著者
早川 和一 鈴木 信雄 細井 信造
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

水試料中のPAH,NPAH類を対象にHPLC/蛍光検出法,HPLC/化学発光検出法を用いた超高感度分析法を開発し,前者を用いて日本海及び周辺海域のPAH汚染の現状を明らかにした。また,PAH水酸化体とPAHキノン体の酵母two-hybrid法を用いた内分泌かく乱作用とキンギョ鱗培養システムに及ぼす影響に関連があり,作用を示す化合物との間に構造活性相関があることを明らかにした。
著者
早川 和一 鈴木 信雄 大嶋 雄治
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

重油汚染による魚の奇形発生の機構を調べるために、様々なバイオアッセイ系を用いて解析した。その結果、毒物の本体は、水酸化した多環芳香族炭化水素類であり、メダカの胚発生において致死作用があり、ウロコの骨芽細胞及び破骨細胞の活性に影響を与えた。さらに解毒タンパク質の候補になり得る物質を見出すことができた。
著者
鈴木 信太朗 今野 徳男
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.18, no.59, pp.13-18, 1994
被引用文献数
2

The technique of the character recognition is utilized in the various fields. However, in the field of the broadcasting, it is seldom generally used. This is to need a super computer or the hardware of the image processing exclusive use when doing a character recognition of the animation. Using a personal computer there this time, it developed the system which dose a character recognition and the various processing which accompanies it.
著者
秋坂 真史 田中 旨夫 鈴木 信
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.312-323, 1997
被引用文献数
1

