著者
高橋 一夫 喜連川 優 高木 幹雄
出版者
情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.119-120, 1993-09-27
被引用文献数
2

地球環境問題の重要性が広く認識されつつある背景を鑑み、ペタバイト規模の莫大な地球環境データに対する大容量アーカイバ、階層記憶管理/制御系、データ処理系の研究を現在進めている。当研究室では、1980年以来気象衛星NOAAの受信を行なっており、現在では20,000シーンに近いデータを保有するに至っており、容量にして2テラバイトにもなる。このような、大容量リモートセンシング画像のオンラインアクセスを可能とすべく現在、テープ操作ロボティクス用いた超大規模アーカイブデータベースシステムの試作を行なっている。本報告では、8mmジュークボックス、高密度テープ、ならびにRAID-3型ディスクアレイを用いた試作システムの概要とその設計指針について報告する。
著者
津田 良夫 沢辺 京子 高木 正洋 杉山 章 江下 優樹 都野 展子
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

野外のネッタイシマカ集団が有する斑紋変異の現状をベトナム、インドネシア、ラオス、シンガポール、フィリピン、タイを調査地として調べた。その結果大陸に位置する調査地(ベトナム、タイ、ラオス)では、体色の黒い個体が集団の95%以上を占めていることがわかった。これに対して島嶼に位置する調査地(フィリピン、インドネシア)では白色化した個体の割合が高く変異の幅も広いことがわかった。インドネシア、ベトナム、タイで採集された個体を親世代として、それぞれの集団に対して体色のより黒い個体あるいはより白い個体の人為淘汰を行った結果、どの地域の集団からも黒色個体と白色個体を選抜することができた。スラバヤの集団より選抜された黒色系統と白色系統を用いて、個体群形質の比較を行った。その結果、(1)白色系統は黒色系統に比べて発育が遅い、(2)砂糖水だけで飼育したときの寿命はほぼ同じ、(3)繰り返し吸血させ産卵させた場合は白色系統の寿命の方が短い、(4)成虫の令別生残率と令別産卵数とから求めた繁殖能力は黒色系統の方が大きいことがわかった。白色系統と黒色系統の産卵場所選択について調べるために、インドネシア・アイルランガー大学の動物舎でmark-release-recapture実験を行った。黒色個体は放逐場所に最も近い屋内に設置したオビトラップに集中的に産卵したが、約40m離れた屋外のオビトラップにも産卵していた。一方白色個体は動物舎内の比較的明るい場所に設置したオビトラップにより多く産卵し、屋外のトラップへの産卵はごくわずかであった。野外集団のデング熱ウイルス媒介能力を成虫のトラップ調査によって実施するためには二酸化炭素源が必要であり、簡便に二酸化炭素を発生できる装置を考案し定期調査を実施した。
著者
飯野 浩太郎 高木 秀蔵 岩本 俊樹
出版者
岡山県水産試験場
雑誌
岡山県水産試験場報告 (ISSN:09129219)
巻号頁・発行日
no.24, pp.87-89, 2009-11

ホタテガイ、ムラサキイガイ、アサリ、マガキなどの二枚貝類が特定のプランクトンによって毒化することが報告されている。本調査では岡山県の主要水産物であるアサリとマガキの食品としての安全性を確保するため、両種の主要漁期に毒化状況及び貝毒原因プランクトンの出現状況を調べた。発生。
著者
高木 潤野
出版者
長野大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

音韻表象の不完全さが、ダウン症児の構音の誤りの一貫性の低さや発話の不明瞭さに関わっている可能性が指摘されていることから、目標とする語からの異なり方の大きい刺激と小さい刺激を用い、ダウン症児・者がどのような反応を示すかを検討した。その結果、正答率は「異なりなし条件」90.5%、「異なり小条件」19.0%、「異なり大条件」52.4%であった。このことから、ダウン症児・者は誤り方の大きいものと比較して誤り方の小さいものでは誤りを認識することが困難であることが明らかとなった。これは、ダウン症児・者の音韻表象が不完全であることによる可能性が考えられた。また音韻表象の不完全さはダウン症児の一貫性の低い構音の誤りや発話の不明瞭さの要因の1つである可能性が示唆された。
著者
久保 勇輔 高木 大輔 森上 亜城洋
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第28回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.84, 2012 (Released:2013-01-10)

