著者
羽渕 裕真 小野 文枝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.400, pp.49-54, 2003-10-24
被引用文献数
22

本稿では,情報変調としてコードシフトキーイング(Code Shift Keying, CSK)方式に着目し,拡張プライム符号系列を用いる光CSK/SS(Code Shift Keying/Spread-Spectrum, CSK/SS)方式を提案している。本方式の情報伝送速度,ビット誤り率特性,多元接続性能について理論解析している。さらに,情報変調にオンオフキーイングを用いる光OOK/SS方式と比較検討している。その結果,本方式は,情報変調としてオンオフキーイング(On-Off Keying, OOK)方式を用いる従来方式よりも情報伝送速度をIog_2M(Mは1ユーザ当りの符号系列数)倍に向上できることが示されている。さらに,本方式では割り当て符号系列数を増加することで性能向上が図れることが明かにされている。シングルユーザ環境ではM=4の本方式とOOK方式が同程度のビット誤り率特性となることが明かにされている。したがって,シングルユーザ環境では,CSK方式はOOK方式よりも情報伝送速度及びビット誤り率の両面で優れていることが明かにされている。マルチユーザ環境では,本方式は拡張プライム符号系列のグループ特性とCSK方式の最大値判定法により,干渉キャンセラを利用せずに他ユーザからの干渉の影響を軽減できる。
著者
谷本 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.866-872, 2006-11-01
被引用文献数
12

20世紀にテレビは遠隔地の情景を居ながらにして見たいという人類の夢を実現したが,これは1視点の映像の伝達であり,しかもユーザはその視点位置を変えることができない.自由視点テレビ(Free Viewpoint TV, FTV)はこの制約を打ち破り,ユーザが自ら視点を移動して遠隔地の情景を見ることができる究極の三次元テレビである.私たちはFTVを構築するための技術開発を進め,撮影から表示までのすべてをリアルタイムで行うFTVシステムを世界で初めて構築した.また,PC1台での自由視点画像生成にも成功している.FTVは動画像の国際標準化会議であるMPEGに提案され,最も挑戦的な三次元映像メディアとして高い評価を得た.現在, MPEGにおいてFTVの入力信号である多視点映像の圧縮符号化の標準化が進められている.FTVは画像情報の根元である光線を取得,処理,再生するシステムである.私たちは光線再現型FTVの開発を通して,画素ではなく光線をベースとする新しい光線画像工学を創成している.無限個の眼をもつ時空間映像システムであるFTVは,写真,映画,テレビと発展してきた映像技術の頂点に立つ.FTVによって実世界の完全な記録や時空間での自由な表現が可能となり,新しい文化や芸術が創造される.
著者
中西 卓哉 今井 むつみ 石崎 俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.96, no.593, pp.31-38, 1997-03-18
被引用文献数
2

自然言語を用いて、遠く離れた人どうしが、互いに仮想空間の中のオブジェクトを操作できるようにする臨場感通信会議システムの研究が試みられている。しかし、そこでは、空間記述における自然言語の曖昧性が問題になっている。たとえば、「ボールが黄色い車の左側にある」といった場合、どこまでが左の領域で、どこからが左の領域でないのかという境界をはっきりと決めることはできない。さらに、ボールが話し手にとっての左側にあるのか、車自身にとっての左側にあるのか、特定することも難しい。そこで、本研究は、参照物体の種類や、向きなどが変わる状況を考慮した認知実験を行なった。また、空間指示モデルにおいて近似的な前後左右の領域を決定するためデータをとり、研究を進めた。
著者
佐藤 勝善 飯草 恭一 原田 博司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.424, pp.133-138, 2009-01-28
被引用文献数
4

ITSは渋滞や事故の低減など多くの役割を期待されている.ITSにおいて,車両間通信・路車間通信は大きな役割を果たすが,車両間通信は特に安全運転支援への適用が期待されている.その応用例の一つとして交差点見通し外環境における衝突防止が挙げられるが,このような用途のため比較的周波数が低く回折による回り込みが期待できる720MHz帯がITS用に割り当てることとなった.この周波数帯における車両間電波伝搬特性は現在必ずしも十分に明らかではなく,信頼性の高いシステムを開発するためにはその特性を知ることは重要である.本稿では擬似的交差点構造を用いた720MHz帯における車両間電波伝搬特性について測定を行ったのでその報告する.
著者
宮地 充子 近澤 武 竜田 敏男 大塚 玲 安田 幹 森 健吾 才所 敏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.176, pp.43-52, 2006-07-14
被引用文献数
9

