著者
遠藤 智美
出版者
国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

音声知覚時において、視覚情報から得る音響要因としてフォルマント周波数に着目し、フォルマント周波数以外の音響要素を揃えた母音を用いて母音弁別課題を実施し、課題遂行時の脳波を計測した。健常成人を対象とした脳波計測の結果は、有意な波形差は認められなかったが、皮質下に電極を留置した難治性癲癇患者に対して実施した皮質内脳波計測では、音声のみの提示で音声提示から200ms以内に、左外側側頭葉後部で認められた母音ごとの差が、視覚情報と同時に提示すると認められなくなった。これは、口の形という視覚情報があることで聴覚野近傍の神経応答が変化することを示唆する。
著者
合田 憲人 大澤 清 大角 知孝 笠井 武史 小野 功 實本 英之 松岡 聡 斎藤 秀雄 遠藤 敏夫 横山 大作 田浦 健次朗 近山 隆 田中 良夫 下坂 久司 梶原広輝 廣安 知之 藤澤克樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.87, pp.49-54, 2006-07-31
被引用文献数
3

本稿では,2005年12月から2006年5月にかけて実施されたGrid Challenge in SACSIS2006において使用されたグリッド実験環境の構築・運用事例を報告する.Grid Challengeは,大学,研究所が提供する複数の計算資源からなるグリッド実験環境上で,参加者がプログラミング技術を競う大会であり,今大会では1200CPU超の計算資源からなるグリッド実験環境が運用された.本稿では,実験環境ハードウェアおよびソフトウェアの仕様を紹介するとともに,ユーザ管理,ジョブ管理,障害対応といった運用事例についても報告する.This paper presents a case study to operate the Grid testbed for the Grid Challenge in SACSIS2006. The Grid Challenge is a programming competition on a Grid testbed, which is organized by multiple computing resources installed in universities and laboratories. In the last competition, the Grid testbed with more than 1200 CPUs was operated. The paper shows hardware/software specifications of the Grid testbed, and reports experience of the operation, which includes accounting, job management, and troubleshooting.
著者
野中 俊昭 遠藤 靖典 吉川 広
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.431-440, 2004-10-15
参考文献数
17
被引用文献数
5

安全性や騒音防止の観点から,鉄道車両の滑走防止制御に対する研究は非常に重要である.しかし,ブレーキというシステムにおいて,滑走という非常に不確実性の高い現象を防止することは容易ではなく,一般的な制御方法というものは存在しないのが実情である.ところで,ファジィ推論は,不確実性の高い制御対象に対して高い有効性を発揮することが知られており,滑走に対しても,同様の効果が期待できる.そこで,本論文では,ブレーキ距離の短縮を第一目的として,鉄道車両に対するファジィ推論を用いた新たな滑走防止制御手法を提案する.本論文で提案する制御手法は,同時に計算量の低減とチューニングの容易化も図っている.また,数値シミュレーションを通して,提案する制御手法によってブレーキ距離の短縮が実現されていることを示す.
著者
關谷 武司 船木 淳子 下田 旭美 遠藤 敏郎
出版者
広島国際学院大学
雑誌
広島国際学院大学研究報告 (ISSN:13453858)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.9-21[含 英語文要旨], 2007-12

