著者
林田 草太 岡 孝和 兒玉 直樹 橋本 朋子 辻 貞俊
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.907-913, 2006
参考文献数
10

症例は35歳,女性.全身に紅斑・膨疹とかゆみが出現・消褪を繰り返すようになり,近医で蕁麻疹と診断されさまざまな抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬を処方されたが,症状は不変で,心因の関与が疑われ当科入院となった.負荷試験として鏡映描写試験と暗算負荷試験を行ったところ,試験直後より紅斑・膨疹を伴ったかゆみが出現し約2時間持続.このとき血漿ヒスタミン値は上昇した.職場や姑の話をした直後にも同様の蕁麻疹が生じた.支持的精神療法に加え,心身相関の気づきを促すためにかゆみの程度を記録,自律訓練法の指導,パモ酸ヒドロキシジンの内服により,増悪・寛解因子を理解し,症状が出現しない工夫ができるようになり,その結果蕁麻疹は改善し,鏡映描写試験後の血漿ヒスタミン値の上昇も軽度となった.慢性蕁麻疹のうち心理的要因により難治化しているものに対しては,心身医学的アプローチが有効であると考えられる.
著者
辻 庸介 東 昌樹
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1949, pp.64-67, 2018-07-09

家計簿アプリや法人向けサービスを展開するフィンテックベンチャーのパイオニア。リスクなきところにイノベーションは生まれないと、失敗を乗り越え現在の会社を立ち上げた。日本発のフィンテック企業として世界展開も視野に入れる。
著者
辻 庸介
出版者
日経BP社 ; 1992-
雑誌
日経情報ストラテジー = Nikkei information strategy (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.24, no.11, pp.8-12, 2015-12

スマホの家計簿アプリで250万ユーザーを獲得、企業向け会計クラウドも急伸。金融とITを合わせた「FinTech」の主力プレーヤーとして注目を浴び、金融機関との提携も相次ぐ。ネット証券から転じ、創業時の挫折をばねにビジネスモデルを転換。
著者
宇野 宏司 高田 知紀 辻本 剛三 柿木 哲哉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_1609-I_1614, 2016 (Released:2016-11-15)
参考文献数
15
被引用文献数
3

太平洋に直面する徳島・高知沿岸では,繰り返される南海トラフ地震によって,大きな津波被害を受けてきた.同沿岸域では,2011年の東北地方太平洋沖地震で津波被害の大きかった三陸地方沿岸と同じリアス式海岸となっている区間も多く見られる.一方,東日本大震災では多くの神社が津波からの被災を免れたことが知られている.古い歴史を有する神社は地域とともに歩んできた重要な公共空間であり,現在の分布は,過去の大災害等によって淘汰された結果を示しているとも考えられる.こうした社会背景を踏まえ,本研究では徳島・高知沿岸神社の空間分布と南海トラフ地震の津波被災リスクについて検証した.
著者
湯本 健司 辻 邦和 二藤 彰 野田 政樹
出版者
日本炎症・再生医学会
雑誌
炎症・再生 (ISSN:13468022)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.237-239, 2003 (Released:2006-12-01)
参考文献数
19

We review here regarding the observations that expression of osteopontin (OPN) was enhanced in the joints of rheumatoid arthritis patients. OPN in arthritic joints had not been clear previously. We published in 2002 that joint destruction in the arthritis model induced by a mixture of anti-type II collagen monoclonal antibodies and LPS (mAbs/LPS) injection was suppressed in the OPN-deficient mice. OPN is a phosphorylated glycoprotein interacts with integrins and CD44, promote the cell attachment and migration. OPN is highly expressed in bone, kidney and ovary and also produced by osteoclasts, endotherial cells, activated T cells and macrophages. One of the functions of OPN in the inflammatory condition is to bring inflammatory cells to the sites of injury and OPN is also a survival factor for the endotherial cells and enhances angiogenesis by promoting the vascular tube formation. Infiltration of inflammatory cells and angiogenesis in synovium in the arthritis model was suppressed in OPN-deficient mice. Additionally, apoptosis of chondrocytes in articular cartilage was reduced and destruction of articular cartilage was suppressed in the arthritis model in OPN-deficient mice. These data suggested that OPN might be a new target for the treatment of rheumatoid arthritis.
著者
辻 禎之 関谷 直也
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.439-444, 2006-12-15 (Released:2016-11-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1

