著者
八谷 瑞紀 村田 伸 熊野 亘 前田 弘美 能隅 良子 溝上 昭宏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.391-395, 2012 (Released:2012-09-07)
参考文献数
28

〔目的〕虚弱高齢者用10秒椅子立ち上がりテスト(Frail CS-10)がパーキンソン病患者に応用可能か否かを検討した.〔対象〕パーキンソン病患者21名とした.〔方法〕Frail CS-10と従来から下肢筋力の代表値として用いられている大腿四頭筋筋力を測定し,下肢機能の指標(重心動揺,TUG,5 m最速歩行,10 m障害物歩行,FIM-M)との関連を検討した.〔結果〕Frail CS-10はTUG,10 m障害物歩行およびFIM-Mとの間に有意な相関を示した.一方,大腿四頭筋筋力は,すべての身体機能との間に有意な相関を示さなかった.〔結語〕従来から下肢筋力の代表値として用いられている大腿四頭筋筋力よりもFrail CS-10の方が,パーキンソン病患者の下肢機能を推測するための簡便な評価法である.
著者
八谷 瑞紀 村田 伸 熊野 亘 前田 弘美 能隅 良子 溝上 昭宏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.87-90, 2012 (Released:2012-02-21)
参考文献数
21
被引用文献数
1

〔目的〕パーキンソン病患者に有用なバランステストを検証するために,パーキンソン病患者を対象に臨床で使用頻度の高いバランステストを数種類測定し,どのバランステストがADLと関連するのかについて検討した.〔対象〕パーキンソン病患者20名(平均年齢72.4歳)を対象とした.〔方法〕TUG,片脚立ちテスト,FRTおよび重心動揺(外周面積,総軌跡長)を測定し, FIM-MおよびFIM-M下位項目との関係をピアソンの相関係数を用いて検討した.〔結果〕TUGはFIM-Mおよび下位項目である移乗,移動動作との間に有意な相関が認められ,セルフケアと排泄とは有意な相関は認められなかった.その他の片脚立ちテスト,FRT,外周面積,総軌跡長とFIM-MおよびすべてのFIM-M下位項目との間には有意な相関は認められなかった.〔結語〕得られた知見から,今回測定を行ったバランステストの中では,TUGのみがパーキンソン病患者のADLと関連していることが示唆された.
著者
山田 和政 山田 恵 塩中 雅博 坂野 裕洋 梶原 史恵 松田 輝 植松 光俊
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.103-106, 2005 (Released:2005-07-27)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

本研究の目的は,閉眼および開眼片足立ち測定,Multi-Directional Reach Testの3評価結果における転倒群と非転倒群の比較,転倒回数との関連性および3評価結果間の相関について調べ,高齢者の転倒要因とされるバランス能力をどのような視点から捉えるべきか検討した。結果,いずれの評価結果においても転倒群が有意に少ない値を示し,また,転倒回数が多い者ほど値が少なかった。転倒群では,各評価結果間すべてにおいて有意な相関が認められた。以上より,転倒要因として圧中心保持能力と圧中心偏移能力の両方の視点からバランス能力を捉える必要のあることが示唆された。
著者
吉澤 隆志 松永 秀俊 藤沢 しげ子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.463-466, 2009 (Released:2009-07-24)
参考文献数
15
被引用文献数
4 3

〔目的〕平成19年度と20年度前期定期試験において,定期試験成績向上に学習意欲が影響を及ぼしたかを検討した。〔対象〕某A専門学校理学療法学科学生(101名)とした。〔方法〕平成19年度および20年度前期定期試験を基に各学生の偏差値を算出した。また,定期試験の直前に学習意欲に関するアンケートも実施した。ここで,定期試験において成績が向上した学生と低下した学生とについて,学習意欲アンケート結果との関係を多重ロジスティック回帰分析にて検討した。〔結果〕外発的動機づけと精神的健康度が有意な説明変数として抽出された。〔結語〕今後,学習意欲を向上させることの出来るような対応の検討を行っていきたいと考えた。
著者
桜井 進一 坂本 雅昭 中澤 理恵 川越 誠 加藤 和夫
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.209-213, 2007-05-20
被引用文献数
2 4

本研究の目的は,健常成人女性の足圧中心(COP:Center of pressure)軌跡を調査し,COP軌跡を内外側偏位の観点から分類する方法を検討する事である。対象は健常成人女性75名とし,足底圧測定装置を用いて歩行時COP軌跡を測定し,さらにCOPの位置座標を用いた独自の分類条件により,対象者のうち平均的な軌跡を描く群,内外側へ偏位を示す群への分類を試みた。分類の結果,各群はそれぞれ異なる特徴的なCOP軌跡を示した。今回の分類方法によって対象者をCOP軌跡の内外側の偏位により分類することができたため,今後はCOP軌跡の特性毎に足底板が歩行時COP軌跡に及ぼす影響を検討する事が課題である。<br>
著者
村部 義哉 木村 大輔 平松 佑一 加藤 丈博 上原 信太郎 松木 明好 陣内 裕成
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.651-657, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
16