【目的】 転倒セルフエフィカシーとは、転倒しないで日常生活をどのくらい行えるかという見込み感であり、セルフエフィカシー(自己効力感)や自信は身体機能と強く結びついている。自己効力感と身体活動量には関係性があると報告されているが、一方で身体活動をどのように維持するかという問題点も浮上している(竹中ら、2002:加藤ら、2006)。谷本ら(2010)によると、加齢に伴う身体組成の変化は、高齢者の生活機能障害に深く関わり、加齢に伴う筋肉量の減少と基本的ADLの障害は関連し、高齢期の健康づくりにおいては下肢筋肉量に着目した支援の必要性が報告されている。そこで筋肉量の増減が、高齢者の生活機能への変化を通して、自己効力感に影響を及ぼす可能性が推測されるため、本研究では加齢、筋肉量、自己効力感との関係性を検討した。なお本報告は、対象者に紙面、口頭にて説明し同意を受け、公立森町病院倫理委員会の承認を得た。【方法】 対象は、地域在住女性高齢者24名とし、年齢は71±9歳、身長は148.9±5.6㎝、体重48.4±7.4㎏であった。全身筋肉量は、BIA法(生体インピーダンス法)でデュアル周波数体組成計(TANITA:DC-320)を用いて測定した。Brown et al(1998)は、BIA法で推定した筋横断面積とCT法で測定した筋横断面積に有意な相関があることを報告している。転倒セルフエフィカシーに対しては、竹中ら(2002)が開発した転倒セルフエフィカシー尺度(FES:falls efficacy scale)を用いた。加齢、筋肉量、転倒セルフエフィカシー尺度の各々の関係において、Pearsonの積率相関係数で検討し、有意水準は、危険率5%未満にした。【結果】 加齢と全身筋肉量の間に、有意な負の相関を認め(r=-0.57, p<0.05)、加齢に伴い全身筋肉量が減少していた。また、筋肉量とFESには有意な正の相関を認め(r=0.44, p<0.05)、筋肉量が多い対象者は、動作に対して自信を持っていることが示された。【考察】 全身筋肉量が自己効力感に影響を及ぼす可能性が示唆された。高齢者では加齢に伴い筋肉量が減少し、身体活動量が減少することで自己効力感が低下することが推測される。自己効力感は多くの研究において運動参加への定着についての重要因子とされている。そこで本研究より高齢者においては、まず筋肉量を増やすことが生活機能障害、ADL障害を改善し、結果身体活動を通して自己効力感を向上できるのではないかと考える。一方で今回は、全身筋肉量について検討したが、加齢ではサルコペニアにより速筋線維は萎縮し(河野ら、2011)、遅筋線維は影響を受けない(Fujiwara et al, 2010)。高齢者では特に筋線維間の分布に差異を認めるため、今後は筋線維組成からの検討もしていきたい。また身体活動量に影響を及ぼす要因として、認知機能の低下や環境因子もあるため合わせて検討する必要がある。【まとめ】 今回、全身筋肉量と自己効力感に関係性があり、高齢者では筋肉量を増やすことが生活機能の改善を通して、自己効力感を変化させる可能性が示唆された。
著者
大石 希 浅岡 朝泰 高木 朗義 北浦 康嗣
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_197-67_I_208, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
12