2006 年8 月11 日フィリピンのタンカー沈没事故では,重油の大量流出によりギマラス島周辺の広い範囲が汚染され,自然環境への被害のほか,漁業や養殖にも重大な被害をもたらした.日本国内においても海上での重油や毒劇物等による汚染事故が度々発生している.近年では,日本に接近する台風および上陸する台風の数が以前よりも増加しており,台風による船舶の座礁や漏洩事故も度々発生している. 自然災害の分野では,地震や河川氾濫等では直接被害より間接被害が大きい場合が多く,間接的な経済的被害の評価への注目が高まっており,調査研究が進められている.国内の風評被害への補償事例としては,ナホトカ号重油流出事故で風評被害による海産物への補償が行われており,JCO 臨界事故では風評被害による海産物や農産物への補償が行われている.国内における海産物のブランド化(価値向上)や間接被害への関心の高まり,途上国における権利意識の向上等によっては,海上汚染事故による風評被害が,補償問題を含めて現在よりもより重大な問題となる可能性もある. このような背景を受けて,本稿では,海上汚染事故に伴う風評被害を中心として,風評被害による経済的損失の評価モデルや被害の低減について考察する.
著者
岡花 和樹 村上 元良 細辻 浩介 堀 優作 森 真樹 竹中 章勝
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
日本デジタル教科書学会発表予稿集 日本デジタル教科書学会第7回年次大会 (ISSN:24326127)
巻号頁・発行日
pp.29-30, 2018 (Released:2018-10-03)
参考文献数
2

平成 32 年度より施行される次期小学校学習指導要領解説総則には,「児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付ける ための学習活動」として,第5学年 B 図形の(1)における正多角形の作図が例示されている。本 研究では例示内容の他に,児童が継続してプログラミングを通して学習ができ,教科単元の学習 活動を深める学びにつながる授業開発を行なった。小学校 5 年生 B 図形(1)平面図形の性質の中 の合同な図形に注目し,合同な図形を描く際に分度器を用いて角の大きさを測定するアナログ的 操作をとり入れ,どの合同条件に対応するのか,必要な角の大きさや辺の長さは何かを考えなが ら,プログラミング環境 Scratch を用い,作図過程をプログラミングすることによって提示され た課題と同様の手順で図形を描いていくプログラム開発と授業開発を行い授業実践した。本発表 では従来のアナログ的な学びを活かしながら,新たにプログラミング的思考を育成する授業づく りを行うことで,数学的な見方考え方と情報的見方考え方を育成することでプログラミング的思 考の育成を同時に行える授業の提案をしたい。
著者
辻 治雄 日下 譲
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.17, no.7, pp.864-870, 1968-07-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
9
被引用文献数
3 3

14MeV中性子放射化法による花こう岩,粘土およびセメント試料中のケイ素およびアルミニウムの迅速非破壊分析を試みた.T-d反応により得られる速中性子により,3グラム量の試料を3分間照射後,ケイ素は28Alの,そしてアルミニウムは27Mgの光電ピークをシングルチャンネル波高分析器またはマルチチャンネル波高分析器で測定した.試料と同時に中性子照射した中性子モニター(石英ガラス)の放射能強度により,中性子束による測定値の変動を補正したのち,検量線法により定量を行なった.また共存元素,特にアルミニウムの定量を妨害する鉄の影響の除去法についても検討した.本法により,ケイ酸塩試料中のケイ素を約10分以内,そしてアルミニウムを約30分以内に定量することができ,その定量誤差は,ケイ素は約2%,アルミニウムは約4%であった.
著者
辻井 雅也
出版者
金原出版
雑誌
整形・災害外科 (ISSN:03874095)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.655-663, 2018-04-30

要旨:舟状大菱形・小菱形骨間関節(scaphotapeziotrapezoidal joint,以下STT関節)の関節症は,手関節の変形性関節症では頻度の高い疾患であるが,有症状性のものは少なく,報告も少ないために治療に一定の見解はない。その中で本邦においては関節固定術が一般的に用いられている方法と思われるが,固定術では手技が困難な上に手関節の可動域制限が必発である。また海外では母指CM関節症の治療に用いられる大菱形骨切除に第1中手骨基部を安定化させる関節形成術が好んで用いられている。しかし靱帯形成術にも多くの合併症が報告されており,またSTT関節症に対する有用性を示した研究は少ない。そこでより簡便で安全な方法に舟状骨遠位部切除術があり,良好な除痛効果,筋力の回復だけでなく,可動域の改善も示されている。われわれは鏡視下に舟状骨遠位部切除を行っており,その手術方法や術後成績についても述べた。
著者
斉田 芳久 榎本 俊行 長尾 二郎 高林 一浩 長尾 さやか 大辻 絢子 渡邊 良平 中村 陽一 高橋 亜紗子 草地 信也
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.317-323, 2014 (Released:2014-04-30)
参考文献数
10

