著者
山内 正人 砂原 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.437, pp.97-100, 2010-02-22
参考文献数
18

センサの低価格化や高性能化が進み、様々なセンサの設置が進んできている。また設置されたセンサをネットワークで繋ぐことでセンサ単体では困難なことが可能となった。例えば気象センサネットワークでは高密度な気象データを集めることで、低密度なセンサデータでは困難であったゲリラ豪雨などの高精度な予測が実現可能となる。しかし、センサデータを応用するためには、データの信頼性も重要となる。従来では人手によってセンサデータの信頼性を確保していたが、本稿ではMicro blogを用いることで、自動でセンサデータの信頼性が向上できることの可能性について示した。これにより、今後規模が爆発的に増大するセンサネットワークヘも対応が可能となる。
著者
大川 正人 室田 真男 中山 実 清水 康敬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.651-657, 2000-06-25
被引用文献数
17

インターネットに提供した学習教材は, 学習者にとって有効である.しかし, 学習者がどのような学習履歴をとったかについては, 学習教材提供側ではわからない.そこで, 本論文では, インターネットでアクセスしてきた学習者の学習履歴を収集し, 学習者がたどったとおりに提示画面を時系列的に再現するシステムを開発した.そして, このシステムを, アニメーション表示, 数値計算シミュレーションなどの機能を有する学習教材に適用し, その動作を確認した.本研究で開発したシステムを用いることで, 多数の遠隔サイトにいる学習者の学習行動を再現できる.そのため, Web教材の改善を図ることなどに応用することが可能である.
著者
石川 智治 三井 実 大谷 社 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.37, pp.19-24, 2005-05-05

我々は, 人に深い感動を喚起させる情報:"高度感性情報"再生のための新・電気音響再生論に基づき高品質音響再生システム(Extra HI System M)の研究開発を行っている.そのシステムの再生音がスピーカ前3mまでの範囲において平面波の性質を持つことを実証した.このことはこれまでの通説: 球面波, とは全く異なる事実である.本報告では, 従来の代表的且つ, 標準的なモニタースピーカ: YAMAHA NS-1000Mにおける音伝搬(波面など)の特性を実測して明らかにした.次に, より忠実な波面を再生するように改造したところ, 7段階評価で+2以上の音質改善を得た.波面の忠実な再生は, 新・電気音響再生論の骨子であり, 新理論の正しさを実証した.
著者
稲葉 真理
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1998, no.1, pp.482-483, 1998-03-06

全文データベースが画像データベースでの類似度検索で, 索引空間や特徴空間と呼ばれる空間での距離に基づいて高度な検索を行なうことが盛んに行なわれている.その拡張として, 類似なものをまとめるクラスタリングがあるが, 多くの研究ではクラスタリングを行なうさいに背景となる空間の幾何構造が十分には活用されていない.本稿では, この幾何構造をアルゴリズム的に利用することにより, よりよりクラスタリングを得ることについて述べる.
著者
今井 繁 小倉 信彦 渡辺 澄夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.684, pp.1-8, 2000-03-13
被引用文献数
5

人間は言語を用いて互いにコミュニケーションを行う.しかし, 言語はその複雑さゆえに, 脳がどのように生成・獲得しているかは大きな謎となっている.一方, ある種の生物にみられるような単純な信号によるコミュニケーションを計算機により人工的に生成することが可能である.本研究では, 通信する2人のハンターによる獲物捕獲問題を分類子システムにより学習させる.次に, 分類子集合から決定木を生成することにより本質的なルールを抽出し, ハンター間のコミュニケーションについての分析を行う.実験の結果抽出されたルールは, 人間による理解が比較的容易であり, 元の分類子集合に対してわずか6%程度のルール数でほぼ同程度の獲物捕獲性能を獲得できた.
著者
船瀬 親王 毛利 元昭 Cichocki Andrzej 内匠 逸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.295, pp.43-45, 2010-11-11

We have been studied saccade-related EEG signal before eye movements to develop Brain Computer Interface. In previous studies, we tried to comfirm relationship between saccadic eye movement and EEG signals recorded in visually guided saccade task(The eye movement in visually duided saccade tasks is not a voluntary eye movement perfectly). In these results, we observed sharply changed EEG signals just before eye movements in occipital lobe. The saccade-related EEG signals have sharp change in right occipital lobe when subjects moves their eyes to right side and these EEG signals have shrp change in left occipital lobe when subject moves their eyes to left side. In this paper, we recorded EEG signals in memory guided saccade task(The eye movement in memory guided saccade tasks is a voluntary eye movement) and comfirmed relationship between EEG signals and brain processing in saccade. As this results, we observed differences of the sharply changed EEG signal just before eye movements between visually guided saccade task and memory guided saccade tasks. Next, in order to focus on another saccade-related EEG signals, we do not use hi-pass filter (cut-off: 4Hz). As this resutls, we observed EEG signals which resemble contingent negative variation.
著者
伊藤 裕一 岩瀬 義昌 中尾 彰宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.448, pp.747-752, 2011-02-24