日本最長寿男性において, 百寿達成に至るまでの長寿に関する背景因子および100歳以後の健康保持の要因について考察を加えるため, 平成8年10月に112歳になった本邦における最長寿男性に焦点を当て基礎・臨床さらに社会医学を含めた包括的アプローチによって, 百寿達成以後の12年間にわたって縦断的に検討した. 生活歴では, 貧農の生まれであったが自由奔放で闊達な青年期をおくり, 家族は妹一人 (92歳) 以外をすべて沖縄戦で失った. 85歳まで独居にて農業をし, 97歳時より次男夫婦と同居した. 86歳以後も散歩等の運動を続け, 常に健康に留意していた. 臨床医学的所見では, 心電図での一部変化を除き, 異常はほとんどみられなかった. 血液検査でも, 各パラメーター値の低下は比較的緩徐であった. ADLの年次推移は, 在宅であった108歳まではほとんど低下を示さなかったが, 入院を機に急激に劣化した. 100歳時の栄養調査では肉, 野菜あるいは豆腐等を中心にバランスよく摂取しており, 1日の摂取エネルギーは1,361kcalであった. 中高年時の性格特性として心疾患親和性行動パターンを調べると, 総得点でタイプAに属するが, そのプロフィールは典型的な沖縄百寿者のパターンを示した. 改訂版長谷川式簡易質問票による痴呆度評価は, 106歳時は正常範囲であったが3年後には「痴呆」の判定になった. ADLや精神機能など108歳時の入院を機会に急に低下した機能も多く, QOLあるいはADLに関連して自立を重視した立場から言えば, 長寿を目指す意味においても, 事情の許す限り在宅で家族と共に迎える老後の方が一般的には望ましいと考えられた. また男性であっても, 青壮年から老年期にかけての不適切な生活習慣を改善し, 正しい健康意識を保持し, 自立できる豊かなADLを維持するよう運動および食事習慣に留意することによって, 100歳を超える健康長寿も期待できることが示唆された.
著者
西園 昌久 高橋 流里子 対馬 節子 松永 智子 福屋 靖子 土屋 滋 大貫 稔 高橋 美智 浅野 ふみぢ 小松崎 房枝 鈴木 小津江 平山 清武 中田 福市 鈴木 信 壁島 あや子 名嘉 幸一 鵜飼 照喜 福永 康継 浪川 昭子 高田 みつ子 岩渕 勉 森脇 浩一 加藤 謙二 早川 邦弘 森岡 信行 津田 司 平野 寛 渡辺 洋一郎 伴 信太郎 木戸 友幸 木下 清二 山田 寛保 福原 俊一 北井 暁子 小泉 俊三 今中 孝信 柏原 貞夫 渡辺 晃 俣野 一郎 村上 穆 柴崎 信吾 加畑 治 西崎 統 大宮 彬男 岩崎 徹也 奥宮 暁子 鈴木 妙 貝森 則子 大橋 ミツ 川井 浩 石川 友衛 加世田 正和 宮澤 多恵子 古賀 知行 西川 眞八 桜井 勇 三宅 史郎 北野 周作 竹洞 勝 北郷 朝衛 橋本 信也 斉藤 宣彦 石田 清 畑尾 正彦 平川 顕名 山本 浩司 庄村 東洋 島田 恒治 前川 喜平 久保 浩一 鈴木 勝 今中 雄一 木内 貴弘 朝倉 由加利 荻原 典和 若松 弘之 石崎 達郎 後藤 敏 田中 智之 小林 泰一郎 宮下 政子 飯田 年保 奥山 尚 中川 米造 永田 勝太郎 池見 酉次郎 村山 良介 河野 友信 Wagner G. S. 伊藤 幸郎 中村 多恵子 内田 玲子 永留 てる子 石原 敏子 河原 照子 石原 満子 平山 正実 中野 康平 鴨下 重彦 大道 久 中村 晃 倉光 秀麿 織畑 秀夫 鈴木 忠 馬渕 原吾 木村 恒人 大地 哲郎 宮崎 保 松嶋 喬 桜田 恵右 西尾 利一 森 忠三 宮森 正 奥野 正孝 江尻 崇 前沢 政次 大川 藤夫 関口 忠司 吉新 通康 岡田 正資 池田 博 釜野 安昭 高畠 由隆 高山 千史 吉村 望 小田 利通 川崎 孝一 堀 原一 山根 至二 小森 亮 小林 建一 田中 直樹 国府田 守雄 高橋 宣胖 島田 甚五郎 丸地 信弘 松田 正己 永井 友二郎 向平 淳 中嶌 義麿 鎮西 忠信 岡田 究 赤澤 淳平 大西 勝也 後藤 淳郎 下浦 範輔 上田 武 川西 正広 山室 隆夫 岡部 保 鳥居 有人 日向野 晃一 田宮 幸一 菅野 二郎 黒川 一郎 恩村 雄太 青木 高志 宮田 亮 高野 純一 藤井 正三 武内 恵輔 南須原 浩一 佐々木 亨 浜向 賢司 本田 麺康 中川 昌一 小松 作蔵 東 匡伸 小野寺 壮吉 土谷 茂樹 岡 国臣 那須 郁夫 有田 清三郎 斎藤 泰一 清水 強 真島 英信 村岡 亮 梅田 典嗣 下条 ゑみ 松枝 啓 林 茂樹 森 一博 星野 恵津夫 正田 良介 黒沢 進 大和 滋 丸山 稔之 織田 敏次 千先 康二 田中 勧 瓜生田 曜造 尾形 利郎 細田 四郎 上田 智 尾島 昭次 大鐘 稔彦 小倉 脩 林 博史 島 澄夫 小池 晃 笹岡 俊邦 磯村 孝二 岩崎 栄 鈴木 荘一 吉崎 正義 平田 耕造
出版者
Japan Society for Medical Education
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-173, 1984
著者
鈴木 信夫
出版者
筑波大学
雑誌
筑波大学菅平高原実験センター研究報告 (ISSN:09136800)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.59-68, 1995

A collection survey of the mecopteran insects was carried out in Sugadaira and its vicinities during the periods from April to September in 1994 and from May to September in 1995, as a supplement to the previous study (SUZUKI and ANDO 1987). Panorpa leucoptera and Biltacus mipponicus listed in the former repot were corrected in the present study to P. kagamontana and B. issikii, respectively. Panorpa japonica is bivoltine in the vicinties of Sugadaira lower than ca. 800 m alt., and P. pryeri seems to appear only once in a year. The vertical and seasonal distributions of 17 species recorded in Sugadaira and the vicinities were shown in figures based on the present and previous study.菅平高原およびその周辺には、草原、湿原、渓谷林や根子岳、四阿山などの亜高山帯などがあり、変化に富んだ植生ゆえ、多くの種類の蛾類を産することが知られていた。菅平の蝶類ファウナは、宮田(1963)、 安藤(1964)、小林(1965) らの報告に始まり、その後も、京浜昆虫同窓会(1971)、 松本むしの会(1982)などの報告がある。・・・
著者
千葉 壮太郎 近藤 秀樹 兼松 聡子 鈴木 信弘
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.163-176, 2010-12-01
被引用文献数
4 2

