著者
山越 大雅 田島 浩一 近堂 徹 渡邉 英伸 岸場 清悟 西村 浩二 相原 玲二
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2021-IOT-53, no.8, pp.1-7, 2021-05-06

脆弱性診断は,Web コンテンツ,コンピュータ,ネットワーク等に対して擬似攻撃を行い,内部に潜む脆弱性を発見する診断であり,昨今のサイバー攻撃の脅威に備えるために世界中のあらゆる組織で必要不可欠なものとなっている.一般的に,診断結果には脆弱性が危険度によりレベル分けされており,それがそのまま対策の優先度として利用されているという問題点が指摘されている.この問題に対して本研究では,セキュリティインシデントにつながる可能性を元に対策の優先度を評価し,反映した診断結果を提供する脆弱性評価システムを開発した.脆弱性評価システムでは,脆弱性診断により得られる診断結果を対象とし,診断結果に含まれるCVE(脆弱性の識別子)などの識別子や脆弱性情報として公開されている NVD および JVN のデータベース等を用いて評価を行う.また,広島大学で実施している脆弱性診断の診断結果を処理対象として例を示す.
著者
西村 浩太郎
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.20-41, 1985 (Released:2018-03-01)

Selon Leibniz, l’eccéité de chaque personne consiste en sa notion individuelle qui enferme tous les prédicats de sa vie, actuels ou virtuels, nécessaires ou contingents, passés, présents ou futurs. Il n’y a donc que Dieu qui peut savoir parfaitement et a priori une telle eccéité. Mais, nous pouvons en avoir une notion complète, qui est fondée sur la connexion des termes du sujet et du prédicat. Cette notion complète enveloppe la réalité actuelle de l’individu, ainsi que sa réalité possible qui s’étend au futur et au monde extérieur et qui nous donne à actualiser librement. Plus nous en avons de connaissance, plus nous avons de preuve de Dieu qui est la raison suffisante de tout.
著者
木暮 槇太 中島 誠 高橋 幸吉 稲神 馨 須藤 芳三 待田 行雄 林 禎二郎 平尾 常男 五十嵐 三郎 仲野 良男 竹林 克明 吉田 徳太郎 宮内 潔 江口 正治 林 幸之 佐々木 周郁 渡辺 忠雄 近藤 義和 渋谷 勲 須貝 悦治 田中 茂光 小山 長雄 田中 一行 竹田 寛 竹鼻 孝夫 室賀 明義 蒲生 俊興 高橋 保雄 西村 浩 長谷川 金作 森 幸之 永友 雄 梅谷 与七郎 中村 晃三 松本 介 宮沢 正明 加藤 康雄 土橋 俊人 高木 直温 柳沼 泰衛 小野 四郎 村山 隆之 近森 俊哉 辻 辰四郎 小川 敬之 小松 四郎 大岡 忠三 妹尾 計一 森本 宏 梶浦 みち子 萩原 清治 瓶子 まち子 中条 紀三 高木 春郎 飯島 荘資 横内 和多良 清水 滋 堀内 彬明 堀内 ちよし 原田 忠次 木村 敬助 青木 秀夫 後藤 四男 小林 恵之助 皆川 基 皆川 豊作 岡村 源一 小河原 貞二 村山 穰助
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.244-255, 1956-06-28 (Released:2010-11-29)

