著者
阿部 正英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMM, マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.287, pp.31-36, 2011-11-07

本稿では,35mmの古いフィルムを4096×3112の解像度でディジタルスキャンし,フレームごとの位置ずれとフリッガ,ブロッチ,スクラッチをディジタル修復する手法について述べる.まず,スキャンに用いるフィルムと実際のフィルムスキャン作業について概説する.次に,著者が提案する各劣化に対する修復処理について述べる.最後に,修復処理にかかる時間について示す.
著者
石塚 宏紀 木實 新一 戸辺 義人 瀬崎 薫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.178-190, 2011-01-01

現在,Google Street Viewに代表される,写真を用いて仮想的に街を散策できるサービスが利用されている.しかしながら,ある定められた時間にのみ撮影された画像を用いる従来のサービスでは,季節,時間帯,個人の嗜好等,条件を考慮して多様な風景を画像を連続提示することができない.本論文では,条件に応じて適切な風景を再構成するサービスを実現するために,カメラ付きの携帯電話等を用いて集めた街の写真をデータベースに蓄積し,道路に沿って画像列を高速に検索できる動的ストリート画像フロー生成機構を提案する.一般に,多次元空間索引を用いれば,場所とそれ以外の属性値を指定して対応する写真を高速に検索することができる.しかし,従来のように幾何学的な分割に基づいてアクセスの効率化を行う索引手法を用いた場合,道路ネットワークのような実世界の構造に沿った問合せ要求を円滑に処理することが難しい.そこで我々は,道路ネットワークを考慮した索引手法であるKDRN-Tree(KD-Tree with Road Network)を提案する.KDRN-Treeは,道路ネットワークに対して形状正規化処理を施す一方で,KD-Treeの分割位置を道路境界にできるだけ近づけることで,道路に沿った問合せ要求を効率良く処理することができる.我々は,街中にて撮影した写真を実験データとし,問合せ処理の評価を行った.その結果,KDRN-Treeの有効性と実用的なシステムへの適応可能性を確認した.
著者
吉武 惟之 杉山 和彦 竹下 建悟 北野 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.90, pp.81-85, 2006-05-26

量子コンピュータ実現に向けて,リニアRFイオントラップに捕捉したBa^+に対して,半導体レーザを利用して製作した光源を用いてレーザ冷却を行った.その結果,Ba^+を5.8kKまで冷却することに成功した.また,冷却ざれたイオン集団の蛍光像を観測したところ,像の中央部に暗線が存在することを確認した.
著者
光原 弘幸 眞鍋 圭人 獅々堀 正幹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.441, pp.69-74, 2015-01-24

本研究では,インタラクティブなデジタルサイネージとして,Interactive Niche-Learning (INL)システムを開発してきた.INLシステムは,Kinectセンサを導入することにより,視聴者をクイズ教材に合成表示するとともに,視聴者の立ち位置でクイズに解答することを可能にしている.INLシステムを防災学習に適用する中で,Kinectセンサの特長を活かしたインタラクティブ化が課題として挙げられた.そこで,(1)視聴者がクイズに集中して解答できるようにするために,クイズ正解視聴者を視覚的効果で称賛するとともに,(2)動作や行動を伴う防災学習を実現するために,ジェスチャ認識によりクイズの正誤判定をする機能を実装した.防災教育施設での試用実験において簡易的なアンケート調査を実施し,視覚的効果の有効性を検証した.
著者
中野 秀男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報文化と倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.2, pp.19-22, 1999-04-09

本報告では、インターネットにおける情報通信倫理の考え方を少し歴史的に考察した上で、大学と公的な組織についての情報通信倫理について述べる。大学にしても公的な組織にしても最初に一般的な議論をした上で、前者については大阪市立大学における事例について触れ、後者についてはTAOの大阪西成実験センターにおける事業について述べる。
著者
紅林 亘 藤原 寛太郎 中尾 裕也 池口 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.69, pp.87-90, 2013-05-20

共通のノイズ外力によって複数の系が同期する現象をノイズ同期現象といい,リミットサイクル振動子のノイズ同期現象については,既に理論的な解析法が確立されている.一方で,カオスなどのより一般の系については,未だ理論的な定式化が存在しない.本稿では,まず,従来の位相縮約法の概念を拡張し,ノイズ外力を受けるカオス振動子に対して適用できる新しい位相縮約法を提案する.そして,新しい位相縮約法をカオス振動子に適用し,そのノイズ同期現象について解析する.これにより,共通のノイズ外力に駆動される2つのカオス振動子の位相差の確率分布を導出することができ,ノイズ同期現象の統計的性質を理論的に予測することが可能となる.
著者
中原 啓貴 知識 陽平 岩井 一正 中西 裕之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RECONF, リコンフィギャラブルシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.325, pp.1-6, 2013-11-20

