著者
小田切 繁樹 池田 大忠 鈴木 周雄 室橋 光宇 金子 保 中平 和男 中沢 久
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.248-285, 1986

BRL 28500は, β-lactamase阻害剤であるclavulanic acid (CVA) とticarcillin (TIPC) を1:15 (力価比) に配合した注射用抗生剤である。<BR>本剤を16人の健康成人男子志願者に点滴静注によって投与し, 臨床第一相試験として, 安全性ならびに血中濃度・尿中排泄に関する検討を行い, 次の成績を得た。<BR>1.BRL 285001回, 1.6g, 3.2gまたは6.49を点滴静注して, Dose responseを検討したところ, 最高血中濃度, AUC, 尿中回収量においてTIPC, CVAともにDose responseが確認された。<BR>2.BRL 285001回, 3.29点滴静注 (1時間) による6日間連続投与において, 1日目と6日目のTIPC, CVAの各血清中濃度, 各尿中排泄量とにほとんど差は認められなかった。また, TIPC, CVAともに連続投与による蓄積傾向は認められなかった。<BR>3.安全性については, Dose responseの検討の中で, 初回1.6g点滴静注後1例に発熱・発疹がみられたが, 特に処置することなく漸次消失した。その他, 臨床症状・臨床検査値に異常は認められなかった。
著者
金野 千恵 Chie Konno
雑誌
日本工業大学研究報告 = Report of researches, Nippon Institute of Technology (ISSN:21895449)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.64-65, 2016-02

This report is to establish a foundation study of affirmative use of semi-outdoor space to solve some contemporary social agendas related to aging-society and energy consumptive life. Through the fieldwork of the practical examples in Asia three countries, first year's research obtained 3 categories and 8 remarkable Asian methods of the semi-open space.
著者
力石 サダ 志賀 康造 金子 精一
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.377-382, 1996-12-01 (Released:2010-11-26)
参考文献数
15

自然農法と慣行農法によって栽培した米の品質について, 官能検査と機器分析によって検討し, 次の結果を得た。1) 官能検査結果は, 自然農法米は香りを除き, 外観, 味, 粘りの評点が慣行農法米を上回り, おいしい米と立証できた。2) 機器分析結果では, 自然農法米はアミロース, たんぱく質の値が小さく, このことは粘りのある食味のよい米であることを示していた。
著者
金井 守
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.79-86, 2017

<p>難民問題を始め全世界的に人権と平和の問題が今ほど注視されている時はない。特に、東アジアに生を受けた人間として、東アジア諸国民の人権問題と国家間の平和構築の問題に関心を持たざるを得ない。人権と平和の問題は、ある意味統合の問題と考えることができる。この統合の問題にアプローチするため、今やEU(ヨーロッパ連合)の盟主となったドイツの首相であり欧州の女帝とも評されるアンゲラ・メルケルの思想と行動を研究対象とする。方法として日本におけるメルケル理解のあり方に着目する。現役の首相で特定の個人を研究対象とする点について、研究上のリスクを伴うが、人権と平和に関わる統合の問題についてそれを実践する人の内側から理解したいとの願いによる。本研究では、その糸口として、限られた文献やニュース等から日本においてメルケルがどのように紹介され理解されているかの状況把握を試みた。合わせて、日本におけるメルケル理解についての幾つかの課題を提示した。</p>
著者
金森 朝子 久世 濃子 山崎 彩夏 バナード ヘンリー マリム・ティトル ペーター 半谷 吾郎
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;ボルネオ島マレーシア領サバ州北東部に位置するダナムバレイ森林保護区は,第一級保護林に指定されている低地混交フタバガキ林である.保護区内にある観光用ロッジ Borneo Rainforest Lodge周辺2平方 kmでは,エコツアーのガイドや観光客によって豊富な動物相が確認されており,今後はエコツーリズムだけでなく学術研究や学習活動の利用が期待されている.しかし,これまでに生息相の把握を目的とした本格的な調査は行われておらず,基礎的なデータ整備を行う必要がある.そこで,本研究ではカメラトラップ法による調査を実施した.また,調査期間中には,数年に一度爆発的な果実量の増加をひきおこす一斉結実が起こった.哺乳類相の季節変化についても知見を得たのであわせて報告する. 調査方法は,赤外線センサーを内蔵した自動撮影カメラを,調査地内にあるトレイル 8本(計11km)に 500m間隔で 20台設置した.カメラは,常に 20台が稼働するように,約 1ヶ月間隔でカメラ本体もしくは SDカードと電池交換を行った.調査期間は,2010年 7月から 2011年 8月までの約 14ヶ月間,総カメラ稼働日数は 6515日であった.その結果,少なくとも 29種の哺乳類が撮影された.もっとも高い撮影頻度指標(RAI)の種は,順にマメジカ 0.11(撮影頻度割合の33.8%),ヒゲイノシシ 0.07(24.3%),スイロク0.02(7.5%)だった.その他,撮影頻度は低いものの,ボルネオゾウ,オランウータン,マレーグマ,ビントロン,マーブルキャット,センザンコウなどが撮影された.また,一斉結実期には,マメジカ,ヒゲイノシシ,スイロクの RAI値と果実量の増加に正の相関がみられた.ヒゲイノシシは,一斉結実期よりコドモを連れた親子の写真が増加する傾向がみられた.これらの結果を用いて,本調査地の哺乳類相と一斉結実による影響を詳しく紹介する.
著者
津金 昌一郎
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.775-784, 1992-10-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
21
被引用文献数
1 3