蚕卵発育中に於けるPhasphataseの組織化学的所見2雄核の接合に関する細胞学的観察カイコガのモザイク複眼の構造とできかた家蚕蛹の頭部が産卵に及ぼす影響家蚕の血組織に関する生理学的研究 (II) 蛹の発育に伴う囲心細胞及び周気管細胞中の遊離アミノ酸の消長家蚕その他数種絹糸虫における誘引物質の共通性と類縁関係に関する研究蚕種の冷蔵障害と水銀塩による沈澱物前胸腺移植後の結紮と絹糸腺の成長家蚕のフラビン化合物に関する研究 (V) 蛹の器官特に中腸におけるフラビン化合物について (予報)家蚕の計量的形質と脳-食道下神経節連合体の機能追加7.白殫病菌の蚕卵への接種試験繭・繊維の部熱風乾燥に関する研究 (II)繭解じよの向上についての研究 (IV) 病蚕成立繭特に硬化病, 軟化病, 膿繭蚕繭の性状繭及び生糸の繊度変異に関する研究 (9) 定粒生糸と定繊度生糸の性能比較について生糸の摩擦係数に関する研究 (7) 精練度と摩擦係数について糸条斑と繰糸管理について生糸の練減率測定に関する2, 3の知見絹の膨潤現象から見た中心層発現の-所見チオ尿素樹脂の還元性について繭層セリシン溶液の粘度吐糸営繭に伴なう繭形の変化 (続)営繭条件と分離細繊維との関係フイブロインの糸条形成について (VIII) フイブロインの溶液中における分散状態について絹糸構造の研究 (I)酵素製糸の研究 (II)酵素精練の研究 (II)追加8. 落緒に関する研究 (II) 落緒形態の出現率とその分布
著者
西村 浩子
出版者
松山東雲女子大学人文科学部紀要委員会
雑誌
松山東雲女子大学人文科学部紀要 (ISSN:2185808X)
巻号頁・発行日
no.29, pp.42-54, 2020-03-01

愛媛県上浮穴郡久万高原町大川の土居家に伝わる史料の中に、大正期の少女の日記がある。今から100 年ほど前、土居家第28代当主土居貫太郎の長女、土居芳枝が大正10~11年(1921~1922年)尋常小学 校3~4年生の時に書かれた日記である。この資料には、日々の生活が方言交じりで記録され、当時の子 どもの生活やことばが分かる資料となっている。本稿は、この日記を翻刻し、近代の子どもの家での生活 やことばを研究するための基礎資料として紹介する。
著者
山田 哲夫 田口 裕功 西村 浩 三田 晴久 信太 隆夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.264-268, 1984-05-30 (Released:2017-02-10)

エビとイカによる食餌アレルギーが原因であった間質性膀胱炎の1例を経験した.症例は33歳男性で, 1965年頃より難治性の膀胱刺激症状を呈し, 1975年に当科を受診した.既往歴や試食によりエビとイカが原因と推定された.そしてエビとイカエキスの皮下注や膀胱内注入誘発試験で主訴と同様な症状を認めると同時に, 誘発後血中と尿中のヒスタミンとセロトニンの上昇がみられた.治療の主体を食餌よりエビとイカを除くことにより, 現在まで症状の再発を認めていない.
著者
渡邉英伸 西村浩二 合田憲人 吉田浩
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.102-111, 2019-09-17 (Released:2019-09-17)
参考文献数
16

情報システムのクラウド化は学術機関でも求められており,クラウドサービスを導入検討・利活用している学術機関は増えてきている.一方で,情報セキュリティの不安を払拭できずにクラウド化を進めている学術機関も少なくない.本研究では,情報セキュリティガバナンスの現状とクラウドサービスの利用状況を客観的かつ定量的に評価するための評価モデルおよび質問事項を提案し,2016年度から3年間にわたり学術機関における情報セキュリティガバナンスの実態調査を実施してきた.本稿では,実態調査の結果より,学術機関の情報セキュリティガバナンスの現状を定量的に把握することが自組織の情報セキュリティガバナンスの水準の向上・維持に有効であることを示し,情報システムのクラウド化には組織としての情報セキュリティガバナンスの成熟が重要であることを述べる.
著者
沖浦 達幸 西村 浩治 西向 弘明 三宅 仁
雑誌
DNA多型 = DNA polymorphism
巻号頁・発行日
vol.13, pp.274-277, 2005-05-30
参考文献数
5
被引用文献数
1
著者
西村 浩一 高橋 修平 本山 秀明 小杉 健二 根本 征樹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

