著者
武市 紀人 柏村 正明 中丸 裕爾 津布久 崇 福田 諭 鈴木 美華 宇佐美 真一
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.214-219, 2009 (Released:2009-09-18)
参考文献数
11

難聴遺伝子診断が有用であった1例を経験した。本例は成人両側感音難聴症例であるにもかかわらず, 現病歴, 家族歴が不明であり, 合併症である転換性障害による機能性難聴の可能性も否定できず, 診断と治療に苦慮した。難聴遺伝子診断によりGJB2遺伝子異常による遺伝性難聴の確定診断となり人工内耳埋め込み術を施行した。本例はGJB2遺伝子による難聴としては緩徐に進行した非典型例であったが, 人工内耳の装用効果は十分であり, 術前は困難であったテレビ視聴や単独での外出も可能となった。遺伝子診断は倫理的な課題も多く, 通常の検査と異なり専門医による十分な配慮, 準備が必要である。当院では遺伝子診療部が中心となり遺伝子に関する業務を行っており良好な検査の施行が行えた。難聴遺伝子診断は難聴患者の診断法として非常に有用と考えられるので今後のさらなる普及が望まれる。
著者
酒向 あずみ 左京 瑛奈 松永 浩明 関口 昌利 一色 滉平 越前 宏俊 伊藤 慎 鈴木 祥司 西 功
出版者
日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会
雑誌
アプライド・セラピューティクス (ISSN:18844278)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.124-134, 2022 (Released:2022-10-13)
参考文献数
17

本邦において外来心臓リハビリテーションに参加する患者集団における服薬アドヒアランスへの影響因子の検討は十分ではない。本研究ではこの集団の服薬継続支援のため、処方薬服用遵守度だけではなく患者の治療に対する自発性等も調査できる構造化対面式アンケート調査法を用いて服薬アドヒアランスの調査と影響因子の探索を行った。35名の患者からUenoらの質問票を用いて得た服薬アドヒアランス評価に関する下位尺度スコアは、「服薬遵守度」(中央値15点)及び「服薬の納得度および生活との調和度」(14点)は高かったが、「服薬における医療従事者との協働性」(8点)と「服薬に関する知識情報の入手と利用における積極性」(7点)が低値であった。また「服薬遵守度」は非就労者で高く(15点)、「服薬における医療従事者との協働性」は有配偶者で高かった(11点)。本研究は予備的ではあるが、今後外来心臓リハビリテーション患者の服薬アドヒアランス向上或いは維持を図るためには、薬剤師が「患者との協働性」を改善するために患者の求める情報の察知に基づく薬物の情報提供を行い、患者の治療への主体的参加への動機付けを高める事が重要であると考えた。
著者
鈴木 純一
出版者
Japanische Gesellschaft für Germanistik
雑誌
ドイツ文學 (ISSN:03872831)
巻号頁・発行日
vol.87, pp.86-95, 1991-10-01 (Released:2008-03-28)