〔目的〕内的リズム形成を目的とした運動療法による,パーキンソン病患者のすくみ足とタッピング能力への改善効果を検討する事とした.〔対象〕一定頻度でのタッピングの持続が困難で,視覚・聴覚刺激を用いた外的手がかりによるすくみ足の制御が困難であった進行期パーキンソン病患者1名とした.〔方法〕内的リズム形成能力の向上を目的とした1回20分の運動療法を2回/週の頻度で8週間実施し,タッピング課題による内的リズム形成能力の評価,および歩行評価から,その治療効果を検証した.〔結果〕介入によって一定頻度でのタッピング持続回数の増加,すくみ足歩行の軽減が認められた.〔結語〕外的手がかりに代り,内的リズム形成を促す運動療法による治療介入は,すくみ足症状を軽減できる可能性がある.
著者
灰田 信英
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.151-154, 2000 (Released:2007-03-29)

理学療法学に関する基礎研究を推進するとともに,その成果を社会に還元することを理念として,金沢大学医学系研究科に理学療法学を専攻する大学院ができた。本専攻は病態解析学,障害評価学,機能回復学および機能適応学の4つの学問分野から構成され,充実した設備と実験装置のもと第一線の研究を行っている。社会人向けの特別専攻制度を設け,広く門戸を開放している。
著者
前岡 浩 金井 秀作 坂口 顕 鵜崎 智史 川原 由紀 小野 武也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.197-200, 2006 (Released:2006-07-26)
参考文献数
14
被引用文献数
9 10 18

本研究の目的はFRT距離に影響を与えていると考えられている項目を抽出し,身長,年齢,左右のCOPの前後長,体幹前傾角度,歩行速度のそれぞれの関係を検証した。重回帰分析によるFRT距離の予測検定では,標準化重回帰係数 βにて身長と体幹前傾角度のみ有意な変数を得られた。また,左右足によるCOP前後長の比較では有意な相関がみられた。よってバランス能力の評価として実施する場合,身長による正規化の必要性を示唆している。加えて前方リーチ動作に伴う運動戦略において股関節の運動である体幹の前傾能力が重要であることも判明した。また,そのCOPの結果から利き足等左右側の影響をうかがうことはできなかった。
著者
陶山 哲夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.99-106, 2006-02-20
被引用文献数
4
著者
石井 博之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.95-98, 2003 (Released:2003-07-18)

私が滞在したマレイシアとマラウイでは身体障害者が使用している補装具にも,また支給方法にも違いがみられた。特にマラウイにおいては経済的にも物的にも決して豊かではない状況で,現地で入手可能な材料を用いて補装具が作製されており,そのアイディアには驚かされた。今回,この2国における補装具・車椅子の現状と支給方法を紹介する。
著者
大槻 桂右 鈴木 哲 河野 英美 渡辺 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.793-796, 2009 (Released:2010-01-28)
参考文献数
13

〔目的〕簡便な方法で無酸素性作業閾値(Anaerobic threshold; AT)を測定することが求められている。本研究の第一の目的は,心拍数二乗(HR)2法によってATの検出を試み,基礎的データを提供することとした。さらに,第二の目的はV-slope法ならびに二重積屈曲点(Double Product Break Point; DPBP)法を用いて検出されたATを比較し,(HR)2法の有用性を検討した。〔対象〕健常成人男性10名(23.8±2.5歳)を対象とした。〔方法〕自転車エルゴメーター上にて,5分間の安静座位の後,0 wattでのウォーミングアップを3分間行い,続いて30 wattsから開始した。運動負荷は2分ごとに10 wattずつ負荷を増加させる多段階運動負荷試験を用いた。〔結果〕(HR)2法,DPBP法,V-slope法によるAT検出時のVO2は,それぞれ有意差を認めなかった。また,AT検出時のwattsもそれぞれ有意差を認めなかった。〔結論〕(HR)2法はAT検出に関わる心拍数ならびに負荷量を簡便に知ることが可能な方法の一つであると考えられた。
著者
山下 弘二 盛田 寛明 伊藤 和夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.549-553, 2009 (Released:2009-09-24)
参考文献数
19
被引用文献数
2 1

