著者
三田 千代子 小池 洋一 柳田 利夫 山田 政信 山ノ内 裕子 拝野 寿美子 田中 祐司 柴崎 敏男 田村 エミリオ 加藤 博惠 堀 永乃 高木 和彦 松尾 隆司 松井 謙一郎 渡会 環
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

日本の外国人就労者である日系ブラジル人は、ホスト社会、エスニック集団、ホームランドの3社会に同時に存在している。エスニック集団はホスト社会に組み込まれたものであるが、ホームランドとの繋がりを維持しているのは、IT機器や携帯電話といった容易で安価で迅速なコミュニケーション手段の普及の結果である。すなわち、物理的に存在しているホスト社会は、ブラジル人就労者にとっては絶対的空間であり、種々のコミュニケーション手段によって社会的関係を維持しているホームランドは相対的空間である。この2つの空間に人が生きているということは、グローバル化時代だからこそ可能となったことである。
著者
高木 友博
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

1.理論基礎検討(1)連想記憶方式の基本的考え方を調査すると同時に,オントワジーの基本的考え方および応用事例の調査を行い,ファジィ集合による両者の融合方式について検討した.その際特に下記の観点で成果を得た.・双方向連想記憶以外の連想機構の導入:CFSにおいて概念同士の説明関係をうまく表現するためホップフィールドニューラルネットの使用を試み,断片知識同士の分離性,層状に制約されない知識表現の可能性を確認.・順序性の導入手法:クロックの推移をノードに割り当てることにより,時間を表現できることを確認した.(2)テキストによる概念の表現方式とマッチング方式およびパターン情報とシンボル情報のマッチング方式.2.プロトタイプシステムの開発以下の応用領域における,プロトタイプシステムを開発し,いずれも人間の感覚により近い結果を得られることを確認した.(1)番組推薦:デジタルTV放送において視聴者が過去に見た番組のEPG(Electric Program Guide)に含まれる重要語から視聴者の好みをオン下ロジー内に学習により形づくり,新しく視聴候補となる番組の選好度を求め番組推薦を行う.(2)音楽検索:手紙文からその雰囲気をオントロジーを用いて認識し,それに近い雰囲気の曲を選択する.(3)検索エンジン:「冬」「スポーツ」といったキーワード入力から「スキー」や「スケート」といった具体的概念を含むホームページにまで検索対象を拡張.またスコアリングを伴った検索を行う.(4)文書分類:文章中に直接含まれる単語の出現頻度による類似性評価ではなく,間接的な語に置き換え,概念的な距離を測ることにより,より人間の感覚に近い分類を行う.(5)画像検索:感覚的表現のキーワード(例:ゴージャス)からの,花の画像検索プロトタイプシステムを構築た.その結果,人間の感覚にあった検索が行われることが確認された.
著者
青木 尊之 森口 周二 下川辺 隆史 高木 知弘 滝沢 研二
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

① AMR法を適用した複雑形状物体を含んだ非圧縮性単相流体(乱流LES)シミュレーション:格子ボルツマン法により、複雑形状を含んだ物体回りの流れとして、複数台の自転車を含む競技を想定した流れのシミュレーションを行った。計算のTime-to-Solutionを大幅に短縮するAMR法を適用した。また、検証として行った球周りの流れでは、レイノルズ数が50万程度で抗力が急激に低下するドラッグ・クライシスを再現することができた。②マルチ・フェーズフィールド法による動的領域分割:粒成長を並列計算の領域分割に適用し、時間発展させることで各領域の体積(計算負荷)を均一にしつつ、各領域が凸形状になるようにトポロジー最適化が行えることを確認した。これまでのスライス・グリッド法や空間重点曲線による領域分割と比較し、領域間通信量を低減できることを確認した。③AMR法による気液二相流シミュレーション:Octreeベース細分化によるAMRを用いて最細格子を気液界面に適合させ、弱圧縮性流体計算による気液二相流計算を行うことができるようになり、均一格子を使う場合と比較して1/100の格子点数で計算することができた。④流体-構造連成問題:物体適合格子における要素の消滅および出現させる手法を開発した。この手法の自由度を増すため、接触物の間に互いにスライド可能なメッシュに分割する手法を提案した。これにより接触位置が互いに変わる状況も再現できるようになり、これまでの物体適合格子の並列効率を保つことができる。⑤フェーズフィールド法による凝固と粒成長のシミュレーション:強制対流下で成長するデンドライト形態変化を詳細に検討した。また、自然対流を伴うデンドライト凝固シミュレーションを行い、自然対流が凝固組織を大きく変えることを明らかにした。800 GPUを用いた世界最大の理想粒成長シミュレーションを行い、理想粒成長の統計的挙動を初めて明らかにした。
著者
高木 伸
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.888-894, 2004-09-20

