著者
北川 悦司 村木 広和 吉永 京平 山岸 潤紀 津村 拓実
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.II_143-II_148, 2018 (Released:2019-03-29)
参考文献数
5
被引用文献数
3 3

近年,地上分解能が小さい空中写真を容易に撮影できる手段としてUAV(Unmanned Aerial Vehicle)が注目を集めている.このUAV空撮画像を用いた3次元計測には,一般的にSfM(Structure from Motion)とMVS(Multi-View Stereo)を用いた3次元モデリングソフトウェアが利用される.しかし,これらのソフトウェアは,それぞれ傾向が異なることが指摘されている.そこで,本研究では,現在多く利用されているPix4DとPhotoScanの2つのソフトウェアについて,実験から特徴を導き出し,それぞれの違いについて比較した.その結果,SfM処理時に各ソフトウェアにおいてレンズ補正式が異なる点や,PhotoScanが見た目は綺麗であるが変位抽出に弱い傾向があること,Pix4Dは点群のZ値が若干揺れるが変位抽出しやすいことなどの比較結果を得ることができた.
著者
稲垣 具志 寺内 義典 橘 たか 大倉 元宏
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_933-I_941, 2014 (Released:2015-05-18)
参考文献数
10
被引用文献数
6

これまで,通過交通が問題となる生活道路では,抜け道利用者に着目した交通安全対策が多く実施されてきた.本稿は,抜け道利用者ではない地区関係者の走行速度に着目し,抜け道利用者の速度との傾向の違いについて明らかにすることで,地区関係者向けの安全啓発・教育を実施する意義について検討することを目的とする.東京都内の2地域を対象としてナンバープレート調査と走行速度調査を同時に実施し,地区関係者と抜け道利用者別の走行速度分布を取得した.これらを比較したところ,地区関係者には抜け道利用者と比べて低速走行する傾向が一部確認できたが,地区関係者においても生活道路を高速走行する運転者が無視できない程度に存在し,地区関係者を対象とした速度低減対策を構築する必要性が示された.
著者
大久保 努 原田 秀樹 小野寺 崇 上村 繁樹 山口 隆司 大橋 晶良
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G (ISSN:18806082)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.187-195, 2008 (Released:2008-06-20)
参考文献数
43

インド・カルナール市において,下水を処理するUASB法の後段処理法として,我々が開発した下向流懸垂型スポンジ(Downflow Hanging Sponge: DHS)法の実規模リアクター(処理水量500m3/day,スポンジ容量に対するHRT: 1.5時間)を導入し,有機物処理特性評価を行った.DHS処理水の有機物濃度はインドの排出基準を満たし,全期間(900日間)を通じた平均全BODが6(標準偏差±4)mg/L,平均SSが8(±4)mg/Lであった.また,DHSからの余剰汚泥発生量は0.05kgSS/kgCOD-removedであり,現在までにUASBの後段処理として報告がある好気性処理法と比較して格段に少なかった.DHSは,メンテナンスフリーにも関わらず非常に安定した運転を長期間維持し,活性汚泥法に取って代わる開発途上国向けの新規下水処理技術としての波及が期待できた.
著者
牛山 素行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.I_1369-I_1374, 2017 (Released:2018-02-28)
参考文献数
7
被引用文献数
5

一般的に公開されている消防庁などの統計を利用して,日本の自然災害による死者・行方不明者などの経年傾向を検討した.1949~2014年の自然災害全体の死者・行方不明者数,1968~2014年の風水害による死者・行方不明者数は,いずれも統計的に有意な減少傾向が見られる.1970年代以降は増減傾向が不明瞭だが,10年移動平均値は小さくなっている.全壊,半壊,床上浸水家屋数についても傾向は同様である.「近年災害(被害)が激増している」という認識は適切でない.同じ期間における「不慮の事故」(火災,交通事故,山岳遭難,水難)による死者数の変化傾向は一様でなかった.時代の進歩に伴うハード面,ソフト面の対策の充実とともに,死者等が単純に減少していくものではないことが示唆される.
著者
本山 亜友里 川上 智規 S. K. Weragoda 奥川 光治 芹川 裕加 袋布 昌幹 高松 さおり
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.III_517-III_523, 2012 (Released:2013-03-15)
参考文献数
11
被引用文献数
1

