著者
村上 優 杠 岳文 比江島 誠人 遠藤 光一 西村 直之
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.206-211, 2000-05-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
9

薬物依存の専門医療機関の必要性は国の政策医療として取り上げられるところであるが, 現在では国立に専門病棟が1ヵ所で, アルコールとの併用を入れると国立には2ヵ所, 公立で3ヵ所, 民間を入れても10ヵ所にも満たないのが実情である. 医療的には薬物依存もアルコール依存の治療システムの延長線上に位置していると考えられるにもかかわらず, これまでその特殊性が強調される傾向にあった. 肥前療養所においてアルコール依存の治療システムに追加する形で薬物依存の治療を検討し, 薬物依存リハビリテーションプログラムDRPをアルコール病棟に併設した. そうすれば薬物依存への専門治療を担いうる施設は飛躍的に増加することが期待できるからである. この際に薬物依存治療における思春期心性への配慮と, 処罰モデルから治療モデルへの移行(ダイバージョン), 自助グループの重要性を強調した.
著者
西村 直記
出版者
日本福祉大学スポーツ科学部
雑誌
日本福祉大学スポーツ科学論集 = The Journal of Sport Sciences, Nihon Fukushi University (ISSN:24338117)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.5-10, 2018-03-30

To examine the effects of bathing in artificial carbon dioxide-rich water (CO2) on recovery from fatigue as an index of sleep depth and heart rate variability, six healthy men were immersed in a CO2 (1000 ppm) bath at a water temperature of 39°C up to the shoulder for 10 min. As a control, each subject bathed in freshwater (FR) under the same conditions. After bathing, each subject slept 7 hours in a climatic chamber set at an ambient temperature of 26°C and relative humidity of 50%. After CO2 bathing, the rectal temperature declinedmore rapidly than after FR bathing, especially in the early stages of sleep. The high frequency (HF) component of heart rate variability as an index of parasympathetic nervous activity during sleep was higher after CO2 bathing than after FR bathing. Sleep latency after CO2 bathing tended to be faster than after FR bathing, and the subjective interrupted sleep time was also reduced following CO2 bathing. Furthermore, the subjective evaluation of sleep quality was higher after CO2 bathing. These results suggest that CO2 bathing induces greater fatigue recovery effects than FR bathing.
著者
西村 直道 井上 亮
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

腸内細菌による大腸発酵で生成した水素は疾病発症に関わる酸化ストレスを軽減する。本研究では、大腸で高水素生成を可能にする難消化性糖質の化学特性および腸内細菌叢を解明し、高水素生成が生体内レドックスバランスに与える影響を調べた。その結果、グルコース以外の構成糖からなる重合度の低い難消化性糖質で水素生成が高まることが判明した。また、水素を高める腸内細菌叢が存在し、これを移植すると水素生成が一層亢進することがわかった。また、水素生成を高めれば、α-トコフェロールの再生を促進することで生体の酸化ストレスを軽減することがわかった。
著者
西村 直也 柳 宇 鍵 直樹 池田 耕一 吉野 博 斉藤 秀樹 斉藤 敬子 鎌倉 良太 小畑 美知夫
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.175, pp.1-8, 2011-10-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
10
被引用文献数
2

本研究は医療施設における室内空気環境の維持管理のあり方について検討することを目的とする。第1報では調査の詳細および冬期、夏期における計18件の病院の外来待合室、事務室および病室に対する建築物衛生法の測定方法に準じた空気質の実測調査結果を示した。また第2報では浮遊微生物濃度の実態を明らかにした。第1、2報では建築物衛生法の環境基準値およびHEAS指針値を超過する室が多く見られ、適切に運用するためには、空気環境について定期的に監視することが有効であるという見解が得られた。本報では、温熱環境、空気質について連続測定や定量分析を行うことによって、より詳細に実態の解析を行った。その結果、室によっては温熱環境の日中変動が大きいこと、室内の浮遊粉じん濃度が外気の濃度に大きく影響を受けていること、VOC類の濃度は概ね低く抑えられているものの、DEGEEやカンファーなどが特徴的に検出されることなどを確認した。
著者
野村 知子 天野(吉田) 恭子 中島 幸範 高妻 和哉 須摩 茜 樋口 和彦 杉山 義宣 西村 直記
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.89-99, 2019-10-01 (Released:2019-10-24)
参考文献数
39

