著者
森本 瑛士 赤星 健太郎 結城 勲 河内 健 谷口 守
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_345-I_354, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
40
被引用文献数
10

現在日本において人口減少社会に対応した「コンパクト+ネットワーク」を実現するための都市計画が進んでいる.また地方分権の進展とともに市町村単位の都市計画が進められているが,その計画は広域的な視点から見たときの整合性(広域的整合性)を確保できているか疑問が残る.本研究は市町村における都市計画が広域的整合性を確保できているのか把握することを目的とする.具体的な方法として,市町村MPで記載されている将来都市構造図に着目し,県域レベルの市町村MP連結図を作成することで都市計画の広域的整合性を把握した.作成した連結図から,市町村の「コンパクト+ネットワーク」を実現するための都市計画は広域的整合性を確保できておらず,各市町村MPが断片化していることを明らかにし,各市町村で都市計画を一致させる必要性を示唆した.
著者
谷口 綾子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_1103-67_I_1112, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
12

カーシェアリング(以下CS)は欧米諸国で一定の成功を収めているものの,我が国での加入者は未だ単体で採算が取れるレベルには至っていない.本研究では,CSを大規模事業所である大学に導入した筑波大学を事例として,その導入経緯について需要予測と利用促進を中心に紹介するとともに課題を整理した.筑波大学のCS潜在需要予測で用いたBI法による推計結果は,導入後1年半現在の加入者数とほぼ同じ水準であり,BI法の妥当性が検証された.また,体育の授業を介した利用促進策は,これまでバスの利用促進等で成功してきた方法であるにも関わらず期待された結果とならず,CSの特殊性が明らかになった.今後は環境負荷や自動車保有状況の変化等の効果を長期的に計測していく必要がある.
著者
鎌谷 崇史 中尾 聡史 片山 慎太朗 東 徹 戸田 祐嗣 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_192-I_201, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
19

我が国では,自然災害に見舞われるリスクが高く,自然現象がもたらす被害を如何に抑制するかが問われてきた.自然災害の中でも,南海トラフ巨大地震や首都直下型地震による被害については,近年,様々に予測されているが,その一方で,大規模洪水がもたらす被害,特に経済被害については,定量的な予測が十分になされていない状況である.そこで,本研究では,SCGEモデル(空間的応用一般均衡モデル)を用いた大規模洪水による経済被害の推計手法を考案し,東京・大阪・東海の3つの地域における洪水シナリオに基づいて経済被害の推計を行うことを目的とした.
著者
越沢 明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.121-132, 1987

本稿は1895~1945年に目本の統治下にあつた台湾の都市計画の特徴について最大の都市である台北を例にとって取りまとめたものである。<BR>台北の市区改正の実施の契機は、不衛生な都市環境の改善であり、そのために下水道の敷設と道路の改良が実行された。それを推進したのは、後に日本内地の都市計画の発展に大きな功績を残す後藤新平であり、下水道敷設のプランをつくったのは日本の近代上下水道の基礎をつくったパルトンであった。<BR>1932年に郊外地の開発を目的とする近代的な都市計画が策定された。そのプランは公園道 (ブールバール) を重視し、新市街地の軸線として用いている。1937年の都市計画法制度の整備以降、土地区画整理により、新市街の開発が着手されている。<BR>戦後、中華民国になってからの台北都市計画の街路、公園は戦前のプランがほぼそのまま継承されている。また法令もそのまま採用され、用途地域、土地区画整理など、制度而でも今日の台湾の都市計画に影響を与えている。
著者
鈴木 猛康
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_152-I_160, 2012 (Released:2012-07-26)
参考文献数
10
被引用文献数
1

2011年東北地方太平洋沖地震では,牡鹿半島で水平方向に5.3mの地殻変動が観測されたのをはじめ,地殻変動は東北地方にとどまらず,関東,中部,そして近畿地方まで及んだ.この地震の後,山梨県の西湖では,湖面上のボートがゆっくりと1m程度の振幅で上下に振動し,湖岸では津波のような波が押し寄せ,魚や貝が岸に打ち上げられた.本論文では,西湖の近くで観測された地震動に含まれる1分程度の長周期地震動成分を分析し,その卓越周期と西湖の閉鎖水域の断面形状に基づいて定義されるセイシュの1次固有周期を比較している.さらに,西湖の模型を製作し,模型の閉鎖水域を長周期地震動の卓越方向に加振することにより,模型の矩形の閉鎖水域の長辺方向に大きな水面変動が発生することを確認している.その結果,本論文では,2011年東北地方太平洋沖地震の際に西湖で見られた津波のような現象を,サイスミック・セイシュによって説明するものである.
著者
鈴木 邦夫 森本 励 高山 純一 片岸 将広 松矢 裕一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_197-I_204, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
10