Im Mai 1911 ist Thomas Mann mit seiner Familie nach Venedig gereist. Dort hat er selbst in Wirklichkeit fast alles erlebt, was Aschenbach in der Erzählung "Der Tod in Venedig“ erfährt. Besonders hat die Begegnung mit dem schönen polnischen Knaben große Bedeutung für die Entstehung und Konstruktion dieses Werkes gehabt. Natürlich ist Mann nicht am Liebeskummer um diesen schönen Knaben gestorben, aber er hat diese Erzählung als eine Fabel des Todes gebildet. Den Grund dafür muß man in der Bedeutung der Beziehung zwischen Aschenbach und Tadzio sehen.Aschenbach hat den etwas übertriebenen, aber typischen Charakter, den Mann in seinen frühen Erzählungen allmahlich gebildet hat und dem er später den Namen "Künstler“ als Bezeichnung für einen der Gesellschaft entfremdeten Außenstehenden gegeben hat. Indem er in der Metaebene über Welt und Gesellschaft steht und daraus seine Erzählwelt hervorbringt, hat er sich selbst darin relativ bestimmen und in sie hineinbringen können. Dabei kann man seine Erzählwelt als ein Selbstreflexionssystem, d. h. als ein Narzißmussystem betrachten, weil das Subjekt mit dem Objekt darin übereinstimmt.In dieser Erzählung spricht Tadzio selbst überhaupt nichts: sein Bild, seine Funktion und seine Bedeutung sind lediglich von der Seite Aschenbachs und von der des Erzählers gegeben. Zuerst erscheint Tadzio Aschenbach als vollkommenes Bild und reine Form der Schönheit, aber im Lauf der Zeit wird ihm die Bedeutung dieser Schönheit immer klarer. Tadzios Schönheit, die sich in den Augen Aschenbachs spiegelt, ist die des Narziß', der von seinem eigenen Spiegelbild fasziniert ist.Tadzio ist als Narziß zu verstehen, als das mythische Urbild des Narzißmus' Aschenbachs. Auch ist er das Bild der ursprünglichen Begierde Aschenbachs. Als Aschenbach diese Bedeutung Tadzios erkennt, wird er von einer Leidenschaft für Tadzio erfaßt. Seine Lust, Tadzio zu betrachten und zu schildern, hat sich dahin geändert, daß er sich stilistisch der Schönheit Tadzios anzugleichen versucht. So dringt die Seinsform Tadzios als der vollkommene Narziß in die Aschenbachs durch, das bedeutet zugleich, daß Aschenbach auf sein Ref exionssystem als Narzißmus verzichten muß.Die Lähmung seines Reflexionssystems breitet sich im wirklichen Lebensbereich aus, wo die Rolle dieses Systems, sich selbst zu erhalten und das eigcne Leben zu schützen, nicht mehr funktioniert, denn die Lust, Tadzios Seinsform nachzuahmen und zu verteidigen, geht ihr voraus. Das bedeutet, daß der Narzißmus, der aus dem Reflexionssystem entstanden ist, den Narziß der vollkommenen Selbstreferenz nie fassen kann. Dem Narzißmus, der bei jeder Reflexion notwendigerweise in die Metaebene übergehen muß, ist es theoretisch verboten, der Narziß selbst zu sein, der nur mit sich selbst spielt und dabei einen geschlossenen Zirkel bildet.Darum scheitern alle Versuche Aschenbachs, seine Seinsformn mit der Tadzios in Übereinstimmung zu bringen, während sein Ich, als das Meta-Subjekt über seiner Erzählwelt, dadurch stufenweise aufgelöst wird. In diesem Punkt erscheint der Narziß dem Narzißmus als das Fremde: tatsächlich nennt Aschenbach im Traum des Bacchus die Inkarnationen Tadzios "einen fremden Gott“ oder "die Fremden“.Aber der Narziß allein würde unsichtbar bleiben, wenn der Narzißmus dem Narziß nicht von außen die Bedeutung als solchen geben würde. Aber diese Funktion selbst verbietet dem Narzißmus seine ursprüngliche Begierde, der Narziß selbst zu sein.
著者
鈴木 高宏
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.104-113, 2018-10-31 (Released:2018-11-01)
参考文献数
14

長崎県は、わが国で最も多くの離島を有する都道府県であるが、その主要な離島地域の一つである五島列島地域において、その活性化と地域新産業の創出とを目指し、EV(電気自動車)とITS(高度交通システム)とを導入、統合連携および実装を行う長崎EV&ITSプロジェクトが、2009年から5年間のプロジェクトとして実施された。本稿では、同プロジェクトの企画立案、推進の要点とそれによる成果の概要、その後の同地域における展開について述べるとともに、このような先進技術の社会実装と地域活性化に向けての方策について提言する。
著者
鈴木 高宏
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.123-128, 2013-03-01 (Released:2013-06-19)
参考文献数
4

