著者
宇都宮 由佳
出版者
大妻女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

東アジアの人々にとって,ポルトガル伝統菓子から最も影響を受けたことは菓子に卵を使用することであった.日本・タイ・ゴア(インド)には,Fios de ovos(鶏卵素麺)が共通して伝播していたことが明らかとなり,ポルトガル最初の料理書「Arte de Cozinha」(1680年)には「Fios de Letria」と記載されていた.ゴアではLetriaと呼ばれ,ポルトガル系キリスト教徒の家庭で母から娘に作り方が伝えられていた.日本では,福岡藩の御用菓子だったため,広く知られていなかったが,タイでは,宮廷から上流階級そして庶民へと広まり,さらにアレンジされたものが作られていた.
著者
荒川 友博
出版者
摂南大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

セレンは酸化ストレス防御系において重要な役割を演じている必須微量元素である。本研究では、セレンによるストレス制御がアレルギー性疾患に与える影響を検討した。その結果、食品中に多く含まれるセレン化合物であるセレノメチオニンの投与が即時型および慢性皮膚アレルギー反応を抑制することを明らかにした。また、セレン欠乏状態によって、即時型および慢性皮膚アレルギー反応が増悪化することを明らかにした。
著者
夏目 琢史
出版者
国士舘大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は、遠江国井伊谷と彦根藩等の交流を中心に分析を進めると同時に、新たに確認した井伊谷町中井家文書(個人蔵)の調査を中心に実施した。前者については、とくに近世後期の彦根系譜方の動向に着目し、彼らが井伊谷でどのような歴史調査を実施していたのかについて具体的に明らかにしていった。そのなかで、井伊谷だけではなく、周辺の地域(引佐地方を中心とする)の旧家の協力を得て、遠江井伊氏についての調査が進められていった点が確認されたことには一定の意味があった。つまり、こうした旧家のなかには、地元に史料を残すものがあり(東光院・中井家など)、彦根藩側の史料と地元にのこる史料の双方から裏づけることができた。彦根藩の系譜方による由緒向調査が、遠江国井伊谷周辺(旗本近藤氏領)の地域社会に少なからず影響を与えている点は注目される。後者の点については、新たに確認された井伊谷町中井家文書(引佐町史収録分とは別)の目録作成を進めることができた。この史料群は近世中期の史料が大半を占めており、なかには日記などのまとまった記録もみられ、今後の研究の進展が大いに期待されるところである。とくに、これまでほとんど確認されていなかった中井家が井伊谷の本陣をつとめていた際の史料がみつかった点は重要である。中井家は、近世後期になると遠江井伊氏の歴史研究を進めていくが、その背景にどのような要因があったのか、引き続き、この史料群の調査を進めていく予定である。平成29年度は、ひとまず、こうした研究を進めていくうえでの基礎となる目録作成作業を重点的におこなった。
著者
上土井 貴子
出版者
熊本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

現代社会において子供たちは幼少時期から、様々な環境ストレスにさらされている。そのなかでも適切でない光環境に影響された子供たちは、睡眠覚醒リズムが乱れ始め、自律神経症状や不定愁訴が出現するようになり日々の疲労が回復することなく新たな疲労状態が蓄積していき、最終的には精神状態の疲労までも引き起こす小児慢性疲労症候群になっていく危険性がある。しかしながら、小児慢性疲労症候群の根本的な治療はまだ確立されておらず、社会生活への復帰がかなり遅れてしまう。このことは患者自身の不利益になるのみならず、日本社会の医療費増加、将来的な生産性の低下などの問題を含むと予想される。そのため、私たちは根本的な小児慢性疲労症候群の患者に対しての治療法の確立のため、生体リズムを司る時計遺伝子に注目し、ヒトの時計関連遺伝子の発現に影響が大きいと考えられる高照度光療法を用い、生体リズムを改善させ、時計遺伝子の発現量の周期パターンを評価した。対象としたのは熊本大学医学部付属病院を受診し、小児慢性疲労症候群と診断された患者30人の時計遺伝子を経時的に測定し、ヒトにおけるmPer2,Clock時計遺伝子の発現プロフィールを得て、健常人と比較検討し、結果リズム異常が有意的に認められた。次に高照度光療法施行し治療の前後での時計遺伝子の発現パターン評価した。結果、臨床症状の改善とともにリズム回復を認める事ができた。このことは、小児型慢性疲労症候群の患者にとってmPer2,Clock時計遺伝子の発現プロフィ一ルのリズム異常は発症因子として考えられる事が示唆された。さらに今年度は高照度光療法の有効群と無効群との比較を行い、時計遺伝子の改善の有無の有意的に認め、小児慢性疲労症候群の患者において血清日内メラトニン、コルチゾールの変動測定、深部体温測定などの他の生体パラメーターの中で時計遺伝子発現改善が有意な治療効果指標になる事が認められた。
著者
渡邉 英徳
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

