著者
小関 篤史 江村 超 熊谷 正朗
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2002, 2002
被引用文献数
1

本研究は4脚ロボットの不整地動歩行に関するものである。不整地としては, 踏み越え可能な水平な段差, より高い障害物, 斜面を想定し, ステレオビジョンによって地形情報を得て, 歩容生成を行う。まず, 歩行しながら, ロボット前部に取り付けた2個のカメラにより路面を左右方向に渡って観測し, 視差を検出することで路面の相対的な高低の分布を得る。この分布より回避すべきか否かを, また進行可能である場合, 時間変化より平坦な段差か斜面であるかを判断し, 必要な歩容の生成を行った。12自由度のロボットを用いて, 姿勢センサ等の情報による補正を加えてトロット歩容を行った。
著者
関本 美紀 深山 早苗 沖島 厚子 平岡 勝則
雑誌
研究報告ドキュメントコミュニケーション(DC) (ISSN:21888892)
巻号頁・発行日
vol.2019-DC-115, no.3, pp.1-6, 2019-11-27

近年のソフトウェア開発ではアジャイル開発が主流となり,ドキュメントもアジャイル開発に沿った開発方法やユーザーが求めるものを取り入れていく必要がある.筆者が所属するソフトウェア開発部門でもアジャイル開発や UX を取り入れた開発プロセスを策定し推進しているが,プログラム開発に重点が置かれており,ドキュメント開発では参考になる手法が不足している.そこで,情報を最適化する UX の要求開発手法を用いて抽出した 「ユーザーのタスク」 を利用することで,「ユーザーの価値を反映したドキュメント」 を可能とするアジャイル開発におけるマニュアル開発手法を検討 ・検証した.アジャイル開発におけるマニュアル開発手法を紹介し,今後の展開を述べる.
著者
関口 伸子 藤村 理佳 村田 容常 本間 清一
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.689-698, 1992-04-01 (Released:2008-11-21)
参考文献数
11

インスタントコーヒー中のFe(II)と結合する成分を検索する目的で,0.1mMのFeSO4を含む0.01M酢酸緩衝液(pH4)を溶出液とするゲル濾過HPLC(カラム平衡法)を用いて実験を行った. (1) EDTAをHPLCにかけると,溶離液中のFeの濃度の平衡がくずれ,EDTAの濃度に比例したFe濃度の山と谷ができた. (2) コーヒー,モデルメラノイジン,フィチン酸,カフェイン,クロロゲン酸の鉄結合性をカラム平衡法で検討したところ,コ一ヒー,モデルメラノイジン,フィチン酸にはFe(II)との相互作用があることがわかった.カフェイン,クロロゲン酸のFe(II)との相互作用は本法ではなかった. (3) イソプロピルアルコールを用いてコーヒー成分の分画をこころみた.70%イソプロピルアルコールが可溶性成分と不溶性成分の分離に一番有効であることがわかった. (4) コーヒーの70%イソプロピルアルコール不溶性成分を水抽出し,トヨパールHW-40 (coarse)で分画したところ,中間に溶離する可視部の吸光度の低い画分と,最後に溶離する赤褐色のクロロゲン酸残基を含む画分はFe(II)との相互作用があった. (5) コーヒーの70%イソプロピルアルコール可溶性成分をトヨパールHW-40 (coarse)で分画したところ,最初に溶離する褐変色素の画分はFe(II)との相互作用があった. (6) コーヒーの70%イソプロピルアルコール不溶性成分を水抽出したあとの繊維状の不溶性物質にもFe(II)との相互作用があった. 終わりにインスタントコーヒーを提供していただいたネッスル株式会社に感謝いたします.
著者
関根 康正 杉本 良男 永ノ尾 信悟 松井 健 小林 勝 三尾 稔
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1990年代以降のインド社会において宗教対立が深刻化しているが、それが経済自由化と平行現象であることに注目した。本研究は、近年のグローバリゼーションの進展と「宗教空間」の変容をどのように対応づけられるのかを、具体的な日常現場の調査を通じて明らかにすることをめざした。この基礎研究によって、日常現場から見えてくるHindu Nationalistとは言えない「普通」の人々の宗教実践から、政治的な場やメディアなどでの「宗教対立」の言説を、正確に相対化し、「宗教対立」問題を見直すのである。明らかになってきたことは、生活現場の社会環境の安定性の度合が、「宗教対立」現象に関与的な主要因子である点である。要するに、それが不安定になれば上から「宗教対立」の言説に惹かれて不安の由来をそこに読みとってしまう「偽りの投影」に陥りやすくなるのである。逆に、安定性が相対的高い村落部では現今の「対立」傾向を知りつつも生活の場での「共存・融和」を優先させている現実が明らかになった。各地の現地調査から共通して見出された重大な事実は、そうした村落部でおいてさえ、都市部ではなおさらであるが、宗教のパッケージ化が進んできていることである。これは、生活文化におけるローカルな知識の急速な喪失を意味し、それと入れ替わるように生活知識のパッケージ化が進行し、宗教面においてもしかりである。宗教版グローバル・スタンダードの浸透現象である。これは、「宗教対立」を起こしやすい環境を整えることにもなる。その意味で、私達が注目した宗教の裾野や周辺現象(スーフィー聖者廟、女神信仰、「歩道寺院」、村落寺院、地方的巡礼体系、部族的社会様態など)への関心とそれに関する詳細な実態報告は、それ自体パッケージ化やスタンダード化に抗するベクトルをもつものであり、そうしたローカルな場所に蓄積されてきた知恵を自覚的に再発見する環境づくりを整備することが、「宗教対立」という言説主導の擬態的現実構築を阻止し解体のためにはきわめて重要であることが明らかになった。
著者
関根 康正 鈴木 晋介 根本 達 志賀 浄邦
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