本研究は,中米ホンジュラス共和国において2003年4月より開始された「算数指導力向上プロジェクト(PROMETAM)」のインパクト評価を通して,プロジェクト開発教材を活用し研修を受講する教員の学力・指導力,教員が実施する授業の質的向上の達成度と,それらの最終ターゲットである児童の学力を調査することで,理数科教育協力の主要な活動である教材開発や教員研修がどのように児童・生徒の学力向上に貢献し得るのか検討し,今後の協力案件に資する教訓の抽出を行うことを目的とした。教員への学力テストの結果では,プロジェクト開始前の2002年に比べ終了前の2005年の方が平均点で10点以上高く,統計的にも有意差が認められた。また,研修内で行われる教員の学力・指導力向上の達成度を見るテストで,イニシャルテストの結果に比べファイナルテストでは有意に向上している。授業観察や児童のノートチェック等による定性的授業分析の結果では,PROMETAM群はNon-PROMETAM群よりも肯定的ポイントが高く,PROMETAM群では単式・複式の学級形態に関わりなく,PROMETAMが目指した「子どもに考えさせる」授業像に近づいていることが伺える。しかしながら,児童への学力テストの結果分析では,2002年と2005年それぞれの合計点の分布に極端な違いはみられない。そこで,教員と児童の関係からデータを分析するため,それぞれの教員が担当する学級児童の学力平均値の分布を検討し,追加情報を再分析した。その結果,学力の高い教員が児童に作業帳を十分に使わせるという条件下において,児童の学力が向上する可能性が示唆された。The most prevalent aim of international cooperation within the field of pedagogical development has been united in the commitment to improving student academic achievement. Many mathematics and science projects in all over the world carried by Japan International Cooperation Agency, JICA have also purported "to improve the academic achievements of students" as the overall goal. However, due to the various related factors such as school environments, teachers' abilities, family conditions, etc., the resulting impact on the academic achievement of the individual student has been difficult to critically assess withina short timeframe. As yet, it is not clear what particular approach or methodology could be beneficial to the academic achievement of the student. The purpose of this study is to examine the contribution of the mathematics projects to the improvement of student academic achievement, and to extract the lesson learnt for similar projects. As a target project, "Project for the Improvement of Teaching Method in Mathematics in the Basic Education Level, PROMETAM" which was operated by JICA since April, 2003 in the Republic of Honduras, Central America, is picked up. This project has two main activities; one is to develop teaching guidebooks of mathematics for teacher and mathematics textbooks for student, and the other is to provide teacher in-service training about how to use these teaching materials. In the impact evaluation of the project, the following three different data were collected; 1) academic achievement and teaching ability of teachers, 2) lesson quality by the teachers who received teacher in-service training, and 3) student academic achievement. Through the comparison of data collected previously 2002 with the new data of 2005, the academic achievements of the teachers statistically showed difference of more than ten points on the average. Furthermore, there was an improvement of teaching method which was demonstrated through in-house testing, that was the significant differences between the initial and the final test results. The result of qualitative lesson analysis showed difference between the PROMETAM group and the non-PROMETAM control group. In the PROMETAM group, encouraging the students to think for themselves could be observed irrespective of single class or combined class of more than one grade. However, when the students' academic achievement test results were analyzed, there was no significant difference between the performances in 2002 and 2005. To analyze the data from teacher-student relation, the class average distribution of student academic achievement was examined and the additional information such as academic performance of the teacher, study style of the students, etc. was analyzed. From these results, the possibility that high academic achievement on the part of the teacher and large extent of textbook use on the part of the students had a subsequent effect on the student academic achievement could be ascertained.
著者
古賀 達蔵 遠藤 修司
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.45, no.393, pp.481-488, 1979-05-25

静的端末荷重が作用する周方向に作用する閉じた円筒かくの境界値問題について,Kirchhoff-Loveの仮定に基づく種々の線形かく理論の解の相違と精度を調べ,こてんかく理論としてよく知られている多くの理論が基本仮定の誤差の範囲内で正しい一次近似解を与えることを示す.また,実用的な簡単な形の閉形解を求めて,解の重要な諸性質を明らかにする.
著者
大林 稔 落合 雄彦 松浦 さと子 遠藤 貢 武内 進一 牧野 久美子 戸田 真紀子 栗本 英世 船田クラーセン さやか 川端 正久 児玉谷 史朗 高橋 基樹
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、現代アフリカ社会のダイナミズムにおけるメディアの位置と機能を確定するための基礎的作業であり、90年代以降のアフリカの構造変化に、メディアの発展がどのような影響を及ぼしているかを検証するものである。上記の研究目標達成のため、サハラ以南アフリカ数カ国(フランス語圏二カ国を含む)で、現地研究者の協力を得て進められた。アフリカにおけるメディアの発展史の整理、政治・社会的発展、特に民主化・紛争・経済の自由化及び開発との相互関係を主なテーマとした。またメディアの種類として、新聞・ラジオ・テレビ・携帯電話を含むICTを対象としたが、伝統的な口誦(oral)および筆記(chirographic)メディアは扱わなかった。そこから次のような成果を得た:(1)1990年代の政治的自由化前後より、メディアは政治過程に大きな影響を及ぼすようになった。(2)メディア自由化は一直線には進まず、その速度と深度は政府と市民社会の力関係に依存する。(3)メディアの自由化が始まってから、旧メディア市場への新規参入と新メディアの発展により、メディアの数と種類の増加、到達範囲の拡大が著しい。(4)メディアの発展は情報アクセス量を増加させたが、都市と農村、貧富の格差は縮小していない。(5)自由化により政治以外の分野でもメディアの役割に関心が広がった。とりわけ開発におけるメディアの重要性が認識されるようになった。(6)メディアが社会と(エリートではなく)普通の人々の行動に影響を及ぼし始めている。(7)メディアの今後の発展には、自由化の徹底と人材育成および経営基盤の確立が重要だ。本研究は、メディア自由化の進展により、社会経済発展において情報とそれを伝達するメディアの重要性が増加していることに注意を向けた。今後、政治・経済・文化・社会・開発など全ての分野におけるアフリカ研究において、メディアと情報の役割はますます重要となると思われ、研究の提示した視角は今後の研究発展に貢献できるものと考える。メディアの多様化と情報アクセスの増加につれて、今後、人々とメディアが相互にどのように影響しあっていくのかが注目される。
著者
遠藤 健司 駒形 正志 西山 誠 池上 仁志 田中 恵 山本 謙吾
出版者
The Japanese Society of Lumbar Spine Disorders
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.115-120, 2005