研究成果により5つのデジタルアーカイブを公開し、査読付き雑誌掲載論文2編、受賞9件、学会発表14件などの成果を挙げた。また研究成果は沖縄県、長崎県の事業に採用され、朝日新聞社およびグーグルとの産学連携も行なっている。これらのことから、研究目的は達成されたと言える。
著者
小林 雄一郎
出版者
東洋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、自動採点の技術を用いて、第二言語としての英語学習者(外国語としての英語学習者を含む)の話し言葉の習熟度を自動評価するものである。本研究では、NICT JLE Corpusを主な分析データとし、Biber (1988) で用いられている言語項目に関する情報をデータに付与した。そして、分析に用いた手法は、他の手法よりも比較的高い分類精度が得られると報告されているランダムフォレスト法である。その結果、9段階の習熟度を61.28%の精度で正しく分類できた。これは、ベースラインの精度よりも37.63ポイント高いものである。また、分類に大きく寄与した言語項目は、前置詞、人称代名詞などであった。
著者
俵木 悟
出版者
独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

平成19年度は,これまで行ってきた昭和45年の日本万国博覧会(大阪万博)め「お祭り広場」における催し物と,その実現に大きな役割を果たした宝塚歌劇団郷土芸能研究会の活動にっいてのフォローアップ調査を行った。和歌山県太地町の鯨踊りについては,前年度の渡辺武雄氏とのインタビューにおいて,宝塚郷土芸能研究会が復活に関わったことを知ることができたので,本年度は地元で復活を進めた経緯にっいて,現地調査と聞き取り調査を行った。復活に際しての牽引役であった当時の青年のメンバーに対して行った聞き取り調査によって,現地での復活の機運と,郷土芸能研究会の来訪がタイミング良く重なり,とくに音楽の復元等で郷土芸能研究会の指導を受けた様子などが明らかになった。また,高知県の阿波踊りのフォローアップ調査では,当時進んでいた踊りグループ(連)の再編や,その組織化(阿波おどり振興協会,徳島県阿波踊り協会の発足等)が,直接万博への出演が契機となったとは言えないものの,その出演団体選考などに影響を与えていたことが分かった。現在,有名連として知られる多くの踊りグループは,こうした協会への所属によって正統性を認められているが,その権威化に「万博出演」の果たした役割は大きいと考えられる。また,宝塚歌劇団郷土芸能研究会の活動については,平成20年1月26日に開催された民俗芸能学会第117回研究例会において,池田文庫の鶴岡正生氏を迎えて「阪急学園池田文庫収蔵の日本民俗芸能取材資料の紹介」と題した講演をしてもらい,研究代表者(俵木)が司会・コメンテーターとして,学会にその活動の紹介を行い,残された資料の今後の利用について意見交換を行った。こうした調査の成果をまとめ,3月に研究成果報告書を刊行した。
著者
樋口 輝久
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

