著者
前田 憲多郎 岩井 克成 小林 洋介 辻 裕丈 吉田 誠克 小林 靖
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.198-201, 2018 (Released:2018-03-28)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例は受診時51歳女性.6年前より頸部の重みを自覚.1年前から頸部伸展障害が増悪し,歩行障害が加わった.首下がりを主訴に当院を受診した.頸部伸展筋力低下,構音・嚥下障害,頻尿・便秘を認め,両側バビンスキー徴候陽性であった.歩行は小刻みかつ痙性様であった.頭頸部MRIで延髄・脊髄の萎縮を認めた.遺伝子検査でGFAPに本邦ではこれまで報告のない変異p.Leu123Pro(c.368T>C)を認め延髄・脊髄優位型アレキサンダー病(Alexander disease; AxD)(2型)と診断した.首下がりを呈する(AxD)の報告は散見されるものの,本例は首下がりを初発症状とした点が特徴であり,その機序に対する考察を加えて報告する.
著者
北惠 詩穂里 辻野 精一 土岐 明子 山中 緑 野口 和子 渡邉 学
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.266-270, 2014 (Released:2014-07-25)
参考文献数
10

要旨:症例は51 歳男性.左橋背部の出血により,左末梢性顔面神経麻痺,眼球運動障害,右片麻痺および顔面を含む右半身の重度の感覚障害を呈していた.第8 病日より中枢性疼痛を伴う余剰幻肢の自覚症状が出現し,ガバペンチンの投与を行ったが,発症後1 年を経過した時点でも症状の残存がみられた.脳血管障害における余剰幻肢は,右半球障害での報告が多く,機序として深部感覚障害や病態失認および半側空間無視の関与が考えられている.余剰幻肢を呈する橋出血では,画像上橋背部の障害が報告されており,深部感覚障害との強い関連が考えられた.余剰幻肢に中枢性疼痛を伴った点からも,感覚野への求心路であるspino-thalamo-cortical tracts の関与が考えられた.一方,病態失認や半側空間無視を伴っていることは少なく,また幻肢の随意性や人格を有することも少ない点が,大脳半球障害に基づく余剰幻肢との相違点であると考えられた.
著者
藤村 正人 大森 啓太郎 増田 健一 辻本 元 阪口 雅弘
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.1069-1070, 2002-10
参考文献数
11
被引用文献数
1 21

スギ(Cryptomeria japonica)花粉症の犬が新鮮なトマトを摂取した後,口腔アレルギー症候群(OAS)を発症した.この犬は血清特異的IgE検査でスギ花粉とトマト抗原の両方に陽性を示した.また,スギ花粉とトマト抗原の間でIgE交差反応が認められた.本研究においてトマトのOASが犬に存在して,スギ花粉とトマト抗原との間に関係があることが分かった.
著者
岡野原 大輔 辻井 潤一
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.90(2008-NL-187), pp.59-64, 2008-09-17

本稿では,全ての部分文字列が素性として利用される文書分類モデル,及びその効率的な学習,推定手法を提案する.文書分類に有効な部分文字列は,単語と異なる場合や,署名やテンプレートなど,非常に長くなる場合が少なくない.しかし,部分文字列の種類数は文書長の二乗に比例するため,それらを素性として直接用いて学習することは,計算量的に困難だった.本稿では,テキスト長に比例する個数のみ存在する極大部分文字列に関する統計量を扱うことで,有効な部分文字列を漏れなく求めることができることを示す.また,拡張接尾辞配列を用いることで,これらを効率的に列挙可能であり,全文書長に比例した時間で学習可能であることを示す.さらに L1 正則化を適用することで,コンパクトな学習結果が得られ,高速な推定が可能であることを示す.このモデルは,形態素解析結果や TF/IDF などの統計量と組み合わせられることを示し,従来の単語ベースの Bag of Words 表現と比較し,精度が向上することを示す.