情報社会の進展に伴い,安全な社会システムの構築が産官学において進められている.情報セキュリティ技術の国際標準化活動は,安全な社会システムの構築にとって重要な役割をもつ.ISO/IEC JTC1/SC27/WG2では,情報セキュリティのアルゴリズム及びプロトコルに関する国際標準化規格の策定を進めている.本報告書は,現在,ISO/IEC JTC1/SC27/WG2で審議事項を解説すると共に,特に今年の5月に行われたマドリッド会議に関して報告する.
著者
三浦 真也 酒井 正夫 静谷 啓樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.599, pp.125-130, 2007-03-09
参考文献数
7

本稿では,オーディオコンテンツに対する新しい電子透かし技術として「乱択法」と「うなり法」を提案する.乱択法は,秘密情報である電子透かしを,誤りを許容して冗長に埋め込み,それを多数決アルゴリズムを用いて検出することで,コンテンツの品質低下を抑えながら,検出精度の向上を可能にする手法である.また,うなり法は電子透かしを,人間が知覚困難なうなりの形でオーディオデータに埋め込む手法である.うなり法と乱択法を併用することで,高密度な電子透かしを埋め込むことが可能である.評価試験により,提案法の性能を検証する.
著者
赤瀬 謙太郎 小畑 博靖 石田 賢治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.624-632, 2009-03-25
被引用文献数
6

べストエフォートネットワークであるIPネットワークにおいて,高い通信品質を必要とする重要通信やリアルタイムアプリケーションに通常のTCPを用いると,必要な帯域が確保できないという問題が生じる.このようなアプリケーションに安定した通信品質を提供するためには,帯域の確保が有効である.現在,送信端末のTCPふくそう制御のみを用いて帯域確保を実現する技術が提案されている.しかしながら,従来方式では帯域確保のために積極的なウィンドウ制御を行うため,通信回線が重度のふくそうに至った場合,逆に帯域確保が困難になるという問題がある.そこで本論文では,背景フロー数が多い状況下や帯域確保TCPフローが複数本存在するといったネットワークのふくそう度が高い状況において,目標帯域を一時的に下げることでふくそうを回避し,その後ふくそうの度合が緩和された際に目標帯域の確保を目指すTCPふくそう制御方式を提案する.シミュレーション評価により,提案方式は従来方式に比べ,ネットワークのふくそう度が高い場合でもボトルネックリンクの帯域利用率を低下させることかく一定の帯域を確保できることが分かった.
著者
飯星 貴裕 山口 喜教 前田 敦司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.180, pp.1-6, 2008-07-29
被引用文献数
1

ネットワークのセキュリティシステムの一つにネットワーク侵入検知システム(NIDS)がある.このNIDSのスループットを向上させるため,ボトルネックとなっているパターンマッチング処理を専用ハードウェアで行う試みがなされている.しかしながら,一般的に専用ハードウェアには膨大なパターン集合とのマッチングを高速に行うために,回路規模を大きくせざるをえないという問題がある.そこで,本稿ではパターンマッチング回路の回路規模の増大を抑えるために,NFAハイブリッドアーキテクチャに着目した.このアーキテクチャは,その特性上高い回路効率を持つと考えられるが,必ずしも詳細な評価が行われていない.ここでは,NFAハイブリッドアーキテクチャの詳細な回路を実装・評価した上で,さらに回路効率を向上させるための手法を考案し,評価を行った.その結果,入力文字数が小さいときにおいて,従来のNFAアーキテクチャよりも高い回路効率を持つことを実証し,さらに提案した効率化手法が有効であることを示した.
著者
石井 紀代 長谷川 浩 佐藤 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.84, pp.13-18, 2008-06-05
被引用文献数
2

地域網において多用されている連接リングトポロジにおいて,フルメッシュ接続を達成するための必要最小波長数とその割当法を明らかにする.さらに,連接光リング網中で特に規模が大きくその実現のボトルネックとなっているリング間接続ノードの光スイッチ規模削減法を提案し,最大で1/3にまで規模削減が可能である事を示す.
著者
三上 修 内田 禎二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.9, pp.715-726, 2001-09-01
被引用文献数
20

