著者
稲野 利美 山口 貞子 千歳 はるか 梅沢 亜由子 長橋 拓 岡垣 雅美 青山 高 森 直治 東口 髙志 大前 勝弘 盛 啓太 内藤 立暁 高山 浩一
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.71-80, 2020 (Released:2020-04-21)
参考文献数
56

【目的】本研究の目的は,進行がんを有する高齢者に対する集学的介入(NEXTAC-ONEプログラム)の栄養介入について詳細を示し,その忍容性を評価することである.【方法】初回化学療法を開始する70歳以上の進行非小細胞肺がんおよび膵がんを対象とし,8週間に3回の栄養介入を行った.標準的な栄養指導に加え,摂食に影響する症状,食に関する苦悩,食環境の問題への対処法を含めたカウンセリングを行い,分枝鎖アミノ酸含有の栄養補助食品を処方した.【結果】計30名の試験登録者のうち29名(96%)が予定されたすべての介入に参加し,遵守率については日記記載率90%,栄養補助食品摂取率99%であった.また治療期間中に栄養状態の悪化を認めなかった.【結論】悪液質リスクの高い高齢進行がん患者において,われわれの栄養介入プログラムは高い参加率と遵守率を有し,化学療法中の栄養状態の維持に寄与した可能性が示唆された.
著者
熊本 雄一郎 青山 道夫 濱島 靖典 岡 英太郎 村田 昌彦
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

2011年3月11日に発生した巨大地震とそれに引き続く大津波は、福島第一原子力発電所(FNPP1)の核燃料露出と炉心損傷を引き起こした。その結果、多くの放射性セシウム(134Csと137Cs)がFNPP1より漏えいし北太平洋に放出された。これまでの観測研究によって、日本近海の北太平洋に大気沈着および直接流出した放射性セシウムは北太平洋海流に沿って中緯度表層を東に移行しつつあることが明らかにされた(Kumamoto et al., 2016)。また、黒潮・黒潮続流の南側に大気沈着した放射性セシウムは亜熱帯モード水の亜表層への沈み込みによって、2014年末までに西部亜熱帯域のほぼ南端に相当する北緯15度まで南下したことが確認されている(Kumamoto et al., 2017)。一方、2011年から2015年の約4年余の間、北海道西部、新潟、石川、福井、島根、佐賀、鹿児島、愛媛、静岡県の各原子力発電所の沿岸域では、海水中放射性セシウムの継続な濃度上昇が確認されている(規制庁, 2016)。また、Aoyama et al.(2017)も2015/2016年に同沿岸海域における表面水中濃度の上昇を報告している。放射性セシウム濃度の上昇が観測された海域は黒潮系水の影響が比較的大きい沿岸海域であり、これらの結果はFNPP1事故で西部亜熱帯域全体に拡がった放射性セシウムが、時計回りの亜熱帯循環流によって日本沿岸に回帰していることを暗示している。しかしながら、西部亜熱帯循環域におけるFNPP1事故起源放射性セシウムの時空間変動は明らかではない。我々は2015年および2016年に黒潮・黒潮続流南側の西部亜熱帯域において、表面から深度約800mまでの海水中溶存放射性セシウムの濃度を測定したのでその結果を報告する。海水試料は、新青丸KS15-14(2015年10月)、白鳳丸KH16-03(2016年6月)、および「かいめい」KM16-08(2016年9月)の各観測航海において、バケツ及びニスキン採水器を用いて各10~20リットルを採取された。陸上の実験室(海洋研究開発機構むつ研究所)において硝酸酸性にした後、海水中の放射性セシウムをリンモリブデン酸アンモニウム共沈法によって濃縮し、ゲルマニウム半導体検出器を用いて放射性セシウムの濃度を測定した。濃縮前処理と測定を通じて得られた分析の不確かさは、約8%であった。北緯30-32度/東経144-147度で得られた134Cs濃度(FNPP1事故時に放射壊変補正済)の鉛直分布を、同海域において2014年に得られたそれ(Kumamoto et al., 2017)と比較した。その結果、深度100m程度までの表面混合層においては、2014年には約1 Bq/m3であった134Cs濃度が、2015/2016年には1.5-2.5 Bq/m3に増加したことが分かった。一方、深度300-400mの亜表層極大層におけるその濃度は、2014年から2016年の3回の観測を通じてほとんど変化していなかった(約3-4 Bq/m3)。この134Cs濃度の亜表層極大層は、亜熱帯モード水の密度層とよく一致していた。一方、同じく黒潮続流南側の北緯34度/東経147-150度における放射壊変補正済134Cs濃度は、2012年から2014年の約3年間に、表面混合層では検出下限値以下(約0.1 Bq/m3)から約1 Bq/m3に増加し、亜表層の300-400mでは約16 Bq/m3から約3-4 Bq/m3に低下したことが報告されている(Kumamoto et al., 2017)。これらの観測結果は、FNPP1事故から5年以上が経過した2016年までに、亜熱帯モード水によって南方に輸送されたFNPP1事故起源の放射性セシウムが同モード水の時計回りの循環によって、日本南方の西部亜熱帯域北部に回帰してきたことを強く示唆している。その他の起源(例えば陸水)の影響が小さいと仮定できるならば、表面混合層における2012年から2016年の間の134Cs濃度上昇(0.1 Bq/m3以下から1.5-2.5 Bq/m3)は、亜表層極大の高濃度水がentrainmentによって表面水に取り込まれたためと推測される。講演では、日本沿岸域の2015/2016年の観測結果速報も報告する予定である。この本研究はJSPS科研費24110004の助成を受けた。

