著者
甲斐 拓海 清原 克哲 中森 友啓 木村 勇太 木村 加奈子 嘉戸 直樹 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.95-100, 2022 (Released:2022-12-23)
参考文献数
6

We report the case of a man in his 50s with decreased endurance in gait after brain tumor resection. His main complaints were that he felt pain on the right side of his waist and that he could not walk for long periods. We observed that during the left loading-response phase, he could not adduct his left hip joint, nor could he move his pelvis to the left. Therefore, during the initial swing phase, he put his right plantar foot down quickly and his trunk tilted forward. This resulted in flexion of the thoracolumbar transition during the right loading-response phase and extension of the thoracolumbar transition during the right mid-stance phase. The patient repeated this gait pattern, and after about 3,000 steps, he developed pain in the right lumbar region. We considered the main problem to be weakness of the left hip adductor muscle, and treated the patient with physical therapy. As a result, left hip adduction became possible during the left loading-response phase, and the pain in the patient’s right lumbar region improved, resulting in improved endurance of walking. In this case, physical therapy with a focus on the left adductor magnus muscle was effective at improving the pain in the patient’s right lumbar back and the functioning of the hip adductor muscles required during the left loading-response phase.
著者
湯川 直旺 鈴木 雅大 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.2G5OS18a02, 2022 (Released:2022-07-11)

脳活動データからのinner speechのデコードは, 障害を抱えた患者の意思疎通の円滑化や, メタ認知理解などに繋がると考えられる. 先行研究では, 深層学習モデルEEGNet を用いて実験が行われたが, 4 クラス分類のタスクで30% ほどの正答率であった. ここで, 転移学習を用いた特徴量抽出の精緻化が有効であると考えられる. しかしinner speech に転移学習が用いられた研究は未だなく, EEGデータ一般でも, 異なるタスクのデータや, EEG以外のデータの転移学習における有効性については, 十分に検証がなされていない. 本研究では, inner speech データセットに, ドメインやデータ量の異なるデータセットを用いた転移学習を行い, 特徴量抽出の改善を検証した. 結果, 異なる被験者のデータを用いた転移学習による精度の向上が確認できたが, 異なるタスクのEEGデータを用いた場合は精度は改善しなかった. 一方で画像データセットは, 凍結する層を工夫することで, EEGデータとは性質が異なるにも関わらず, 精度の向上が確認された.
著者
柳坪 幸佳 鈴木 今日子 松浦 とも子 Sachika YANAGATSUBO Kyoko SUZUKI Tomoko MATSUURA
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.11, pp.21-35, 2015

中国の中等教育には、近年第二外国語として日本語を設置する学校が見られる。しかし、中国教育部による第二外国語のシラバスや教科書はまだなく、何をどう教えればいいか、試行錯誤をしている教師が多い。このような状況の中、国際交流基金北京日本文化センターは、教材『エリンが挑戦!にほんごできます。』(国際交流基金、2007)の内容を厳選、中国の現地事情を考慮した内容を追加し、『エリンが挑戦!にほんごできます。艾琳学日語』として出版した。教材の作成にあたっては、中国の教室で第二外国語の主教材として使えるようにすること、同時に、第一外国語の日本語授業でも視聴覚教材として使えるようにすることを目標とした。教材に対しては、教師・学習者ともに好意的な評価を示したが、異文化理解の育成に関しては教師への支援が必要なことがわかった。
著者
中島 純子 杉山 由紀子 神垣 久美子 大野 晃司 鈴木 雅信 清水 公也 魚里 博
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.177-183, 2001-07-15 (Released:2009-10-29)
参考文献数
17
被引用文献数
1

