reported that the training experience was effective in cultivating important attributes among students, such as a willingness to learn the aims of pharmacists, an awareness of their own role as healthcare workers, and a desire to reflect on their future careers and lives. A follow-up survey of the participants was carried out three years after the training experience. The questionnaire verified that the training experience affected attendance at subsequent lectures and course determination after graduation. We confirmed the relationship between the participants' degree of satisfaction with the training experience and increased motivation for attending subsequent lectures. Through the training experience, participants discovered future targets and subjects of study. In addition, they became more interested in subsequent classroom lessons and their future. The greater the participants' degree of satisfaction with their training experience, the more interest they took in practical training and future courses. The present study clarified that the training experience was effective in cultivating important attributes such as a willingness to learn and an interest in future courses. Moreover, the training positively affected the course determination after graduation.