6 0 0 0 OA 池塘集

著者
青山霞村 著
出版者
からすき社
巻号頁・発行日
1918
著者
岡 秀一 青山 高義
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.44-49, 2014-03-31 (Released:2014-04-23)
参考文献数
14
被引用文献数
2

対馬には板倉と呼ばれる倉庫群が発達している.かつてこの板倉は,土地をもち耕作することができる“本戸”と呼ばれる人々のみが所有することができた.耕作可能な土地は西岸域に集中しているので,必然的に板倉の分布も西岸域に偏在していた.板倉は防災対策上主屋から隔離され,小屋屋敷と呼ばれる立地に群をなして設置された.瓦の使用が禁止されていた江戸期にその屋根素材として注目されたのが,対馬の基盤をなしている対州層群であった.対馬の地形や地質をはじめとする特異な自然環境に規制され,またそれらを利用しながら生活する人々の生産様式・生活様式の中で培われてきた石屋根板倉は対馬の象徴であり,大地の遺産にふさわしい存在である.
著者
青山 真人 夏目 悠多 福井 えみ子 小金澤 正昭 杉田 昭栄
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.109-118, 2010

本研究の目的は、捕食動物に由来する種々の刺激がヤギに及ぼす忌避効果を、ヤギの生理学的および行動学的反応を解析することによって検討することである。実験1においては、7つの刺激-CDプレイヤーで再生したチェーンソーの運転音(ChS)、イヌの吠え声(DoB)、オオカミの遠吠え(WoH)、ライオンのうなり声(LiG)、トラのうなり声(TiG)、テレビモニターに映したオオカミの映像(WoV)、実物のイヌの毛皮(DoS)-をそれぞれ4頭のメスシバヤギに提示し、その反応を観察した。DoBおよびDoS区において、他の区に比較して血中コルチゾル(Cor)濃度が有意に高く(P<0.01、反復測定分散分析およびTukeyの検定)、30分間の身繕い行動の頻度が有意に少なかった(P<0.1、Friedmanの検定とNemenyiの検定)。他の刺激については、いずれの測定項目においても対照区(提示物なし、音声を出さないCDプレイヤー、映像を映さないテレビモニター)との間に違いはなかった。実験2においては、実験1と同じ4頭のヤギを用いて、ChS、DoB、WoH、LiG、TiG、DoSの6つの刺激の忌避効果を検討した。飼料のすぐ後方にこれらの刺激のいずれかを提示し、それぞれのヤギがこの飼料を摂食するまでに要する時間を測定した。4頭いずれの個体も、DoBおよびDoS区においては30分間の観察時間中に一度も飼料を摂食しなかった。一方、他の刺激においては遅くとも126秒以内には摂食を開始した。各個体においで、実験2における結果と、実験1における結果との間には強い相関が観られた(対血中Cor濃度:r=0.78〜0.94、対身繕い行動の頻度:r=-0.73〜-0.98)。実験3では、メスシバヤギ5頭を用い、実験1と同じ方法でChS、DoB、イヌの置物(DoF)、DoS、段ボール箱で覆ったイヌの毛皮(DSC)の効果を検証した。実験1と同様、DoBおよびDoS区において、有意な血中Cor濃度の増加と身繕い行動の頻度の減少が観られた。DSC区においては5頭中4頭が、顕著な血中Cor濃度の増加あるいは身繕い行動の頻度の減少のいずれかを示した。これらの結果から、本研究で観られたイヌの吠え声、あるいはイヌの毛皮に対する忌避効果は、ヤギがこれらの刺激に強い心理ストレスを持ったことが原因であると示唆された。さらに、視覚的な刺激は、少なくともそれが単独で提示された際には効果が薄いこと、聴覚的な刺激および嗅覚的刺激が強い忌避効果をもたらす可能性が示唆された。
著者
青山 智夫 神部 順子 中山 榮子 長嶋 雲兵
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.49-77, 2012-04-28 (Released:2012-05-10)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