長崎県が五島列島地域において進めているEVとITSの実導入・実運用プロジェクト「長崎EV&ITS(エビッツ)プロジェクト」では,100台規模のEV導入からEVでストレスなく島を巡れる環境として急速充電器,ITSスポット等の整備を行い,「未来型ドライブ観光」モデルの構築による地域活性化を目指している.本稿では,その進捗状況の報告に加え,国内外にも先駆けたプロジェクトをきっかけに,直接間接に関連する様々な分野における取り組みが始まってきている.そうしたいくつかの事例についても紹介を行う.
著者
鈴木 謙一 高橋 成五
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.307-313, 2022 (Released:2022-03-01)
参考文献数
17

日本を取り巻く広大な海洋及びその資源の有効活用,老朽化する水中インフラや新たな水中インフラの増加に伴う効率的な水中構造物点検,スマート漁業の進展など,今後水中へのICT/IoT 技術の積極的な導入が期待されている.そのため,我々は地上並みの高速ネットワークを水中に実現し,水中の3D データを取得するため,水中ライダの検討を行ってきた.本論文では,特に水中の測距データを取得する水中ライダの開発に向けた取組みについて紹介する.まずライダについて紹介するとともに,可視光ライダ化が水中の物体の測距が可能であることを示す.次に可視光ライダを耐圧容器に収容することにより開発した水中ライダを用いて,実際に水中で物体の3D スキャンを行った結果を示す.今後,実験で明らかになった問題点への対策及び再実験による評価を重ね水中ライダの完成度を向上させる予定である.
著者
秋山 裕亮 岡田 睦 鈴木 浩文 難波 義治 三村 健 古南 典正
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2016年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.15-16, 2016-08-20 (Released:2017-02-20)

マイクロレンズアレイは従来、射出成形が主流であるが,加工に熱収縮を伴うため、寸法精度が確保しにくい.紫外線(UV)硬化樹脂成形では,紫外線照射で硬化するため,転写精度の向上が期待される.本研究では,Rバイトで無電解Ni製金型を超精密切削し、高精度が得られることを示した.さらに,この金型を用いたUV成形実験を行い,マイクロレンズアレイが精密成形でき、硬化時に空気圧を与えることで、精度が良好になった。
著者
会田 真衣 福間 理子 長谷川 潤一 西村 陽子 本間 千夏 佐治 正太 古谷 菜摘 美馬 康幸 倉崎 昭子 近藤 春裕 仲村 将光 鈴木 直
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.561-564, 2021 (Released:2021-12-10)
参考文献数
4

【目的】新型コロナウイルスワクチンに関する妊婦の不安,情報に関する問題を明らかにすること. 【方法】2021年6月,妊婦健診受診中の妊婦に,コロナウイルス感染症に関するアンケート調査を行った. 【結果】総回答数は284で,74%の妊婦はPCR検査を受けたいと回答し,妊婦にワクチン接種ができることを知っていたのは70%であった.実際,ワクチンを受けたいと考える妊婦は40%,受けたくない妊婦の82%は副作用を懸念していた.53%の妊婦はそれなりに情報収集していると回答し,情報源としてはテレビやWebが多かった.医療機関の情報提供は半数以上の妊婦に普通であると評価された. 【結論】コロナ禍における妊婦は感染を不安に思い,自らの抗体保有の状態を把握したいと考え,免疫獲得を希望していた.一方,ワクチンに対する不安を抱える妊婦も少なくなく,適切なテレビ,医療機関などを介した情報提供が必要である.
著者
土田 浩之 棚橋 雅幸 鈴木 恵理子 吉井 直子 渡邊 拓弥 千馬 謙亮 喚田 祥吾 井口 拳輔 内山 粹葉
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.116-121, 2021-03-15 (Released:2021-03-15)
参考文献数
13

