著者
兼城 千波 岸本 享太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.96, pp.61-64, 2013-06-14

本報告では,弾性を持ったマイクロスプリングアレイ(薄膜アレイ)をLSI配線技術として適用するために,スプリングプローブの作製におけるプローブの弾性を制御する方法について実験・検討した結果について述べる.成膜時におけるスパッタガス圧をコントロールすることにより,金属膜内の弾性応力に変化を持たせ,スプリングワイヤとすることができる.本報告では,スプリングプローブアレイを構成する膜の作製条件として,スパッタガス圧の変化条件および膜厚について検討した結果について述べる.スパッタ成膜時における膜中の応力分布は,スパッタガス圧と膜厚に依存している.スプリングプローブアレイを作製するためには,成膜時における内部応力差を上層部と下層部で大きくする必要がある.この応力差を利用することで,プローブの曲率を変えることができる.スプリングアレイの曲率を任意に調整できるようになれば,LSI実装用の配線技術として応用可能である.
著者
小吹 健太郎 辻 剛正 上田 博唯
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.457, pp.31-36, 2011-02-28
被引用文献数
1

本稿では,複数の対話ロボットが配置されたスマートホームにおける,対話ロボットとユーザのより良いインタラクションのためのロボット視線制御方式を提案する.また,本方式の例として試作した,玄関に配置した対話ロボットが来客の対応を行う,「来客対応サービス」についても説明する.本方式は不可視マーカによるユーザ位置姿勢推定システムによって得られる情報とロボットに内蔵されたカメラによる顔認識結果を組み合わせたことによって,タスク実行に最も適切なロボットを選択することができ,更には,確実でスムーズな視線制御を実現することができた.
著者
高木 康文 横関 弥樹博 辻 琢人 左文字 克哉 大島 直樹 朴 康司 米津 宏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス
巻号頁・発行日
vol.95, no.387, pp.73-78, 1995-11-24

初期成長機構を制御することにより、エピタキシャル層を貫通する結晶欠陥の発生を抑制することを試みた。GaAs基板上の(InAs)_1(GaAs)_1歪短周期超格子(Strained Short-Period Superlattice:SSPS)の成長において、原子状水素照射下で成長することで、格子不整合歪に起因して生じる3次元成長を抑制することを試みた。原子状水素が基盤表面に付着する成長温度350℃の成長において3次元成長の抑制効果が顕著に現れた。その結果、3次元成長に起因した貫通転位の発生を抑制することができた。また、Si基盤上のGaPの成長において、MBE法で成長した場合、高密度のV字型の積層欠陥(Stacking Fault:S.F.)がGaP-Si堺面より発生していた。このS.F.の発生はMEE法で成長することで抑制することができた。
著者
萩野 裕幸 左文字 克哉 吉田 真治 瀧川 信一 森本 廉 瀧澤 俊幸 春日井 秀紀 山中 一彦 片山 琢磨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.331, pp.1-4, 2013-11-21

プロジェクタや車載照明などの固体光源への応用を想定し,ワット級の高い光出力が得られる青紫色半導体レーザアレイを開発した.発光領域を1mm以下に小さくしたレーザアレイの熱設計手法を独自に構築し,水冷を必要としない汎用タイプのパッケージを用いた場合でも,ケース温度25℃で光出力6.3Wの連続発振に成功した.さらに,高輝度白色光源への応用展開として光出力60Wの半導体レーザモジュールを作製し,新規に開発した高光密度励起用の蛍光体と組み合わせることで,光束約10,000ルーメンの白色光源を実現した.
著者
高木 康文 左文字 克哉 岩城 和彦 大島 直樹 朴 康司 米津 宏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス
巻号頁・発行日
vol.95, no.37, pp.25-29, 1995-05-18