「量子干渉性は、観測しなければ保たれ観測すれば消える」と言われる。これは正しいけれども、場合によっては、「観測しなければ消え観測すれば回復される」。この二命題は相矛盾しない。もちろん、「観測」の意味が相異なる。この事情を、サッカーボール干渉実験に即して、具体的に考察する。
著者
高木 裕之 青山 幹雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.12, pp.1-8, 2014-03-12

異なるクラウド基盤を連携するハイブリッドクラウドが注目されているが,クラウド基盤ごとに API と構成管理方法が異なるためユーザの要求を満たすアプリケーションの分散構築が困難である.本研究では,クラウドアプリケーションの標準構成記述仕様である TOSCA を拡張し,異なるクラウド基盤上に分散配置を可能にする.そして,クラウド基盤ごとに異なる API を抽象化し,クラウド基盤によらない仮想マシン生成を実現する.分散構築自動化基盤アーキテクチャを提案する.提案アーキテクチャのプロトタイプを実装し,その有効性を評価する.Currently, hybrid clouds that integrate private clouds and public-clouds are attracting attention. However, construction of hybrid cloud is difficult due to the complicated configuration management and the difference of levels of abstraction off APIs for each cloud infrastructure. In this article, we extend TOSCA (Topology and Orchestration for Cloud Applications), a standard specification of configuration description for cloud application, in order to enable building of distributed applications on different clouds. We define a set of abstract APIs that encapsulate different APIs of each cloud, which enable to create virtual machines independent of cloud infrastructures. We propose an architecture for automatic building of distributed applications on a hybrid cloud computing. We developed a prototype of the architecture, and demonstrate the validity of the proposal architecture.
著者
木村 逸郎 夏 宗ほあん 包 尚聯 伊藤 秋男 秦 和夫 今西 信嗣 XIA Zonghuang 包 尚聨 張 国輝 趙 子強 王 宇鋼 施 兆民 唐 国有 陳 金象 韋 倫存 今井 誠 神野 郁夫 高木 郁二 金 長文
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

最近粒子ビーム(中性子や荷電粒子のビーム)を用いた材料科学研究の進展は著しい。京都大学と北京大学は、いずれもこれらの先駆的な研究を進めているが、ここに大学間協定に基づいて研究協力を強化推進し、一層の高度化とさらに新しい分野への発展の基礎を築くことができた。本研究を通じ、京都大学から北京大学へ延べ8名の班員を派遣し、最近の研究の紹介を介して討論するとともに、実験の現場でも議論した。一方、北京大学から京都大学へ延べ8名の班員を招へいし、先方の研究成果について紹介してもらい、それについて討論した。さらに一部の班員はやや長く滞在して実験に参加させ、他の班員は京都大学の研究用原子炉や加速器において進行中の関連研究を見せ、現場でいろいろと議論した。やや具体的なテーマについての成果は次のとおりである。1.両大学で進行中の中性子ビーム利用研究では、まず核分裂過程の機構解明に関連し、核分裂即発中性子の測定法と測定結果、解析モデルと解析結果を比較し、共通点を見出した。また、中性子の非弾性散乱や荷電粒子放出の測定に関連し、データを比較検討した。さらに、中性子の新しい利用とくに医療利用についても議論を深めることができ、今後の協力が期待される。2.加速器による重イオンビームの利用については、両大学とも盛んに実験研究が進められているため論議が噛み合う所が多かった。なかでも、クラスターイオンの発生と利用、イオンビームによる表面分析、イオンビームによる新機能性材料の開発において、相互の実験手法を現場で詳しく見た上で議論し、ときには改善法を示唆したりもした。また北京大学の班員を京都大学での実験に直接参加させたことも実質的な協力として有意義であった。これらを通じ、今後のより実質的な協力の芽が育ったといえる。
著者
高木 修作 細川 秀毅 示野 貞夫 宇川 正治
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.417-427, 2000-05-15
被引用文献数
6 11