2011年3月12日以降に東京電力福島第1原子力発電所から南,北西方向に拡散した放射性物質の4カ月間にわたる変化を次のようにまとめた.空間線量率,環境資料等を文部科学省,地方自治体等が公表した資料から抽出し,5月15日から7月29日間の福島県,関東各県の主要都市の空間線量率が自然界で本来の物理的半減期と異なる速度で半減することを表す指標(滞留半減期)を計算した.また福島県相馬郡飯舘村八木沢地区の土壌,雑草,陸水の放射線強度の時間変化を示して議論した.さらに東京と福島市の下水汚泥の放射線強度の問題点を示した.これにより放射性物質と大気に関する知見として,放射性物質は浮遊粒子状物質(Suspended Particulate Matter, SPM)として移動するが,それは環境省大気汚染物質広域監視システムでは検出しにくいタイプのSPMであること,そして放射性SPM分布には複雑な構造が存在することを示した.またその構造はγ線のエネルギー分布観測で識別できること,加えて放射性SPMの移動には大気境界面が関与していることを示した.さらに沈降した放射性物質と降雨との関連,空間線量率の微細動現象の周期性を示し,同現象と気温の相関を示した.
著者
青山 修三 青山 達哉 間瀬 信継 佐々木 均
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.219-222, 2013-12-25 (Released:2014-06-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

Japanese cockroach Periplaneta japonica (Stoll) was collected at a Japanese common wooden house and in a shrine of Hokkaido Jingu, and Maruyama Park in Sapporo city. In Hokkaido, this species was recorded only from the coastal area of the southern parts and Otaru city up to present. Therefore, these are the new records of this species from the landlocked city in Hokkaido, and the new record of invasion to a highly airtight house of Hokkaido.
著者
大崎 晴地 青山 慶
出版者
日本生態心理学会
雑誌
生態心理学研究 (ISSN:13490443)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.95-108, 2022-05-01 (Released:2022-06-27)
参考文献数
3

心と身体,発達のリハビリテーション,精神病理学の領野にかかわりながら作品制作,研究活動を展開しているアーティストの大崎晴地氏にインタビューを行った.4 層のシートが媒質を包み込むようレイアウトされている氏の作品「エアトンネル」で起きることから,出会いと気配,遮蔽とフィクションなど今後の生態心理学における発達研究への示唆を得た.なお2021 年11 月「エアトンネル」の体験ワークショップ開催後,茨城県取手市のスタジオにてエアトンネルの実体験後に行われた.
著者
青山 孝信 藤井 弘通 瀬尾 浩之 笹子 佳門
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.1058-1061, 2016 (Released:2016-11-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