過去13年間において当院で手術加療した特発性血気胸15例について臨床的特徴を検討した.診断から手術までの平均時間は28.3時間(2-87時間).手術アプローチは小開胸を併用した胸腔鏡下手術13例,3PORTの胸腔鏡下手術2例であった.全例で胸腔頂部壁側胸膜の血管が出血源と同定でき,5例で複数ヵ所から出血を認めた.総出血量は平均1,298 mL(200-2,670 mL)で4例に輸血を要し,うち2例は術前にショック症状を呈していた.術後胸腔ドレーン留置期間は平均3.1日(2-7日)で,術後平均在院日数は5.4日(3-8日)であった.特発性血気胸は出血性ショックのリスクが高く緊急手術の適応と考えられ,手術の際は詳細な胸腔内観察が重要である.
著者
鈴木 康久 山崎 達雄
出版者
京都産業大学日本文化研究所
雑誌
京都産業大学日本文化研究所紀要 = THE BULLETIN OF THE INSTITUTE OF JAPANESE CULTURE KYOTO SANGYO UNIVERSITY (ISSN:13417207)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.89-152, 2021-03-31

京都市民の憩いの場である鴨川は、江戸期の寛文年間に整備された新堤によって空間的な基盤が整ったといえる。この新堤に関する研究は少なく、実態が明らかにされていない。そこで、2018 年に京都産業大学図書館が入手した宝永年間の作成と考えられる「川方勤書」と、表裏一体となる「賀茂川筋名細絵図」の記載に基づき、堤防の整備区間、形状、管理手法について明らかにすると共に、堤防の整備目的について考察した。その結果として明らかになったことは、寛文年間に鴨川の五条橋から上流の両岸に約4200 間の新堤が整備された。その後、洪水の度に西堤は修復を行っていたが、東提は延宝二年と四年の洪水で流失している。そこで、元禄十一年に改修が行われたが、東堤では下鴨領境から下鴨神社の間と、九条殿下屋敷から二条通の間は改修されずに遊水地となっていた。堤防の形状については、西堤の堤防高が2 間に対して、東堤は1 間と洪水が起きた際には東提側に溢れるようにされていたことが明らかとなった。新堤の整備目的は、この遊水地の存在と堤防高の違いなどから、洛中を洪水から守るためと考えられる。さらに、堤防の修復については、修復業務全体を川方が担い、大工方が仕様書を作成し、落札者を奉行所の与力が決める分業体制が整っていたことなど、堤防の整備内容や管理など様々なことが明らかとなり、江戸期における治水行政の一端を知ることができた意義は大きい。
著者
鈴木 登
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.6, pp.1097-1105, 2001-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
19

代表的な膠原病である慢性関節リウマチ(RA)では神経,内分泌,免疫系の相互作用がその病態形成に関わる. RAでは,関節滑膜細胞によって分泌された炎症性サイトカインが関節局所の炎症を惹起し,同時に,全身性の急性炎症反応を引き起こす.それに伴い,患者では神経・内分泌・免疫軸の強い変化をきたす.RA患者では視床下部・下垂体・副腎軸の欠陥,血中プロラクチンレベルの上昇,さらに血中性ホルモンレベルの異常が報告されている.これまでに中枢,末梢神経系による神経ペプチドを介した滑膜細胞機能の調節の不調がRAの炎症の惹起の少なくとも一部に関わることが示唆されている.我々の研究室では神経-内分泌-免疫軸の相互作用に関わる効果分子である内分泌ホルモン,オピオイド,神経伝達物質および神経ペプチドがRA関節滑膜細胞機能の調節に働くことを報告した.それらは実際,関節局所で産生・分泌され,またそれらの受容体は炎症関節内の各種細胞に発現されている.神経ペプチドや各種ホルモンはRA患者の全身性急性期反応に働くだけでなく, RA関節局所の炎症に直接作用する. RAでは神経ペプチドや各種ホルモンの不調が関節炎症を悪化させ,さらに全身性の免疫系,神経系,内分泌系そのものあるいはそれらの相互作用の不調をもたらすと考えられる.神経-内分泌-免疫の相互作用を,ホルモン,神経伝達物質,神経ペプチドなどの分子レベルで解析し,それらを応用することがRA治療への新しいアプローチとなる.
著者
上門 雄也 大和田 勇人 金盛 克俊 鈴木 正昭
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回 (2017)
巻号頁・発行日
pp.1K25, 2017 (Released:2018-07-30)

