著者
池邉 哲郎 大関 悟
出版者
福岡歯科大学学会
雑誌
福岡歯科大学学会雑誌 (ISSN:03850064)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-10, 2009-03-31

An increasing number of cases for bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw (BRONJ) have been reported since the first publication regarding it in 2003. Bisphosphonate, a drug to inhibit osteoclast activity, is administered intravenously or orally to the patients suffering from multiple myeloma, cancer bone metastasis and osteoporosis in order to treat the pathological bone resorption. In BRONJ, however, this drug is thought to impair bone turnover and angiogenesis of the jaw, leading to bone necrosis as an adverse side effect. Bone necrosis is occasionally triggered by dental surgery such as tooth extraction, promoted by bacterial infection, and exposed out of gingiva. The incidence of BRONJ in the patients taking oral bisphosphonate is very rare, but there have been considerable numbers of BRONJ occurring. Because the population of osteoporosis patients taking oral bisphosphonate increases year after year, dentists and oral surgeons must be careful at treating such patients for BRONJ. In this review, the recent findings, concepts and management for BRONJ are presented. The occurrence of BRONJ seems to clarify the critical role, osteoclasts play in the bioregulation mechanism of the jaw.
著者
関谷 光信
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.445-451, 2008-10-10 (Released:2008-10-13)
参考文献数
12

有機ELディスプレイは自発光で高画質,超薄型・軽量で低消費電力化の可能性を持つディスプレイとして期待されている.これまで車載用ディスプレイや携帯機器用ディスプレイとして使われてきたが,当社では2007年11月に11型の有機ELテレビ(XEL-1)を発売し,有機ELディスプレイのテレビ用途としての先鞭をつけた.本稿では当社が開発している有機ELディスプレイ技術と,その優れた画質性能を紹介するとともに,今後の有機ELディスプレイの大型化に向け開発している技術に関しても紹介する.
著者
大丸 裕武 梶本 卓也 小野寺 弘道 岡本 透 関 剛
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.463-471, 2000-09-15 (Released:2009-09-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

1999年4月21日, 岩手県岩手郡松尾村籐七温泉付近の斜面で幅約100m長さ約300mの全層雪崩が発生した.雪崩が発生した斜面は谷地形の発達が悪い地すべり滑落崖で, アバランチシュートなどの常習的な雪崩の発生を示唆する地形は見られなかった.この雪崩は発生斜面における雪食地の拡大と堆積地における亜高山帯林の破壊という景観変化を伴っていた.空中写真判読と現地調査の結果, 同様の景観変化は八幡平の稜線部の鏡沼付近においても, 1986年頃に起きたことが明らかになった.これまで雪崩災害の報告が少かった八幡平地域においても, 頻度は低いものの比較的大規模な全層雪崩が発生していると考えられる.
著者
坂本 圭 小渕 千絵 城間 将江 松田 帆 関 恵美子 荒木 隆一郎 池園 哲郎
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.92-98, 2014

要旨: 人工内耳装用者 (以下CI装用者) の語音聴取における発話速度の影響と, 聴取能を補うための休止区間挿入の効果について検討した。対象は健聴者10名, CI装用者13名であり, 通常の発話速度 (以下, 基準文) を1倍速とし, これに対して2段階に倍速にした音声 (1.5倍速, 2.0倍速, 以下倍速文) の聴取成績を分析した。また, 各倍速音声に休止区間を文節, ランダムの2種の方法で挿入しその効果を実験的に検討した。この結果, 両対象者共に発話速度が速くなるにつれて有意に正答率の減少がみられた。特にCI装用者で顕著であり, 2.0倍速ではほとんどのCI装用者が聴取困難となった。また, 休止区間挿入の効果は, CI装用者で1.5倍速文においてのみ有効であった。倍速音声聴取が困難であるCI装用者であっても休止区間挿入により処理時間が確保され聴取能改善につながるため, 会話時においては意味的に区切って発話することの重要性が示唆された。
著者
大淵 麻衣子 住谷 昌彦 平井 絢子 佐藤 可奈子 冨岡 俊也 小川 真 辛 正廣 関山 裕詩 山田 芳嗣
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.44-47, 2011 (Released:2011-06-04)
参考文献数
10