梅毒は大動脈瘤の一因として知られるが,術前に梅毒性大動脈瘤と診断し得なかった症例を経験したので報告する.症例は71歳,男性.CTにて最大径60mmの上行大動脈瘤を指摘された.梅毒血清反応はRPR法2.6R.U.,TPLA定量2,387U/mlであったが,紡錘状動脈瘤であり術前には動脈硬化性動脈瘤と診断した.部分弓部大動脈置換術,右腕頭動脈・左総頸動脈再建術を施行したが,大動脈瘤は周囲組織と強固に癒着し,弓部大動脈の壁肥厚を認めた.病理所見で大動脈瘤壁の中膜の栄養動脈周囲に形質細胞の浸潤を認め,術後に梅毒性大動脈瘤と診断し,術後8日目からアモキシシリンを1日1,000mg,2週間の内服を行った.術後経過良好で術後13日目に退院した.術後18カ月目にRPR法は陰性化し,TPLA定量は1,542U/mlであった.現在では,梅毒性大動脈瘤は非常にまれであり,意識しておかねば術前に診断できない可能性がある.
著者
青山 英康
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.1026-1035, 1996-02-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
14

Japan was defeated in World War II and almost all of the nation was demoralized by the destruction and damage to much of the nation. The medical and health care system during and before World War II needed to be reformed radically and fundamentally since almost all medical and health institutes were destroyed. On the other hand, many health personnel came back from overseas after the war. Japanese modern medicine had developed on the basis of German medicine; however, many aspects of American medicine, including public health and democracy, were rapidly introduced following the end of World War II. The American type of health center was established and many laws concerning medical and health care were enacted in 1947-1948. One of them was "The Health Center Law."The National Health Insurance Act was enacted in 1958 and the total population has been covered by health insurance plans since 1961. Many physicians quit the health centers and they have worked as clinicians under the National Health Insurance scheme, because health centers were introduced before adequate education and research existed in the field of public health. On the other hand, the health insurance scheme was in its golden age during the high economic growth period of the 1960s. Japan has succeeded in all forms of modern technology and economy for the past 30 years and is now one of the top nations in the field of medical and health care, such as the numbers of clinics and hospitals and beds, the frequency of consulting with a doctor, length of hospital stay, examinee rates in mass health examinations in the community and workplace and so on.Health conditions have changed drastically from the 1950s to the present. Therefore, health centers do not fit current health needs. For example, mortality from tuberculosis, acute infections diseases and also stomach and uterus cancers and apoplexy have decreased rapidly while mortality from chronic diseases, especially lung, breast and rectal cancers, and myocardial infarction have increased gradually. Changes of life style resulting from rapid economic growth are suspected to be important causes of the change in the prevalence of these diseases.Mass health examination was important and effective as a preventive measure against tuberculosis, especially as a means of early detection and early treatment. However, it is not now effective against chronic diseases. The screening examination has resulted in identifying many patients suspected of being ill. Every examiner must be able to distinguish pathologic findings from physiologic changes of aging. Every patient must, therefore, understand his/her individuality and evaluate the result of his/her efforts to improve life style by receiving a health examination. Accordingly, the aim of health examination has changed from early detection to health support for the examinee.During the decades when life expectancy was less than 50 years of age, it was not necessary for people to plan for retirement. Moreover, there was little burden on younger genarations to provide care for the aged people because there were few old people more than 70 years of age and the birth rate was high. Nowadays, elderly people face many years of life after retirement and there are too many aged people in relation to the number of younger persons.As for medical care services, many new medical needs have emerged in resent years, including "quality of life, " "palliative medicine in terminal care, " "establishment of a primary care system" and "comprehensive care connecting health and medical care with welfare" etc.Improved living standards resulting from economic growth, called the "economic miracle" internationally, have helped to bring about a rapid and wide range of change in daily lifestyle, such as eating habits, working conditions and environment.
著者
林 ゑり子 高橋 明里 青山 真帆 升川 研人 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.109-118, 2022 (Released:2022-09-28)
参考文献数
23