これまでに行われた歴史的ダムの保全・改修の事例を調査し、ダムの形式ごとに特徴、問題点を整理した。さらに、保全・改修の方針、手法をもとに、a)堤体補強,b)嵩上げ,c)凍結融解防止,d)用途変更,e)残置,f)形式変更,g)付属設備の改修の7項目に分類し、個々の事例を紹介し、それぞれに対する評価を行った。特に歴史的価値が失われてしまった事例に対しては、採るべき適切な保全方法について言及した。
著者
加藤 尊秋
出版者
北九州市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,原子力発電のリスクが発電所の周辺地域で受け入れられる条件を探り,既存の発電所立地地域での住民の心理的負担を軽減させる方策を考察することを目的とし。ケーススタディとして新潟県の柏崎刈羽原子力発電所を対象とした。平成19年度の実施内容は,以下である。1)発電所の操業に伴うさまざまな経済的利点が市町村によって異なることに着目し,その大きさと発電所のリスクに対する補償としての認知度の関連を,既存の社会調査(2005年度実施)の結果をまじえて検討した。その結果,公共的な資金の流入が大きな市町村では,発電所のリスクが補償されたとみなす人の割合が高まることがわかった。ただし,当該資金が補償として十分であると考える人は,1人あたりの額がもっとも大きい刈羽村でも最大限にみて4割にとどまることがわかった。この結果は,「日本原子力学会和文論文誌」に掲載された。2)柏崎刈羽原子力発電所から15km圏内の住民を対象とした訪問面接形式の社会調査をもとに,原子力発電所のリスクおよび原子力防災に対する住民の認知内容を調べた。とくに,発電所から2.3km圏(柏崎市の重点的な対策区域),10km圏(国や県の対策の基本となる緊急時計画区域),15km圏(明示的な対策区域の外)に分け,住民の認知内容を分析した。この結果は,日本リスク研究学会で発表されるとともに,「化学工学」に関連する論考が掲載された。3)上述の社会調査のデータを用い,発電所の経済的利点の認知と防災意識の間にみられる関連性について検討した。
著者
高橋 義雄
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

わが国のプロ野球チームの経営が俄かに脚光を浴び、経営危機とともに経営情報が公開された。そのため急遽わが国のプロサッカークラブの企業統治を同じ日本のプロスポーツであるプロ野球と比較するために、スポーツビジネスの研究者でもあり、福岡ソフトバンクホークスの取締役である小林至氏および営業担当者を訪問し、現状の課題をヒアリングした。次に、クラブが熱心な顧客であるサポーターに対する情報交換の場である湘南ベルマーレのサポーターズカンファレンスにオブザーバー出席し、そこで交換される情報とお互いのコミュニケーションについて参与観察し、同社社長、強化担当者との意見交換を実施した。サポーターカンファレンス時にクラブが実施した意識調査は入手の確約を得た。東海地区3クラブ(名古屋グランパスエイト、ジュビロ磐田、清水エスパルス)の試合会場にて実施された。本調査結果は、2006年1月の第3回日本フットボール学会にて発表した。本報告はスポーツ・体育関連の雑誌に投稿予定である。また地元企業主導型のガバナンスの事例である(株)アルビレックス新潟の広報および地元営業を担当している職員にヒアリング調査を実施した。湘南ベルマーレ同様、地元企業主導型のJクラブの地元協賛企業への対応について情報を得ることで、地元企業の経済効果などシナジー効果の提案が必要であることが明らかになった。そのほか名古屋グランパスエイト事業部担当者へのヒアリングから大企業が親企業となるJクラブの課題が浮き彫りにされた。最後に英国プロクラブ経営の近年の流れであるサポーターズトラストの動向をおさえるために、サポーターズ・ダイレクト事務局長から適宜メールにて情報交換を実施した。
著者
藤井 義久
出版者
岩手県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究の目的は、児童生徒の「キレやすさ」と「学校嫌い」を客観的に測定できる尺度を開発し、その尺度を用いて、問題行動を生み出すメカニズムを解明するとともに、「キレやすさ」と「学校嫌い」との関連性について分析することである。まず、大学生162名を対象にして、「友達関係」、「教師関係」、「怠学感情」という3つの下位尺度、計24項目から成る「大学生版学校嫌い尺度」を開発した。そして、その尺度を用いて、大学生における学校嫌い水準は特に小学校時代の経験が大きく影響していること、学校嫌い水準と怒り水準との間には密接な関連性のあることなどを明らかにした。次に、小学生(1〜6年生)708名を対象にして、項目分析及び因子分析等、様々な統計解析手法を用いて、「怒り感情」、「攻撃行動」、「生理的反応」という3つの下位尺度、計16項目から成る「児童版キレやすさ尺度」及び「怠学感情」、「学業不安」、「教師関係」、「友達関係」という4つの下位尺度、計20項目から成る「児童版学校嫌い尺度」を開発した。そして、それらの尺度を用いて、家庭において音楽を聴いたりお風呂に入ったりするといったリラクレーション時間の長い児童ほど学校嫌い傾向の強いこと、「学校嫌い」と「キレやすさ」は密接に関連していて特に教師関係や友達関係における何らかのトラブルによる学校嫌い傾向の強い生徒ほどキレやすい傾向のあることなどを明らかにした。さらに、中学生(1〜3年生)442名を対象にして、「敵意」、「興奮」、「生理的反応」という3つの下位尺度、計16項目から成る「中学生版キレやすさ尺度」及び「怠学感情」、「劣等感」、「友人関係」という3つの下位尺度、計22項目から成る「中学生版学校嫌い尺度」を開発した。そして、それらの尺度を用いて、分散分析の結果、「キレやすさ」と「学校嫌い」との間には密接な関連のあること、重回帰分析の結果、学校嫌い傾向の強い生徒は特に両親に対する怒り水準の高いことなどを明らかにした。以上の研究を通して、児童生徒の「キレやすさ」と「学校嫌い」を多面的にかつ客観的に測定できる尺度が開発され、それらの尺度には一定の妥当性が備わっていることを示した。また、発達段階を問わず、一貫して「キレやすさ」と「学校嫌い」との間には密接な関連があり、両者を一緒に研究していくことの重要性が浮き彫りになった。さらに、問題行動の形態がどうであれ、人間関係における何らかのトラブルが児童生徒の問題行動を生み出す最も大きな原因であることが判明した。今後は、本研究で開発された様々な尺度の信頼性、妥当性の検証及び問題行動を生み出すメカニズムについて更に詳細に分析していきたいと考えている。
著者
井手 香織
出版者
東京農工大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ヒトの過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患(IBD)の病態には腸管クロム親和性細胞(EC細胞)が産生するセロトニン(5-HT)が深く関与している。本研究ではこれに着目した犬IBDの病態解析を行った。まず免疫組織化学染色によって犬十二指腸粘膜組織中に特徴的な5-HT陽性細胞を確認し,犬のEC細胞であると考えた。そしてこの細胞は健常犬群と犬IBD群で数に差が認められた。さらに5-HT産生に関わる酵素TPH1,組織中の5-HT除去機構であるSERTの遺伝子mRNA量を両群で解析し明らかにした。
著者
山神 達也
出版者
和歌山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