風力発電と太陽光パネルを用いた吹雪計測システムの開発を試みた。低温風洞で出力特性等の検証後、国内は新潟県と北海道、国外ではフランスアルプスで性能試験を行った。2013年には南極の昭和基地近傍の氷床上で、約2カ月にわたる吹雪の自動観測に成功したほか、フランスと共同でアデリーランドの観測タワーで吹雪フラックスの鉛直分布を求めた。また英国と共同で砕氷船により南極海の棚氷を周回し、海塩エアロゾルの供給源としての吹雪の寄与の測定を行った。一方、メソスケール気象モデルWRFで南極氷床上における気象要素の時系列変化を求め、これに基づいて算出された吹雪量を2000年の南極みずほ基地での観測結果と比較した
著者
山口 悟 西村 浩一 納口 恭明 佐藤 篤司 和泉 薫 村上 茂樹 山野井 克己 竹内 由香里 LEHNING Micheal
出版者
日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.51-57, 2004-01-15
被引用文献数
6 4

2003年1月5日に長野県南安曇郡安曇村の上高地乗鞍スーパー林道で起こった複数の雪崩は,死者こそ出なかったが車20台以上を巻き込む大災害となった.雪崩の種類は面発生乾雪表層雪崩であった.今回の雪崩の特徴は,従来雪崩があまり発生しないと考えられている森林内から発生したことである.現地における断面観測より,今回の雪崩は表層から約30cm下層に形成された"こしもざらめ層"が弱層となり発生した事がわかった.積雪変質モデル並びに現場近くの気象データを用いた数値実験でも,同様の"こしもざらめ層"の形成を再現することができた.弱層になった"こしもざらめ層"は,1月1日の晩から1月2日の朝に積もった雪が,3日早朝の低温,弱風という気象条件下で変質して形成されたと推定される.今回の研究結果により,雪崩予測における積雪変質モデルの適応の可能性が明らかになった.また,考えられている森林の雪崩抑制効果に関してより詳細に検討する必要性があることも示された.
著者
鎌田恵介 近堂徹 西村 浩二 相原 玲二
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1061-1070, 2013-03-15

仮想化技術の発展を背景に,継続的なシステム運用を目的として,規模や負荷に応じて仮想計算機の構成を動的に変更できるライブマイグレーションが注目されている.また,同一ネットワーク内に限定されているライブマイグレーションを拡張し,IP移動透過性を持つグローバルライブマイグレーションも提案されている.しかし既存方式では,その対象がIPユニキャスト通信のみであり,IPマルチキャストの移動透過性まで実現できていない.そこで本研究では,仮想計算機上でマルチキャストとユニキャストを組み合わせて利用する移動透過IPマルチキャスト方式について提案し,プロトタイプシステムを用いた基本性能評価について述べる.評価結果より,ネットワークセグメントが異なるマイグレーションにおいても,同一ネットワーク内のマイグレーションと同等の途絶時間に短縮できることを確認した.Virtualization technologies are widely used, and include Live Migration which changes resource allocation for virtual machines according to scale or load. In addition, Global Live Migration with IP mobility is also proposed. It enables migration among distributed sites and provides continuation even if the network of the virtual machines was changed. However, it supports only IP unicast communication, not IP multicast communication. In this paper, we propose a mobility support mechanism for IP multicast on virtual machines, and evaluate its basic performance using prototype system. As a result, the proposed method provides migration function continuously receiving multicast stream stopped same as traditional Live Migration.
著者
渡邉 英伸 大東 俊博 近堂 徹 西村 浩二 相原 玲二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.93, no.7, pp.893-901, 2010-07-01
被引用文献数
1