プロサッカーチームはJリーグが掲げる百年構想に従い,サッカー以外の活動を行うことで,地域の魅力向上など地域活性化に貢献している.その一方,チーム運営には厳しい現状があり,プロサッカーチームの存在意義が問われている.本研究ではプロサッカーチームがもたらす市場価値のみならず,非市場価値を評価し,プロサッカーチームが地域活性化に貢献していることを明らかにする.具体的には,FC岐阜に対するアンケート調査を実施し,大分トリニータのデータも用いて,CVMや機会費用,消費者余剰法によりプロサッカーチームによる地域活性化の便益を評価する.その結果,試合開催時における便益以外にも,生涯体育や社会貢献などの地域貢献活動に対する便益が小さくないことを示す.
著者
福岡 克弘 高木 敏行 小島 史男 相山 英明 橋本 光男
出版者
滋賀県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

立体的な形状をした被検査対象物を高精度に非破壊検査する技術の確立を目的とし、磁粉探傷試験と渦電流探傷試験を組み合わせたハイブリッド電磁非破壊検査システムの確立を検討した。具体的には、磁粉探傷試験と渦電流探傷試験において、立体的な形状の強磁性体を探傷するため、三次元空間に均一且つ簡便に磁界を発生できる回転磁界型磁化装置の開発を行った。渦電流探傷試験により極微小な傷を探傷可能とするため、高感度な渦電流プローブを開発し、その特性を評価した。磁粉探傷試験により得られた探傷結果から、傷形状を定量的に評価する手法の確立を目的に、傷の形状と付着磁粉量および傷からの漏洩磁束密度の関係について評価した。
著者
高木 芳弘 石川 潔
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究ではパルス光の照射による磁気過程の高速応答を実時間で追究することを目指している。本補助金で購入した広帯域デジタルオシロスコープを用いて時間応答と信号処理能率の改善により、光誘起スピン偏極機構の新たな解明と、合成した化合物溶液においてスピンの歳差運動によるフリーインダクションディケー(FID)を初めて観測することができた。1)磁場存在下での誘起スピン偏極の起源の解明昨年度行った酢酸銅と鉄明礬結晶における磁場下での光の角運動量を必要としないスピン偏極の生成について、その由来を明らかにした。酢酸銅は複核錯体を形成することが研究当初不可欠であると予測されたが、一方、磁場に対して同様の振舞を示す鉄明礬は単核錯体である。さらにスピン3/2のルビーでは以前に得られていた準位交叉の磁場近傍での状態混合によるスピン偏極の信号も同様の起源で説明できることがわかった。この孤立スピン系における実験的証拠から、複核形成は誘起スピン偏極の必要条件ではなく、多重度が3以上で、かつ微細構造分裂を有するスピン系で磁場の印加により状態混合を形成することが起源であると断定した。鉄三価と同じ多重度のマンガン錯塩では信号が得られないが、鉄と異なり超微細分裂が微細構造より大きく、スピン偏極を与える状態混合の形成が十分でないことに起因するとした(投稿準備中)。2)スピンの歳差運動によるフリーインダクションディケー(FID)の観測広帯域デジタルオシロスコープにより時間応答と処理速度の向上が図られ、その結果、鉄三価キレートのアセトン溶液において、励起円偏光ビームと垂直の磁場の印加によりFIDが初めて観測された。振動の周波数は印加磁場と共に増大し、歳差運動の様子が顕著に認められた。これは希釈スピン系であるルビーで古く見出されたものと異なり、高濃度の室温凝縮系での直接検出は我々の知る限り初めてである。これによってマイクロ波を使わずに任意の磁場でのパルスESRと等価な知見が得られることになる。現在詳細な実験を進めている。
著者
高木佐加枝 著
出版者
成美堂
巻号頁・発行日
vol.高2用, 1938
著者
松本 和彦 喜連川 優 高木 幹雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1257-1258, 1990-03-14