1 0 0 0 OA 故国の妻へ

著者
和辻哲郎 著
出版者
和辻照写
巻号頁・発行日
vol.[3], 1961
著者
大岡 由佳 辻丸 秀策 大西 良 福山 裕夫 矢島 潤平 前田 正治
出版者
久留米大学
雑誌
久留米大学文学部紀要. 社会福祉学科編 (ISSN:13455842)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.85-95, 2006-03

10年前の阪神淡路大震災を契機に,本邦においても消防隊員の惨事ストレスによるメンタルヘルスの悪化が論じられるようになってきた.実際,自然災害や火事などが頻発する中で,消防隊員の活躍は目覚ましいものがあるが,一方で,消防隊員の責任や負担は増大しており一般成人と比較して特異なストレス状況下にある.それにも関わらず,本邦では,消防隊員のメンタルヘルスに焦点を当てるようになったのは近年のことであり,消防隊員の全体像を把握し,対策を講じていくには確固とした調査報告が示されていない現状にある.本論文では,消防隊員のメンタルヘルスの全体像を把揺すべく,惨事ストレスを中心に調査を実施した.対象は,A市481名の現役消防隊員で,回答してもらった質問紙に関しては,多角的に統計処理し結果検討を加えた.その結果,消防隊員は,多くの者が職務に従事する中でストレスを感じており,35%の心身の不調と,12.2%のPTSD症状を呈する者が見受けられた.消防隊員の8割が精神的ケアを必要と考えていることからも,消防局はその地域に根ざした惨事ストレス対策を講じていく必要があることが明らかとなった.
著者
山口 圭三 辻本 広紀 平木 修一 高畑 りさ 小野 聡 山本 順司 長谷 和生
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.823-826, 2014-05-31 (Released:2014-12-19)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例は69歳,男性。持続する腹痛,嘔気を主訴に近医を受診し,腸閉塞の診断で当院に搬送された。既往歴として15年前に直腸癌に対して骨盤内臓全摘術,回腸導管造設,6年前に食道癌に対して開胸・開腹食道切除術を受けた。入院時,腹部は平坦・軟で腹膜刺激症状を認めず,血液ガス分析ではpH 7.175,Base Excess -17.9mmol/L,Cl 114mEq/Lと高クロール性代謝性アシドーシスを認めた。Anion gapは12.6mEq/Lと正常であった。腹部造影CT検査では血流障害は否定的であり,イレウス管挿入と輸液による保存的治療を行った。翌日には腹部症状が軽快し,4病日にイレウス管抜去,5病日に経口摂取を開始し,代謝性アシドーシスも改善したため11病日に退院となった。回腸導管術後には腸管虚血に起因しない代謝性アシドーシスを呈する場合があり,注意を要する。
著者
辻本 桜子
出版者
龍谷大学
雑誌
國文學論叢 (ISSN:02887770)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.A97-A111, 2007-02
著者
辻田 賢一 ツジタ ケンイチ Tsujita Kenichi
出版者
熊本大学
巻号頁・発行日
2007-03-27

Early coronary reperfusion limits myocardial damage and improves survival after acute myocardial infarction (AMI). However, growing evidence indicates that this lifesaving therapeutic approach can cause damage to the previously ischemic myocardium,known as post-ischemic myocardial reperfusion injury. There is now increasing evidence that reactive oxygen species cause reperfusion injury. On the other hand, Edaravone (3-methyl-1-phenyl-2-pyrazolin-5-one), a novel free radical scavenger, has been shown to inhibit lipid peroxidation and endothelial cell injury. We examined the effects of edaravone in patients AMI.
著者
辻 洋 櫻井 彰人 吉田 健一 アムリットティワナ アッシュレーブッシュ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.823-831, 2007-02-15
参考文献数
16
被引用文献数
8