〔目的〕本研究の目的は,咳嗽力の指標としてPEFを測定し,非脳卒中者や嚥下障害の有無で比較するとともに,脳卒中患者のPEFに関連する因子を明らかにすることである。〔対象〕対象は,発症後6ヶ月以内の脳卒中患者46名(嚥下障害群22名,非嚥下障害群24名)と対照群として非脳卒中者24名であった。〔方法〕PEFの測定は電子ピークフローメータを用いた。本研究では脳卒中患者の咳嗽力に関連すると考えられる因子として年齢,身長,体重,BMI,Brunnstrom recovery stage,Barthel Index,血清アルブミン値,摂食・嚥下能力グレードを取り上げた。〔結果〕PEFは, 対照群,非嚥下障害群, 嚥下障害群の順に低値を認めた。体重,BMI,PEF値,血清アルブミン値,Barthel Indexは非嚥下障害群より嚥下障害群の方が有意に低い値を示した。全脳卒中患者のPEF値を目的変数にしたステップワイズ重回帰式に取り込まれた因子は,血清アルブミン値,身長,摂食・嚥下能力グレードであった。〔結語〕脳卒中患者の咳嗽力は非脳卒中者より低下しており,その原因には嚥下障害による低栄養状態が関連していることが示唆された。
著者
佐藤 哲哉 阪井 康友 福原 奈津子 上田 眞太郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.23-28, 1997 (Released:2007-03-29)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

パーキンソニズムの姿勢反応障害は日常生活(ADL)の障害をきたし,転倒の誘因ともなっている。そこで我々はパーキンソニズムの立位姿勢反応障害の推定とその特徴の検討を目的に,後方外乱によるPostural Stress Testを施行した。後方外乱刺激には,1.0%体重量による60cmの落下エネルギーを用い,刺激直後の前後重心動揺を経時的に測定を行った。加えて,20秒間の静止立位の重心動揺測定も行った。対象はパーキンソニズム10例および健常者10例で,結果はパーキンソニズムのADL障害の重度化に伴って,後方外乱刺激から平衡反応までの潜時時間は遅延し,この時の後方重心移動距離も延長した。パーキンソニズムの姿勢反応障害の特徴は,静止時のS.D-Areaでなく,後方外乱によるPostural Stress Testに対しての反応を示唆し,臨床評価にその有用性を明らかにした。
著者
武岡 健次 七堂 大学 山田 保隆 河村 廣幸 岡田 光郎 小柳 磨毅 澤田 甚一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.71-74, 1995-05-20 (Released:2007-03-29)
参考文献数
7
被引用文献数
4 2

パーキンソン病患者が,姿勢保持障害により後方に転倒することはよく知られている。しかし,姿勢保持障害の定量的な評価は困難であり,転倒危険性の予測は医師・療法士などの経験により判断されていた。そこで我々はパーキンソン病患者の転倒危険性を定量的に評価するため,傾斜刺激に対する立位保持能力を測定した。対象はパーキンソン病患者14例(男性7例,女性7例)で,Yahrの重症度分類(stage)はIIが3例,IIIが8例,IVが3例であった。方法は,対象をTilt tableの足底面に起立させ,足底面を後方へ傾斜させた際,立位保持できた最大傾斜角度を測定した。測定時,側方よりビデオ撮影を行い,開始立位時および後方傾斜により後方に倒れた時の股関節の角度変化を算出した。 パーキンソン病患者の立位保持可能な最大傾斜角度は健常人に比べて,有意に小さかった。また,パーキンソン病患者内ではIV群が,II・III群より小さい傾斜角度で後方に倒れる傾向がみられた。最大傾斜角度が6°以下のものは,全例が転倒経験を有していた。パーキンソン病患者のIV群は開始立位時において大きく前屈姿勢をとっていたが,逆に後方転倒時までの股関節の角度変化は小さく,開始立位に近い状態で後方に転倒していた。 これらの結果から後方傾斜刺激による姿勢保持障害の測定が,転倒危険性を予測する定量的な評価方法として有効であると考えられる。
著者
前岡 浩 福本 貴彦 坂口 顕 長谷川 正哉 金井 秀作 高取 克彦 冷水 誠 庄本 康治
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.529-533, 2008 (Released:2008-10-09)
参考文献数
16
被引用文献数
11 4

[目的]フリーウェアであるImageJは顕微鏡画像の処理,解析に利用されているが,角度測定機能は理学療法分野でも活用可能と考えた。そこで,立ち上がり動作を利用し,ImageJによる体幹前傾角度測定の信頼性を検証した。[対象]被験者は3名,ImageJを使用する検者を10名とした。[方法]被験者に左側の肩峰,大転子,膝関節外側関節裂隙に反射マーカーを貼付し,立ち上がり動作を矢状面から1回撮影した。体幹前傾角度はImageJおよび三次元動作解析装置で測定した。[結果]級内相関係数と標準誤差を用いて統計解析を行った結果,検者内・検者間信頼性を示すICCはともに高かった。[結語]ImageJを用いた二次元での動作分析は理学療法分野における評価や研究,教育に有益な手段である可能性が示唆された。
著者
村田 伸 津田 彰 中原 弘量
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.213-217, 2005 (Released:2005-09-02)
参考文献数
29
被引用文献数
2 2

