著者
藤田 正平 島田 尚典 青山 聡
出版者
北海道立農業試験場
雑誌
北海道立農業試験場集報 (ISSN:04410807)
巻号頁・発行日
no.88, pp.13-24, 2005-05

「きたほたる」は、良質、多収、耐冷、アズキ落葉病、茎疫病、萎凋病抵抗性の白アズキ品種の育成を目標とし、1993年に北海道立十勝農業試験場(農林水産省小豆育種指定試験地)において、草型の優れる「93142(F6)」を母、アズキ落葉病、茎疫病、萎凋病抵抗性の良質系統「十系590号」を父として人工交配した雑種後代から育成された。2004年に北海道の優良品種に採用されるとともに、農林水産省の新品種として認定され、「きたほたる」と命名登録された。「きたほたる」は、「ホッカイシロショウズ」より餡色が白く明るい色調で、加工適性が優る。また成熟期が同品種並みからやや早く、アズキ落葉病、茎疫病、萎凋病に抵抗性を持つ。「きたほたる」を「ホッカイシロショウズ」に置き換え、 l00ha程度の白小豆栽培面積を確保することにより、良質の白アズキを本州産より低価格で安定的に供給することが可能となり、新たなユーザーを獲得して、安定した需要が確保できると考えられる。
著者
青山 薫
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.224-238, 2014
被引用文献数
2

本稿は, 公序良俗を守り, 「健康な成人向け娯楽」を提供し, 「女性と子ども」をこの産業から保護する法が, 男女を分け, 女性を, 公序良俗の内部にいる「善い女性」と商業的性行為によって無垢さを失った「悪い女性」に分断する性の二重基準にもとづいていることを批判的に検証する. そして, この法によってセックスワーカー (SW) が社会的に排除され, あるいは保護更生の対象とされることを問題視する. さらに本稿は, 法の二重基準に内包された階級とエスニシティにかかわるバイアスが, グローバル化が広げる格差と不安定さによって鮮明になったことを指摘する. そして, このような二重基準が, 近年, 移住SWをつねに人身取引にかかわる犠牲者あるいは犯罪者と位置づけ, とくに逸脱化・無力化する法とその運用にもあらわれていると議論する.<br>以上の目的をもって, 本稿では, SW支援団体と行ったアウトリーチにもとづいて, 人身取引対策と連動した性産業の取り締まり強化が, SW全体の脆弱性を高めていることを明らかにする. そして, 脆弱な立場におかれたSWの被害を真に軽減するためには, 従来の性の二重基準に替えて, 当事者の経験にねざしたエイジェンシーを中心に性産業を理解し, 法とその社会への影響を当事者中心のものに変化させようと提案する. それは, これもまたグローバル化によって広がっているSWの当事者運動に学ぶことでもある.
著者
福田 実奈 畑 敏道 小松 さくら 青山 謙二郎
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.28-34, 2014-09-30 (Released:2014-11-26)
参考文献数
14

We investigated effects of coffee cue presentation on desire for coffee and cognitive performance. The 2 (cue and no-cue)×2 (instruction: reward and no-reward) between-subjects design was used. The smell and sight of coffee were presented in the cue condition, but not in the no-cue condition. The participants in the reward condition were instructed that they would obtain coffee after the behavioral task and the amount of coffee depended on their performance of the task. The participants in the no-reward condition were instructed to perform as many tasks as possible. The dependent variable was performance of the behavioral task and subjective desire for coffee. In the task, the participants were asked to find vowels among letters printed on task sheets. As a result, the participants in the cue condition found more vowels than those in the no-cue condition, in both instruction conditions. There was no difference in subjective rating between any conditions. These results suggest that the coffee cue may enhance cognitive performance rather than desire for coffee.
著者
青山 敏明
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.3, no.8, pp.403-410,386, 2003-08-01 (Released:2013-06-01)
参考文献数
65
被引用文献数
2 2

中鎖脂肪酸は, 通常油脂中の長鎖脂肪酸と消化吸収性が大きく異なり, 肝臓に直接運ばれ, 素早く酸化されてエネルギー源となる。この結果, 食後の熱産生が高く, 食後の血中トリグリセリド濃度が上昇しない。また, 中鎖脂肪酸は通常の条件で安全と確認されている。最近, 中鎖脂肪酸トリアシルグリセロール (MCT) および中・長鎖トリアシルグリセロール (MLCT) の体脂肪蓄積抑制効果がヒトの長期摂取試験で示された。このMLCTは, 中鎖脂肪酸が比較的少量であるが体脂肪蓄積抑制に有効であり, 汎用食用油として有用である。
著者
杉田 昭栄 八巻 良和 志賀 徹 居城 幸夫 飯郷 雅之 横須賀 誠 青山 真人
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