無線WANは広く一般に使われるようになったが,その帯域は動画やクラウドの利用に十分なものでない場合が多い.その一方で,様々な種類のWANデバイスを持つ多くのユーザは帯域を常時使用しているわけではない.本研究ではこの問題を,(1)複数の無線WANユーザ間での帯域共有(2)仮想ネットワークの利用(3)ネットワーク状態に応じた資源の戦略的運用,という3つの手法により解決する.第一の手法では,余剰帯域を持つユーザが帯域を必要とするユーザに無線WAN帯域をad-hoc WLANを経由して提供し,マルチパスネットワークを構築する.そして,第二の手法である「IP-Layerでマルチパス通信を仮想化する」ことにより,マルチパスをシングルパスに隠蔽してアプリケーションとサーバに提供する.最後に,第三の手法により,ネットワークの状態に応じて動的に最適な通信手法を決定することで,様々な環境において構築された仮想ネットワークの性能を向上させる.本研究では,これらすべての仕組みをClick modular routeというソフトウェアルータを利用して実装する.構築したシステムの実環境における性能測定の結果,通常の通信と比較して25%から60%の性能向上結果が得られることを示す.
著者
黒瀬 能聿 矢野 米雄 冨田 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.933-942, 1997-04-25
被引用文献数
21

近年のコンピュータ化により, 大学におけるCAD教育としては, 2次元CADシステムによる単なる製図教育にとどまるのではなく, 3次元CAD教育の必要性が叫ばれている. 3次元CADでは, より自由な形状設計を行うために, 自由曲線や曲面の取扱いが重要なテーマの一つである. 筆者らは, これまで3次元CAD教育を進める上で, 学習者にとって理解が困難であると考えられる自由曲線や曲面の創成教育を支援するシステムを提案した. しかし, これまでのシステムはパーソナルコンピュータによるスタンドアローン環境であり, 教材管理の困難さ, 学習履歴収集の困難さ, マルチメディア化の困難さ等の問題点があった. 一方, 近年のインターネットの普及には目を見張るものがあり, マルチメディア化が可能なインターネットを教育に利用する試みも各地で開始された. インターネットを利用することで, 我々のシステムの問題点は解決する. 本論文では, インターネットを利用した学習支援システムを提案する. 本システムは, インターネット上で展開することで, 大学内だけの利用にとどまらず, 広く学内外からの利用が可能になった.
著者
岸 孝彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SR, ソフトウェア無線 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.430, pp.127-134, 2005-11-17
被引用文献数
3

目的の信号帯域より広い帯域のRF信号をディジタル処理するソフトウェア無線機やディジタル無線機の広帯域フロントエンドは, ディジタル部での自在な周波数の選択を可能とする.これにより, 従来からソフトウェア無線の特徴とされている任意の変調方式への対応が容易になるばかりでなく, 複数の方式や複数のオペレータで周波数を共同利用するCommonsにおけるダイナミックなチャンネル選択と方式変更への対応も容易になる.この広帯域フロントエンドで信号レベルを管理するための自動利得制御は, 限られたダイナミックレンジを最大限に活用する為に, 従来の自動利得制御とは異なる仕組みが求められる.本稿で提案する自動利得制御は, ダイナミックレンジを低い歪で有効に活用する.さらに, 高速な応答特性を持つことから, 周波数と時間の両面での周波数利用効率の向上が望めることを示す.
著者
大塚 尚宏 大谷 淳 中津 良平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2129-2137, 1997-08-25
被引用文献数
17

表情認識は, マン・マシンインタフェースの高度化, 画像通信における伝送量の削減等を実現するためには重要な技術である. 本論文では, 連続出力確率密度分布をもつ隠れマルコフモデル(HMM)を用いて不特定多数の人物の顔動画像から表情を認識する手法を提案する. 本手法では, まず動画像中の連続する2枚の画像から得られるオプティカルフローを積算して顔の各位置の移動ベクトルを求め, そのフーリエ変換の低周波成分を認識のための特徴ベクトルとして抽出する. 次に, 連続出力確率密度分布をもつHMMを使って基本表情ごとに特徴ベクトルの時間変化のパターンを学習させて認識のためのモデルを作成する. HMMの出力を連続的な特徴ベクトルとすることにより, 離散的なシンボルを用いる場合に問題となる量子化誤差のない高精度なモデル化が実現できた. また, 出力確率分布を多次元正規分布の荷重平均として近似することにより, 人物ごとに異なる表情の特徴をモデル化することができた. 4人の被験者(男性3人, 女性1人)からの顔動画像を用いて実験したところ高い認識率が得られた.
著者
野村 理朗 筧 一彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎
巻号頁・発行日
vol.98, no.503, pp.43-50, 1999-01-18
被引用文献数
7