マイコウイルス(菌類ウイルス)は菌類の主要な分類群から広く報告されている.特に近年のウイルス探索の結果,新しいマイコウイルスが次々と報告され,新規のウイルスゲノム構造,遺伝子発現様式,粒子構造の発見を齎した.また,同時にウイルスの多様性,進化の理解へと繋がった.マイコウイルスの多くは2本鎖RNAをゲノムにもつ球形ウイルスであるが,粒子化されない1本鎖RNAウイルスも多く見つかっている.自然界では,マイコウイルスは宿主菌の細胞分裂,細胞融合,胞子形成により水平・垂直伝搬するが,細胞外からの伝搬・侵入経路は知られていない.マイコウイルスの多くは無病徴感染をするが,一部のウイルスは宿主菌に病徴を惹起し,巨視的表現型の変化を齎す.マイコウイルスが植物病原菌の病原力を低下させる場合は,ウイルスを利用した生物防除(ヴァイロコントロールと提唱)が試みられている.ヨーロッパではクリ胴枯病菌のヴァイロコントロールの成功例があり,一方,日本でも果樹の白紋羽病菌を標的としたヴァイロコントロールが試みられている.本稿では,マイコウイルスの一般的性状を概説し,ヴァイロコントロール,さらにはそれに関係するウイルスについて紹介する.
著者
横田 智 山尾 僚 鈴木 信彦
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.252-263, 2012-10-05 (Released:2018-09-21)

ワーカー多型の進化とその生態学的意義を解明するために,ワーカーに二型(メジャーおよびマイナーワーカー)がみられるオオズアリの分業体制を定量的に解析すると共に,メジャーの重要性が高い餌条件下で,カースト比やメジャー形態の可塑的変化が生じるのかを検証した.室内でサイズの異なる餌(大きい餌:フタホシコオロギ成虫,小さい餌:大きい餌を凍結粉砕したもの)を与え,餌場に現れたワーカーの個体数やメジャー比,行動様式,餌の解体の有無などを観察した.大きな餌を与えた場合,メジャーが餌場に多く現れ,マイナーが運搬行動に従事し,メジャーが解体行動に従事するという明確な分業がみられた.メジャーがいるコロニーでは,ほとんど場合餌が解体されたのに対し,メジャー不在のコロニーでは解体が生じたのはわずかであり,いずれも女王によるものであった.63日間,大きな餌を与えたコロニーと小さな餌のみを与えたコロニーのメジャー比及びメジャーの頭幅を比較したところ,メジャー比には違いはみられなかったが,頭幅には餌の大きさに相関した違いが生じた.腹部に栄養を貯蔵したメジャーがいるサブコロニー,貯蔵していないメジャーがいるサブコロニー,メジャーがいないサブコロニーをそれぞれ飢餓条件に置いて生存率を記録した結果,貯蔵したメジャーがいるコロニーが最も生存期間が長かった.以上の結果から,オオズアリの採餌におけるワーカーの明確な分業体制とメジャーによる食物貯蔵機能が明らかになり,メジャー形態の可塑的変異も確認された.メジャーカーストは餌の解体や栄養貯蔵に重要な役割を担っており,餌資源の獲得や維持に大きく貢献していると考えられた.
著者
鈴木 信吉 森屋 泰夫 山本 隆
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.81-88, 1987-02-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
14
被引用文献数
5 5

一分子中に数個以上のO-O結合を持つポリ過酸化物 (PPO) を用いてビニルモノマーのブロックコポリマーの合成を行なった. 第一段重合はPPOで第一モノマーを重合させてポリマー中にO-O結合を持つブレボリマーを合成し, このポリマーに第二モノマーを付加重合させてブロックコポリマーを得た. メタクリル酸メチル (MMA) -スチレン (St) 及び酢酸ビニル (VAc) -スチレンの各等重量のモノマーの組合せについて行い, 次の組成の各ブロックコポリマーを得た. Poly- (VAc-b-st) /PVAc/PSt=68/24/8, Poly (VAc-b-St) /PVAc/PSt=84/6/10. 得られたブロックコポリマーについて, 成形物の電子顕微鏡による観察により, 微細な均一分散相を持つミクロ相分離構造を確認し, また, 相溶化剤としての機能も認めた.
著者
鄒 歩浩 福沢 嘉孝 阿部 哲朗 許 鳳浩 太田 富久 鈴木 信孝
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.35-41, 2016