前向きにリン酸ナトリウム錠(新NaP錠)の受容性と洗浄効果の検証を行った.対象と方法:2011年1月から2012年12月の期間で心腎機能異常がない外来大腸内視鏡を施行患者418名を対象とし,患者受容性はアンケートで洗浄効果は内視鏡術者の観察スコアで調査した.結果:新NaP錠の前処置は,添加物変更前のNaP錠(旧NaP錠)と同様に,嘔気・腹痛も少なく,高い受容性が認められた.ポリエチレングリコール含有電解質溶液(PEG)を前処置剤として服用した経験のある患者での次回の服薬希望において,新NaP錠の希望者は63.9%と,PEGの13.4%を大きく上回った.製剤残渣は旧NaP錠と比較して残存率には減少傾向が認められた.結論:新NaP錠の受容性と洗浄効果の高さが確認され,新たな大腸内視鏡前処置剤として有用である.
著者
辻 陽
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大學法學 (ISSN:09164537)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.63-88, 2007-12

[目次]はじめに, 第1章 分析枠組み 1.従属変数 2.独立変数 (1)「革新」知事と90年代「非自民」知事 (2)官僚出身知事と政治家出身知事 3.事例選択 4.仮説, 第2章 分析 1.概観 2.各県政の模様 (1)長野県政(「革新」・官僚出身, 第1期4年) (2)畑県政(「革新」・政治家出身, 全5期20年) (3)浅野県政(90年代「非自民」・官僚出身, 第1期・第2期) (4)北川県政(90年代「非自民」・政治家出身, 第1期4年) 3.仮説の検証, おわりに本稿は, 日本公共政策学会2007年度研究大会において報告した原稿を加筆・修正したものである。
著者
川手 憲俊 吉川 裕亮 辻 誠 稲葉 俊夫 喜田 加世子 玉田 尋通 澤田 勉
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.99, pp.102, 2006

【目的】黄体形成ホルモン(LH)のレセプターは精巣や卵巣の細胞膜上に存在し、LHによるステロイドホルモン分泌の刺激を伝達する。同レセプターの遺伝子は、多くの動物種でクローニングされているが、イヌの性腺組織から完全長cDNAをクローニングした報告は見当たらない。そこで本研究では、イヌ精巣組織からLHレセプターcDNAのクローニングを行い、塩基配列を解析した。【方法】健常な成犬(グレートデンおよびポメラニアン種)の精巣からtotal RNAを抽出した。全長cDNAを5つの断片に分けて、クローニングを行った。5'側の断片1を除く4つの断片については、それぞれに上流と下流プライマーを作成して、RT-PCR法により各cDNAを増幅した。断片1については、5'RACE法を用いてクローニングを試みた。得られたPCR産物は塩基配列決定用ベクターに組み込み、塩基配列を解析した。【結果】イヌの精巣由来RNAから、LHレセプターcDNAの5'側の断片1を除く2123bpをクローニングした。今回クローニングした2123bpのLHレセプターcDNAについて、グレートデンとポメラニアンとの間に、塩基配列で99.9%、アミノ酸配列で100%の相同性がみられた。また、イヌの同レセプターcDNAの終止コドンまでの塩基配列は、ブタ、ウシおよびヒトとの間にそれぞれ91.9%、91.7%および90.3%の相同性がみられた。イヌの同レセプターのアミノ酸配列は、ブタ、ウシおよびヒトとの間にそれぞれ92.4%、92.3%および89.1%の相同性がみられた。今回増幅した断片2(レセプターの細胞外領域に相当する)において75塩基(アミノ酸にして25個)の欠失したスプライスバリアントを見い出した。【結論】イヌの精巣由来RNAから、5'側の一部を除くLHレセプターcDNA(2123bp)をクローニングできた。イヌ精巣のLHレセプターmRNAにおいて、他の動物種では報告されていない新しい種類のスプライスバリアントの存在が明らかとなった。
著者
辻 浩史 望月 昭英 保坂 愛 吉澤 利弘 玉岡 晃
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.328-332, 2008 (Released:2008-05-25)
参考文献数
12
被引用文献数
2 3

症例は62歳女性で意識障害のため入院した.入院後,意識はすみやかに改善したが,血液検査で炎症所見,髄液蛋白高値をみとめた.頭部MRI上,拡散強調画像,T2強調画像にて脳梗塞様高信号域が散在していた.抗生剤,抗ウィルス薬を投与したが炎症反応は改善せず退院した.退院後,亜急性に異常行動が出現し,しだいに活動性が低下したため,再入院した.炎症反応の増悪と,頭部MRIにて脳梗塞様高信号域の増大をみとめた.脳生検にて,intravascular lymphomatosis(IVL)と診断し,rituximab併用多剤化学療法にて寛解しえた.RituximabはIVL治療において重要な追加薬剤となる可能性がある.