Over a million people of Japanese origin reside in South America. However, only a limited number of studies on their health status and lifestyle factors affecting it have been carried out. The author and his co-workers have been conducting a series of field surveys on the health situation and lifestyle factors in Japanese immigrants and their descendants in various areas of South America.The subjects of the first-phase study were residents in four agricultural settlements (colonies) in the suburbs of Brazil, Paraguay and Bolivia. The levels of minerals and heavy metals in the hair were measured, and significant variations were found in several elements. These different levels were found to be regulated by the environmental level of their living place and by the dietary pattern.In the second-phase study, several health-related indicators such as blood pressure, anthropometric features, viral infection markers in sera, and dietary pattern were investigated in two group of immigrants, one from Okinawa and the other from the mainland of Japan, both living in Bolivia. Differences in health situation and lifestyle were identified between them. Traditional habits seen in their original places of residence in Japan still existed in their life in Bolivia, while the introduction of Bolivian lifestyle was prevalent among them.Although the number of Japanese residents in Brazil is largest in the world outside of Japan, little has been known about their health situation. The subjects of the third-phase study were Japanese Brazilians. A descriptive epidemiologic study was carried out, and the mortality and incidence of cancer were determined. Some changes in disease pattern were noted when compared with Japanese in Japan, but these changes were not as marked as in the case of Japanese in the U. S.. A cross-sectional study on the lifestyle factors of Japanese residents in São Paulo showed some differences in health-related indicators and dietary habits in comparison with Japanese living in five areas of Japan. Such differences were also found among Japanese in São Paulo according to the place of origin in Japan.These series of studies in Japanese immigrants in South America showed the importance of lifestyle factors, especially dietary habits, for the health situation.
著者
金 基成 小溝 裕一 寺崎 秀紀 濱田 昌彦
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会全国大会講演概要
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.234, 2008

Ni量を変化させた低炭素鋼溶接金属をTIG溶接したときの凝固過程を放射光を用いた時分割X線回折でその場観察した結果を発表する。同定したδ相とγ相、液相を示すハローパターンからNi量の変化によって凝固モードが遷移することを直接観察した。
著者
福永 俊晴 永野 啓 金谷 利治 水谷 宇一郎
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.665-669, 1996
被引用文献数
1

機械的に試料を叩くというメカニカルミリング法を用いて, これまで完全な非晶質にならなかったポリビニルアルコール (PVA) を非晶質化させた, その結晶相を表すブラッグピークはミリング時間とともにその強度が減少し, 完全な非晶質相を表すハローパターンとなった. 密度の減少ならびに非弾性散乱データにおける「低エネルギー励起」の増大も観察された. この結果によりメカニカルミリングによりPVAも非晶質単相となることが分かった. さらに, 構造因子<I>S</I> (<I>Q</I>) をフーリエ変換し求めた相関関数を種々の相関距離で逆フーリエ変換することにより, 実空間上の乱れの距離を明らかにした. ミリングの練り込み効果により, <I>S</I> (<I>Q</I>) を再現できる相関距離は短くなり, 乱れが増大することが明確となった.
著者
小泉 政利 安永 大地 木山 幸子 大塚 祐子 遊佐 典昭 酒井 弘 大滝 宏一 杉崎 鉱司 Jeong Hyeonjeong 新国 佳祐 玉岡 賀津雄 伊藤 彰則 金 情浩 那須川 訓也 里 麻奈美 矢野 雅貴 小野 創
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