クロロゲン酸はコーヒー豆に多く含まれ,血管機能改善作用を有することが知られている.本研究では,クロロゲン酸飲料の単回摂取が冷水負荷後の末梢部皮膚温および皮膚血流に及ぼす効果について検討した.健常女性24名を被験者とし,クロロゲン酸飲料(クロロゲン酸270mg含有)あるいはプラセボ飲料を用いたランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験を実施した.試験飲料摂取50分後に水温15℃の水浴に1分間両手を手関節部まで浸漬する冷水負荷試験を実施した際の指先の皮膚温と皮膚血流の変化を観察した.試験完遂者は21名であった.クロロゲン酸飲料摂取時の冷水負荷後の皮膚温の回復はプラセボ飲料摂取時と比較して有意に高く,同様に皮膚血流の回復もクロロゲン酸飲料摂取時に有意に高かった.以上の結果より,クロロゲン酸飲料摂取は冷水負荷により低下した皮膚温および皮膚血流の回復を早める効果があることが示唆された.
著者
西村 直行 高岡 直子 馬場 洋一 林田 瑞穗 伊藤 武
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.741-748, 2012-11-20 (Released:2014-10-06)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

混合糞便検体からの直接PCR で食中毒3 菌種(ベロ毒素産生菌,サルモネラ属菌,赤痢菌)の同時検出を試みた.蒸留水で約2.5%の濃度に調製した検便懸濁液を95℃5 分間熱処理した後の遠心上清5μLを45μL のPCR master mixture に添加してPCR を実施し,MCA(Melting Curve Analysis)で検出した.その結果,50 混合糞便検体に混入させた1 つの食中毒菌陽性糞便を個別培養法と同等の検出感度で検出することができた.本方法は大量の糞便検体から迅速,確実,さらに感度良く腸管系病原菌検出が行える方法であるので,食品取り扱い従事者からの検便検査など一度に大量の検体を処理しなければならない検査においては極めて有用な方法と考えられた.
著者
田中 沙耶 江崎 芳子 谷藤 香菜江 藤本 真衣 波田 善夫 西村 直樹 松尾 太郎 小林 秀司
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;近年,ニホンジカ <i>Cervus nippon</i>(以下,シカとする )の個体数が全国的に増加しつつある.これに伴い,各地で農林業被害や自動車・鉄道との衝突事故が増加し,自然植生への影響も危惧されている.対策として,これまでは個体の直接駆除や防止柵などによる排除が行われてきた.しかし,猟友会や農山村の高齢化などの問題から,十分な個体数の駆除ができているとは言えない.また,防止柵についても,設置費や維持費がかかること,人の移動まで阻害することなど,さまざまな問題が生じている.そこで岡山理科大学動物系統分類学・自然史研究室では,シカが心理的な圧迫を受けることで,シカ自らが忌避するような移動阻害構造体 (以下,構造体と表記 )の開発を一昨年から試みている.<br>&nbsp;今回は,岡山理科大学内で飼育しているメスの成獣個体2頭を用いて,シカが構造体上を通過する際に,どのような行動がみられるのかを観察した.試験個体は 2011年に岡山県美作市の山中で捕獲されたもので,野生状態での実験結果に近づけるため,山の中で隔離して飼っている.過去のデータより,構造体上で,静止・構造体に鼻先を近づける・檻のフェンスに鼻先を近づけるといった行動や,構造体を前に引き返す・セルフグルーミングをするなどといった行動がみられることがわかっているが,これらの行動と,構造体を設置していない場合にみられる行動を比較することにより,構造体がシカにどの程度の心理的圧迫を与えているか分析した.また,構造体設置による行動の変化の度合いが個体によって異なることや,慣れによってシカの行動が変化することが考えられる.このことより,構造体を通過する際,どのような行動変化がみられるかを,構造体設置後から継続観察することで,行動の変化も調査することにした.そしてこれらのデータを分析し,構造体はどの程度シカに心理的圧迫を与えるのか,どれほどの期間シカに効果があるのかについて評価した.
著者
朱宮 哲明 山田 千夏 和嶋 真由 伊藤 美香利 西村 直子 尾崎 隆男
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.291-294, 2016-07-31 (Released:2016-09-24)
参考文献数
6
被引用文献数
1

