著者
吉澤 睦博 鬼丸 貞友 畑中 宗憲 内田 明彦 中澤 明夫 難波 伸介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集
巻号頁・発行日
no.24, pp.1149-1152, 1997

1995年1月17日の兵庫県南部地震で被災した人工島に立地するLPGタンク群の1つのタンクについて、二次元有効応力解析法により、タンク基礎および周辺地盤の変状について検討した。また、今後の耐震設計の資料を得る目的で、液状化対策としての締固めによる地盤改良の効果を検討するため、タンク外周の改良幅と改良深さをパラメーターとする解析も実施した。その結果、地盤改良による過剰間隙水圧の抑制や沈下の低減の効果を確認し、かっ、さらに有効に沈下を抑制するためには、タンク外周の改良幅を増やすよりも埋立層の改良深度を増やす方が有効であることがわかった。
著者
関口 信康 大津 宏康 伊豆 隆太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.I_121-I_130, 2011 (Released:2012-03-30)
参考文献数
14

近年の我が国では台風,集中豪雨等による斜面災害が多発しており,限られた予算の中で,明日にでも起こりうる斜面災害に対し,被害を最小限に止めることの重要性が再認識されている.しかしながら,現在の厳しい経済社会情勢において道路斜面の管理に対する予算が削減される中,道路防災総点検において対策が必要と判断された膨大な数の要対策斜面への対応が滞っているのが現状である.こうした状況の中,道路斜面の適切な管理によって自動車走行の安全・安心を向上させるためには,サービス水準の低下による社会的損失を明確にした事業優先度を定量的・客観的に評価し,効率的・重点的に道路斜面の管理を実施していく必要がある.このような観点から,本研究では道路斜面防災を対象に,道路斜面管理の各段階において取得可能な情報を最大限に活用した事業優先度の評価手法はいかにあるべきかについて提案するとともに,その効果について試算する.
著者
長尾 和之 澤野 幸輝 松崎 孝汰 風間 基樹 河井 正 加村 晃良
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学) (ISSN:21856516)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.198-215, 2019 (Released:2019-05-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

近年,異常降雨や大規模地震に起因して高速道路の切土および盛土のり面が被災し,物流や日常生活に影響を与える事象が顕在化している.一方,高速道路の延長は約4割が供用30年以上を経過し,経年劣化のリスクの高まりが懸念される.本報告では,NEXCO東日本の最近の降雨等によるのり面の災害事例とその「素因」および「誘因」を紹介するとともに東北地方の高速道路ののり面で発生した213箇所ののり面の災害事例から,東北地方ののり面災害に大きく影響を与える地形,地質および盛土材料などの「素因」を抽出した.さらには,降雨による切土および盛土ののり面災害の規模と「素因」の関係やのり面災害の規模と頻度の関係など,のり面の「予防保全」のシステム作りに資する分析を試みたものである.
著者
為国 孝敏 榛沢 芳雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
no.13, pp.221-231, 1993

本稿は、東京の拡大に伴なう地域の変容と郊外鉄道との関連を考察した。対象とした東京西南部地域は、山の手として1923 (大正12) 年の関東大震災以降急激な人口流入による都市化が進展した地域である。その中で玉川電気鉄道は東京西南部地域に初めて出現した、東京市域から郊外へ向けた鉄道として開業した。そこで、この玉川電気鉄道の変遷とその沿線地域である世田谷町、駒沢町、玉川村の変容との関連を解明することとした。その結果、玉川電気鉄道は地元有志が中心となって設立したことから地域の開発・発展に積極的であったこと、流入してきた通勤層を中心に鉄道を利用した新しいライフスタイルが創生されたこと、これらが有機的に結合して質の高い住宅供給地としての性格を有することになったこと、が分かった。
著者
山上 佳範 坂本 洋一 河合 淳 藤井 良昭 橋本 孝治 山下 俊彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_556-I_560, 2012 (Released:2012-11-15)
参考文献数
3

The mechanism of morphology change at the first (western) entrance of lake Saroma were investigated with the 20 years bathymetric survey data set. It shows that the volume around the entrance decreased after the east jetty construction started and the major morphology changes were erosion along the channel and movement of ebb shoal. A numerical model which aimed to predict the morphology change for several years was developed based on the sediment transport characteristics. The simulation result shows that this model can quantitatively reconstruct the observed morphological changes for 3-4 years.
著者
田辺 篤史 関 雅樹 松浦 章夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A
巻号頁・発行日
no.57, pp.780-787, 2011