GaP(100)just基板上にMBE法により(GaAs)_1(GaP)_3歪短周期超格子を成長し、RHEED、TEMおよびXRDを用いて格子緩和過程を調べた。その結果、(GaAs)_1(GaP)_3 SSPS層は2次元的に成長し、格子不整合はヘテロ界面にミスフィト転位が導入されることによって緩和されることが明らかになった。また、成長層の膜厚が500nmのとき格子緩和率は約50%であり、格子緩和は徐々に進行することも分かった。
著者
川口 真生 春日井 秀紀 左文字 克哉 萩野 裕幸 折田 賢児 山中 一彦 油利 正昭 瀧川 信一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.353, pp.59-62, 2010-12-10

GaN系材料を用いた高出力半導体レーザは、ディスプレイ、光記録、加工などの幅広いアプリケーションのキーデバイスとして期待されている。半導体レーザの高出力化には、光吸収に起因する端面破壊の抑制が特に重要であり、光出射端面の禁制帯を選択的にワイドギャップ化して光非吸収にする端面窓構造の有効性が知られている。我々は、この端面窓構造を有する青紫レーザを、段差溝を設けたGaN基板上にレーザ構造をエピタキシャル成長する新たな手法により世界で初めて実現した。段差溝により近傍の結晶面の傾きを制御することで、活性層のIn組成を減少させ、結晶成長面の一部を局所的にワイドバンドギャップ化させることができる。これを利用し、光出射端面をワイドバンドギャップ化した青紫レーザを試作し、端面破壊を抑制して2Wを超える高い光出力を得た。
著者
斎藤 義信 岩下 大作
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-09-05

総延長3000Km余。これは東京(小金井の本所)を中心に北は北海道(稚内)から南は沖縄(中頭郡)まで各支所・センタ・観測所を結ぶ通信総合研究所(CRL)ネットワークの長さである。この長さ故の弱点は、本所との接続形態が様々(自営マイクロ回線、高速デジタル回線、ISDN回線)になり、伝送に時間がかかることである。これは、本所に設置されたスーパーコンピュータ、クライアント/サーバーシステム、WWW(World Wide Web)システムなどの利用やマルチメディアに関する外部機関との共同研究にとって大きな問題となっている。また現在利用している各LANは帯域共有型であるため、画像や音声による情報検索のように高速・大容量が必要な場合、その対応が不十分である。このような状況を踏まえ、CRLネットワークの将来構想について検討を行い、満足できる結果を得たので報告する。
著者
今村 弘樹 剣持 雪子 小谷 一孔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.12-22, 2002-01-01
被引用文献数
6

動物体解析の有力な手法としてオプティカルフロー推定法がある.しかし, 照明条件の変化する状況下においてフローの推定精度が低下するという問題点がある.この問題点を解決するためにいくつかの手法が提案されている.これら従来手法はそれぞれ異なる特性を有している.本研究は, 従来手法の特性をすべて有する高精度なオプティカルフロー推定法の提案を目的とする.
著者
柳本 清 田中 千景 長谷川 隆明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TM, テレコミュニケーションマネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.135, pp.67-72, 2007-07-05

Webアプリケーションシステムにおいて強固なセキュリティを確保するためには,ネットワーク通信及びデータベースに対する盗聴などに対して暗号化対策を実施することが不可欠である.本稿では,クライアントとWebアプリケーションサーバ間の通信及びデータベースに保存する情報に対して,クライアントで暗号化が必要な個人情報等に該当する項目に絞り込んで暗号処理を行うことにより,セキュリティレベルを維持しながら暗号処理パフォーマンスを向上させる方法を提案する.既存の暗号化方式と比較して暗号処理パフォーマンスが向上することを証明しその提案方式の有効性を示す.
著者
門間 義之 入江 一成 太田 紀久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.212, pp.1-6, 1998-07-24