顔の表情を認知する際、悲しみの表情等では部分情報が重要となり、笑顔では全体情報が重要となることが知られている.本研究では、部分・全体情報を統制した合成顔画像を用いて、不快感情を隠すために表出される「偽りの微笑」の認知における知覚方略を検討した.まず、表情の微笑らしさを判断する際に重要となる情報を明らかにした。次に、微笑カテゴリにおける微笑の真偽判断にはいかなる情報が重要となるか検討した.これらの結果から、微笑らしさには表情の全体的情報が、微笑カテゴリにおける真偽判断では部分の情報が利用されることから、偽りの微笑の認知には部分・全体の両情報が重要となることが示唆された.
著者
内田 英子 四倉 達夫 森島 繁生 山田 寛 大谷 淳 赤松 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.722, pp.1-6, 2000-03-21
被引用文献数
9

顔面表情に焦点をあて、意図的なコントロールを受けたものと、なんらかの情動喚起に伴い自発的に現れるものとの違い、特に動的な変化の違いを実験的に検討した。被験者の顔面表情の変化を次の2条件下で高速度カメラにより撮影した。1つが意図的表出(動作教示)条件、もう一つが自発的表出条件である。意図的表出条件では、顔面動作教示に従って被験者に6つの基本表情を演じさせた。一方、自発的表出条件では、情動喚起映像(喜び、驚き、怒り、悲しみ、嫌悪、恐れ)を提示し、被験者に自然な表情を自発させた。高速度カメラで撮影した顔面表情の動的変化(特徴点の変位)を、画像解析ツールを用いて測定した。
著者
森 博章 宮脇 健三郎 佐野 睦夫 西口 敏司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.198, pp.159-162, 2008-08-29

人とロボットの円滑なコミュニケーションの実現において,顔の表情は重要な役割を果しており,表情認識はコミュニケーションの状態理解において極めて重要である.本研究では,横顔や後顔も含めた微妙な表情変化を認識することを目標として,第1段階として,検討例がほとんどない横顔の表情認識を扱う.具体的には,Active Appearance Model (AAM)を用いて顔の時系列画像に対して顔モデルの追跡を行い,顔モデルを構成する特徴点から,FACSモデルに対応したAU (Action Unit)特徴を算出し,AU特徴の時系列データの変動パターンを詳細に分析することにより,微妙な表情の変化に着目した認識方式について検討を行った.
著者
佐藤 和人 間所 洋和 門脇 さくら
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.363, pp.207-212, 2008-12-11

本論文では,心理的ストレスレベルに起因する表情の覚醒度合いとその時間的遷移が作り出す時系列パターンを表情表出リズムと定義し,顔の静的多様性と動的多様性に着目した個人固有な表情空間チャートを利用して,人間が創り出す表情表出リズムの可視化する手法を提案する.本手法は,SOM(Self-Organizing Maps)とFuzzy ART(Adaptive Resonance Theory)の2種類の教師なしニューラルネットワークをハイブリッド化して得られる表情の覚醒度から表情空間チャートを生成し,更にFuzzy ARTMAPで学習することにより表情空間をモデル化するためのコードブックを作成し,HMM(Hidden Markov Model)を用いて表情の時系列パターンの変化から表情表出リズムを抽出する.18歳から22歳までの男子学生5名と女子学生5名の計10名を対象とした評価実験では,HMMが推定した状態遷移系列は表情表出に伴う表情変化の範囲を適切に捉えており,表情表出プロセスにおける中間表情の覚醒パターンを抽出する際にHMMの状態数を用いて制御可能であることを確認した.
著者
福井 竜一 桂田 浩一 入部 百合絵 新田 恒雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.470, pp.513-518, 2010-03-08
参考文献数
11
被引用文献数
2

本報告では,Active Appearance Model (AAM)を利用した表情成分抽出と表情模倣を提案する.AAMは,顔の形状や輝度,照明状況などを複合的に表すパラメータ群からなる顔モデルである.パラメータを変動させることで様々な表情顔を合成できる.通常のAAMは複数人の顔画像から構築されるため,AAMパラメータには表情以外の顔成分も含まれるため,表情模倣には個人間で不変な表情モデルを取得する必要がある.そこで本報告では,まず特定の人物が様々な表情をみせたデータを収集し,これらを主成分分析することで表情成分を抽出する.次に,これを人共通の表情モデルとすることで表情模倣を実現し,試作システム構築とその評価結果を述べる.
著者
服部 元 武吉 朋也 小野 智弘 滝嶋 康弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.390, pp.13-18, 2010-01-18
被引用文献数
1