マダイ飼料におけるコーングルテンミール(CGM)の配合許容量を, 0歳魚(初期平均体重53g)および1歳魚(初期平均体重280g)を用いて調べた。0歳魚では15%の, 1歳魚では36%以下のCGM配合区は, 無配合区と同等の平均増重量および飼料効率であった。しかし, 0歳魚では26%以上の, 1歳魚では47%以上のCGM高配合区の平均増重量および飼料効率は劣った。試験飼料の見かけのタンパク質消化率はCGM配合率と無関係に90∿95%と優れていた。マダイ飼料におけるCGM配合許容量は0歳魚で15%, 1歳魚で36%, 魚粉代替率としてそれぞれ30%および70%と判断された。
著者
蓮村 哲 新谷 稔 高木 一郎
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

肝臓は血漿蛋白の産生臓器として重要な機能を有している。特にアルブミンは血漿蛋白の50%を占める重要な蛋白である。従来よりヒト由来の肝癌細胞株を用いて、ビタミンやホルモンによるアルブミンやAFPの産生の変化について検討してきた。さらにこの細胞をラジアルフロー型バイオリアクターを用いて3次元培養した際の、両蛋白の産生量の変化を検討した。ラジアルフロー型バイオリアクターによる培養細胞の3次元構築は、SEM TEMで確認し、球形の細胞の配列と、相互の細胞の緩やかな接着(接着装置の存在を認める)、細胞小器官の極性の存在を認めた。FLC4細胞の3次元培養では単位細胞あたりのアルブミン産生量は単層培養の6.9倍に増加し、AFPは400分の1に減少した。またFLC7細胞では3次元培養により、AFP産生が優位であったものがアルブミン産生優位となり、より正常肝細胞に類似の機能を発現すると考えられた。以上より、これら肝細胞の機能発現には、ホルモン、ビタミン、その他の生理活性物質だけでなく、細胞組織の3次元的構築が大きく関与することが明らかとなった。また肝由来蛋白である、thorombopoietinも本研究に用いた肝由来細胞株において産生され、その産生量はラジアルフロー型バイオリアクターを用いた際には、細胞数の増加、アルブミン産生量の増加に一致して漸増し、ほぼヒト正常肝の1日産生量に近い量を400mlバイオリアクターで産生可能であった。ラジアルフロー型バイオリアクターによる肝特異蛋白の高産生能が示された。
著者
溜渕 功史 山田 安之 石垣 祐三 高木 康伸 中村 雅基 前田 憲二 岡田 正実
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.193-207, 2010-03-15 (Released:2012-03-26)
参考文献数
26

We found eight M 5.1 characteristic earthquakes regularly occurring since 1966 on the plate boundary between the Eurasian plate and the Philippine Sea plate near Miyakojima Island, the Ryukyu Arc, Japan. The quake recurrence interval was 5.89 years in average, and the standard deviation was only 0.73 years. The accumulating stress presumably ruptured the same asperity enclosed by the creeping zone repeatedly. Also, we found three other groups of small repeating earthquakes of M 4, which occurred close to the hypocenters of the M 5 events. Those groups also occurred regularly and we can consider them to be ‘characteristic’ earthquake sequences. Now, we called those groups A, B, and C. It is not clear whether groups A and B had an intrinsic recurrence interval or if they influenced each other. However, two events of group C occurred within one week after the M 5 quakes, indicating that the M 5 events triggered the group C events whose asperity had suffcient strain energy. No earthquake exceeding M 7, which could change the recurrence intervals, has been observed on the subduction zone around the Ryukyu Islands. Therefore, there should be numerous characteristic earthquake sequences in other areas of the Ryukyu district. We expect that the next M 5 earthquake at 50 km depth on the plate boundary near Miyakojima Island will occur between September 2012 and July 2014 with 70% probability, using the small-sample theory with a log-normal distribution model. Moreover, the M 5 event may be accompanied by an M 4 quake that could rupture the asperity of group C within one week.
著者
新堀 英二 高木 幹雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.1932-1940, 1993-09-25
被引用文献数
39