画像診断にて原因不明な腰・下肢痛の中には,脊髄終糸の過緊張によって発症するものも存在する.今回,25例のTight filum terminale(以下TFT)に対して,終糸の切離を行った症例の術後経過を検討した.TFTの診断は,腰痛または下肢痛,膀胱直腸障害,脊椎不橈性,非髄節性神経障害,TFT誘発テストにより臨床診断を行った.手術は,終糸切離をS1高位で行った.術後の症状は全症例中,腰下肢痛の改善が96%に,筋力の回復が68%,知覚異常の改善が68%,膀胱直腸障害の改善は79%,体幹前屈制限の改善は80%で認められた.疼痛の経過は,VAS(Visual Analog Scale)で評価したが,術前の最大疼痛を10とすると,術後平均は3.3(0~7)であった.TFTは腰椎椎間板ヘルニアと鑑別を要するが,膀胱直腸障害の存在,MRI所見,誘発テストが陽性であることが異なる点である.画像診断で神経圧迫症状のない腰痛,下肢痛の鑑別診断としてtight filum terminaleを考慮する必要があると考える.
著者
小倉 充夫 井上 一明 島田 周平 青木 一能 遠藤 貢 松田 素二 児玉谷 史朗
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

冷戦の終焉とアパルトヘイト体制の崩壊は南部アフリカ地域に政治的、社会的、経済的変動をもたらし、民主化、経済自由化、地域協力の進展を促した。1990年代初頭において多くの人々はこの地域の将来に楽観的であった。しかし変革からおよそ10年後の今日、南部アフリカ諸国は失業率の上昇などの経済的苦難、犯罪や感染症の増加など深刻な問題を抱えている。構造調整政策の導入は経済危機を克服するために導入されたが、多くの都市住民の生活を一層困窮させることになった。こうした状況が人々の移動のあり方ばかりでなく、政治意識・政治行動にも影響を与え、農村社会を変化させた。これらの問題を各分担者等はそれぞれの研究領域と対象地域において調査しまとめた。具体的には、ザンビアにおける民主化と非政府組織、ジンバブエからザンビアへの移住農民の生活、ザンビア東部州からの移動と農村社会、ジンバブエにおける農村・都市間移動と反政府運動、植民地時代モザンビーク農村における人口移動、モザンビーク・南アフリカ間の労働移動、アパルトヘイト後の南アフリカにおける和解、ユダヤ人移民差別、中国人労働者導入問題などである。南部アフリカ諸国は南アフリカを中心として相互に密接な関係を発達させてきた。それはアパルトヘイト時代においても継続していた。したがってこの地域においては、一国的な分析は多くの場合限界があると同時に、歴史的な背景と変化のなかに位置づけて現状をとらえる必要がある。それ故、本研究では歴史的分析を重視し、その成果は報告書にも反映された。
著者
遠藤 教昭 菅原 準二 三谷 英夫
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.105-115, 1999
被引用文献数
3