食物アレルギー児に給食を提供する病院では誤食防止対策が求められている。これまで当院栄養科では,アレルゲンを除去した料理(アレルゲン除去食)を専用区域において担当調理師が調理し,その料理内容を食札に明記することにより誤食防止に努めてきた。平成26年1月~12月の1年間に,当院に入院した食物アレルギー児258例にアレルゲン除去食を提供したが,アレルゲンを含有する料理の誤配膳が3件発生し,内2件で患児の誤食があった。誤配膳が発生した原因として,アレルゲン除去食とアレルゲンを含む料理が同色の食器に盛り付けられていたことが考えられた。対策として誤食防止対策を改定し,アレルゲン除去食の食器とお膳を全て黄色に統一して他の料理と明確に区別した。さらに,アレルゲン除去食専用の棚を設け,配膳前の最終確認には調理担当者2人によるダブルチェックを義務づけた。今後も誤食防止対策の改良に努めていきたい。
著者
河内 誠 尾崎 隆男 西村 直子 大岩 加奈 岩田 泰 野田 由美子 中根 一匡 舟橋 恵二
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.569-575, 2015-09-25 (Released:2015-11-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1

2012年10月~2014年3月の1年6カ月間に,激しい咳や長引く咳などにより百日咳の鑑別を要した168例を対象に,百日咳の実験室診断法を後方視的に検討した。病原体診断法として全例から後鼻腔ぬぐい液を採取し,百日咳菌分離とloop-mediated isothermal amplification(LAMP)法による百日咳菌DNA検出を行った。126例については,血清診断法としてPT-IgG抗体価を測定した(ペア血清67例,単血清59例)。実験室診断基準は,菌分離またはDNA検出または血清診断基準に該当したものとした。168例中34例(20%)が百日咳と実験室診断され,初診時年齢の中央値は0.9歳(日齢17~12.3歳)であった。DNA検出は16例(47%),菌分離は9例(26%)であり,菌分離例は全てDNA検出例であった。血清診断基準該当例は31例(91%)であり,18例(53%)が血清診断基準のみに該当した。その中の7例のワクチン未接種幼若乳児(日齢17~3カ月)では,6例がペア血清で抗体価の低下を認め,1例は幽門狭窄症による咳込み嘔吐であった。これら7例は母体の経胎盤移行抗体による血清診断基準偽該当例と考えられた。百日咳の実験室診断法として病原体診断がより確実であり,特に簡便・迅速で感度の高いLAMP法は有用と思われた。
著者
西村 直道
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.11-19, 2008 (Released:2008-12-19)
参考文献数
35
被引用文献数
2 2

高コレステロール血症を引き金とする動脈硬化症や心臓疾患が増加し,食品成分によるコレステロール代謝の正常化が重要視されている。著者は食物繊維およびタウリンによる血漿コレステロール濃度の低下機構を,それらの消化管内における作用に着目して調べた。その結果,発酵性の高い甜菜食物繊維(BF)で血漿コレステロール濃度低下作用が強く誘導されることを見出した。また,BFの作用発現に大腸の存在が必須で,大腸発酵が関与していることを明らかにした。有効な発酵産物の特定には至っていないが,発酵亢進だけでなく,糞中胆汁酸排泄の増加が同時に誘導されることが作用発現に重要であることを示唆した。タウリンの血漿コレステロール濃度低下作用には糞中胆汁酸排泄の増加が強く寄与していることを明確にした。この糞中胆汁酸排泄の増加がコレステロール7α-水酸化酵素の発現亢進ではなく,おもに回腸末端からの胆汁酸の吸収抑制に起因することを強く示唆した。以上より,血漿コレステロール濃度の低下が,食物繊維では消化管下部における発酵性に,タウリンでは回腸末端以降における胆汁酸吸収の抑制に起因することを示した。
著者
深見 沙織 中村 崇仁 柳田 勝康 山田 慎悟 重村 隼人 伊藤 美香利 岩田 弘幸 朱宮 哲明 西村 直子 尾崎 隆男
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.96-103, 2011-07-30
参考文献数
12