カイジ顆粒は健康食品として日本に入ってきたが,もともと中国では新薬として開発され,処方薬の一つとなっているため,基礎研究や臨床応用も数多く,エビデンスも積み重ねられてきた.カイジ顆粒の応用は多岐に渡るが,本総説はデータのもっとも多い肝臓癌に対するカイジの影響についてまとめた.
著者
秋坂 真史 安達 正則 鈴木 信 向井 敏二 永盛 肇
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.24, no.11, pp.1242-1246, 1992-11-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
14

若年者における突然死の死因および危険因子を明らかにする目的で,沖縄県で死亡した15歳以上30歳未満の内因性急死8例(男7名,女1名)の死亡状況,病歴,死因,危険因子および剖検所見等について検討した.病歴や既往歴等には特記すべきことがなかった.死亡状況は睡眠中が4例,運動中が3例,入浴中が1例であり,すべて数分以内の急死と考えられた.組織学的検査の結果,1例が肥大型心筋症,2例が虚血性心不全と診断され,さらに他の3例も致死的な病理所見は欠くものの死亡状況等から心臓性突然死の可能性が強く示唆された.一方これら8例中4例に心肥大が認められ,その中には運動負荷に伴う冠循環障害の関与が示唆される症例も認められた.今後は予防医学的見地と病理検索の両面からの対策がきわめて重要な課題であると考えられた.
著者
鈴木 信貴
出版者
日本経営学会
雑誌
經營學論集 (ISSN:24322237)
巻号頁・発行日
vol.89, pp.F32-1-F32-7, 2019

<p>企業,産業の海外シフトが進む中,地域の産業集積はどのようなプロセスのもとで再生が可能になるか。この問いに対し故天野倫文東大准教授は新潟県中越地域を事例として一連の研究を行った。先行研究は,成長している企業は地元業者との分業関係のもとに,自らは開発に特化しニッチ分野で高い競争力を持つ製品を開発し販売を東アジアに広げ受注を伸ばしていることを明らかにし,これらの企業の成長とともに産業集積が再生へ向かっていると論じた。</p><p> 本研究は,先行研究から10年以上が過ぎた今,先行研究どおりに産業集積は再生したのかという問題意識のもとに,その検証を試みた。先行研究の調査後も一連の企業,産業集積はおおむね先行研究の方向で成長していた。しかし,リーマンショックにより,どの企業も壊滅的な打撃を受け,特に東アジア,ニッチ分野に力を入れていた企業は,その影響が大きかった。リーマンショック後,各社はそれぞれ経営体制を大きく変えることにより業績を戻し,そのことにより産業集積が新たな形で再び再生へと向かっていることが明らかになった。</p>
著者
西城 直人 渡辺 将広 信時 正嗣 鈴木 信太郎 多田隈 建二郎 昆陽 雅司 田所 諭
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2020 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp.1A1-I08, 2020 (Released:2020-11-25)

Various researches are conducted to reduce the influence of winds and waves for safer work environment on offshore operations and to negate the tilt due to acceleration of vehicle for improved comfortableness. Conventional researches have adopted active mechanism like six-degree-of-freedom parallel mechanism that absorbs the sway by constantly keeping its motion base horizontal to suppress such influences. However, current swing machines require vast areas to be installed since their swing mechanisms are large and their bottom structures are thick. Here, we propose a new swing mechanism “Omni-Swing” which is relatively thin and can be applied to curved surfaces. The mechanism is embodied to a real machine and experiments are conducted to verify its basic characteristic in this paper.
著者
片山 昇 鈴木 信彦
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.735, 2005 (Released:2005-03-17)

同所的に生育する花外蜜腺をもつカラスノエンドウと花外蜜腺をもたないスズメノエンドウにおいて、アワヨトウ幼虫を用いたbioassayにより化学的防御の強さを推定し、また両種の株上の昆虫群集を比較し、化学的防御とアリ防御による被食防衛の効果を推定した。 スズメノエンドウにくらべカラスノエンドウ葉中のC/N比は低く、アワヨトウ幼虫の摂食活性は高かった。したがって、スズメノエンドウよりもカラスノエンドウでは化学的防御が弱く、葉食性昆虫にとって良的な資源であると考えられた。野外のスズメノエンドウの株上にはほとんどアリはみられなかったが、カラスノエンドウ株上には、アミメアリやトビイロケアリ、クロヤマアリなどのアリ類がみられた。アリがいない場合にくらべ、アリが頻繁に訪れるカラスノエンドウ株上には葉食性昆虫やアリを随伴しないアブラムシの個体数が少なかった。さらにアリはカラスノエンドウの主要な植食者であるアルファルファタコゾウムシの幼虫を排除するため、カラスノエンドウの花外蜜腺はアリ防御の機能を持つと考えられた。しかし、アリの誘引効果はカラスノエンドウ生育地間で大きく異なり、全体の約66_%_のカラスノエンドウにしかアリはみられなかった。アリがいた場合でも、スズメノエンドウにくらべ植物上の植食性昆虫の個体数は多い傾向がみられた。このように被食防衛の側面からみると、他の防衛戦略にくらべ花外蜜腺によるアリ防御は、それほど効果的ではないと考えられた。これらの結果から、カラスノエンドウのアリによる被食防衛の意義について考察した。
著者
鈴木 信明 岩井 悠樹
出版者
愛知県警察本部刑事部
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2019