スリランカAnuradhapura地区では,飲用,調理用としている井戸水にフッ素が含まれ,住民にフッ素の過剰摂取により生じる斑状歯がみられる.また腎臓病などの健康被害も報告されており,フッ素との関係が疑われている.そこでフッ素汚染実態把握のため2010年~2012年にAnuradhapura地区を含む8地区,計263サンプルを分析した結果,最大で約7mg/lの井戸が存在し3地区で平均値がスリランカの飲料水基準値を超過した.高濃度の井戸付近には,低濃度の井戸が存在する例もあった.この場合濃度に応じ用途を分けることで健康被害を軽減できる.一方近隣に低濃度の井戸が存在しない場合,フッ素濃度低減策を講ずる必要があり,その1つとして鳥骨炭の利用を検討した.鳥骨炭製造に際し最適炭化温度は600℃であった.
著者
海野 進
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_3-I_10, 2015 (Released:2016-02-22)
参考文献数
19
被引用文献数
1

超深度マントル掘削計画“M2Mモホール”は,日米欧が協同で実施している国際深海科学掘削計画(IODP)の最重要課題の一つであり,日本が擁する地球深部探査船「ちきゅう」の能力を最大限に発揮することのよってのみ実現可能な巨大科学計画である.日本が中心となって推進する“M2Mモホール計画”は,深さ6 kmを越える海洋地殻を貫通して,人類史上初めて直接マントル物質を回収し,モホの実態と対流するマントルのダイナミクスを理解するとともに,水の起源と全地球規模の炭素循環を解明し,地下生物圏の限界を探ることを目的としている.科学的要請と技術的制約にもとづいてハワイ北方沖,コスタリカ沖,バハカリフォルニア沖の3カ所に候補地を絞り,その中から最終的な掘削地点を決定するために地下構造探査の準備を進めつつある.
著者
加藤 史訓 諏訪 義雄 鳩貝 聡 本間 基寛 内田 良始
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_326-I_330, 2012 (Released:2012-11-15)
参考文献数
4

We proposed a method to estimate tsunami inundation area according to tsunami height predicted by Japan Meteorological Agency. Fault models that corresponded to the predicted tsunami height for the southern part of the Sendai plain were extracted from 3,404 combinations of fault model parameters for both near-field tsunamis and far-field tsunamis. Tsunami inundation area was estimated by numerical simulations with the extracted fault models considering ground subsidence caused by the earthquakes. Area and depth of tsunami inundation can be estimated at the time of tsunami warnings by preparing a database system on the largest inundation areas of each tsunami height range based on our method.
著者
山中 亮一 上月 康則 野上 文子 魚谷 昂一郎 三好 真千 五島 幸太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_1206-I_1210, 2012 (Released:2012-11-15)
参考文献数
12

Mytilus galloprovincialis (mussel) is a dominant species that attach to seawalls in eutrophied enclosed ports in Japan. Mussel drop-off occurrs every summertime causing sediment contamination at the sea bottom. To avoid the occurrence of mussel drop-off, we suggest to harvest an attached mussel just before the drop-off and composting it. To predict the occurrence of the mussel drop-off, we have to investigate it's biological reaction to influential factors, especially water quality variation. Therefore, we conduct the field observation and reaction experiment of mussels. As a result, we clarified that adhesion characteristics of mussels are affected by the pattern of water quality variation and caused by internal seiche which improves the number of byssus of the mussels.
著者
森本 敏弘 浅井 光輝 笠間 清伸 藤澤 和謙 井元 佑介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_213-I_221, 2014 (Released:2015-02-20)
参考文献数
26

2011年東北地方太平洋沖地震では,津波により防波堤や防潮堤などの港湾施設が甚大な被害を受けた.防波堤や防潮堤の被災メカニズムに関するこれまでの研究・調査により,I. 防波堤前面と背面の水位差に起因して作用する水平力,II. 防波堤の越流水ならびに目地で発生する流水による捨石マウンドの洗掘,III. 浸透流による捨石マウンドの支持力低下に伴うパイピング破壊などが被災の主因として考えられている.本研究では,この中でもIII. の浸透流による防波堤の崩壊現象の解明に焦点をあて,まず基礎段階として,粒子法による地表流(津波)と浸透流の統一解析法を構築した.支配方程式には既往の研究よりナビエ・ストークス方程式と拡張されたダルシーの法則を統一的に記述したものを採用し,粒子法の一種である安定化ISPH法の概念に基づいて定式化している.最後に,簡単な例題を用いて本解析手法の検証を行った.
著者
大沢 遼平 五味 馨 松岡 譲
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_201-I_209, 2014 (Released:2014-12-12)
参考文献数
30