慢性痛の重大な併発症として睡眠障害が挙げられるが,睡眠障害は患者の自覚的な訴えやアンケート調査によってしか評価されていない.睡眠・覚醒リズムを判定することができる腕時計型高感度加速度センサー(actigraphy®)を用いて慢性痛患者の睡眠障害を脊髄電気刺激療法の前後で客観的に評価した2症例を報告する.症例1は腕神経叢引き抜き損傷後痛み,症例2は閉塞性動脈性硬化症による足趾切断術後の難治性の痛みであった.いずれも薬物療法抵抗性の痛みであり,深刻な睡眠障害を併発していたことを客観的に評価できた.両症例とも脊髄刺激療法の導入によって睡眠効率(就床から起床までの時間に対する実睡眠時間の割合)が改善した.難治性痛みの治療は痛みだけでなく quality of life(QOL)の改善が重要であるが,睡眠障害の客観的評価は新たな評価基準に成りうる可能性がある.
著者
関根 良弘
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.93, no.4, pp.319-320, 1987-04-15
著者
佐山 公一 関口 椋太
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

中学生の学習動機の高低が内申書の高低とどう関係するかを,質問紙調査を行い調べた。調査は,塾の教室で授業後の時間を使って行われた。30人の中学生が,20の質問(達成目標傾向尺度,速水・伊藤・吉崎,1989, 2007)に回答した。因子分析(反復主因子法,エカマックス回転)を行い,固有値の推移から,3因子が見いだされ,純粋に勉強ができるようになりたいと思う学習願望,勉強ができると認められたいと思う承認欲求,賞賛や優越感を他者から感じる自己優越感,と解釈した。各因子の因子得点を計算し,内申書の成績で違いがみられるかどうかを分散分析した。その結果,学習願望では,内申書の主効果が認められた。上位(A,B)は,中位(C,D,E,F),下位(G,H,I,J,K)よりも有意に学習願望が高かった。これとは対照的に,承認欲求と自己優越感では,上位,中位,下位で違いが認められなかった。
著者
中川 ゆり子 金田 純平 林 良子 佐野 真弓 佐藤 正之 関 啓子
出版者
日本言語聴覚士協会
巻号頁・発行日
pp.174-183, 2010-11-15

MIT日本語版は発語失行の治療技法であり,その有効性は,1983年,関らにより確認された.しかし,それ以降日本語版に関する報告はなく,わが国で日本語版が普及しているとは言い難い.そこで,本研究の目的を①日本語版の有効性を客観的に再検証する,②音響分析で前後の発話特徴を比較する,こととした.対象は58歳男性,脳梗塞発症1年1か月後の重度Broca失語症者で,MITを10日間行い,前後の発話を比較した.MIT後,訓練課題およびこれと同アクセントの非訓練課題で音の正答数が有意に増加し発話明瞭度が改善したが,異アクセントの非訓練課題では改善しなかった.本研究では維持期の失語症者に,効果測定デザインを用いて短期介入を行い,介入効果と,その他自然回復などの要因を可能な限り区別した.発話判定を第三者が行った本研究はMIT日本語版の有効性を客観的に証明したといえる.
著者
竹内 義真 紙本 篤 古地 美佳 関 啓介 髙見澤 俊 宮崎 真至
出版者
日本歯科医学教育学会
雑誌
日本歯科医学教育学会雑誌 (ISSN:09145133)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.42-49, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
7

抄録 日本大学歯学部付属歯科病院 (以下, 当院) は, 島しょ地区の各診療所 (以下, 離島歯科研修施設とする) を研修協力施設に設定し, 離島歯科研修を地域歯科医療分野の歯科医師臨床研修プログラムに導入している. 各離島歯科研修施設では, 当院の指導歯科医および研修歯科医が2人1組を編成して, 島民のニーズに応じた地域歯科保健や歯科医療を目的に1週間の研修を実施している. 研修歯科医の研修では, 離島歯科研修終了後にポートフォリオ作成の一環として研修体験シート, 総括的自己評価シート, 研修歯科医診療・介補記録, 離島歯科診療における自己評価チェックリストを作成する. また, 指導歯科医も研修歯科医に対する評価チェックシートを作成する. 離島歯科研修が歯科医師臨床研修に有益であることは, 2007年に日本歯科医学教育学会雑誌で報告している. 今回は, 2009年から2018年の研修歯科医138名の既存データをもとに, 離島歯科診療における診療内容, 研修歯科医の自己評価と指導歯科医の評価の比較および研修体験シートと総括的自己評価シートの自由記載を, テキストマイニングツールにてテキストマイニングを行い分析した. その結果, 離島歯科研修は研修歯科医が地域社会における歯科の役割を理解し, 医療人としての人格を育てる機会となり, 生涯研修の第一歩となることが示唆された.