関根は、2018年8月~9月に英国現地調査を実施した。移民3世が登場する1990年代以降、インド系移民社会内部に新たに現象してきた「不可触民」差別に対する解放運動の実態について関係組織を訪問しインタビューを行った。また、ロンドン大学SOAS図書館で関係資料収集を行った。2019年1月の研究会でその成果を「英国・ロンドンでのインド系移民のアンベードカラトの反差別運動について」と題して報告をした。根本は2018年8月~9月および2019年2月~3月、インドのナーグプルで計4週間のフィールドワークを行なった。特に仏教僧佐々井秀嶺が現地に保管する不可触民解放運動史料の確認・整理に取り組みつつ、佐々井と仏教徒による創発的な宗教実践と当事者性の拡張について調査を実施した。これに加え、ナーグプルおよび近隣農村におけるダリト(元不可触民)活動家男性と上位カースト女性の異カースト間結婚の調査にも取り組んだ。鈴木は2019年2月にスリランカでのフィールドワークを行った。シンハラ仏教僧や在スリランカ・インド僧(Mahamevnawa僧院)への追加インタビューを通じて、南アジア上座部仏教圏におけるアンベードカライト的言説の評価の輻輳性の考察に資する言説データを蓄積するとともに、巡礼を中心としたインド、スリランカ両国仏教徒のトランスナショナル・ネットワークの実態に関する一次資料の収集に取り組んだ。志賀は文献研究として、アンベードカルによる『ブッダとそのダンマ』の第3部と『改宗(ヒンドゥー教からの離脱)』のテキスト分析と内容の比較を行った。定例の研究会においては、仏教徒のアイデンティティの二重性、改宗が持つ意味、仏教徒の行為主体性等について考察し報告した。また2019年3月にインド・ナーグプルを訪問し、トランスナショナルな仏教者ネットワークや仏教徒の行為主体性などについて現地調査を行った。
著者
藤本 智子 井上 梨紗子 横関 博雄 伊東 慶子 大嶋 雄一郎 柳下 武士 玉田 康彦
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.123, no.3, pp.281-289, 2013-03-20 (Released:2014-10-30)