仮想計算機(VM)を別の物理計算機上へ移動させる際,VMの処理中断時間を極力短くするライブマイグレーションが注目されている.ライブマイグレーションを拡張し,IP層における移動透過通信機能(IPモビリティ)をもたせることで,別ネットワークへの移行を可能にするグローバルライブマイグレーションが提案されている.しかし,既存方式ではVMの再構築時にIPモビリティ処理が実行されるため数秒以上の通信途絶が発生し,ライブマイグレーションとしての性能を達成できていない.本論文では,VMに複数のネットワークインタフェースをもたせ,マイグレーション前に未使用のインタフェースにあらかじめネットワーク設定を行うことで,通信途絶時間を大幅に短縮可能なグローバルライブマイグレーション方式を提案する.更に,本手法を実装し性能評価実験を行った.その結果,通信途絶時間が1秒以下であることを確認した.
著者
梶原 大輔 上浦 大智 藤田 貴大 前田 香織 相原 玲二 西村 浩二 岸場 清悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.409, pp.81-86, 2005-11-10
参考文献数
5
被引用文献数
5

MAT-MONETは筆者らが提案している複数インターフェースに対応したモバイルネットワークアーキテクチャである.本稿ではDHCPやルータ広告に相当する, MAT-MONETにおけるアドレス割当プロトコルについて述べる.また, モバイルルータが多段で構成されたモバイルネットワークにおいてモバイルルータの移動情報を配下のモバイルルータやモバイルノードに伝えるための移動通知プロトコルについて述べる.このとき, モバイルノードは複数インタフェースをもつことを前提としており, 移動通知情報にはインターフェースの優先度が含まれる.
著者
成瀬 廉二 秋田谷 英次 西村 浩一 白岩 孝行 山口 悟 須澤 啓一 天見 正和 伊藤 陽一 根本 征樹
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 物理篇 資料集 (ISSN:03853683)
巻号頁・発行日
no.55, pp.13-26, 1996
被引用文献数
1

1996年2月下旬に,北海道内広域の58地点にて積雪調査を行った。測定項目は,積雪深,積雪水量,層位・雪質・粒径,ラム硬度,雪温である。同年冬期は,札幌を中心とした日本海側では記録的な大雪であり,一方北海道東部は平年より少雪であった。全層平均密度と全層平均ラム硬度は,積雪量が多い北海道西部で高い値を,積雪量が少なく「しもざらめ雪」が顕著な東部で低い値を示した。
著者
井手口 直子 石井 大介 西村 浩子
出版者
日経BP社
雑誌
日経ドラッグインフォメーションpremium
巻号頁・発行日
no.101, pp.PE5-7, 2006-03-10

アレジオンで1日中眠気が強くて困った。テオドールを飲んでから胃痛や下痢がある(吐き気、食欲不振はなし)。手のふるえもあるような気がする。薬のせい? 頭痛や腰の痛みもある。鼻水あり。パルミコートは問題なく使用できている。セレベントは吸入した後の使用感が悪く、むせてしまって吸入できているかわからない。
著者
相原 玲二 大塚 玉記 近堂 徹 西村 浩二 前田 香織
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.440, pp.131-138, 2001-11-14
参考文献数
13
被引用文献数
7

広帯域IPv6インターネット上での高品質画像伝送を行うため、マルチキャスト等に対応するMPEG2伝送システムを開発した。高品質画像をリアルタイムに伝送するには、パケットロスや伝送遅延ゆらぎのないネットワークが要求されるが、現実には実現困難であり、前方誤り訂正(FEC)機能等を持つ伝送システムが必要となる。本稿では、開発したFEC機能を持つMPEG2 over IPv6システムについて述べる。また、アフリカ南部で観測された皆既日食のJGN回線などを利用した中継実験について紹介する。この実験では、全国9地点(広島を除く)および広島市内4地点へMPEG2画像をIPマルチキャストにて伝送し、合計700名以上の参加者が2時間にわたりその中継映像を観察した。その際得られた実測データをもとに、誤り訂正機能が極めて効果的に機能したことを示す。
著者
小林 芳規 佐々木 勇 沼本 克明 月本 雅幸 鈴木 恵 原 卓志 山本 真吾 西村 浩子 佐藤 利行 山本 秀人 青木 毅 来田 隆
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