今後,人口増加と経済発展が見込まれる東南アジアの新興国のうち,特にインドネシアにおいてはその人口規模の大きさと森林面積の広さ,バイオ燃料の生産ポテンシャルを含む農業生産の高さなどから将来のGHG排出量増加とその抑制とが世界的な温暖化緩和において重要になると考えられている.このような人口・経済ともに成長中で今後の食料とエネルギー需要の増加が見込まれ,かつ,農林業・土地利用部門からのGHG排出量の割合が比較的高い地域で低炭素社会を構築するため,本研究では社会経済発展の想定を取り込み,エネルギー・農業・土地利用の各部門を統合的に考慮した低炭素社会シナリオの構築手法を開発した.これを2020年及び2050年のインドネシアに適用し,低炭素対策を導入しないBaU及び低炭素対策の違いにより三通りの対策(CM)シナリオを構築し,総合的な低炭素社会シナリオの中で、燃料作物栽培のための土地利用転換による排出も含むバイオ燃料の利用による正味の効果を考慮する例を示した.
著者
吉城 秀治 辰巳 浩 堤 香代子 西坂 従道
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_81-I_90, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
18
被引用文献数
4

幼少期の経験や体験は,その後の生き方に影響を及ぼしてくることが様々な分野において示されている.幼少期における都心での経験や体験を捉え,現在の都心への指向性との関係を明らかにしていくことで,将来にわたって都心に人々を惹きつけ続けるための知見が得られるものと考えられる.本研究は,福岡市民を対象にアンケート調査を実施し,都心での幼少期の関わりの実態や思い出について分析した.その結果,幼少期における都心の思い出には,百貨店での食事や屋上遊園地での遊びなどの思い出があげられていた.また,これらの思い出の中でも,特に都心での遊び体験を軸とした多様な体験,経験が現在においても都心を指向させる要因になり得ることが示されている.
著者
岡島 賢治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集H(教育) (ISSN:18847781)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.37-43, 2014 (Released:2014-10-20)
参考文献数
10

戦後多く整備されてきた土木施設は,現在日常的に存在し,また適切な管理が行われない場合にはその存在が失われる危険性を有している.このような性質は,現在環境教育で取り扱われている地球環境や生物多様性とほぼ同様の性質を持っている.筆者は近い将来これらの土木施設も環境の一部として認識され,環境教育の中で取り上げられるべきものと考えた.そこで,近い将来次世代を育成する立場に立つ教育学部の学生が現在,“環境”,“土木”という言葉にどのように印象をもつかを明らかにするアンケートを実施した.アンケート結果,教育学部学生には“土木”という言葉がほとんどに認知されておらず,“土木”の印象も“労働”に偏っていること,“環境”のイメージは初等中等教育において体験した環境教育と強くリンクしていることが明らかとなった.
著者
滝山 路人 赤松 良久 小林 勘太 宮園 誠二 乾 隆帝 中尾 遼平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
河川技術論文集 (ISSN:24366714)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.257-262, 2023 (Released:2023-10-31)
参考文献数
16

気候変動に伴う河川水温の上昇により河川魚類の生息域の変化や減少が予測されており,河川における魚類の多様性の減少を防ぐためにも,河川魚類と水温との関係を明らかにする必要がある.そこで,本研究では効率的に魚類の在・不在や密度を推定することができる環境DNA定量メタバーコーディング法を利用し,中国地方一級水系である太田川水系,江の川水系において複数魚種の環境DNA濃度と河川水温との関係を解析することで,各魚種における好適水温帯を推定することを目的とした.その結果,環境DNA定量メタバーコーディング法により検出された複数魚種について環境DNA濃度がピークとなる河川水温が確認された.また,魚種間で環境DNA濃度がピークとなる水温が異なり,魚類環境DNA濃度を用いて各種に固有に存在する好適水温帯が推定可能であることが示唆された.
著者
今釜 卓哉 太田 恒平 大屋 誠 溝上 章志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.23-31, 2021 (Released:2021-02-20)
参考文献数
10

熊本市中心部にあるバスターミナルと商業施設,ホテル,大規模ホールから成る大規模複合施設SAKURA MACHI Kumamotoの2019年9月14日のグランドオープンにあわせて,「熊本県内バス・電車無料の日」という,県内の公共交通を終日無料化する交通社会実験が行われた.本論では,この社会実験に合わせて産・官・学によって組織されたSAKURA MACHI DATA Projectにより,公共交通利用者数の変化,商業施設や市街地への回遊行動の拡大,道路交通混雑の緩和,地域経済への波及効果などの種々のインパクトを,様々なデータソースを活用して計測・推計し,それらを分析した結果を報告する.
著者
矢野 伸裕 横関 俊也 萩田 賢司 森 健二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_1217-I_1227, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本研究では,自転車利用者に対し,これまで自転車歩道通行可規制によって歩道を通行していた道路において,同規制の撤廃により歩道通行が禁止され車道を通行するように交通ルールが変更になった場合を想定した聞き取り調査を行い,ルール変更後に道路のどの位置を通行するつもりであるか,またその理由についての回答を得た.その結果,ルール変更後も歩道を通行すると回答した者が多数を占め,その理由として車道通行に対する危険感が指摘された.その危険感をもたらす原因として,交通環境,道路環境,個人特性の各側面が見出された.その他の歩道通行理由として,経路の問題(遠回りの回避)や柵のため車道から移動できないことなどが指摘された.自転車利用者の諸特性の多様性の観点から受容度の高い自転車通行空間整備の対策について論じた.
著者
八尾 修司 山口 敬太 川崎 雅史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.95-107, 2015 (Released:2015-10-20)
参考文献数
41
被引用文献数
2 2