コネクションマシンは、数万個というオーダーのプロセッサアレイとハイパーキューブ形状の通信ネットワークを持つ、単一命令ストリーム多重データ(SIMD)の並列アーキテクチャマシンである。現在Thinking Machines Corporationが市販している最新モデルはCM-2と呼ばれ、フルセットで65536個のプロセッサを備えている。CM-2は、ワークステーションなどのフロントエンドにバスインタフェースを介して結合している。逐次的な処理はフロントエンド上で通常のプログラムコードとして実行され、並列処理の部分だけがバスインタフェースを通じてコネクションマシンに指令される。CM-2の操作は、PARISというライブラリの関数を呼び出すことによって行なう。このライブラリがサポートしている重要な機能は、仮想プロセッサ(Virtual Processor,以下VP)である。VPの数は物理的なプロセッサ数に関係なくとることができ、プログラマへの負担の軽減、プログラムの可搬性に大きく寄与する。VPの数を物理プロセッサの数で割ったものを、VP比と呼ぶ。今回、プロセッサ数8192、クロック6.7MHzのCM-2を使い、ベンチマーク性能評価を行なったので、その結果を報告する。
著者
苅宿 俊文 郡司 明子 刑部 育子 茂木 一司 古川 聖 戸田 真志 植村 朋弘 佐伯 胖 高木 光太郎
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究の研究成果は3点ある。その概要は、1、WSは参加者、ファシリテータ、活動対象の3つから構成されていることを基に、F2LOモデルを定義した。2、WSの3つの構成要素は、相互間の関係性の分析を重層的な視点から組み立ていくことの重要性を指摘した。そして、WSにおけるコミュニケーション構造は「位置づく-見立てる-味わう」の3つの場面の重層的な関係性を調査した。3、WSの重層的な関係性を分析していくために、iOSアプリ「デキゴトビデオ」を制作した。この「デキゴトビデオ」は、映像の編集を簡単に出来ることで臨床的な調査に適したツールである。今後、学習環境デザインの分野で活用することが期待されている。
著者
内藤 林 谷澤 克治 箕浦 宗彦 高木 健 木原 一 野澤 和男
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

強非線形の流体現象の数値計算できる可能性があると判断した粒子法について3年間の研究で以下の成果を得ることができた。1.粒子法の有効性を計算と実験値を比較することで示した。すなわち、粒子法が、衝撃的な短時間に生起する強非線形現象、例えばスラミング、デッキウエットネスなどの現象をよく表現できることを我々自身の実験と計算で確認した。2.粒子法は、その計算領域が大きくなるとそれに従って計算時間はうなぎ昇りに長くなる短所を持つ。このことを解決するために、計算領域の境界から波の反射を無くすため、そこに完全波吸収システムを設置する手法を示し、その有効性を確認した。この波吸収システムは研究代表者が他の研究で開発したシステムであり、それを粒子法に合うように改良し、成功を収めた。このシステムを設置した境界における波エネルギー吸収量を計算した結果、ほほ100%の波吸収を実現でき、境界からの反射をなくすことができた。3.波動場の計算領域を狭くするために、水底をどこに設定するかも、計算時間に直接的に響くとともに波が伝播するうちに減衰する計算上の現象を解決する上からも重要な問題である。そこで、有限水深の水底を波動運動させる手法を導入した。水面上の撹乱から計算水底境界の撹乱を推定し、それに基づいて水底を強制的に動かすことで波の減衰を大幅に減ずることができ、水深に関して計算領域を画期的に減ずる事を可能にした。4.3次元現象の解明のために、粒子法計算コードを3次元問題への拡張を図るためには、計算時間の短縮化技術が必要である。その目的のために、並列化計算手法を完成して大幅な時間短縮技術を完成した。5.自由表面上で波動場中で前進速度をもった船舶に起きる3次元強非線形現象の計算プログラムを作り、数例の計算例を示すことができた。6.前進速度を有する二次元船舶の運動計算を行い、従来計算が不可能であったポーポイジングなどの現象を計算上で得ることができるようになった。7.工学に必要な力の計算において、考えられない、実験値にもない高周波数の変動が計算値に現れていた。この現象を補助方程式を使うことによって除去できる計算法を完成させた。このことによって工学で最も大切である、物体に働く力の計算精度向上に大きな前進を示した。8.船舶海洋工学分野で難しい強非線形問題に、この粒子法が極めて強力な計算手法であることを、他の各種の具体的な問題を通じて明示した。9.この手法を広く国内外に周知するために国内外の論文雑誌に投稿するとともに、国内外の各種会議に積極的に出席し衆知してきた。多くの国外研究者からの問い合わせを受け討論を深めることができた。
著者
森下 將史 高木 丈夫
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