本研究の目的は, 骨格型下顎前突症における垂直的顔面骨格パターンと脳頭蓋形態との間に関連性があるかどうか, すなわち, Short face群とLong face群の脳頭蓋形態に差異が認められるかについて検討することである.研究対象は, 未治療女子骨格型下顎前突者398名(暦齢6歳0カ月∿27歳1カ月)で, 暦齢によって, 7歳, 9歳, 11歳, 成人群の4つの年齢群に区分した.それらの側面頭部X線規格写真の透写図上で設定した変量に統計処理を適用して, 各年齢群におけるShort face群とLong face群の脳頭蓋形態の比較を行ったところ, 以下の結果が得られた.1. Long face群においては, Short face群と比較して頭蓋冠前方部の前後径が有意に小さく, 両群の差は増齢的に明確になっていた.すなわち, Long face群はShort face群よりも, 前頭部の前方成長量が少なかった.2. Long face群においては, Short face群と比較して前頭蓋底の傾斜角(FH平面に対する前頭蓋底の傾斜角)が有意に大きく, 両群の差は増齢的に明確になっていた.3. 以上のように, Long face群の脳頭蓋形態は, かつて遠藤が報告した顔面頭蓋形態と同様に, Short face群と比較して増齢的に扁平化する傾向が認められた.さらに, 脳頭蓋と顔面頭蓋のいずれについても, Short face群とLong face群の形態的な相違は経年的に明確になっていたが, 前額部がそれらの形態的調和を保つために補償的な成長を示す部位であることがわかった.
著者
三上 俊治 橋元 良明 箕浦 康子 吉井 博明 八ッ橋 武明 柏倉 康夫 遠藤 薫
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究では、多チャンネル状況における地域情報メディアの利用実態を探るために、鳥取県米子市において、中海ケーブルテレビの視聴可能地域をエリアとして、テレビ、新聞、多チャンネルケーブルテレビ、インターネットの利用状況、地域情報の情報源、地域住民の情報発信手段としてのケーブルテレビの役割について、テレビ局での聞き取り調査、パブリックアクセスチャンネル(PAC)参加者へのグループインタビュー、米子市民へのアンケート調査を実施した。具体的には、米子市在住の20〜69歳男女819名を対象とする社会調査を実施した他、携帯電話、携帯メール利用者計約10名を対象として、特定の1週間の通話内容とメール内容を記録してもらい、これを起こしたスクリプトを使って会話分析を行った。社会調査の結果、次のような知見が得られた。(1)テレビとインターネットに関する利用と満足の構造は類似しており、ある程度の相互代替性、補完性がみられる。(2)ケーブルテレビの加入動機は、多チャンネル化と専門チャンネル視聴が大きく、多チャンネル化ニーズが強いことを示している。(3)中海テレビの地域チャンネルは比較的よくみられており、なかでも災害情報、選挙速報、お祭りなどのイベント情報へのニーズが高いことがわかった。(4)パブリックアクセスチャンネルの視聴率は低いが、ケーブルテレビの番組取材を受けた経験のある人が多く、これがケーブルテレビの地域的機能に貢献していることがわかった。携帯メールの会話内容を分析した結果、感情表現として絵文字や特殊記号が多用されていること、全体として文章が簡潔で短く、くだけた会話調であること、移動しながら、きわめて短時間に多くのメッセージが交換されていることなどの特徴が再確認された他、音声通話との使い分けの実態などが明らかになった。
著者
遠藤 泰弘
出版者
松山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、フーゴ・プロイスの主権なき国家論の理論上および実践上の有効性を究明しようとするものである。プロイスは、主権に代えて、「領域高権」概念を導入し、政治主体が重層的に併存する当時のドイツの政治状況において、あえて権力主体を特定するために強引な擬制を行うことを回避しえたという点で、その優位性が認められることを明らかにした。しかし同時に彼は、「責任の拡散」という有機的国家論に特有の難問に直面し、ワイマール憲法48条の大統領の非常権限の評価をめぐり、逡巡する結果ともなった。
著者
内藤 紀代子 岡山 久代 遠藤 善裕 森川 茂廣 高橋 里亥
出版者
びわこ学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年、女性の2~5割が腹圧性尿失禁を経験しており、生活の質を低下させている。その要因として妊娠・分娩による骨盤底の損傷等が指摘されている。そこで、本研究に置いて育児中の女性にとって簡便で負担が少なく、腹圧性尿失禁予防・改善効果の高いセルフケアを検証し、さらには、有効性の検証されたセルフケアの指導を行い普及の効果を調査した。結果、腹圧性尿失禁予防に重要な骨盤底筋力を高めるセルフケアは、サポートパンツであり、次いで骨盤底筋体操が有効であることが検証された。また、産後早期にセルフケア指導を行うことにより、指導を受けた対象の7割が長期的にも情報を活用していることが明らかになった。