LASIK術後の低コントラスト視力を術前近視強度別に比較検討した。対象は近視矯正を目的としてLASIKを施行された40歳未満で、3か月以上経過観察可能であった症例27名53眼(男性7名、女性20名)である。術前の等価球面度数が-6D未満の症例を軽・中等度近視群(n=28)、-6D以上を強度近視群(n=25)とした。方法はLog MAR近距離視力表®(検査距離50cm・日本点眼薬研究所製)を用いて照度500lxの明室において完全屈折矯正下で25%、6%の低コントラスト視力を術前、術後一か月、術後3か月で測定した。結果は両群とも高コントラスト視力に有意差は認められなかったが、低コントラスト視力は術後有意に低下した。術前近視強度別においては強度近視群では術後コントラスト視力の優位な低下が認められたが臨床上問題となる1段階以上の低下は認められなかった。軽・中等度近視群では術前後で低コントラスト視力に有意差を認めなかった。LASIK術後、明所において収差、角膜の不正性はほとんど影響しないと示唆された。またLog MAR近距離視力表®はコントラスト感度の簡易評価が可能であるとともに、等間隔配列であるために微妙な視機能の変化を検出するうえにおいても非常に有用である。
著者
山内 康太 小柳 靖裕 岩松 希美 熊谷 謙一 藤本 茂 鈴木 聡
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.418-424, 2013-11-25 (Released:2013-11-25)
参考文献数
18
被引用文献数
3

要旨:【背景・目的】Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA)は脊髄小脳変性症における運動失調の評価を目的として作成された.脳卒中による運動失調をSARA にて評価した研究は少ない.本研究では急性期脳卒中におけるSARA の有用性について検討した.【方法】2011 年6 月から2012 月7 月までに椎骨脳底動脈領域の脳卒中による運動失調に対しリハビリテーションを施行した18 例を対象とした.発症1 週目におけるSARA,National Institute of the Health Stroke Scale(NIHSS),Functional Ambulation Category(FAC),Barthel Index(BI)および入院期間を調査し,SARA の有用性を検討した.【結果】発症1 週目におけるNIHSS とBIは相関を認めなかった(p=0.557,r=−0.148).しかしSARA とBI は有意な負の相関を認めた(p=0.001,r=−0.725).FAC に関しては,NIHSS との相関は認められず(p=0.582,r=−0.139),SARA とは負の相関を認めた(p<0.001,r=−0.800).NIHSS と入院期間に相関は認めなかった(p=0.550,r=0.151).SARA と入院期間は正の相関を認めた(p<0.001,r=0.874).【結論】脳卒中に伴う運動失調の重症度評価において,SARA はNIHSS に比べてFAC,BI,入院期間と相関が高く,有用であることが示唆された.
著者
坂本 悠斗 松浦 秀哲 矢田 智規 根岸 巧 鈴木 良佳 松野 貴洋 杉浦 縁 三浦 康生
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.698-703, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
5

クリオプレシピテート(以下,クリオ)はフィブリノゲン(以下,Fib)等の凝固因子を高濃度に含むため,大量出血時に使用することで凝固能を早期に回復させ,出血量や輸血量の減少に繋がるとされている。当院でも心臓血管外科(以下,心外)からの要望でクリオの院内作製を開始したので導入経緯と使用実績及び課題について報告する。対象はクリオを使用した心外の手術51症例(以下,投与群)とクリオ未使用の心外の手術94症例として,術式を大血管手術とそれ以外(以下,非大血管手術)に分けて比較検討した。調査内容は出血量,赤血球液(RBC)・新鮮凍結血漿(FFP)の投与量,濃厚血小板(PC)投与量,RBCとFFPの投与比(R/F比),ICU在室日数とした。クリオ投与患者には投与前後のFib値を測定し,統計学的解析を行った。クリオ投与前後のFib値は有意な上昇を認めた。大血管・非大血管手術の両者ともに投与群の方が非投与群と比較して,出血量が多かった。RBCおよびFFPの投与量は大血管手術の投与群で低い傾向があるが,非大血管手術の投与群では有意に多かった。クリオ導入当初,クリオの投与により血液製剤の使用量が削減できると期待したが現状では明確な輸血量削減効果は得られていない。輸血量を削減するためには,クリオを使用できる環境を整えるだけではなく,クリオを効果的に投与するために使用者の意識を変える必要がある。
著者
西東 力 鈴木 誠
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.232-236, 1982-11-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
11
被引用文献数
11 9