【目的】(1)認知症患者の終末期における積極的治療の選好に関して遺族,医療者間での違い,(2)終末期医療の選好の関連要因を明らかにする.【方法】認知症患者の遺族(618名)と,医師(206名),看護職(206名),介護職(206名)の医療者に2019年10月にインターネット調査した.【結果】認知症患者の遺族は終末期に「食べられなくなった際の胃ろう;49%」(p<0.01),医療者は「大きな病気になった際の手術:39%」(p<0.01)を希望した.多変量解析で代理意思決定者を望む遺族は点滴(OR: 1.62, p=0.02),内服の継続(OR: 1.74, p<0.01)を,医療者はよい看取りの要件で人との関係性が重要な人ほど,手術(OR: 2.15, p<0.01),延命治療(OR: 2.00, p=0.01)を希望した.【結論】医療者と家族の間で,終末期の治療に関する選好が必ずしも一致しないため,治療選択時に配慮する必要がある.
著者
井上 雄吉 荒木 一富 西田 勇人 藤田 明美 藤本 万理 青山 麗子
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.496-509, 2010-12-31 (Released:2012-01-05)
参考文献数
41
被引用文献数
2

表出障害が主体の失語症に対する低頻度反復経頭蓋磁気刺激 (rTMS) の効果について検討した。対象は左大脳半球の主に慢性期脳血管障害 20 例 (梗塞 12 例,出血 8 例,全例右利き) で,発症から rTMS 開始までが 68~2793 日 (平均 591.6 日) であった。rTMS は健側右半球の Broca 野相同部位の Brodmann 45 野に,運動閾値の 90 %の強度で,1Hz,900 発刺激を計 10 セッション行った。評価は表出面を中心に,40 個の絵の呼称や短縮版 WAB,標準失語症検査 (SLTA) で行い,rTMS 前後の局所脳血流量 (rCBF) も調べた。結果は,絵の呼称では脳梗塞例全体で rTMS 施行 2 週後から有意の改善を認め,効果は終了 4 週後も持続し,SLTA でも有意の改善を認めた。脳出血例では有意の変化はなかった。脳梗塞例では rTMS 後に左基底核 rCBF の有意の増加を認めた。健側半球の低頻度 rTMS は,特に左基底核が保たれた慢性期脳梗塞に有効であり,失語症の改善に左基底核の関与が示唆された。
著者
五島 義昭 青山 英樹 西沢 健治 柘植 治人
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.147-153, 1988-03-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
17

PC粒の形態,主成分である澱粉の性質,および大気条件下で, 160~200℃に加熱した時の膨化機構等,以下の事項についてDC, WCと比較検討した. i)コーン粒のいくっかの種類より単離した澱粉粒子の比較, ii)粒構造の特性, iii)加熱中の膨化における粒の走査電子顕微鏡による観察. (1) PCより単離した澱粉粒子の性質は,アミロース含量が, DCのものより高いものの(約3%),糊化特性や糊化温度において, DCと類似した値を示した. PC種の特徴はむしろ穀粒の特異な構造にあると考えられた. (2) 膨化中のPC粒の走査電子顕微鏡による観察から,角質胚乳における澱粉は, 160℃以上で糊化し,空気の膨張によるはちの巣状の構造をつくることが明らかとなった.膨化した生成物において,膜のような薄いフィルムは,糊化,焼結した澱粉によりっくられた. (3) 膨化するコーン粒において,澱粉粒子は130~170℃の範囲で糊化し,糊化の程度は65~75%であった,PCの調製において,本質的に重要なことは,加熱中に内部蒸気圧に十分耐えることを可能とする外皮の性質にある.
著者
青山 優里彩 松村 敦 宇陀 則彦
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.233-238, 2016-05-14 (Released:2016-07-15)
参考文献数
7

本研究は、情報検索時のメタ認知と感情の側面を支援することで検索パフォーマンスを向上させることを目的とする。2体のチャットボットを用意し、検索行動時に対話することによって検察パフォーマンスの向上を目指す。1体はユーザのメタ認知を促進させる対話をし、もう1体は主にはげます対話をするボットを開発した。ボットとの対話による検察パフォーマンスへの効果を検証するべく、ユーザ実験を行った結果について報告する。