飛躍的に増大した情報の円滑な伝送・処理を行う上で, 従来の「金属配線」による電気信号伝送がシステム性能向上のボトルネックとなっている.この解決のため, 新たに光エレクトロニクス技術によって情報伝送を担う「光配線」の必要性が高まっている.しかし配線上, 寸法上, 信号の伝わり方等でエレクトロニクス(電気)とは異なる「光の特殊性」のため, 集積化や実装技術面で深刻な課題にぶつかっている.本論文では, まず電気配線と比較して光配線が有する利点について述べる.次に階層別の光実装技術の現状について簡単にレビューする.最後に, ボードレベルの光実装問題の解決を目指して本学で進めている光表面実装技術について, 基本概念といくつかの実験結果を紹介する.
著者
土屋 健伸 藤井 太郎 森田 幸二 穴田 哲夫 遠藤 信行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波
巻号頁・発行日
vol.96, no.472, pp.39-44, 1997-01-24
被引用文献数
2

海洋での音波伝搬を解析する手法として放物型方程式(Parabolic Equation)法や音線理論が知られているが、それぞれ音速プロファイルが伝搬方向に変化する場合に解析精度が落ちたり、音圧分布を求める事が困難であるという欠点がある。そこで、これらの点を改善した広角波動伝搬法を導入して、その有効性について検討した。また、堆積物の影響を考慮した海底での反射を計算するための境界条件として、透明境界条件(Transparent Boundary Condition)を導入する事を提案した。さら二本手法の正当性を評価するために深海と浅海における音場を解析した。また、実際海域を考慮して、音速プロファイルが変化する場合について解析して音線追跡法と比較・検討した.
著者
山田 喬彦 ランバツェン ゲェウテ 中井 照雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク
巻号頁・発行日
vol.96, no.543, pp.47-52, 1997-02-21
被引用文献数
10

本稿はマイクロ交換機分散網によってマイクロセル移動体通信網の高速移動体を高速にハンドオーバー制御する方式を提案する。マイクロセル方式は加入者増加に対応できるが、高速移動体へのハンドオーバー要求に追随できないという問題がある。無線基地局毎にマイクロ交換機を配置し、マイクロ交換機間に直結の地上パスを張りハンドオーバーを高速化する。上位ノードへの固定パスは移動体がセル滞留中に切り替える。ただし、データが不連続となる問題があり、セル毎に配置されたマイクロ交換機と無線基地局の間に1フレームディジタル遅延バッファーを入れて、データの連続性を保つ。
著者
平野 浩太郎 沼 昌宏 黒木 修隆 永井 豪彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.95, no.176, pp.91-96, 1995-07-22

コンピュータ通信を用いた教育研究支援システムの一例が紹介されている.ここでは研究室内の教育研究資料をもとに,画像や音声を含むマルチメディア・タイプのデータベースを構築し,それを公開するために,サーバ/クライアント方式の通信システムをパソコン上に構築している.学生はネットワークまたは電話回線を用いてサーバにアクセスすることができる.グラフィカルなインターフェースを通してサーバにアクセスすると「一般紹介」,「教育研究」,「社会サービス」,そして「交流サロン」の四つのコーナに入っていける.実験では初心者でも容易にこのシステムを使うことができた.
著者
金子 孝夫 大室 仲 間野 一則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.11, pp.1196-1208, 2000-11-25

新聞や広報誌などの最新情報や地域情報を朗読した音声を, 音声符号化技術により情報圧縮してPCサーバのディスクに蓄積し, ISDN回線を使って視覚障害者の家庭の受信装置に配信する朗読配信システムを開発した.朗読音声の圧縮には, 低ビットレート音声符号化技術DualSpeechを開発して導入し, 朗読音声の品質をほとんど劣化させることなく, 情報量を約1/18に削減して高速に配信できるようにした.また, 受信装置に内蔵した1メガバイトのメモリに, 約90分間の朗読音声をコンパクトに蓄積でき, しかも蓄積した情報内容は, インデックス検索機能によって瞬時に検索できる.これらの特長によって, 配信に要する時間と通信料を削減するとともに, 視覚障害者の知りたい情報をいつでも繰り返し聴ける魅力ある朗読配信サービスを実現した.この朗読配信システムの性能を評価した結果, 朗読音声データは再生時間の約1/8の短時間で受信でき, 再生音声はパーソナルハンディホンシステム(PHS)と同等の高い品質が得られた.また, 約50名の視覚障害者を対象に, 音声圧縮による朗読配信システムを使ったサービス実験を行った.その結果, 視覚障害者が自ら選択できる身近な情報を充実すること, 情報内容の更新頻度を高くすること, 受信装置の操作性をいっそう向上することなどの課題が, アンケート結果から明らかとなった.
著者
北村 英純 長瀧 寛之 都倉 信樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.536, pp.47-52, 2003-12-12

