著者
西田 希久代 遠山 幸男 久野 久美 平野 茂樹 出口 裕子 松田 唯子 渡辺 貴志 山関 知恵 板倉 由縁 斎藤 寛子 長谷川 高明
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.207-213, 2009 (Released:2009-05-15)
参考文献数
12

がん患者は複雑な痛みをさまざまな言葉で表現する. こうした表現から薬剤の効果を推測することができ, 適切な疼痛緩和へつながると考え, 本調査を行った. がん性疼痛のある患者164名から, 529語(108種類)の痛みの表現を収集し, 使用頻度の高い痛みの表現に対するオピオイドおよび非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の効果を評価した. その結果, 「重い」や「どーん」という表現はオピオイドが効きやすく, 「しびれ」や「ぴりぴり」はオピオイドが効きにくい表現であることが推測された. 医療従事者は, 患者の言葉に耳を傾け, 患者の痛みを把握することが重要であり,このことが良好な疼痛緩和につながると考える.Palliat Care Res 2009; 4(1): 207-213
著者
林 友直 市川 満 関口 豊 鎌田 幸男 豊留 法文 山田 三男
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集: M-3SII型ロケット(1号機から3号機まで)(第1巻) (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
no.29, pp.173-184, 1991-06

M-3SII型ロケット(1∿3号機)打上げに用いたレーダ系の構成は, 基本的には地上装置及び搭載機器共に従来のM-3S型ロケットと同様であるが, レーダ搭載機器の性能改善, 小型軽量, 簡素化等信頼性向上の観点から見直しを行ない次のような変更を打なった。(1) 1.6GHz帯レーダトランスポンダ(1.6RT)アンテナの送受共用化(2) 5.6GHz帯コマンドデコーダ(5.6DEC)の更新(3)レーダトランスポンダ電源電圧の18V系への変更レーダ地上装置系(1.6GHz帯4mφレコーダ及び3.6mφレーダ, 5.6GHz帯精測レーダ)はロケット第二段計器部に搭載された各々のレーダトランスポンダからの電波を自動追跡し, 実時間におけるロケットの飛翔経路標定を打なった。さらに, 精測レーダからは飛翔中のロケットに対し電波誘導コマンドコードの送出を行ない, 総べて正常に作動した。しかし, このM-3SII型ロケットでは第二段ロケットエンジンの燃焼ガスによる電波減衰が従来のM型ロケットに比べて大きく生じた。本文では, これらのロケット追跡に用いた地上装置と, 今回変更したレーダ搭載機器の概要と追跡結果並びにデータ処理により得られたロケットの速度・加速度の大きさ及びそれらの方向等について報告する。資料番号: SA0167009000
著者
山下 真裕子 伊関 敏男 藪田 歩
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.2_163-2_170, 2017-06-20 (Released:2017-08-30)
参考文献数
23

本研究は,地域で暮らす精神障がい者の服薬の現状と困難感およびその要因について検討するため,地域で暮らす149名の精神障がい者に調査を行った。対象者らの9割が服薬の必要性を認識しており,関連することは,服薬による「ポジティブな体験」,服薬を中断したことによる「ネガティブな体験」,「個々の目標」があること,周囲の指示による「コンプライアンス」であった。一方,6割が何らかの服薬への困難を体験し,飲み忘れが最も多かった。対象者は1日に4回の処方,昼食後薬が処方されている場合に負担感を抱く傾向が認められた。今後は服薬に関する個々の体験を意味づけするプロセスを支援すること,人生の目標の明確化を支援することで服薬の意思を支えること,加えて対象者の生活パターンや服薬への認識を考慮し,服薬回数やタイミングを十分なSDMのうえで決定されることが,主体的なセルフケアの向上,精神障がい者の地域定着の促進につながると考える。
著者
関口 康宣 森 茂久 青木 和利 樋口 敬和 西田 淳二
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.461-466, 2007 (Released:2007-12-31)
参考文献数
13