金沢市では,平成23年2月に,学識者,国土交通省金沢河川国道事務所,石川県,金沢市,石川県警察本部及び所轄警察署から構成される「金沢自転車ネットワーク協議会」が設立され,平成24年3月に「金沢自転車通行空間整備ガイドライン(案)」を策定した.安全で快適な自転車通行空間整備にあたっては,自転車が走行すべき「車道の左側端」を明示する必要がある.しかし,自転車通行空間の幅員と自動車走行速度(規制速度)の関係については,十分に明らかにされていないのが実態である.そこで本稿では,金沢市内で実施した自転車走行調査の結果をもとに,自転車通行空間の幅員と自動車走行速度(規制速度)との関係について分析・考察することを目的とする.
著者
秦 吉弥 矢部 正明 野津 厚 葛西 昭 高橋 良和 松崎 裕 秋山 充良
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A (ISSN:1881820X)
巻号頁・発行日
vol.63A, pp.265-278, 2017 (Released:2018-06-08)

下記の論文は撤回されました.記秦吉弥,矢部正明,野津厚,葛西昭,高橋良和,松崎裕,秋山充良:臨時余震観測に基づく2016年熊本地震における西原村および南阿蘇村の被災橋梁に作用した地震動の評価,構造工学論文集,Vol. 63A,pp. 265-278,2017.撤回の理由2019年3月15日に大阪大学より公表された研究活動上の特定不正行為に関する調査結果において,本論文に対して第一著者による特定不正行為(ねつ造)が認定されたため,撤回した.
著者
田井 明 久保 奈央 橋本 彰博 小松 利光
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_1057-I_1062, 2012 (Released:2013-03-26)
参考文献数
13
被引用文献数
3

In order to analyze regional changes frequency of torrential rain that defined hourly precipitation of 50 mm, 75 mm and 100 mm, we represented the spatial distributions of frequency of torrential rain. Secondly, we analyzed relationship of human damage and precipitation pattern in past flood and sediment-related disasters. Number of candidate disaster which more than five persons are killed or went missing in is 49 since 1976. We used total precipitation, total precipitation and maximum hourly precipitation during a disaster period as indicators of precipitation pattern.The results of the present research are summarized as follows:(1)From the 1980-1989 decade to the 2000-2009 decade, frequency of torrential rain had increased in Shikoku area, Kyushu area, Tohoku area and Hokuriku area. In particular, in Tohoku and Hokuriku area, torrential rain did not occur about 30 years ago, but in resent years, torrential rain occurs (2)Relationship of human damage and precipitation are studied by means of the statistical hypothesis test. The results show that Kyushu area has a higher resistibility for disasters than Setouchi area.
著者
中根 洋治 奥田 昌男 可児 幸彦 早川 清 松井 保
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.22-37, 2012

本稿では,静岡県の赤石山脈の南端にある,我が国の代表的な尾根を通る秋葉古道を研究対象とした.この古道について,中世以前のことがこれまで明らかにされていないので,その成立過程と果たしてきた役割などを研究した.秋葉古道は時代と共に黒曜石・巨石信仰・塩・修験道・秋葉信仰・戦いの道などに使われてきたが,文献調査,現地踏査及び聞き取り調査により,その成立過程とともに浜松市を代表とする遠州と飯田市を代表とする南信州を結ぶ古道の役割についても研究した.その結果,最古の道は兵越峠を越えていたこと,そして,時代が下がるにつれて利用されたルートが低い位置に推移していること,また秋葉古道の役割として,物や人の運搬に関することおよび信仰などのために使われてきたことを明らかにした.
著者
稲積 真哉 與北 雅友 木村 亮 嘉門 雅史 西山 嘉一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
建設マネジメント研究論文集
巻号頁・発行日
vol.14, pp.13-22, 2007