本研究では,高等学校の教育活動において作られるコンテンツを保存するポートフォリオシステムの開発と評価を行った.このシステムを使うと,生徒及びクラス担任と教科担任は,保存されているコンテンツをそれぞれの役割に応じて閲覧でき,生徒の自己評価と,教師による生徒の学習状況の把握に役立てられる.我々は教育を2カテゴリ4領域(アクティビティ:教科活動,自主活動,及びヒストリ:自分の歴史,学校の歴史)に分類した.本ポートフォリオは,その領域分類に従ってコンテンツを保存し,そのコンテンツに対して2種類の閲覧環境,つまり領域を分離した環境と領域を統合した環境を提供する.前者は領域ごとの学習状況を把握するため,後者は学習活動全般を閲覧するためのものである.とりわけ,統合した閲覧環境では各カテゴリに保存されているコンテンツが相互に情報を補完し合うので,生徒は自分の記憶にある情報も呼び起こすことができる.
著者
矢崎 俊志 阿部 公輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.476, pp.253-258, 2003-11-21

円周率計算や暗号などの分野において,数千桁におよぶ多倍長乗算が必要になる場面がある.多倍長乗算を高速に行うためには,FFTを応用した乗算アルゴリズムが用いられる.本論文ではFFT乗算のハードウェア実装について述べる.まず,演算器の構成法に存在する選択肢のいくつかに関して,コストと性能をもとに検討する.さらに,ソフトウェア実装との性能比較を行い,ハードウェア実装の有用性を示す.0.18μmテクノロジを用いて,浮動小数点データ表現形式を16bitにした小型のFFT乗算器を2.8mm角のチップに実装した.2^<16>桁の計算が可能な64bitデータ表現FFT乗算器は,10mm角程度の現実的なチップサイズで実装可能であるが分かった.
著者
今田 将吾 徳光 永輔 石原 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.671, pp.13-18, 2000-03-09

分子線エピタキシー(MBE)法を用いて、強誘電体YMO(YMnO_3)薄膜をSi(111)基板上へエピタキシャル成長した。この際、バッファ層としてY_2O_3を用いた。RHEEDによるその場観察及びX線回折測定結果より、ロッキングカーブの半値幅が0.7゜程度の良好な結晶性を有するYMO薄膜がSi(111)基板上にエピタキシャル成長していることを確認した。また、MFISFET(金属-強誘電体-絶縁体-半導体FET)を作製するために、まずY_2O_3バッファ層のみでMISFET(金属-絶縁体-半導体FET)を作製し、そのトランジスタ動作を確認した。最後に、MFISFETを作製し、強誘電体YMO薄膜を用いたものとしては、はじめてトランジスタ動作を確認した。
著者
矢崎 俊志 阿部 公輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.478, pp.253-258, 2003-11-21

円周率計算や暗号などの分野において,数千桁におよぶ多倍長乗算が必要になる場面がある.多倍長乗算を高速に行うためには,FFTを応用した乗算アルゴリズムが用いられる.本論文ではFFT乗算のハードウェア実装について述べる.まず,演算器の構成法に存在する選択肢のいくつかに関して,コストと性能をもとに検討する.さらに,ソフトウェア実装との性能比較を行い,ハードウェア実装の有用性を示す.0.18μmテクノロジを用いて,浮動小数点データ表現形式を16bitにした小型のFFT乗算器を2.8mm角のチップに実装した.2^<16>桁の計算が可能な64bitデータ表現FFT乗算器は,10mm角程度の現実的なチップサイズで実装可能であるが分かった.