日本社会が人口減少期に突入することを踏まえ、本研究では、人口分布の変動過程と地域人口の動向を検証した。その結果、日本全体と地方単位の二つの空間スケールで、人口が成長ないし停滞する大都市圏と人口減少が進む大都市圏外という対比の鮮明化、及び高齢化の進展による自然減少の地域差の拡大を明らかにした。また、京都府と京都府舞鶴市を対象とした分析から、地域人口の変化では、地域経済と住宅供給の歴史と現況、それらの結果としての年齢構成が相互に作用してきたことを示した。
著者
加藤 浩介 榊原 健一 川井 敬二
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、音場が歌唱に与える影響に着目し、歌唱時における体性感覚・聴感印象および発声された歌声の音響的特徴に対して音場が及ぼす影響を検証した。その結果、次の3点が示された。1)残響条件によって、異なる聴感的印象の歌声が発声される。2)残響条件によって、歌唱者が異なる体性感覚・異なる聴感的印象を感じながら発声を行う。3)残響条件によって、異なる声帯振動が起こり、異なる音響的特徴の歌声が発声される。
著者
鈴木 彌生子
出版者
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

アジア太平洋地域における食品トレーサビリティシステムの構築を目的とした国際連合食糧農業機関(FAO)と国際原子力機関(IAEA)の技術協力プロジェクト(RAS5062およびRAS5081)の協力を得て、素性の明確な米試料を各国から収集し、安定同位体比および無機元素組成を明らかにすることで産地判別の可能性を検証した。軽元素(炭素・窒素・酸素および硫黄)・重元素(ストロンチウム)の安定同位体比および18元素の濃度を組み合わせることで、アジア各国の米の産地判別の可能性が示唆された。
著者
仲井 雪絵
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

