著者
冨田 哲也 中神 啓徳 二井 数馬 吉川 秀樹 郡山 弘
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

IL-17AエピトープDNAワクチンをDBA/1Jマウスに2週間隔で3回投与した後、II型コラーゲンを投与して関節炎を惹起させ、関節炎スコアの上昇程度をワクチン無投与群と比較した。その結果、IL-17Aワクチン群で抗IL-17A抗体の産生と、有意な関節炎スコアの抑制が認められた。DBA/1Jマウスに抗II型コラーゲンモノクローナル抗体カクテルおよびLPSを投与することにより関節炎を惹起するモデルでも同様の実験を行った。IL-17Aワクチン予防投与群で、有意な関節炎スコアの抑制が認められた。この抑制効果は抗マウスIL-17A中和抗体の治療投与群よりも有意に優れていた。
著者
石黒 浩 開 一夫 板倉 昭二 西尾 修一 宮下 敬宏 神田 崇之 中西 英之 中村 泰 吉川 雄一郎 松本 吉央
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、 人間に酷似した遠隔操作型アンドロイドのシステムを開発し、実験室実験と実環境における実証実験により、その効果を確かめた。特に、遠隔操作する操作者と、 アンドロイドと関わる訪問者の双方がアンドロイドシステムに適応できることを、認知科学的・脳科学的に確かめた。また、得られた知見を基に、人と親和的に関わることができる遠隔操作型アンドロイドのミニマルデザインを考案し、その効果を確かめた。
著者
生田 和良 小野 悦郎
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

ボルナ病ウイルス(BDV)は神径細胞親和性のマイナス鎖、一本鎖のRNAウイルスで、これまでに少なくとも6遺伝子が同定されている。感染細胞には、p40(ヌクレオプロテイン)とp24(リン酸化蛋白)が主要ウイルス蛋白として検出されるが、ウイルス粒子にはp40蛋白が主要で、p24蛋白はほとんど倹出されない。BDVは、ウマに脳炎症状を引き起こすウイルスとして分離された。ヒトにおいては、精神疾患患者とBDV感染との関連性が指摘されている。私たちはこれまでに、パーキンソン病(PD)患者の剖検脳(黒質領域)において、BDV感染が高率(9例中6例)に認められることを初めて見いだした。また、陽性であった6例中の4例において、新生仔スナネズミ脳内へのBDV伝播が可能であった。本研究では、PD病態におけるBDVの関与の可能性を検討した。BDVを脳内接種した新生仔スナネズミにおいて、接種BDVの感染価依存的にBDV脳内伝播が激しく、歩行異常等の症状後、死亡するまでの時間も速く経過した。接種したBDVの感染価にかかわらず、脳幹部でBDVが検出できる時期にほぼ一致して神経症状が観察された。このBDV接種スナネズミでは、抗p40抗体はほとんど検出されずに抗p24抗体が検出された。さらに、p24遺伝子をGFAP、ヒトセロトニン受容体遺伝子プロモーターの下流に導入することにより、脳内でp24蛋白を発現するトランスジェニックマウスを作出したところ、一部の系統で神経症状(首振りや歩様異常など)が認められ、BDV発現が海馬や小脳において認められた。以上、脳内の特定部位へのBDV持続感染が成立し、p24が発現することが神経症状出現へと導く可能性が示唆された。
著者
生田 和良 朝長 啓造 小野 悦郎
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
2000

最近の研究によりボルナ病ウイルス(BDV)がヒトの脳内に感染していることが明らかとなった。私たちは、パーキンソン病患者の剖検脳にBDVの遺伝子が高率に検出されることを報告してきた。そこで本研究では、パーキンソン病の発症とBDV感染との関連性について検討を行うことを目的として、パーキンソン病のモデル動物の確立に向けたBDVの中枢神経病原性の解明に向けた研究を行った。BDV p24蛋白質はBDVの主要抗原であり、BDVの中枢神経病原性に深く関与していると考えられている。そこで、p24蛋白質を脳内のみに発現するトランスジェニックマウス(p24-Tg)数系統を作出し、その表現型ならびに脳内におけるp24蛋白質の発現について解析を行った。その結果、線条体を含む領域にp24蛋白質を発現した数匹のp24-Tgマウスにおいて、後肢麻痺などの神経症状が観察された。また、Tgマウスは脳内栄養因子(BDNF)の発現低下が認められ、神経症状との相関性が示唆された。さらに、p24蛋白質が神経細胞の機能に与える影響を探るため、p24蛋白質と結合する宿主側因子の同定を行い、p24蛋白質が神経細胞細胞の生存維持に関与していると考えられている神経突起伸張因子(amphoterin)と特異的に結合することを明らかにした。今回の解析により、脳内におけるBDV p24蛋白質の発現が、脳内栄養因子の発現ならびに神経細胞の生存維持に影響を与えている可能性が示唆された。このことは、BDVの感染がドーパミン産生ニューロン変性の促進要因のひとつとなっている可能性も示している。今後さらに、p24蛋白質の神経細胞死への関与を詳細に解析する必要があると考えられる。
著者
柴田 政彦 渡邉 嘉之 寒 重之 西上 智彦 植松 弘進 宮内 哲 壬生 彰 大迫 正一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