近年わが国では,食生活の変化に伴い子どもにおける肥満や生活習慣病の増加が起こっている。その解決策として,食育が必要と考えられている。この度われわれは,入院中の子どもとその保護者を対象に,食事を提供する医療従事者の立場で次のような食育の取り組みを開始した。栄養バランスが良く,子どもたちが好き嫌いなく食べられるように工夫した「お子様ランチ」という新メニューを創った。古来の季節行事の日の「お子様ランチ」には,わが国の季節に応じた食文化の紹介文を添えた。保護者に対して,食育の意義,献立に使用した食品の栄養素の解説,レシピ等を記載したパンフレットを週1回定期的に配布した。<br> また,この取り組みを評価するため,保護者に対し毎週1回アンケート調査を行なった。開始後3か月間のアンケート結果 (n=215,回収率87%) では,「お子様ランチ」の献立内容,盛付け,子どもの反応,パンフレットの内容の4項目全てで,「よい」という回答が過半数を占めた。食育に興味があるとの回答は93%であり,保護者の食育に対する関心は高かった。一方,子どもが好む食材のみを使用する傾向,外食が多い傾向等,食育上の問題点が見出された。<br> 入院期間中という短期間の取り組みであるが,保護者に子どもの食育を考える機会を提供できたと考える。今後もこの取り組みを継続し,子どもたちの食育に生かしていきたい。
著者
西村 直樹 樋口 正信
出版者
日本蘚苔類学会
雑誌
日本蘚苔類学会会報 (ISSN:02850869)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.98-99, 1994-08-25

最近,私達は"パキスタンの蘚類のチェックリスト"を発表したが,その時,北西ヒマラヤからの16種の頂生性蘚類の新種を扱ったDixon(1942)の論文を参照することができなかった.この度,英国のD.G.Long氏の好意により,その論文を見ることができ,ホウオウゴケ属の1種(Fissidens brevidorsus)とセンボンゴケ科の1種(Rhamphidium laticuspe)がパキスタン産蘚類のチェックリストに加わることが分かった.また,英国のC.C,Townsend氏はパキスタンで採集した標本に基づき,40種の蘚類を,最近報告した.その報告を検討したところ,新たに8種がパキスタン産蘚類のチェックリストに加わることが分かった.この結果,パキスタンの蘚類相は32科,122属,334種になった.
著者
朱宮 哲明 国政 陽子 菱川 千鶴 大場 陽子 澤田 智恵美 林 幸子 西村 直子 尾崎 隆男
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.80-82, 2004
被引用文献数
2

平成14年4月~平成15年3月の1年間に, 昭和病院の栄養科職員35名より提出された事故報告書 (インシデント・アクシデントレポート) 158件を集計分析し, 今後の事故防止に向けて検討した。<BR>項目別の事故報告書件数は, 事務処理ミスが90件 (57%) と最も多く, 次いで配膳ミス56件 (35%), 異物混入8件 (5%), その他4件 (3%) の順であった。事故の大半が確認不足により発生しており, 反復確認, 複数の職員による確認など確認の徹底が事故を減少させると思われた。事故報告書の内容および原因を職員にフィードバックすると共に, それらを分析して, 新たな事故防止マニュルを作成してゆく必要がある。
著者
吉川 仁 西村 直志
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第55回理論応用力学講演会 講演論文集
巻号頁・発行日
pp.221, 2006 (Released:2006-03-25)

レーザ超音波試験において、超音波の励起に用いられるパルスレーザの特性を明らかにする。パルスレーザにより励起される弾性波動場を、熱弾性方程式に支配される初期値境界値問題を解き求める。アルミニウム供試体の表面における法線方向の粒子速度を数値的に求め、数値解とレーザ干渉計により計測された実験値を比較し、供試体に吸収された熱エネルギー量とパルスレーザの強度分布を決定する。また、境界積分方程式法による数値解析を行い、クラック等の散乱体が存在する領域における、パルスレーザにより励起される弾性波動場を数値的に表現できる事を示す。
著者
吉川 仁 川田 朋和 西村 直志
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第56回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.279, 2007 (Released:2007-07-18)