転職サイトは企業の求人広告を載せ、掲載料をもらうことで収益をあげている。なので、転職希望者が多ければ多いほど収益が多くなる。しかし、転職希望者は転職サイトに登録しても一度も応募せず離脱してしまうことが多い。そこで、本研究は職務経歴書を用いて離脱する会員と離脱しない会員の違いを特定する。また、会員の登録情報とテキストデータを統合することで会員の離脱予測の精度を上げる。
著者
生田 陽二 伊藤 麻美 森 貴幸 鈴木 洋実 小出 彩香 冨田 直 清水 直樹 三山 佐保子
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.283-284, 2017 (Released:2017-07-12)
参考文献数
9

6歳女児. 発熱・頭痛で発症 (第1病日), 第7病日に傾眠傾向とけいれんが出現し入院. 頭部MRI拡散強調画像では大脳皮質に広範囲の拡散制限を, 脳波では高振幅徐波と全般性あるいは多焦点性の棘徐波複合を認めた. 入院時より下肢間代発作や全身強直発作が群発し, 人工呼吸管理とした. 発作は治療抵抗性で, 第9病日にthiopental (TP) 持続投与を開始したところ, 臨床発作は消失した. TP開始後, 心機能悪化が懸念されたため他の抗てんかん薬を併用してTPの減量を試みた. しかし部分発作が再発し, 脳波も数十秒間連続する多棘波が5~10分間隔で出現する非臨床発作と考えられる所見となり, TP離脱は困難であった. 第24病日に24時間の絶食期間を経てケトン指数3 : 1でケトン食療法を開始したところ, 絶食開始24時間後には背景脳波活動の改善がみられ, ケトン食開始後は速やかに発作と脳波上の棘波が減少した. 第35病日以降, 発作は消失し第42病日にTPを終了した. 以上の経過より, 本症例はTPからの離脱にケトン食療法が有効であった難治頻回部分発作重積型急性脳炎 (AERRPS) と診断した. AERRPSでは抗てんかん薬の大量かつ長期間の経静脈投与を必要とし, 心機能を含めた臓器障害が問題となる. 抗てんかん薬経静脈投与からの離脱困難例においてケトン食療法は選択肢の一つであり, 輸液中の糖質制限が発作抑制に有効である可能性が示唆された.
著者
田渕 浩康 河原崎 秀志 桑村 友章 山田 和生 横田 克長 宮島 一人 鈴木 史忠 後藤 正夫 木嶋 利男
出版者
日本有機農業学会
雑誌
有機農業研究 (ISSN:18845665)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.69-78, 2017-09-30 (Released:2019-05-21)
参考文献数
31

有機農法,自然農法による畑地の連作栽培の可能性とその特性を明らかにすることを目的に,1996年秋作より,有機物のみの連用によるキャベツの連作栽培試験を実施した.その結果,10年間の平均収量は,化学肥料(化肥)区で22,700kg/haに対して,牛糞堆肥(牛糞)区で22,800kg/ha, 草質堆肥(草質)区で22,400kg/haであった.春作における収量推移は開始当初,化肥区に比べて堆肥区で収量が低く,1年目から3年目の間にいずれの処理区も減収していった.4年目からはいずれの処理区も増加に転じ,連作5,6年目には収量が回復しつつ,それ以降は処理区間の収量差はみられなかった.秋作では,開始から5年間の収量は化肥区で16,200-32,700kg/haに対し,牛糞区で25,100-39,300kg/ha, 草質区で18,100-36,600kg/haと比較的安定し,春作のような1~3年目の減収はみられなかった.6年目以降の収量は全体的に低下していき,堆肥区に比べて化肥区で低いことが多かった.主な発生病害は,春作ではRhizoctonia solaniによる株腐病,秋作ではSclerotinia sclerotiorumによる菌核病であったが,連作7年目に激発した菌核病被害が8年目以降はほんどみられなくなる「発病衰退現象」が観察された.土壌化学性では,有機物の連用により可給態窒素や有効態リン酸含量の増加が確認された.牛糞堆肥の連用ではカリウムの蓄積による塩基バランスのくずれ等に配慮が必要であることが示唆された.