果実の成熟にともない糖度含量、軟化さらに果色が増加し、酸度は減少し、収穫時以降は軟化のみ増加し、糖度や果色また酸度は平衡状態となった。この収穫前頃から、カラス等が飛来して果実をつついているのが、観察された。鳥が果実の熟成の時期を見分けることができるのは、嗅覚や視覚の発達が考えられる。そこで、まずはカラスとヒヨドリの嗅覚系の特性を調べた。その結果、脳全体に対する嗅球のしめる割合が極めて小さく、一般には左右独立して存在する嗅球が完全に左右癒合していたことから、カラスとヒヨドリの嗅覚はあまり発達していないことが示唆された。次に視覚系の特性を調べた。カラスの神経節細胞は300万個を超えるとともに、神経節細胞の高密度域が2箇所あったこのことは、視覚が極めて発達していることを示していた。また、網膜周辺に進むにつれ少なくなっていた。視細胞の油球は赤、青、黄、緑、透明のものが見られ、その分布割合は均衡していた。ヒヨドリの神経節細胞の分布傾向はカラスのそれと類似していたが、油球は緑・黄緑系の油球が周囲を占めていた。学習行動によってカラスの各種波長への感受性を調べたところ、短波長に対して最も高い感受性を持っていることが示唆された。さらに、カラスの網膜には、4種類の色覚に関わる錐体オプシンがあり、その内のひとつは紫外線に感受性を有していた。鳥が果実の熟成段階を何で判別しているのか調べるため、熟成段階の異なる果物をカラスに提示し、選択された果実に共通する特徴を調べた。その結果、カラスは果実の熟成段階を判別するために糖度や硬度を手がかりにせず、果実の色、すなわち果皮の光反射を手がかりにしていた。
著者
青山 忠正
出版者
佛教大学
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.55-66, 2015-03-01

いわゆる破約攘夷論は、文久二年(一八六二)から三年にかけて最盛期を迎えた。しかし、その主唱者、長州毛利家の言動を見ても、それは一般に理解されているような、一方的な外国艦打ち払い論ではない。むしろ、現行の条約をいったん破棄してでも、日本側が主体的な性格を持つ条約に改めようとする意図を持っていた。孝明天皇においても、その点は同様である。その天皇は、慶応元年(一八六五)十月、条約を勅許するに至った。そこに至る経過を、下関戦争の国際的な背景などを踏まえ、言葉の意味を再吟味しながら考察する。
著者
青山 英夫
出版者
上智大学史学会
雑誌
上智史学 (ISSN:03869075)
巻号頁・発行日
no.27, pp.p124-132, 1982-11
著者
林 正治 林 洋平 田邉 浩介 青山 俊弘 池田 大輔 行木 孝夫 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.366-369, 2017-12-02 (Released:2018-02-09)
参考文献数
19

近年、高等教育機関・研究機関における機関リポジトリの普及に伴い、機関リポジトリが持つ可能性とその活用に向けた議論が盛んである。その議論の中心にある、オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)の次世代リポジトリWG では、世界中に分散した機関リポジトリを地球規模の学術コミュニケーション・ネットワークとして位置付け、新たな付加価値サービスの展開を想定したユースケース及び技術の検討を行っている。我々の研究グループでは、こうした状況を鑑み、主要なオープンソースリポジトリソフトウェアの技術比較を行ってきた。本発表では、技術比較結果の考察および技術史的な視点から、次世代リポジトリソフトウェアに求められる技術的な機能像を明らかにする。
著者
山崎 真理子 水野 邦夫 青山 謙二郎
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.173-180, 2007

The modeling effect on eating means that the more models eat the more participants eat. Herman, Polivy, & Roth (2003) proposed that participants make the amount of food they consume conform to the consumption of others in order to avoid being seen by others as eating excessively. In this study, in order to create a situation in which participants believe no one can know how much they eat, we did not use the usual model. Instead, feigned leftover food was shown to participants before the tasting test. This leftover food (in amounts large or small) was expected to give participants information on how much other participants had eaten. In one condition, participants were misled to believe that the experimenter could not find out how much food the participants had consumed; in another condition, they were not misled. In the former condition, regardless of how much others eat, participants should eat as much as they like, believing that no one can learn of the amount, they consume. Contrary to the prediction, the modeling effect arose in both conditions. These results indicate that the modeling effect cannot be explained entirely by self-presentational concern regarding others.
著者
吉元 俊輔 青山 一真 梶本 裕之 西川 敦
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4-5, pp.147-159, 2020-09-10 (Released:2020-10-30)
参考文献数
46

Studies about electrical current passing through the body such as bioelectricity measurement, electrical excitation, and electrical stimulus have contributed to the field of medical and biological engineering. To evaluate the applicability of the Clinical Trials Act, stimulus conditions are needed to be designed based on the understanding of safety criteria provided by various organizations, as well as the effects of the electricity applied to the human body. Because electrical current causes various effects such as perception, pain, injury, and fibrillation, safety design is essential. This paper summarizes the effects and safety criteria of the electricity applied to the human body based on the available guidelines. Furthermore, effects and criteria of the electricity applied to the head are discussed. Finally, we present an example of the stimulus evaluation to confirm the applicability of the Clinical Trials Act.