海面埋立処分場において鋼管矢板を打設することで構築される鋼管矢板遮水壁は、埋め立てられた廃棄物からの浸出水が外海へ漏出することを防ぐ重要な遮水工要素である。一方、鋼管矢板が遮水工としての機能を発揮するためには、継手を有する鋼管矢板の嵌合打設において周辺地盤との密実性を保持しなければならない。本研究では、鋼管矢板遮水壁の打設における周辺地盤の乱れ領域の形成に着目し、海面埋立処分場全体の環境保全機能に対する乱れ領域の影響、乱れ領域の形成を抑制する打設工法の効果およびサンドコンパクションパイル工法による地盤改良の影響を、浸透・移流分散解析によって評価する。本研究における成果の一例として、下部堆積粘土層において形成される乱れ領域が特定経路における有害物質漏出の漏出量に大きく影響し、一方、ソイルセメントによる鋼管矢板周辺の地盤改良を伴う鋼管矢板の打設工法が有害物質の漏出抑制に効果的であることを示した。
著者
宇野 宏司 高田 知紀 辻本 剛三 柿木 哲哉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_1603-I_1608, 2015 (Released:2015-11-10)
参考文献数
14
被引用文献数
3

古くから熊野信仰やお伊勢参りで知られる紀伊半島には多くの神社が鎮座している.太平洋に面する本半島沿岸は,2012年に公表された内閣府による南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)で甚大な被害が出ると予想されており,限られた平野部に拓かれた集落における避難場所の確保が重要な課題のひとつになっている.本研究では,本半島沿岸1km圏内に鎮座する神社の空間配置の諸情報(緯度経度・標高)と内閣府による津波被害の想定結果を用いて,将来の南海トラフ地震時における神社の津波被災リスクについて検証した.その結果,境内が直接被災するのは2割程度に留まるが,こうした神社の多くは浸水深が1mを超え,避難場所には適さないことがわかった.祭神別では,伊勢神宮の主祭神である天照大神とその周辺の神々で津波被災リスクは低くなっていることが明らかにされた.
著者
東 和之 大田 直友 河井 崇 山本 龍兵 丸岡 篤史 橋本 温 上月 康則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_1091-I_1096, 2012 (Released:2012-09-18)
参考文献数
16
被引用文献数
1

代償措置として創出された人工干潟と模倣した自然干潟においてマクロベントスの定量調査を行い,干潟中下部生態系を再現できているかを検討した.マクロベントスの個体数は,自然干潟の方が人工干潟を大きく上回っており,種数についても自然干潟の方が多い傾向であった.干潟へ流入してくる栄養塩や底生珪藻量も自然干潟の方が高く,自然干潟の豊富な生物量はこれらの栄養塩や一次生産に支えられているようであった.両干潟の決定的な違いは,ホソウミニナの有無であったが,直達発生により分散能力が乏しいため,人工干潟にはほとんど加入していないこと,安定した自然干潟では爆発的な増加力を発揮していることが示唆された.以上のように,造成から約5年が経過した人工干潟であるが,潮間帯中下部の干潟生態系は模倣した干潟とは全く異なっていた.
著者
田島 芳満 舟竹 祥太郎 佐藤 愼司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.23-33, 2013 (Released:2013-03-19)
参考文献数
16
被引用文献数
1

2011年東北地方太平洋沖地震津波による甚大な被害を受け,ハードとソフトを組み合わせた減災機能の高い地域づくりの重要性が提唱されている.設計天端高を超える規模の津波に対し,海岸堤防には損壊を最小限にとどめ,可能な限り氾濫流を減衰させる粘り強い機能が求められており,越流を伴う津波に対する減災効果の定量的評価が極めて重要となる.本研究では,2011年津波による宮城県仙南地域と福島県勿来地域における被災事例を対象とし,調査結果および数値氾濫解析を通じて海岸堤防による減災機能の定量的評価を試みた.その結果,減災効果は津波に対する堤防の相対高さや周辺地形に依存し,条件によってはその効果が著しく低下すること,堤防高が不均一であると背後域の減災レベルが低下する危険があることなどの有用な示唆が得られた.
著者
Hiroyuki GOTO Yoshiya HATA Yasuko KUWATA Hidekazu YAMAMOTO Hitoshi MORIKAWA Shunichi KATAOKA
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
Journal of JSCE (ISSN:21875103)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.329-342, 2013 (Released:2013-11-20)
参考文献数
94
被引用文献数
3 6