離散的コサイン変換(DCT)を用いたGerchberg-Papoulis(GP)の反復法を適用した画像拡大法"IM-GPDCT"を提案し,その特性を評価した.従来用いられてきた補間法による拡大画像は,観測過程において失われた空間的高周波成分を復元することが原理的に不可能なため,画質劣化が避けられなかった.IM-GPDCT法は観測時に失われた空間的高周波成分を復元する概念を用いることにより拡大画像の画質を改善する.IM-GPDCT法では,周波数帯域拡張の基本原理としてGP反復法を用いており,画像をDCTにより正逆両方向に変換する過程において,画像の広がりが有限であることと空間的低周波成分の正しい情報が既知であることの二つの拘束条件を用いて空間的高周波成分を復元する.提案手法と3種の従来法(補間法)を再生誤差と拡大画像の画質の観点から比較した.その結果,IM-GPDCT法は再生誤差の観点から補間法よりも優れていること,また,拡大画像の画質は鮮鋭さ,ジャギーのないエッジ再現やテクスチャの再現性に優れていることが示された.
著者
高木 和子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.643-648, 2002 (Released:2002-12-01)
参考文献数
15
著者
高木 淳一 岩崎 憲治 禾 晃和 禾 晃和 安井 典久
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

細胞が細胞外環境を認識する際の反応について、X線結晶構造解析による原子分解能構造と、電子顕微鏡イメージングによる分子分解能解析を組み合わせて研究を行った。我々の脳を形作るのに必要なリーリンシグナルや、骨の形成やがんに関わるWntシグナル授受のしくみの理解がすすみ、ニューロン同士が連絡するシナプス結合の本当の姿や細胞同士が接着するメカニズムの詳細が明らかになり、ウイルスがイネに感染する様子をそのまま可視化することなどにも成功した。
著者
高木 節雄 土山 聡宏 中田 伸生 中島 孝一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

粒子分散強化は金属材料の基本的な強化機構の一つであり、鉄鋼材料の場合、セメンタイトを代表とする炭化物が一般的に強化分散粒子として使用されている。一方、近年ではナノテクノロジーによる鉄鋼材料の高機能化研究が盛んに行われており、数nm~数十nm の非常に微細な分散粒子(ナノ分散粒子)を利用して鉄鋼材料の高強度化を図ろうとする試みがなされ、その一つとしてナノCu 粒子が注目されている。ただし、ナノCu 粒子分散鋼の優れた機械的性質は、単に分散粒子のサイズが微細であることだけでなく、「分散Cu 粒子自体が鉄基地に比べて十分軟質である」というCu 粒子の特徴によってもたらされている事実も示唆されている。今後、大きな降伏強度と加工硬化率を有し高強度・高延性を兼ね備えた材料を得るためには、炭化物とCu 粒子を同時に最適な状態で分散させ、それぞれの特長を融合させてやること(ハイブリッド化)が有効であると考えられる。そのような鉄鋼材料、「ハイブリッド鋼」の有効性を証明することを本研究の最大の目的とし研究を遂行した。その結果、様々なハイブリッド鋼(フェライト型ハイブリッド鋼、マルテンサイト型ハイブリッド鋼、パーライト型ハイブリッド鋼など)の創製に成功し、炭化物とCu 粒子の複合析出により鋼の強度-延性バランスが大幅に改善することが明らかとなった。さらに、炭化物とCu 粒子それぞれの分散状態を制御することにより鋼の降伏強度と加工硬化率を独立して任意にコントロールできる可能性が示唆された。