ハイリスクの妊婦にキシリトールを用いて介入し、う蝕原性菌の母子伝播予防効果について検討した。得られた結果は以下のとおりである。1.介入前の妊婦の実態調査について(1)唾液中のMS数がハイリスクであった者は半数以上であった。(2)「現在、歯科医院を受診中である」と答えた者は1割未満だった。(3)喫煙習慣がMS菌数を増加させる可能性が示唆された。(4)ハイリスクの妊婦は、特定の食品の摂取頻度が高かった。(5)半数以上の妊婦が初産であった。第2子目以降の妊婦の方が初産の妊婦より有意にハイリスクであった。2.キシリトールによる介入研究について(1)介入3か月後の対照群では7人に1人、Xyl群では2人に1人がローリスクであった。キシリトールを摂取すると、母親はローリスクに転じやすい。(2)キシリトール摂取による副作用(下痢等)は、ほとんど生じなかった。(3)母親が妊娠期からキシリトールガムを摂取すると、子が9か月時以降にMS菌を保有する割合は、対照群よりも有意に低かった。以上の結果から、う蝕原性菌の母子伝播を予防するために、妊娠中から母親がキシリトールを摂取することは、primary-primary preventionの一方法として有効であることが示唆された。
著者
飯塚 博幸
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

自己と他者の違いについて運動主体間を用いることで焦点を当てる.動作を行っている主体が自分であるという運動主体感が視覚と触覚と運動の感覚の統合においてどのように形成されているのかを明らかにすることを目的とし,他者にくすぐられるとくすぐったいが,自分で自分をくすぐることはできないことを利用する.結果として視覚刺激を操作することで自分でくすぐっているにも関わらず,くすぐったくなることを示し,運動主体感の生起について明らかにした.
著者
松島 永佳
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

福島原子力発電所の汚染水問題で、トリチウムの分離・回収技術の確立が急務とされている。本研究では、水電解と燃料電池を組み合わせた省エネルギ-型水素同位体分離法を研究した。実際に、固体高分子形燃料電池では生成水側に水素同位体が濃縮される同位体効果を発見し、水電解と併用することで、高効率かつ少ない電力消費量で水素同位体が分離・濃縮できることを実験的に証明した。
著者
山中 あゆみ
出版者
東京歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

実験的バイオフィルムにおいて、ペリクルに最初に付着する細菌は口腔レンサ球菌で、つづいてPorphyromonas gingivalis、actinomycetemcomitans、Prevotella intermediaなどの歯周病原性細菌がバイオフィルム構成菌として現れてくると考えられている。そこで齲蝕原性細菌を含む初期付着細菌と後期付着細菌をそれぞれ96穴マイクロプレートにおける単一菌のバィオフィルム形成量を調べた。バィオフィルム形成量の評価は、形成したバイオフィルムを蒸留水で洗浄、室温にて乾燥後、0.1%のクリスタルバイオレットで15分間染色、余分な染色液を洗浄後、99%エタノールで色素を抽出し吸光度を測定して行った。そのデーターをもとに、クランベリーのポリフェノールによるバイオフィルム形成への阻害効果を調べた。初期付着細菌としてStreptococcus mutans 2株、S.sobrinus, S.criceti, S.mitis, S.sanguinis, S.oralis, Actinomyces viscosus、後期付着菌である歯周病原性細菌としてPorphymonas gigivalis 3株、Porphyromonas macacae, Prevotella intermedia, P.loescheii, Actinobacillus actinomycetemcomitans 2株、合計12菌種を用いて実験を行った。ポリフェノール添加培地中での各々の細菌のバイオフィルム形成量をポリフェノール無添加培地をコントロールとして比較検討した。使用した菌株全てにおいて、ポリフェノールは濃度依存的にバイオフィルム形成を有意に阻害した。P.gingivalis電子顕微鏡写真においてもバイオフィルム形成阻害が示された。現在混合菌種における評価を行うべく準備を進めている。
著者
小山 治
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、社会科学分野の大学教育(学士課程教育)における学習経験が就職活動・初期キャリアに対してもたらす職業的レリバンス(意義・有効性)を社会調査によって実証的に明らかにすることである。本研究は、①大学4年生に対する聞きとり調査による学習経験に関する指標の抽出、②それを踏まえた大学4年生に対する就職活動に関する質問紙調査の実施、③大卒就業者に対する初期キャリアに関する質問紙調査の実施という流れで遂行された。これらの研究の結果、大学時代の学習経験の一部は就職活動結果や初期キャリアに対して正の関連がある一方で、そうした関連の程度は必ずしも高くはないという点を明らかにした。