原発性手掌多汗症の中等症から重症(発汗量≧0.5 mg/cm2/min)の患者90例を対象に,20%塩化アルミニウム液・50%塩化アルミニウム液・プラセボの3群に無作為割付し,1日1~2回8週間の単純塗布を二重盲検下で行った.評価項目として発汗量・HDSS(Hyperhidrosis disease severity scale)・DLQI(Dermatology life quality index)を用い他覚的,自覚的な症状改善度を測定し治療経過中に診察と患者日誌を用いて副作用を集計した.結果85例がプロトコールを終了し,塩化アルミニウム液の外用群では濃度依存性に8週間後の発汗量の減少を認め,群間比較では治療8週間後の50%濃度群がプラセボ群と比較して統計学的に有意な(p<0.05)発汗量減少を認めた.患者の自覚症状であるHDSS,DLQIについては塩化アルミニウム液の外用群は2週間後から有意な(p<0.001)改善を認めたが,プラセボ群もHDSSでは4週間後から改善を認め(p<0.05),DLQIでは2週間後から有意な改善を認めた(p<0.01).以上の結果から原発性手掌多汗症に対する塩化アルミニウム液の外用療法の有効性を認めた.副作用として外用部位への刺激皮膚炎が濃度依存性に認められ,外用方法の指導と基剤の検討が今後必要であると考えた.一方塩化アルミニウムの血中濃度の上昇はみられず,体内への移行性は認めなかった.
著者
関 伸一 安田 雅俊
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.33-40, 2018 (Released:2018-07-31)
参考文献数
48

クリハラリスCallosciurus erythraeusは日本各地で野生化し分布を拡大しつつある外来の樹上性リスであり,鳥類の巣で卵や雛を捕食して繁殖を阻害すると推測されているが,捕食行動の観察事例は稀である.そこで,クリハラリスが高密度に生息する大分県の高島において,鳥類の巣を模した擬巣にウズラCoturnix japonicaの卵を入れて森林内に設置し,自動撮影カメラで捕食者を特定することによりクリハラリスによる卵捕食の頻度を調査した.3週間後には25個の擬巣のうち24個(96%)で卵が消失し,いずれも最初に巣の入り口で撮影されたのはクリハラリスであったことから,全てクリハラリスが卵を捕食したものと推定された.9個の巣では捕食者となる可能性のあるハシブトガラスCorvus macrorhynchosおよびクマネズミRattus rattusも撮影されていたが,いずれもクリハラリスが複数回訪れた後での記録であった.クリハラリスが擬巣の入り口に最初に接触した日時を捕食の時期とすると,卵が捕食されるまでの平均日数は2.7日で,1日あたりの擬巣の生残確率は0.72と低く,クリハラリスが鳥類の繁殖に対して影響の大きい捕食者となっている可能性が示された.狭い行動圏内で複数個体が重複して食物の探索をするクリハラリスの生息地の利用様式によって,その他の捕食者による場合と比べて短期間に高い確率で擬巣が発見され,捕食されるのかもしれない.
著者
関口 覚
出版者
東京農業大学農業経済学会→食料・農業・農村経済学会 (121号-)
巻号頁・発行日
no.104, pp.27-41, 2007 (Released:2011-03-05)

群馬県藤岡市においては、水田灌漑用水不足対策として昭和初期国庫補助を受け県営事業により三名川を水源とする三名川貯水池を築造した。しかし、事業は計画から大きく乖離し、水田開拓が進むなどで水不足問題は一層深刻になっていた。戦後、三名川貯水池用水改良事業の補完と、更なる開田推進を目的として、昭和21年藤岡地域内を流れる鮎川に水源を求め国庫補助による県営「鮎川用水改良事業」に着手することとなった。当事業は、激しいインフレによる工事費の増嵩によって、改良区は金融機関からの借入金に依存する赤字経営に陥ると同時に、地元農民の負担金が過重になっていた。本稿は、国策食糧増産を至上命題とする社会経済体制下での土地改良事業と、インフレで工事費負担増に苦闘する財政不振の耕地整理組合(土地改良区に継続)の組織運営と地域農民の対応を実証的に考察した。
著者
浅見 徹 江崎 浩 関谷 勇司 斎藤 賢爾 山下 達也 岩浪 剛太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.95, no.9, pp.809-814, 2012-09-01
参考文献数
5