患者は69歳の男性.1994年5月に右手関節痛が出現し関節リウマチ(以下RA)と診断され,金チオリンゴ酸ナトリウム(以下GST)が投与され関節痛は軽快した.2003年1月より多発関節痛が増悪したため,同年8月埼玉社会保険病院リウマチ膠原病内科受診となった.GSTを中止し,サラゾスルファピリジン(以下SASP)へ変更し,多発関節痛は軽快した.2005年3月より発熱,汎血球減少,肝機能障害が出現したため同科入院となった.SASPによる薬剤性の造血および肝機能障害を疑い,入院後はSASPを中止しプレドニゾロン(以下PSL)10mgへ変更した.その後も症状が継続するため骨髄検査を施行し,急性リンパ性白血病(以下ALL)(PreB, L2)と診断した.4月8日自治医科大学付属大宮医療センターへ転院となり,JALSG-ALL202-Oのプロトコールによる寛解導入療法を開始したが,嚥下困難,胆道系酵素の上昇を認めたため途中で中止した.その後完全寛解(以下CR)を確認したものの誤嚥性肺炎を度々繰り返し,胃癌の併発,経口摂取不能など全身状態不良のため化学療法の継続は不可能と判断し,対症療法のみ行った.9月28日埼玉社会保険病院リウマチ膠原病内科へ再転院となった.ALLはCRで,無治療にてRAの活動性も認めなかったが,肺炎のため2006年8月1日死亡した.
著者
酒井 達也 A. Jones Mark Smirnoff Nicholas 岡田 清孝 O. Wasteneys Geoffrey van der Honing Hannie 西岡 美樹 上原 由紀子 高橋 美穂子 藤澤 紀子 佐治 健介 関 原明 篠崎 一雄
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.716, 2008

キネシンモータータンパク質は様々な生物において細胞の先端成長及び細胞の形の決定に関与していることが知られている。シロイヌナズナゲノム中には 61 遺伝子のキネシン関連遺伝子が存在することが明らかになっているが、その多くは機能が明らかになっていない。我々はアルマジロリピートドメインを持つ植物特異的キネシン関連タンパク質 ARK1 がシロイヌナズナ根毛の先端成長に関与することを明らかにした。ark1 突然変異体根毛は波状、時に枝分かれの表現型を示し、内側の微小管はより重合して量及び長さが促進されていた。すなわちARK1は根毛内部の微小管量を限定する働きを持ち、これが根毛の先端成長を制御することが示唆された。ARK1 はARK2 及び ARK3 の二つのパラログ含む遺伝子ファミリーをシロイヌナズナゲノム中で形成しており、ARK2 が根の表皮細胞の形態形成に関与することを明らかにした。さらにARK タンパク質と結合する因子として NEK6 タンパク質リン酸化酵素を同定した。nek6 突然変異もまた、シロイヌナズナ表皮細胞の形態形成に多面的な影響を与えており、NEK6 が ARK キネシンに関連した微小管機能を介して細胞の形態形成に関与することが示唆された。
著者
黒崎 瞳 小島 慶子 山本 貴子 山口 佳奈江 関田 洋子 田内川 明美
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.301, 2011