Recently it was found that a large wheel load exceeding twice of static one occurred by high speed train passage. This study is aiming to grasp the mechanism of large wheel loads by using measured data obtained by the examination train. Then, the effects of the large wheel load on steel bridges were evaluated by using field measurement data. Statistical method revealed that the frequency of larger wheel load increases by train speed and that the track type has less effect. Two scenarios of large wheel load were found. Rail joints may cause high frequency vibration and it results large wheel load, but it has no effect on steel bridges because it dissipates rapidly. Uplift of sleeper produces large wheel load with low frequency and it could increase stress range at the upper flange of girder bridges by 10-20%.
著者
清野 純史 三輪 滋 古川 愛子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学論文集
巻号頁・発行日
vol.29, pp.412-419, 2007

地震時の墓石の転倒現象については, 実験と解析の両面から多くの研究が行われているが, 耐震補強された墓石の地震時挙動や補強効果について検証を行った研究は見当たらない. 本研究では, 墓石の代表的な耐震補強工法の効果を検証することを目的として, 墓石の実寸大模型を用いた振動台実験を実施した. 現在多く採用されている耐震補強工法の中から, 連結工法と免震工法に着目した. 連結工法の中からダボ工法と長ボルト工法, 免震工法の中から免震金具工法, 免震ゴム工法, エアーダンパー工法を採用した. デジタルカメラで撮影された画像と墓石試験体の加速度記録から, 各補強工法の効果と問題点について検討・考察を行った. 連結工法である長ボルト工法と免震工法である免震金具工法の効果が確認できた.
著者
井上 雅夫 藤野 陽三
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.14-26, 2010
被引用文献数
2

2007年8月の米国ミネソタ州での鋼トラス橋落橋事故の社会的影響を行政機関等の資料に基づき総括的に調査整理した.その結果,1)事故は,直接損失および間接損失(交通迂回損失,経済損失)に加え,橋梁の安全性に関する国民の不安を生んだ.その不安を受け,全米での道路橋の緊急点検,点検厳格化の連邦法案,連邦および州による追加的な橋梁改築などの多様な追加安全対策(事故前より安全の水準を引き上げ)が講じられている.2)追加安全対策は,全米で実施され,時間的にも事故から10年程度あるいは永続的に実施されるものもあり ,その総額は,直接および間接損失よりかなり大きい.3)追加安全対策のなかには,点検厳格化の連邦法案など合理性に問題があると指摘されている対策もあることがわかった.
著者
川本 義海 伊豆原 浩二 本多 義明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.16, pp.801-808, 1999

本研究は、地域構造分析により交通制約の大きい県境部の道路整備の方向性を提起することを目的としたものである。ここではまず県境部の道路の実状を把握した。次に北陸3県 (富山県、石川県、福井県) において、社会・経済指標の時系列データを用いて地域特性を説明する諸要因を明らかにした。さらにこれらの地域特性を説明する諸要因から市郡を分類し、北陸3県と隣接する中部・近畿の県との県境市郡の地域特性を示すとともに、県境部の道路整備状況との対比により県境地域の課題を示した。最後にケーススタディを通じて、県境地域において地域間の交流と連携を進めるに当たって重要とされる項目とそれらの相互関係をデマテル法により相対的に示し、県境部の道路整備の方向性を示した。
著者
山本 省吾 若菜 勇 中瀬 浩太 島谷 学
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
no.50, pp.611-615, 2003

北海道阿寒湖の特別天然記念物マリモは, 強風によって6~9年に1度の頻度で, 数万個が湖浜に打ち上げられている.マリモ打ち上げ時の波浪条件の定量的評価や打ち寄せ・打ち上げ機構を明らかにすることは, マリモの保全上重要である.本研究では, 2002年10月の大量打ち上げ発生時の現地風データから風波を推算し, 波・流れ場の平面2次元数値計算を実施した.さらに, 慣性力を考慮したシールズ数を用いたマリモの移動限界評価式を提案し, 現地打ち上げ観測記録との比較により, 評価式の妥当性を確認した.また, 波による振動流速下で移動状態になった球状体マリモが湖浜流により湾奥へ運ばれると推測した打ち寄せ・打ち上げ機構が実現象を十分説明できることも確認した.
著者
藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.334-350, 2006-10-20
参考文献数
52