本稿は平成23年12月に解散したネットワーク高度利用推進協議会の活動報告である.平成19年8月, Winnyに代表されるP2P (Peer to Peer)技術による著作権侵害や情報漏えいによる通信業界の混乱と,それによる商用P2Pサービスの立ち遅れが目立った日本の事情を鑑み, P2Pネットワーク実験協議会が設立され,キャッシュ技術全般に対象を拡大したネットワーク高度利用推進協議会に発展し,後述するヒントサーバ実験や標準化活動, P2Pガイドラインの制定,優良P2Pの認定等普及啓発活動を行った.第171回通常国会で著作権法が一部改正され,送信を効率的に行うために必要と認められる限度において著作権侵害にはならないことが明確になった.
著者
下野 泰雄 西田 充 関 八千穂
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1101, pp.494-502, 1987-05-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
26
被引用文献数
2

This report describes the formation of foam glass made from abundant glassy volcanic ashes existing in south Kyusyu (Kagosima-ken), Hokuriku (Ishikawa-ken), and Hokkaido. A specified batch composition in the system volcanic ash, sodalime-silica glass, and sodium silicate (anhyd.), has been calcinated at 900°C for 10 minutes in an electric furnace to obtain foam glass. This experiment has provided various usefull foam glasses with desired quality, for insulating materials (bulk density: 0.23Mg/m3, thermal conductivity: 0.07W/m·K) and inner or/and outer sawing materials (bulk density: 0.65Mg/m3, thermal conductivity: 0.14W/m·K). All volcanic ashes used in this experiment has satisfied requirements for raw materials. When the six definite straight lines are extrapolated to find by plotting the physical properties (bulk density, thermal conductivity, average pore diameter) of foam glass on various amounts of the soda-lime-silica glass at the right-angled coordinates definates x-axis as the amount of sodium silicate (anhyd.) including the glass batch, and y-axis as the physical properties, every lines intersected and converged on one point. When the intersectional coordinates are the bulk density and thermal conductivity of foam glass, all the values of x-axis are the same. And, when the intersectional coordinates are the average pore diameter of foam glass except Sample No. 2, all the values of y-axis are the same. It was found that all the glassy volcanic ashes used in this experiment have essentially the same property ranging from south Kyusyu to Hokkaido.
著者
佐野 始也 松谷 英幸 近藤 武 関根 貴子 新井 雄大 森田 ひとみ 高瀬 真一
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.903-912, 2009-07-20 (Released:2009-08-07)
参考文献数
12
被引用文献数
5 3

Helical pitch (HP) usually has been decided automatically by the software (Heart Navi) included in the MDCT machine (Aquilion 64) depending on gantry rotation speed (r) and heart rate (HR). To reduce radiation dose, 255 consecutive patients with low HR (≤60 bpm) and without arrhythmia underwent cardiac MDCT using high HP. We had already reported that the relationship among r, HP, and the maximum data acquisition time interval (Tmax) does not create the data deficit in arrhythmia. It was represented as Tmax= (69.88/HP-0.64) r; (equation 1). From equation 1, HP=69.88 r/ (Tmax+0.64 r); (equation 2) was derived. We measured the maximum R-R interval (R-Rmax) on ECG before MDCT acquisition, and R-Rmax×1.1 was calculated as Tmax in consideration of R-Rmax prolongation during MDCT acquisition. The HP of high HP acquisition was calculated from equation 2. In HR≤50 bpm, Heart Navi determined r: 0.35 sec/rot and HP: 9.8, and in 51 bpm≤HR≤66 bpm, r: 0.35 sec/rot and HP: 11.2. HP of the high HP (16.4±1.2) was significantly (p<0.0001) higher than that of Heart Navi HP (10.9±0.6). The scanning time (6.5±0.6 sec) of high HP was significantly (p<0.0001) shorter than that of Heart Navi (9.0±0.8 sec), and the dose length product of high HP (675±185 mGy⋅cm) was significantly (p<0.0001) lower than that of Heart Navi (923±252 mGy⋅cm). The high HP could produce fine images in 251/255 patients. In conclusion, the high HP acquisition is useful for reduction of radiation dose and scanning time.
著者
小崎 道雄 飯野 久和 トク トランリン ホウ ファムタン 関 達治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.327-337, 2002