電波望遠鏡は天体から放射される電波を受信し,解析を行う装置である.分光器は受信した電波に対してFFTを行い,周波数スペクトルを出力する,太陽電波バーストは極めて短時間に変化する現象であるため,時間分解能に優れた高速なFFTが必要である.本論文では,Six-Step FFTアルゴリズムに基づく並列FFT回路の実現法について述べる.提案FFTはN点FFTを6ステージのパイプライン処理で実行する.第1,3,6ステージは転置回路で実現する.第2,5ステージはP並列√<N>点FFTで実現する.第4ステージはP点ひねり係数回路で実現する.提案回路は転置回路を必要とするが,N点FFTを√<N>点FFTに分解するため,FFT回路の面積を押さえることができ,並列化実現に向く.提案並列FFTをXilinx社Virtex 7 VC707評価ボードに実装して既存手法と比較を行い,提案並列FFTは4.52〜22.64倍高速であった.
著者
益田 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.161, pp.41-45, 2009-07-24
参考文献数
7

人間・機械系では,人間による系の任務を損なう事象には意図せぬ行為だけでなく,意図的な行為が含まれる.この中で確信的な行為はもたらされる影響を予期して行う行為である.「うそ」は代表的な行為で,結果は有益にも有害にもなりうる.この発表では確信的人為事象の心理的な原因を探り,さらに以心伝心の間柄に起きるサービス不具合やドッキリ行為におけるサービス効果と不具合について考察する.
著者
タィン・ヒェップ ファム 河野 隆二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.19, pp.67-72, 2010-04-19

複数送受信アンテナを用いるMIMO(Multiple-Input, Multiple-Ouput)通信技術はブロードバンドワイヤレス実現の必須技術であると考えられている.今後,MIMOによる情報伝送のサービスエリア充実により,所定空間へのサービス充実が見込まれる.現在MIMO中継アンテナをいかに活用し,MIMOの特徴である高速伝送と高信頼性な通信を維持した状態で,所定空間への中継機能を実現する研究が重要となる.しかし,分散MIMO中継システムでの送受信を行う際,他の中継器からの干渉信号を受信し,信号対雑音比(SNR)が低下する.その結果,ビット誤り率が増加する.本論文ではビット誤り率を改善するため,増幅転送法の分散MIMO中継システムにおける各中継器の専有通信時間長について検討を行う.
著者
鄭 期太 花泉 修 柏田 伸也 シュアイブ イブラヒム 川上 彰二郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-09-05
被引用文献数
1

光ISDN等の光ネットワーク構築のためには光分岐などによる損失の補償ができることと共に簡単な構造で大量生産が容易な光増幅器の開発が要求される。これには図1に示す様な面型光増幅器が適している。今回、極めて簡単な構造でファイバ集積化が可能な光励起MQW面型光増幅器の設計と作製を行った。その結果、我々の知る限り光励起面型光増幅器としては初めて増幅特性が得られたので報告する。
著者
柳沼 良知 坂内 正夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.747-755, 1996-05-25
被引用文献数
42

動画像という一つのメディアを用いただけでは, その自動認識, キーワード抽出や構造化には限界があるのが現状である. 一方, ドラマ映像には映像だけではなくそれに付随する音声やシナリオ文書といった複数のメディアが存在する. そして, これらは比較的容易に利用できることが多い. このため, これら複数のメディアの認識を協調し助け合うことで, ドラマ映像のより高次な構造化・データベース化を行える可能性がある. 本論文ではドラマ映像を対象とし, 映像, 音声, シナリオ文書のDPマッチングを用いた対応付け手法の提案を行う. また, その結果を用いたドラマ映像の意味的な分解, 特定人物の検索といったドラマ映像のデータベース化手法の提案を行う. 更に, 本手法の有効性を示すため実際に複数のドラマ映像を用いて行った実験および評価について議論し, 本手法がドラマ映像の構造化, データベース化に十分有効であることを示す.
著者
日置 敏昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.98, no.158, pp.25-31, 1998-06-30
被引用文献数
5