本稿では,土木において風土の問題は極めて重大であろうとの認識の下,風土に関する代表的哲学書である和辻哲郎著「風土:人間学的考察」(1943)を批評することを通じて,土木工学への知見を得ることを目指した.和辻の哲学的存在論の基本的立場を踏まえることで,各種土木事業が地域のあり方のみならず,地域の人々の人間存在そのものに根元的影響を及ぼし得る可能性が浮かび上がることを指摘した.それと共に,和辻風土論には「健全なる風土と不健全なる風土」との別が論理的に指し示され得ないという実践倫理哲学上の問題点が潜んでいることを指摘し,その問題点が土木において和辻風土論を参照するにあたっての重大な障害となることを指摘した.その上で,その問題点を超克するためのアプローチとして,近代保守思想を参照し,援用することの有効性を論証した.
著者
寺田 光宏 石垣 泰輔 尾崎 平 戸田 圭一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_1363-I_1368, 2019

<p> 近年,大雨による浸水被害が増加しており,大阪や東京等の都市部では,地下浸水が発生する可能性がある.浸水対策が十分でない場合,地下鉄に侵入した洪水が地下鉄のトンネルを通って広がることになる.本論文では,地下鉄利用者のための避難リードタイムを,排水システム,地上及び地下空間を含む数値モデルを用いて調査した.地下鉄における浸水被害者の数を数値的に推定し,地下鉄駅の脆弱性について議論した.その結果から,避難リードタイムと各駅の浸水に対する脆弱性が示された.これらの結果は,地下鉄事業者が避難計画を立てるために重要である.</p>
著者
苗村 晶彦 渡邉 善之 小柳 信宏 楊 宗興 渡辺 幸一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.172-176, 2017

首都圏に由来する汚染気塊の影響により,これと北接する福島県において光化学スモッグ注意報が発令されることがある.森林の物質循環に及ぼす大気の影響を調べるため,福島県中通りを流れる阿武隈川水系の源流域において,平水時のCl<sup>-</sup>濃度およびNO<sub>3</sub><sup>-</sup>濃度を測定した.渓流水中のCl<sup>-</sup>濃度は,高い順に郡山,福島,西白河となった.首都圏の秩父多摩甲斐山岳域と比較すると,本調査値は標高の割りに郡山と福島でCl<sup>-</sup>濃度が高かった.NO<sub>3</sub><sup>-</sup>濃度については,3地点の平均濃度が12.8 μMで渓流水へのリーチングが相対的に小さく,地点間の変動も小さかった.関東周辺の森林渓流水では高濃度のNO<sub>3</sub><sup>-</sup>が観測されるが,福島県中通りにおいては関東地方の窒素飽和問題とは異なることが考えられる.
著者
森脇 亮 今村 実 全 邦釘 藤森 祥文
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.I_229-I_234, 2018 (Released:2019-03-30)
参考文献数
7

風の流れは非線形現象であるため,ある地点の風が次の瞬間にどう変化していくかを予測することは一般には難しい.ところが,地上の風速変動は大気境界層内の乱流現象の一部として出現するため,完全にランダムな現象ではなく乱流構造の通過に伴う「くせ」を持っている.本研究では,深層学習(ディープラーニング)の一つであるLSTM(Long Short-Term Memory)を用いて風速変動の「くせ」を学習させ,現在から10秒先までの風速変動の予測を試みた.また接地層乱流の性質を考慮しながら入力条件による予測精度の変化を検討した.リードタイムが長くなるにつれて予測精度は低下するが,適切な学習時間長さを設定したり,鉛直風速を入力条件に加えることが風速の予測精度を向上に寄与することが確認できた.
著者
鮫島 和範 仲井 圭二 内藤 了二 川口 浩二 額田 恭史 橋本 典明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_527-I_532, 2018 (Released:2018-09-12)
参考文献数
7

副振動について,これまで余り注目されなかった周期と振幅との関係に関する解析を行い,平均周期が大きい地点ほど,無次元振幅の散らばりが小さいことが分かった.また,無次元周期の出現頻度が高い階級では,無次元振幅の平均値は周期や地点に依らず1に漸近する.仲井ら1)2)は,気象庁の振幅5 cm以上の観測資料を用いて,個々の副振動の出現特性を示す確率密度関数の形等により,全国の地点を3種類に分類した.本研究では,港湾局の5地点において観測されたデータを対象に確率密度関数を算出したところ,気象庁のA群の形とほぼ一致した.平均振幅が小さい地点について,5 cm以上のデータだけを用いて確率密度関数を計算すると,真の確率密度関数からずれるということを仲井ら2)は指摘していたが,このことが港湾局のデータにより確認できた.
著者
三津井 勇佑 田中 健路 白水 元 朝位 孝二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.I_289-I_294, 2018