主語(S)が目的語(O)に先行するSO語順がその逆のOS語順に比べて処理負荷が低く母語話者に好まれる傾向があることが報告されている。しかし,従来の研究はSO語順を基本語順にもつSO言語を対象にしているため,SO語順選好が個別言語の基本語順を反映したものなのか,あるいは人間のより普遍的な認知特性を反映したものなのかが分からない。この2種類の要因の影響を峻別するためには,OS語順を基本語順に持つOS言語で検証を行う必要がある。そこで,本研究では,SO言語とOS言語を比較対照することによって,人間言語における語順選好を決定する要因ならびに,「言語の語順」と「思考の順序」との関係を明らかにする。
著者
金子 英二
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.7, no.11, pp.616-621, 1965-11-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
5

Several design factors of the period meter for nuclear reactors are analyzed. Using the results, a new transistorized period meter is developed.Experimental data of this device are:(1) Input signal level: 0.5V/decade(2) Period range: -15+3sec(3) Stability of period output for ambient temperature -10+60°C and AC line voltage 85115V: ±1%(4) Drift of period output: ±0.1%/10hr(5) Hysteresis of period scram level: ±0.1%(6) Stability of period scram level for ambient temperature -10°C×60°C and AC line voltage 85115V: ±11%
著者
滝本 佳予 西島 薫 森 梓 金 史信 小野 まゆ
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
pp.14-0039, (Released:2015-11-20)
参考文献数
13

全身の痛みを中心とする多彩な症状を訴え心因性多飲を合併する患者に対し,薬物療法・認知行動療法と併せて行った,患者の語りの傾聴と対話を重視した診療が有用であった1例を報告する.症例は68歳の女性,全身の痛みを訴えて当科を紹介受診した.併存合併症として心因性多飲による低ナトリウム血症と意識混濁,むずむず脚症候群,過敏性腸症候群,睡眠障害,失立失歩があり,ドクターショッピングを長年続けた後の受診であった.患者の語りの傾聴と対話により,まず心因性多飲が改善した.次いで痛みの訴えを線維筋痛症・中枢感作性症候群と診断し薬物療法・認知行動療法を実施したところ,ドクターショッピングをやめ症状も軽減した.“説明不能な”痛みの訴えはペインクリニックではたびたび遭遇する.器質的原因が明確ではない疾患の症状を一元的にとらえ,診断治療を行う役目を果たすためには,患者との語り合いにも問題解決への可能性があることが示唆された.
著者
金原 由紀子 Yukiko KANEHARA 尚美学園大学総合政策学部
雑誌
尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi University (ISSN:13463802)
巻号頁・発行日
vol.16/17, pp.61-75, 2009-03-31