本研究は,1928(昭和3)年に都市計画決定した総合大阪都市計画の公園道路を対象に,公園道路網計画の詳細と,その一部である桃ヶ池・田邊公園道路の実現過程を明らかにするものである.本研究の結果,大阪市の公園道路網計画が自然の風致を活かした系統的な公園連絡を意図したものであったこと,この公園道路網の一部である桃ヶ池公園道路において,沿道地主の主体的な意志と大阪府建築課との協働により,壁面線後退を活用した良好な景観の形成が目指されていたことを明らかにした.また,同公園道路の設計及び整備の具体的内容とその変遷を示し,公園道路の形成の過程を明らかにした.
著者
宮本 雅章 有田 貴司 大森 洋志 野澤 剛二郎 小川 隆申 藤野 陽三
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.94-109, 2020 (Released:2020-01-20)
参考文献数
22

時速500kmの超高速鉄道の列車走行に伴い,トンネル内にはトンネル突入波,退出波,これらの坑口での反射波,さらにはトンネル横坑等で分岐した圧力波や列車通過による圧力低下などが生じる.トンネル覆工構造の疲労を検討するためには,これら圧力波および圧力低下などの変動を場所ごとに合理的に予測することが求められる.本論文では,トンネル内の圧力時間変化の算出に特性曲線法による一次元数値解析を適用し,山梨実験線の計測データと比較検証した.さらに,営業線で想定される複雑な列車運行に対して一次元数値解析を実施し,求められたトンネル内圧力変動をもとにトンネル覆工コンクリートに作用する応力変動を算定し,レインフロー法で覆工構造の疲労安全性を評価した.
著者
喜多河 信介 斉藤 誠一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.341-352, 1992-06-05 (Released:2010-06-15)
参考文献数
14

上武国道 (国道17号) は、東京と北陸を結ぶ重要な幹線道路であり、東京日本橋を起点として、新潟市を終点とする日本の交通動脈である。この南半分の平地部道路のほとんどが徳川幕府時代の旧中山道に当たるが旧中山道の成立から上武国道、現在の国道17号バイパスが整備されるまでを、振り返るとともに、東京都内から大宮市吉野町地先間の新大宮バイパスの整備に伴って沿道及び周辺地域に与えた効果・影響を考察する。
著者
工藤 功貴 片岡 智哉 二瓶 泰雄 日向 博文 島崎 穂波 馬場 大樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.I_1225-I_1230, 2017 (Released:2018-02-28)
参考文献数
14
被引用文献数
1

近年,直径5mm以下の微細プラスチック片(microplastics,以下MP)による環境影響が懸念されている.海洋では多くの調査・研究が行われているが,河川での調査例は少なく,調査手法も統一されていない.現地観測を行う際,プラスチック製用具の使用や周辺環境中のプラスチックとの接触による予期せぬプラスチック混入はMP採取量の誤差要因となるため,プラスチック混入への十分な配慮が必要となる.そこでまずMP調査手法に関して基礎的検討を行った.検討結果を踏まえ,これまで国内18河川で実施したMP調査の結果を整理した.得られたMP数密度(0.0064~2.5 個/m3)は日本近海(0.6~4.2 個/m3)13)より1オーダー小さく,地点毎に材質構成に違いが見られた.サイズは2mm以下がほとんどであった.
著者
草柳 俊二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.I_157-I_168, 2015 (Released:2016-03-31)
参考文献数
11
被引用文献数
1 3

設計施工契約は施工性を十分反映した設計を行うことにより,品質,時間,コストの効率向上を目指すものである.この契約形態は建設企業が従来の枠組みを超え,事業遂行力を向上させるといった面でも極めて重要な意味を持ち,先進諸国だけでなく,中進国の建設産業もその対応能力を急速に向上させている.我が国でもこの契約形態の導入が始まったが,受注者側のリスク拡大といった問題が顕在化している.リスクの均衡は適正な契約形態によって作られる.我が国では発注方式で制度作りを進めるため契約形態の議論が希薄となる.このため,リスクバランスという建設プロジェクトにおいて最も重要な議論が放置されてしまう傾向となる.設計施工契約形態の普及には,契約形態としての議論を深めシステムを作って行くことが必要となる.