<はじめに><BR>脳疾患患者は呼吸筋の麻痺や委縮・咳嗽反射の低下、長期臥床により肺合併症発生リスクが高くなる。<BR>A病棟は2010年1年間で脳疾患患者のうち意識レベルJCS_III_桁・挿管患者の40%が肺合併症を発症していた。そこで、スタッフの呼吸ケアに対する意識の向上が必要だと感じ勉強会・チェックリスト表を用いた結果、呼吸ケアに対する意識向上につながったので報告する。<BR><研究方法><BR>1 期間:2011年1月~4月<BR>2 対象者:病棟看護師23名<BR>3 方法:<BR>(1)呼吸理学療法の勉強会<BR>(2)呼吸ケアチェックリストの作成・活用<BR>(3)勉強会・チェックリスト使用前後でのアンケート調査<BR><倫理的配慮><BR>アンケートは個人が特定できないように無記名とし、知りえた情報は研究以外に使用しないことを説明した。<BR><結果><BR>勉強会への出席率は52%。欠席したスタッフにも勉強会のプリントを配布した。<BR>呼吸ケアはチェックリストを用い清潔ケア時・検温時に観察した。<BR>アンケート回収率は勉強会前後ともに95%であり、チェックリスト使用率は78%だった。<BR>アンケート結果では背部の聴診・正しい部位を聴取しているスタッフは勉強会前0%、勉強会後95%であった。<BR>またチェックリスト活用後はステートを持ち歩くようになったと100%回答し、チェックリスト以外でも肺音を聞くようになったスタッフ90%であった。<BR><考察><BR>勉強会後に背部の聴診・正しい部位を聴取しているスタッフが増加した事から、実施不十分だった背景には知識不足や意識が低かった事、が考えられる。また、一人では体動不能な患者の背部聴取が困難であったが2人で実施することで統一が図れた。このことから多忙な業務の中でも日常業務の1つとして根拠をもって呼吸ケア実施することで、意識付けにつながったと考えられる。<BR><まとめ><BR>肺ケアに対する看護師の意識向上には、観察やケアの根拠や必要性を理解し、日常業務の中にとりこみ継続していく事が有効である。

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著者
大塚 孝治 牧島 一夫 早野 龍五 藤田 宏 関藤 守 半田 利弘 山田 康嗣 程 久美子
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.3-7, 2011-01

有馬朗人先生が文化勲章を受章/物理学専攻 田中靖郎名誉教授が文化功労者に/瑞宝重光章を受章 物理学専攻 山崎敏光名誉教授/数理科学研究科の儀我美一教授が紫綬褒章を受章/附属臨海実験所において技術シンポジウムを開催/第18回東京大学理学部公開講演会,開催される/生命科学系GCOEの第4回理学系リトリート開催/「なぜ私は理学を選んだか」理学部ガイダンス@駒場/iGEM2010 に東大チームが参加「数独を解く大腸菌」
著者
関 庸一 亀倉 大和
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.161-172, 2012-10-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本研究では,POS等により収集される販売履歴データから,単一商品の日々の売価を設定する方法を提案する.まず,販売数量がポアソン分布し.価格弾力性が一定であるという仮定の下で.一般化線形モデルを推定することにより.販売数量を予測する方法を提案する.これにより,ストアレべルで日々の単一商品の価格と販売数量から,モデルのパラメータとして価格弾力性と需要曲線が推定できる.ポアソン分布の仮定により,日々の少ない販売数量での価格弾力性の推定が可能となる.第2に,推定される価格弾力性,売価,仕入価格の三変量の粗利水準への関係を明らかにすることで.粗利を最大とする売価の設定法を与え,日々の粗利を極大化する方法として,定価政策と特価政策の二つがあることを示す.また,長期に販売政策を考える場合に価格弾力性を制御することができれば,短期利益を犠牲にした低価格の訴求などにより,より高い粗利を実現できるシナリオが存在することを示す.最後にドラッグストアでのPOSデータを用いた推定事例で価格弾力性を推定し,対象店舗の価格戦略を検証する.
著者
萩野 耕司 矢治 幸夫 篠田 満 滝本 勇治 関野 幸二
出版者
[農林省東北農業試験場]
雑誌
東北農業試験場研究報告 (ISSN:04957318)
巻号頁・発行日
no.91, pp.33-44, 1996-03
被引用文献数
1

北東北地域の転換畑で飼料作物のトウモロコシ・ソルガムと麦類の周年作付体系を対象に,トウモロコシ・ソルガム等の長大型飼料作物の収穫・麦類の施肥・播種を一工程で行う同時作業機を用いて,乾物収量,安定生産性及び省力化について検討した。同時作業機を用いることにより,乾物収量は1年1作対照比136~155,同時作業機を用いない慣行体系比105(トウモロコシ・ソルガム-ライ麦体系)と増収となった。年間最多乾物収量は,トウモロコシ-ライ麦,ソルガム-大麦の2体系で得られた。同時作業機を用いることによって作付期間が延長し,増収効果が認められ,また,作物の安定多収栽培及び他作業との競合の緩和を図ることが可能である。
著者
石田 高志 関口 剛美 川真田 樹人
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.53-62, 2018-06-25 (Released:2018-06-29)
参考文献数
57