1980∼1981年に静岡県伊豆地方でツバキシギゾウムシの生活史を調査した。成虫は5月下旬から7月下旬まで観察され,6月にツバキ種子内に産卵した。ふ化幼虫は種子を摂食し,約1ヵ月で4齢まで発育した。7月下旬から老熟幼虫は果実に穴をあけて脱出し,ツバキ樹下の土中で幼虫越冬した。本種は伊豆半島の東部と南部で多発生していた。幼虫は昆虫病原糸状菌Metarhizium anisopliaeおよびBeauveria tenellaに対して高い感受性を示した。土壌殺菌の有無は菌の病原性に影響を及ぼさず,いずれの菌も土中で増殖することが示唆された。以上のことから,これらの菌を土壌施用することによってツバキシギゾウムシの微生物的防除ができるものと考えられる。
著者
鈴木 文武 岡本 友好 船水 尚武 伊藤 隆介 藤岡 秀一 矢永 勝彦
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.906-910, 2014 (Released:2015-10-30)
参考文献数
16

症例は70歳男性.繰り返す胃潰瘍で近医加療中,腹部CT検査にて膵体部に58mm大の腫瘤を指摘され,当院紹介受診となった.潰瘍部より2度の生検が行われたが,いずれも良性の診断であった.血液生化学検査では,CEA14.1ng/ml,CA19-9 45U/ml,AFP 507ng/mlと腫瘍マーカーの上昇を認めた.当院の腹部超音波検査では,膵体部に内部不均一で比較的境界明瞭な等~低エコーの腫瘤として描出された.超音波内視鏡下穿刺吸引生検の結果,低分化腺癌を認めた.膵悪性腫瘍の診断にて膵体尾部切除,リンパ節郭清を行った.術中に胃前庭部に漿膜側へ突出する腫瘍を認めたため,幽門側胃切除術を併施した.術後病理組織診断では,胃はAFP産生腫瘍であり,膵の腫瘤は胃癌の転移リンパ節であった.以上,膵腫瘤が発見契機となったAFP産生胃癌膵周囲リンパ節転移の切除例を経験した.膵腫瘤性病変にAFPの上昇を伴った場合は,胃の十分な精査が肝要と考えられた.
著者
岩坪 〓子 鈴木 恵三 今西 秀明
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.242-250, 1991-07-30 (Released:2010-10-27)
参考文献数
26

We made an oral survey of the Tibetans in three quite different areas and got interesting results. The comparative study was made in Karakoram (1974), North-west Nepal (1983), and Yunnan province, China (1989).1) In Karakoram, North-west Nepal, the number of cases of decidous tooth caries was extremely small. On the other hand, it was very great in Yunnan province.2) The eruption age of permanent teeth was quite similar in the three Tibetan areas. Japanese teeth change from deciduous teeth to permanent teeth at a younger age.3) In Yunnan province, the inhabitants had many decayed teeth in the upper front jaw, and few at lower front jaw. The number of decayed deciduous molars was large as in the Japanese.4) Caries surfaces: In Yunnan province, the number of cases of proximal and distal surface caries was great compared with that on occlusal and labiolingual surfaces. Caries in Yunnan province may be closely related to the manner of carbohydrate intake.
著者
三井 一希 戸田 真志 松葉 龍一 鈴木 克明
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.46010, (Released:2022-12-19)
参考文献数
26

本研究では,情報端末を活用した授業の設計を支援することを目指したシステムの開発を行い,その操作性と有用性(ユーザにとって有用と捉えられるか)を検証した.システムの設計にあたっては,先行研究から現状の問題点を抽出するとともに,ユーザーニーズの調査を行って5つの機能要件を定めた.そして,機能要件を満たすシステムをスマートフォン等で動作するアプリケーションとして開発した.開発したシステムを16名の教師が評価したところ,操作性については問題点が見られなかった.また,有用性については,特徴的な機能であるSAMRモデルに基づき授業事例を段階的に示すことを含め,機能要件に定めた項目について概ね良好な評価を得た.一方で,書き込み機能や実践のアップロード機能といったユーザ参加型の機能には,抵抗を示す教師が一定数いることが示された.
著者
大石 如香 永沢 光 鈴木 匡子
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.3-9, 2020-03-25 (Released:2020-04-15)
参考文献数
20

本邦における漢字と仮名の失読および失書に関する研究の歴史的経緯を述べ,日本語の文字特性を基盤とした読み書き障害の病態メカニズムの概要について述べた.次に,受賞論文で報告した仮名一文字と仮名単語の読みが乖離した左後大脳動脈領域梗塞による失読および失書例の神経心理学的研究を紹介した.最後に,日本語の読み書き障害のリハビリテーションにおける神経心理学的意義について述べた.
著者
大塚 久雄 松尾 雄司 鈴木 和則
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集 2003年秋の大会
巻号頁・発行日
pp.469, 2003 (Released:2003-12-17)