身体部位(手)のメンタルローテーション課題を用いた心理物理学的実験では,上肢CRPS患者8名と健康成人40名のデータを取得した。両群の正答率および反応時間を比較した結果,健常者に比べCRPS患者で有意な正答率の低下と反応時間の遅延を認めた。健康成人のデータについては,これまで検討されてこなかった回転角度の増加に対する反応時間の変化にばらつきがあることに着目して統計学的解析を行った結果,4つのグループに分類することができ,「手の左右判別課題時には自身の手を動かす運動イメージを行っている」とする先行研究の結論とは異なる回答方略をとるものが存在することを明らかにした。
著者
文 雪 ブン セツ
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
2018

29942
著者
辛 賢
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

今年度(平成十九年度)では、六朝玄学において盛んに論争された、いわば「言不尽意」論につき、とりわけ王弼の「言-象-意」の論理階梯における「象」の意味と機能について考察を行った。王弼は著述『周易略例』のなかで、「意を尽くすは象に若く莫く、象を尽くすは言に若く莫し」(「明象」)といい、「言」より「意」の獲得の論理階梯(言→象→意)として「象」の介入を認めている。ここの「象」とはほかならぬ『易』の卦象と解釈することができるが、そもそも「象」または「卦象」とは、認識論においてどのような意味をもち、機能しているものなのか、という問題がある。そこで、易伝が成立するに至るまでの、先秦から前漢における関連資料を調査し、「象」の宗教的(呪術的)、または哲学的意味について考察を行った。考察の結果、「象」は神霊の働きをもたらすために用いる模型(たとえば雨乞いの土龍など)の呪術的機能に近く、易の「卦」も、自然万物の法則性を象った一種の「模型」的性質をもっており、「象」の本来的意味はこうした呪術的意味から展開したものであることを明らかにした。さらに「象」は戦国末頃になると、とりわけ道家系思想の存在論的変化(「道」の形而下化)につれ、根源者を認識・把握する媒介(兆象)として用いられることになる、ということも併せて指摘した。これらの考察内容については、論文として執筆した(下記の研究発表参照)。
著者
清水 政明 柿木 重宜 冨田 健次 川口 健一 岩井 美佐紀 春日 淳 田原 洋樹
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、現在日本における学習者人口が日々増加の一途をたどるベトナム語の学習成果を客観的に測定する基準を策定するべく、その検定試験の内容・形態・評価方法を確定するための基礎的研究を遂行した。ベトナム本国において教育・訓練省が策定する海外在住ベトナム人のベトナム語能力測定基準案等を参照し、ベトナム本国との連携関係を保持しながら徐々に改良・発展させることが可能な形態を有する検定試験の制定を目標とした。
著者
鄭 聖汝
出版者
大阪大学
雑誌
大阪大学大学院文学研究科紀要 (ISSN:13453548)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.A19-A58, 2005-03-20