ソフトウェアの開発量が増加し,コスト削減が求められる中,海外企業に開発委託するケースが増大している.多くのプロジェクト・マネージャがこのオフショア開発を経験しているにもかかわらず,個人が得た経験は暗黙知として残ったままである.本研究では,産業界の175 人の技術者が持つ海外開発委託のリスクに関する暗黙知を表出化するとともに,新たなプロジェクトを海外開発委託するときに適否を事前評価できるようにコンジョイント分析を行った.個々のオフショア開発プロジェクトを4 属性からなるソフトウェア特性,5 属性からなる委託先特性,5 属性からなるプロジェクト特性で表現し,それらの属性の組合せで表現される仮想的な26 件のプロジェクトに関する評価から,次の知見を得た: 1ソフトウェア特性について要求定義の変更の有無を重視している,2 委託先特性についてコミュニケーション能力を重視している, 3プロジェクト特性としてコスト削減効果を最も求めている.本論では,ソフトウェア種別による差異,発注先の国による差異,回答者の経歴による差異などについて得られた知見についても述べている.As the volume of software development increases and the cost reduction is required, most IT companies are interested in offshore software development: outsourcing to developing countries. Although a lot of software engineers have experienced success and failure of offshore software development, their know-how still remains as tacit knowledge. To externalize sharable knowledge from the tacit knowledge and to assess risk of future developments, this paper discusses the conjoint analysis on votes for project preference. Describing twenty six virtual projects which are featured by four attributes for software, five attributes for vendor and five attributes for project, we asked 175 engineers to evaluate those projects and had the findings such as 1) requirement volatility is the most important factor in software attributes, 2) communication skill is indispensable for vendors, 3) relative cost advantage is the most attractive factor for offshore software development. This paper also presents findings driven by the differences among software type, vendor countries, and engineers' career and experience.
著者
仲川 勇二 施 學昌 阿辻 茂夫 木村 作郎 仲川 希
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.17-22, 2010
参考文献数
11

本論文で,二目的多制約非線形ナップザック問題(変数分離形離散最適化問題)に対して意思決定者が希望する領域の有効解(パレート最適解,非劣解,または非優越解とも呼ばれる)を"厳密"に列挙する解法を提案する.ここで言う"厳密"とは,1)有効解であることが厳密に保証されていることと,2)隣り合う有効解の間に厳密な意味で欠けがないことの二重の意味である.1)に関しては仲川・疋田の定理を用いることで,2)に関しては2個の有効解によって形成される長方形(有効矩形)(Visee等の拡張)を含む領域内のすべての実行可能解を列挙することで有効解を欠けることなく"厳密"に列挙可能である.本解法の効率性を確かめるために二目的0-1ナップザックテスト問題を用い,実用規模の問題が実用的な時間で解けることを報告する.
著者
宮内 翔子 諸岡 健一 辻 徳生 宮城 靖 福田 孝一 倉爪 亮
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.410, pp.143-148, 2014-01-26

本研究では,幾何特徴量を保存しつつ,生体組織の三次元表面メッシュモデルを目標曲面へ写像する方法を提案する.この写像は,自己組織化可変モデル(Self-organizing Deformable Model: SDM)の変形法に基づいており,組織表面上の特徴点を,目標曲面上の特定の位置へ移動させることが可能である.これまで,脳表モデルを対象とし,写像前後でモデルの三角パッチの面積比を保存する等面積写像法を構築した.本発表では,我々の写像法を拡張し,パッチの角度を保存する等角写像法を提案する.これにより,等面積か等角,あるいはこれら両方を保存しつつ,モデルを目標曲面上へ写像することが可能となる.両方の性質を保存することにより,任意の頂点間の相対位置関係が保存できる.脳表以外の組織モデル,特に球面へ歪みなく写像することが難しい組織に対しても,本手法は,各組織の形状特徴に適した目標曲面へ写像できる.また,この写像結果を用いることで,頂点数の異なる複数の同一組織モデルを,同じ頂点数と位相構造を持ち,かつ元モデルより均一なメッシュで再構築することができる.特徴点の位置を制御しつつ,元モデルを歪みの少ないメッシュ構造で再構築できていることを,複数の実験を行い検証した.
著者
辻本 三郎
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 = The Journal of Japan Society for Clinical Anesthesia (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.359-373, 2008-04-28
参考文献数
16
被引用文献数
4 4

&nbsp; Difficult airway management (DAM) についての知識と技術を習得することは, 気道管理のエキスパートである麻酔科医の使命である. ASAの 「Difficult Airway患者の管理のための実践ガイドライン」 はDAMの系統的な戦略を示したもので, DAMを実践するための指針となっている. このASAガイドラインとDifficult Airway Society (DAS) のDifficult Airway Society guidelines for management of the unanticipated difficult intubationをもとに, 麻酔導入時の気道管理, 特に成人患者の麻酔導入時の気道管理戦略について解説した. 日本で開発されたエアウェイスコープ<sup>&reg;</sup> (AWS) をはじめ, CCDカメラ搭載の喉頭鏡が気道管理に新たな展開をもたらしてきている. このAWSを含めて種々の気道管理器具を紹介するとともに, 代表的な気道管理方法についても概説した.