醍醐寺蔵宋版一切経6,104帖の悉皆調査により,角筆の書き入れを調べ,古代東アジアにおける言語文化の交流と影響関係を考察する目的の本研究は,2007~2009年に5回の現地調査を行い,書誌事項と共に角筆の有無を調べ,4,453帖に角筆による漢字と諸符号の書き入れを見出した。その精査は第二次調査を期している。又,東大寺図書館の調査で,唐代写経に角筆の梵唄譜とヲコト点様の単点・複点を発見し,新羅写経に角筆の新羅語の真仮名等と符号を発見して,解読を進めている。
著者
西村 浩一 阿部 修 和泉 薫 納口 恭明 伊藤 陽一
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究は、「地震と豪雪」の複合災害の中で、「冬に地震が発生」した際の雪崩災害危険度の評価手法を開発し、被害軽減に資することを目的とした。今年度は、主に地震時の積雪の破壊強度とその挙動を調べる目的で、防災科学研究所の雪氷防災実験棟において小型振動台を用いた積雪の破壊実験を実施した。実験にはロシアのAPATIT雪崩研究所殻からChernouss博士も参加し、共同で実施された。加速度計を埋め込んだ積雪ブロックを凍着させ、一定振幅のもとで2次元の振動数を増加し、積雪がせん断破壊した時点の加速度、上載荷重、断面積から、「新雪」、「しまり雪」、「しもざらめ雪」の「高歪速度領域の積雪破壊特性」とその密度依存性が求められた。また2次元振動に伴う、法線応力の効果についても議論を行った。さらにこの破壊特性を積雪変質モデル(Snowpack)に組み込んで、対象領域の地震発生時の雪崩発生危険度予測図を作成した。一方、こうした一連の取組みに対して、トルコの公共事業省災害監理局から共同研究と技術支援の依頼があり、研究協力者2名とともに現地視察を行ったほか、地震による雪崩発生の現況および危険度評価と災害防止手法開発に関する意見交換を実施した。現在、今後の共同研究策定に向けて調整を実施中である。
著者
前野 紀一 川田 邦夫 木村 龍治 荒川 政彦 西村 浩一 成田 英器
出版者
北海道大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1991

一般に湿雪雪崩の形は単純でその動的特徴の多くは斜面を流下する濡れた雪塊として理解できる。しかし、乾雪雪崩、特に煙り型乾雪表層雪崩は、昭和61年13人の死者を出した新潟県能生町の柵口雪崩にように、極めて高速かつ大規模になり、大きな被害を起こしやすいにもかかわらず、その内部構造と動的特性について詳しい情報が得られておらず、その予測や防御が難しい。本研究では実際の乾雪表層雪崩の内部構造を調べるために、黒部峡谷志合谷において観測を実施した。これは雪崩走路上に設置されている2基のマウンドに雪崩観測用のカメラ、衝撃圧センサ-、超音波風速計等を取り付け、雪崩の自然発生を待つ方法である。黒部峡谷志合谷で観測された数個の雪崩では、雪崩風が観測された。雪崩風は雪崩の実体の前面あるいは側方に発生する局部的な強風であり、その存在やそれによる災害がしばしば報告されいるが、これまで定量的に観測はなかった。今回観測された雪崩風は、雪崩自身の規模があまり大きくなかったが、雪崩の実質部よりもはっきりと先行しており、その速度は雪崩前面の速度にほぼ等しかった。本研究では、また雪崩の内部構造と運動メカニズムを調べるために、大型低温実験室における氷球を用いたシュ-ト実験が実施された。多数の氷球(平均粒径2.9mm)がシュ-ト(長さ5.4m、幅8cm)を流下する様子が高速ビデオで撮影され、速度と密度が求められた。シュ-トの角度は30度から40度、実験温度は0℃からー30℃の範囲で変えられた。得られた氷粒子速度と密度の鉛直分布からは、流れの最下部に低密度層が見出され、この層が生成する理由は粒子間衝突の結果と結論された。