本研究では,特定のテーマに関連するノウハウ情報を効率的に収集する「ノウハウ検索」手法を提案する.既存の検索エンジンにおいては,一般的に大量の検索結果が得られる.ここで,クエリが「富士山の標高」のような,検索結果上位の数文書程度を閲覧すれば十分な回答が得られるタイプの検索であれば,問題はない.一方,クエリが「おいしいカレーの作り方」のような多様なノウハウの収集を目的とするタイプの検索の場合は,なるべく多くのWeb文書を閲覧する必要があり,検索結果を順次閲覧する方法では,時間や労力の点で限界がある.本稿では,なるべく少ない閲覧数でより多くのノウハウを集める効率的な情報収集の手法を提案する.具体的には,単語の概念関係と出現頻度を利用してノウハウに関連する単語をWeb文書から抽出し,未読のノウハウ情報を含むWeb文書を優先的にユーザに提示する.評価実験を行い,単語の概念関係を導入することでノウハウに関連する単語を多く抽出できること,および,未読のノウハウ情報を優先的に提示することで,一般の検索結果を閲覧するよりも効率的にノウハウ情報を閲覧できることを示した.
著者
入江 隆 藤田 尚文 中西 秀男 太田 学
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.162-171, 2008-01-01
被引用文献数
4

軟物体に手で触れるときに感じるやわらかさには,「かたさ-やわらかさ」の次元と「弾力」の次元がある.これまでの研究では,心理的なやわらかさを単にばねの性質として理解することが多く,両者を区別して議論することはなかった.軟物体の力学的特性は,平衡弾性係数と緩和弾性係数を用いたマクスウェルモデルによる表現が可能である.本論文では,感性評価実験による心理量と力学特性計測による軟物体の粘弾性係数との関連について解析を行った.その結果,「かたさ-やわらかさ」と「弾力」ともに平衡弾性係数の寄与が大きいが,「かたさ-やわらかさ」には緩和弾性係数が正の寄与をしており,「弾力」には負の寄与をしていることを明らかにした.また,指で軟物体を押す荷重を制限した実験と指先の機械受容器に与える情報を制限した実験を行うことにより,やわらかさ知覚における深部感覚の重要性と機械受容器の関与について,新たな知見が得られたので報告する.
著者
芳澤 伸一 馬場 朗 松浪 加奈子 米良 祐一郎 山田 実一 李 晃伸 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.382-389, 2002-03-01
被引用文献数
16

十分統計量と話者距離を用いた音韻モデルの教師なし学習法を提案する.提案法では,音響的に近い話者群の十分統計量を用いて統計処理計算により正確に適応モデルを構築する.提案法では,(1)発声話者に音響的に近い話者を選択し,(2)選択された話者の十分統計量を用いて発声話者に適応した音韻モデルを作成する.十分統計量の計算は適応処理の前にオフラインで行う.提案法では発声話者の音響的に近い話者群の十分統計量を用いて統計処理計算に基づき適応化を行うため高い認識率を獲得することができる.また,少量の発声文章で適応処理が行われる.更に,十分統計量をオフラインで計算することにより適応時の処理が短時間で行われる.話者クラスタリングによる方法と比較すると,提案法では発声話者のデータによりオンラインで動的に話者クラスタを決定するため,適切な話者クラスタを獲得することができる.認識実験により,少量の発声文章により適応を行った場合,MLLRより高い認識率を獲得できることを示す.
著者
渋谷 茂一 石塚 春夫 木下 敏雄 安藤 秀哉 亀島 昭徳 鈴木 喬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.94, no.229, pp.57-64, 1994-09-13
被引用文献数
24

CISPR22の最新版(1993)が公表された。ところが、この内容には、「妨害波限度値の規定が、浮動的で、ITE設置高により10dB以上の偏差が生じる」「NSA規格の算出方法が不適正」、「限度値の距離換算法に誤りがあり、6〜8dB誤差が伴う」という重大な欠陥がある。これらは、CISPR16-1による『金属床面を構成要件とする標準サイト』のかかえる宿命的欠陥で、サイトの伝搬型式を一歩でも《自由空間》に近付けなければ、解決できる問題ではない。本論文は、CISPR22(1993)の内包する矛盾を明らかにし、既存のCISPR型サイトの救済方法を示すと同時に、抜本的な解決策として、「完全電波暗室」、「オープンフリーサイト」等の《自由空間型サイト》を"標準サイト"として公認するように提案するものである。