本研究は、中部イタリア・トスカーナ地方の共和制都市国家において、聖人の聖遺物がどのように収集され、教会側とコムーネ政府側によっていかに利用されたかを解明するものである。その一例として、5世紀頃から14世紀のピストイア大聖堂を取り上げ、聖堂の守護聖人、祭壇の捧げられた聖人、移葬された聖遺物について現存史料より再構成を試みる。そして、同聖堂の最も重要な聖遺物である使徒大ヤコブの聖遺物に注目し、この聖遺物が12世紀初頭にコンポステーラ大司教ディエゴ・ヘルミレスからピストイア司教アットに分与された経緯とその意図について論じた。当時のピストイアでは、コムーネ政府の誕生により司教の特権が脅かされ、政府高官コンソリと司教の関係が極度に悪化していた。そこで司教アットは、両者の関係改善のために聖遺物の入手を試みたと考えられる。共和制都市国家が発展した時期の聖遺物収集には、教会とコムーネ政府の複雑に絡まり合った政治的意図が反映されているのである。
著者
松田 直樹 金子 文成 稲田 亨 柴田 恵理子 小山 聡
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0499, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】運動錯覚とは,実際に運動を行っていないにも関わらず,あたかも運動が生じているような自覚的運動知覚が脳内で生じることである。近年,我々はKanekoらが報告した視覚刺激による運動錯覚を用いて,脳卒中片麻痺患者に治療的介入を実施し,急性効果を検証してきた。本研究では,発症後10年を経過した脳卒中片麻痺患者に対して,視覚刺激を用いた運動錯覚と運動イメージを組み合わせた治療的介入を実施し,上肢の自動運動可動域に急性的な変化が生じたので報告する。【方法】対象は,平成14年に被殻出血を発症した右片麻痺症例(50代男性)であった。Br. stage上肢・手指II,下肢IIIであり,表在・深部感覚は共に重度鈍麻であった。認知機能に障害はなかった。治療的介入方法は,視覚入力による運動錯覚と運動イメージの組み合わせ(IL+MI),動画観察と運動イメージの組み合わせ(OB+MI),運動イメージ単独(MI)の計3種類とし,別日に行った。IL+MIでは,視覚刺激による運動錯覚を誘起するため,事前に撮影した健側手指屈伸運動の映像を左右反転させ,麻痺側上肢の上に配置したモニタで再生し,対象者に観察させた。さらに,動画上の手指屈伸運動とタイミングが合致するように,麻痺側手指の屈伸運動を筋感覚的にイメージするよう教示した。OB+MIでは,IL+MIと同じ映像を流したモニタを,対象者の正面に設置し,観察させた。そして,IL+MIと同様に動画に合わせて運動イメージを行わせた。MIでは,麻痺側手指屈伸運動の運動イメージのみ実施させた。各治療は20分間とし,2週間以上の期間をあけて実施した。日常生活上で本人が希望することとして肘関節屈曲運動があったことから,運動機能評価として,各治療の前後に麻痺側肘関節の自動屈曲運動を実施した。肩峰,上腕骨外側上顆,尺骨茎状突起にマーカーを貼付し,対象者の前方に設置したデジタルビデオカメラによって撮影した映像から,最大肘関節屈曲角度を算出した。また,IL+MIにおいて,上腕二頭筋及び上腕三頭筋に表面筋電図を貼付し,肘関節屈曲運動中の筋活動を治療前後で記録した。さらに,ILを実施した際に,どの程度運動の意図(自分の手を動かしたくなる感覚)が生じたかを,Visual Analog Scale(0:何も感じない~100:とても強く感じる)で評価した。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,研究者らが所属する大学および当院倫理委員会の承認を得て実施した。また,対象者に対しては書面にて研究の内容を説明し,同意を得た上で実施した。【結果】IL+MIでは,治療前と比較して,治療後に最大肘関節屈曲角度が増大した(治療前3.1°,治療後56.1°)。これに対し,OB+MIとMIでは治療前後で大きな変化を示さなかった(OB+MI:治療前3.6°,治療後1.2°,MI:治療前2.3°,治療後3.4°)。また,IL+MI後においては,治療前後で上腕二頭筋の筋活動の増加が確認された。さらに,IL中にはVisual Analog Scaleで98と強い運動の意図が生じた。IL+MI後には,対象者から「力の入れ方を思い出した」という内観が得られた。【考察】本症例においては,OB+MI及びMIでは自動運動可動域に変化が生じなかったのに対し,IL+MIでは自動運動可動域が拡大した。このことから,視覚刺激により運動錯覚が生じたことが,自動運動可動域の改善に寄与した可能性があると考える。本研究では,手指の運動錯覚により上腕の筋に急性効果が生じた。Kanekoらは,視覚刺激による運動錯覚中に補足運動野・運動前野の賦活が生じることを報告している。高次運動野は一次運動野と比較して体部位局在の影響が少ないことから,本研究においては,手指の運動錯覚に伴う高次運動野の賦活が上腕の運動機能に影響を与えた可能性があるものと推察する。以上より,本研究では視覚刺激による運動錯覚と運動イメージを組み合わせた治療的介入が,脳卒中片麻痺患者における上肢の自動運動可動域に対して,急性的な変化を生じさせる可能性が示された。【理学療法学研究としての意義】本研究は,視覚刺激による運動錯覚と運動イメージの組み合わせが,慢性期脳卒中患者の運動機能に対して,急性的な変化を生じさせることを示した最初の報告である。本研究で用いた治療方法は,非侵襲的かつ簡便であり,本研究は理学療法における新たな治療方法の開発という点で意義深いといえる。