The 2011 off the Pacific coast of Tohoku earthquake brought severe damage caused not only by the tsunami but also by the ground motions. The present manuscript summarizes the source mechanism/process and the characteristics of ground motions around eastern Japan during the earthquake. For the last two years after the earthquake, many researchers have devoted their efforts to analyzing and discussing the source and ground motions. New findings from some recent works are also cited. We, furthermore, introduce characteristics of ground motions at some typical damaged sites, where no records of ground motions were obtained during the main shock, using time histories of after shocks.
著者
守屋 進 大澤 隆英 渡辺 健児 中野 正 永井 昌憲 多記 徹 金井 浩一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E (ISSN:18806066)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.790-797, 2006 (Released:2006-11-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本報告は,ISO/TC156に採択された国際共同暴露試験地の1つである駿河湾大井川沖に設置された海洋技術総合研究施設において実施された重防食塗装系の海上暴露試験結果である.下塗りに厚膜形ジンクリッチペイントを用い,上塗にふっ素樹脂塗料を用いた重防食塗装系は海上暴露という厳しい腐食環境下でも20年を経過しても良好な防錆性と耐侯性を有することが確認できた.一方,重防食塗装系でもエッジ部でさびが発生しているものがあり,エッジ部の防錆対策が重要であることが認識された.
著者
宮本 崇 西尾 真由子 全 邦釘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.2, no.J2, pp.152-156, 2021 (Released:2021-11-17)
参考文献数
13

物理現象の入出力をデータ駆動的に再現するサロゲートモデルは,物理問題の高速な予測を行う代替的な手段としてその利用が進んでいるが,得られた解が物理的な条件を満足する保証がない問題が知られている.これに対して,Physics-Informed Neural Networks(PINNs)は支配方程式による拘束を表現した損失関数を導入することで,支配方程式をデータ駆動的に求解するニューラルネットワークである.本稿では,1次元連続体の自由振動問題に対してPINNsの定式化とコード実装を行う.
著者
中川 大 小林 寛
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.187-206, 2006 (Released:2006-03-30)
参考文献数
203
被引用文献数
4 5

阪神淡路大震災後の大規模な渋滞は,大都市の震災対応策に重要な教訓をもたらした.しかしながら,それから10年以上が経過しているにもかわらず,震災緊急時の交通対応の視点は基本的には変わっておらず,その教訓が十分に活かされる状況には至っていない.その原因の一つには,実際に現場でどのような現象が生じていたかが必ずしも明らかになっているとは言えないという点がある.そこで本研究では,最も重要な期間である震災発生後1~2日間における現象をあらためて明らかにするため,当時の状況に関する研究・文献等を調査し,被災地に流入できる全断面の震災直後の状況を把握する.また,これらの分析から,大都市における震災時の交通対応策に対して得られる教訓を整理し,現在の対策の課題を明らかにする.
著者
柳原 純夫 仲村 成貴 後藤 洋三 山本 幸 柿本 竜治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.I_564-I_574, 2021 (Released:2021-07-22)
参考文献数
4

熊本地震直後の社会基盤設備の応急復旧での地元建設会社の初動対応の実態把握と課題抽出を目的とし,ヒアリング及びアンケート調査を実施した.調査結果と課題は次の通り.(1) 地震後の初動対応に遅れや混乱が発生した.協定内容の改善が必要である.(2) 対応工事の必要資源の不足が発生した.防災計画等での考慮が必要である.(3) 建設会社が実施した応急復旧工事における,費用清算面の問題はなかったが,施工数量の確定や支払処理の円滑化が課題として残った.(4) 応急復旧作業時は作業安全レベルが低下していた.地震後の工事を対象とした安全教育システムの確立が急務である.(5) 事故発生時には「公務災害補償」と同等の補償の適用を望む回答が大半を占めた.法律面を含めた補償制度面の対応が必要である.
著者
高橋 浩司 白川 龍生 長沼 芳樹 佐野 至徳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.9, pp.22-00139, 2023 (Released:2023-09-20)
参考文献数
13

積雪寒冷地での道路管理においては,既往の防雪対策を適切に評価することが重要である.防雪設備周辺の吹きだまり等を計測するには,近年活用事例が増えているUAV-SfM測量が効率的だが,積雪環境特有の条件から点群作成の可否や精度低下などの問題点が指摘されていた.そこで本研究では,雪面の雪質や下向き短波放射(明るさの基準),積雪表面の反射率に着目し,使用するカメラのセンサーサイズや撮影高度を変化させ,点群作成の可否とその精度を検証した.その結果,積雪環境下においても,点群が欠けることなく無雪期同様に作成できることを確認した.また,推定値と実測値の比較により,相対誤差の平均値−4%,標準偏差2%が得られた.このことから,吹きだまりを対象とした場合,実用上は問題ないことを明らかにした.