変形性関節症をはじめとする関節炎は,移動時に痛みが増強するため移動機能障害を招き,患者のQOLを著しく低下させることが問題となっている.関節炎の痛みの薬物療法として消炎鎮痛薬が用いられるが,長期投与による腎臓や消化管への副作用から,関節炎による痛みのメカニズムに基づいた,有効かつ安全な新たな治療法の開発が求められている.関節炎では,滑膜線維芽細胞や軟骨細胞からのIL-1やTNF-αをはじめとする各種炎症性サイトカインの放出が起こり,軟骨の変性や骨増生が起こる.炎症は関節内のみにとどまらず,関節周囲組織にも広範囲に波及する.慢性的な炎症に末梢神経や中枢神経における可塑的変化が生じ神経障害性疼痛の側面も持つようになり,痛みのメカニズムは複合的となる.さらに関節炎患者では,関節内の炎症や骨破壊だけでなく,骨髄内病変の出現により痛みが増強することが知られている.したがって関節炎では,関節・骨・骨髄の病変が相互に作用し,複合的なメカニズムにより痛みが増強する.本稿ではまず関節炎に伴う複合的な痛みのメカニズムを概説する.次いで,痛みのメカニズムに基づいた新たな鎮痛薬・鎮痛法について解説する.
著者
林 智子 上野 英二 伊藤 裕子 岡 尚男 尾関 尚子 板倉 裕子 山田 貞二 加賀美 忠明 梶田 厚生 藤田 次郎 小野 正男
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.356-362, 1999-10-05
参考文献数
18
被引用文献数
8

食品中のβ-カロテン及びトウガラシ色素の逆相TLC/スキャニグデンシトメトリーによる分析法を検討した. 食品から抽出後,β-カロテンはそのまま, トウガラシ色素はけん化して, C18カートリッジを用いて精製し, TLC (プレートは逆相C18, 展開溶媒はアセトニトリル-アセトン-<i>n</i>-ヘキサン=11:7:2) を実施した. 両色素ともに良好な分離と安定した<i>Rf</i>値が得られた. TLC上のスポットにスキャニングデンシトメータを用いたところ, 良好な可視部吸収スペクトルが得られ, 本法はβ-カロテン及びトウガラシ色素の分析に有効であることが明らかとなった.
著者
吉本 慎吾 新見 龍男 加藤 弘義 関 卓哉
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.208-213, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
5

近年、環境問題として地球温暖化が深刻な問題となっており、普通ポルトランドセメントに比べてCO2排出量が少ない高炉セメントの使用推進が求められる。しかしながら、高炉セメントは初期強度発現性が低いことが課題である。本検討では、高炉セメントの初期強度発現性の改善として早強ポルトランドセメントと高炉セメントB種を混合した試製混合セメントの強度性状について検討を行った。その結果、材齢28日の圧縮強度が普通ポルトランドセメントと同程度となる水セメント比において、高炉セメントB種の混合率が70%未満であれば普通ポルトランドセメントと同程度以上の材齢1日強度を確保可能であり、CO2削減効果についても試算された。
著者
近藤 康人 小泉 ゆりか 井関 正博 山田 淳 高岡 大造 滝沢 貴久男 安田 昌司 今井 八郎
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.106, 2005 (Released:2005-10-19)
参考文献数
29
被引用文献数
3 2

A Ti electrode with a noble metal coating was used for sterilization of water. The main product from electrolysis for sterilization is hypochlorite acid. It was found that the hypochlorite acid production rate was consistently higher on Pt-Ir and Pt-Ir-Ta coated Ti electrodes, compared to Pt coated Ti electrodes. The production rate of hypochlorite was independent of temperature. Therefore, it was thought that this hypochlorite would be effective in sterilization of hot bath water and pool water. At the same time, ozone was generated in the electrolyte water. Generation of ozone was conspicuously observed under electrolysis of Pt electrodes. The production rate of ozone depended on the temperature and the concentration of chloride ions in the electrolyte. A high concentration of ozone was observed when the temperature of the solution was below about 15ºC, concentration of chloride ions was 1mM, and a membrane was used to separate the cell. The ozone generated by electrolysis of Pt coated Ti electrodes had a significant effect on sterilization for Bacillus subtilis spores.
著者
伊藤 崇 関根 和生
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.141-153, 2011-09-30 (Released:2017-05-02)
被引用文献数
2