CD(コンパクトディスク)の物理的要因に起因する再生音質の劣化について、検討を行った。その結果、ディスクの材質、レーベル印刷の色、冷凍処理、アニーリング、ディスク形状などを最適化することで、音質の向上を実現できることが分かった。このことから、ディスク信号読み取りレーザの発信波長と関係したCDの物理的特性が、読み取りレーザ光に対して外乱を与えてディジタル信号にジッタを発生させ、音質劣化を導いていることが推測できた。これらのCD特有の音質劣化を防ぐためには、電源系、アース系の強化と、電気回路的にリニアな時間軸に依存しないジッタフリーとなる信号再生系を構築する必要があると考える。
著者
飯塚 博幸 安藤 英由樹 前田 太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.432, pp.15-18, 2012-02-02

本稿では自己と他者の違いに焦点を当てる.動作を行っている主体が自分であるという感覚を運動主体感と呼ぶが,この運動主体感が視覚と触覚と運動の感覚の統合においてどのように形成されているのかを明らかにすることを目的としている.この問題を扱うに当たり,他者にくすぐられるとくすぐったいが,自分で自分をくすぐることはできないことを利用する.実験では,視覚刺激を操作することで自分でくすぐっているにも関わらず,くすぐったくなることを示し,運動主体感について議論する.
著者
能勢 博夫 水上 雅人 大橋 英史 村川 一雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.98, no.434, pp.51-55, 1998-11-27
被引用文献数
1

ファクシミリ、コードレス電話、パソコン通信用モデムのような通信端末機器は通信線及び商用電源線に接続されるため、雷サージ等の過電圧が通信線から商用電源線(又はその逆)へ雷サージ電流が流れ、通信端末機器が破壊されることがある。これに対してこれまでにバイパスアレスター法等の雷防護法が提案されているが、本報告では通信線又は商用電源線を一時的に遮断することにより、雷サージ過電圧による通信端末機器の破壊を防ぐ「雷防護ブレーカ」方式を提案するものである。
著者
福武 久史 許 亮 高木 智彦 八重樫 理人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.420, pp.25-30, 2015-01-26

本稿では,ユーザの利用確率に加え,合計利用時間(秒),平均利用時間(秒),利用回数(回)をマッピングした新たな運用プロファイルを提案する.さらに,状態の組み合わせテストのための運用プロファイル用いたテストスイート生成手法を例題システムを用いて述べるとともに,実運用システムへの適応例から考察する.
著者
三宅 雄大 寺田 和憲 吉川 雅博 松本 吉央 高橋 英之 伊藤 昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.283, pp.73-78, 2013-11-02

本研究では,人がアンドロイドを人のようなインタラクション対象とみなすかどうかを繰り返し非ゼロ和ゲームを用いて検証した.実験タスクには協調も搾取も可能な繰り返し非ゼロ和ゲームである1,2,5じゃんけんを用いた.対戦相手としてアンドロイド,PC,人を比較した.実験の結果,実験参加者は対人条件の場合は相手との協調を優先したが,対アンドロイドの場合には対PCと同様に自己利益を追求し搾取を行った.実験結果の解釈を定めるために,追加実験を行い,対人であっても,その人が実験者である場合には自己利益を追求することが確認された.以上の結果から,金銭に関して価値を共有しないことがアンドロイドの人らしさを減退させていると結論づけた.
著者
畠山 一実
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPM, 電子部品・材料 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.645, pp.35-40, 2004-01-29

ITC(International Test Conference)は世界最大のテスト技術の国際会議である。毎年100件を超える論文発表があり1000名以上が参加する。このITC関して,昨年10月に開催されたITC2003の概要を紹介するとともに,ロジックテスト分野をメインに,一昨年のITC2002の発表論文と比較することによりテスト技術の研究開発動向を概観する。
著者
森岡 あゆ香 辻 幸秀 白 旭 宮村 信 阪本 利司 杉林 直彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.2, 2015-08-25

不揮発の抵抗変化素子であるNanoBridgeを用いた再構成可能回路は、従来のSRAMを用いた再構成回路に比べて高い電力効率を有している。今回、NanoBridgeを用いた再構成回路に実装した論理回路の電力・遅延を評価するための静的タイミング解析ツール(STA)を構築した。単位セルであるリーフセルの選択、実デバイスとの比較について報告する。精度を落とさずリーフセル数を大幅に削減することに成功し、短時間で遅延時間と電力の評価ができ、実測とも一致した。