2017年7月5日午前,中国西部では,九州北部豪雨に先んじて特別警報級の大雨が観測された.この大雨による被害は,同日発生した九州地方での被害と比べ程度が小さく,あまり注目されていないが,被害が小規模にとどまった要因などを検討する上で,その発生機構を明らかにする必要がある.本研究では,各種気象資料の解析や数値モデルによるシミュレーションにより,中国地方の豪雨をもたらした線状降水帯が,台風通過後の梅雨前線の形状の変化の過程で発生し,大陸側の高気圧の影響で衰退したことを明らかにした.また,中国西部と九州北部のそれぞれの豪雨ピーク時では気象場の対流活動の規模がことなることが分かり,これが降水量や被害の差異に影響することが示唆された.
著者
西村 卓也 高松 誠治 大口 敬
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_407-I_416, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
12

東京の街路構造は,そこで起きてきた歴史的イベントの影響を受けてその形を変えてきたと考えられる.本研究では,歴史的イベントとして明治維新,関東大震災,戦災と高度経済成長に着目し,各街路の空間機能的特性を位相幾何学的な観点から定量化できるSpace Syntax理論のAxial分析を用いて,東京の街路構造の変遷について分析し,考察するものである.ここでは,街路そのものが造り変わった場合に比較が難しかったAxial分析結果について,メッシュ単位で集計することにより,指標値の定地比較を可能とする定地近接性変化指数を提案する.これを用いて,東京の歴史的イベントとその都市空間形成上の意味について考察し,明治期から昭和期にかけての街路のネットワーク化などの都市形成・発展過程を明らかにする.
著者
飯土井 剛 前島 拓 子田 康弘 宮村 正樹 上田 洋 石田 哲也 岩城 一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A (ISSN:1881820X)
巻号頁・発行日
vol.67A, pp.659-672, 2021 (Released:2021-04-16)
参考文献数
11

The objective of this research is to investigate future maintenance methods focusing on water behaviors in the PC superstructure of the road bridge that has been in service for 23 years after construction under severe chloride environment. In the detailed investigations from 8 years ago, it was found that this bridge was deteriorated by corrosion of epoxy coated reinforcing bars and remarkable pop-out of concrete inside box girders due to the action of water. After various countermeasures to control water inside concrete, it was revealed that no remarkable deterioration was found in 2019. Based on these results, the maintenance methodology from the viewpoint of water was proposed.
著者
山田 善一 家村 浩和 野田 茂 嶋田 三朗
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.362, pp.471-480, 1985
被引用文献数
1 1

In this study, response spectra of long-period earthquake ground motion (approximately from 5 to 15 seconds) at several cities in northern part of Japan due to Nihonkai-chubu Earthquake 1983 are estimated from sloshing height of oil storage tanks and recorded data of acceleration and displacement type strong motion seismographs. Especially in Niigata city which is about 270km away from the epicenter, very high sloshing is observed, from which equivalent velocity response spectrum is predicted to be more than 200 kine for 10 seconds structures with 0.1% damping. Mended and corrected displacement and acceleration. type strong motion seismograms are found to give much higher response spectra than design values for long period (5-10 seconds) structures with 2-5% damping.
著者
高瀬 達夫 涌井 克明 小山 健
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.I_57-I_67, 2011

近年,地方鉄道では自動車利用への転換や少子化などにより利用者が減少し,厳しい経営を強いられているところが多い.長野県においても,現在存続問題を抱えている路線として,上田電鉄別所線,長野電鉄屋代線,松本電気鉄道上高地線の3路線があり,各地域で検討されている.これらの路線は地域の交通手段として重要な役割を果たしており,路線の存廃に関しては慎重な判断が求められるが,そのための判断指標の1つとして各路線がもっている価値評価を算出することとした.<br> 路線価値を計測する具体的な方法として,各路線の沿線および沿線以外の住民に対しアンケート調査を行い,調査データを用いてCVM(仮想市場評価法)による路線の価値を推定し,沿線と沿線以外で支払意思額の比較や,支払意思額に影響を与える要因の把握を行った.さらに地元自治体が支援している補助金の妥当性についての検討も行った.