言語表現のみならず,参与者の身体的表現に着目することは,授業の実際の展開を理解する上で重要である.特に視線は,参与者が聞き手としてその場に参与する仕方を明らかにする上で有効な行動指標である.本研究では,小学1,3,5年生による一斉授業を対象に,教師と児童による視線配布行動を検討した.3学年各2学級,1時間ずつの国語の授業の映像・音声資料から抽出した3分間ずつのシークエンスについて,教師と児童の視線の向き先について1秒ごとのタイムサンプリングを実施し,コーディングを行った.その結果,次の3点が明らかになった.(1)教師の視線配布行動は,発言する児童を頻繁に見る,発言していない児童を頻繁に見る,黒板を頻繁に見るという3つのスタイルに分けられた.(2)児童の視線配布行動には,同学年内で一貫して共通する側面と,同学年内でも学級間で一貫しない側面とがあった.(3)教師と児童の視線配布行動の相互行為的な関連については,教師を見ていた児童が教師の見る対象に視線を向け直すという連鎖と,教師を見ることなく自律的に視線を動かすという連鎖の,少なくとも2つの連鎖パターンがあった.これらより,児童が授業に参与する上で教師の視線は有効な手がかりとなる可能性と,学年が上がるにつれて児童が参与構造を自律的に組織化する可能性を論じた.最後に,これらの結果の教育実践への示唆,および結果を解釈する上での限界について議論した.
著者
広瀬 保夫 畑 耕治郎 本多 拓 山崎 芳彦 堀 寧 大関 暢
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.125-129, 2001-03-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
9
被引用文献数
1 3

This report describes 7 victims of sodium azide poisoning caused by drinking poisoned water. Ten employees at the poisoning site developed symptoms immediately after ingesting coffee or tea made from hot water contained in a thermos bottle. Symptoms included altered consciousness, faintness, blackout, palpitation, nausea, and paresthesia of both hands and feet. Seven patients were transferred to our institution by ambulance. We assumed symptoms were caused by acute poisoning but the causative agent was unknown. We could not rule out cyanide poisoning because of the rapid emergence of symptoms suggesting circulatory failure, so we administered amyl nitrate, sodium nitrate, and sodium thiosulfate. Symptoms rapidly subsided. The causative agent was identified the next day as sodium azide. While the victims were being treated at the emergency room, 2 doctors, 3 nurses, and 1 pharmacist complained of faintness, headache, nausea, sensations of dyspnea and eye pain. These medical staff members had all either conducted gastric lavage or treated gastric contents. This strongly suggests that symptoms were caused by hydrazoic acid formed in a chemical reaction between sodium azide and gastric acid. Our experience underscores the potential hazard from hydrazoic acid faced by medical staff treating patients with oral sodium azide intoxication.
著者
儀間 裕貴 関 耕二
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.119-124, 2019

<p>〔目的〕小学中期(3・4年生)・後期(5・6年生)における体力と学力の関連,中期から後期にかけた体力と学力の変化の関連について検討した.〔対象と方法〕鳥取大学附属小学校の児童138名を対象とした.校内で実施された新体力テスト(握力,上体起こし,長座体前屈,反復横跳び,20 mシャトルラン,50 m走,ソフトボール投げ),標準学力検査(国語・算数の全国偏差値)から結果を集計し,それぞれの計測値・点数および変化値における相関を検討した.〔結果〕体力と学力の各項目間において有意な相関を認めたが,いずれも相関係数は低かった.〔結語〕縦断データを用いた本研究では,体力と学力に強い関連性を認めず,体力と学力の発達には多くの因子が影響していることが示唆された.</p>