レーザ超音波非破壊試験において、対象物の表面で計測される速度波形データ を用いて表面クラックを決定する。はじめに、パルスレーザにより対象物内部 に励起された弾性波動場を計測波形データから復元する。次に、復元されたレー ザ励起弾性波動場を表面クラックへの入射波とし、表面クラックによる散乱波 動場を時間域境界積分方程式法を用いて数値的に求める。表面クラック近くの 対象物表面にてレーザ計測された速度波形データと対応する数値解との比較を行い、 表面クラックの位置やサイズを決定する。本報では、提案手法により表面クラッ クの位置、サイズが、高い精度で決定できる事を示す。
著者
横山 勇人 山口 富美夫 西村 直樹 古木 達郎 秋山 弘之
出版者
日本蘚苔類学会
雑誌
蘚苔類研究 (ISSN:13430254)
巻号頁・発行日
vol.9, no.6, pp.159-197, 2007-10
被引用文献数
1

2007年6月までに学術印刷物や蘚苔類標本集によって屋久島から報告されたすべての蘚苔類,ならびに著者らによる調査で屋久島での生育を新たに確認した蘚苔類についてまとめ目録とした.その結果,蘚類44科160属355種1亜種18変種2品種,苔類37科87属304種2亜種2変種,ツノゴケ類1科5属6種がこれまでに知られていることになる.この数字には屋久島からの報告が疑われる13種は含まれていない.また屋久島で採集された標本に基づいて新分類群として記載発表されたものについては,現在の取り扱いついての情報を別記した.この報告で新たに屋久島から報告する種については,種名の頭に星印(*)を付加し,証拠標本を列挙した.なお多数の証拠標本がある場合は,主要なもののみを記載した.
著者
岩田 泰 中根 一匡 河内 誠 野田 由美子 舟橋 恵二 後藤 研誠 西村 直子 尾崎 隆男
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.617-621, 2015-09-25 (Released:2015-11-10)
参考文献数
17

Mycoplasma pneumoniae(Mp)は小児肺炎の重要な起因病原体である。われわれは,肺炎患者からloop-mediated isothermal amplification(LAMP)法を用いたMp DNA検出検査を実施しており,今回,最近5年間の成績を報告する。2009年4月~2014年3月に,肺炎の診断で当院に入院した小児2,215例から咽頭ぬぐい液を採取し,LAMP法によりMp DNAの検出を行った。2,215例中712例(32%)がMp DNA陽性であった。年齢は1ヶ月~15歳6ヶ月で中央値年齢が7歳2ヶ月であった。年度別のMp DNA検出例数は2009年37例,2010年161例,2011年308例,2012年147例,2013年59例であった。2011年に全国的なMp肺炎の流行があり,当院においても,2011年の9月に最も多い月間発生数をみた。検出例数の暦月別検討にて,春に少なく夏から初冬にかけて多いという季節集積性を認めた。712例全例でペア血清の抗体価を測定し,559例(79%)に抗体陽転または4倍以上の抗体価上昇を認めた。LAMP法によるMp DNA検出は簡便・迅速で感度が高く,小児Mp肺炎の有用な検査室診断法と考えられた。
著者
西村 直子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ヴェーダ祭式は一般に,祭主が自らの願望成就を目的とし,祭官に挙行を依頼するという形式を取る。祭官は祭式によって祭主と神々とを仲介し,祭主は祭官に報酬を払う。ヴェーダ文献には,祭官と祭主との関係を巡る議論が数多く現れる。しかし,祭主の実態については殆ど解明されておらず,王族による祭主としての祭式への参与が,元来は制限されて部分的にしか認められていなかったことも,殆ど知られていない。社会や生活の変化に伴い,「祭主」のあり方も変化する。本研究では,ヴェーダ文献における「祭主の章」の翻訳と注解を通じ,当時の祭式や思想の内実と社会の変動とを解明するための,1つの確実な資料を提示することを目指した。