高レベル放射性廃棄物(以下HLW)固化体容積の小型化による処分空間減容効果を調べるため、有限要素汎用解析コードABAQUSを使用してニアフィールドの熱解析し、高充填条件を検討した。
著者
鈴木 純一
出版者
北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院
雑誌
メディア・コミュニケーション研究 (ISSN:18825303)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.1-19, 2021-03-30

The purpose of this thesis is to examine the concept of a metaphor by Paul de Man. A metaphor generally seems opposed to strict thought. A thinker as Locke criticized a metaphor for its meaning. But from the angle of the self-reference Paul de Man marks the function of the metaphor. By this method he estimates a metaphor highly and develops its possibility. A metaphor involves "cutoff" and "connection" process at the same time while duplicating the meaning of the expression. In other words, a metaphor functions as inconsistent two at the same time. A language reproduces oneself by this way and does a self-controlled movement. This feature enables that a language regards itself as a metaphor. Paul de Man participates in the thinking genealogy of Nietzsche and Derrida on this point.
著者
豊田 優 高田 龍平 松尾 洋孝 市田 公美 Blanka Stiburkova 鈴木 洋史
出版者
日本電気泳動学会
雑誌
電気泳動 (ISSN:21892628)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-5, 2021 (Released:2021-06-04)
参考文献数
25

ATP-binding cassette transporter G2(ABCG2)は,尿酸排泄臓器において体外へ尿酸を排泄する生理的に重要な尿酸輸送体であり,痛風・高尿酸血症の主要病因遺伝子である.最近我々は,日本人のみならず,世界的に見ても高尿酸血症・痛風の発症率が高いチェコ人症例にも着目し,ABCG2変異と尿酸関連疾患との関連を検討することで,その病態生理学的重要性を明らかにしてきた.また,in vitro機能解析を通じて,ABCG2の機能低下/欠損をもたらす変異を新たに20種類以上同定することにも成功している.ABCG2が重要な薬物動態規定因子のひとつでもあることを踏まえると,本研究を通じて得られた成果は,ファーマコゲノミクスの観点からも有益であるといえる.本稿では,個別化医療や予防医学への応用が期待されているこれら一連の研究成果について,最新の知見を交えて紹介したい.
著者
鈴木 信貴
出版者
日本経営学会
雑誌
日本経営学会誌 (ISSN:18820271)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.3-17, 2021 (Released:2022-12-16)
参考文献数
41

This study examines the management strategy of assembly manufacturer in the presence of highly competitive core module component manufacturer in modular industry. In recent years, modularization of products, division of labor in industrial structure and cost competition can be observed in various industries. Prior studies have argued that in such industries, assembly manufacturers seek to differentiate their products through the strategies: pursuing economies of scale, specializing in a niche, presenting a new concept or value to customers. However, if highly competitive core module component manufacturer is in such industries, the strategy and management of assembly manufacturers are severely constrained. Even if other component manufacturers exist, many assembly manufacturers are forced to procure components from a specific component manufacturer for the performance and function of their end products. Since core module component has a significant impact on the final products, assembly manufacturers are no longer able to differentiate their products. This study proposes coordination strategy among core module components as one of the possible management options for assembler. The coordination strategy is one in which assembler reduces its dependence on a specific component manufacturer by adjusting the differences in performance and function among core module components. In order to verify the validity of this strategy, this paper selects Mori Seiki, a machine tool manufacturer, as a case study and analyzes the approach for NC (Numerical Control). Mori Seiki tried to change its business relationship with Fanuc, the largest NC manufacturer, by increasing the number of suppliers of NC from the 1970s to the 1990s. But these efforts were not successful. In the 2000s, Mori Seiki changed the relationship with Fanuc by adjusting the differences between NCs through the development of MAPPS. From the case study, this study shows that when core module component manufacture is highly competitive in modular industry, it is difficult for the assembler to implement the strategies discussed by previous studies and the coordination strategy can be effective.
著者
鈴木 栄太郎
出版者
朝日新聞社
雑誌
大阪朝日新聞
巻号頁・発行日
1943-01-15