国内で広く使用されており、ジェネリック医薬品を含め計16社から製造販売されている睡眠薬のエチゾラム錠を本研究の対象とし、全社のエチゾラム錠について、医薬品添加物を様々な分析手法で検出し、その配合から製薬会社を特定できるかについて検討した。その結果、14社を特定することができ、残る2社は共同開発のため、成分が全く同一で区別不能であることをつきとめた。次に、実証実験として、研究協力者がエチゾラム錠を無作為に選び、研究者がわからないように粉末化したもの及び粉末化して水に加えたものを用意した。これらを同様の分析手法で分析した結果、加えられた睡眠薬の製薬会社を特定することができた。
著者
川越 哲博 鈴木 信彦
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.673, 2005 (Released:2005-03-17)

植物の性表現や花形質の進化には自殖による近交弱勢が大きな影響を与えてきた。しかし雌雄異熟や雌雄離熟など、これまで自殖回避のために進化したと考えられていた形質が、雄機能と雌機能の干渉の回避にも役立っていることが明らかになってきた。雌雄異花性(雌雄同株)も主に自殖(近交弱勢)を回避するための適応と考えられてきたが、雌雄同株植物の中には自家不和合性を備えているものも多く存在する。自家不和合性植物においては、雌雄異花性の適応的意義は自殖の回避では説明できない。しかし自家受粉すること自体にコストが生じるのなら、両性花と比べて自家受粉を減らすことのできる単性花は適応的である。この仮説を検証するために、自家不和合性の雌雄同株植物アケビにおいて自家受粉のコストを調べるための人為受粉実験を行った。受粉処理は以下の4通り:(1) 自家受粉のみ、(2) 他家受粉のみ、(3) 自家受粉と他家受粉を同時に行う、(4) 先に自家受粉し、その24時間後に他家受粉。自家受粉のみでは結実は見られなかった。他家受粉と自家受粉を組み合わせた2処理では、自家受粉のタイミングに関わらず他家受粉のみの処理と比べて果実生産が大きく低下した。この結果は自家不和合性のアケビでも自家受粉することによって適応度が低下することを示すものである。雌蕊上での花粉管伸長を観察した結果、自家花粉も花粉管を発芽させ、雌蕊中に侵入し、少なくとも一部の花粉管は胚珠まで到達していることが分かった。このような遅延型の自家不和合反応が自家受粉のコストをもたらすと考えられる。本研究の結果は性機能間の干渉が雌雄同株の進化に影響することを示唆するものである。
著者
上馬塲 和夫 仲井 培雄 許 鳳浩 王 紅平 大野 智 林 浩孝 新井 隆成 鈴木 信孝
出版者
日本補完代替医療学会 = The Japanese Society for Complementary and Alternative Medicine
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.119-126, 2007

西洋ではすでに広く家庭で活用され安全性と有効性がわかっている,特に不眠に用いられるバレリアンやレモンバームなどを含むハーブティーの睡眠への効果と安全性の検証を試みた.不眠で悩む病院職員志願者女性 14 名(年齢 21&ndash;62 歳:35&plusmn;11 歳,BMI 21&plusmn;3 kg/m<sup>2</sup>)を対象として,文書による同意を取得し,オープン試験によって 1 週間の対照観察期間の後 1 週間,ハーブティーを夕方 2 回摂取させた.睡眠の質の変化を,OSA 睡眠調査表とVAS (Visual Analogue Scale) で評価した結果,摂取開始の翌日の夜において,対照期間より入眠と睡眠維持について睡眠の質が向上する傾向を認めた.また睡眠の質の悪い群で効果が高く,眠気や胃腸症状を認める例も 19%程度は認めたが継続しても全例自然消失したことから,安全性には問題がないと思われた.<br>