グラファイト上吸着ヘリウム3薄膜吸着第1原子層の固相は2次元量子スピン系のモデル物質を与える。この系の磁性は多体交換相互作用の競合により支配されるが、その詳細は不明であった。本研究では、吸着ポテンシャルのcorrugationが重要な役割を演じていると考え、経路積分モンテカルロシミュレーションによる吸着エネルギーの計算に基づいて吸着構造相図を求めた。最も低面密度の固相である√<3>×√<3>相から面密度の増大に伴い、striped domain wall構造、honeycomb domain wall構造、honeycomb cage構造、incommensurate構造へと、2次構造相転移により次々と移行する。この吸着構造相図は、様々な実験事実を定性的にではあるが、非常によく説明できるものである。特に、最大の謎であった、突然の反強磁性-強磁性転移は、commensurate構造からincommensurate構造へのC-IC転移による多体交換相互作用の競合の変化の結果として説明される。一方、この系の比熱を交換相互作用の大きさと同じの100μK程度の低温まで測定し、広い面密度領域に渡り、2桁以上の広い温度範囲でほぼ温度に反比例する依存性を観測した。局在スピン系の高温比熱は温度の自乗に反比例することが期待され、観測された比熱は異常なものである。この異常なべきの正常値からのずれは、多体交換相互作用の競合の強さを反映したfrustration parameterであると考えられる。観測された比熱のべきは複雑な面密度依存性を示すが、これも本研究により提案された構造相図により説明できる。また、√<3>×√<3>相より低面密度領域で競合が弱まること、流体相の比熱の寄与は観測されず、spin polaronの比熱と考えられるbumpが観測されたことは、これまで直接的証拠が得られていない零点空孔子の存在を強く示唆する。
著者
佐伯 裕治 清水 正明 白沢 智輝 中村 豪 高木 将通 Balazs Gerofi 思 敏 石川 裕 堀 敦史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.15, pp.1-7, 2013-04-18

メニーコアプロセッサ向けの OS として,Linux カーネルと軽量カーネルが連携して管理するヘテロジニアス構成の OS を開発している.軽量カーネル上においても Linux カーネルのシステムコールを提供するために,軽量カーネルで実現されない Linux システムコールの処理は Linux カーネルに委譲する.引数がデータ領域を示すシステムコールの場合,転送が必要なデータの構造は API 仕様に依存するため,300 種類以上の Linux 互換システムコールに個別に対応したデータ転送を実装する必要がある.本稿では,システムコール処理対象となるデータを同一仮想アドレスへのメモリマップを行う方式により,軽量カーネルに個々のシステムコール処理を実装することなく Linux カーネルに委譲する機構と,その基本評価結果について報告する.We have been developing a heterogeneous OS composed of Linux and lightweight kernels for manycore processor. In order to provide all Linux system calls in the lightweight kernel, those primitives which are not provided by the lightweight kernel are delegated to the Linux kernel. Each system call differs in the number of arguments and argument types, and thus the code transferring arguments and results is implemented in each delegating system call. It is impractical to implement all Linux APIs, i.e., more than 300 system calls. Therefore, we developed a delegation mechanism of system calls without individual implementation to pass the data between the lightweight kernel and Linux using a memory mapping technique. In this technique, a user-level virtual address space in the lightweight kernel is mapped to the same position in a Linux process. We report the result of basic evaluation of system calls on lightweight kernel developed on Intel(R) Xeon PhiTM Coprocessor.