本研究は,健常成人16名(男性7名,女性9名,平均24.8±3.7歳)を対象に,音楽聴取と精神作業負荷(数字の逆唱と果物の想起課題)が重心動揺に及ぼす影響を検討した。重心動揺の指標とした総軌跡長と外周面積は,3条件間で有意に異なり,精神作業負荷条件での重心動揺が統制条件(無音状態)での重心動揺より有意に大きかった。音楽聴取条件での重心動揺については,有意差が認められなかった。これらの知見より,受動的音楽聴取以上に精神作業負荷が,身体動揺の増加を惹起することが明らかとなった。
著者
大角 哲也 新谷 和文 臼田 滋
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.151-155, 2013 (Released:2013-06-25)
参考文献数
16

〔目的〕脳卒中患者におけるDual-Taskの指示の仕方の違いによるパフォーマンスへの影響を検討すること.〔対象〕歩行が自立または監視下で可能な脳卒中患者47名とした.〔方法〕Dual-Taskは10 m歩行テストと3桁の数字の逆唱の同時遂行とし,指示の仕方を「歩行と逆唱の両方に同じぐらい集中して下さい」(Dual-Task Complex:DTC)と「主に逆唱に集中して下さい」(Dual-Task Backward digit span:DTB)の2種類で計測した.〔結果〕DTCに比較してDTBにて歩行速度,ケイデンスが低下し,逆唱の回答数,正答数が増加した.〔結語〕脳卒中患者を対象に転倒予測や歩行能力の評価指標としてDual-Taskを用いる場合には,指示の仕方を明確に規定する必要がある.
著者
佐藤 菜穂子 山田 哲 水上 昌文 冨田 和秀 居村 茂幸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.651-656, 2010 (Released:2010-11-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

〔目的〕ダンスパフォーマンスの上肢の『ウェーブ』動作に着目し,熟練者群,未熟練者群の運動特性と,身体スキルの言語化を対応させ,身体スキルを構成する因子を模索することを目的とした。〔対象〕ウェーブ動作熟練者群5名,未熟練者群9名の計14名とした。〔方法〕三次元動作解析装置と表面筋電図を用いてウェーブ動作を測定し,パーセント上下運動,ウェーブ伝播速度,パーセント角度変化,パーセントMVCを算出した。熟練者群にはコツを別途聴取した。〔結果〕熟練者群と未熟練者群を比較し,4つの運動特性が得られ,その中の2つが熟練者群のコツの言語表現とほぼ一致した。〔結語〕言語表現とほぼ一致する2つの運動特性は,身体スキルを構成する因子として捉えることができると考えられた。
著者
佐々木 賢太郎 千田 益生 木下 篤 森 剛士 築山 尚司 太田 晴之 上松 尚代 石倉 隆
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.109-114, 2006 (Released:2006-07-26)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

本研究は,独自に考案した徒手筋力計を用い,多発筋炎8例,皮膚筋炎1例(平均44.8歳,男性3例,女性6例)の頸屈曲,肩関節外転,および下肢伸展挙上筋力の3動作筋力を経時的に測定した。その結果,3動作の総和した筋力は,全例においてクレアチンキナーゼと相関関係を認めた。このことから,3動作の総和筋力は,個人の全身筋力として反映することができ,さらに継時的な測定結果は多発筋炎・皮膚筋炎の病勢を反映するため,急性期のリハビリテーションにおいてその評価と治療効果判定を行う上で有用であることが示唆された。
著者
島谷 康司 関矢 寛史 田中 美吏 長谷川 正哉 沖 貞明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.105-109, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
24

〔目的〕本研究の目的は,発達障害児の障害物回避の見積もり能力を明らかにすることであった。〔方法〕対象は5~6歳の発達障害児と健常児,各9名とした。視覚弁別課題として,7.0 m離れた位置から異なる高さの2本のバーの高低を比較させた。また,接触回避を見積もる課題として,異なる高さのバーを1本ずつ呈示し,かがみ込むことなしに,身体を接触させずに通り抜けることができるかどうかを回答させた。〔結果〕視覚弁別課題では発達障害児の正答数は9.22±.63回,健常児は9.78±.42回であり,有意な差は見られなかった。見積もり課題では,発達障害児の正答数は7.78±.67回,健常児は8.56±.73回であり,発達障害児の正答数が有意に少なかった。〔結語〕発達障害児は身長とバーとの相互関係からバーへの接触回避を見積もる能力が劣っていたために,障害物に接触する頻度が高いのではないかと考えられた。