筆者等は、地域の一般家庭あるいは中小ビジネスユーザに利便性の高いコンピュータ通信サービスを経済的に提供することを目的として、地域情報ネットワークシステムの開発を進めている。登録ユーザ間でPCを利用したコネクションレス通信を行えるグループ通信サービスを提案し、これまでに、大規模ユーザを効率的に収容可能とするための多重化ブルータ、宅内にLANと同じイーサネットインタフェースを提供するためのローエンドカード、並びにグループ管理サーバを開発し、実験システムによる基本特性確認を行った。今回、本システムを実際に地域に展開する場合を想定し、複数のセンタ(収容局)あるいは多重化ブルータを結ぶ加入者収容形態について検討を行った。実際の実験システムにより多重化ブルータを跨る場合のスループット特性を明らかにする。また、他地域との接続サービスについても述べる。
著者
熊谷 智浩 門間 義之 立山 伸公 入江 一成
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1999, no.2, 1999-03-08

地域のホームユーザあるいは中小ビジネスユーザに利便性の高いコンピュータ通信システムを経済的に提供することを目的として、地域情報ネットワークシステムの開発を進めてきた。本システムではメンバ間でのみPC通信が可能なグループ通信サービスを提供する。これまでにローエンドカード(LECard)、多重化ブルータ(MBR)およびグループ管理サーバ(GMS)からなる実験システムを構築し、機能および性能評価を行ってきた。今回、実際のシステム運用を想定し、ユーザ追加あるいは端末追加時におけるシステム動作条件のダイナミック更新特性について評価したので報告する。
著者
入江 一成 首藤 晃一 太田 紀久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TM, テレコミュニケーションマネジメント
巻号頁・発行日
vol.98, no.543, pp.1-6, 1999-01-21

筆者等は、ホームユーザあるいは中小ビジネスユーザを対象に、登録メンバ間で自由にPC通信が可能なグループ通信サービスを提供できる地域情報ネットワークシステムの開発を行ってきた。これまでSTM-PDSアクセスシステム用として、ユーザ宅に設置され10Base-Tインタフェースを提供するローエンドカード、センタ側に設置され多数のユーザを収容する多重化ブルータおよびグループ管理サーバからなる実験システムを開発した。今回、STM-PDS帯域共用方式やケーブルモデム等のアクセス系システムにも適用できる汎用的なシステム構成について検討を行ったので報告する。ユーザ端末からのイーサネットパケットをエッジ装置でIPパケットにカプセル化し、ユーザ端末のMACアドレスに基づいてフィルタリングを行うMAC-over-IPによるグループ通信方式およびARP制御による処理量低減方式を提案する。
著者
西井 修 荒川 文男 石橋 孝一郎 中野 定樹 志村 隆則 鈴木 敬 橘 貢 戸塚 米太郎 津野田 賢伸 内山 邦男 山田 哲也 服部 俊洋 前島 英雄 中川 典夫 成田 進 関 光穂 島崎 靖久 里村 隆一 高須賀 知哉 長谷川 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.98, no.23, pp.17-24, 1998-04-24
被引用文献数
6

2命令を同時に実行し、チップサイズが58mm^2のマイクロプロセッサを開発した。0.25ミクロン, 5層配線CMOSプロセスを用い、200MHz動作時の消費電力は1.2Wである。本報告は、チップ概要、低電力のための機構、および高性能化のために行った設計内容について述べる。浮動小数点演算の高性能化のため、1クロックにつき7個の単精度浮動小数点演算を処理可能なグラフィックFPU、およびサポート命令を設けた。このグラフィックFPUは2ステージ構成の4元内積(積和)演算器を有する。該内積演算器のディレイ(シミュレーション値)は3.69nsである。
著者
有田 武美 中川 正雄 笹瀬 巌
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SST, スペクトル拡散 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.28, pp.7-12, 2001-04-20
被引用文献数
2

家庭内ネットワークが注目を集めてきており,映像を主としたエンターテイメント系の高速・リアルタイム情報の伝送に適したIEEE 1394インターフェース(i.LINK/FireWire)が,PCやビデオ機器を中心に普及し始めた.本稿は,それを無線化してさらに便利なものとすることをねらい,MMAC(マルチメディア移動アクセス推進協議会)で検討を進めて,この3月に標準規格(ARIB STD-T72)として制定したワイヤレス1394システムの考え方,具体的な仕様内容とホームネットワーク構築技術について述べる.
著者
土屋 智将
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.318, pp.41-44, 2012-11-19