「米酒」醸造地帯の「米酒」と米関係食品の製法, 特徴, 背景などについて, 東南アジア全域に渡り長期調査された筆者に, 前回に引き続き甘酒, 梗米酒, 糟米酒, 籾殻吸管酒, 焼酎について解説していただい。「米酒」の製造に黒米や赤米を使ったり, 米を焦がす方法や, 米とともに雑穀やキャッサバを使用するといった工夫がみられて面白い.<BR>又吸管の籾殻壼酒は親睦だけでなく, 儀礼的にも重要な位置を占めており, 飲酒文化面からも興味深い。
著者
池内 和彦 福島 一彰 田中 勝 矢嶋 敬史郎 関谷 紀貴 関谷 綾子 柳澤 如樹 味澤 篤 今村 顕史
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.358-364, 2018-05-20 (Released:2019-11-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1

近年,本邦における梅毒患者が急増している.諸外国において梅毒に対する標準治療薬であるベンザチンペニシリンG の筋肉注射は,本邦では使用できない.日本性感染症学会から発行されている「性感染症診断・治療ガイドライン2016」では,梅毒に対する標準的治療としてアモキシシリン(AMPC)単剤の内服治療が推奨されているが,根拠となるエビデンスは十分とは言えない.今回我々は,経口AMPC 1,500mg/日単剤による治療を行った63 名の梅毒患者(HIV 患者47 例,年齢中央値40 歳)を対象に,その治療効果を後方視的に検討した.治療効果判定についてはRapid plasma reagin 自動化法の値が,診断時から1 年以内に1/4 以下へ低下した場合を治療成功と定義した.治療成功率は,全患者の95.2%(95% Confidence interval(CI),86.7~99.0%),HIV 患者の95.7%(95% CI,85.5~99.5%),非HIV 患者の93.8%(95% CI,69.8~99.8%)であった.梅毒の病期毎の治療成功率は,早期梅毒の97.8%(95% CI,88.5~99.9%),後期梅毒の88.2% (95% CI,63.6~98.5%)であった.今回の検討では,HIV 感染症の有無や,梅毒の病期に関わらず,経口AMPC 1,500mg/日単剤治療は,梅毒に対して高い治療成功率を認めていた.
著者
鈴木 一成 中嶋 悠貴 尾関 里都
雑誌
愛知教育大学教職キャリアセンター紀要 (ISSN:24240605)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.145-151, 2020-03-09

本研究では,「プラごみによる海洋汚染」の対策の一つとして,使い捨てプラスチックの削減に着目した教科等横断的な体育の実践を行い,その実践事例の提示と,そこでの子どもの学びを検討することを目的した。教科等横断的な体育の実践事例は,海洋汚染と絶滅危惧種であるウミガメをテーマとして,①国語科の教材文「ウミガメの命をつなぐ」での学習(1時間),②校外学習としてのESD教育(1時間),③体育科の表現運動の実践(3時間)の構成で,計5時間扱いとした。これらの実践記録を対象として,体育での子どもたちの学びを検討した。その結果,①「他人事」から「自分事」へ,②感受する力(「送り手<受け手」と「自己内対話で一番近い感情を探ること」),溶け込み感覚の3つを検討することができた。
著者
大原 美保 地引 泰人 関谷 直也 須見 徹太郎 目黒 公郎 田中 淳
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.1055-1060, 2009 (Released:2010-02-23)
参考文献数
6

2008年岩手・宮城内陸地震は, 主要動の到達の前に緊急地震速報が発表された初めての地震であるとともに, J-ALERT(全国瞬時警報システム)を介して防災行政無線から緊急地震速報が放送された初めての事例でもあった.本研究では, J-ALERTにより緊急地震速報が放送された山形県東田川郡庄内町を対象として, 緊急地震速報放送の効果に関するアンケート調査を行った.防災行政無線放送で緊急地震速報を聞いた人は, テレビで見聞きした人の2倍以上となり, 広く情報を伝えるには防災行政無線が有効であることが確認された.しかし, 放送後に身を守る行動を行った人は少なく, 今後は望ましい行動に関する周知が必要であると考えられた.[本要旨はPDFには含まれない]