The goal of this paper is to explicate the true nature of split intransitives. To achieve this goal we explored the experiential basis of the unaccusative hypothesis and arrived at the following conclusions: 1. The passive, including the impersonal passive and adversative passive, is primarily based on the activity verbs (S_a=A) and undergoes generalization accommodating change of state verbs (S_p=P) verbs as well (Cf. Shibatani 1998). 2. The causative alternation is primarily based on change of state verbs (S_p=P) and undergoes generalization accommodating the activity verbs (S_a=A)(Cf.Shibatani & Pardeshi 2002). 3. The split intransitive system in active languages is based on at least two different semantic criteria (Cf. Mithun 1991). From the results mentioned above we propose the following claims: 4. The behaviour of the intransitives is not a dichotomy as envisaged by the unaccusative hypothesis. The groupings are non-homogeneous and form a continuum rather than a dichotomy. Further, the size of each group varies from one language to another. In order to capture these facts we propose the following terms: Semantic Nominative-accusative system and Semantic Ergative-absolutive system. These terms are precisely defined and introduced drawing a systematic parallel with the casemaking systems. 5. In relation to 3 above, developing the proposal of Mithun (1991), we propose a "speaker's viewpoint" parameter related to the origination of a state of affairs. Even in the active languages, we do not find the ideal active-inactive dichotomy pattern as envisaged by the unaccusative hypothesis. We claim that the "speaker's viewpoint" parameter proposed herein varies from one language to another and therefore the so-called universal, single parameter based unaccusative hypothesis is in fact not universal.
著者
真下 節 浜中 俊明 内田 一郎 西村 信哉 吉矢 生人
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究の目的はキセノンの麻酔作用が非特異的それとも特異的かということを明らかにすることである。1)X線回折法を用いた紫膜に対する吸入麻酔薬の結合部位の同定:揮発性麻酔薬を作用させた紫膜と作用させない紫膜の双方のX線回折結果から得られた位相、強度比から差フーリエ図を作成し、さらにモデル計算による結合位置の精密化を行った。その結果、麻酔薬分子はバクテリオロドプシン3量体内のタンパク質/脂質境界付近に結合していることが明らかになった。さらに、膜厚方向のX線散乱強度の変化から、麻酔薬分子は膜表面に存在することがわかった。さらに、耐圧測定セルにキセノンおよび亜酸化窒素を1,2,3,4,5気圧の各濃度で封入した紫膜試料においてX線回折を試みている。2)GABA_A受容体およびNMDA受容体に対するキセノンと亜酸化窒素の作用:抑制系受容体の再構成GABA_A受容体(α1β2とα1β2γ2s)のイオンチャンネル機能に対するキセノンの作用を亜酸化窒素や揮発性麻酔薬と比較検討した。その結果、GABA_A受容体のClカレントに対してキセノンが亜酸化窒素とともに賦活作用を示さないことを明らかにした。そこで、キセノンや亜酸化窒素は他の受容体に特異的に作用するのではないかと仮定し、興奮性受容体であるNMDA受容体に対する作用を検討した。再構成NMDA受容体(ζ_1ε_1)のイオンチャンネル機能に対するキセノンの作用を亜酸化窒素や揮発性麻酔薬と比較検討した。2電極固定法を用いてNMDAにより誘発されるNMDA受容体Ca^<2+>/Na^+電流に対する各麻酔薬の効果を測定した。イソフルランとセボフルランは0.5MACさらに1.0MACにおいてNMDA受容体Ca^<2+>/Na^+電流に影響しなかった。一方、臨床濃度のキセノンと亜酸化窒素はNMDA受容体Ca^<2+>/Na^+電流を濃度依存的および可逆的に抑制した。これらの結果は、揮発性麻酔薬はGABA_A受容体系に対して、キセノンと亜酸化窒素はNMDA受容体に特異的に作用することを示唆している。本研究により、キセノンは不活性ガスであるにもかかわらず作用特異性を有するという結論が得られた。
著者
清水 正宏
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

生物は,細胞単位であっても自己複製,自己修復,自己組み立てといった優れた機能を発現することが知られている.そこで申請者は,生体自体が本来有する優れた特性を誘導・発現させるバイオロボットの創成を試みた.具体的には,細胞力覚(機械刺激応答)を活用して成長する筋細胞アクチュエータを開発した.ここでは,マウス由来筋芽細胞C2C12に伸展機械刺激を印可することで,筋線維への分化が促進されることを確認し,筋細胞アクチュエータを自己組織的に設計・構築することが可能となった.
著者
中根 和昭 末松 信彦
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

癌組織・鉄(Fe-C鋼)などの鉱物組織・高分子化合物のように、組織構成が全体の性質を決めることはよく見られる。組織の状態判別は、観察者の主観に任せられているのが現実である。判定結果は観察者の技量に大きく左右されるため、客観的な数値に置き換える手段が必要とされている。今回、組織判別に対して位相幾何学的な判定手法を用いたアルゴリズムを提案した。これは「組織構成要素の肥大による位相幾何学的性質の変化」を単純化された画像から読み取る、という原理であるが、組織形成の仕組みが同じような構造物は他にも多くある。それらにこの判定法を適用したが、非常によい結果が得られた。
著者
長峯 健太郎 矢島 秀伸 清水 一紘 青山 尚平 平下 博之 Hou Kuan-Chou Chen Li-Hsin Zhu Qirong Sadegh Khochfar Claudio Dalla Vecchia
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-06-27

宇宙論的銀河形成流体コードGADGET-3を用いて、早期宇宙から現在に至るまでの銀河形成と進化の統一的理解を推進した。具体的には、新たな超新星爆発モデルとダストの破壊・成長モデルをシミュレーションコードに組み込み、ダストとメタルを空間的・時間的に追うことに成功した。銀河の光度関数や質量関数、及びダストによるextinctionの空間分布も計算した。また、宇宙論的ズーム計算においては、矮小銀河の質量獲得史および星形成史を調べた。その結果、フィードバックが強いモデルにおいては、ガスが吹き飛ばされて銀河円盤が破壊され、より乱れたガス分布の初代銀河が形成されることがわかった。