EV車が低速走行時に発生させる音が一般的なエンジン車に比べて最大で20dB程小さく,車の接近に気がつかない歩行者との接触事故が多数報告されている.そこで,EV車から発生する音を歩行者がどう観測しているか調べるために,FDTD法を用いて移動音源や移動観測点を数値的に実現し,十字路や丁字路内で音響解析を行い,観測点で観測される音圧レベルを数値的に評価する.
著者
高取 祐介 武尾 英哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.163, pp.1-6, 2013-07-19

本稿では,側方車両検出用センサを利用して対向交通車両の情報を取得し,車車間通信ネットワークでその情報を共有する出会い頭衝突防止システムについて性能を解析する.丁字路流入路から交差点入口に到着した車両が優先道路を走行する車両情報を完全に把握できる確率(車両情報完全把握確率)を評価指標とし,丁字路交差点用のミクロスコピック交通流シミュレータによってシミュレーション解析する.解析結果よりセンサの検出距離,検出範囲,交通量が普及率特性に与える影響が定量的に明らかにされ,提案システムが従来システムよりも低い普及率から高い車両情報完全把握確率を達成することが示されている.
著者
和久井 祐太 大野 光平 伊丹 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.219, pp.43-48, 2011-09-21

本稿では交通シミュレータを用いて丁字路での交通流の円滑化を目的とし,車車間・路車間通信を用いた交通モデルの評価を行った.交通状況を交通渋滞や事故が発生しやすい交差点に着目し,交差点の角にビルを想定した遮蔽物がある見通しの悪い丁字路を想定した.提案方式では交差点における車両の状況を車車間・路車間通信により各車両に送信することで,効率のよい交通流をつくり渋滞の軽減を目指す.交差点では右左折車両の減速や,右左折可能かどうかの判断のための一時停止などが原因により渋滞が生じやすい.そこで提案方式では運転手の目視による右左折判断を車車間・路車間通信により,車両の位置情報,速度情報,右左折直進情報を交差点周辺の車両に送信することで右左折の判断を行う.その結果,右左折にかかる無駄な時間を軽減し,無駄な加減速,一時停止が軽減されるため交通流が円滑化する.構築したシミュレータより,車両密度,右左折完了台数,交差点手前における平均待ち時間などの指標から既存の交通環境と比較し評価および検討を行った.シミュレーションの結果,提案方式の方が既存の交通環境と比べ渋滞が緩和されているのが示された.
著者
片山 順一 馬渕 慶子 川島 永嗣 諸冨 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.612, pp.61-68, 2001-01-26

顔に特異的なERP成分としてVPP(P170)とN170が知られている.このERPを詳細に検討するため, 12名の被験者から, 視覚呈示された顔, 眼, 物, 動物の顔, 単語に対するERPを記録した.写真および線画オッドボール条件, 課題を課さない線画反復条件を設けた.全条件で全ての刺激は後側頭部でN170を惹起し, 顔, 眼, 単語刺激に対してその振幅が増大した.耳を基準としたとき, 頭蓋頂でのP170は増大し明確な頂点を示した.頭皮上分布の分析から, これは顔に特異的な成分と考えるより, 処理の初期段階において注意が配分される程度を反映すると考えられる.
著者
廣田 啓一 曽根原 登
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.823-828, 2005-10-01
被引用文献数
8

近年, 個人によるコンテンツの不正利用として, 音楽や映画などのネット上での交換, 雑誌やコミック, アイドルの写真集などのインターネット上への無断公開など, 著作権を侵害する行為がカジュアル化し, 大きな問題となっている.本稿では, コンテンツ流通における不正利用防止技術の現状, 技術的な課題, 将来展望について解説する.